Disruption This Week—–30/6/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年6月26日から2023年6月30日まで。

WSJ News Exclusive | Big News Publishers Look to Team Up to Address Impact of AI
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米Wall Street Journal、複数の大手ニュース・雑誌出版社が、AIが業界に与える影響に対処するために圧力団体の結成を協議中とスクープ。大手メディアには、News Corp、New York Times、Axel Springerその他が含まれる。協議は、ジェネレーティブAI技術台頭が業界と社会の両方にとり存亡の危機であることを示している。
「AIは古いWebを殺し、新しいWebが生まれようとしている」。米The Vergeの論考。
ジェネレーティブAIが引き起こす懸念を整理しつつ、「本質的にこれは情報をめぐる戦いであり、誰が情報を作り、どのようにアクセスし、誰が報酬を得るかをめぐる戦いだ」とする。つまり、Web上でつねに起きてきたことでもあるというわけだ。
Bloomberg to Publish More Audio on YouTube
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Bloomberg、音声コンテンツ(ポッドキャスト)を強化中。従来はBloomberg専用端末や同社アプリ中心路線だったが、聴取者拡大のために、YouTube Shorts、InstagramそしてTikTokへの配信を強化し、成功裡に進める動画コンテンツと融合させていくという。
WSJスクープ | グーグル、広告掲載の自社基準に違反=調査
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「アダリティクスはグーグルが、収益化基準を満たさないサイト上で、ページのメインコンテンツの脇に小さくミュートの状態で自動再生動画に広告を掲載するなど、違反行為を行っていると非難した」。

——この間、注目されているGoogleの“自主的基準緩和”の動き。コンテンツファーム的動きが再来。広告主にもブランド毀損に向かう悪いスパイラルとなるはずなのだが。

‘TikTok is age-agnostic’: how Kylie and Fleetwood Mac found new young fans
かつてはティーンエイジャーのダンスブームと見なされていたTikTok。だが、音楽業界における重要なプレイヤーのひとつへと進化した。Kate BushからFleetwood Mac、そしてKylie Minogue氏ら古典的なスーパースターたちも、彼らの時代から数十年後に生まれたファンとつながることができることから積極的に利用することとなったのだ。
生成AIで広告収入目的のゴミサイトが急増、1日1200本更新も
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「140社を超える大手ブランドが、おそらく知らず知らずのうちに、AIで作成された信頼性の低いサイトの広告費用を支払っているとみられる。こうしたAI生成ニュースサイトで見つかった大手ブランドの広告の90%はグーグルが配信したもので、グーグル自身のポリシーに違反している」。

——昨日も取り上げた話題。自動生成したコンテンツをサイトによっては1200本/日も掲載して、これまた配信型広告で荒稼ぎという、懲りないコンテンツファームが急増中。なぜこんな商売が成立するかと言えば、Googleなどがせっせと大手ブランドの広告を送り込んでいるからだ。

CBS News effort shows the growth in solutions journalism to combat bad news fatigue
「記者は悪いニュースの運び屋以上の存在でなければならない」。
米CBS News、さまざまな事例を通じて“問題解決型ジャーナリズム”を模索。問題に取り組もうとする人々や組織を見つけることを重視。ジョージア州では、学校での子ども逮捕を抑止する教育者を養成しているとする。
Funding the Next Generation of Content Farms - Misinformation Monitor: June 2023 - NewsGuard
「誤報モニター」を毎月発信する、メディアの品質監視ビジネスの米NewsGuard。ジェネレーティブAIが生成する低品質コンテンツで運営するメディアが、過去1か月で49から217へ急増中と警鐘。Googleらアドテクが、一流ブランドの広告を配信し、これらの事業化を助けているとも。相変わらずの構図。
The “passive news consumer” is on the rise
Reuters Instituteによる定期調査「Digital News Report2023」は、世界46市場の平均的動向として、ニュースの「受動的消費者」(利用はするが、「いいね」など積極的な参加はしない)の比率が増えていると報告。「積極的参加者」は全体の4分の1以下(22%)で減少中だとする記事。
Facebook、Instagram「ニュース停止」の衝撃、生成AIで複雑化する攻防とは?
「これまでの『ニュース使用料』をめぐる議論は、検索サービスやソーシャルメディアにおけるニュースの見出し、文章の抜粋(スニペット)、写真、記事へのリンクなどの掲載、すなわち『引用』が焦点となってきた。
だが生成AIにおけるニュースの扱いは、いったん言葉の単位に分解され、改めて文章として再構成される『生成』だ」。

