Disruption This Week—–13/10/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年10月10日から2023年10月13日まで。

More Social Networks Are Charging for Ad-Free Apps
【有料購読者向け記事】:
かつて無料利用、広告収益が当たり前だったSNS。それが一時期の広告市況の悪化と、ターゲティング技術活用への規制などで有料化を試みるSNSが増えている。記事は9つの著名SNSで7つまでが有料化を試行中と一覧表で示す。
YouTube passes Netflix as top video source for teens
米投資銀Piper Sandlerの調査では、米国の十代青少年の動画視聴は、NetflixよりYouTubeを用いることが分かった。データは、動画配信ビジネスの競争激化と、特に若者の間で、無料プロバイダーとしてのYouTubeの強力なポジションを示すものとする記事。
1日3分で世界がわかる「Minutes by NIKKEI」11月創刊 - 日本経済新聞
「日経電子版を読む人からは『ニュースが多すぎて読み切れない』『これまでの経緯がわからなくて難しく感じる』といった声が寄せられます。そのお悩みに応えるために、新しいメディアをつくりました」。

——数分で読み切れるニュース解説。日経新聞が、新たに有料購読メディアを5つ立ち上げた。基本的には有料購読ニューズレターをベースにしたもので、この「Minutes by NIKKEI」以外はジャンルを絞ったもの。興味深いアプローチ。

ChatGPT誕生に遙かに先行して、AP通信は小規模メディア組織向けに「ローカルニュースAIイニシアティブ」を形成。200近い小規模編集部のニーズを分析。さまざまな応募から、テープ書き起こしや議事録自動生成など5つのAI搭載プロダクトを公開した。
Here’s What the Washington Post Job Cuts Will Look Like
昨日も紹介したように、米Washington Postは早期退職勧奨プログラムで240名もの人員削減に乗り出す。労組との険悪な説明会の席上、同社暫定CEOのPatty Stonesifer氏は「これは本当に良いビジネスなのだが、経費をオーバーしてしまった」と述べたとする報道。
AI自動吹き替えツール「AI Dubbing」登場--話し手の声を維持して音声を翻訳
「ElevenLabsは米国時間10月10日、『AI Dubbing』を発表した。元の話し手の声、話し方、感情、イントネーションはそのままで、発言内容を別の言語に変換できる。言語をわずか数分で変換することにより、世界中の人々がお気に入りのコンテンツを母国語で楽しめるようにすることが狙いだ」。

——カバーする20種類以上の言語には、日本語も含まれるという。気になる対価だが、従量制をとるということだ。

今次の大規模なガザ紛争でも、SNS上にニセのニュースや動画像が多く出現。投稿コンテンツに対する監視を弱めたX(旧Twitter)に対して、Threadsへの期待が高まるが、事業責任者Adam Mosseri氏は「反ニュースではないが、ニュースへの傾倒は避ける」と方針を改めて述べる。
米Michigan州をカバーするオンライン・ローカルニュースメディア「Bridge Michigan」、編集者1名・記者1名の同メディアが、わずか12年で購読者125,000人、9,000人超の個人寄付者に支えられ、最大級の市民向けニュース・プロバイダーに成長。きっかけはコミュニティイベントの開催からだという。
BBC Will Block ChatGPT AI From Scraping Its Content
英BBCも、同社サイトのコンテンツをジェネレーティブAI(このケースではOpenAI)企業がクロールすることをオプトアウト(拒否)したとする報道。記事は一方で、これらメディア企業は、そもそもコントロール不可能なものをコントロールしようとしているのだと論評。
AI によるコンテンツ収集を止める効果的な手段はない? 懐疑の目を向けるメディアたち | DIGIDAY[日本版]
「あるパブリッシャー幹部はDIGIDAYの取材に対し、合わせて8つのシンジケーションアプリ、ウェブサイトでコンテンツを配信していると述べている。コンテンツはすでに発見しやすくなっているため、オープンAIのウェブクローラーをブロックするという保護策は無駄な努力だったように感じられるとパブリッシャー幹部は口をそろえる」。

