Disruption This Week—–31/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月27日から2021年12月31日まで。

「新しいコンタクトポイントを増やすことを目指す」:神戸新聞社 大町 聡 氏 | DIGIDAY[日本版]
「私たちがいま取り組んでいる新しい取り組みは21年に始めたVoicy(ボイシー)で記者が音声ニュースを紹介する『めっちゃ兵庫』、ニューズメールの『ええやん兵庫』、noteでのウェブマガジン『うっとこ兵庫』の3つのデジタルサービスです」。

——いずれのサービスも決して先駆者としてではないが、可能性がありそうなことには何でも挑戦する、というスタイルが魅力的。

Can Matt Mullenweg save the internet?

Protocol — The people, power and politics of tech

Can Matt Mullenweg save the internet?
WordPressをはじめ、Parse.ly、Pocket Cast、Tumblrなど、オープンWeb上で稼働するソフトウェア群を手中に収めるAutomattic社。CEOのMatt Mullenweg氏にインタビューした興味深い記事。同氏はSNSなどに対して、「オープンが勝つ。それもいつも」と述べる。
The Information’s 2022 Predictions
【有料購読者向け記事】:
米The Informationの記者ら、来年のテック、メディア業界で起きること20を予測。興味深いのは、AWSがAmazonから分社化するだろうということ。大手テック企業を縛る法制が厳しくなっていることからだ。また、YouTubeがNFT市場を開設することなどだ。
Facebookからアルゴリズムを排除したら、“世界”はどう見えてくる? 投稿を「最新順」の時系列表示に変えてわかったこと
「『わたし自身は(Facebookの投稿を)逆時系列順に並べていく、つまり最新の投稿から順に表示してスパム広告の表示を少し下位に下げる方式を強く支持します』と、(Facebookの内部告発者である)ホーゲンは米上院小委員会で10月に語っている。『わたしたちに必要なものは、人間の尺度で人が対話できるソフトウェアです。誰の発信を目にするのかをコンピューターが決めるソフトウェアではありません』」。

——私自身は、アルゴリズム(フィルタとも呼べる)が関与しない情報群にナマにさらされることは、求める情報に出会うことに膨大なコストがかかると考える。何らかの整理抜きで接するには情報量はあまりに膨大だからだ。そこで、議論すべきはアルゴリズムの働きについて、どう利用者が理解できるようにするかだろう。簡単でない課題がそこにはあるのだが。

【ゼロから分かる】世界はなぜ「Web 3.0」に熱狂するのか
【有料購読者向け記事】:
「この記事では、Web3.0をめぐる技術的な仕組みなどは、ひとまず脇に置いておきます。
それよりもWeb3.0の世界の面白さを知ってもらうため、多くのユーザーたちの注目を集めている、急成長しているプロジェクトを紹介したいと思います」。

——技術的側面はさておいて、“Web3”をめぐるハイプを5つの柱から解説するよくまとまった概論。

Most-popular news apps 2021: Exclusive ranking of most-downloaded
英国および米国で最もダウンロードされたニュースアプリ。Sensor TowerのデータをPress Gazetteが分析。ブラウザで著名な「Opera」がリリースしたアプリOpera Newsが目をひく。米国ではSmartNewsも。

損失、年1000億円超か

日本経済新聞

損失、年1000億円超か
【有料購読者向け記事】:
「米インテグラル・アド・サイエンス(IAS)によると、2021年1~6月に日本の静止画広告の2.3~2.6%が(広告詐欺の)被害に遭った。調査した主要20カ国で最悪水準だ」。

——複雑化しすぎて、どこでどのようなカネの詐取が行われているのか判明しない、というアドテク分野。読者は不快な広告を求めないのに見せられ、まともな広告主はその不快な広告と同一視され、かつ、意図せず不快な広告を表示するメディアの評判は落ちるという、“三方悪し”の状態がいまだに生じている。

Exclusive poll: Americans want government action on tech
米Axiosとイリノイ工科大学が組み、ITおよびIT企業をめぐって世論調査。その結果、1500人の調査回答者の過半数が、人工知能、アルゴリズム、オンラインプライバシー、IT企業の巨大化、スマートフォンへの依存度について懸念を示した。回答者の約8割が自分がオンライン広告のターゲティングにされていると感じ、政府の対策を要望している。
「我々は古いリターゲティングから、はるかに前進してる」:英パブリッシャーのリーチ、T・ホーンズビー氏 | DIGIDAY[日本版]
「たとえば、引っ越しに関するコンテンツを読んでいる人を、『家具プラス』セグメントに入れる。行動パターンとして、新しいソファを購入するサイトにアクセスする可能性が高いからだとホーンズビー氏は述べる。マンティスは1日に12万5000のデータポイントを収集する」。

