Disruption This Week—–10/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月7日から2021年12月10日まで。

50 ways to make media pay: Subscriptions | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
メディア企業が採用できる“購読”プログラム、12の例示。一般的な購読プログラムの提示から、学生や各種グループ別の優待、限定トライアル、法人向けプラン、他者との協業提案、プレミアムコンテンツの提案など各種手法を整理した記事。同業他社と組んでの提案は面白そうだ。
Newsrooms stop mocking the creator economy and start learning from it
メディア(報道機関)は、“クリエイターエコノミー”に学ぼう。少なくとも、これまでのように、オーディエンスと彼らが夢中になっているクリエイターやインフルエンサーとの関係を見下しているわけにはいかないとする論説。
Instagramで時系列表示オプションを来年提供するとモッセリ氏が公聴会で発言
「アダム・モッセリ氏は12月8日(現地時間)、米上院消費者保護、製品の安全性、およびデータセキュリティに関する小委員会が開催した『オンラインで子供を保護する:Instagramと若いユーザーのための改革』と題した公聴会で、来年1~3月期にInstagramで時系列フィードを選べるようにすると語った」。

——“Facebook文書”問題の中核、Instagramの事業トップが公聴会に出席。議員らからの追及に対して「時系列表示も選べるようにする」と発言。アルゴリズムによる表示をしない選択もできるようにするというが、「青少年」の利用法に対する対策としては安直だろう。

Global advertising industry expected to hit $1 trillion by 2025
2021年、世界の広告市場の成長率は過去最高レベルに。大手広告代理店Magnaは、21年の広告業界の成長率を22%とし、20年の12.5%を大きく上回る「史上最高」と発表。記事は、理由の一つとして、パンデミック後、中小企業がECなどでオンライン広告活用に乗り出したことと述べる。
Discord is letting creators monetize their communities with subscription-based memberships
大人気のライブチャットサービスであるDiscordが、本格的に“クリエイターエコノミー”をサポート? テスト段階だが、Discord内のコミュニティである各「サーバ」の運営者に、プレミアム機能へ課金を設定する権限を提供開始。
The end of the Silicon Valley insider–critic
シリコンバレーに抱き抱えれられてきた記者らの論評が終焉する時代。テクノロジー・サイエンス分野をカバーするライターによる論説。十数年前にはテック企業に批判的な記事を見かけるのは稀だった。現在はテック企業らから利益誘導を受けたことのない信頼できるライターが多く存在すると述べる。
Axios のライセンスビジネス、8カ月で100万ドルの収益 | DIGIDAY[日本版]
「Axios HQのゼネラルマネージャーであるジョーダン・ザスラフ氏によると、年間契約が1万ドル(約110万円)からスタートするHQのライセンス収益はわずか8カ月で100万ドル(1億1000万円)を超え、年末には150万ドル(約1億6500万円)に達する見込み」。

——AxiosがどのようなSaaS提供者になったのかは、記事を読んで欲しい。自社内製システムに投資できるメディア企業は、等しくソフトウェアビジネスの実践者となるべきだということを、最近のいくつかの事例は示している。

コンピュータサイエンス誌「bit」、1969年の創刊号から全386巻が電子復刻版としてAmazon Kindleで販売開始。1冊わずか198円
「同プロジェクトの『デジタルで絶版をなくし、誰もの手に届く所に置き、後世に伝える』趣旨に沿い、税込み198円と非常に安価。目次リンクも入っているため内容を確認してすぐに目的の記事へジャンプできます」。

——私のような文系でも、「bit」全盛期を思い出すな。書物に限らずこのような雑誌でも、できれば電子化してアクセシビリティを高めてもらえるとありがたい。同時に、検索可能性をどう高めていくのかも重要な課題。

中国の偽情報対策 連携 米とEU…国際機関選挙 協調も : 国際 : ニュース
【有料購読者向け記事】:
「会合には、米国のウェンディー・シャーマン国務副長官と、欧州対外活動庁のステファノ・サンニーノ事務総長が出席した。米国務省によると、両氏は偽情報対策として『米EU間の情報共有を深める用意』を表明した」。

——従前、米露関係ではロシアの情報工作について多くの情報が提示されてきたが、中国の高度な政治的意図による欺瞞工作についてはそれほどではなかったと思う。読みとばしてしまいがちなニュースだが、単に米中関係に止まっていない、中国の期満工作についても、広範囲の脅威として見なす時期に入っている。

