Disruption This Week—–18/2/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年2月14日から2022年2月18日まで。

How to use Discord for Journalists - Interhacktives
「ジャーナリストはDiscordをどう使うべきか?」音声・映像・テキストなどでライブチャットが可能なコミュニケーションツールのDiscord。これをメディアやジャーナリストはどう扱うべきかを解説する記事。観察するだけは嫌われるとか、Slackとはどう違うかなどのポイントもしてきする。
なぜ今AI倫理なのか? AIがもたらす「意図しない結果」を防ぐために開発者ができること
【全文閲読には要購読】:
「もう1点、意図していなかった結果をAIが引き起こしてしまった例として触れておきたいのが、自動運転における『トロッコ問題』だ」。

——“トロッコ問題”の全体像については、記事をぜひ参照。たとえば、自動運転を司るAIが、究極の問い(このまま歩行者をはねるか、自ら道をそれて崖に落ちるかといった思考実験)などだ。これは端的な問題だが、AI倫理問題を総合的に整理したこの記事(連載)は、少し踏み込んで考える際の格好な資料になる。

「デッドラインは遅くとも2030年。痛みも伴うし、社員一人一人の意識改革が必要だ」紙とデジタルのバランスに悩む朝日新聞取締役が描くビジョン、そして記者の役割 | 経済・IT | ABEMA TIMES
朝日新聞社取締役・角田克氏:
「この1年半くらいは、突貫工事に次ぐ突貫工事だ。伊藤大地君をドンと据えてみたのもそうだし、エラーだけじゃなくてヒットや知見もかなり溜まってきている。ニューヨーク・タイムズの成功は編集とエンジニアリングが一体となっていたことも大きく、朝日新聞も含め日本のメディアはかなり遅れていた」。

——なかなかインパクトのある記事(番組)。赤裸々な話題に朝日新聞が乗ったのも、社内にインパクトを与えるという意味もあるのだろう。実際に取り組みが進んでいる印象だし、オンライン強者の部類には入ると思うが、“編集業務”のデジタルへの統合、テクノロジーに携わる人員の強化がさらに必要だろうと見ている。

米Netflix、Take-Two Interactive社と提携し、歴史のあるRPG作品「BioShock」の実写版映像を制作することを公表。同社のゲーム分野への取り組みは最近一気に加速。Disney PlusやHBO Maxが無視するカテゴリーを熱心に開拓中だと論評する記事。
Google Plans Privacy Changes, but Promises to Not Be Disruptive
Google、Chromeで取り組んでいる“プライバシーサンドボックス”による広告ターゲティング抑止機能と相似するAndroidでの取り組みを公表。Android上で用いられてきた識別子Advertising IDを2年かけて廃止していくとする。自社製品に対しても特別な優遇はしないとも言明した。
海外発の「縦読み漫画」が流行中!“待てば¥0”のシステムを生んだ漫画アプリ「ピッコマ」の戦略とは?|ウォーカープラス
「海外では浸透している縦読み漫画だが、日本で定着させるためにさまざまな苦労を重ねているという。もともと日本には縦読みの習慣がなく、スマホで読む場合でも紙のような位置画面に複数のコマ割があるのが一般的。漫画大国の日本で、新しい形式の漫画を読んでもらうためのきっかけ作りが困難を極めた」。

——例示がていねいなされているので、「ピッコマ」を知らないわれわれ世代でもいろいろと実感できるものがある良い記事。メディアのフォーマット(形式)的側面が、表現そのものの革新(パラダイムシフト)を導くかもしれない事例といえそう。過去、スマホの登場で日本のコマ割の分解という問題が生じていたと見るが、それへの回答と受け止める。

