Disruption This Week—–13/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月9日から2024年12月13日まで。

New dimensions for news storytelling
AI時代の情報へのインターフェイスを研究するGoogle LabsのKawandeep Virdee氏、彼が考えるLLMが貢献できる新たなアイデアを紹介。同じ記事を読者が自由にその長さを調整して読める「Zoom Summaries」や記事の情報をツリー化して読める「Summaries Tree」など興味深い。
ElevenLabs' AI voice generation 'very likely' used in a Russian influence operation | TechCrunch
米セキュリティ調査企業Recorded Future、最新の報告書で、ジェネレーティブAIによる音声合成サービスを手がけるElevenLabsの技術が、ロシアの影響力工作に用いられていると報告。一連の工作は欧米によるウクライナ支援の無意味さを印象づける目的で、同社サービスを用いている。面白いことに、ElevenLabs自身が提供する悪用検証ツールで確認された。

News websites hit an evolutionary dead end
進化の終わりに直面するニュース(Web)サイト。米Nieman Lab恒例の「2025年のジャーナリズム予測」企画がスタート。多くのメディア関係者がオピニオンを寄せる。本論は、Webページの現在のダメダメぶりを列挙。論者は新聞のPDF版をWhatsAppで配布する試みをアフリカで実施している。
Top 'Washington Post' editor kills article on deputy's departure
大統領選での支持表明を、オーナーの一声で取り消した米Washington Post。その同紙が依然として揉めている。今度は、抗議の意思もあったのだろう編集長Matea Gold氏退任の報を、現編集長代行が差し止めたことでさらに揉めている。理由は、「新聞は自身をカバーしない」だ。
極右台頭のルーマニア大統領選、フェイスブック上で組織的宣伝か
「フェイスブックの親会社、米メタ・プラットフォームズが、ルーマニア大統領選を巡り親欧州連合(EU)の野党党首ラスコーニ候補を攻撃する3600件余りの政治広告のフェイスブック投稿を許可し、カリン・ジョルジェスク候補ら極右の宣伝に寄与していたことが調査で示された」。

——異常なまでのTikTokの活用で、無名の存在が大統領候補の筆頭に、ということで話題になった人物。当然のことながらTIkTok一本でということはなく、いわゆるSNSの総合的な活用という構図が徐々に明らかになっている。もちろん、これが違法なのかどうかだが。

NVIDIA協力のバーチャルヒューマン「AI imma」とは何者か。日本語で会話を体験
「人がマイクを通じてAI immaに話しかけると、自動音声認識(ASR)システムを用いて音声をテキストに変換。そしてそのテキストに基づき、大規模言語モデル(LLM)で回答を生成する仕組みになっている。
日本語のテキストに対してはOpenAIの『GPT-4o』、英語のテキストに対してはグーグルの「Gemma」を使用している」。

——アイデアとしてはそう新しいものではないが、なかなかのできであるバーチャルヒューマンのアイドルが、AIによる双方向コミュニケーションを果たす。興味をひくのは、引用したように複数のAIサービスを繋ぎ込んで運用していること。AI応用の商業サービスにはこのようなアプローチが一般化していくのだろう。

アルゴリズム主導の広告が成長
「レポートの冒頭には『The dawn of the algorithmic era for media』という見出しがあり、ブロードキャスト時代(broadcast era)、プレシジョン時代(precision era)を経て、アルゴリズム時代(algorithmic era)が到来しているとしている」。

——「いまさら」という思い、同時に、コロナ禍後の広告市場の改めての成長動因を考えさせられる。

スタバやマクドナルドが独自の動画プラットフォームを持つ時代になる? | ネットフリックスやアマプラなどの動画配信の勢力図が変わる
「マクドナルド、スターバックスに次ぐ全米3位の外食チェーン『チックフレイ』が独自の動画配信プラットフォームを開始するのではないかと米メディア『CNBC』など各メディアが報じていた。主要な制作会社やスタジオと提携し、アニメ、リアリティショー、ゲームショーなどを制作しており、1エピソードにつき約40万ドル(約6000万円)の予算を費やしているという」。