How TikTok Reads Your Mind
「TikTokはどうあなたの心を読んでいるか?」
米New York TimesコラムニストのBen Smith氏、TikTok自らが従業員(非エンジニア)に同アプリのアルゴリズムを解説した内部文書を入手。そのエッセンスを解説する論。もちろん、アルゴリズムの究極目標は「DAUを増やす」だ。そのための要因を整理している。TikTokの熱心なユーザなら心当たりがあるはずだ。
また、他の重要な発見として、TikTokとその中国版であるDouyinは、依然として強い関係を有しており、同一の人物らによって開発されているという事実を紹介している。これは米政府の同アプリ排除の理由に挙げていた事象だ。
月間6億PV「まだ天井ではない」 文春オンライン、飛躍の裏に隠された施策とは - Media × Tech
【ご紹介】:
昨日ご紹介したように、2021年のSmartNews Awardsが発表。「文春オンライン」が2回目の大賞を受賞。改めて、その中心メンバーにMedia×Techがインタビューしました。おめでとうございます!

Disruption This Week—–3/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年11月29日から2021年12月3日まで。

How Future's fortunes changed to reach £108m profits - Press Gazette
大躍進中の専門メディアの集合体である英メディア企業Future PLCについて、1日に紹介したが、同じPressGazetteがその躍進のヒストリーを詳細にわたって解説した記事。次々と手がける買収が顕著に成長に寄与していることがわかる。
How researchers used decades of Wall Street Journal articles to predict stock market returns
米経済紙「Wall Street Journal」の記事を約30年間分・80万件の全文分析から、株式市場の平均的な変動の25%を予測できと、「全米経済研究所」がその研究を公開。
簡単に言えば、「市場が上昇または下降する理由の大部分は、WSJlで議論されていることによって捉えられる」のだそうだ。いろいろと面白いことが示唆されている記事。
Why publishers must shift their focus from business to audience needs
「例えば、『今月は100万PVを達成した」と言うのではなく、それが何を意味するのか、なぜ重要なのかをチームに説明しよう。同僚を読者のように扱い、ストーリーを彼らに興味深く、関連性のあるものにするのだ」。

——欧州で最近開催されたオーディエンス分析のイベントでのスピーカーの発言。「コンテンツ中心からユーザー中心への切り替えには慣れが必要で、多くのジャーナリストにとっては不慣れな領域だ」とも。

メタバースで不動産ブーム、史上最高額再び更新
【有料購読者向け記事】:
「この投資にはリスクも伴う。市場が低迷しても、大抵ある程度の価値を維持できる実際の不動産とは異なり、バーチャルな不動産の価値は、その仮想世界が廃れ、人々が訪れなくなれば、ゼロになる可能性もある。また、暗号資産の乱高下による影響も受けかねない」。

——すでに紹介したことのあるトレンドだが。依然としてその熱は冷めずに昂進を続けている。これこそバブル現象もいいところだが、先取りして勝ち逃げすれば良いと考えている事業者が多いのだろうか。

Streaming Services to See 150M Cancellations Next Year as Churn Heats Up, Deloitte Predicts
調査会社Deloitteが「テクノロジー、メディア、通信(TMT)」に関する2022年の市場予測を発表。さまざまな分野をカバーするが、なかでも有料ストリーミングサービス市場における巨大な退会トレンドを予測。22年の米国における解約率は38%(!)にも上るという。
Twitter bans sharing 'private' images and videos without consent | Engadget
Twitter、ユーザの個人情報保護の範囲を拡大。投稿された写真、動画などについて個人の了解なく共有するなどの行為に厳格に対処することに。最悪の場合、アカウントの永久停止も。一方、公益性に基づくなどのケースでは許容余地も認めるという。
出版状況クロニクル163(2021年11月1日~11月30日) - 出版・読書メモランダム
「フライヤーは出版社や著者の許諾を得たビジネス書を10分ほどで読める分量に要約し、ウェブやスマホ上で配信している。月額2200円のゴールドプランだと2600冊が読み放題となる。主な利用者は30~40代で、現在の累計会員数は86万人、法人採用は410社を超えている」。