Financial Times approaching 1 million digital-only subscribers
厳格なペイウォールで知られる英Financial Times、今月末にはデジタル専用購読者数が100万人に達すると、Axiosが報道。その半数が英国外の購読者、多くが米国読者に支えられている。同社の総収入でも5割近くをデジタル購読からとする興味深い情報も盛られている。
なお、同社は日経新聞傘下であることは知られている。日経本体の電子版専用購読者数は、約90万人と見られる(⇒「日経電子版から考える 新聞社は配信事業から『双方向会話型』の新事業体へ」参照)。
TikTok Wants to Avoid Facebook’s Mess. Its Corporate Culture Could Complicate That
【有料購読者向け記事】:
TikTokと親会社の中国ByteDanceの従業員間の文化(倫理観や法令遵守意識)のギャップが、同アプリをめぐる混沌に拍車とするリポート。本国技術者が、肌の色を変更できたり、人の美醜をスコアしたりする機能を米側が停めたりする事象などを報じる記事。
スポティファイ「ワクチン誤情報」危機の内幕
【有料購読者向け記事】:
「エク氏はインタビューで『パブリッシャー(コンテンツの提供元)』として位置づけられることを拒んだ。ユーチューブやフェイスブックがハイテク企業かメディアプラットフォームかはなお議論の余地があるとし、こう述べた。『スポティファイが何であるかも明確には定義できないと思う』」。

——デジタルの流通基盤がパワーを持つ時代。“メディアなのかプラットフォームなのか”問題は遍在的に生じる。法制的にも免責としている分野の見直しが進むことにもなる。この問題とイケイケに徹する起業家を組み合わせると、問題が火を噴くパターンはもはや定型的とも言えるのだが。

The Psychology of TikTok
いまや世界で10億人以上のユーザを擁するTikTok。その6割は30歳以下で占められるという。本論は、その“中毒性”の核心を推奨アルゴリズムの徹底性に見る。「予測できない報酬は、得られるのがわかっている報酬よりも、脳の報酬領域の活動が活発になる」の法則だという。
動画配信の成長の壁、アニメが破れるか(写真=ロイター)
【ご紹介】:
日経MJ紙への連載コラムが日経電子版に掲載されました。日本のアニメ関連コンテンツへの需要が世界で高まっているという話題を取り上げました。よろしければどうぞ。➡ 動画配信の成長の壁、アニメが破れるか
メンタルヘルスへの影響を中心とした ニュース消費に関する調査を概観する - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。SmartNews内で進められた「オンラインニュース消費とメンタルヘルスへの影響」をめぐる動向の調査・検討です。

Disruption This Week—–4/2/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年1月31日から2022年2月4日まで。

Google owner Alphabet is exploring the launch of new Web3 and blockchain-based products, CEO Sundar Pichai says
好決算を発表し、ますます株価を上げるAlphabet。決算の発表にあたり、CEOのSundar Pichai氏がWeb3系技術の採用に前向きである発言を行った。「ブロックチェーンに注目している。ブロックチェーンは非常に興味深く、強力な技術で、その応用範囲は非常に広く、一つのアプリケーションに留まらない」とする。
New Telegraph app strategy: Unified app helps boost subscriptions
2025年までに有料購読者100万人をめざす英Telegraph。その最大の武器と語るのが21年に投入されたアプリ。それまで2種類のアプリを運営していたが、これを一つに統合。読者体験に貢献しない要素はすべて排除したと担当者は語る。ベンチマークするのはSpotifyアプリだという。
気鋭のマイナー音楽系出版社・カンパニー社とは? 音楽批評の現在地を探る特別対談・前編
「1000人のコアな読者がいれば持続的に活動できるはずなんです。日本の人口でいえば約10万人に1人、そう考えると不可能な数字ではない(笑)。そして自分が関心のあることを発信していけば、多く見積もって1000人程度の同志たちに届けることはできるのではないかという目算があったんですね」。

——出版、音楽レーベル、ショップを手掛けるカンパニー社の代表、工藤遥氏を取材する記事。引用箇所は元WIREDの創刊編集長Kevin Kelly氏の“1000人理論”について。持続可能なメディアを構想する際に参考になる記事。

The Times hits its goal of 10 million subscriptions with the addition of The Athletic.
米New York Times、購読者数1,000万人を達成。
目標としていた2025年を3年前倒して実現。
2021年末時点で880万人を達成し、さらに今週、The Athletic買収が確定したことで目標を上回った。同社はさらに25年までに1,500万人達成をめざす新目標を発表。同社CEOは全世界に1億3,500万人の潜在的な購読者が存在と述べる。
セブン&アイ「DX崩壊」が内部資料で判明、創業家・ITベンダー・コンサル…乱心の大抗争
「流通の巨人、セブン&アイ・ホールディングスの巨額を投じたデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略が水泡に帰した。創業家も絡む人事や組織の混迷、ITベンダーやコンサルなど外部を巻き込んだ苛烈な抗争が、改革を崩壊へと追い込んだのだ」。