——ユーザをファーストデータとして同定できるようになると(たとえば、メールアドレスを取得するなど)、読んでいる記事というコンテクストから、クラスタ化した消費者像を獲得できるというわけだ。やはり「200を超える英国の出版物やウェブサイトを所有している」メディア企業だから効果的にアプローチできることなのだろうか。

‘Podcast Movies’? Feature-length Fiction Stretches the Medium
New York Timesが「ポッドキャスト・ムービー」という矛盾を含んだ語義を使って新たなコンテンツトレンドを紹介。ハリウッドの製作会社Cadence13が著名俳優らを複数起用した本格的な音声番組を数作リリース。人気俳優の声や背景音などを駆使したプレミアム版ポッドキャストと言えるが、AppleやSpotifyが有料オプションを用意したの機に具現化したものと解説する。

Disruption This Week—–24/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月20日から2021年12月24日まで。

Biggest media industry stories 2021: The media's year in charts
英国のPress Gazetteがまとめたデジタルメディアの2021年(2020年との対比)。各種分野でのチャートがわかりやすい。目に見えるチャートでも、購読者数の推移でNew York Timesが群を抜いて成長、かつ絶対数としてもダントツ1位だった。
メタが明らかにした民間監視会社の実態、5万人が狙われていた
「メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が新たに公表した調査結果から、『傭兵スタイル』の民間の監視・ハッキンググループが、フェイスブックやインスタグラムを使って100カ国以上で5万人を監視していたことが判明した」。

——すでにメタは、イスラエルのスパイ企業NSO Groupと係争関係にあるが、12月に発表された今回のリポートでは、NSO以外の多くの企業名が公表されている(イスラエル発の企業が多い)。具体的な手法は示されていないが、要はFacebookを通じて収集できるプロファイリングや、ターゲティング広告などを利用しているのだろう。

A Chart of Twitter’s Creator Economy Deals; Instagram’s Mosseri Explores NFTs
【有料購読者向け記事】:
Twitterは驚いたことに、この1年間を通じて10社もの買収を手がけた。「Breaker」(音声SNS)、「Revue」(ニューズレター)、「Threader」(まとめ)などで、いずれも“クリエイターエコノミー”に関連するものだと指摘する記事。
2021年、欧州のメディア企業を対象に、Google News Initiative(GNI)やFT Strategiesらが8か月かけて取り組んだ実験と実践の報告を要約した記事。リポートはデジタル購読者の獲得をめぐるもの。その成果は大きいが、成功組と失敗組の乖離も大きかった。成功要因を整理する。
ツイッター前CEOが抱くネット革命の野望
【有料購読者向け記事】:
「インターネットをウェブ3に作り変える長年の試みの多くは依然、初期段階にとどまっており、いずれ何らかの実を結ぶかどうかは判断できない。ドーシー氏は、暗号資産への執着が現在のような崇拝に達する前の2019年、ツイッターによって『オープンで分散化されたソーシャルメディアの基準を開発する』プロジェクト『ブルースカイ』を発表した」。

——現在のWeb3.0への熱狂を、可能性と懐疑の視点で詳解する記事。このトレンドへ熱中する最大の主人公は、Twitterを離れた創業者のジャック・ドーシー氏だ。

ネットで拡散止まぬ誤報、
背景にFBとグーグルの資金
【有料購読者向け記事】:
「世界中のクリックベイト・ファーム(製造所)は、プラットフォームのこの(Facebookインスタントアーティクルの)欠陥に飛びつき、現在も戦略的に利用している。
ミャンマーでは一夜にして、多くのクリックベイト・アクターが誕生した」。

——Facebook、そしてGoogleが放置している欠陥によって、広告収入で荒稼ぎしている勢力が世界中に拡散している。

ニールセンが2021年日本のインターネットサービス利用者数/利用時間ランキングを発表
「新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもりが長期化する中、在宅時間を楽しむ主なエンターテインメントとして、インターネット動画の視聴が習慣化している。実際、利用者数以外の指標であるGRPと利用時間シェアに着目すると、リーチでは4位だったYouTubeがGRPと利用時間シェアともに1位となった」。