——書籍のダイジェストサービスにどれぐらいのニーズがあるのか、知りたいと思っていたところ、この情報。微妙な規模だ。さらに、法人からのニーズをどう読むべきなのか検討。

「漫画村」の4倍規模 違法漫画サイトへの月間アクセス数は4億目前に ABJ調査
「タダ読みされた出版物の被害金額を試算可能な範囲で算出したところ、2021年1月から10月までで7827億円となり、20年の年間被害額である約2100億円を大きく上回っているという。出版業界の諸問題を科学的に調査する出版科学研究所によると、漫画の紙と電子の正規市場の20年の合計金額は、6126億円だったとしている」。

——試算の詳細な手法を確かめていないのだが、この発表によるならば、指摘されている盗用コンテンツから生じている収益が、正規市場で生み出された収益を上回っている可能性があるという。21年(今年)の驚くべき伸長。

A New Publishing Platform for Comic Books Will Give Creators a Greater Stake
米Reddit創業者Alexis Ohanian氏らのVCが出資する、コミックに焦点を当てたパブリッシングプラットフォーム「Zestworld」の話題。コミックス作家らが継続的に収入を得られるように開発。2022年初にもサービス開始をめざすという。すでにSubstackもこの分野を対象にした動きを見せている。
Google、「プライバシーサンドボックス」で独立監視者任命を約束
「英政府競争規制当局の競争・市場庁(CMA)は11月26日(現地時間)、1月から独禁法違反の可能性を調査中の米Googleの『プライバシーサンドボックス』の取り組みについて、Googleから改善したコミットメントを受理したと発表した」。

——GoogleがサードパーティCookie廃止にともなって、開発していた代替技術「プライバシーサンドボックス」。Chromeへの実装が遅れていた理由と、その改善の目途が立ったということに。広告界に新たな動きが生じそうだ。

Disruption This Week—–26/11/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年11月22日から2021年11月26日まで。

Is the music industry's future on the blockchain?
つい先日、私も紹介した楽曲著作権をめぐる新星Royalについて、Casey Newton氏がニューズレター「Platformer」で論評している。同氏は暗号化資産について極めて懐疑的でもあり、興味深い。「NFT」と紹介したが、Royalは「限定デジタル資産(LDA)」という手法を推進する。“リミックス”時代には、この手法で精度高くロイヤルティが得られるとすれば、その意義は大きいものとなる。
NFT音楽著作権のスタートアップRoyalがa16z Cryptoの主導で63.1億円調達、前ラウンドからわずか3カ月 | TechCrunch Japan
「スタートアップ(=Royalのことだろう)によれば、それらのトークンの二次販売がすでに60万ドル(約6890万円)近く行われており、新シングルの暗黙の評価額は600万ドル(約6億8900万円)に達しているという」。

——自分の理解では、Royalは楽曲をめぐる著作権をNFT化して、ファンや投資家に販売できるようにする。すると、NFTを保有するファンらは、楽曲から生じるロイヤルティを受け取ることができるというわけだ。アーティストは、NFT投資家から自身の楽曲の権利を売ることで、早期に収入を得られる。市場を通じて安全に転売をすることを念頭に置くと、NFTの使い道として面白い。

From micropayments to eBooks (and NFTs): How publishers can diversify their revenue | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
米オレゴン州立大教授、Damian Radcliffe氏が出版した『50 Ways to Make Media Pay』から注目の新たな5つのメディア収益化手法を紹介する記事。1) マイクロペイメント、2) ダイナミックペイウォール、3) 電子書籍化、4) アーカイブ活用、5) NFT化による販売が、それだ。
Apple ATT 実装から約四半期、アプリ広告に長い影を落とす | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が最初に引用したアドテクベンダー、ロテーム(Lotame)のデータによると、Facebook、Twitter、YouTube、Snapの4社は、第3四半期および第4四半期に売上の12%(99億ドル:約1.1兆円)を失ったという」。

——AppleによるiOS上での広告ターゲティングに対する抑止策(ATT=App Tracking Transparency)の影響が、全面的にではないにせよ、徐々に広がっている。広告主や広告を稼働させるプラットフォームなどでの受け止めを扱った記事。

