Disruption This Week—–29/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月25日から2024年11月29日まで。

オーストラリア、16歳未満のSNS利用を禁止-新法が成立へ
「禁止措置の施行はハイテク企業自らが担当する仕組みで、対応を怠った場合は最大5000万豪ドル(約49億2300万円)の罰金が科せられる可能性がある。新法では、ユーザーの年齢をどのように確認するのかについては定められていない」。

——制裁金の額はともかくとして、ユーザーの年齢をどう厳密に認識するのかという、難しい課題が課された法制度。さらに言えば、青少年の言論の自由については、どう整理されたのかが気になるところ。記事は言及していないが、YouTubeは教育などにも活用されており、本規制の対象から逃れたという点も「?」が残る。

Yes, That Viral LinkedIn Post You Read Was Probably AI-Generated
AI検知新興企のOriginality AI、LinkedIn上の長めの英語投稿の54%以上が、AIによって生成された可能性が高いとする分析を示す。分析リポートが米メディアWIREDに提供された。ただし、LinkedIn自体がプレミアムユーザーには生成AIの執筆補助サービスを提供している。
コンテンツクリエイター経済、成長する一方で「脱落者は3年連続で増加」 | どのプラットフォームも「勝者総取りの構造」
「米誌『フォーチュン』によれば、米金融機関『バンク・オブ・アメリカ(BofA)』の顧客のうち、コンテンツクリエイターとして収入を得ている人の割合は、2024年11月現在、0.20%となっており、2021年の0.25%をピークに3年連続で低下している」。

——記事が指摘するのは、パンデミック下で多彩なコンテンツ需要が爆発。だが、それ以降、クリエイターの中でもプロ的な人々による「勝者総取り」状況が生じているという。米国では大物クリエイターは、ほぼ中小のメディア企業的規模に達している。アマとプロの差は広がるのだろう。

Meta Shares Threads Growth Stats to Counter Reports of Bluesky’s Growth
米大統領選(特にその投票日前後の)Blueskyの劇的な成長については、何度か紹介している。対抗する“本命”のMeta Threadsも、成長を繰り返しPR。10月末には2億7500万MAU(月間アクティブユーザー数)を発表後も、11月には3,500万以上のアカウント増と発表。
ビッグテックの合同テロ対策フォーラム、その2年間の混乱のゆくえ
【有料購読者向け記事】:
「2023年3月、メタ・プラットフォームズ、YouTube、ツイッター、マイクロソフトの副社長がZoom会議を行ない、最も強力なライバルのひとつであるTikTokを自分たちのクラブに迎え入れるべきかどうか検討した。4人の副社長はテロ対策グローバル・インターネット・フォーラム(GIFCT)の理事であり、自社のプラットフォームがテロの温床になることを防ぐために情報交換をしている」。

——その後、「X」が離脱したたが、この時期世界の4大プラットフォームが、「テロ対策」を名目とした業界秩序の維持と、ライバル排斥の機能を果たす協議を繰り広げていたことがわかる興味深いリポート。

How Rappler Is Building Its Own Communities to Counter AI and Big Tech
ノーベル賞受賞ジャーナリストMaria Ressa氏、同氏の経営下にあるメディアRapplerで、「Rappler Communities」を開発したと明らかにした。オープンソース、安全、分散型のMatrixプロトコルで構築されたアプリで、世界的な独立したニュース配信機関になる可能性を示すものだと述べる。
「検閲カルテルを解体する」米FCC次期委員長がプラットフォームに突きつける「広範な免責撤廃」
「フェイスブック、グーグル、アップル、マイクロソフトなどは、検閲カルテルで中心的な役割を果たしてきた。ファクトチェック団体や広告代理店とともに、『ニュースガード』という名の(ジョージ・)オーウェル的な組織が、一方的なナラティブ(筋書)を強制する手助けをしてきた。検閲カルテルは解体しなければならない」。