——実際、ジェネレーティブAIによって咀嚼された情報に対して権利を主張できるのかどうか。多くの人びとがさまざまな情報源から得た知識を、あたかも自身の知性であるかのように吹聴しているはずだ。期待の「情報源としての透かし(ウォーターマーク)」も、現実的なものとして実装できるのかどうか。実現が危ぶまれている。

スマートニュースが個別に最適化「クーポン」開始。ニュース配信の“機械学習”を活用
【ご紹介】:
「クーポンを提供する企業からも『商品ニーズにあったユーザーにクーポンを配信してほしい』というニーズがあったという。
そこで、これまでニュース配信に活用してきたマシンラーニング技術をクーポンでも活用し、ユーザーの興味関心に最適化したクーポンを配信することにした」。

——SmartNewsが配信するオンラインクーポンが進化。記事配信に用いていた技術を利用とのこと。

Disruption This Week—–23/6/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年6月20日から2023年6月23日まで。

焦点:米新聞大手、慎重に生成AI導入 最終仕上げは人の手で
「ノースウェスタン大学のニコラス・ディアコプロス准教授は『現在の私の立場としては、公開のチャネルに自動的に情報を流すのであれば、ジャーナリズムとしての用途にこれらの生成AIモデルを用いることは推奨できない』と述べた」。

——おおむね妥当なことが書かれた記事。問題は、悪貨が良貨を駆逐するような広がりをジェネレーティブAIは見せるだろうこと。これに積極的な役割を果たす仕組みを構想していかなければならない。

Why Spotify’s podcast experiment went off the rails
“迷走するSpotifyポッドキャスト戦略。結果としてプレミアム路線ではなく量による広告戦略?”
著名ポッドキャストレーベルを複数買収しては解体。また、元英皇族、そして元米大統領など著名人と契約しては解消…。コスト削減に直面するSpotifyの動きを辛辣に追った記事。
国内初の「ファクトチェックアワード」TBS、日テレ抑えリトマスが大賞 マスコミ未経験者による小規模団体
「ファクトチェック記事では、ネット上で拡散されている情報や著名人の発言を検証し、事実関係の誤りを指摘することが多い。ただ、今回大賞を受賞した記事では新聞記事を検証して『正確』だと判定している。仮に元の記事が『正確』であっても、記事を発端に波紋が広がれば『その「誤解を解く」ことの意義は大きい』という点が評価された」。

——先日NPO団体ファクトチェック・イニシアティブが発表したファクトチェック・アワード2023についての詳しい報道。

Gannett sues Google over its alleged ad tech monopoly
USA Todayなど数百紙を傘下に擁するGannett、Googleを広告テクノロジー市場を違法に独占しているとして提訴。「Googleは、メディア企業、読者、その他すべての人を犠牲にして、自分たちに有利なように市場取引を独占してきた」と同社CEOは表明。
Exclusive: Twitter to focus on video, commerce in business revamp
つい先日、Twitterの新CEOに就任したLinda Yaccarino氏が同社投資家に向けて最初のプレゼンテーション。内容を入手したReutersによると、Twitterは「動画、クリエイター、コマースパートナーに注力する計画」だという。
German tabloid Bild to replace range of editorial jobs with AI
独Axel Springer傘下の人気タブロイド紙「Bild」、数百名の人員削減計画とAIによる業務の代替化に向けて動き出す。計画を伝える社員向けメールでは「編集者、印刷制作スタッフ、副編集長、校正者、写真編集者の役割は、もはや現在のようには存在しない」と述べているという。
SNS究極の自由、アルゴリズムもユーザーしだいの次世代Twitter「Bluesky」:エンジニアにインタビュー
「例えば、『しまったー!砂でお城を作る動画を長く見ちゃったから、これ系が好きと思われてこればっかになっちゃう!』なんて思うことありませんか。1つ見ちゃったらこの好みをアルゴリズムに刻まれてしまったかも、と不安に思うユーザーがいるんですね」。