——何度か紹介しているように、OpenAIらはジェネレーティブAIの学習用にクローラ(ボット)を明示しており、そのオプトアウトオプションも公開している。これをもちいて各メディアは一斉にオプトアウトに走っているが、記事はそれがそもそも「無意味では?」と指摘する。

Disruption This Week—–7/10/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年10月2日から2023年10月6日まで。

AI content editing is the hot freelance side hustle as businesses and individuals look to give their ChatGPT content a 'human touch'
これ、注目すべき興味深い“異変”。過去6か月間で、AIコンテンツ編集スキルを持つフリーランサーを求める企業や個人による「Fiverr」の検索数は、米国で7,000%以上の伸びを含め、全世界で10,000%以上増加した。Fiverrは、フリーランサーのマッチングプラットフォームだ。記事は背景に、AI生成コンテンツの人間によるチェック、もしくは人間的な風味を加える編集作業の需要が伸びていることを示唆する。
昨日、述べたように、人間のAI化(AI化社会への人間社会の最適化)トレンドのように見える。

あらゆるGoogleツールでユーザ操作を代行、ジェネレーティブAI搭載の「Assistant with Bard」公開へ

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

あらゆるGoogleツールでユーザ操作を代行、ジェネレーティブAI搭載の「Assistant with Bard」公開へ
「Google と Amazon の両社は、近年急速に成長している音声アシスタント市場で競合している。スマートスピーカーやスマートフォン、その他のデバイスを使って音声で情報やサービスにアクセスする人が増えているためだ。Insider Intelligence のレポートによると、昨年、アメリカの成人1億2350万人が月に1回以上、音声アシスタントを利用したという」。

ーー一時期、Amazonも匙を投げかけたスマートスピーカーなどAlexa商品群が、ジェネレーティブAIの誕生で息を吹き返している。吹き返したどころか、人間に忠実なアシスタントとしてのジェネレーティブAI本道の生き方を見せようとしている。
GoogleのBardも、Googleの各製品に対する汎用的なインターフェイスへと進化しようとする道筋を示し始めている。WindowsへのCopilot搭載も同様のコンセプトと見るべきかもしれない。

X(Twitter)、リンク付きポストから見出しを削除 画像とドメインのみの表示に変更
「例えばメディアのアカウントが記事へのリンク付き投稿をした場合、これまではリンク先のメディア名や記事の見出しなどを自動表示していたが、画像とドメイン名だけが表示される仕様に変更。見出しは非表示となった」。

——最近はなるべくお騒がせのX(旧Twitter)をめぐるあれこれに触れないようにしてきた。だが、これは自分の(SNS上での)投稿活動に直接関わるので、紹介しておく。
従来、(主に商業サイトの)記事リンクをXのポストに含めておくと、記事の中心画像、媒体名、記事タイトル、そして書き出しの一部などがカードとして表示される仕様だった。それがMusk御大の意向で、画像のみの表示となったという。どうやら、記事のタイトルや記事の一端が自動表示されるのが、煩い、もしくは気に障るということらしい。
こうなると、文字数制限下での“キュレーション”行為が損なわれてしまう。いまさらMusk氏の恣意的判断の是非を論じる気はないが、このままX自体が沈んでしまうようであれば、避難せざるを得ない。

「週刊文春 電子版」寄付プラン好調!

プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

「週刊文春 電子版」寄付プラン好調!
「開始約2カ月にもかかわらず、9月末ですでに350万円超の寄付が集まっています。人数は延べ500人に迫り、ひとりで10万円や20万円、中には100万円の寄付もありました。
寄付プランがスタートした背景には、これからもしっかりとした調査報道を続けたいという編集部の思いがあります」。

