Disruption This Week—–25/4/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年4月21日から2025年4月25日まで。

ダウ・ジョーンズ に聞く、メディア戦略と持続可能なジャーナリズムを支えるAI哲学 | DIGIDAY[日本版]
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「パブリッシャーがAIとどう向き合うか――その姿勢と指針を明確に打ち出し、業界を牽引していくことが、これまで以上に重要になっている。具体的に言えば、メディア企業が注力すべきは、ニュースコンテンツの『生産』『消費』『配信』『収益化』という一連のプロセスにおいてAIをどう活用するか、ということだ」。

——Wall Street Journalなど数々の経済紙やB向けメディアを運用するダウ・ジョーンズ。最近では読売新聞とも提携を発表した。その最高技術責任者(CTO)であるアルテム・フィッシュマン氏が語るAIとジャーナリズムの未来。

They Criticized Musk on X. Then Their Reach Collapsed.
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米国の政治に多大なインパクをもたらしているElon Musk氏。同氏は同時に大規模SNSでありメディアのXのオーナーでもある。Musk氏と言論で衝突した3人のインフルエンサーは、衝突直後からX上でのリーチを壊滅的に失ったとデータで裏づけられたとするNew York Timesの分析。
YouTube marks 20th birthday, teases TV app redesign & custom Multiviews
米Google傘下、YouTubeが創業(サービスイン)から20年を迎えた。同サービスには累計20億超の動画(音楽・ショート動画含む)がアップロード。現在は、1日当たり2,000万本以上がアップロードされているという話題。
Teens, Social Media and Mental Health
米Pew Research Center、13〜17歳の米国の10代とその親を対象とした最新の調査結果を公開。10代の約半数(48%)が、SNSが同年代の人々に悪影響がある懸念。2022年の32%から増加。一方、自分自身への懸念は24%から14%へと減少させており、複雑な反応を示す。
Character.AI unveils AvatarFX, an AI video model to create lifelike chatbots | TechCrunch
米Character.AI、実在の人物や(アニメキャラなど)架空の存在を、AI生成して動画チャットボットを構築するAvatarFXをデモ。記事内でデモ動画など確認できる。OpenAIのSoraなど動画ジェネレータと違うのは、もちろん既存画像(自分の写真)を用いて生成できることだ。
応用情報技術者試験に「生成AIと著作権」出題 あなたは解ける? SNSでは「サービス問題」との声も
「情報処理推進機構(IPA)が4月20日に実施した『応用情報技術者試験』午前の部で、生成AIと著作権に関する選択式の問題が初めて出題された。SNSでは『サービス問題だった』という声も聞かれるが、あなたは解けるだろうか」。

——応用情報技術者試験の問題見本が例示されているが、正直に言って難しいと思った。これは勉強しなければ…。

The Washington Post partners with OpenAI to bring its content to ChatGPT
米新聞の一角であるWashington Post、OpenAIと提携。ChatGPTでの検索に、WaPoの記事が要約等で明示されるようになる。WaPo幹部は「視聴者が望む場所、方法、時間にアクセスを提供するという我々のコミットメントにつながる」と述べる。
もちろん提携のための取引額は非公表だ。
Netflix posts major earnings beat as revenue grows 13% in first quarter
市場が混乱の下、先週、四半期業績を開示したNetflix株が上昇している(発表直後は4%上昇)。第1四半期の売上は13%増。通期業績では435億ドルから445億ドルになるものと予想。主に値上げが寄与。一方で、会員獲得数を初めて公表しなかった。
Bots influencing election discussion on social media
オーストラリアで選挙期間中の偽情報対策をめぐる議論。偽情報検出を事業とするCyabra社によると、選挙をめぐりXに投稿された情報20%が偽アカウント(ボット)によるもの。AI生成の画像などで感情的な操作を目的としていたという。

Disruption This Week—–18/4/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年4月14日から2025年4月18日まで。

