Disruption This Week—–24/5/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年5月18日から2024年5月24日まで。

Meta、最先端マルチモーダルモデル「Chameleon」を発表

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

Meta、最先端マルチモーダルモデル「Chameleon」を発表
「生成AI分野の競争がマルチモーダルモデルへとシフトする中、Metaはfrontier labsが発表したモデルに対する答えとなるプレビューを発表した。Metaの新しいモデルファミリー『Chameleon』は、異なるモダリティのコンポーネントを組み合わせるのではなく、ネイティブにマルチモーダルであるように設計されている」。

——Metaもマルチモーダルへ。テキストも映像も、そして音声なども統合的にハンドルするジェネレーティブAIの時代に入ろうとしている。

Google、「AI Overview」の上下に広告を表示させるテストを米国で開始へ
「Googleが紹介した例では、『服のしわをとるにはどうしたらいい?』という質問に対するAI Overviewの回答に、WalmartやInstacartなどで購入できるしわのばしスプレーを表示するカルーセル状の広告セクションが表示されている」。

——GoogleがAI時代に変化する「検索」で、どのようにして広告を延命させようとしているかよくわかる情報。

俳優ヨハンソンさん、オープンAIの音声削除求め弁護士雇う
「先週、オープンAIは新しいオーディオ機能を発表し、『Sky』と呼ばれる音声などの実演を行った。ヨハンソンさんは『公開されたデモを聞いた時、私は衝撃を受けるとともに怒りがこみ上げた。私の声に不気味なほど似ている声を追求するアルトマン氏の姿勢に不信感を抱いた』と指摘した」。

——どうも、「こんなのできちゃいましたが」的なノリでヨハンソン氏に提案して、話が進むと思っていたふしがある。いやはや。

Major Pixar Layoffs, Long-Expected, Now Underway In Restructuring (Exclusive)
Disney、傘下のPixarアニメーション・スタジオの大規模レイオフに着手。Pixar市場最大のレイオフで、全従業員の14%相当175名の解雇となる模様。Bob Igerによるグループ運営方針の転換に沿ったものだとする記事。
「X利用者の年代別でXでニュース情報を収集しているかを見ました。10~30代のX利用者の約6割がXでニュース情報を収集していました。40代のX利用者の約5割、50~70代の約4割がXでニュース情報を収集していました」。

——いろいろと考えさせられる調査結果。場の荒れ方が進行するXで、ニュース情報の取得が根強いのには、いささか懸念。

TikTok tests 60-minute video uploads as it continues to take on YouTube | TechCrunch
TikTokが「60分動画」のアップロード機能をテスト中。米Techcrunchが伝えた。15秒程度の短尺動画で一世を風靡したTikTokだが、YouTubeの追撃にあっている。逆に、YouTubeの土俵にTikTokが乗り込み競合する図式になってきた。
As clicks dry up for news sites, could Apple’s news app be a lifeline? | Semafor
大手プラットフォームからの流入減で危機を迎える大手Webメディア。代わって注目されているのがApple News。無料版Apple Newsは流入源として、そして有料版News+から入金が各社を潤しているとのリポート。米Daily Beastで年間300万〜400万ドルの入金があるという。
デジタルメディアとシニア層~メディアログが明かす現在(いま)~
「他の年代と比べると利用時間は少ないように見える高年齢層も、2023年では1日あたり約190分、3時間近くスマートフォンを利用している形になっています。これは2017年と比較すると約1時間増えており…」。

——ご同輩たちにとってもスマートフォンの利用度合いが急激に高まっている。利用している(スマホ上の)アプリは、さしずめ、LINEかYouTubeと思っていたところ……