――感心する。額の多寡はともかくとして、果敢な報道成果に対して“寄付”がそれなりに集まることは
見逃せない現象だ。

Spotify spotted developing AI-generated playlists created with prompts | TechCrunch
音楽配信のSpotify、AI生成音声によるディスクジョッキー機能を開発中と、春に紹介した。同社は本気のようでユーザーの反応を見てより踏み込む。プロンプトにより好みのプレイリスト生成なども試行するという。
Mr. Beast and Tom Hanks warn about AI deepfake ads using their likenesses | Semafor
俳優のTom Hanks氏、CBSの司会者Gayle King氏や人気ユーチューバーMrBeast氏らのディープフェイク動画が、次々とTikTok内の広告などで使われ始めている。俳優たちが「自分の動画に欺されないように」と警告を発する事態に。
WSJ News Exclusive | Meta Plans to Charge $14 a Month for Ad-Free Instagram or Facebook
【有料購読者向け記事】:
「Instagramを広告なしでスマホで使うために、人々は月14ドル近く払うだろうか?InstagramとFacebookをPCで使うなら、月17ドル近く払うというのはどうだろう?」。MetaがEU規制当局者との会合で計画を共有したとする報道。
この記事書いたのだあれ? 新聞記者署名記事年鑑 朝日新聞 2023年9月暫定版 全データ公開|田中裕士
「書き手の記者にとっても、読者が署名に注目しているという意識が高まれば、社として間違いのない記事かという視点のほかに、私の名前で出す記事としてブレていないか、といった視点が加わるのではないでしょうか。人生100年時代、ずっとひとつの会社で働き続けることが難しくなってくるなか、記者のキャリアの描き方が多様になる流れを応援することになるかも知れません」。

——これは本当に興味深い試み。実際、朝日新聞は紙面・デジタル両方で署名記事を増やしている。これは善きことと評価しているが、他方、その意義の向かうところを描き切れていない(記者ポートフォリオページの設置など)。もちろん、名前(や顔)を明示することのリスクもあることは承知の上で、これを優れた記者を析出する手法として前向きに評価したい。

「『 Good Childhood Report』によれば、世界について肯定的に感じている子どもは36%に過ぎない。ニュースの第一の目的が、私たちにどのような感情を抱かせるかにあるわけではないが、ニュース・リテラシー教育に感情的理解を取り入れることは不可欠である」。

——青少年の肯定的感情を守る、という観点でのニュースのあり方を議論する「ニュースリテラシー・ラボ」からのメッセージ。

先日紹介したReuters Instituteによる20か国調査に加え米英独3か国の若年層が、経済的理由からストリーミングなど各種購読リストからまずどれを外すと判断するかと問われ、「ニュース」と答える傾向をインタビューで示した。
「ニュース消費はしばしば否定的で暗い性質を持つ」ことなどに調査研究者らは注目、解説する。

Disruption This Week—–22/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年9月19日から2023年9月22日まで。

生成AIが開くメディアの新展開 
校條 諭氏:
「コタツ記事のライターではない、記者の『命』は、今後いくら技術が発展しようが、現場に出かけていって、取材対象に身体的に向き合うところにあるでしょう。この身体性や現場性というのがAIにはできない、記者の最後の砦だと思います」。

——長年、メディアについての考察を深めてきた校條さんの、最新アップデート。藤村の論にも言及していただきました。

ヤフーはメディアに対して「優越的地位にある可能性」 公取委が調査:朝日新聞デジタル
「・ニュースポータルサイトの運営事業者がメディア各社に支払うニュース使用料の平均は1千PV(閲覧数)あたり124円(最大251円、最少49円)
・消費者がニュースを得るサービスは検索サイトが54%、ポータルサイトが35%。報道機関などのサイトは計2%にとどまる」。

——私(藤村)が業務上関係するスマートニュースについても触れているので、コメントは差し控えたいが、朝日新聞の記事は引用した箇所を含み、記事文末で詳しい調査結果のまとめを試みている。参照されたい。