——ダイヤモンドONLINEの渾身オンライン特集企画。全15回(!)シリーズが13回まで掲載された。巨大流通企業のDXにまつわる内部闘争を暴露している。これ、規模の大小に関わりなく既存(レガシー)企業のDX推進で生じていることでは? メディア企業も例外でないはず。

SiriusXM figures out how to track audiences across its apps, including Pandora and Stitcher – TechCrunch
米デジタル放送事業者SiriusXM、複数のポッドキャスト配信時業者を渡り歩くユーザを「AudioID」と呼ぶ識別子で同定し、広告の動的な配信やキャンペーン測定ができると発表。アクセスするユーザのシグナルから共通性を検出する技術で、ユーザの匿名性は保たれるという。
NYタイムズ、単語クイズ「Wordle」買収-ゲーム事業の拡充図る
「NYタイムズによれば、ゲーム参加者は1日当たり数百万人。当初は新規および既存プレーヤーに引き続き無料で提供されるという。ただ、いずれは料金を支払わないと利用できなくなるのではないかとの懸念が高まっている」。

——この種のゲームは、同社で高い実績を誇ってきたクロスワードパズルからの類推でその価値が判定できるというわけだろう。日本のメディア企業も小規模のM&Aならば迅速に実施という点を学ぶべき。

「リアルのニュースに対する『受け入れ率』はおおむね60%であるのに対し、フェイクニュースの場合は30%と見積もる。この受け入れの差を指標化したものが『グローバル情報スコア』だ。リアルのニュースの『受け入れ率』が高まり、フェイクニュースの『受け入れ率』が低くなれば、この指標は上がり、それだけ情報環境が健全化したことを示す」。

——調査が示唆するのは「誤情報と闘うよりも、信頼できる情報の受け入れ向上に力を注ぐべきであること」だということに。問題は、これがユーザ(読者)の努力によりできる部分とそうでない部分があることだろう。読者自身のリテラシー向上努力に期待できるのかどうか。信頼性を高める具体的なアプローチがあるのかどうか。なかなかループから抜け出せない。

出版状況クロニクル165(2022年1月1日~1月31日) - 出版・読書メモランダム
「紙のほうの書籍はかろうじてプラスになったものの、雑誌は5000億円を下回る寸前のところまできている。
近代出版流通システムは雑誌をベースにして、書籍が相乗りするかたちで稼働してきた。それが2016年に逆転し、6年目を迎えたことになる」。

——雑誌を軸にした出版物流通は、当然のことながら衰退の方向へ転換して時間が経過する。書籍(依然としてコミックスがけん引車ではあるが)は、電子版流通の隆盛へとカーブを切った。さて、雑誌形式のほうには未来があるのか、なかなか答えが見えない。

Coming off big digital subscription growth, Hearst Newspapers plan a new data and product hub for 2022 - Poynter
San Francisco Chronicleなど、24もの日刊紙を傘下に置く新聞チェーンのHearst Newspapers。“新聞業界は斜陽”の通念に抗し、昨年には開発者やテック系デザイナーら20名を新規採用。電子版購読者を10万人増やし総数30万人とするなど成果を次々にあげ、22年も意欲的な取り組みを計画する。
2021年、編集部員がハマったコンテンツを振り返る - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Tech編集部員やSmartNewsの関係者が寄せる「2021年、ハマったコンテンツ」紹介のアンケート企画。よろしければどうぞ。
スマートニュース、「雨雲レーダー」に関する特許を取得 ユーザーが知りたい「あとどれくらいで雨が降るのか」に応える発明
【ご紹介】:
「SmartNewsの雨雲レーダーでは『あと10分で雨が降ります』といったメッセージで情報を受け取れるようにしました。ユーザーが知りたいことに直結して答えを出すことを強く意識して、この機能を開発しました」。