Top 50 news websites in the world: New York Times overtakes BBC
英メディアPress Gazetteによる、世界の英語サイトトップ50ランキング(2025年3月版)。Trump政権の繰り出す政策を追って、著名な伝統的報道メディアへのトラフィックが急増(昨年同期比)。AP通信、Politico、Reutersなど数十パーセントの上昇を示す。
Global ad spend against news down by a third since pre-Covid
報道コンテンツへの世界の広告費が6年間で3分の1に減少と予測。米広告コンサルティングのWARC、2025年報道への広告費が323億ドルと、19年と比較して33.1%減少するとする。大きな原因のひとつが「キーワードフィルタリング」だ。ハードな報道コンテンツへの回避傾向が強まっている。
一方、26年には、インフルエンサーやクリエイターへの広告支出に凌駕されるとも調査は指摘する。
OpenAI is building a social network
OpenAIが、X風のソーシャルメディア(SNS)を開発中との業界情報。プロジェクトは初期段階だが、ChatGPTの画像生成に焦点を当てた内部プロトタイプがあり、ソーシャルフィードを備えている。社内での評価が始まった段階だという。
公取委が米グーグルに排除措置命令、独禁法違反を認定
「発表によると、グーグルはスマホメーカーに対し、グーグルプレイの使用を許可する条件として、『グーグルクローム』を搭載し、初期画面に配置することなどを求めていた。また、検索広告の収益の支払いの条件に、競合他社の検索サービスの排除を要求していた」。

——欧州などの先行事例に遅れて、日本でもGAFAMなど超大手ITによるメーカー囲い込みが排除措置に。ただし、Google関連アプリは人気プロダクトなので、この存在を隠すようなスマホがあっても、魅力が乏しいだろう。

NewsGuard’s Fight Against Censorship
気になる話題。米国で各種(メディア)サイトの情報の信頼性評価を事業とするNewsGuard。同社は、事業が左右両極端の勢力からの検閲の脅威にさらされているものの、断固として検閲に反対すると表明。右派サイトだけでなく左派サイトからも同社は攻撃されているという。
ネットフリックス、新しいAI検索エンジンを試験運用-番組探し支援
「同社(=Netflix社)によると、この検索エンジンはオープンAIの技術に基づいており、例えば気分を表す語など従来よりも具体的な言葉で検索でき、提供作品から候補が提示される。
オーストラリアとニュージーランドの一部会員は既にこの機能を使える」。

——先日は、「レグザ」ブランドのスマートTVにGeminiが搭載された話題を紹介したが、同様のアプローチがストリーミングOSにも。TVが究極の暇つぶし娯楽だとすると、怠惰なユーザーに、面倒な“検索行為”をいかにして行わせられるかが重要。やはり、訊ねなくても気分に合った提案が出てくるようにするのが、本質的な答えのような気がする。

The origins of Patch’s big AI newsletter experiment
全米各地向けの“ハイパー・ローカルニュース”メディア(細かく地域を分けて、専用ニューズレターを刊行)を運営するPatch。膨大な数にのぼる「ニュースキュレーター」(人間)に依存した事業だったが、地域発のさまざまな情報の収集・記事生成をAIによって行うと発表した。
「これらのニューズレターは、地域のニュースサイト、ソーシャルメディアグループ、町の公式ウェブサイトからスクレイピングし、大規模言語モデル(LLM)を使用して、最も関連性の高い見出しを選択し、記事の要約を作成する」という。
“Just the tip of the iceberg”: The New York Times’ Zach Seward on embracing AI
米New York Timesの初代AIイニシアティブ編集ディレクターに就任したZach Seward氏、インタビューに応え、NYTはAIに記事を書かせることはないとする一方、記者が膨大な資料、データから事実を見いだす支援をAIに任せることに取り組み、実績も生んでいると述べる。
The next big AI shift in media? Turning news into a two-way conversation
例えば、X上の多くのユーザーが、今では(xAIの)Grokをタグ付けして会話のフォローアップを行っている。ジェネレーティブAIを適切に用いることで、ニュースとの新しい接触(一方通行でない会話)の仕方が生み出されるかもしれないとする記事。
European Broadcasting Union launches fact-checking unit
EBU(欧州放送連合:European Broadcasting Union)は、欧州の公共放送のコンテンツ部門がネット上の誤報と闘うための支援を強化中。オープンソースの情報によるファクトチェックに取り組む新たな共同ネットワークを立ち上げた。
(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)多メディア時代、情報の目利き役に 藤村厚夫:朝日新聞
【ご紹介】:
朝日新聞に、同社のパブリックエディターとしてコラムを寄稿しました。よろしければご一読を。