——興味深いデータが並ぶ。シニア世代へのネット利用が浸透しており、消費時間が伸びていくことは、これからのマーケティング(投資)を見直すポイントになりそう。

Information wants to be free, but digital property won’t be
米アトランタのローカル紙がNFTを売り出したの題材に、2022年のメディアとWeb3を展望する記事。数年後には、現在のWebサイトやブログ同様、これからは誰でも(花屋や理容師が)がNFTベースのデジタル資産を売り出すようになると予測する。
Media 3.0: The news creator economy arrives
「メディア3.0:新たなクリエイター経済の到来」。米Boston Globeの読者担当責任者が、個人としてのジャーナリストが 利用可能なツールやサービスが22年には更に増え、20世紀的メディアの硬直的な制約から解き放たれるだろうと論説。
WSJ News Exclusive | Washington Post Grasps for New Direction as Trump-Era Boom Fades
【有料購読者向け記事】:
米Wall Street Journalが同Washington Postの内情をスクープ。WaPoはトランプ政権以降、読者の政治ネタ離れによる購読者の停滞と非購読者の減少(2年間で35%減と記事は指摘)に悩まされ、トップレベルによる対策会議を最近開催したという。焦点は政治外のコンテンツの充実だ。
メディアリテラシー - 時事通信出版局
【ご紹介】:
私も執筆陣に加わった『メディアリテラシー 吟味思考 (クリティカルシンキング) を育む』が発売になりました。大冊で読みごたえのある書物に仕上がりました。ぜひ書店などで手に取ってみて下さい。私の担当は、「第1章 激変するメディア 」です!
スマートニュース、メディアリテラシーの授業実践例を新たに5本公開・・・小中高・大学向けに合計10本を無償ダウンロード提供 | Media Innovation
【ご紹介】:
先ほどの『メディアリテラシー』も含み、スマートニュースメディア研究所による活動が、複数公開されています。教育分野での社会貢献の動きです。
インターネットメディア協会が「Internet Media Awards 2022」 心と社会を動かした信頼おけるコンテンツを募集 | Media Innovation
【ご紹介】:
私が理事をつとめるインターネットメディア協会(JIMA)では、2021年の優れた、かつ、信頼できるコンテンツや取り組みを顕彰する「Internet Media Awards 2022」を実施しています。締め切りが近づいています。ぜひ応募をお急ぎ下さい。
[実践]ノーコードでふるさと納税データを地図に可視化する - Media × Tech
【ご紹介】:
私も編集に携わっている「Media×Tech」から新着。東洋経済オンライン「新型コロナウイルス国内感染の状況」に携わり、現在はスマートニュースメディア研究所の荻原和樹さんがデータビジュアリゼーションを平易に解説しました。メディア実務家必見です!

Disruption This Week—–17/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月13日から2021年12月17日まで。

群雄割拠の音楽ストリーミング、空席はもうない
「そこで、今後の展開を予想する意味でも、各サービスの沿革を調べてみた。なお以降に示す事業スタート年は、国内だけのサービスを除き、現地でのスタート年である。日本参入時期ではないので、ご注意願いたい」。

——小寺信良氏が楽曲ストリーミングサービスの栄枯盛衰を単年に整理した労作記事。文末には資料性の高いビジュアルにまとめられている。本文でも指摘されているが2015年を機に、サービス大手による業界寡占化が進んで、群雄割拠の終焉に向かう。