——自分に直結する情報としての気象予報、というのは深いテーマ。回答のひとつとして鮮やかな切り口を見せてくれたと思っています。

Disruption This Week—–14/1/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年1月1日から2022年1月14日まで。

NFTでニュースを売る、ブームの背後にある教訓とは?
「『シビル』はAPのほかにも、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズなどの大手メディアに次々と提携を持ちかけたが、いずれも実現しなかったという」。

——平和博氏の論説。今般のメディア×NFTブームが、2016年同時にブームになったブロックチェーンを基盤としてメディアを運営、さらに資金調達(ICO)を図るというブームに類似すると論評。その際にも、各社が発行するトークンが、事業の実態と無関係に、高騰するという欲望の力学を前提にしていた。これに頼ったモデルなら、今度も潰えるだろう。

米ワシントンを拠点として、1,000万ドルを調達したメディアスタートアップ「Grid」が誕生した。Buzzfeed、Politico、CNN、ABC出身者ら50名を集め、「裕福でエリートな専門家」をターゲットに、分析や調査法道を提供するという。ここでも高学歴・富裕層向けメディア企画だ。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2022

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2022
恒例のReuters Instituteらによる「Digital News Project」が公開。「Journalism, media, and technology trends and predictions 2022」とのタイトルで広範で詳細な報告書に。ニュース退潮の現況を念頭に「ニュースから遠ざかっている人々を再び引きつけること、そして、より多くのニュース消費者とより深い関係を築く」を主題に置くものになっている。
Over 80 fact-checking organizations sign letter urging YouTube to address misinformation on its platform - Poynter
世界60か国、80超のファクトチェック団体が、YouTubeは“悪しき意図による他人を操作、組織、資金獲得のための行為”に利用されることを許していると、YouTube CEO宛ての公開書簡を提出。なすべき対策も提起。YouTube側は、Google(News Initiative)からファクトチェック団体らに対してすでに多額の資金援助とコメント(笑)
The Associated Press is starting its own NFT marketplace for photojournalism
AP通信社、写真家が作品をNFT化して販売できる市場の設立(今月末に第1陣をリリース)をアナウンス。NFTには、写真がいつ、どこで、どのように撮影されたかを示すオリジナルのメタデータが含まれるとしている。Gettyなどから同種プロジェクトが乱立しそうではある。
クリエイターの収益化を支援するPatreon、「2022年に規模倍増」と同社CPOは語る | TechCrunch Japan
「Patreonにとってもう1つの大きな問いは、同社が暗号資産技術をプラットフォームに持ち込むかどうかである。2021年の秋、ガットマン氏は創業者でCEOのJackConte(ジャック・コンテ)氏とともに、クリエイターたちが収益を上げる方法としてPatreonが暗号資産を検討していることを明らかにした」。

——前段で、同社チーフプロダクトオフィサーであるJulian Gutman(ジュリアン・ガットマン)氏が、同社の収益化手法の各種拡張や改善を行っていることを述べている。同社はこの1、2年で誕生したクリエイターエコノミー企業とはその歴史が違う。その会社もまた、「暗号資産」(NFT?)を検討しているという。

The New York Times needs subscribers. The Athletic doesn’t make money. Now they’ve both got a deal.
米VoxのPeter Kafka氏が、New York TimesによるThe Athletic買収の意味を解説。両者にとってのプラスはすでに私も紹介してきたが、同氏が指摘するポイントは「もしNYTがオーガニックな成長にもっと自信を持っていたら、Athleticに購読者1人あたり約500ドルも払わなかったかもしれない」ということだ。
「Web3」は本物か 巨大ITの支配脱却へ期待先行
【有料購読者向け記事】:
「要はコンテンツ産業におけるクリエーターへの収益分配を従来よりも適正に厚くする変革を起こす可能性をNFTは秘めている。そうなれば、Web3技術は実体経済社会の一部であるコンテンツ産業の変革の基盤になったということができるだろう」。