——ブランド価値の増大という意味だけでも、一定の効果はあるだろう。問題は投資対コストだ。OTT時代に入って、その投資対コストの基本構造は、少なくとも配信自体のコストでは見合いやすくなっている。

「Xのアルゴリズム」は数日であなたの政治的意見を変えられる――米スタンフォード大が1000人以上で検証
「実験では、Xのユーザー1256人の協力を得て10日間実施。ブラウザ拡張機能を使用してフィードをリアルタイムでコントロールし、敵意コンテンツ投稿への接触を意図的に増減させた。
参加者は2つの実験群に分けられ、一方は敵意コンテンツへの接触を減らし(727人)、もう一方は増やす(529人)設定にした。実験の最初の3日間は通常のフィードを見せ、その後の7日間で介入を行った」。

——掲載論文に付された概要が分かりやすい。「アルゴリズムによってキュレーションされたフィードにおいて、参加者が(反民主的態度や党派的反感を表現する)AAPAに触れる機会を増減させた。 その結果、AAPAへの露出を減らすと肯定的な当事者感情が高まり、AAPAへの露出を増やすと否定的な当事者感情が高まることが観察された」ということ。「AAPA」を識別するLLMがあれば、これで利用者の政治的なスタンスを相当程度に左右できるというわけだ。

L.A. Times Owner Plans ‘Bias Meter’ Next to Coverage
【有料購読者向け記事】:
米国の富豪、Patrick Soon-Shiong氏、同氏が保有するL.A. Timesの記事に「バイアスメーター」を表示させると、インタビューで述べた。記事執筆者の“確証バイアス”の度合いをなんらかの手法で 計測し表示。記事偏向の可能性を伝えるというもの。
これはメディアのオーナーが、自らが保有するメディアの偏向の可能性を指摘するという動機に基づくもので、いささか不思議な動きだ。

Disruption This Week—–6/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月2日から2024年12月6日まで。

米Vox Media傘下の人気テクノロジー系メディア「The Verge」がペイウォール制を開始。ユニークなタイムライン型トップページ(非常に滞在時間が長い)を閲覧フリーとしつつ、一部のプレミアムコンテンツとサービスをアクセス有料に。「より少ない広告のために」と編集長は意図を述べる。
生成AIで日本のマンガを爆速翻訳、日英同時配信で世界に挑む
「日本の出版スタートアップ企業は、アンソロピック(Anthoropic)の主力大規模言語モデル『クロード(Claude)』を利用し、マンガを英語に翻訳している。これにより、英語圏の読者にわずか数日のタイムラグで新刊を届けることが可能になった。通常ならば2〜3カ月のチーム作業が必要なところだ」。

——メディアがAIに期待できる最も建設的な効果の一つが、自動翻訳だろう。だが、このような取り組みに反対論も根強いと記事は指摘する。「この会社がどんなに善意で動いていようとも、AIを使ってマンガを翻訳するという考えは、悪趣味で侮辱的だと思います」。さて、社会は最終的にどちらを許容するか。スタートアップ企業側は、「日本で出版されるタイトルのうち、米国版が刊行されるのは2%程度にすぎない」と豊かな市場性を指摘している。

Google search change hits publisher Black Friday e-commerce revenue
ホリデーシーズンを迎えたからか、Googleは検索アルゴリズムの調整で、有料アフィリエイトリンクで荒稼ぎをする多くのニュースメディアをランクダウンさせる打撃を与えている。記事は、Forbes、AP通信、CNN、Fortune、そしてWall Street Journalが打撃を受けたと報道する。
Meta Platformsのグローバル政策担当責任者のNick Clegg氏、選挙の年となった2024年を会見で振り返り、「同社アプリの全体で、あまりにも多くのコンテンツを誤って削除や制限を課してしまっている」と、そのモデレーション精度の低さについて見解を述べた。
Netflix日本トップ「有料会員1000万世帯を突破」 4年で倍 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「米動画配信大手ネットフリックスのコンテンツ部門バイスプレジデント、坂本和隆氏が日本経済新聞などの取材に応じ、『日本の有料会員が1000万世帯を突破した』と明らかにした。日本発の作品は、非英語作品の中で韓国ドラマに次いで2番目に世界で視聴されていることも分かった」。