Exclusive: TikTok tackles filter bubbles
TikTokが、ユーザに繰り返し似たタイプのビデオ投稿を表示しないようにするアルゴリズムをテストしていると、米Axiosがスクープ。同種投稿の繰り返し視聴が広義のフィルタバブルを招来し、ユーザに悪影響を与えるとの指摘が増えていることへの対策という面がありそうだ。
Why Google News Showcase US launch could be delayed (again)
Googleが有力な報道メディアに対し、金銭および購読支援を行うGoogle News Showcaseが、日・英・豪・加などで始まっている。しかし、お膝元である米有力ローカルメディアとの交渉が進まない。Press Gazetteがメディア側を各社を取材し、その理由をリポートした記事。理由は大きく5つ挙げられており、メディアが求めている対価との乖離、契約条項への懸念、契約スタイルが「不快」、そして、近い将来、メディア側に有利に法制の変更が期待されているなどだ。
By dropping its paywall for a day, the FT lost out on subscriptions but found new, engaged audience
厳格なペイウォールで知られる英Financial Times、気候変動サミット開催期間にキャンペーン。約2日間、無償でコンテンツを開放、インパクトを測定。通常時に比し匿名読者は28%増、気候関連記事は7倍読まれ、無料購読者の獲得は2倍増。だが、有料購読者は12%減となった。
Instagram surpasses 2 billion monthly users while powering through a year of turmoil
Instagram、20億MAUを突破。2018年に親会社であるFacebookがInstaの10億MAU突破を公表して以来のユーザ数公開。その成長スピードは驚異的だが、同サービスのライバルであるTikTokの市場席巻ぶりを考えれば、安泰とはとうてい言えないだろう。
米Group Nine Media買収による合併を発表したVox MediaのCEO、Jim Bankoff氏にAxiosがインタビュー。「メディア業界で最も急成長する企業」の実現と同氏は述べる。Group Nineは広告に強みを持ち、Voxはコンテンツライセンスに強みを持つ組み合わに妙味があると記事は指摘。
New York Times Reconsiders Buying The Athletic
今年6月には、New York TimesによるThe Athleticの買収交渉は頓挫したと伝えられた。しかし、この交渉が復活継続していると、米スポーツビジネス専門メディア「Front Office Sports」が報道。Athleticは購読者120万人を擁し、1,000万購読者をめざし760万まで到達しているNYTにとっては重要な取引となる可能性がある。
一方のAthleticは、開設6年でまだ黒字を出さず強気の成長路線を敷いてきているが、さすがに事業再編など苦しんでいるところだ。
The Guardian has more than 1 million recurring digital supporters
英メディア「The Guardian」、電子版に対する継続的な購読者が100万人に到達と、米Axiosがスクープ。Guardianはペイウォール不採用(ニュースへのアクセスの平等を保証するため)だが、3年前から寄付的な支払いを求めてきた。100万人には1回限りの寄付者は含まれないという。
“Everything clicks for a different reason”: Why journalism analytics are so hard to interpret
ジャーナリストは、伝統的にデータ分析に頼ることを嫌い、自身のジャーナリストとしての直観を重視する。一方、『マネーボール』以降、ビッグデータ分析がビジネスを変えることが明らかになるにつれ、両者の関係は緊張感のあるものとなった。「ジャーナリズム」と「ビジネス」の違いは、後者では解や成功は一意に決められるが、前者では、その解は多様であるべきだからだ。
情報の価値、良質性をめぐる重要な論点。
36億の記事を分析した結果、エバーグリーン・コンテンツについてわかったこと |SEO Japan by アイオイクス
「・ハウツー記事とリスト記事がエバーグリーン・コンテンツになる可能性が高い
・ポッドキャストのエピソードがエバーグリーン・コンテンツにることは極めて稀である
・Twitterのシェア数とエバーグリーンスコアに相関関係は見られない
・タイトルに現在の年号が含まれている記事は、エバーグリーン・コンテンツになる可能性が高い
・エバーグリーン・コンテンツの割合が高いコンテンツのタイプは、『ベストオブ』リスト、レポート、調査……」

——「エバーグリーン・コンテンツ」とは、文字通り、陳腐化せずに長く人気をを獲得してくれるコンテンツを指す。さまざまな分析結果が示されている。記事作りの参考になるケースがあるので、一読されるのがいい。

Disruption This Week—–10/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月7日から2021年12月10日まで。

50 ways to make media pay: Subscriptions | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
メディア企業が採用できる“購読”プログラム、12の例示。一般的な購読プログラムの提示から、学生や各種グループ別の優待、限定トライアル、法人向けプラン、他者との協業提案、プレミアムコンテンツの提案など各種手法を整理した記事。同業他社と組んでの提案は面白そうだ。
Newsrooms stop mocking the creator economy and start learning from it
メディア(報道機関)は、“クリエイターエコノミー”に学ぼう。少なくとも、これまでのように、オーディエンスと彼らが夢中になっているクリエイターやインフルエンサーとの関係を見下しているわけにはいかないとする論説。
Instagramで時系列表示オプションを来年提供するとモッセリ氏が公聴会で発言
「アダム・モッセリ氏は12月8日(現地時間)、米上院消費者保護、製品の安全性、およびデータセキュリティに関する小委員会が開催した『オンラインで子供を保護する:Instagramと若いユーザーのための改革』と題した公聴会で、来年1~3月期にInstagramで時系列フィードを選べるようにすると語った」。

——“Facebook文書”問題の中核、Instagramの事業トップが公聴会に出席。議員らからの追及に対して「時系列表示も選べるようにする」と発言。アルゴリズムによる表示をしない選択もできるようにするというが、「青少年」の利用法に対する対策としては安直だろう。