——日経新聞の論説だが、よくまとまったもので、ちょっと感心。網羅的な論だが、自分には、引用箇所のようなメディア(コンテンツ)分野への応用が最も興味深い。そのためにも、クリエイターが依拠できる仕組みが広がらなければならない。そこに巨大な資本力がものを言うでは、「2」の世界と異ならないことに。

昨年も180万部減、全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 | メディア業界
「日本新聞協会の2021年10月のデータを全国12の地区別でみると、対前年比の減少率は大阪(8.0%減)、東京(7.3%減)、近畿(6.5%減)の順に大きい。新聞メディアの崩壊はもう避けられないが、日本の場合、ニュース砂漠の影響は大都市圏から現れる――いや、実際にすでに現れているのかもしれない」。

——結語の部分からの引用で申し訳ないが、新聞発行状況や、それが何をもたらすかという点で米国での現状に比して、引用箇所のような重要な指摘を引き出した論。そもそも日本でローカルな情報源が自律し得るか否かという議論とは別に、都市部から崩壊している現状をどう見るべきか。

NYT To Buy The Athletic for $550 Million
【有料購読者向け記事】:
米The Informationが、独占スクープとして、New York Timesがスポーツ専門メディアのThe Athleticを現金5億5,000万ドルで買収すると報道。InformationはかつてAthleticが7億5,000万ドルの評価を望んで交渉と報道していた。すでに、紹介しているように、Athleticは購読者120万人を擁しており、1,000万購読者をめざし760万まできているNYTにとっては重要(かつ、お得?)な取引となる。
WSJスクープ | ブルームバーグ・メディアCEOが辞任の意向、新メディア会社設立へ
【有料購読者向け記事】:
「ジャスティン・スミス氏は電子メールで4日、『ニュース業界は、ソーシャルメディアのゆがんだ影響や社会的な分断および偏狭さの高まりにより、消費者からの信頼や信用をめぐる危機に直面している』とした上で、『世界の視聴者に偏りのないジャーナリズムを届け、世界最高のジャーナリストに高品質のプラットホームを提供するプレミアムニュース事業を始める予定だ』と語った」。

——昨日紹介した話題。機能はNYTの初報を紹介したので、WSJからも。

2022年 、 ファーストパーティデータ がより重要になる:パブリッシャーの広告受注戦略 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「デジタルトレンズ・メディアグループ(Digital Trends Media Group:以下DTMG)は2020年、ファーストパーティデータの活用について広告主と話を進めていた時点で、データ追加が可能な、ハッシュ化されたeメールアドレスを約500万保有していた。メールアドレス数は2021年に入って5500万を超え、結果として広告主が推進するデータ関連プロジェクトへの参加が容易になったと、DTMGの戦略/データ/パートナーシップ部門でシニアバイスプレジデントをつとめるジョナソン・シェヴィッツ氏はいう」。

——メディア各社は自社サイトの読者データ(ファーストパーティデータ)を、たとえばメールアドレスなどの形で積み上げているが、これを従来の大規模なサードパーティクッキーに代わるターゲティング基盤としてどう活用できるか、そのソリューションを持つ事業者との連携が22年の業界をめぐる潜在的に大きな動きになる。

課題解決の精度高まる データから社会を読む(写真=AP)
【有料購読者向け記事】:
「反ワクチン派の返信(リプライ)を使った『口撃』行動を調べたところ、反ワクチン派はニュースメディアに対して最もアクティブに、かつ、最も毒性が高い言語的内容を返信していたことが定量的に明らかになった。これらはソーシャルデータから社会的相互作用の全体像を可視化・測定することで初めて明確化され、反ワクチン派の口撃を封じるプラットフォームレベルの対策を講じるためのヒントとなる」。

——ソーシャルメディア(ここではTwitter)から、全量を大賞として分析した笹原和俊氏の研究。投稿内容の分析からは、「反ワクチン派、ワクチン賛成派、政治的な左派と右派、そしてニュースメディアの5つのコミュニティーが存在する」と分かった。メディアに対して激烈に反応しているケースが顕在化されたのは、改めてメディアに関わる人間が深く考えるべきポイントだ。