——個人的に注目していたWebサイトの信頼性評価事業者NewsGuardもやり玉に挙げられているのには少々驚き。そのぐらいに、同社の影響力が生じていたということか。さて、「検閲カルテル」の解体の後に残る課題は何だろう? 単なる罵詈雑言を自由放任、放置ですむだろうか。

中国ハッカー、米史上最悪 上院情報委員長が指摘 | 共同通信
「ウォーナー氏(=米上院の情報特別委員長)は、中国系のハッカー集団『ソルト・タイフーン』が米国の通信会社を介した音声通話をリアルタイムで盗聴していると説明。連邦捜査局(FBI)が確認した被害者は150人未満だが、数百万人分の電話やテキストメッセージが傍受されている恐れがあると指摘した」。

——「ソルト・タイフーン」。すでにWSJが事前に報道していたが、その具体的な姿が語られた。

Why is everyone talking about Bluesky right now?
ユーザー数“たったの”2,100万人のSNS「Bluesky」が爆発的に成長中。それも大統領選投票日前後の2週間のできごとだ。Blueskyは、現在、アプリストアでChatGPTとThreadsを抑えて1位の無料アプリとなった。
The Podcast Election | No Mercy / No Malice
「私が(かなり)確信している唯一のことは、若者たちがTrump氏に激しく傾倒するという決断を下す上で、初めて、極めて重要な役割を果たしたメディアは何かということだ。 そして、それがこの記事の主題である」。それはポッドキャストだとする。Scott Galloway氏の論。
「新しい形態のメディアは、定期的に我々の文化や政治を再形成する。 FDR(=ルーズベルトのこと)はラジオを使いこなし、JFK(=ケネディ)はテレビを活用し、レーガンはケーブルニュースに釘付けにした。 オバマはインターネットを通じて若い有権者に活力を与えた。 トランプはツイッターで世界中の注目を集めた。 今年はポッドキャスティングだった」との興味深い記述がある。
(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)難しい記事こそ、簡潔に“見せ”て 藤村厚夫:朝日新聞デジタル
【ご紹介】:
朝日新聞にコラムを寄稿しました。ご一読ください。一般的な読解力をめぐる課題、そして新聞記事の理解しづらさをめぐる課題などについて考えてみました。新聞インサイダーにこそ届けば良いのですが。
SNSに潜む「エコーチェンバー」の危険とは:時事ドットコム
【ご紹介】:
藤村が『メディアリテラシー 吟味思考(クリティカルシンキング)を育む』に執筆した論からの抜粋が掲載されました。数年前に執筆したものですが。よろしければどうぞ。

Disruption This Week—–22/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月18日から2024年11月22日まで。

コムキャストがCATVチャンネル分離へ、MSNBCなど-関係者
「メディア・ケーブルテレビ(CATV)大手の米コムキャストはニュース専門局『MSNBC』や『CNBC』『USA』などのCATVチャンネルをスピンオフ(分離・独立)する計画だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。視聴者や広告主を失いつつあるCATV事業へのエクスポージャーを減らす」。

——Bloombergの報道が出てから、米メディア業界はこの話題で持ちきりだ。各社の経営上の複雑な要因が作用しているため、一概に言えないが、なによりも最大の環境変動要因はCATVの収益構造が弱体化していることだろう。これまで収益性が良すぎたことから変革が遅れたのは、他のレガシーメディアに似ている。ストリーミングの一部がかろうじて黒字化を示すが、安定化するには、独占的な地位獲得が必要になる。

Google Discover has become Reach’s ‘biggest referrer of traffic’
Facebook、InstagramなどSNS、Google検索からの流入が減少していると、多くのメディア担当者が体感している。そんななか、検索を利用したコンテンツフィードの「Google Discover」が存在感を増している。記事は英大手メディア企業Reachの幹部がその影響や特性を語る。
AI detection tool helps journalists identify and combat deepfakes
DeepfakeをAIを用いて検知するジャーナリスト向け無償サービス「TrueMedia」の紹介記事。開発するTrueMedia.orgの創業者はAI研究家Oren Etzioni氏。同氏のコメントなどを紹介。難題はフェイク作成側も検知を回避する方策を生み出してくることだという。
米司法省、グーグルに「クローム」売却を求める方針-関係者
「訴訟はトランプ政権下で提起され、バイデン政権でも継続された。判事が是正案を受け入れれば、オンライン検索市場と急成長するAI業界を一変させかねない」。

