Disruption This Week—–6/9/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年9月2日から2019年9月6日まで。

Instagramの試行に続き、Facebook本体でも「いいね!」数の非表示が試行される? との話題は既に紹介した。7か国で非表示が導入されているInstagramでの変化をもとに、ソーシャルメディアにおけるパブリッシャーの環境がどう変化するかを論じた記事。コメントするインフルエンサー関連の人々は、コンテンツが本来の価値、インパクト、そしてエンゲージメントをめざす良い転機になると、肯定的な発言をしている。

ネット空間 浄化するには

日本経済新聞 電子版

【有料購読者向け記事】:
「自動で広告枠を買い付ける『プログラマティック広告』では、コンテンツの性質が全くといっていいほど考慮されない。ファクトマタは質的評価を加味した『Q-CPM』という指標を新たに作り、食品の栄養成分表示のように情報の特性を示そうとしている」。

——英国スタートアップのファクトマタの挑戦。大量に生み出される低品質・偽情報への対抗として、テクノロジーがなすべきことは山積している。取り組みを分散的に広げつつ、連携を目指したい。

「ネットのパブリッシャーや広告主は、独自のクッキーを使う代わりに、同じ単一のトークンを使ってネットユーザーを識別することになる。業界全体にユーザーとその選択を単一の識別子で登録させるというのは、薄気味悪く感じられるかもしれない」。

——広告(主)業界としては、Cookiesへの技術的代替策が求められているので当然の動き。技術的にはともかく、コンセプトとしては、ユーザーオプトアウトを推進するもののようだ。W3Cにもかけるというので、時間がかかりそう。

【有料購読者向け記事】:
事業収入の9割が購読収入という、“ハードコア・サブスクメディア”である米The Informationが、Spotifyで収益担当だった人物を広告部門の幹部に採用。また、BuzzFeedで収益事業の開発を行っていた人物と連携するなど、収益源の多様化に着手か。
米Washington Post、創刊141年にして発行人欄に初の「VP of Product」(プロダクト担当責任者)を掲記。同社は「パーソナライズされたメルマガ」「ユーザー別に動的に対応するペイウォール」を開発中。8年前にはエンジニア4名体制が、現在は300名を擁するという強烈な進化を遂げた。
WaPoアプリを利用するユーザーは、同社Webサイトを利用するユーザーに比し、3倍も記事を閲読するという。
米New York Times、第2四半期、印刷・電子含む総購読者数が470万人に。対前年同期比でも純増数は伸長したが、一方で、電子版広告収入にかげり。また、購読者純増数も前四半期比では頭打ち傾向。全体に電子版成長の限界を感じさせ、株価は20%も押し下げる結果に。
【有料購読者向け記事】:Googleによる“Cookies条件付き維持”施策の提唱が、個人情報保護強化論者の批判を買う。ネット上の個人の行動履歴を記憶するCookiesの利用が制限されると、アドテク事業者はターゲティングが事実上制限される。Googleは規制強化の趨勢に抵抗中だ。
パブリッシャー向けソフトウェア開発のTwipe、購読者ら読者とのエンゲージメント形成において、注力すべき指標は、「(読者の)習慣の形成」だと、同社の調査結果を解説。これまでは、「反復頻度」が重要指標として語られてきたが、同社の論説は異なるポイントをあげたわけだ。
「出版科学研究所による19年上半期紙と電子出版物販売金額は7743億円で、前年比1.1%減。そのうちの電子出版市場は1372億円、同22.0%増で、そのシェアは17.7%、前年は16.1%。
電子出版の内訳は電子コミックが1133億円で、同27.9%増、電子書籍が166億円で、同8.5%増、電子雑誌が73億円で、同15.1%減」。

——「漫画村」騒動の一定の鎮静化も含めて、より市場の成長性は電子コミックス頼み一点張りに。電子雑誌の減少は、dマガジンの低迷に影響とある。“読み放題”モデルの行方も気になる。

「今回のアップデートの焦点は、パブリッシャーによるユーザーデータの使用について、同意の要求をより明確にして、ユーザーにしっかりと情報を提供することにある。また、パブリッシャーが提携するアドテクベンダーのデータ使用方法と目的に関し、よりコントロールしやすくなる」。

——何度となく伝えてきている話題。進化した(しすぎた?)アドテクに対し、個人情報保護のうねり、法制化の下で、広告はどうなるのか。もちろん、(是非はともかく)アドテク事業者の命運は、メディア事業者の命運にも関わっている。

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月いちの連載記事が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ 広がるプライバシー保護規制 ターゲティング広告急減も
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スマートニュースの佐々木大輔が、彼の体験とネットメディアの歴史を重ね合わせて、振り返る興味深いインタビュー。面白い視点がいくつか。ぜひご一読を。
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スマートニュースで、いつも素敵な笑顔と高速業務処理能力を発揮する田尻さんが紹介されました。私は、いまも時々、彼女の隣りで仕事させてもらっています。