Twitter Joins Big Tech Assault on Live-Shopping Startups; Harassment on TikTok
【有料購読者向け記事】:
米国ではクリスマス商戦を念頭に、“ライブコマース”への参入が相次いでいる(もちろん、中国などでのトレンドの後追いではあるが)。Pinterest、Facebook、YouTubeなどでの取り組みに次いで、いよいよTwitterまでが参入との話題。ライブコマースは、“クリエイターエコノミー”の文脈にもあるトレンド。個々のクリエイターが商品、サービスをフォロワーに推奨することでサヤを得るメカニズムだ。
Here’s the Best Strike for Most People
5年前、米New York Timesに買収された商品レビューサイトのWirecutter。当時のNYTのCEOは、Wirecutterを「NYT編集部の高い基準と価値をあらわす」ものと持ち上げたが、待ち受けていたのは、社内で二級市民と見なす視線と孤立だった。同労組はストライキを実施する構えだ。
Washington Post taps its former CMO to lead tech division
米Washington Post、購読と広告に続き、ソフトウェアビジネスを収益の柱へ育成中。同社が開発してきたコンテンツと広告配信システムArcは、1,900以上のライセンス先にまで拡大。今回、同事業を率いるトップにMiki King氏を招聘したとする話題。同氏は以前WaPoでCMOを務めた。
米Wall Street Journal出身の一ジャーナリストJessica Lessin氏が、2013年に立ち上げた完全購読制メディア「The Information」が堅実に成長、22万超の有料購読者を獲得と、同氏が英Financial Timesmに語る。
DuckDuckGo Wants to Stop Apps From Tracking You on Android
Appleは広告やスパイウェアがiOS上でユーザを追跡することを抑制する機構である「App Tracking Transparency(ATT)」を実装。これに対し、Android上で同様の働きをする「App Tracking Protection for Android」を、ユーザプライバシー重視をめざす企業DuckDuckGoが提供へ。同社プロダクトディレクターは、「オンラインであなたを追い回す不気味な広告は、はるかに少なくなるはずだ」と述べる。
Mediumがオーディオ学習プラットフォームのKnowableを買収 | TechCrunch Japan
「Mediumは自身の成果を共有する、収益化可能な新しいフォーマットです。Knowableのレッスンはすぐに消え収益化できないソーシャルオーディオと、大変な労力を要するポッドキャストやオーディオブックとの間に位置するものです。Knowableが制作サイドの難しい部分を担当することで、クリエイターはオーディオに不慣れであってもすばらしいコンテンツを提供できます」。

——Mediumはそもそもブログと課金を組み合わせた出版サービス。最近になって、ショートフォームをはじめとするフォーマットの多様化を手がけるが、音声コンテンツにも。それが教育系コンテンツという点も、示唆的。

Disruption This Week—–19/11/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年11月16日から2021年11月19日まで。

Audiobooks, podcasts gain share of listening time
米13歳以上の消費者が消費する音声コンテンツのうち、ポッドキャスト、オーディオブック、ライブのトークショーなど、「話し言葉」を含むものの割合は、2014年以降40%増加し、他方、楽曲その他の割合は8ポイント減少したとのNPRとEdisonによる最新の共同調査の結果。
Tidal Launches Free Tier, Steps Into User-Centric Payments
アーティスト重視の楽曲ストリーミングである米Tidalが無償版(Free)を追加。Free、HiFi、そしてHiFi Plusの3レイヤーに。HiFi Plusはファンとアーティストを直接結びつけるプレミアム機能を持っており、SpotifyからPatreonまでカバーするような展開へ向かう。
熱狂的な漫画ファンによる「ファン翻訳」が新たな海賊版対策に、小学館がスタートアップとタッグ | DIAMOND SIGNAL
「この取り組みで興味深いのは、作品に対する愛情が深い“ファン”に正規の翻訳版を作ってもらうということ。しかも今回は『もともとは海賊版を作っていた人たち』と交渉し、彼ら彼女らに翻訳を依頼しているというからなおさらだ」。

——良いアプローチ。海外で勝手に翻訳、配布を行う動きケースは、特にコミックでは数限りなくある。金もうけの意図によるケースもあるだろうが、多くは好きすぎて、それを自国のファンに広げようとする“善意”であったりする。この海外ファンの善意を形にしやすいプラットフォームやスキーム作りには可能性が多い。