Global advertising industry expected to hit $1 trillion by 2025
2021年、世界の広告市場の成長率は過去最高レベルに。大手広告代理店Magnaは、21年の広告業界の成長率を22%とし、20年の12.5%を大きく上回る「史上最高」と発表。記事は、理由の一つとして、パンデミック後、中小企業がECなどでオンライン広告活用に乗り出したことと述べる。
Discord is letting creators monetize their communities with subscription-based memberships
大人気のライブチャットサービスであるDiscordが、本格的に“クリエイターエコノミー”をサポート? テスト段階だが、Discord内のコミュニティである各「サーバ」の運営者に、プレミアム機能へ課金を設定する権限を提供開始。
The end of the Silicon Valley insider–critic
シリコンバレーに抱き抱えれられてきた記者らの論評が終焉する時代。テクノロジー・サイエンス分野をカバーするライターによる論説。十数年前にはテック企業に批判的な記事を見かけるのは稀だった。現在はテック企業らから利益誘導を受けたことのない信頼できるライターが多く存在すると述べる。
Axios のライセンスビジネス、8カ月で100万ドルの収益 | DIGIDAY[日本版]
「Axios HQのゼネラルマネージャーであるジョーダン・ザスラフ氏によると、年間契約が1万ドル(約110万円)からスタートするHQのライセンス収益はわずか8カ月で100万ドル(1億1000万円)を超え、年末には150万ドル(約1億6500万円)に達する見込み」。

——AxiosがどのようなSaaS提供者になったのかは、記事を読んで欲しい。自社内製システムに投資できるメディア企業は、等しくソフトウェアビジネスの実践者となるべきだということを、最近のいくつかの事例は示している。

コンピュータサイエンス誌「bit」、1969年の創刊号から全386巻が電子復刻版としてAmazon Kindleで販売開始。1冊わずか198円
「同プロジェクトの『デジタルで絶版をなくし、誰もの手に届く所に置き、後世に伝える』趣旨に沿い、税込み198円と非常に安価。目次リンクも入っているため内容を確認してすぐに目的の記事へジャンプできます」。

——私のような文系でも、「bit」全盛期を思い出すな。書物に限らずこのような雑誌でも、できれば電子化してアクセシビリティを高めてもらえるとありがたい。同時に、検索可能性をどう高めていくのかも重要な課題。

中国の偽情報対策 連携 米とEU…国際機関選挙 協調も : 国際 : ニュース
【有料購読者向け記事】:
「会合には、米国のウェンディー・シャーマン国務副長官と、欧州対外活動庁のステファノ・サンニーノ事務総長が出席した。米国務省によると、両氏は偽情報対策として『米EU間の情報共有を深める用意』を表明した」。

——従前、米露関係ではロシアの情報工作について多くの情報が提示されてきたが、中国の高度な政治的意図による欺瞞工作についてはそれほどではなかったと思う。読みとばしてしまいがちなニュースだが、単に米中関係に止まっていない、中国の期満工作についても、広範囲の脅威として見なす時期に入っている。

How TikTok Reads Your Mind
「TikTokはどうあなたの心を読んでいるか?」
米New York TimesコラムニストのBen Smith氏、TikTok自らが従業員(非エンジニア)に同アプリのアルゴリズムを解説した内部文書を入手。そのエッセンスを解説する論。もちろん、アルゴリズムの究極目標は「DAUを増やす」だ。そのための要因を整理している。TikTokの熱心なユーザなら心当たりがあるはずだ。
また、他の重要な発見として、TikTokとその中国版であるDouyinは、依然として強い関係を有しており、同一の人物らによって開発されているという事実を紹介している。これは米政府の同アプリ排除の理由に挙げていた事象だ。
月間6億PV「まだ天井ではない」 文春オンライン、飛躍の裏に隠された施策とは - Media × Tech
【ご紹介】:
昨日ご紹介したように、2021年のSmartNews Awardsが発表。「文春オンライン」が2回目の大賞を受賞。改めて、その中心メンバーにMedia×Techがインタビューしました。おめでとうございます!