Disruption This Week—–11/4/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年4月8日から2025年4月11日まで。

WordPress.com launches a free AI-powered website builder | TechCrunch
WordPress、AIを搭載した無料のWebサイト・ビルダーを発表。ユーザーはまず、自分のWebサイトのアイデアを説明するプロンプトを入力。 プロンプトでは、サイト名、簡単な説明、どのようなコンテンツをホストするかなどについての情報を提供し、できるだけ具体的に説明する。その後、生成されたサイトについて、AIとのチャットでユーザーの意向を反映した修正を重ねていくとする。
AP Debuts New Multiformat AI-Powered Content Delivery Platform
AP通信、ユーザーがAP通信が擁する膨大なビジュアル、オーディオ、テキストコンテンツをより簡単に検索し、利用できるよう設計された、新しいマルチフォーマットAI搭載のコンテンツ配信プラットフォームを発表。
「どこまで読んだっけ?」を解決。Kindleに新機能「Recaps」が登場
「Kindleが新機能『Recaps(リキャップ)』を発表。これは、本を読む前にサクッと内容を振り返れる“あらすじまとめ”のようなもの。まるでテレビ番組の『前回のあらすじ』のように、物語や登場人物の流れを簡単にチェックできるようになります」。

——面白い。ある意味で書籍の要約サービスのようなものだが、いろいろ考えると、あれこれと派生的なサービスを夢想してしまう。日本語版で機能しているのか確認してみたい。

Which types of people aren’t big fans of “impartial” news? People who don’t have power
世界40か国の、ニュース嗜好をめぐる大規模調査結果が公開。調査対象者の多くが“公平なニュースを好む”と回答する一方、分析の結果では、自分の好む結果を報じるニュースを好む傾向が強い。特にその傾向の強いグループも明らかになってきた。

Will A.I. Save the News?

The New Yorker

Will A.I. Save the News?
ニュース報道の長期的研究によると、何十年もの間、着実にネガティブな報道が増えている(文献あり)。 過去80年間、世の中が確実に悪化してきたということはない。 悪化しているのは世の中ではなく、ニュース業界の中なのだ。AI要約はこれを改善できるかもしれないとする論。

What was Quartz?

Zach Seward

What was Quartz?
三度(?)売却されたQuartz。2012年創刊の近未来的(であった)米Webメディア。一度は日本のユーザベースがオーナーに。創業者が振り返る、その売却の歴史。
「メディアビジネスは、理想主義者と皮肉屋の戦いのように感じられることが多い。私が好きな現代の ニューススタートアップのほとんどは、非営利の道を選んでいる。非営利の道には大きな課題もあるが、少なくとも皮肉屋の課題は一つではない」。
「30分くらいで楽しめるものない?」 Geminiと対話して動画を探せるテレビ、TVS REGZAから
「リモコンの『ボイス』ボタンを押しながらGeminiに話し掛けると、Googleが提供する音声認識サービスによって画面に会話が表示され、見たいものを探せる。例えばちょっと時間が空いた時に『30分くらいで楽しめるものない?』などと言うと、Geminiは『今話題のドラマ』『途中まで見ていたアニメ』『新着のおすすめ』といった候補を挙げる」。