——「2015年に「黒船」として日本に参入した。20年に500万だった日本の会員数は24年6月時点で1000万を超え、約4年間で2倍に増えた」と記事で、坂本氏が述べており、その成長プロセスが伝わる。家庭での視聴を考えると、日本人の2000万人程度が視聴しているのだとも。

Streamer Kai Cenat earns millions, breaks Twitch subscriber record during 30-day livestream
米クリエイターの Kai Cenat、Amazon傘下のストリーミングプラットフォームTwitch上で、11月の30日間ノンストップ(24時間)でライブストリームを配信。同プラットフォームで記録となる最高加入者数(73万人弱)を更新。その間のユニーク視聴者は5,000万人に達する。
Meta says AI content made up less than 1% of election-related misinformation on its apps | TechCrunch
Meta、自社アプリの選挙関連誤報のうちAIコンテンツは1%未満と発表。選挙の年である今年。年初には偽誤情報のまん延が選挙に影響を及ぶとの懸念が高まったが、同社は米国をはじめ各国での調査により、軽微なレベルに抑え込めたと自負。選挙以外でも努力すべきだろう。
News outlets push vertical video to the homepage
Instagram、TikTok、YouTubeの定番である短尺のタテ型動画が、ニュースメディアのWebサイトへ導入が進む。記事では、The Economist、New York Times、Washington Post、Wiredなど著名サイトで記者らが短尺・タテ型動画による報道スタイルに取り組む動向を伝える。
Taylor Swift Is Upending Another Industry Playbook—This Time, in Books
【有料購読者向け記事】:
米歌手のTaylor Swift氏が“セレブ出版”に革命(?)——同氏自身が運営するTaylor Swift Publicationsから個人出版書籍『Eras Tour Book』を刊行。ブラックフライデーに売り出す。初版部数は200万部だ。
Putin’s new plan to undermine fact-checking – EDMO
ロシアは、自称“ファクトチェック組織”の国際的な連合体の設立を目指している。 「グローバル・ファクトチェッキング・ネットワーク(GFCN)」と呼ぶ構想だ。その主な推進者は、近年いくつもの国で偽情報キャンペーンを行ってきた、クレムリンに支配された報道機関だ。
国家が主導する(体裁をとるはずだ)ファクトチェックの問題点がここにある。

Disruption This Week—–29/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月25日から2024年11月29日まで。

オーストラリア、16歳未満のSNS利用を禁止-新法が成立へ
「禁止措置の施行はハイテク企業自らが担当する仕組みで、対応を怠った場合は最大5000万豪ドル(約49億2300万円)の罰金が科せられる可能性がある。新法では、ユーザーの年齢をどのように確認するのかについては定められていない」。

——制裁金の額はともかくとして、ユーザーの年齢をどう厳密に認識するのかという、難しい課題が課された法制度。さらに言えば、青少年の言論の自由については、どう整理されたのかが気になるところ。記事は言及していないが、YouTubeは教育などにも活用されており、本規制の対象から逃れたという点も「?」が残る。

Yes, That Viral LinkedIn Post You Read Was Probably AI-Generated
AI検知新興企のOriginality AI、LinkedIn上の長めの英語投稿の54%以上が、AIによって生成された可能性が高いとする分析を示す。分析リポートが米メディアWIREDに提供された。ただし、LinkedIn自体がプレミアムユーザーには生成AIの執筆補助サービスを提供している。
コンテンツクリエイター経済、成長する一方で「脱落者は3年連続で増加」 | どのプラットフォームも「勝者総取りの構造」
「米誌『フォーチュン』によれば、米金融機関『バンク・オブ・アメリカ(BofA)』の顧客のうち、コンテンツクリエイターとして収入を得ている人の割合は、2024年11月現在、0.20%となっており、2021年の0.25%をピークに3年連続で低下している」。