How China is using AI news anchors to deliver its propaganda
2018年、発表されたデジタル“ニュースキャスター”による、24時間・365日ニュース報道を行う「Qiu Hao」以後、中国国内ではデジタルアバターの活用が盛況。同時に、台湾は自国の領土とアバターが主張するディープフェイク・ニュースが次々と誕生する経緯と事例を報じた記事。
広告という厄介者
「こうした広告が蔓延してしまっている理論的根拠の一つが『単純接触効果』といわれるものである。アメリカの心理学者だったZajonc が提唱したもので、任意の刺激に反復して接触することにより、それに対する親近感や好意度が高まるという仮説である」。

——記事中には詳細な参照すべき論へが示されている。ユーザー体験を毀損するなどという生やさしい批判ではくじけそうにないお邪魔広告の跋扈。

(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)価値ある1面記事、非購読者にも 藤村厚夫:朝日新聞デジタル
【ご紹介】:
パブリックエディターの一人として、朝日新聞にコラムを寄稿しました。よろしければどうぞ。

Disruption This Week—–17/5/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年5月13日から2024年5月17日まで。

What’s on TV? For Many Americans, It’s Now YouTube
【有料購読者向け記事】:
先月に行われた米Nielsenの調査によれば、米国の視聴者10%近く(視聴時間)がYouTubeに。コネクティッドTVの普及度合いが進展か。
グーグルが「Astra」発表、AIアシスタントからエージェントへ
「ユーザーがスマホのカメラとスマートグラスを物に向け、それが何か説明するようAstraに求めた。デバイスを窓の外に向け、『ここはどこだと思いますか』と尋ねると、AIシステムはロンドンのキングスクロス、つまりグーグル・ディープマインドの本社所在地だと特定した」。

——OpenAIが発表し話題となっている「GPT-4o」に相当するGoogleの新製品(開発中だが)が「Astra(アストラ)」だ。「リアルタイムで動作するマルチモーダルAI(音声、映像、テキストなど複数の種類の入力を処理できるAI)」の試みで、私もたびたび言及してきた「AIアシスタント」を実現する上でのOSのようなものになる。

News publishers sound alarm on Google’s new AI-infused search, warn of ‘catastrophic’ impacts | CNN Business
Googleの「AI Overview」の発表に、さっそくメディア業界からの反応。
「表面的には便利に聞こえるかもしれないが、すでにトラフィックの急減に苦しんでいるニュースパブリッシャーの多くにとって、この検索エクスペリエンスの刷新は、読者数のさらなる減少を引き起こし、読者と収益を奪う可能性がある」。
Netflix ad-supported tier has 40 million monthly users, nearly double previous count
米Netflix、安価な広告表示付きプランのMAUが全世界で4,000万人に達し、1月の2,300万人からほぼ倍増と公表。Netflixの総加入者数は現在2億7000万人となった。同社はまた、独自のアドサーバを構築、この分野でのMicrosoftとの提携を打ち切った。
【コラム】GPT-4oはセクシーな声で誘惑、ユーザーに覚悟は-オルソン
「サンフランシスコ本社で行われたライブデモでは、代数の問題を手伝っている人にAIが突然『まあ、とてもおしゃれな服を着ているのね』と話しかけ、聴衆を驚かせた。このイベントに出席していたブルームバーグ・ニュースは、この声は『気を引こうとしている感じ』だったという」。

——いずれ、AIが利用者にエモい働きかけをするのを抑止する法制が求められることになるだろう。冗談でなく。

Google、AI関連事業を担うDeepMind CEOのDemis Hassabis氏が「Google I/O」で講演。注目される新たなタイプの電子透かし「SynthID」について発表。画像・動画に加えてテキスト、そして音声にも適用可能と述べる。
Music in the Air: Focus on monetisation, emerging markets and AI; updating global music industry forecasts
米Goldman Sachs、ストリーミングを中核にした世界の音楽産業を巡る各種データをアップデートした「Music in the Air 2024」を公表。50ページ近いPDFを参照できる。それによると2023年は業界にとって大転換期だったという。値上げ・ジェネレーティブAI・ロイヤルティ支払い構造の近代化が要因だという。
AIを駆使して「ガザ攻撃」の実態を暴く、ピュリツァー受賞ジャーナリズムの新たな手法とは?
「AIを活用した報道は、2024年のピュリツァー賞最終候補45件中でも5件、1割超に上る。
見えていなかった現実を、AIを活用したジャーナリズムで明らかにする。その新たな手法とは?」

