Disruption This Week—–25/2/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年2月21日から2022年2月25日まで。

Twitch creates new program to pay streamers more reliably
ゲームなどのライブチャットで人気の米Twitch、同社が指定し、広告収入を支払うストリーマに対して、単純なレベニューシェアではなく、最低保証額を盛り込んだ「Ad Incentive Program(AIP)」の導入を計画中。記事はこれをストリーマ向け“ベーシックインカム”だと紹介。
Digital giants eye magazines to spur growth
米雑誌市場の推移をPwCが調査。その売上規模は、過去5年間で20%以上減少。他方、今後5年間はオンラインメディア企業による買収や自らデジタル化するなど、減少は鈍化すると予測。また、消滅する媒体もある一方、新たなオンライン雑誌も誕生するとのオピニオンも紹介する記事。
2021年 日本の広告費 - News(ニュース) - 電通ウェブサイト
「インターネット広告費については、1996年からの実績について1997年に推定を開始して以来、継続的に高い成長率を維持し、2021年には2兆7,052億円、前年比121.4%となり、マスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円、前年比108.9%)を初めて上回った」。

——シンプルに言って、デジタル広告(インターネット広告)は、四マスの広告費の総計を上回る規模へと成長した。
とはいえ、20年にはすでにほぼ拮抗する状態だった。新型コロナによる影響から立ち直ろうとする21年に、大きく抜き去ったかっこうだ。21年は20年同様に、雑誌の書店販売などが滞ったりと外出系の不調などが効いたか。

Who Is Policing the Location Data Industry? – The Markup
日本でも“人流データ”分析などスマホGPSデータの活用が盛んだ。米テック関連調査報道のThe Markupは、位置情報収集ビジネスの隆盛と、それを取り締まる制度が未整備なこと、データ収集がますます巧妙になっていること、プラットフォーマらのスタンスなどをリスクとして検証する。
ロシア側動画に自作自演の跡 SNSで拡散、フェイクか
「SNS(交流サイト)で流れた『ウクライナによるロシア、親ロシア派支配地域への侵入』とされる複数の映像は、フェイク動画の可能性があることが日本経済新聞や英調査報道機関ベリングキャットなどの分析で分かった。米欧はロシア側への攻撃を自作自演する『偽旗作戦』とみている」。

——ウクライナによりロシアの攻撃とする偽映像、それを主張する情報の根拠など3つの事例をOSint(オープンソース調査報道)的手法で批判したもの。雑だが大量にこの種の偽情報が生成されては、世界に流れ出しているというわけだ。

偽プレスリリースに「認知作戦」の影 サイバー情報戦の謎に迫った:朝日新聞デジタル
【全文閲読には要購読】:
「取材を進めると、日本と台湾を舞台に偽情報が飛び交う、『情報操作戦』とも言える実態が見えてきた。安全保障に詳しい専門家も、ネットを活用した『ディスインフォメーション(偽情報)』による『対日影響工作』の一端が初めて明らかになったとして、注目する」。

——日本と台湾を標的とする偽情報工作のありようを浮かび上がらせる執念の調査報道。日本の新聞社からも、こんな種類の記事が発せられるとは。

オトナル、朝日新聞社と共同で「ポッドキャスト国内利用実態調査2021」を実施。使用サービスはSpotifyがApple Podcastを抜いてトップに
「ポッドキャストを聴く方法・聴くプラットフォームではオーディオ ストリーミングサービスのSpotifyが34.9%でトップでした。続いてApple Podcast(29.7%)、Amazon Music(24.0%)、Webサイト(18.5%)、Google Podcasts(14.6%)の順で使用率が高い結果となりました」。

——紹介するのが遅くなったが、ポッドキャストをめぐって国内市場の動向を調査した貴重なリポート。前年にはトップだったApple Podcastが首位を明け渡すという現象。いかにSpotifyがこの分野に力を入れているかの証左でもある。

「広告のFacebookの離れ」が加速、「広告戦争の敗者」と大手紙
「報道各社が指摘しているのが『広告主のFacebook離れ』です。前述のようにFacebookの広告事業は今後低迷するという見通しですが、Googleは2021年第4四半期決算において検索広告売上高が前年同期比36%増に達したと報告。Amazonも広告売上高が前年同期比32%増と、Microsoftも2021年度第2四半期においてLinkedInの広告収益大幅増とそれぞれ明かしています」。

——22日に紹介したFacebookから多くの広告主が逃げ出しているという報道。日本語のまとめ記事が出たので改めて紹介しておく。引用箇所は、Facebookから逃げ出した広告主らが他プラットフォームに移行したことで、他社は増収というコントラストを示す。

「ロシア連邦の支配地域、ルガンスクの指導者、パセクニク氏の“避難指示”の動画のメタデータによると、これが録画されたのは、公開の少なくとも2日前、2022年2月16日だ。それは、ロシアが『ウクライナが攻撃を開始した』と主張したよりも前、ということになる」。

——ロシアによるウクライナ侵攻が間近とされる流動的な状況下、“親ロシア派”勢力の指導者が、ウクライナによる攻撃が始まったとする緊急声明が、数日前に用意されたものだとウクライナのファクトチェッカーが指摘、話題となっている。つまり、ロシアによって用意されたシナリオどおりに状況が進展していることの証左というわけだ。動画データに付加されているメタデータを読み取っただけのシンプルな検証だが、いかにデジタルリテラシーが重要かという点で大きな学び。

Giving the VR Olympics another chance
米Axiosのメディア担当Ina Fried氏が北京オリンピックのホッケー競技をVR中継アプリとテレビ中継で見比べてみた記事。VRではヘッドセットを付ければ、選手らを間近から見たり、競技場全体を見回したりできる一方、観戦中リラックスできない、何を観ればいいのか精神的負担が増えたという発見も示す。
【ご紹介】:
2年前執筆の論ですが、再掲します。稚拙ではありますが、精いっぱいメディアの現況と原理を考え抜いて書いた記憶があります。当時声をかけていただき、今回も転載に快く応じていただいた「α-Synodos」の芹沢編集長に感謝します。
書評:ネット時代を生きる「情報の受け手と送り手」双方の必読書——坂本 旬、山脇岳志『メディアリテラシー 吟味思考(クリティカルシンキング)を育む』 - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。私も執筆に関わった『メディアリテラシー 吟味思考(クリティカルシンキング)を育む』の書評です。
「ジェンダー問題」扱う作品がヒット、スマートニュース子会社は調査報道の救世主となるか | DIAMOND SIGNAL
【ご紹介】:
調査報道コンテンツの配信に特化したスマートニュース子会社のスローニュースをDiamond Signalが取材しました。この1月にニュースアプリSlowNewsをリリースしたところです。

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