YouTube Shorts to gain a generative AI feature called Dream Screen | TechCrunch
YouTube、ジェネレーティブAIによりテキストから(動)画像を生成する機能「Dream Screen」を発表。同社CEOのNeal Mohan氏が、同社が開催したライブイベント で、「コーヒーを飲むパンダ」などと入力すると、その画像が表示されるのをデモした。
スマートスピーカーに生成AI、Amazonが先行 会話を記憶、ボディランゲージやアイコンタクトも理解
「従来のAlexaは会話内容を記憶せず、質問→応答の1往復しかできなかった他、応答パターンにも制限があった。生成AIの搭載により何往復も会話が可能になるだけでなく、ボディランゲージやアイコンタクトといった非言語的な合図も、Alexa搭載スマートスピーカー『Echo』のカメラや人感センサーなどから情報を得て理解するとしている」。

——米Amazon、AmazonLLMを発表。と同時に、“その後”が懸念されていたAlexaのジェネレーティブAI版もスマートスピーカー製品に追加、強化していく姿勢を見せた。「ヘイ、シリー」「アレクサ」といった気恥ずかしくなるような起動語が不要になっていくことは、普及の観点からも望まれていたことだ。

Newsroom Generative AI Lead
米New York Times、募集職種に「編集部:ジェネレーティブAIリード」職を追加。小規模チームを管理するリーダー職で、編集部内ではシニアエディタに相当。編集部全体で取り組むAIによる編集制作や読者対策の実験に取り組む。職務記述が整理されているので参照しておくべきだろう。
GoogleのチャットAI「Bard」、GmailやGoogleドライブの拡張機能に 画像質問も日本語対応
「Google Japanは9月19日、Googleの生成AIチャット『Bard』の新機能としてGmailやGoogle ドライブなどのGoogleアプリの拡張機能を発表した。Bardがユーザーの指示に従い、ユーザーのGmailやドライブ内のファイルなどを参照し、回答を生成するという」。

——まずは英語版の提供からだというので、慌てずに様子を見たい。それにしても、検索のパーソナライズがそうであるように、Googleにこれを任せていると、同社全サービスでの自分の情報が見事に過去にさかのぼって利用対象になることは間違いない。

弊社の記事に関するお詫びとお知らせ | The HEADLINE
「複数の報道機関に掲載された文章をそのまま用い、剽窃・盗用に該当すると言える箇所が確認されたことに端を発します。当該記事は本誌記者による執筆ではなく、弊誌がβ版として開発・検証をおこなっていた生成系AI によって生成された記事です」。

——The HEADLINEの告知記事から。「データと専門知に基づく、信頼性の高い洞察」を特長と謳う同メディアだが、それを損ねる結果となったようだ。紹介する告知のようにていねいに事情を説明しているなど、「信頼性」を高めるスタンスも伝わるのだが。これを含めて、私の主張は、あらかじめ、どうジェネレーティブAIを活用する(しない)のかを読者に明言しておくことが必要だということ。

As AI enters newsrooms, unions push for worker protections - Poynter
AP通信、Wall Street Journal、LA Timesの編集スタッフら数百人のジャーナリストを代表する労働組合が、今夏、AIに対応する契約条項を提案した。少なくとも1つの組合は交渉を締結させたという。俳優、脚本作家に続きジャーナリストも反AIの動きを顕在化させているとする記事。
「生成AI」活用か排除か 悩む米メディア、対応割れる - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「コンテンツ利用の対価を受け取る枠組みをつくるために、業界が団結してIT大手と交渉を進める計画も持ち上がる。
だが企業間で足並みはそろわない。8月には、米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)が団体交渉には参加しない意向であると報じられた」。

——ジェネレーティブAIを開発、提供するIT企業とメディア産業、あるいはメディア各社の関係を概観した記事。新技術を口を極めて批判するメディア(連合)がある一方、個々に提携、交渉する動きも生じている。世界で同時多発的に生じている動きがどう転がるか、注目の事態だ。

アメブロ、ピクシブ、楽天ブログ…「ハワイの山火事は気象兵器」中国発の陰謀論、日本も標的
「『スパモフラージュ』は50以上のプラットフォームで展開されるという親中国の影響工作ネットワークだ。フェイスブックや米ネット調査会社『グラフィカ』が2019年から継続的に監視を続けている」。