——平和博さんのポスト。ガザでのイスラエルによるハマス攻撃が、住民の安全を脅かすにたるほどのものであることを分析、そして米シカゴで、警察発表とは異なる犯罪捜査の内実を警察の内部文書の解析で判明。ピュリツァー賞受賞作が、AIを活用したジャーナリズムのありようを示した。

オープンAI、新たな旗艦AIモデル発表-「GPT-4O」
「同社によれば、口頭で質問すれば、システムは数ミリ秒で音声で返答することができ、より流動的な会話を可能にする。同様に、システムに画像プロンプトを与えると、画像で応答することができる。
システムに話しかければ、わずかミリ秒で音声で返答し、流れるような会話が可能になると、オープンAIは説明」。

——OpenAIが、“ライバル”のGoogleがプライベートイベントで製品発表を行うGoogle I/O(5/15開催予定)の直前に、自社製品の進ちょくをアピール。専門メディアが予測していたとおり、音声・映像をリアルタイムに認識し、リアルタイムに返答できるチャットボット機能「GPT-4o」を発表。

Russian network found using genAI to spread disinformation
【有料購読者向け記事】:
ロシアの影響工作組織「CopyCop」が、ジェネレーティブAIを用いて西側の主要メディア(たとえばBBC)のニセドメインを作成し、イスラエル・ハマス紛争についての不和を煽り、ウクライナへの支援を弱めるための情報を拡散していると研究者が指摘している。
AI is disrupting the local news industry. Will it unlock growth or be an existential threat? - Poynter
米Northwestern大のメディル・ローカルニュース・イニシアティブ、AIがジャーナリズム、特にローカルニュースにどのようなインパクをともたらすか研究した「Impact of AI on Local News Models」を公開。当然ながらプラスとマイナスを冷静に評価。PDFをダウンロードできる。
スマートニュース、「SmartNews for docomo」をリリース 広告配信も開始
【ご紹介】:
「スマートニュースは、ドコモのAndroid端末向けにニュースアプリ『SmartNews for docomo』をリリースし、アプリ内広告配信を開始した。
…同アプリでは、SmartNewsアプリと同様にコンテンツと広告を配信する。リーチやクリック、ウェブコンバージョンを目的とした運用型広告Standard Adsの配信となる」。

Disruption This Week—–22/3/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年3月18日から2024年3月22日まで。

I Used ChatGPT as a Reporting Assistant. It Didn’t Go Well – The Markup
調査報道(データ)ジャーナリストのJon Keegan氏、ChatGPTが調査報道のアシスタントとなり得るかを時間をかけてテスト。いくつかの点で良い成果をあげた(要約能力など)が、概ね落第だとした。だが、最も使える機能は、プログラミング・コードの生成とデバッグ機能だと発見。
習近平氏の偽動画どう見抜いた? 台湾総統選、市民もLINEで検証:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「市民団体『コファクツ』は、2400人以上のボランティアが市民から寄せられた情報の真偽を検証している。台湾でも普及するLINEを使い、利用者から投稿された真偽不明の情報を過去の検証結果を集めたデータベースと突き合わせて正しい内容かを瞬時に確認。データベースはボランティアが評価を重ね、回答の精度を高めている」。

——台湾総統選などを機に噴出した偽動画、偽画像。台湾では市民が参加するファクトチェックのスキームが歴史的に積み重ねられている。

ネット広告を良くしなければ社会が悪くなる、2024年度はその分岐点です。 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議

AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム

ネット広告を良くしなければ社会が悪くなる、2024年度はその分岐点です。 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
「最近は比較的硬派なメディアでもどんどん広告表示がひどくなっています。新聞は比較的まともだと思っていましたが、先日はついに大手新聞のサイトでニュース記事を読んでいたら『通せんぼ広告』が表示されました。新聞がこれやっちゃダメでしょう。その新聞の記事はもう2度と開かないと決めました」。

——境 治氏の論説。「広告」の劣化は、メディアそれ自体の劣化と見なされるだろう。その逆もまた。広告もコンテンツ(メディア)も、どう“引き算”のアプローチを現実化していくべきか。

TikTok Revamps Creator Rewards Program to Incentivize Longer Uploads
TikTokがクリエイター向けの報酬プログラム「クリエイター・リワード・プログラム」を発表。1分以上の動画のみ参加対象とするなど、同社が「高品質で長いコンテンツのアップロード」を動機づけようとしているのが、改めて明瞭となった。

——TikTokが流行らせた“ショート動画”を自ら脱却しようとするのは、GoogleやMeta勢のショート動画との差別化、そして、広告の挿入しやすさなどマネタイズ面での課題があるからだろう。

How to abandon a paywall and thrive – a case study

Media Makers Meet | What’s new in media

How to abandon a paywall and thrive - a case study
ペイウォールを捨て成功するメディア:
「1. より多くの読者にリーチする必要性
2. 非営利の立場を受け入れる
3. 毎日配信されるメールマガジンの重要性を理解
4. 透明性を高め、利益を再投資…
5. イベントやエンゲージメントを通じて熱心なコミュニティを築く…」

——ある商業デジタルメディアが、購読課金制(ペイウォール)を諦め、非営利・寄付金型メディアへのモデルチェンジを図り、成功した事例を要約解説した記事。

長文コンテンツのための5つの書式テクニック
「(ユーザーは)要約や箇条書き、視覚情報、太字のテキストに注目して、探しているものをすばやく見つけ出そうとしている。そこで、テキストの壁を崩す書式テクニックを用いれば、流し読みのしやすさが向上するだけでなく、重要な情報に注意を引きつけることで、読者がコンテンツを効率的かつ効果的に読み進める手助けをすることができる」。

——「要約、箇条書き、コールアウト、太字、役立つ視覚情報などのテクニックを用いることで、1,000語を超えるコンテンツの理解度やエンゲージメントは向上する」との視点で整理された論。しかも、体験的な主張ではなくユーザーによるテストを基にした論であり、傾聴に値すると思う。個人的には冒頭の「要約」が重要と感じている。

「真のスマホネイティブ世代」のメディア利用「原体験」とは | ウェブ電通報
「今の子どもたちは『真のスマホネイティブ世代』にあたると冒頭で紹介しました。そこでスマホの利用状況を詳しく見ていきましょう。スマホの利用率は、0歳の22.5%を起点に伸長し、6~8歳での落ち込みを経て、12歳では58.5%に達します」。

——興味深い調査結果が示された記事。“真にスマホネイティブ”な層=子どもたちのメディア(コンテンツ)接触について、さまざまな視点が示された。引用箇所は、幼児期は寝かしつけのために親がスマホを与え、長じては親がスマホ視聴を取り上げ、そして学校教育ではタブレットと振り回される様が指摘される。

Hey YouTube creators, it’s time to start labeling AI-generated content in your videos | CNN Business
YouTube、クリエイターらにAI生成ラベルの付与を義務化。ビデオをアップロードすると、そのコンテンツが実在の人物の言動や、実在の場所や出来事の映像を改ざんしていないか、あるいは実際には起こっていないリアルなシーンを描写していないかを尋ねるチェックリストが表示される。
視聴者を混乱させる可能性のあるリアルなAI生成コンテンツにのみラベル付けが義務化されるという。
A company linked to a large “pink slime” network is being hired by big publishers like Gannett
「『ピンク・スライム』サイトの膨大なネットワークと数多くのつながりを持つAdvantage Informatics社が、Gannettのような米大手メディアチェーンと関係し、ローカルメディアを売買していることが、私の追跡取材で明らかになった」。