——究極の“暇つぶしメディア”と、頭のなかで呟いてみたが、メディアってだいたいはそんなものかもしれないと思い直した。多忙な瞬間にはニュースに向かってなどいない。この製品に疑念があるとすれば、人間はわざわざ“(自分はヒマなので)なにかいい作品ない?”と問いかけたりしないのではないかということ。

高齢者はYouTubeに夢中になっている。これはハリウッドにとって新たな警鐘だ | Business Insider Japan
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「YouTubeの65歳以上の成人による視聴は過去2年間で96%増えて、ほぼ倍増し、ユーザーの15.4%を占める。2歳から11歳の子どもは16.9%で、両者の割合はほぼ同じだ。また、50歳から64歳の人々は同期間でYouTubeの視聴時間を62%増加させた」。

——すでに紹介しているが、米国でのNielsenの調査に基づく記事。ケーブル、放送、ストリーミング横断の測定で、YouTubeが(Disney、Netflixなどを抑えて)最大のシェアを獲得。興味深いのは、記事中でメディア業界人や広告業界人がいまだにYouTubeを正統的なメディアと見ていないにもかかわらず、シニア層の視聴者が急増しているというギャップに言及していることだ。

Independent says readers ‘often prefer’ stories on new AI ‘Bulletin’ to human-written versions
英メディアIndependent編集者、同メディアが活用を始めたGeminiを利用した記事要約サービス「Bulletin」が好調と伝える。人間執筆の記事以上に好まれることがあり、トラフィックを稼ぐ。理由の一端として、Googleディスカバーに掲載されるとの微妙な“マジック”に触れた記事。
Gen Z outlet says it proves young people will pay for news done the right way
18歳〜35歳、つまりZ世代とミレニアル世代をターゲットとするRocaNews。Instagramをプラットフォームに2020年に創業したニュースメディアは、ニューズレターやYouTubeにニュースネタを用いたクイズなどで、有料購読者を200万人超に。昨10月には黒字化したとする話題。

Disruption This Week—–4/4/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年3月31日から2025年4月4日まで。

No one knows how to define a 'podcast' anymore — and it's become a problem
【有料購読者向け記事】:
ビジネスは奇妙な生きものだ。米国を中心にポッドキャストが躍進し、だれもがそれに取り組んだ結果、その定義や輪郭があいまいになっている。最新の調査では、米消費者の過半がYouTubeで視聴できるものをポッドキャストと見なすと答えているという。
Perhaps Google is really worth nothing to the news industry
深い自覚があってか、ないのか不明だが、Googleは、「ニュース」コンテンツが自分たちにとって無価値だと証明しようと躍起だ。AIはさらにそのプロセスを進めるのかもしれない。だが、今度はGoogleがニュースにとって無価値なのだと言う番だとする論説。
グーグル検索をやめてAIに乗り換えてみた
【有料購読者向け記事】:
「筆者は古い検索のパラダイムをシフトすることに賛成だが、AIに対する懸念もある。これらのシステムはインターネットから回答を吸い上げるが、元の情報源に誘導することはほとんどない。
信頼できる情報源(まさにこの媒体など)は、可視性、購読者、トラフィックを失う可能性がある」。

——注釈を入れておくと、上記の引用箇所は、AIとGoogle検索を使い比べた上での、結論に近い部分。AIに訊ねて得られる良好な結果は数多いことが、記事では示されている。上記の結論は識者のフェアな総括だが、さて、一般の消費者は同様の視点を持てるだろうか。