——たびたび取り上げているTwitterの“後継者”をめざす新SNSサービスの「Bluesky」。注目されるのは分散技術と新アルゴリズム。
特に後者はユーザーに「カスタムアルゴリズム」を提供するという。これについて同サービスを開発するプロダクトデベロッパー兼プロトコルエンジニアのPaul Frazee氏が踏み込んだ解説を行う貴重な記事。

The Guardian’s approach to generative AI
英The Guardian、社内の編集、制作、技術、製品、法務、ビジネス、パートナーシップ担当部署によるジェネレーティブAIをめぐるプロジェクトを立ち上げ、研究。それによる同技術利用の指針を3つのポイントで策定した。メディアにとり重要な先例となりそうだ。

「AIチャットくん」1カ月の開発期間を半日にできたワケーーChatGPTで雑誌はどう変わる【Creators × Publishing・イベントレポート前編】

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

「AIチャットくん」1カ月の開発期間を半日にできたワケーーChatGPTで雑誌はどう変わる【Creators × Publishing・イベントレポート前編】
「週刊誌であれば古い事件だったり、そういった特集号があったとして、今もし調べられたとしてもPDFや紙のデータでしか出てこないわけです。それがGPTで簡単に呼び出せるようになったらやはり使ってみたい。そしてそれ以上に結構面白いなと思ってるのが雑誌の商品広告」。

——雑誌の定期購読サービスを展開する富士山マガジンがジェネレーティブAIをめぐる可能性を議論。ほぼブレストなので、今後の転化に期待するところ。引用箇所は強く肯ける。

How AI Could Help Detect Fake News Instead of Making It
米ブリティッシュコロンビア大のコンピュータサイエンス研究者Laks V.S. Lakshmanan氏ら研究グループ、通信ネットワークから密な構造を検出するための効率的なアルゴリズムを開発したと発表。これをさらに分析することで、ニセ情報キャンペーンを検出できるとの論文を公表。

ファクトチェックアワード2023

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

ファクトチェックアワード2023
【ご紹介】:
私も運営に携わるNPO団体ファクトチェック・イニシアティブが「ファクトチェック アワード2023」受賞作品を発表いたしました。大賞受賞作は「高額医療費負担廃止検討」を「高額療養費制度」の解消と混同するむきに対し、詳細にミスリードを解きほぐした記事です。

Disruption This Week—–16/6/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年6月12日から2023年6月16日まで。

【インド太平洋地域のディスインフォメーション研究シリーズ Vol.5】韓国のフェイクニュース対策(上):日本とは様相が異なる韓国の現状 | 記事一覧 | 国際情報ネットワークIINA 笹川平和財団
「韓国におけるフェイクニュースを用いたネット世論操作は、韓国の政府機関によって以前から行われてきたことが指摘されている。例えば、2012年の朴槿恵元大統領を選出する選挙で、彼女の勝利に貢献するために、偽草の根運動(astroturfing)を国家情報院が主導して行ったとされている」。

——上中下の大変な労作。お隣の国でどのようなニセ情報環境が生じているのかを詳細に点検している。まず、気になったのは引用箇所。昨今、日本でも政府主導の“ニセ情報対策”の動きが活発だが、それに全面的にアラインすることのリスクは自覚すべきだろう。

