Disruption This Week—–27/11/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年11月24日から2020年11月27日まで。

 

 

この夏設立された韓国の個人情報保護委員会、Facebookが韓国国内で、2012年から18年の間に、ユーザの少なくとも330万人の個人情報を無断で売買していたとして、60万ドル以上の罰金を科した。刑事捜査にも入ったという。争点は、Facebook認証を用いてサードパーティサービスを利用したユーザの友人のデータまで提供された、というCA事件と相似の事象だ。

 

 

オンラインゲームの隆盛とともに急発展したライブチャット(ストリーミング)の「Discord」、時価総額70億ドルで資金調達へ。注目すべきは、記事中にもあるが、もはや「ゲームの…」という冠が不要のコミュニケーションやメディア基盤へと成長しつつある点だろう。

 

 

「有料オンラインライブを視聴した感想としては『生のライブに行ってみたくなった』が24%と、オンライン上での体験が実際のライブ会場へ足を運ぶきっかけになり得ることがわかった。一方、ネガティブな感想としては『生のライブのような臨場感がなかった』という声が挙がった」。

——オンラインとオフライン、トレードオフの関係ではなくなれば、将来、ライブ市場はより拡大する。その方向感を意識させられた調査結果。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「月1800万人が利用するニュース情報サービス『LINE TODAY』で、19年7月にファクトチェックのカテゴリーを新設した。真偽を確かめたい文章やサイトのURLを利用者が投稿すると、ファクトチェックを行う連携先の4団体で専門家らが調査する」。——プラットフォーム自らファクトチェックを行う。懸念もあるアプローチ。第三者のファクトチェック団体とのつなぎ込みが良策と思うが。

 

 

「英語にて実現している精度に匹敵する、またはそれ以上の、日本語の超巨大言語モデルを創出してまいります。
開発された超巨大言語モデルは、新しい対話AIの開発や検索サービスの品質向上など、AIテクノロジーブランド『LINE CLOVA』をはじめとするLINE社のサービスへの活用のほか、第三者との共同開発や、APIの外部提供についても検討予定です」。——自分的に昨日最大のニュースは、これ。GPT-3が大きな話題を呼んでいるが、なにせ、日本語に特化した言語モデルは、なかった。世界最大級のデータを駆使した言語モデルが日本語上で創造されるとすれば…、その先の活用を考え始めてもいいかもしれない。

 

 

今どきの“ソーシャルメディア”アプリは皆、似たもの同士に。Axiosがまとめた12のSNSサービスやアプリ。DMはもちろん、ストーリーやフィルタなど、打ち出している機能がどんどんと共通化してきている。

 

 

2016年大統領選以後の“Trump景気”でデジタル購読者を伸ばし続けてきた米New York TimesとWashington Post。それぞれ2016年以降の購読者は3倍増に。しかし、両者は異なる戦略を採り、いよいよ“ポストTrump景気”局面を迎えることになる。

 

 

【有料購読者向け記事】:
ある分析によると、Facebookは2015年以降、前期比(四半期ベース)30%以上の広告配信増量を果たしてきた。同時に、配信が伸びれば単価が下がる明瞭な兆候。ついに同社広告ビジネスの曲がり角が到来か? 記事は、友達の投稿だけでは足りないとする。

 

 

「バズフィードのペレッティ氏は、ハフポスト買収をめぐるリコードのインタビューに対し、『(ニューヨーク・タイムズの)デジタル課金ビジネス(サブスクリプション)モデルは、特定のグループ、特定の読者に限定された新聞にしてしまい、幅広い大衆のための新聞であることを妨げている』と指摘する」。

——インターネットメディア時代のオリジナルなメディアとコンテンツを支えていた有名どころ編集長や論説家が、次々と創業メディアを去っていく。一方で、それを次々と取り込むNYT。次にメディアのエコシステムに到来することとは……。

 

 

Apple、中堅事業者へのApp Storeの仲介料率ディスカウント(30%→15%)を発表したばかりだが、同時に、購読者獲得のためのキャンペーンコード提供サービスも発表。App Storeで生成するオファーコードを用いれば、パブリッシャーは割引アサービスをシームレスに提供できる仕組みだ。Appleからする、パブリッシャーが発する不協和音打ち消しの動きだ。

 

 

【ご案内】:
自薦・他薦いずれも可です。JIMAが創設した「Internet Media Awards 第1回」、これはと思われたインターネットコンテンツやメディア、そしてプロジェクトをご推薦下さい。
JIMA会員でなくても応募可能です! 自分にも応募したい作品やプロジェクトがいくつもあって、関係者が投稿していいのか悩み中です。