——記事が指摘するのは、パンデミック下で多彩なコンテンツ需要が爆発。だが、それ以降、クリエイターの中でもプロ的な人々による「勝者総取り」状況が生じているという。米国では大物クリエイターは、ほぼ中小のメディア企業的規模に達している。アマとプロの差は広がるのだろう。

Meta Shares Threads Growth Stats to Counter Reports of Bluesky’s Growth
米大統領選(特にその投票日前後の)Blueskyの劇的な成長については、何度か紹介している。対抗する“本命”のMeta Threadsも、成長を繰り返しPR。10月末には2億7500万MAU(月間アクティブユーザー数)を発表後も、11月には3,500万以上のアカウント増と発表。
ビッグテックの合同テロ対策フォーラム、その2年間の混乱のゆくえ
【有料購読者向け記事】:
「2023年3月、メタ・プラットフォームズ、YouTube、ツイッター、マイクロソフトの副社長がZoom会議を行ない、最も強力なライバルのひとつであるTikTokを自分たちのクラブに迎え入れるべきかどうか検討した。4人の副社長はテロ対策グローバル・インターネット・フォーラム(GIFCT)の理事であり、自社のプラットフォームがテロの温床になることを防ぐために情報交換をしている」。

——その後、「X」が離脱したたが、この時期世界の4大プラットフォームが、「テロ対策」を名目とした業界秩序の維持と、ライバル排斥の機能を果たす協議を繰り広げていたことがわかる興味深いリポート。

How Rappler Is Building Its Own Communities to Counter AI and Big Tech
ノーベル賞受賞ジャーナリストMaria Ressa氏、同氏の経営下にあるメディアRapplerで、「Rappler Communities」を開発したと明らかにした。オープンソース、安全、分散型のMatrixプロトコルで構築されたアプリで、世界的な独立したニュース配信機関になる可能性を示すものだと述べる。
「検閲カルテルを解体する」米FCC次期委員長がプラットフォームに突きつける「広範な免責撤廃」
「フェイスブック、グーグル、アップル、マイクロソフトなどは、検閲カルテルで中心的な役割を果たしてきた。ファクトチェック団体や広告代理店とともに、『ニュースガード』という名の(ジョージ・)オーウェル的な組織が、一方的なナラティブ(筋書)を強制する手助けをしてきた。検閲カルテルは解体しなければならない」。

——個人的に注目していたWebサイトの信頼性評価事業者NewsGuardもやり玉に挙げられているのには少々驚き。そのぐらいに、同社の影響力が生じていたということか。さて、「検閲カルテル」の解体の後に残る課題は何だろう? 単なる罵詈雑言を自由放任、放置ですむだろうか。

中国ハッカー、米史上最悪 上院情報委員長が指摘 | 共同通信
「ウォーナー氏(=米上院の情報特別委員長)は、中国系のハッカー集団『ソルト・タイフーン』が米国の通信会社を介した音声通話をリアルタイムで盗聴していると説明。連邦捜査局(FBI)が確認した被害者は150人未満だが、数百万人分の電話やテキストメッセージが傍受されている恐れがあると指摘した」。