——中国現政権寄りの大規模ニセ情報ネットワーク「スパモフラージュ」。中には日本語発信のものもあるという。AI自動翻訳と見られるとの記事。「汚染水」がらみあるようで、日本も影響工作の対象であることは明らかだ。

JEPA|日本電子出版協会  2023年9月19日 藤村厚夫氏: 生成AIとメディアの現在、未来
【ご紹介】:
つい先日オンラインで行った講演の動画が公開されています。資料もダウンロードできます。貴重な機会を提供していただいた日本電子出版協会に感謝いたします。

Disruption This Week—–8/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年9月4日から2023年9月8日まで。

How an innovative Armenian platform battles news fatigue with solutions journalism
アルバニアのメディア「Urbanista」は、問題解決に焦点をあてた小規模でニッチなジャーナリズム・プラットフォームだ。この種のソリューションジャーナリズムは世界的に増えつつある。多くのレガシーメディアには、“ニュース疲れ”に抗する動きが生じていないと指摘する記事。
米アルファベット、選挙広告のAI生成コンテンツに情報開示義務付け
「グーグルの親会社、米アルファベットは6日、選挙広告を出す全ての広告主に対し、11月半ば以降、広告に人工知能(AI)が生成したコンテンツが含まれる場合には明確かつ目立つ情報開示文を付記するよう義務付けると発表した」。

——広告主に対するコントロール。問題はUGC(による投稿)の部分だろう。

米ニューズ、AI企業と交渉中 コンテンツ利用巡り=CEO
「トムソンCEOはゴールドマン・サックス主催のテクノロジー会議で、今後AI企業によるメディア企業のコンテンツ利用を巡る訴訟が多発する可能性があるとし、『すでにメディア企業の一角はそうした議論を始めている』と指摘。『個人的には、われわれは現段階ではそうした状況に関心はなく、交渉への関心の方が強い』と語った」。

——カンファレンス上でのNews Corp幹部の発言を捉えた記事のようだ。訴訟より交渉をとるというスタンス。どのAI企業との定型化は明かしていないようだ。

グーグルがAI生成画像に電子透かし、大手テック企業で初
【有料購読者向け記事】:
「シンスID(SynthID)と呼ばれるこのツールは、当初はグーグル・クラウドの機械学習プラットフォームであるバーテックス(Vertex)でホストされているAI画像生成ツール、イメージェン(Imagen)のユーザーのみ利用できる」。

——生成された画像に電子透かしを入れるアプローチ。残念ながら独自製品に組み込むプロプライエタリな動きで、広がるかどうか。さらに言えば、この種の電子透かし開発プロジェクトは数種類あるが、テキストに応用できる見込みは立っていない。

Publisher playbook on how to kickstart your AI strategy
メディア企業は「AIの能力を活用して、プロセスを変革、効率を最大化し、深く刺さるユーザー中心のコンテンツを提供する可能性を得ることができる」。ではそのための阻害因子は何か? 英FTのコンサル企業による調査から3つのポイントから解説する記事。
日本にも「ニュース砂漠」は生じるか 愛媛の港町で民放が打った奇策:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「以前なら、できあがった原稿と映像は自分が所属するテレビ愛媛の本社(松山市)に送っていた。
だが今は、ライバルだった県内の他の民放3局(南海放送、愛媛朝日テレビ、あいテレビ)の本社にも一斉に届ける」。

——重要な試み。ニュース(報道)の健全性維持のためには、取材が完全に1本化されることは必ずしも良くないが、NHKと他局の連合報道というようなスキームは、悪くない。その先にはNHKの報道基盤を公共インフラ化するという発想もあり得る。