How AI tools already contribute to daily news: Insights from Semafor, BBC and others | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
ジェネレーティブAIは、報道メディアの現場でどのような使われ方をしているか。英BBC、米Semafor、同じくWashington Post、Bloombergなどでの利用法を紹介する貴重な解説記事。
EU欧州議会がAI規制案採択 文章など「生成」明示求める
「欧州連合(EU)欧州議会は6月14日、本会議を開き、対話型人工知能(AI)『ChatGPT』など生成AIを含む包括的なAI規制案を賛成多数で採択した」。

——素早い動き、とは言え、年内いっぱいに成案を得るというのがスケジュール。施行は翌年以降だ。その間に、開発社側がどのような自己規制を打ち出すのか。

Young people are abandoning news sites: New research reveals scale of challenge to media | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
“若者のニュース離れ”現象。Reuters Institute「Digital News Report2023」によれば、英国市場では、35歳以上は、直接の好みが時代とともにほとんど変化していないが、18~24歳は、ニュースサイトやアプリの利用率が著しく低くなっていることがわかると指摘する記事。
Worldwide, online news is looking a lot more like TikTok and a lot less like “shared articles”
英Reuters Institute、2023年版Digital News Reportを公開。毎年注目している「ニュース忌避」について、より具体的なケースを調査。たとえば、「ニュースが流れたらラジオを消す、SNSではスクロールしてニュースを読み飛ばす」などの習慣化が忌避者の半数以上(53%)と判明した。
A Reckoning Arrives for Creator Economy Startups
【有料購読者向け記事】:
大手SNSがクリエイター獲得合戦を演じ、数百の新興企業がクリエイター向けツールやサービスを提供する“クリエイターエコノミー”ともてはやされたトレンドに、早くも大きな逆風。米Informationのデータベースによれば、7つの関連新興企業がこの1年強で閉鎖となったという。M&Aの数は相当数に上るはずだ。
【編集長雑記】「ar」編集長:令和の編集長は忙しいけど“楽しい” | ほんのひきだし
「スマホ一つで何でもわかる世界。
“可愛い誌面”を追求していればよかった『ar』編集部の仕事は、ここ数年で大きく変わりました。どんなによいコンテンツを作っても届かなければ意味がなく、雑誌離れと言われて久しい20代を相手に情報を届けるとなれば、“スマホのお作法”を知ることはマストとなりました」。

——昨今のメディアの現場感覚がよく伝わってくる記事。勉強になった。「雑誌のほかにWEBサイトを2つ、SNS4つを運営しており、その合間に本誌から発展させた写真集を作ったり、さらにその宣伝やイベント等もやっています。あえてWEBと雑誌の部署は分けていません」という点、忙しさがよく分かる。「脳内が忙しいのです」なのだ。

May 2023 Layoffs Jump on Tech, Retail, Auto; YTD Hiring Lowest Since 2016 | Challenger, Gray & Christmas, Inc.
米雇用関連コンサル企業のChallenger, Gray & Christmas、5月に米国内でのレイオフが急増したと発表。特にメディア業界は、2023年に入りこれまでに17,436人の削減。過去最高の年初来(YTD)記録を更新した。
JASRAC、世界のデジタル配信サービスのコンテンツや楽曲情報を共有・交換する「GDSDX」
「日本音楽著作権協会(JASRAC)は6月9日、グローバル展開する動画、音楽の配信サービスのコンテンツ情報と、著作権管理団体が管理する楽曲情報を共有、交換するプラットフォーム『GDSDX』を5月31日にリリースしたと発表した」。

——JASRACをめぐってはとかくいろいろ批判的な指摘がされるが、このGDSDXリリースの動きは興味深い。デジタル配信が大前提の市場で、各国での消費を的確に結んでいくことができる仕組みづくりは喫緊の課題だったはず。対抗するシステムは存在していたのだろうか?