——PCなどでは重要アプリであり続けるWebブラウザ。そのシェアトップの「Chrome」は、Googleにとっても、検索、マップ、Gmailなどの重要基盤で、ブラウザ自体は無料だとしても市場の支配力はすさまじい大きさだ。かつてNetscapeを駆逐したMicrosoftとIEの関係が想起される。

Unveiling LIMINAL PANDA - Threats to Telecom Sector | CrowdStrike
米CrowdStrikeの防諜対策幹部、同社が「LIMINAL PANDA」との名称を与えた、重要インフラに対する中国のサイバー脅威アクターについて初めて公開。リポートでは、LIMINAL PANDAのインフラへの侵入の手口など詳細に紹介する。
「2024年米国選挙におけるプラットフォームXのアルゴリズムによる潜在的偏向の計算分析」。
豪Queensland大研究者Timothy Graham氏ら、X(Twitter)が2024年7月に大きくアルゴリズムを変更。オーナーMusk氏によるTrump候補支持表明に符合するとの論文(プレプリント)を公表。
報道経験ないニュース系インフルエンサー、米若者の頼れる情報源に
「ピューの調査によると、30歳未満の成人の約40%が、ニュース系インフルエンサーから時事問題や政治の最新情報を入手している。こうしたインフルエンサーの大半に上る77%は、報道機関に所属せず、メディアでの勤務経験もない。
新たなデータはメディア環境の変化を浮き彫りにした。若者を中心に、政府や社会問題、経済といった重要なニュースについては、非伝統的な情報源の利用が一段と増えている」。

——併せて紹介する米Pew Research自身のリリースブログを参照されたい。

幻冬舎コミックス、Xへの画像投稿は「AI学習阻害・ウォーターマーク付き」で 11月15日の規約変更を理由に
「Xは15日の規約変更により、ユーザーが入力した情報を、AIのトレーニングに利用する旨を明文化する予定だ。しかしXでは、これを嫌って他のSNSに“移住”しようとするユーザーや、投稿する画像にAI学習の阻害処理・ウォーターマークをつけようと呼び掛ける人も見られ…」。

——これもXをめぐる話題なので、遅まきながら紹介しておく。引用箇所にあるように、Xの利用規約がAI学習に強制的に用いられることを嫌っての動き。この種のせめぎ合いがこれから活性化するだろう。Xは、自社のxAIの開発にとどまらず、他のAI開発ベンダーに学習用コンテンツを売って大儲けするオプションを手に入れようとしているわけだ。

Norwegian startup Factiverse wants to fight disinformation with AI
ノルウェーのスタートアップであるFactiverse、米国大統領討論会のライブファクトチェックを提供し、いくつかのメディアパートナーによって利用されたという。同社の技術はLLMとは異なり、情報検索に基づいく別タイプのモデルを構築したと創業者は述べる。
「X」利用者が続々と「ブルースカイ」へ移動 仕組みは? オーナーは? - BBCニュース
「世界各地でかなりの人数がブルースカイのアプリをダウンロードしている。イギリスでは14日、アップルのアプリ市場『AppStore(アップストア)』で、最もダウンロードされた無料アプリになった」。

——Musk氏の振る舞いもあって、Xを離脱する動きが高まっているものの、記事にもあるように、BlueskyがXを脅かす存在になるためには、今後の長期にわたり成長が欠かせない。そのためには、大物たちの寄付に頼る資金源では心許ない。これからがBlueskyの胸突き八丁の上り坂だろう。

Disruption This Week—–16/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月11日から2024年11月15日まで。