Non-news sites expose people to more political content than news sites. Why?
人々は近年、ますます“ニュース忌避”を強めている。とりわけ政治関連報道は嫌われている。米国を含む欧州3か国での調査から、ニュースサイト以外での政治ニュースへの接触が圧倒的に大きいことが判明。たとえばエンタメ、ショッピングサイトでの接触だとする研究が公開された。
「ニュースを盗む」生成AIで検索最適化、それをブランド広告が支える仕組みとは?
「『コンテンツファーム』は、ニューヨーク・タイムズなどのニュース記事を自動収集。生成AIを使って、検索エンジンで上位に表示されるように書き換えさせた上で、無断掲載していた。
盗用記事には主要ブランドの広告が掲載され、それらのサイトを支える仕組みになっている」。

——有名サイトでの報道記事を“学習”し、それを広告収入狙いのサイトで大量にニュース記事として公開する、新手のコンテンツファームの事例。面白いのはどうやってAI生成記事を見つけたかというと、ニセニュース中に生成AIのエラーメッセージがそのまま残存しているのを目安にしたということらしい。

生成AIの自社ルールの作り方 米AP通信の例 「“何をさせないか”を明らかに」
「AP通信は通信社であり、当然ながら生成AIの用途についても、配信する記事を執筆することの支援が中心になると考えられる。発表されたガイダンスも、そのユースケースを前提とした内容に限定されたものだ。しかしそこで示されている注意事項は、他の業界の生成AIユーザーにとっても参考となるものだろう」。

——老舗通信社APが定めたジェネレーティブAIをめぐる「ガイダンス」。小林啓倫氏が詳しく解説している。

Googleによる新たな検索体験。知りたいことを検索すれば生成AIが要約してくれるように
「AIが要約してくれた文章からさらに詳しく聞きたい場合は、追加で聞いてみましょう。
上の動画では『iPhone 15 予想』と検索して、生成AIによるまとめを表示しました。
これまでの聞こえてきたiPhone 15の噂から『新機種のモデル』『予想価格』『新たなProMotionディスプレイ搭載の可能性』などの情報をまとめてくれています」。

——あくまで試行運用と思われるが、“会話型AI検索”の姿が伝わってくる。調べたいことを深掘りしていくには向いていそうだ。一方で、知りたいことを知らない、という利用者にとってセレンディピティを与えるサービスの実装がより一層重要になる。

動画配信、ネット接続型テレビの市場広げる - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙に寄稿した記事が、日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ 動画配信、ネット接続型テレビの市場広げる。
JEPA|日本電子出版協会  2023年9月19日 藤村厚夫氏: 生成AIとメディアの現在、未来
【ご紹介】:
9月19日、オンラインセミナーで「生成AIとメディアの現在、未来」のお話をいたします。オンラインでどなたでも参加いただけるようです。

Disruption This Week—–1/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年8月28日から2023年9月1日まで。

出版状況クロニクル184(2023年8月1日~8月31日) - 出版・読書メモランダム
「上半期電子出版市場は2542億円、同8.3%増だが、電子書籍、電子雑誌は前年に続いていずれもマイナスで、やはり電子出版市場自体がコミック次第ということになる。
電子コミックは各ストアの販売施策、オリジナル作品の強化、縦スクロールコミックの伸長などによって成長が続いているとされる」。

——先ほど投稿したメディアドゥ幹部の論説と連関するファクト。電子書籍市場にイノベーションが起きていないという問題。

JEPA|日本電子出版協会  紙雑誌と電子コミックの現在が示す出版の未来
「ここからが本題です。電子コミックはなぜこんなに売上が伸びたのでしょう? 紙のコミックが電子に置き替わったというだけでは、市場全体が1.53倍になったことの説明がつきません。
…しかし私は、電子コミックの流通におけるビジネスモデルの革新が大きな理由のひとつだと考えています。合本によるまとめ買い、分冊による話売り、読み放題のサブスクリプションモデル、待てば無料などの連載、大胆な無料施策と価格政策、極めつけは縦スクロールという新しい形式です」。