The Substack scaries are over for media companies
米Information、Atlantic、そしてNew York Timesなど組織ジャーナリズム側は、組織内のライターらがSubstackでの独立にこの数年熱狂してきたことを分析、個人ライターを支援する体制を整備。Substackへと流れたライターらの取り戻しつつあるとする興味深いトレンドを論じる記事。
Information創業者のJessica Lessin氏は、「出版業界の誰もが、送信ボタンを押した後に大変なことが起こることを知っている(書いて公開するだけがメディアの仕事ではないという意味か)」とする。
「イーマーケッターがアメリカのデジタル広告費の予測を上方修正。2021年は前年比38.3%増の2,112億ドルとなる見込み」。

——日本では、2020年との比較は意味ないかもしれないが、米国を見ると、20年前半はパンデミックの影響が甚大だったが、後半は逆に回復基調だった。トータルで、やはりeMarketer調べで「(前年比)4.1%減」だった。それに対して、約4割強。インフレにもなろうというほどの活況だ。(サプライチェーンや資源問題で年後半に減速のはずだが)

A Good Newsletter Exit Strategy Is Hard to Find
Vox、VanityFair、BuzzFeedなどで人気のライターDelia Cai氏が、自身も体験したニューズレターによる独立への熱狂、そして個人メディア維持と購読者への応対問題、そして、Substackからの乗り換え等々の「燃え尽き」の現実を、知人への取材を交え率直に語るエッセイ。
メタヴァースの先導者を自負するロブロックスが、ゲームとエンターテインメントの先に構築する共体験
【有料購読者向け記事】:
「目指したのは、ユーザーが経験を共にするプラットフォームを構築し、当時は存在しなかった新しいカテゴリー、人間の共体験(human co-experience)を切り開くことでした」。

——今年IPOしたRoblox Corporationの創業者らへのインタビュー記事。同社は新興企業と見られがちだが、実は90年代からの歴史と、ユニークなコンセプトを有する企業だ。

Substack says it has more than 1 million paid subscriptions
ニューズレター(メルマガ)配信サービスのSubstack、有料購読者が100万人を突破。昨年12月の25万から大幅に増加した。良質と思えるコンテンツには対価が支払われるとのトレンドを示す一方、頂点の著名人執筆者に購読料の多くが集まるという問題も顕在化と指摘する記事。

Changing Newsrooms

Reuters Institute for the Study of Journalism

Changing Newsrooms
Reuters Institute、パンデミック期間を経て、世界の報道機関(ニュース編集部)がどう変化したか(変化しないか)をリポートする2021年版。13人の経営者・42か国132人のリーダーに訊いた。
ハイブリッドワークへの移行は30%強に止まり、5割近くがエンジニア定着がより困難に、と答えた。
デジタルアートや投稿に破格の値がつく話題の「NFT」とはなにか?(西田 宗千佳)
「NFTと著作権保護を混同し、『NFTがあれば、電子書籍や映像などの流通に関わる違法コピーなどの諸問題が解決する』という言説を見かける。だが、これは明確に間違いだ。著作権保護が必要なら、現状は『著作権保護技術の組み込まれたサービス』が必須であり、NFTはその代替にはならない。著作権保護問題解決の切り札ではありえないのだ」。

——現在起きている“NFTブーム”をめぐり、西田宗千佳氏がその原理と可能性、そして課題についてわかりやすく解説。もちろん、“現在の”というスナップショットの要素を含むものだが。これから安全な流通を担う各種技術やサービスが出現するだろう。

メタバースビジネス動き出す アバターやファッション(写真=ロイター)
【ご紹介】:
連載記事が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。

Disruption This Week—–12/11/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年11月9日から2021年11月12日まで。

「2021年にはフェイスブックの広告収益の半分以上がインスタグラムで発生すると予測」。

——米国市場についてのeMarketerのリポートから。「Facebook文書」が取りざたされているが、メタ(旧Facebook)にとり、Instagramがいかに重要かということがわかる。