Tariffs don’t all act the same
“関税はどれも同じではない”——。
関税が積み増されることで、商品の販売動向はどう変化するのか? 洗濯機、タイヤ、TV、スマホ…と各種商材がどのような売れ行きを見せたか、米国内の過去の実績を使いReutersがビジュアル化。アプローチもビジュアル化も勉強になる記事。
YouTube is about to eclipse Disney as the biggest media company in the world
【有料購読者向け記事】:
例えば、従来のメディア企業やストリーマーとは異なり、YouTubeには他への優位性を示す象徴的なプログラムや映画作品はない。「ストレンジャー・シングス」や「バービー」はない。そのYouTubeがDisneyを抜き世界最大のメディアになろうとしている。
米の攻撃計画チャット漏洩「シグナルゲート」スクープが示した、新トランプ時代の「調査報道」とは?
「記者と報道機関はリアルタイムで間違いなく情報を入手し、それをどう扱うべきかを知っていた。
(中略)
スクリーンショットがあった。タイムスタンプ付きで。そして、この政権でさえ否定する方法がわからないような形で、実名やイニシャルが付けられていた」。

——何度か紹介している、Trump2政権下で起きた「Signal Gate」。メッセージングアプリSignal上のグループチャットで、政権幹部がかわしていた野放図な戦争情報。入手した記者は、安全保障上の配慮と国民の知る権利の両面に配慮して、政権幹部らが否定し得ないアプローチで報じた。平和博さんの記事で、それを学ぶことができた。

Vox sees boom in paying readers for explainer journalism under Trump 2
Trump2が、米メディア業界に与えたのは、排除や圧力だけではない。“解説(Explainer)”を看板にするメディアVoxでは、Trump氏が大統領就任後の2か月で有料購読者の増加率が350%となった。編集長Swati Sharma氏へのインタビュー記事。ニュース忌避へのアプローチを語る。
ChatGPTで「ジブリ風」イラスト作って問題ないの?福井健策弁護士が「著作権のポイント」解説 - 弁護士ドットコムニュース
「アイデアは模倣自由であり、それを超えた特徴的表現の模倣は自由ではない、これが現在の世界の著作権の基本ルールです。ただ、生成AIの登場でこの原則がゆらいでいます」。

——作風の模倣レベルは、人間文化の推進力として容認できるものの、「原則がゆらぐ」のは、AI企業が「特定の個人・団体の作品を複製して学習することがどこまで自由か」という課題だと指摘する論。

環境省の除染土パブコメ、20.7万件の96%が同一文章 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「東京電力福島第1原子力発電所事故で生じた除染土の再利用に関する省令案について、一般から意見を募るパブリックコメント(パブコメ)の提出意見数が20万7850件だったと発表した。2024年度の日本政府によるパブコメで最多となった。文言が完全に一致した重複の投稿は96%を占め、同一人物からの大量投稿も目立った」。

——これはこれで衝撃的な数字だが、その先には「文言が完全に一致」しないが、内容は同様というコメントを機械的に大量生成する時代がもうやってきている。それをチェックできるか。

Bloomberg Has a Rocky Start With A.I. Summaries
【有料購読者向け記事】:
米Bloomberg Newsは、今年から公開しているAI生成による記事要約(冒頭に箇条書きを付加する)を、少なくとも30件訂正している。その一つは、つい先日、Trump大統領の自動車関税をめぐるニュース報道で生じたと、米New York Timesが指摘。

Disruption This Week—–21/3/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年3月17日から2025年3月21日まで。

Measuring Google’s AI Overviews’ impact: Why keyword data is more telling than CTRs for publishers
【有料購読者向け記事】:
過去6か月間でAI概要のキーワードシェアが大幅に増加した。たとえば、米ProPublica では、AI概要をトリガーとするキーワードシェアがこの期間に204%増加したという。また、AI概要の強調スニペットに扱われる場合とそうでない場合に大きな差異があるとする記事。
U.S. Reaches 100 Million Paid Music-Streaming Subscribers for the First Time, Vinyl Sales Hit $1.4 Billion: RIAA 2024 Year-End Report
全米レコード協会(RIA)の年次レコード音楽収益報告によると、昨年、米国での有料ストリーミングの加入者数が初めて1億人を突破。
レコード売上は20年近くぶりの回復を続け、売上高は14億ドルに到達。ただし、ストリーミングの成長は近年低迷中だとする記事。
実験的試み:イタリアでAI生成記事オンリー新聞が誕生
「Il FoglioのAI新聞は4ページで、3月18日付けの火曜特別版にセットで配布されました。オンラインでも見ることができます。
この新聞、記者(人間)が手を入れたのは、AIチャットbotに質問することとそれを読むことだけ」。