焦点:米国で広がるメディアリテラシー教育、若者の必須スキルに
「最初のうち、ヘイジャーさんは、責任はソーシャルメディアの不十分なコンテンツ規制にあると考えていたが、その後『ネット上で目にするレトリック(巧みな弁舌)に対処するツールを生徒たちに与えるべきかもしれない』と考えるようになった」。

——青少年自らが“メディアリテラシー”に取り組む事例を紹介する記事。確かに単に教育関係者、政府が与える啓発がらみの教材の無力を感じることが多い。そもそもが単なる道徳教育であるようなケースが見受けられる。

(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)ニュース回避、疲れた心に配慮を 藤村厚夫:朝日新聞デジタル
【ご紹介】:
朝日新聞に寄稿したコラムが電子版にも掲載されました。よろしければご一読を。➡ ニュース回避、疲れた心に配慮を 藤村厚夫
生成AI、音楽配信や報道現場に変化の波 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
月1回連載の記事が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ 生成AI、音楽配信や報道現場に変化の波

Disruption This Week—–9/6/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年6月5日から2023年6月9日まで。

Instagramの創業者が手がけるAIを駆使した新ニュースアプリ「Artifact」とは
【有料購読者向け記事】:
「TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアで表示される記事のリンクとは異なり、Artifactのフィードに登場する投稿の選定とランキングは、それを投稿した人ではなく記事自体の内容に基づいている。そして理想的には、各ユーザーが見たいコンテンツとして、信頼性の高いパブリッシャーの記事が表示されるというものだ」。

——何度か取り上げているArtfifactをめぐる話題。記事が紹介するように、うまくジェネレーティブAIトレンドに乗ったようだ。ただし、その利用するLLM、また、その使い方がうまく見えてこないのだが。

集英社、“AIグラビア”の販売終了 「生成AIの課題について検討足りなかった」 Twitterも削除
「制作過程で、編集部で生成AIをとりまくさまざまな論点・問題点についての検討が十分ではなく、AI生成物の商品化については、世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するに至った」。

——元々「法務部に確認しながら適法の範囲内でやっている」と述べていたものが、急転直下に方針転換。なにを重要視しての変更なのか?

Former exec at TikTok's parent company says Communist Party members had a 'god credential' that let them access Americans' data
TikTokを傘下に持つ中国ByteDance。同社の元技術ヘッドYintao Yu氏、共産党員が「スーパーユーザ」の資格でアプリのユーザデータにアクセスしており、米ユーザだけでなく香港のデモ参加者らのデータも参照していたと米法廷向け資料で述べる。
偽ニュースから身を守る 最新事例と対策の4原則 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「問題のツイートは『【速報】NATO軍、日本に駐屯を検討』という見出しだった。しかし、リンク先に載っていた通信社の記事には『NATOが日本に連絡事務所を開設する方向で検討を進めている』と書かれていた。軍隊と連絡事務所では大きな違いだ」。

——ニセのニュースを信じてしまったり、それを拡散してしまったりしないための基礎的なプロセスを詳解する記事。ファクトチェックのプロセスも同様。身を守るという観点からも目を通すと良い記事。

ChatGPTやBardなどの生成型AIツールを導入する企業は、偽ニュース対策の一環として、AIにより生成されたコンテンツにラベルを付けユーザに明示すべきだと、EUのコミッショナーであるVera Jourova委員が5日、指摘した。
Engage to build trust: Ask for audience input (and act on it!)
読者との信頼関係を、メディア(ジャーナリズム)はどう築くべきか? 「読者からのフィードバックや投稿にメを通す」とはよく言われるが、それが役に立つか? 米国「Trusting News」プロジェクトが提案(提供)する「Trust Kit」とそのトレーニングを紹介する論説。
短編映画を独占公開:生成AIは映像制作をどう変えるか?
「ザ・フロストは、すべてのショットが画像生成AIによって作り出された、12分間の短編映画である。まだ馴染みのないこの新ジャンルの中でも、きわめて印象的な(そして奇妙な)作品の1つだ。以下でこの映画を視聴できる」。