 

 

【ご紹介】:
少々以前の記事ですが…。スマートニュースメディア研究所が取り組む「メディアリテラシー」。研究主幹の山脇岳志が、解説します。

Disruption This Week—–10/4/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年4月6日から2020年4月10日まで。

 

 

米Vox Media、総編集長Lauren Williams氏の名前で、読者に寄付を求める。対象となる、メディアは「Vox」と「Record」と、同社ではペイウォール制を運用していないもの。高品質なメディアで生じている広告収入の減少を補うものと説明。

Google Discoverへの最適化と、注力すべき領域 |SEO Japan by アイオイクス

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「・エバーグリーンな情報(正確な情報を反映するために更新は行う)
・最新の業界のトレンドを載せる
・関連トピックのニュースを載せ、それに対する意見も載せる」——最近、その影響力が高まっている「Google Discover」。この機能にヒットするよう最適化するための研究は、まだ多くない。本記事は貴重なそのひとつ。

 

 

英文化相、広告主らに対し、「新型コロナウイルス」関連記事に対しても出広するよう求める異例の声明。広告主らがキーワードを用いた広告ブロックリストを用いていることを念頭に。ジャーナリズムは緊急事態における重要なサービスだとする。

 

 

英FTが、各国の新型コロナウイルスによる死者数の遷移などいくつもの変化するデータを、わかりやすく、各国間での比較をしやすいようビジュアライズ。ほぼ毎日のように“ライブアップデート”している記事だ。目で見てわかるジャーナリズムと言える。
【有料購読者向け記事】:
米The Informationが、元AOLのCEO、Tim Armstrong氏に新型コロナウイルス下にあるメディアと広告ビジネスの見通しについてインタビュー。同氏は極めて悲観的な見通しで、全広告収益の30〜40%程度の下落、リーマン・9.11以上のインパクトと述べる。Google、Facebookなどもインパクトを受けるが、持ち直すとの見通し。
一方、メディアでは、自宅での消費が高まるため、戸外需要などが打撃を受けるとする。大手の買収統合などが進む、ネットによる侵食を受け続けたセクターは、これを機に一気にダメージを拡大するとの見通しを示した。

 

 

長く収益化に苦しんできた、米ハイパーローカルニュースメディアの「Patch」、昨今は黒字化が伝えられるようになったが、3月はPVで7割増、来訪者で6割増と絶好調。1か月でメルマガ購読は15万人増の230万人に到達。経営幹部はスタッフを増強中と述べる。
また、「コンテンツレコメンド」形式の広告パーツを外したことで、劇的にコンテンツ表示時間や検索パフォーマンスが上がり、読者とのエンゲージメントを高めているとも述べる。

 

 

英BBC World、Instagram上で10分間のドキュメントビデオを公開。「ブルックリンのInstagram魔女たち」は公開後約1週間で9,000閲覧されたとする記事。Instagram支持世代にデジタルファーストで届けるアプローチを選択したと制作責任者は述べる。

 

 

ローンチしたばかりの米Quibiの続報。Sensor Towerによれば、ローンチ当日に30万ダウンロードに達し、Disney+のローンチ時数百万ダウンロードにははるかに及ばないものの、iOSでTop3(Androidでは29位)に食い込む。また、同日、過負荷からかダウンタイムも発生したという。

 

 

「Publickeyではこれまでたくさんのオンラインイベントを見てきました。一部のプレゼンターが自宅からライブ中継を行うイベントはありましたが、ホスト役も含めてプレゼンター全員が自宅からライブ中継で行われたオンラインイベントは初めてです」。

——実は、自分も最近、関係者が全員リモートで分散しながら、セミナー動画を公開するプロジェクトに携わった。完全オンライン化はもちろん、非集合型でプロジェクトを推進することが現実のものとなろうとしている。

 

 

「食料は必要不可欠のもの、だから無料にすべきということはない」。米ローカル紙の編集と発行人を経て、現在は大学でジャーナリズムを教えるHoward Saltz氏が、メディアは、新型コロナウイルス報道を無料アクセスにすべきではないとするオピニオンだ。

 

 

【ご紹介】:
私が運営に携わるJIMA(インターネットメディア協会)のリテラシー部会が、新型コロナウイルス問題に直面する子どもたちとその教育者向けに、オンラインセミナーを制作しました。自宅でのお子さんたちとの対話にもぜひお使い下さい。

 

 

【ご紹介】:
私が編集に携わる「Media×Tech」がオンラインイベントを開催します。メディアにとりイベントは、大きな事業上の軸。その開催ができないリスク下で、オンラインイベントへどう円滑に移行するのか。私が進行を担当して、経験豊富なプロにいろいろお訊きします。