——「ソルト・タイフーン」。すでにWSJが事前に報道していたが、その具体的な姿が語られた。

Why is everyone talking about Bluesky right now?
ユーザー数“たったの”2,100万人のSNS「Bluesky」が爆発的に成長中。それも大統領選投票日前後の2週間のできごとだ。Blueskyは、現在、アプリストアでChatGPTとThreadsを抑えて1位の無料アプリとなった。
The Podcast Election | No Mercy / No Malice
「私が(かなり)確信している唯一のことは、若者たちがTrump氏に激しく傾倒するという決断を下す上で、初めて、極めて重要な役割を果たしたメディアは何かということだ。 そして、それがこの記事の主題である」。それはポッドキャストだとする。Scott Galloway氏の論。
「新しい形態のメディアは、定期的に我々の文化や政治を再形成する。 FDR(=ルーズベルトのこと)はラジオを使いこなし、JFK(=ケネディ)はテレビを活用し、レーガンはケーブルニュースに釘付けにした。 オバマはインターネットを通じて若い有権者に活力を与えた。 トランプはツイッターで世界中の注目を集めた。 今年はポッドキャスティングだった」との興味深い記述がある。
(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)難しい記事こそ、簡潔に“見せ”て 藤村厚夫:朝日新聞デジタル
【ご紹介】:
朝日新聞にコラムを寄稿しました。ご一読ください。一般的な読解力をめぐる課題、そして新聞記事の理解しづらさをめぐる課題などについて考えてみました。新聞インサイダーにこそ届けば良いのですが。
SNSに潜む「エコーチェンバー」の危険とは:時事ドットコム
【ご紹介】:
藤村が『メディアリテラシー 吟味思考(クリティカルシンキング)を育む』に執筆した論からの抜粋が掲載されました。数年前に執筆したものですが。よろしければどうぞ。

Disruption This Week—–22/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月18日から2024年11月22日まで。

コムキャストがCATVチャンネル分離へ、MSNBCなど-関係者
「メディア・ケーブルテレビ(CATV)大手の米コムキャストはニュース専門局『MSNBC』や『CNBC』『USA』などのCATVチャンネルをスピンオフ(分離・独立)する計画だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。視聴者や広告主を失いつつあるCATV事業へのエクスポージャーを減らす」。

——Bloombergの報道が出てから、米メディア業界はこの話題で持ちきりだ。各社の経営上の複雑な要因が作用しているため、一概に言えないが、なによりも最大の環境変動要因はCATVの収益構造が弱体化していることだろう。これまで収益性が良すぎたことから変革が遅れたのは、他のレガシーメディアに似ている。ストリーミングの一部がかろうじて黒字化を示すが、安定化するには、独占的な地位獲得が必要になる。

Google Discover has become Reach’s ‘biggest referrer of traffic’
Facebook、InstagramなどSNS、Google検索からの流入が減少していると、多くのメディア担当者が体感している。そんななか、検索を利用したコンテンツフィードの「Google Discover」が存在感を増している。記事は英大手メディア企業Reachの幹部がその影響や特性を語る。
AI detection tool helps journalists identify and combat deepfakes
DeepfakeをAIを用いて検知するジャーナリスト向け無償サービス「TrueMedia」の紹介記事。開発するTrueMedia.orgの創業者はAI研究家Oren Etzioni氏。同氏のコメントなどを紹介。難題はフェイク作成側も検知を回避する方策を生み出してくることだという。
米司法省、グーグルに「クローム」売却を求める方針-関係者
「訴訟はトランプ政権下で提起され、バイデン政権でも継続された。判事が是正案を受け入れれば、オンライン検索市場と急成長するAI業界を一変させかねない」。

——PCなどでは重要アプリであり続けるWebブラウザ。そのシェアトップの「Chrome」は、Googleにとっても、検索、マップ、Gmailなどの重要基盤で、ブラウザ自体は無料だとしても市場の支配力はすさまじい大きさだ。かつてNetscapeを駆逐したMicrosoftとIEの関係が想起される。