——“ピンク・スライム”とは、挽肉などに低品質な肉や人像肉などを混ぜ合わせる手法を言うが、メディアでも地方紙(もしくはそれを仮装するサイト)で広告記事や政治的主張記事を垂れ流すビジネスが指摘されている。消えゆく地方紙を買い取るなどして次々にこの種のビジネスに転換させる動きがあるのだ。全米レベルの大手新聞チェーンGannettが、結果としてこのような動きに関わってしまっているとの指摘。

アルゴリズム、消費者の敵 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「消費者はハンバーガーの価格や家賃の上昇には激怒するが、なぜか通勤時間帯で交通費が変動してもあまり気にしない。アプリで予約する場合はなおさらだ。だが、ネット上で当然視されてきたこれらの手法がリアルの店舗で展開されると問題は大きくなる」。

——英FT紙の論説記事。“ダイナミックプライシング”をのんきに新手法として評価する言説が多い。が、実際に自分に適用されれば、“消費者差別”と怒る向きも多いはず。さらに、それが実店舗で行われれば、なおさらだが、なぜかオンラインではその種の新商慣習がすでに横行しているとする論説。

Disruption This Week—–8/3/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年3月4日から2024年3月8日まで。

アップルは「マフィアの手口」 EUの新ルール、アプリ業者が猛反発:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「ファウ氏(=ドイツの暗号化メールアプリ『トゥータ』のマティアス・ファウCEO)は『現状の規約にとどまるか、ビジネスを壊すリスクを取って新規約に移るか。アップルの手法は、身代金を要求するマフィアのようだ』という」。

——AppleがDMA施行に対処するため(と想定できる)、新アップストア利用規約が非常に評判が悪い。個人的に見ても、よくもこれだけワル知恵を働かせたものだと感心。特に外部決済に誘導されようとする一般ユーザーに対し、「(外部で決裁すると)アップルはプライバシーやセキュリティーに責任を負いません」と大書きで警告する手法は、圧倒的な影響力があるだろう。

プロンプト不要、生成AIで誰でも物語からマンガが作れる
「テキスト-画像生成AIは物語性のある複数の画像を生成するのが苦手だ。複数の画像で、設定に一貫性を持たせるのが難しいからだ。だが最近、物語を一度入力すると、それに合った一連の画像を生成するサービスが登場した」。

——画像生成については、DALL-EやStable Diffusionなどを利用するようだが、それ以前のストーリー、プロットなどを解釈してうまい画像を生成させるプロンプトを人間代わりにやってくれるジェネレーティブAI「ロア・マシーン(Lore Machine)」が試行運用中。記事に含まれる見本が面白く読める。

“Don’t expect help from the disruptors”: The FT’s chief executive on AI, “loyalist” readers, and its U.S. expansion
英Financial Times(FT)のCEO、John Ridding氏がインタビューに応じ、好調なデジタル購読者獲得とメディア業界の現状について語る。同社の購読者は140万人を超え、うちデジタル購読者は100万人超。約20%が米国在住だという。日経による買収以降、グループ収益は倍増だとも。
同社が力を入れてきたエンゲージメント戦略の詳細な現状も語られ、読み応えのある内容。
生成AIのグラウンディング(Grounding)とは?
「用語『グラウンディング』について説明。特定の知識や情報源(ナレッジベースなど)に基づいて言語モデルの生成内容を裏付けるプロセスのことで、チャットAIに独自の情報源を付与するRAG(検索拡張生成)という仕組みがその代表例。チャットAIがもっともらしいウソを答える問題(=ハルシネーション)を減らせるといったメリットがある」。

——LLMからいかにして信頼性の高い情報を意図して出力させられるか。また、その信頼性を証す典拠などを明示させられるかといったテーマは、現在、自ら培ってきた信頼性の高いコンテンツを資産として維持する出版社、メディアにとっての死活問題。課題だったこの問題への一つのアプローチが「グラウンディング」だ。