——OpenAIの画像生成モデル「DALL-E 2」ですべてのショットを生成。さらに静止画像に動きを加えるAIツール「D-ID」でアニメーション化したという。不自然さも漂うが、同時にここまで来ているという達成状況も確認できる。もちろん、明日にでもより遠くへ進むことだろう。

米New York Timesチーフ・グロース・オフィサーのHannah Yang氏、最近開催されたイベントで、同社の購読者と収益増のための5つのアプローチを講演。1) 質の高いコンテンツが最重要、2) 登録者のプールを育てる(トラフィック減になろうとも)、3) 初期段階購読者に注力、4) 購入までのスムーズな経路がコンバージョンを高める、5) 購読者の量と収入のバランスがますます重要になる、ということ。

昨年3月、米ホテル王Stewart W. Bainum氏が5,000万ドルを拠出し非営利メディア「The Baltimore Banner」を設立と紹介した。「25年までに10万人購読者を獲得」との目標を立てたが、約1年で早くも7万人に到達と退任するCEOが表明。スタート当時50名のスタッフもすでに100人超になっているという。
偽ニュースに弱い日本 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「偽ニュースに接した経験がある割合は最も低い日本で75%に達し、国・地域による差はあまりない。
違いが大きいのは真偽を検証するファクトチェックサイトの利用法などを知っている割合だ。日本は19%で首位ベトナム(81%)の4分の1以下」。

——日本経済新聞がシンガポールの南洋理工大学と組んでアジア10か国での調査をまとめた。引用のように、“偽ニュース”体験に違いはないが、ファクトチェック機関に大きなギャップがあるのだという。さもありなん。既存の新聞が強いと記事は述べるが、そのあたりに課題意識の偏差がありそう。

Disruption This Week—–2/6/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年5月29日から2023年6月2日まで。

アングル:生成AIブームと米大統領選、ディープフェイクにどう対処
「(合成メディアの検知に取り組むディープメディアによると)音声のディープフェイクを作成するコストは、昨年末までサーバー代とAIの訓練費合わせて約1万ドル(約140万円)だったのが、今ではスタートアップ企業が数ドルで提供しているという」。

——ものの書物によると、4年ごとに行われる米大統領選は、そのつど新たなメディアトレンドを生んでいるのだという。その説でいえば、来年の大統領選はジェネレーティブAI時代のメディアトレンドが焦点になりそうだ。

早川書房、同じ内容の電子書籍が付いた新書を発売 NFT化で“中古電子書籍市場”にも期待
「NFT化した書籍は、ブロックチェーン技術によって持ち主の証明が行える。これを利用し、メディアドゥは自社のNFTマーケットプレイス『FanTop』内で電子書籍の二次流通の仕組みを提供するという」。

——書籍を買うと、Epub化された電子書籍も利用できる。かつ、その電子書籍はNFT化され、転売が可能に。転売されれば、2次収入が書肆や権利者に還流するのだという。興味深い。
その場合、印刷版書籍は転売される電子書籍と分離されてしまうことになるのか?

Almost 50% of news publishers use Generative AI tools, but “quality of content” is the #1 concern | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
WAN-IFRA(世界報道メディア協会、旧・世界新聞社協会)が調査会社と協力して世界で100を超える報道メディアのジェネレーティブAIへの取り組みを調査。その結果、半数弱がすでに取り組みに着手済み。最も多い利用法は「コンテンツの要約」だという。
Instagram Shares New Explainer on How its Feed, Reels and Stories Algorithms Work
「Instagramには、人々がアプリで見るもの、見ないものを統括する単一のアルゴリズムは存在しない。フィード、ストーリーズ、エクスプローラー、リール、サーチなど、アプリの各パートは、人々の使い方に合わせた独自のアルゴリズムを使っている」。