Unveiling LIMINAL PANDA - Threats to Telecom Sector | CrowdStrike
米CrowdStrikeの防諜対策幹部、同社が「LIMINAL PANDA」との名称を与えた、重要インフラに対する中国のサイバー脅威アクターについて初めて公開。リポートでは、LIMINAL PANDAのインフラへの侵入の手口など詳細に紹介する。
「2024年米国選挙におけるプラットフォームXのアルゴリズムによる潜在的偏向の計算分析」。
豪Queensland大研究者Timothy Graham氏ら、X(Twitter)が2024年7月に大きくアルゴリズムを変更。オーナーMusk氏によるTrump候補支持表明に符合するとの論文(プレプリント)を公表。
報道経験ないニュース系インフルエンサー、米若者の頼れる情報源に
「ピューの調査によると、30歳未満の成人の約40%が、ニュース系インフルエンサーから時事問題や政治の最新情報を入手している。こうしたインフルエンサーの大半に上る77%は、報道機関に所属せず、メディアでの勤務経験もない。
新たなデータはメディア環境の変化を浮き彫りにした。若者を中心に、政府や社会問題、経済といった重要なニュースについては、非伝統的な情報源の利用が一段と増えている」。

——併せて紹介する米Pew Research自身のリリースブログを参照されたい。

幻冬舎コミックス、Xへの画像投稿は「AI学習阻害・ウォーターマーク付き」で 11月15日の規約変更を理由に
「Xは15日の規約変更により、ユーザーが入力した情報を、AIのトレーニングに利用する旨を明文化する予定だ。しかしXでは、これを嫌って他のSNSに“移住”しようとするユーザーや、投稿する画像にAI学習の阻害処理・ウォーターマークをつけようと呼び掛ける人も見られ…」。

——これもXをめぐる話題なので、遅まきながら紹介しておく。引用箇所にあるように、Xの利用規約がAI学習に強制的に用いられることを嫌っての動き。この種のせめぎ合いがこれから活性化するだろう。Xは、自社のxAIの開発にとどまらず、他のAI開発ベンダーに学習用コンテンツを売って大儲けするオプションを手に入れようとしているわけだ。

Norwegian startup Factiverse wants to fight disinformation with AI
ノルウェーのスタートアップであるFactiverse、米国大統領討論会のライブファクトチェックを提供し、いくつかのメディアパートナーによって利用されたという。同社の技術はLLMとは異なり、情報検索に基づいく別タイプのモデルを構築したと創業者は述べる。
「X」利用者が続々と「ブルースカイ」へ移動 仕組みは? オーナーは? - BBCニュース
「世界各地でかなりの人数がブルースカイのアプリをダウンロードしている。イギリスでは14日、アップルのアプリ市場『AppStore(アップストア)』で、最もダウンロードされた無料アプリになった」。

——Musk氏の振る舞いもあって、Xを離脱する動きが高まっているものの、記事にもあるように、BlueskyがXを脅かす存在になるためには、今後の長期にわたり成長が欠かせない。そのためには、大物たちの寄付に頼る資金源では心許ない。これからがBlueskyの胸突き八丁の上り坂だろう。

Disruption This Week—–16/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月11日から2024年11月15日まで。

Viewers Flee MSNBC, and Flock to Fox News, in Wake of Election
【有料購読者向け記事】:
米TVネットワークMSNBCの選挙日以降の平均視聴者数は55万人で、10月の平均視聴者数と比較すると39%減少 (Nielsen調査)。 プライムタイムでは53%減少だ。一方のFoxでは、一日の平均視聴者数は330万人で38%増加したという。
電通ジャパン・インターナショナルブランズ、広告視聴のアイトラッキングデータに基づいたアテンション調査レポート「広告効果における新指標:アテンションエコノミー]発表
「本調査では、日本国内8000人超のモバイル端末ユーザーを対象に、ディスプレイ、リッチメディア、SNSなど、計7種類の広告フォーマットからユーザーの視線の動きを計測しました。視線追跡、視覚的注意、表情のデータが45種類以上のクリエーティブから収集されました」。