——個人的には、AIがベースを記事や紙面のベースを生成、それを人間がチェック・修正するというのがいい。あるいは、人間は調査報道や深度のある解説記事に携わるべきか。

Gamified app Newsreel aims to lure 'news curious' Gen Z away from Instagram
z世代向けニュースアプリ「Newsreel」、言語学習アプリ「Duolingo」に似た、ニュース情報をクイズ形式で提供。政治と外交問題に重点を置いたストーリーを1日3つ配信、ユーザーは段階的にストーリーをクリアしていくスタイル。“ニュース好き”な青少年をターゲットに据える。
Independent launching AI-powered news service for 'time-poor audiences'
英オンラインメディアIndependent、時間のない読者向けに時間のない読者向けにAIが記事を要約し表示するニュースサービス「Bulletin」を開始する。Geminiを用いて同メディアの記事を140字以内に要約。同編集部員がレビューやチェックをするなどして掲載するスキームだという。
How a New Zealander working from her mum’s kitchen started a news service read by Madonna
各種SNS上でフォロワー数400万を擁する青少年向けニュースメディア「Shit You Should Care About」。27歳の代表Lucy Blakiston氏(在ニュージーランド)へのインタビュー。
同氏は毎日ニュースサイトを見て回り、セレブ文化から紛争に関するニュースまで、読みやすいストーリーをまとめ、Instagram、X、TikToなどに共有する。無料・有料の日韓ニューズレターも配信。2018年創刊で躍進するメディア事業だ。
Guardian, GB News and Newsquest among latest publishers to tell readers: ‘consent or pay’
英メディアGuardian、利用者がサードパーティ・クッキーによるトラッキングに同意しない場合、同メディアの利用料金を求めるダイアログボックス表示を開始。英大手メディアでは、昨夏からこの動きが顕著に。トラッキングのオプトアウト選択を明示するよう規制が進んだ結果だ。

「AI検索、メディアには痛手 サイト訪問9割減」を解説 – 日経デジタルガバナンス

NIKKEI Digital Governance(日経デジタルガバナンス):デジタル・AI時代のガバナンスを伝える専門メディア

「AI検索、メディアには痛手 サイト訪問9割減」を解説 - 日経デジタルガバナンス
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「2月24日に公開した(米トールビット社による米国内外の)調査結果によれば、AI検索の回答で表示するリンクなどをクリックして元サイトを閲覧するクリックスルー率は、従来型のグーグル検索に比べて95.7%も減少しました」。

——先ほど投稿した共同通信社とGoogle(Gemini)との提携を材料にすれば、検索によってこれまで生じてきたオーガニックなクリックスルーは、検索のAIモードによって多くが失われることになる。その欠損を提携が金銭等で補えれば……ということか。

Publishers don't really know how Google AI Overviews is impacting their referral traffic
Googleが進める検索へのAIモードの導入。ユーザーの質問に対する回答が検索ページ上に表示されるため、AIモードは通常の検索結果よりもメディアへのクリックスルー率を高めることにはならないとメディア幹部は考えているとする記事。加えてGoogleはこの詳細を明かしていない。
共同通信社、米Googleとニュース提供の契約 Geminiアプリの利便性高めるため
「Googleにより当社のニュースコンテンツの価値が尊重され、新たな契約を締結した。信頼性の高いニュースを提供することで、社会全体の情報環境の向上に寄与することを期待している」。

——共同通信社の水谷亨社長のコメント。同社が配信するニュースは、多くの報道機関で用いられている。その大元の情報源にGoogleはアクセスできることになる。Geminiは、Google検索と融合していく方向にあることから、その利用接点は広範だ。この取引で、共同通信社の経営が強化されるのであれば、良いのだが。