Newsguard debuts new automation tools for tracking election-related misinformation
情報の信ぴょう性などの検証からメディアをレーティングする調査企業の米NewsGuard、選挙イヤーの2024年用に、「Election Misinformation Tracking Center(選挙関連誤報追跡センター)」をサービスイン。従来の追跡システムに加え機械化をさらに促進したという。
10代にとって「メディア」とは? 気になる「界隈」って? イノベーターティーンのメディア生活 番外編 @メ環研の部屋 | メディア環境研究所|博報堂DYメディアパートナーズ
「10代はこの(=フィルターバブルのような)『情報が偏るリスク』をよく理解しているようです。調査では10代の6割が『多様な人や意見・情報にあたるようにしている』と回答。その対策として、X、新聞、ネットニュースなど複数のメディアを使い、確からしさを得ようとしているという声が聞かれています」。

——ティーンがバランス良く情報を摂取すべきことを知っているとの結果。これが全体に適用できるのかどうかもう少し深めてほしいが、自分の日ごろの感覚とも整合する。

BBC News marks content 'verified' to counter disinformation
英BBC、記事中に引用などされた第三者による映像情報に、「検証済み」マークを表示するようにした。検証された動画や画像には、作者、撮影日、撮影場所、カメラの詳細、その後の編集や変更などのメタデータが埋め込まれ、読者はそれを確認できる”How we verified this”ボタンを設置する。
How Max Tani Became the Go-To Guy for Horrible News About Media Layoffs
人気の新興メディア米Semaforでメディア関連情報を担当するMaxwell Tani氏へのインタビュー。同氏は、いくつものメディアを渡り歩き、Semaforにたどり着いたが、いつの間にか、“メディアの訃報(レイオフ、媒体閉鎖)”を報道する専門家のようになってしまったと嘆く。
These Companies Have a Plan to Kill Apps
スマホアプリが消滅へ? すでに軽く紹介したが、MWC2024にドイツテレコムがLLMを利用したヒューマンインターフェイスを搭載したスマートフォンのコンセプトモデルを展示。人間が“複数のアプリを操作してタスクを完了”モデルから、AIに指示し、AIがタスクを完了する新トレンドが動き出している。
インターネットの利用環境、70代のスマホでの利用が3年間で31pt増加【LINEヤフー調査】
「60代以上のシニア層を見ても2021年4月と比較して『スマホ』でのインターネット利用者の増加傾向は顕著で、60代は86%(+6pt)、70代は65%(+31pt)の利用率となった」。

——当然の帰趨と言えばそうだが、シニア層でスマホ利用が急速に進む。となると、ネットメディアやサービスの利用についても、この層で進むことになるだろう。メディア受容における世代対立も変化する可能性がある。

Disruption This Week—–1/3/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年2月26日から2024年3月1日まで。

How the Media Industry Keeps Losing the Future
【有料購読者向け記事】:
印刷版の新聞に代わる画面上の新聞「Viewtron」が1986年に閉鎖されて以降、未来の電子版新聞の試みが何度か生じ、敗退していった。記事は、その試みを紹介しつつ歴史的人物の証言などに当たるが、最後にこれらの敗北は、SNSへの敗北だったと指摘する。
出版状況クロニクル190(2024年2月1日~2月29日) - 出版・読書メモランダム
「『出版状況クロニクルⅦ』で、23年は電子コミックシェアが90%を超えるだろうと予測しておいたが、4830億円という90.3%を占め、そのとおりになってしまった。それは電子書籍が440億円の8.2%、電子雑誌が81億円の1.5%とマイナス基調にあり、これらの回復は難しい状況だといっていい」。