Viewers Flee MSNBC, and Flock to Fox News, in Wake of Election
【有料購読者向け記事】:
米TVネットワークMSNBCの選挙日以降の平均視聴者数は55万人で、10月の平均視聴者数と比較すると39%減少 (Nielsen調査)。 プライムタイムでは53%減少だ。一方のFoxでは、一日の平均視聴者数は330万人で38%増加したという。
電通ジャパン・インターナショナルブランズ、広告視聴のアイトラッキングデータに基づいたアテンション調査レポート「広告効果における新指標:アテンションエコノミー]発表
「本調査では、日本国内8000人超のモバイル端末ユーザーを対象に、ディスプレイ、リッチメディア、SNSなど、計7種類の広告フォーマットからユーザーの視線の動きを計測しました。視線追跡、視覚的注意、表情のデータが45種類以上のクリエーティブから収集されました」。

——電通ジャパン・インターナショナルブランズ、新たな広告視聴指標「アテンション」を日本を含む各国でのデータに基づき検証。採取できた特徴や有効性を公開。

米Wall Street Journal、ニュース記事の上部に表示されるAI生成の記事要約を試行中。 要約は、記事の要約を箇条書きにした「Key Points」として表示される。AIツールが作成したと断っている。米メディアのThe Vergeが発見したスクープ。
Social media is a symptom, not a cause
「ソーシャルメディア(SNS)は症状であり、原因ではない」——。米(カナダ)のジャーナリストMathew Ingram氏の論説。2024年の米大統領選をめぐるメディア状況への言及。ファクトチェックが履行されないSNSプラットフォームを非難する言説に対して、分断の原因はSNSでないと。

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか
「若年層(=49歳以下)は特に、YouTubeやVODなどのネット動画アプリへのシフトが加速しています。テレビ受像機でネット動画や映画やスポーツ中継などのオンデマンドサービスを見るというスタイルが徐々に定着しつつあることがうかがえます」。

——あくまでも映像機器メーカーREGZAが提供するデータ上でのトレンドという点に留意。引用箇所は「GT(ゴールデンタイム)・49歳以下の利用率内訳(全体を100%)」のデータを目視した。問題は、大型ディスプレイ搭載の受像機全体の利用状況だろう。

「今やあなたたちがメディアだ」とマスク氏、米大統領選でマスメディアは「敗北」したのか?
「今回の大統領選では、偽誤情報の氾濫とともに注目されたのが、マスメディアの存在感の低下だ。
選挙戦では、トランプ氏、カマラ・ハリス現副大統領とも、著名ポッドキャストへの出演が注目を集め、『ポッドキャスト選挙』の呼び名もついた」。

——「トランプ氏と次期副大統領、J・D・バンス氏が出演したポッドキャストの1つが、人気ランキングトップ、1,600万人のフォロワー数を持つ『ジョー・ローガン・エクスペリエンス』だ。
選挙戦最終盤の10月25日、トランプ氏は約3時間にわたって出演。ユーチューブでの動画視聴回数は4,800万回超に上った」と記事では、その具体的なインパクトを説明している。
この間、何度か私が指摘した“クリエイター”による政治報道が表舞台に上ったということでもある。

Mistral、コンテンツモデレーションAPIをリリース 日本語にも対応
「AI企業のMistral AIは11月7日(現地時間)、コンテンツモデレーション用の新しいAPIをリリースしたと発表した。同社のチャットbot『Le Chat』のモデレーションに使っているものと同じAPIという。
ユーザーはこのAPIを使うことで、特定のアプリや安全基準に合わせてカスタマイズできるようになる」。

——すでにMetaはFacebookやInstagramでこの種のAIモデレーションを実施しているはずだが、理由のわからない(投稿やアカウントの)バンが行われたという悲鳴が上がってもいる。

X Touts Record High Usage on Election Day
米大統領選をめぐるプラットフォーム、勝者はXか? 同社は「過去最高」の使用を喧伝中だ。
SNS年齢制限広がる オーストラリアは16歳未満禁止法案 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「各国で交流サイト(SNS)の使用に年齢制限を設ける動きが広がっている。オーストラリアは近く国家として初めて16歳未満のSNS利用を禁止する法案を提出する。英国や米国の一部州でも議論されている」。

