Disruption This Week—–20/9/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年9月17日から2019年9月20日まで。

ニュースメディア(ジャーナリズム)は、時に権力はプラットフォーマによる個人データの侵害を見事に指摘するが、それらニュースサイトが、CookieやFacebookらのビーコンを埋めこむことで、サイト訪問者のプロファイリングに加担していることを認識しているか? 米Carnegie Mellon大の学識が論説。それをNew York Timesが掲載するという、ある種の背理。
メディア運営者は、これまで以上に、自社サイトにある“息の長い人気コンテンツ”の活用と配慮をすべき。ある調査では、検索からのオーガニックな流入が50%を超えるとされ、WIREDサイトでは、60%の新規コンテンツ由来の流入を除くと、20%が最近半年以内、20%がそれ以前の旧コンテンツからの流入だ。
‪ノルウェーのメディア企業Aller MediaのCTOが語る「(メディアは開発を)内製すべきか? あるいは外部調達すべきか?」‬
‪CTOは、外部投資が招くベンダーロックインを避け、内部の開発者育成と維持という担でもなく、基盤開発への注力と、調達ツールの統合を選択したと述べる。
英BBC、BBC Newsサイトにユーザーのメンタルヘルスを考慮して、ネガティブなニュースを非表示にする機能を実験的に導入。
社内のエンジニアらが、社内でメンタルヘルス上の不調とツライ・不快なニュースとの関連を意識したことから着想。最近の調査「Reuters Digital News Rport 2019」でも、半分強の回答者がニュースの視聴がツライと、回避の兆候が示されている。
「日本においては、もっとも収益化されているのは今も広告モデルだと思っています。言い換えれば、サブスクリプションサービスはユーザー全体の10%程度に向けたものになりますので、残りの90%のユーザーに向けて引き続き広告も打っていくことが大切です」。

——メディアにサブスクリプション機能を提供するPiano。その日本市場を担当する人物の説明。現実的でわかりやすい。加えて、記事でも言及されているが、マーケティングファネルの考え方は、今後のメディアの成長には必須の視点。

コンテンツディスカバリ(読むべきコンテンツの発見)技術を核にしたスタートアップCanopy。ユーザー情報の入力を求めず、ユーザーの嗜好を学習しパーソナライゼーションが進む。アプリ「Tonic」を提供する。そのマーケティングを担うAmie Green氏へのインタビュー記事。新技術(を実装したアプリ)の議論であり、デジタル時代のコンテンツ関連キャリアを示す記事でもある。
コンテンツの拡散を、いくつかの大手プラットフォーム任せにしてきた時代は去った。メディア運営者は、自らの“総合的なプロダクト戦略”を立て、プロダクト担当者に投資することで、“プロダクト思考”を身につけなければならないとの論説。米Washington Postはこの2年間でプロダクト担当者を三倍増に。Vox Mediaでは、150人の組織を形成しているという。
【購読者向け記事】:
「10月にも内閣官房にデジタル市場競争本部を新設し、巨大IT企業規制に関する競争政策や個人情報保護策を一体的に議論する。
……独占禁止法や個人情報保護法など複数の省庁が所管する法令にまたがるため、競争本部で2020年にも制度の方向性を取りまとめる」。

——「デジタル市場競争本部」を立ち上げるという。そもそも独占禁止法がらみの視点からGAFAへの監視を強めるという手法が、妥当なのかどうか。

米Bloomberg Media、2018年に開始した購読制が順調に成長。年末までに購読者数(2018年末で“数万”と推定)が倍増を見込む。成功要因はダイナミックペイウォールと記事は伝える。20を超える指標から、読者ごとにオファを行っていくという。どんな要因かは、記事を参照されたい。
「『私たちのことを、世の中をまともに理解する気がない連中だ、と思っている人たちがいる』とメイヤー氏。
それは、メディアがどのような手続きと判断でニュースをつくっているのか、メディア自身がその説明をしてこなかった結果だ」。

——平和博氏のONA19リポート。数多くのメディアをめぐるセッションが行われるが、今年のカンファレンスでは「信頼(Trust)」が中心テーマに。引用箇所は、信頼を支えるのは、透明性、そして訂正を伝えていくこと、という論点。

【ご紹介】:
私が事務局として携わっているインターネットメディア協会(JIMA)、そのオンライン企画として継続している対談(今回はてい談)が新たに掲載された。コミュニティガイドラインを発表したばかりのはてなのキーパーソンが、下村健一氏の問いに答えている。