——電通ジャパン・インターナショナルブランズ、新たな広告視聴指標「アテンション」を日本を含む各国でのデータに基づき検証。採取できた特徴や有効性を公開。

米Wall Street Journal、ニュース記事の上部に表示されるAI生成の記事要約を試行中。 要約は、記事の要約を箇条書きにした「Key Points」として表示される。AIツールが作成したと断っている。米メディアのThe Vergeが発見したスクープ。
Social media is a symptom, not a cause
「ソーシャルメディア(SNS)は症状であり、原因ではない」——。米(カナダ)のジャーナリストMathew Ingram氏の論説。2024年の米大統領選をめぐるメディア状況への言及。ファクトチェックが履行されないSNSプラットフォームを非難する言説に対して、分断の原因はSNSでないと。

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか
「若年層(=49歳以下)は特に、YouTubeやVODなどのネット動画アプリへのシフトが加速しています。テレビ受像機でネット動画や映画やスポーツ中継などのオンデマンドサービスを見るというスタイルが徐々に定着しつつあることがうかがえます」。

——あくまでも映像機器メーカーREGZAが提供するデータ上でのトレンドという点に留意。引用箇所は「GT(ゴールデンタイム)・49歳以下の利用率内訳(全体を100%)」のデータを目視した。問題は、大型ディスプレイ搭載の受像機全体の利用状況だろう。

「今やあなたたちがメディアだ」とマスク氏、米大統領選でマスメディアは「敗北」したのか?
「今回の大統領選では、偽誤情報の氾濫とともに注目されたのが、マスメディアの存在感の低下だ。
選挙戦では、トランプ氏、カマラ・ハリス現副大統領とも、著名ポッドキャストへの出演が注目を集め、『ポッドキャスト選挙』の呼び名もついた」。

——「トランプ氏と次期副大統領、J・D・バンス氏が出演したポッドキャストの1つが、人気ランキングトップ、1,600万人のフォロワー数を持つ『ジョー・ローガン・エクスペリエンス』だ。
選挙戦最終盤の10月25日、トランプ氏は約3時間にわたって出演。ユーチューブでの動画視聴回数は4,800万回超に上った」と記事では、その具体的なインパクトを説明している。
この間、何度か私が指摘した“クリエイター”による政治報道が表舞台に上ったということでもある。

Mistral、コンテンツモデレーションAPIをリリース 日本語にも対応
「AI企業のMistral AIは11月7日(現地時間)、コンテンツモデレーション用の新しいAPIをリリースしたと発表した。同社のチャットbot『Le Chat』のモデレーションに使っているものと同じAPIという。
ユーザーはこのAPIを使うことで、特定のアプリや安全基準に合わせてカスタマイズできるようになる」。

——すでにMetaはFacebookやInstagramでこの種のAIモデレーションを実施しているはずだが、理由のわからない(投稿やアカウントの)バンが行われたという悲鳴が上がってもいる。

X Touts Record High Usage on Election Day
米大統領選をめぐるプラットフォーム、勝者はXか? 同社は「過去最高」の使用を喧伝中だ。
SNS年齢制限広がる オーストラリアは16歳未満禁止法案 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「各国で交流サイト(SNS)の使用に年齢制限を設ける動きが広がっている。オーストラリアは近く国家として初めて16歳未満のSNS利用を禁止する法案を提出する。英国や米国の一部州でも議論されている」。

——なぜか日本では、この種のSNS利用が青少年にもたらす悪影響を規制する議論があまり大きな政治問題になっていないように思える。ヘイトなどの発信制御に規制策(の是非)が向かっているようだが、諸外国ではプラットフォームそのものの害悪に目が向けられている。

生成AIで福岡のPR記事作成→“架空の祭りや景色”への指摘が続出 開始1週間で全て削除する事態に
「プロジェクトの公式Xでは『インターネット上の情報をもとに生成AIを活用してメディア記事を作成し、人的確認のうえ発信してきた』と説明。今回の指摘を受け『より正確な情報を提供するため、全てのメディア記事を削除し、発信を一時停止する』としている。なお追記では『生成AIでのメディア作成は一切行わない』との方針も示している」。

——あり得ない地域の混同など、“事実”との齟齬以外にも、画像が「パラレルワールド感すごい」との“評価”。反面教師として使えそうな素材。