——なぜか日本では、この種のSNS利用が青少年にもたらす悪影響を規制する議論があまり大きな政治問題になっていないように思える。ヘイトなどの発信制御に規制策(の是非)が向かっているようだが、諸外国ではプラットフォームそのものの害悪に目が向けられている。

生成AIで福岡のPR記事作成→“架空の祭りや景色”への指摘が続出 開始1週間で全て削除する事態に
「プロジェクトの公式Xでは『インターネット上の情報をもとに生成AIを活用してメディア記事を作成し、人的確認のうえ発信してきた』と説明。今回の指摘を受け『より正確な情報を提供するため、全てのメディア記事を削除し、発信を一時停止する』としている。なお追記では『生成AIでのメディア作成は一切行わない』との方針も示している」。

——あり得ない地域の混同など、“事実”との齟齬以外にも、画像が「パラレルワールド感すごい」との“評価”。反面教師として使えそうな素材。

Disruption This Week—–9/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月5日から2024年11月8日まで。

AIや独禁法巡る米政策、大きく変化か-身構えるシリコンバレー
「トランプ氏との関係を改善させる方法を見つけた大物もいる。7月13日の暗殺未遂事件に対する同氏の対応を『最高だ』と称賛したメタのマーク・ザッカーバーグCEOだ。そしてフェイスブックは偽情報対策の多くを取りやめた。米紙ワシントン・ポストのオーナーであるベゾス氏は、選挙の2週間前に民主党のハリス副大統領を支持する社説の掲載に待ったをかけた」。

——記事で触れている他の重要なポイントは、AIガバナンスの方向感の急転換だろう。バイデン政権が打ち出した政策をどれくらいひっくり返すのかに注目が集まる。

Musk says Trump’s podcast appearances made ‘big difference’ in election
今回の選挙で見事な勝利を実現したTrump氏。それは、Joe Rogan氏のような人気ポッドキャスターとの自由奔放なインタビューを喜んで受けたおかげでもある、とElon Musk氏は主張する。リスナーはTrump氏の何気ない会話で人物を高評価し、対立候補との違いを見たのだとする。
Publishers hooked on Google Discover traffic risk race to the bottom
世界中の多くのメディア企業にとって、Google Discoverは今や主要なトラフィック源だ。総Googleトラフィックの平均55%をディスカバーが占めている。だが、そこに集中するのは危険だとする記事。Discoverのアルゴリズムはつねに修正され、変動するからだ。
Bloomberg Media launches Bloomberg Live Q&A - Talking Biz News
米Bloomberg Media、最大4人のジャーナリストがその週の主要な経済からハイテクなどのトピックを議論するライブ番組Bloomberg Live Q&Aを開始する。有料購読者はジャーナリストに質問ができる。聴取だけなら無料も可だという。
マスク氏とX、米大統領選偽情報の発信地=専門家
「米実業家イーロン・マスク氏が自身のソーシャルメディア『X』に投稿した米大統領選に関する偽情報や誤解を招く情報が、今年20億回閲覧されるなど、Xが偽情報の発信地となっていることが、非営利団体『センター・フォー・カウンタリング・デジタル・ヘイト(CCDH)』の調べで分かった。
選挙と偽情報の専門家らが4日語ったところでは、選挙結果を左右しそうな7つの激戦州における偽情報の拡散でも、Xが中心的な役割を担っている」。

——強力なインフルエンサーが、自身が保有するプラットフォームを活用して引き起こす化学反応。まさに恐れられていた現代の脅威の一つを、われわれは目撃しているのかもしれない。

「AIエージェント」続々登場 富士通やNTTデータ提供、仕事の進め方に変化迫る 編集委員 吉川和輝 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「人工知能(AI)が人の具体的な指示なしに自律的に仕事を進める『AIエージェント』が広がりを見せている。AIによるパソコンの自動操作や、企業のAIエージェント開発を支援するサービスも登場」。

——個人的にもエージェントは、一人一サービス、もしくはその得意不得意に応じて一人の利用者が複数サービスを使う時代になるのではと想像する。サブスク型のビジネスに発展していくのでは?