【コラム】クリエイターエコノミーとクリエイターテックが実現する大きなビジネス | TechCrunch Japan
「クリエイターテックは、クリエイターのパトロネージュ(支援者)としての役割を受け入れ、革新し続けなければならない。すでに特定のクリエイターのニーズに対応して、場合によってはブランドとクリエイターを結びつけて収益性の高いパートナーシップを実現する、競争の激しいパトロンサービスの市場を作り出そうとしているクリエイターテックも存在する」。

——現在は、本格的な“クリエイターエコノミー”の時代への過渡期にあると見ている。そこにはすでに、「支援者」と自称する勢力が存在するが、いずれ、上前をはねるだけのビジネスか、本当の支援者なのか、弁別されていくことになる。

「情報的健康」目指す仕組みを データから社会を読む (写真=ロイター)
【有料購読者向け記事】:
「人間の思考にはシステム1、システム2という2つのシステムが存在する。システム1は暗黙的システムとも呼ばれ、無意識かつ自動的に判断を行うシステムを指す。システム1が動いているときは、直感的な好き嫌いで情報を判断するなど、非合理的な判断を動物的に行うことがある」。

——鳥海教授のオピニオン。「情報的健康(インフォメーション・ヘルス)」を目指すデジタルダイエット」という提言、さらに、「情報に偏りがないかを評価する人間ドックのようなシステムの導入」というビジョンに言及する。

クラウド社会の盲点 個人が自衛策考える必要も(写真=ロイター)
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ クラウド社会の盲点 個人が自衛策考える必要も|

Disruption This Week—–24/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月20日から2021年12月24日まで。

Biggest media industry stories 2021: The media's year in charts
英国のPress Gazetteがまとめたデジタルメディアの2021年(2020年との対比)。各種分野でのチャートがわかりやすい。目に見えるチャートでも、購読者数の推移でNew York Timesが群を抜いて成長、かつ絶対数としてもダントツ1位だった。
メタが明らかにした民間監視会社の実態、5万人が狙われていた
「メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が新たに公表した調査結果から、『傭兵スタイル』の民間の監視・ハッキンググループが、フェイスブックやインスタグラムを使って100カ国以上で5万人を監視していたことが判明した」。

——すでにメタは、イスラエルのスパイ企業NSO Groupと係争関係にあるが、12月に発表された今回のリポートでは、NSO以外の多くの企業名が公表されている(イスラエル発の企業が多い)。具体的な手法は示されていないが、要はFacebookを通じて収集できるプロファイリングや、ターゲティング広告などを利用しているのだろう。

A Chart of Twitter’s Creator Economy Deals; Instagram’s Mosseri Explores NFTs
【有料購読者向け記事】:
Twitterは驚いたことに、この1年間を通じて10社もの買収を手がけた。「Breaker」(音声SNS)、「Revue」(ニューズレター)、「Threader」(まとめ)などで、いずれも“クリエイターエコノミー”に関連するものだと指摘する記事。
2021年、欧州のメディア企業を対象に、Google News Initiative(GNI)やFT Strategiesらが8か月かけて取り組んだ実験と実践の報告を要約した記事。リポートはデジタル購読者の獲得をめぐるもの。その成果は大きいが、成功組と失敗組の乖離も大きかった。成功要因を整理する。
ツイッター前CEOが抱くネット革命の野望
【有料購読者向け記事】:
「インターネットをウェブ3に作り変える長年の試みの多くは依然、初期段階にとどまっており、いずれ何らかの実を結ぶかどうかは判断できない。ドーシー氏は、暗号資産への執着が現在のような崇拝に達する前の2019年、ツイッターによって『オープンで分散化されたソーシャルメディアの基準を開発する』プロジェクト『ブルースカイ』を発表した」。

——現在のWeb3.0への熱狂を、可能性と懐疑の視点で詳解する記事。このトレンドへ熱中する最大の主人公は、Twitterを離れた創業者のジャック・ドーシー氏だ。

ネットで拡散止まぬ誤報、
背景にFBとグーグルの資金
【有料購読者向け記事】:
「世界中のクリックベイト・ファーム(製造所)は、プラットフォームのこの(Facebookインスタントアーティクルの)欠陥に飛びつき、現在も戦略的に利用している。
ミャンマーでは一夜にして、多くのクリックベイト・アクターが誕生した」。