The 100k Club: News websites with most subscriptions ranked
英Press Gazetteが英文ベースのデジタル版購読者10万人超メディアのTop30ランキングをアップデート。1位はNew York Timesの760万人、2位は(1年間アップデートなしだが)Washington Postの300万人、3位にWall Street Journal280万人と続く。
Updating The Verge’s background policy
米テクノロジー系メディア「The Verge」、大手ハイテク企業がPRの用いる常套的な手法である「バックグラウンド」をめぐる報道ポリシーの厳格化を発表。“情報源匿名”を前提に種々の恣意的な情報を提供するような大手テック企業の戦術に対抗する。手法の詳細な事例も示した。
New platform launches for business journalists
BtoB向けコンテンツ(ニュース、分析リポートなどホワイトペーパー、ニューズレター)を執筆できるジャーナリストに、購読料シェアはもちろん、固定給与や各種福利厚生サポートを提供して独立を支援する新興企業Workweekの話題。
ブロックチェーン・NFT活用したマンガのファンコミュニティーサービス「GANMA!コミュニティ」正式版が提供開始 | TechCrunch Japan
「『漫画の新たな楽しみ方やファンと漫画の新しい関係性を、ファン主体で創っていくコミュニティ」として、ファン同士の交流や創作活動を促進すると同時に、新しいオークション方式による作品関連のデジタルアイテム(NFT)の販売といったファン体験の実験も行われた」。

——正式サービスインということなので、試行運用の結果が良好だったということなのだろう。希少性のあるアイテムをオンラインで売買できることになると、場の熱量は上がるだろう。

Twitter brings $3 ‘Twitter Blue’ subscriptions to the US | Engadget
Twitter、ヘビーユーザ向け有料版である「Twitter Blue」を米国などでサービスイン。米国で月額3ドル。送信の取り消しや広告なしのTL、買収した「Scroll」などのサービスを提供する。その他ユーザカスタマイズ機能を盛り込んでいる。日本での提供については情報がない。
Exclusive: Backed by NYT, OpenWeb becomes a tech unicorn
イスラエル発でNYに拠点をもつOpenWeb。メディアなどにコメント投稿とユーザとの交流基盤を「Web OS」としてライセンスするテクノロジー企業。新たな資金調達ではNYTも出資し、時価総額11億ドルとなってユニコーンに。ファーストパーティデータのトレンドに乗った格好だ。
McClatchy tries out pre-roll in the audio versions of its articles
「Sacramento Bee」や「Miami Herald」など米ローカル紙を傘下に持つMcClatchyが、電子版サイトに掲載される記事に音声版を読み上げるウィジェットを設置。このCTRが好調なことから、この音声版に広告を挿入することに。
TechRadar editor in chief Swider leaving for Substack newsletter - Talking Biz News
“技術オタク”系メディアとして知られる「TechRadar」。その編集長Matt Swider氏がTechRadarを退任し自身のニューズレター(メルマガ)に専念する。これまでTwitter傘下のRevueで発行していたものを、Substackに丸ごと移行してリスタートするという。編集長自らがメルマガに移行するという、近未来的(?)メディア現象。
絶好調の「マンガ業界」が、“さらなる飛躍”を遂げるための「2つの課題」(飯田 一史) @gendai_biz
「2020年代に入るとジャンプラ、マガポケなど一部の出版社系マンガアプリおよび出版社のマンガ事業(紙、デジタル、ライツすべてを含む)の存在感が増した一方で、結局のところIT企業系マンガアプリからはオリジナルのヒット作が続出するような状況にはなっていない」。

——飯田一史氏の論考。ネタバレのようなことをして恐縮だが、“2つの課題”は、1) 編集部(あるいは編集人)の育成という課題、2) コンテンツの流通とマーケティングという媒体社(あるいは編集部単位)レベルでの不得手(非力さ)という課題、だ。いずれも従来型のメディア業界の全般に通底するものかと思う。

データ活用で描く“新聞の再定義” 毎日新聞社、デジタル人材採用で変革加速へ - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。意欲的にDX進める毎日新聞社を取材しました。ぜひご一読を。
【鈴木健】SNSは、僕らの社会をなめらかにしたのか?
【ご紹介】:
「インターネット業界で『addictive(中毒性がある)』という言葉が、ポジティブな意味で使われていることに対して、私はずっと違和感を持っていました。
中毒患者を増やしてもしょうがない。食品産業では、そんな言葉を使いませんよね」。

——スマートニュースのCEO、鈴木健がNewsPicksのインタビューで、重要なインターネット問題を語りました。有料購読者向け記事なんだけど……。