Disruption This Week—–14/1/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年1月1日から2022年1月14日まで。

NFTでニュースを売る、ブームの背後にある教訓とは?
「『シビル』はAPのほかにも、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズなどの大手メディアに次々と提携を持ちかけたが、いずれも実現しなかったという」。

——平和博氏の論説。今般のメディア×NFTブームが、2016年同時にブームになったブロックチェーンを基盤としてメディアを運営、さらに資金調達(ICO)を図るというブームに類似すると論評。その際にも、各社が発行するトークンが、事業の実態と無関係に、高騰するという欲望の力学を前提にしていた。これに頼ったモデルなら、今度も潰えるだろう。

米ワシントンを拠点として、1,000万ドルを調達したメディアスタートアップ「Grid」が誕生した。Buzzfeed、Politico、CNN、ABC出身者ら50名を集め、「裕福でエリートな専門家」をターゲットに、分析や調査法道を提供するという。ここでも高学歴・富裕層向けメディア企画だ。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2022

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2022
恒例のReuters Instituteらによる「Digital News Project」が公開。「Journalism, media, and technology trends and predictions 2022」とのタイトルで広範で詳細な報告書に。ニュース退潮の現況を念頭に「ニュースから遠ざかっている人々を再び引きつけること、そして、より多くのニュース消費者とより深い関係を築く」を主題に置くものになっている。
Over 80 fact-checking organizations sign letter urging YouTube to address misinformation on its platform - Poynter
世界60か国、80超のファクトチェック団体が、YouTubeは“悪しき意図による他人を操作、組織、資金獲得のための行為”に利用されることを許していると、YouTube CEO宛ての公開書簡を提出。なすべき対策も提起。YouTube側は、Google(News Initiative)からファクトチェック団体らに対してすでに多額の資金援助とコメント(笑)
The Associated Press is starting its own NFT marketplace for photojournalism
AP通信社、写真家が作品をNFT化して販売できる市場の設立(今月末に第1陣をリリース)をアナウンス。NFTには、写真がいつ、どこで、どのように撮影されたかを示すオリジナルのメタデータが含まれるとしている。Gettyなどから同種プロジェクトが乱立しそうではある。
クリエイターの収益化を支援するPatreon、「2022年に規模倍増」と同社CPOは語る | TechCrunch Japan
「Patreonにとってもう1つの大きな問いは、同社が暗号資産技術をプラットフォームに持ち込むかどうかである。2021年の秋、ガットマン氏は創業者でCEOのJackConte(ジャック・コンテ)氏とともに、クリエイターたちが収益を上げる方法としてPatreonが暗号資産を検討していることを明らかにした」。

——前段で、同社チーフプロダクトオフィサーであるJulian Gutman(ジュリアン・ガットマン)氏が、同社の収益化手法の各種拡張や改善を行っていることを述べている。同社はこの1、2年で誕生したクリエイターエコノミー企業とはその歴史が違う。その会社もまた、「暗号資産」(NFT?)を検討しているという。

The New York Times needs subscribers. The Athletic doesn’t make money. Now they’ve both got a deal.
米VoxのPeter Kafka氏が、New York TimesによるThe Athletic買収の意味を解説。両者にとってのプラスはすでに私も紹介してきたが、同氏が指摘するポイントは「もしNYTがオーガニックな成長にもっと自信を持っていたら、Athleticに購読者1人あたり約500ドルも払わなかったかもしれない」ということだ。
「Web3」は本物か 巨大ITの支配脱却へ期待先行
【有料購読者向け記事】:
「要はコンテンツ産業におけるクリエーターへの収益分配を従来よりも適正に厚くする変革を起こす可能性をNFTは秘めている。そうなれば、Web3技術は実体経済社会の一部であるコンテンツ産業の変革の基盤になったということができるだろう」。

——日経新聞の論説だが、よくまとまったもので、ちょっと感心。網羅的な論だが、自分には、引用箇所のようなメディア(コンテンツ)分野への応用が最も興味深い。そのためにも、クリエイターが依拠できる仕組みが広がらなければならない。そこに巨大な資本力がものを言うでは、「2」の世界と異ならないことに。

昨年も180万部減、全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 | メディア業界
「日本新聞協会の2021年10月のデータを全国12の地区別でみると、対前年比の減少率は大阪(8.0%減)、東京(7.3%減)、近畿(6.5%減)の順に大きい。新聞メディアの崩壊はもう避けられないが、日本の場合、ニュース砂漠の影響は大都市圏から現れる――いや、実際にすでに現れているのかもしれない」。

——結語の部分からの引用で申し訳ないが、新聞発行状況や、それが何をもたらすかという点で米国での現状に比して、引用箇所のような重要な指摘を引き出した論。そもそも日本でローカルな情報源が自律し得るか否かという議論とは別に、都市部から崩壊している現状をどう見るべきか。