——Instagram、事業責任者であるAdam Mosseri氏自身によるアルゴリズム解説を公開。TikTokなどに対抗して透明化を推進する姿勢を示したものでもある。胸をはって言うべきことなのかどうか分からないが、引用のように統合的なアルゴリズムではなく、それぞれの機能面に最適化したアルゴを築いてきているようだ。

出版状況クロニクル181(2023年5月1日~5月31日) - 出版・読書メモランダム
「(図書館による)21年の個人貸出数が5.4億冊で、20年の6.5億冊にくらべ、1億冊以上減少している事実に注視しておいた。ところが表に見られるように、22年は6.2億冊と回復してきている。この21年のマイナスと22年の回復の原因を突き止めていないのだが、コロナ禍によるとは判断できないし、何に起因するのだろうか」。

——図書館をめぐる各種統計を見ていると、謎が謎を呼ぶという思い。もちろん、ここで引用されているような直近年の不自然な変動ももちろんだが、1970年代からの図書館数と蔵書数の伸びのすごさにも感じさせるものがある。福祉とはある意味で麻薬なんだろうか。

AIが変革するメディアとPRの未来|NewsPicks CXO池田光史が語るChatGPTの可能性 | PR TIMES MAGAZINE
「実は上記のインタビュー原稿は、池田さんが今回のインタビューを想定し、タイトルも含めChatGPTで生成したものです。池田さんの思想、実際の行動を約500字ほど入力して実現しています」。

——大変に興味深い記事。ここで俎上に上っているのは、「PR」業態の激変だ。が、ほぼそのままメディア業種の変革議論でもある。ChatGPTに読むに値する記事を生成させているが、そのプロンプトが紹介されていて、実践的にも参考になるだろう。

Media Briefing: Why publishers hope chatbots will be the latest retention tool
Future、Skift、Trusted Media Brandsは、自社サイトへのトラフィックを増やすためにチャットボットを開発していないとDigidayに語る。生成AI体験を提供する背後の目標は、オーディエンスに直接的なサービスを提供し、検索とコンテンツの推奨のレベルを引き上げることだという。
話題の“AIグラビア”、モデル「さつきあい」に公式Twitterアカウント “お仕事募集”も
「さつきあいは、週刊プレイボーイ編集部が同日に発表したグラビア写真集『生まれたて。』(電子書籍、499円)でデビュー。ただし『生まれたて。』は週刊プレイボーイ編集部が生成した画像で誌面を構成しており、さつきあいも実在しない」。

——いまこの作品は静止画(集)として提供されているようだ。いずれは動画像として提供されるのだろうか。徹底的にパーソナライズされ、かつインタラクティブな作品となっていくのを見てみたい気がする。

The Day TikTok Went Dark in India
【有料購読者向け記事】:
2020年6月、インドはTikTokを筆頭に中国製アプリ60種近くをいっせいに利用禁止とした。その時点で2億人いたインド国内のTikTok利用者やアプリ業界にとって何が起きたのか。今後、禁止される可能性のある米国へ教訓となる詳細なリポート。
Buzzfeedが「チャットGPTメディア」への転換を急ぐ、切実な理由とは?
「ボタトゥイユは、レシピサイト『テイスティ』のモバイルアプリ(まずiOS)に搭載されたチャットAI機能だ。
『冷蔵庫の食材で簡単につくれるイタリアンのレシピは?』といった質問に対して、瞬時に3つのレシピをお薦めする」。

——SNS、特にFacebookの成長軌道に合わせた成長戦略を築いてきた米BuzzFeed。Facebookの心変わり(ニュース記事から動画などを重視する方針転換など)で、戦略転換を迫られた。その鉱脈がジェネレーティブAIだった。記事に詳しいが、Facebookはさまざまな取り組みを行っている。その成否はこれからだ。