——Facebook、そしてGoogleが放置している欠陥によって、広告収入で荒稼ぎしている勢力が世界中に拡散している。

ニールセンが2021年日本のインターネットサービス利用者数/利用時間ランキングを発表
「新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもりが長期化する中、在宅時間を楽しむ主なエンターテインメントとして、インターネット動画の視聴が習慣化している。実際、利用者数以外の指標であるGRPと利用時間シェアに着目すると、リーチでは4位だったYouTubeがGRPと利用時間シェアともに1位となった」。

——興味深いデータが並ぶ。シニア世代へのネット利用が浸透しており、消費時間が伸びていくことは、これからのマーケティング(投資)を見直すポイントになりそう。

Information wants to be free, but digital property won’t be
米アトランタのローカル紙がNFTを売り出したの題材に、2022年のメディアとWeb3を展望する記事。数年後には、現在のWebサイトやブログ同様、これからは誰でも(花屋や理容師が)がNFTベースのデジタル資産を売り出すようになると予測する。
Media 3.0: The news creator economy arrives
「メディア3.0:新たなクリエイター経済の到来」。米Boston Globeの読者担当責任者が、個人としてのジャーナリストが 利用可能なツールやサービスが22年には更に増え、20世紀的メディアの硬直的な制約から解き放たれるだろうと論説。
WSJ News Exclusive | Washington Post Grasps for New Direction as Trump-Era Boom Fades
【有料購読者向け記事】:
米Wall Street Journalが同Washington Postの内情をスクープ。WaPoはトランプ政権以降、読者の政治ネタ離れによる購読者の停滞と非購読者の減少(2年間で35%減と記事は指摘)に悩まされ、トップレベルによる対策会議を最近開催したという。焦点は政治外のコンテンツの充実だ。
メディアリテラシー - 時事通信出版局
【ご紹介】:
私も執筆陣に加わった『メディアリテラシー 吟味思考 (クリティカルシンキング) を育む』が発売になりました。大冊で読みごたえのある書物に仕上がりました。ぜひ書店などで手に取ってみて下さい。私の担当は、「第1章 激変するメディア 」です!
スマートニュース、メディアリテラシーの授業実践例を新たに5本公開・・・小中高・大学向けに合計10本を無償ダウンロード提供 | Media Innovation
【ご紹介】:
先ほどの『メディアリテラシー』も含み、スマートニュースメディア研究所による活動が、複数公開されています。教育分野での社会貢献の動きです。
インターネットメディア協会が「Internet Media Awards 2022」 心と社会を動かした信頼おけるコンテンツを募集 | Media Innovation
【ご紹介】:
私が理事をつとめるインターネットメディア協会(JIMA)では、2021年の優れた、かつ、信頼できるコンテンツや取り組みを顕彰する「Internet Media Awards 2022」を実施しています。締め切りが近づいています。ぜひ応募をお急ぎ下さい。
[実践]ノーコードでふるさと納税データを地図に可視化する - Media × Tech
【ご紹介】:
私も編集に携わっている「Media×Tech」から新着。東洋経済オンライン「新型コロナウイルス国内感染の状況」に携わり、現在はスマートニュースメディア研究所の荻原和樹さんがデータビジュアリゼーションを平易に解説しました。メディア実務家必見です!

Disruption This Week—–17/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月13日から2021年12月17日まで。

群雄割拠の音楽ストリーミング、空席はもうない
「そこで、今後の展開を予想する意味でも、各サービスの沿革を調べてみた。なお以降に示す事業スタート年は、国内だけのサービスを除き、現地でのスタート年である。日本参入時期ではないので、ご注意願いたい」。

——小寺信良氏が楽曲ストリーミングサービスの栄枯盛衰を単年に整理した労作記事。文末には資料性の高いビジュアルにまとめられている。本文でも指摘されているが2015年を機に、サービス大手による業界寡占化が進んで、群雄割拠の終焉に向かう。