Disruption This Week—–3/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年11月29日から2021年12月3日まで。

How Future's fortunes changed to reach £108m profits - Press Gazette
大躍進中の専門メディアの集合体である英メディア企業Future PLCについて、1日に紹介したが、同じPressGazetteがその躍進のヒストリーを詳細にわたって解説した記事。次々と手がける買収が顕著に成長に寄与していることがわかる。
How researchers used decades of Wall Street Journal articles to predict stock market returns
米経済紙「Wall Street Journal」の記事を約30年間分・80万件の全文分析から、株式市場の平均的な変動の25%を予測できと、「全米経済研究所」がその研究を公開。
簡単に言えば、「市場が上昇または下降する理由の大部分は、WSJlで議論されていることによって捉えられる」のだそうだ。いろいろと面白いことが示唆されている記事。
Why publishers must shift their focus from business to audience needs
「例えば、『今月は100万PVを達成した」と言うのではなく、それが何を意味するのか、なぜ重要なのかをチームに説明しよう。同僚を読者のように扱い、ストーリーを彼らに興味深く、関連性のあるものにするのだ」。

——欧州で最近開催されたオーディエンス分析のイベントでのスピーカーの発言。「コンテンツ中心からユーザー中心への切り替えには慣れが必要で、多くのジャーナリストにとっては不慣れな領域だ」とも。

メタバースで不動産ブーム、史上最高額再び更新
【有料購読者向け記事】:
「この投資にはリスクも伴う。市場が低迷しても、大抵ある程度の価値を維持できる実際の不動産とは異なり、バーチャルな不動産の価値は、その仮想世界が廃れ、人々が訪れなくなれば、ゼロになる可能性もある。また、暗号資産の乱高下による影響も受けかねない」。

——すでに紹介したことのあるトレンドだが。依然としてその熱は冷めずに昂進を続けている。これこそバブル現象もいいところだが、先取りして勝ち逃げすれば良いと考えている事業者が多いのだろうか。

Streaming Services to See 150M Cancellations Next Year as Churn Heats Up, Deloitte Predicts
調査会社Deloitteが「テクノロジー、メディア、通信(TMT)」に関する2022年の市場予測を発表。さまざまな分野をカバーするが、なかでも有料ストリーミングサービス市場における巨大な退会トレンドを予測。22年の米国における解約率は38%(!)にも上るという。
Twitter bans sharing 'private' images and videos without consent | Engadget
Twitter、ユーザの個人情報保護の範囲を拡大。投稿された写真、動画などについて個人の了解なく共有するなどの行為に厳格に対処することに。最悪の場合、アカウントの永久停止も。一方、公益性に基づくなどのケースでは許容余地も認めるという。
出版状況クロニクル163(2021年11月1日~11月30日) - 出版・読書メモランダム
「フライヤーは出版社や著者の許諾を得たビジネス書を10分ほどで読める分量に要約し、ウェブやスマホ上で配信している。月額2200円のゴールドプランだと2600冊が読み放題となる。主な利用者は30~40代で、現在の累計会員数は86万人、法人採用は410社を超えている」。

——書籍のダイジェストサービスにどれぐらいのニーズがあるのか、知りたいと思っていたところ、この情報。微妙な規模だ。さらに、法人からのニーズをどう読むべきなのか検討。

「漫画村」の4倍規模 違法漫画サイトへの月間アクセス数は4億目前に ABJ調査
「タダ読みされた出版物の被害金額を試算可能な範囲で算出したところ、2021年1月から10月までで7827億円となり、20年の年間被害額である約2100億円を大きく上回っているという。出版業界の諸問題を科学的に調査する出版科学研究所によると、漫画の紙と電子の正規市場の20年の合計金額は、6126億円だったとしている」。

——試算の詳細な手法を確かめていないのだが、この発表によるならば、指摘されている盗用コンテンツから生じている収益が、正規市場で生み出された収益を上回っている可能性があるという。21年(今年)の驚くべき伸長。

A New Publishing Platform for Comic Books Will Give Creators a Greater Stake
米Reddit創業者Alexis Ohanian氏らのVCが出資する、コミックに焦点を当てたパブリッシングプラットフォーム「Zestworld」の話題。コミックス作家らが継続的に収入を得られるように開発。2022年初にもサービス開始をめざすという。すでにSubstackもこの分野を対象にした動きを見せている。
Google、「プライバシーサンドボックス」で独立監視者任命を約束
「英政府競争規制当局の競争・市場庁(CMA)は11月26日(現地時間)、1月から独禁法違反の可能性を調査中の米Googleの『プライバシーサンドボックス』の取り組みについて、Googleから改善したコミットメントを受理したと発表した」。

——GoogleがサードパーティCookie廃止にともなって、開発していた代替技術「プライバシーサンドボックス」。Chromeへの実装が遅れていた理由と、その改善の目途が立ったということに。広告界に新たな動きが生じそうだ。