Disruption This Week—–20/9/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年9月17日から2019年9月20日まで。

ニュースメディア(ジャーナリズム)は、時に権力はプラットフォーマによる個人データの侵害を見事に指摘するが、それらニュースサイトが、CookieやFacebookらのビーコンを埋めこむことで、サイト訪問者のプロファイリングに加担していることを認識しているか? 米Carnegie Mellon大の学識が論説。それをNew York Timesが掲載するという、ある種の背理。
メディア運営者は、これまで以上に、自社サイトにある“息の長い人気コンテンツ”の活用と配慮をすべき。ある調査では、検索からのオーガニックな流入が50%を超えるとされ、WIREDサイトでは、60%の新規コンテンツ由来の流入を除くと、20%が最近半年以内、20%がそれ以前の旧コンテンツからの流入だ。
‪ノルウェーのメディア企業Aller MediaのCTOが語る「(メディアは開発を)内製すべきか? あるいは外部調達すべきか?」‬
‪CTOは、外部投資が招くベンダーロックインを避け、内部の開発者育成と維持という担でもなく、基盤開発への注力と、調達ツールの統合を選択したと述べる。
英BBC、BBC Newsサイトにユーザーのメンタルヘルスを考慮して、ネガティブなニュースを非表示にする機能を実験的に導入。
社内のエンジニアらが、社内でメンタルヘルス上の不調とツライ・不快なニュースとの関連を意識したことから着想。最近の調査「Reuters Digital News Rport 2019」でも、半分強の回答者がニュースの視聴がツライと、回避の兆候が示されている。
「日本においては、もっとも収益化されているのは今も広告モデルだと思っています。言い換えれば、サブスクリプションサービスはユーザー全体の10%程度に向けたものになりますので、残りの90%のユーザーに向けて引き続き広告も打っていくことが大切です」。

——メディアにサブスクリプション機能を提供するPiano。その日本市場を担当する人物の説明。現実的でわかりやすい。加えて、記事でも言及されているが、マーケティングファネルの考え方は、今後のメディアの成長には必須の視点。

コンテンツディスカバリ(読むべきコンテンツの発見)技術を核にしたスタートアップCanopy。ユーザー情報の入力を求めず、ユーザーの嗜好を学習しパーソナライゼーションが進む。アプリ「Tonic」を提供する。そのマーケティングを担うAmie Green氏へのインタビュー記事。新技術(を実装したアプリ)の議論であり、デジタル時代のコンテンツ関連キャリアを示す記事でもある。
コンテンツの拡散を、いくつかの大手プラットフォーム任せにしてきた時代は去った。メディア運営者は、自らの“総合的なプロダクト戦略”を立て、プロダクト担当者に投資することで、“プロダクト思考”を身につけなければならないとの論説。米Washington Postはこの2年間でプロダクト担当者を三倍増に。Vox Mediaでは、150人の組織を形成しているという。
【購読者向け記事】:
「10月にも内閣官房にデジタル市場競争本部を新設し、巨大IT企業規制に関する競争政策や個人情報保護策を一体的に議論する。
……独占禁止法や個人情報保護法など複数の省庁が所管する法令にまたがるため、競争本部で2020年にも制度の方向性を取りまとめる」。

——「デジタル市場競争本部」を立ち上げるという。そもそも独占禁止法がらみの視点からGAFAへの監視を強めるという手法が、妥当なのかどうか。

米Bloomberg Media、2018年に開始した購読制が順調に成長。年末までに購読者数(2018年末で“数万”と推定)が倍増を見込む。成功要因はダイナミックペイウォールと記事は伝える。20を超える指標から、読者ごとにオファを行っていくという。どんな要因かは、記事を参照されたい。
「『私たちのことを、世の中をまともに理解する気がない連中だ、と思っている人たちがいる』とメイヤー氏。
それは、メディアがどのような手続きと判断でニュースをつくっているのか、メディア自身がその説明をしてこなかった結果だ」。

——平和博氏のONA19リポート。数多くのメディアをめぐるセッションが行われるが、今年のカンファレンスでは「信頼(Trust)」が中心テーマに。引用箇所は、信頼を支えるのは、透明性、そして訂正を伝えていくこと、という論点。

【ご紹介】:
私が事務局として携わっているインターネットメディア協会(JIMA)、そのオンライン企画として継続している対談(今回はてい談)が新たに掲載された。コミュニティガイドラインを発表したばかりのはてなのキーパーソンが、下村健一氏の問いに答えている。