Exclusive: TikTok tackles filter bubbles
TikTokが、ユーザに繰り返し似たタイプのビデオ投稿を表示しないようにするアルゴリズムをテストしていると、米Axiosがスクープ。同種投稿の繰り返し視聴が広義のフィルタバブルを招来し、ユーザに悪影響を与えるとの指摘が増えていることへの対策という面がありそうだ。
Why Google News Showcase US launch could be delayed (again)
Googleが有力な報道メディアに対し、金銭および購読支援を行うGoogle News Showcaseが、日・英・豪・加などで始まっている。しかし、お膝元である米有力ローカルメディアとの交渉が進まない。Press Gazetteがメディア側を各社を取材し、その理由をリポートした記事。理由は大きく5つ挙げられており、メディアが求めている対価との乖離、契約条項への懸念、契約スタイルが「不快」、そして、近い将来、メディア側に有利に法制の変更が期待されているなどだ。
By dropping its paywall for a day, the FT lost out on subscriptions but found new, engaged audience
厳格なペイウォールで知られる英Financial Times、気候変動サミット開催期間にキャンペーン。約2日間、無償でコンテンツを開放、インパクトを測定。通常時に比し匿名読者は28%増、気候関連記事は7倍読まれ、無料購読者の獲得は2倍増。だが、有料購読者は12%減となった。
Instagram surpasses 2 billion monthly users while powering through a year of turmoil
Instagram、20億MAUを突破。2018年に親会社であるFacebookがInstaの10億MAU突破を公表して以来のユーザ数公開。その成長スピードは驚異的だが、同サービスのライバルであるTikTokの市場席巻ぶりを考えれば、安泰とはとうてい言えないだろう。
米Group Nine Media買収による合併を発表したVox MediaのCEO、Jim Bankoff氏にAxiosがインタビュー。「メディア業界で最も急成長する企業」の実現と同氏は述べる。Group Nineは広告に強みを持ち、Voxはコンテンツライセンスに強みを持つ組み合わに妙味があると記事は指摘。
New York Times Reconsiders Buying The Athletic
今年6月には、New York TimesによるThe Athleticの買収交渉は頓挫したと伝えられた。しかし、この交渉が復活継続していると、米スポーツビジネス専門メディア「Front Office Sports」が報道。Athleticは購読者120万人を擁し、1,000万購読者をめざし760万まで到達しているNYTにとっては重要な取引となる可能性がある。
一方のAthleticは、開設6年でまだ黒字を出さず強気の成長路線を敷いてきているが、さすがに事業再編など苦しんでいるところだ。
The Guardian has more than 1 million recurring digital supporters
英メディア「The Guardian」、電子版に対する継続的な購読者が100万人に到達と、米Axiosがスクープ。Guardianはペイウォール不採用(ニュースへのアクセスの平等を保証するため)だが、3年前から寄付的な支払いを求めてきた。100万人には1回限りの寄付者は含まれないという。
“Everything clicks for a different reason”: Why journalism analytics are so hard to interpret
ジャーナリストは、伝統的にデータ分析に頼ることを嫌い、自身のジャーナリストとしての直観を重視する。一方、『マネーボール』以降、ビッグデータ分析がビジネスを変えることが明らかになるにつれ、両者の関係は緊張感のあるものとなった。「ジャーナリズム」と「ビジネス」の違いは、後者では解や成功は一意に決められるが、前者では、その解は多様であるべきだからだ。
情報の価値、良質性をめぐる重要な論点。
36億の記事を分析した結果、エバーグリーン・コンテンツについてわかったこと |SEO Japan by アイオイクス
「・ハウツー記事とリスト記事がエバーグリーン・コンテンツになる可能性が高い
・ポッドキャストのエピソードがエバーグリーン・コンテンツにることは極めて稀である
・Twitterのシェア数とエバーグリーンスコアに相関関係は見られない
・タイトルに現在の年号が含まれている記事は、エバーグリーン・コンテンツになる可能性が高い
・エバーグリーン・コンテンツの割合が高いコンテンツのタイプは、『ベストオブ』リスト、レポート、調査……」

——「エバーグリーン・コンテンツ」とは、文字通り、陳腐化せずに長く人気をを獲得してくれるコンテンツを指す。さまざまな分析結果が示されている。記事作りの参考になるケースがあるので、一読されるのがいい。