——昨日、「新文化」の記事を通じて紹介しておいた。データ推移が分かるので、目を通しておきたい。

OpenAI、NYTに提訴された裁判で「証拠はChatGPTのハッキングで生成されたもの」と申立
「文書(=OpenAIが呈示した申し立て)によると、NYTが提示したような『異常な結果を生成するためには数万回の試行が必要』で、NYTはOpenAIの利用規約に明らかに違反する欺瞞的なプロンプトを使って例を生成したという」。

——New York TimesとOpenAIとの係争について、何度か紹介しているが、重要なポイントのひとつに、NYTimesがChatGPTの脆弱性を意図的に突いたのではないかということがある。その経緯が理解できる報道。

米英で読者を伸ばすThe Guardian。同メディアが力を入れる指標が「Deeply Read(深く読まれた)」ランク。記事に費やされたアクティブな時間を計測し、記事の長さと組み合わせ「この長さにしては素晴らしい読書時間」などと評価する。読者とのエンゲージメントを重視する戦略から導かれたアプローチ。
San Francisco Chronicle tries an AI chatbot — er, Chowbot — for food recs
米「San Francisco Chronicle」紙、AIチャットボットを使い、読者がベイエリアでのおすすめレストランや特定の料理を見つけられる実験的サービス「Chowbot」を開始。実際にお勧めされる店舗、フードは同氏記者らが実際に評価したものを呈示するため、「信頼に値する」とする。
2023年 日本の広告費 - News(ニュース) - 電通ウェブサイト
「インターネット広告費は、3兆3,330億円(前年比107.8%)と過去最高を更新し、前年より2,418億円増加した。コネクテッドTVの利用拡大に伴う動画広告需要の高まりや、デジタルプロモーション市場の拡大などが成長に寄与した」。

——詳細は、リポートを読んで欲しいが一読した上での感想は、動画系広告にお金がシフトしていることが見えてくる。“四マス”に出自を持つネットメディアでは、テレビ系に広告支出の伸長が著しい。引用箇所でCTVの伸長が語られていることも、動画系の動きだろう。

LINEヤフー、業績回復の裏で目立つ劣悪広告 ユーザーの不満噴出
【有料購読者向け記事】:
「X上に投稿された、LINEの広告への不満の傾向を可視化したグラフだ。ネガティブな感情を持つ意見は、2023年の1年間で累計4000件以上に拡大した。10月には1月の約3倍となり、月間600件超に。24年1月も昨年同月の2倍以上の件数だ」。

——記事の前半はだれでも閲覧可能だ。LINEヤフーで劣悪広告が異常に多いとの“風評”をデータ解析から跡づけている。もっとも、LINEヤフーに限らず、つとに指摘されているようにFacebook上の広告(と言えるの?レベルな)など、世界的にモラルハザードがこの分野で深まっている。

Microsoft’s AI Access Principles: Our commitments to promote innovation and competition in the new AI economy - Microsoft On the Issues
米Microsoft、プレジデント兼副会長のBrad Smith氏の名前で「AIアクセス原則」を告知。
「マイクロソフトの49年の歴史の中で、これまでのどの取り組みよりも大規模な投資、より多くのビジネス・パートナーシップ、イノベーションと競争を促進するための広範なプログラムを約束する。我々は、世界中の組織や個人が公益に資する方法でAIを開発し、利用できるようにするために必要な幅広い技術へのアクセスを提供することを約束する」。
Reddit says it's made $203M so far licensing its data | TechCrunch
株式公開の目論見書が公開された米Reddit。掲示板型のSNSだが、その収益源はいまのところ、ジェネレーティブAIを開発する企業のデータ学習費だという。
契約総額2億300万ドル、契約期間2年から3年のデータ・ライセンス契約を締結と明らかになった。
Technology newsbrand with 'optimistic view' and 20-strong team launches in London
「楽観的な視点を」と、英ロンドンで新興テックメディア「Digital Frontier」が創業。購読料、広告、イベントから収入を得る計画で、ニュース速報ではなく、深いジャーナリズムを提供していくと宣言。英国でもジャーナリズムは苦境にある中での発進だと報じる記事。