Disruption This Week—–16/8/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年8月13日から2019年8月16日まで。

【有料購読者向け記事】:
広告掲出不可ワードの制御に苦しむ米メディア。米大手金融機関フィデリティが要求するNGワード集(要するにこのようなキーワードが出現するニュースに、自社の広告を掲載しないようにとの指示)は、400もの長大なものに。
「爆発」「難民」「人種差別」…。そして「Trump」もだという。報道系ニュースでこれを満たすのは不可能というものだろう。当たり障りのないエンタメニュースへと迂回が求められる時代だ。
Facebook傘下のInstagramで、初のファクトチェッカーと連携した偽情報通報システムが実装。ただし、当面は、US国内に止まるという。親Facebookでは2016年に始まった連携がようやく人気ソーシャルメディアにも適用。特にこの分野では、“健康”にまつわるポストにリスクが高いと指摘されている。
米テック界で尖った記事で有名な「The Verge」。中でも、大手プラットフォーマや偽情報をめぐり厳しいリポートを続ける上級記者Casey Newton氏との対話。GoogleやFacebookはコントロール可能な規模へと分割すべきや、Facebookはモデレータをもっと優遇すべきなど自説を披露する。
米国のローカルデジタルニュースメディア「NJ Advance Media」は、ニュージャージー州内の各警察署が監視機構のないまま行使している強権行為を一覧化する情報源(元々、州政府が約束していた)が整備されないことに業を煮やし、自らデータベース化する「Force Project」を開始。生成されたデータをProPublicaと連携し販売を開始した。
調査報道+データジャーナリズム=有料販売という、最先端事例。
2011年、米New York Timesがペイウォールを開始した際には、月20本のフリーコンテンツが与えられていた。8年後の今、それは5本にまで絞り込まれている。全米の新聞500メディアを調査した、購読メディアの成功方程式を探るリポート。
米Harvard大Shorenstein Centerの調査から。
GDPRやCCPAなど、個人情報のトラッキングに対する抑止と可視化の動きが強まる中、パブリッシャーと広告ベンダーは、Cookieの利用に代わるユーザーID識別の手法を探ることに。記事は、Sourcepoint社がが提唱するCMP(ユーザー情報の合意に基づく管理システム)の動きを追う。

古く、廃れてしまったコンテンツを上位表示させるためにすべきこと

アイオイクスのSEO・CV改善・Webサイト集客情報ブログ|SEO Japan

「私は、古く、廃れたしまったコンテンツに注力し、検索トラフィックを上昇させることにしたのだ。
具体的な作業はこうだ。毎週、私は新しいコンテンツを1記事公開するようにした。しかし、私のチームに、平均で23の古いコンテンツをアップデートさせていた。
より頻繁に記事を書いていた時期では、上位10ページの記事が占める全体の検索トラフィックの割合は33%であった」。

——新しいコンテンツ生成に力を注ぐか、あるいは、本記事のように、過去記事のアップデートで底上げするか。サイト運営者は読んでおきたい記事。

広告ブロックツール「AdBlock Plus」開発元Eyeoらが提唱する「許容可能な広告」イニシアティブ。そのガイドラインをパブリッシャー向けに概説した記事。「許容可能な…」に準拠すると、ホワイトリスト広告がAdBlockの下でも表示されたり、ユーザーの選択により、メディアへの購読料支払いに変更したりすることも可能だ。イニシアティブは、広告主とパブリッシャーに過度に依った広告スキームだが、ここに消費者(読者)の許容値も盛り込む。なかなか上手く考えられたスキームだ。
【全文閲読には要購読】:
「担当する同社の漆原正貴氏は『話者が明確で細切れに読んでも文脈の把握がしやすい』と特徴を説明する。注力するのは恋愛物とホラーだ。『読者が求める感情と読み心地にズレがない』ため、隙間時間に没入できる」。

——別の場所でも、LINEのようなチャットメッセージングでないと、若者が情報を理解しにくいと聞いたことがある。進化と見るか劣化と見るかは別に、細切れなコミュニケーションが、物語りの全体像を描き出す時代に入っているらしい。新聞小説よりも、より粒度の小さなものが求められている。

英バーミンガム大の研究者、アフリカ諸国で最もポピュラーなアプリ「WhatsApp」が、ナイジェリアの大統領選で果たした役割を調査、レポートを公開。強い暗号化メッセージングアプリは、偽情報の拡散に猛威をふるう一方、政府をはじめとする資金力のある情報源に対抗しうる草の根的な役割も果たすという二面性を指摘。

Disruption This Week—–3/30/2018

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2018年3月26日から30日まで。