NYT To Buy The Athletic for $550 Million
【有料購読者向け記事】:
米The Informationが、独占スクープとして、New York Timesがスポーツ専門メディアのThe Athleticを現金5億5,000万ドルで買収すると報道。InformationはかつてAthleticが7億5,000万ドルの評価を望んで交渉と報道していた。すでに、紹介しているように、Athleticは購読者120万人を擁しており、1,000万購読者をめざし760万まできているNYTにとっては重要(かつ、お得?)な取引となる。
WSJスクープ | ブルームバーグ・メディアCEOが辞任の意向、新メディア会社設立へ
【有料購読者向け記事】:
「ジャスティン・スミス氏は電子メールで4日、『ニュース業界は、ソーシャルメディアのゆがんだ影響や社会的な分断および偏狭さの高まりにより、消費者からの信頼や信用をめぐる危機に直面している』とした上で、『世界の視聴者に偏りのないジャーナリズムを届け、世界最高のジャーナリストに高品質のプラットホームを提供するプレミアムニュース事業を始める予定だ』と語った」。

——昨日紹介した話題。機能はNYTの初報を紹介したので、WSJからも。

2022年 、 ファーストパーティデータ がより重要になる:パブリッシャーの広告受注戦略 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「デジタルトレンズ・メディアグループ(Digital Trends Media Group:以下DTMG)は2020年、ファーストパーティデータの活用について広告主と話を進めていた時点で、データ追加が可能な、ハッシュ化されたeメールアドレスを約500万保有していた。メールアドレス数は2021年に入って5500万を超え、結果として広告主が推進するデータ関連プロジェクトへの参加が容易になったと、DTMGの戦略/データ/パートナーシップ部門でシニアバイスプレジデントをつとめるジョナソン・シェヴィッツ氏はいう」。

——メディア各社は自社サイトの読者データ(ファーストパーティデータ)を、たとえばメールアドレスなどの形で積み上げているが、これを従来の大規模なサードパーティクッキーに代わるターゲティング基盤としてどう活用できるか、そのソリューションを持つ事業者との連携が22年の業界をめぐる潜在的に大きな動きになる。

課題解決の精度高まる データから社会を読む(写真=AP)
【有料購読者向け記事】:
「反ワクチン派の返信(リプライ)を使った『口撃』行動を調べたところ、反ワクチン派はニュースメディアに対して最もアクティブに、かつ、最も毒性が高い言語的内容を返信していたことが定量的に明らかになった。これらはソーシャルデータから社会的相互作用の全体像を可視化・測定することで初めて明確化され、反ワクチン派の口撃を封じるプラットフォームレベルの対策を講じるためのヒントとなる」。

——ソーシャルメディア(ここではTwitter)から、全量を大賞として分析した笹原和俊氏の研究。投稿内容の分析からは、「反ワクチン派、ワクチン賛成派、政治的な左派と右派、そしてニュースメディアの5つのコミュニティーが存在する」と分かった。メディアに対して激烈に反応しているケースが顕在化されたのは、改めてメディアに関わる人間が深く考えるべきポイントだ。

【コラム】クリエイターエコノミーとクリエイターテックが実現する大きなビジネス | TechCrunch Japan
「クリエイターテックは、クリエイターのパトロネージュ(支援者)としての役割を受け入れ、革新し続けなければならない。すでに特定のクリエイターのニーズに対応して、場合によってはブランドとクリエイターを結びつけて収益性の高いパートナーシップを実現する、競争の激しいパトロンサービスの市場を作り出そうとしているクリエイターテックも存在する」。

——現在は、本格的な“クリエイターエコノミー”の時代への過渡期にあると見ている。そこにはすでに、「支援者」と自称する勢力が存在するが、いずれ、上前をはねるだけのビジネスか、本当の支援者なのか、弁別されていくことになる。

「情報的健康」目指す仕組みを データから社会を読む (写真=ロイター)
【有料購読者向け記事】:
「人間の思考にはシステム1、システム2という2つのシステムが存在する。システム1は暗黙的システムとも呼ばれ、無意識かつ自動的に判断を行うシステムを指す。システム1が動いているときは、直感的な好き嫌いで情報を判断するなど、非合理的な判断を動物的に行うことがある」。

——鳥海教授のオピニオン。「情報的健康(インフォメーション・ヘルス)」を目指すデジタルダイエット」という提言、さらに、「情報に偏りがないかを評価する人間ドックのようなシステムの導入」というビジョンに言及する。

クラウド社会の盲点 個人が自衛策考える必要も(写真=ロイター)
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ クラウド社会の盲点 個人が自衛策考える必要も|

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