Inside Dow Jones’s AI governance strategy, with Ingrid Verschuren
1年半前に結成された「AI運営委員会」は、米Dow Jonesの組織全体から集まった10人のメンバーで構成され、内および社外におけるジェネレーティブAIの使用事例を評価していると、同社データ・AI担当幹部は述べているという。
AI音声合成サービス「DMMボイス」盛況 公開4日で700万文字の音声を生成 アプリやAPIの提供も計画
「原田さんは、DMMボイスを使った作品を公開しているX上の投稿を紹介しながら『実際DMMボイスを触っているとわかるのですが、すごく楽しいんですよね。声がリアル過ぎて本格的な動画を簡単に作れるので、作り始めると止まらない癖になるサービスです』という」。

——楽しそうだ。この種のサービスを用いて、より凝った作品が生まれていきそうな予感。社会的な安全性を担保するための歯止めをどの辺りに差し込んでいくのか、オープンに議論されるべき。

NYタイムズ、デジタル購読者数伸び鈍化 不透明な経済情勢受け
「米紙ニューヨーク・タイムズが4日発表した第3・四半期決算は、デジタル購読者数の伸びが鈍化し、市場予想を下回った。不透明な経済情勢を受け、消費者が支出を削減していることが背景にある。
デジタル版のみの購読者数は26万人増。前四半期は30万人増だった。ビジブル・アルファのまとめたアナリスト予想は28万200人増」。

——NYTimesの躍進にやや陰り? のちほど紹介するが、自社IRでは買収したスポーツメディアが黒字化、総購読者数が1,100万の大台乗せなどプラスの材料も。

Exclusive: Walt Disney forms business unit to coordinate use of AI, augmented reality
すでに紹介したように、米Walt DisneyがAIやXR(拡張現実)などの新興技術の利用をコーディネートする組織Office of Technology Enablementの設立を公表。従業員は100人程度になる見込みだとの内部情報も。

Disruption This Week—–1/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年10月28日から2024年11月1日まで。

オープンAI、ChatGPTに検索機能を追加-グーグルへの対抗強化
「オープンAIの『4o』モデルを利用した新たな検索機能はまず、有料サービス『ChatGPT Plus』と『Team』の加入者向けに31日からモバイルとウェブで提供される。無料ユーザーは今後数カ月内にアクセスできるようになる。同社の発表を受けて、アルファベットの株価は一時1.9%下落」。

——ChatGPTの有料バージョンに、「AI検索」機能が追加。わかりづらいが、要するに、従来のChatGPTでは(ニュースなど)最新情報は対象外だったが、それが最新情報にまで拡張されるというのがポイント。驚きは、これを受けてGoogleの株価が下落したこと。やはりAIが従来の検索ビジネスの脅威だと、市場も認識しているということだ。

Exploiting Meta’s Weaknesses, Deceptive Political Ads Thrived on Facebook and Instagram in Run-Up to Election
米メディアProPublica、米国内で8つの偽広告ネットワークが、340以上のFacebookページに16万以上の選挙広告とディープフェイクを用いた政治・社会問題広告を掲載と報道。広告をクリックして毎月のクレジットカード請求にサインアップさせられたりとの被害も生じているという。
How The New York Times is using generative AI as a reporting tool
米New York Timesは、AIを報道にどう用いているか——共和党・Trump陣営の選挙活動を批判するため、同メディアは共和党の活動家らの数年にわたる会議の動画記録(およそ400時間)を入手。単純な文字起こしに始まり、その概要把握にLLMを活用し、調査報道に結びつけたとする記事。
アメリカ大統領選挙、マスコミ信頼度が過去最低 主戦場はSNSに - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「最終盤を迎えた米大統領選で、共和党のトランプ前大統領、民主党のハリス副大統領の両候補はマスメディア以外での情報発信に力を入れている。ポッドキャストや動画共有サイト『ユーチューブ』などSNS上で人気のある人物との連携が、有権者に接近する近道となっているためだ」。

——度々紹介しているが、米大統領選では、SNSなどのプラットフォーム上で人気を得ているクリエイターの役割が大きな注目を集めている。背景には、従来メディアへの不信が、計量的にも示されている。

オープンAI、収入全体の75%は消費者の有料サービス利用-CFO
「(OpenAIの)フライヤーCFOは28日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、オープンAIの収入全体の約75%が消費者のサブスクリプション(定額課金)によるものだと説明。同社の対話型AI『ChatGPT(チャットGPT)』の消費者向け有料プランは現在、月額20ドル(約3060円)からとなっている」。

——では法人向け事業はどのような状態なのか? といえば、「同社は9月、ChatGPTの法人向けバージョンで有料ユーザー数が100万を突破したと発表した」と記事にある。いずれもOpenAIの直販事業を指していると思うが、一方で、大株主のMicrosoftは法人向けビジネスに強いはずだが。OpenAIの収入基盤は強固だ。

バイデン政権、AIに関する国家安全保障覚書を発表
「AI NSM(=国家安全保障覚書)は、安全で信頼できるAI開発における米国のリーダーシップ確保、国家安全保障目標達成のための強力なAIの活用、世界的に有益な国際的なAIガバナンス枠組みの促進という3つの柱に基づいて、具体的な行動を指示するものだ」。

——すでに紹介したが、米国は(特に中国を念頭に)AI開発による安保上の優位性を保つ一方、AIが持つリスクを抑え込むための統治を強化しなければならないという、両極の課題を自覚。その課題に明文的に対処を始めた。

Disney Poised to Announce Major AI Initiative | Exclusive
米Disney、制作者向けの大規模なAIイニシアティブの発表を準備中と、米メディアThe Warpがスクープ。この構想は、クリエイティブワーク(特にポストプロダクションと視覚効果)を一変させるような大規模なもので、同社従業員数百名が携わっているものだという。
「AIゴーストライター」が侵食する創作市場 編集委員 瀬川奈都子 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「『本当に人が作った曲ですか』。音楽著作権管理のNexTone(ネクストーン)の担当者は、都内の音楽出版社に出向き確認した。生成AIが国内で普及し始めたこの1〜2年、この出版社は毎月のように数千曲もの作品登録申請を続けている」。

——登録申請を求める楽曲の、そのオリジナリティを審査する仕組み自体にも、AIの能力が必要なのではないか。近未来的に見える世界が、すでに現実になっている。

Joe Rogan Takes Center Stage in an Election Season Dominated by Podcasts
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2024年の米大統領選では、マスメディア以上にクリエイターの役割、とりわけポッドキャスターの存在が大きく注目された。SpotifyやYouTubeなどで1,500万人ものリスナーを集めるNo.1ポッドキャスターJoe Rogan氏の番組に、Trump氏が出演した。Rogan氏は、Harris氏にも出演を求めているが、難航しているという。
バイデン政権、安保強化でAI活用へ-軍事・スパイ対策で官民協力
「バイデン米政権は24日公表した国家安全保障に関する新たな覚書で、軍事および情報収集目的での人工知能(AI)の採用を加速させる必要があると指摘し、各政府機関に強力なシステムを安全な方法で速やかに展開するよう指示した」。

——昨今、テクノロジーの話題は、そのまま安全保障の話題として登場する。テクノロジーが安保課題となるまでのサイクルが超短縮されているのだ。AIがその例。いまやAIは米国にとって、対立国への戦略優位性の源泉だが、同時にいかに統制していくかの悩ましい課題でもある。

「人工知能と人間のよりよい共生のために」久木田水生 - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
スマートニュースメディア研究所が開催している「AIと人間のあいだ」研究会からの、新たな論考です。名古屋大学の久木田水生氏「人工知能と人間のよりよい共生のために」。
是非ご一読を。