——メディアドゥ取締役副社長 COOの新名 新氏の論。刺激的な内容。

Meta Removes Over 7,500 Facebook Accounts Linked To Chinese Influence Campaign
Metaは、米英・台湾などを標的とする中国政権の主張に沿った影響力キャンペーンに従事した「Spamouflage」と呼ばれるネットワークに属する7,704のFacebookアカウント、954のFacebookページ、15のFacebookグループ、15のInstagramアカウントを削除したことを発表。もちろん、過去最大級のネットワークと見られる。
東大発AIベンチャー、最大級の日本語LLM公開 metaの「Llama 2」を日本語化
「Llama 2の中では最も小さい70億パラメータのモデルを使用したが、性能評価では1750億パラメータを持つ『GPT-3.5 (text-davinci-003)』に匹敵するスコアを叩き出した。『日本語の公開モデルの中では最高水準の性能』」。

——日本語に特化したLLMが(複数)誕生するのは嬉しい。Llamaがベースになっているというのだから、Metaさまさまだ。ELYZAの公開(提供)方法については取りざたされた経緯がある。どのようなビジネスモデルとなっていくのだろうか。

The Washington Post lays off staff from tech arm | Semafor
米Washington Post、かつて同社の虎の子ともてはやされてきた出版システム「arcXP」など技術部門を密かに解体、主要メンバーを解雇していたと、米Semaforがスクープ。昨年、同システムをめぐっては売却案が取りざたされたがそれを同社は却下し、レイオフに踏み切ったわけだ。
メディア環境18年の変化「メディア定点調査」を一般公開|ニュースリリース|博報堂DYメディアパートナーズ
「今回の一般公開にともない、過去18年分の回答値を全体・性別・年代別に一覧できる数表(集計データ)と、時系列グラフを自動で簡単に作成できるプログラムを提供する。数表とプログラムは、同研究所のウェブサイトから、自由にダウンロードが可能」。

——ありがたい試み。ちょうど、総務省「情報通信白書」の過去からのデータ(転記してきた)をアップデートしようとしていたところ。このデータで代替できるわけではないが、この種のデータサービスが充実すると、メディアをめぐる論点が多様化する効果も期待できる。

フェイクニュースにだまされないための「予防接種」とは
「(ウィリアム・)マグワイアは、兵士たちを軽めのプロパガンダに晒すことで、捕虜になった際に受ける洗脳に打ち勝てるのではないか、という仮説を立てた。この仮説は、軍が戦闘の訓練を実施するのと同じように、兵士たちに思想に対する攻撃を事前に経験してもらうことで、洗脳に対する準備ができるだろうというものだ」。

——一般にいう「ワクチン」では、弱毒性もしくは無毒化した病原体を体内に入れることで免疫力を高めるが、ニセ情報に対しては「心理的ワクチン」が考えられるのではないか。これが「プレバンキング」(事前暴露)という手法だ。
ロシアによるウクライナ侵攻に際しても、米英は、しきりにロシアによる行動に先んじて牽制する行為を行っている。

The Markup Wins ONA Award in Technology Reporting – The Markup
ONA(Online News Association)、米テック系調査報道メディア「The Markup」に「2023 テクノロジー報道部門優秀賞(中小ニュースルーム部門)」を授与。対象は「Still Loading」。大手プロバイダーが米国内の低所得地域で差別的なサービス品質であると立証したもの。
音楽アプリ、Amazon首位陥落 課金誘導で利用者離反 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「音楽配信アプリの国内の勢力図が変わりつつある。アマゾンミュージックは、2022年11月に実施した有料会員向けの仕様変更が利用者の不興を買い、利用者数で首位から陥落した。代わってユーチューブミュージックがトップを奪い、スポティファイも勢いをみせる」。

——Amazonの仕様変更は、端的に収益増を狙ったもので、その観点から失敗だったと断定はできないが、利用者の期待値からこれだけずれたことを行える感覚はすごい。FTCが告発するプライム解約を困難にするダークパターン問題も含めて、寒々しい経営感覚が見えてくる。

How the EU Digital Services Act affects Facebook, Google and others
EU域内で8月25日より施行された「Digital Services Act(デジタル・サービス法:DSA)」。Facebook、X、Google、TikTokを含む40以上のオンライン大手が対象となる。この大きな動きを5つのポイントから概説する記事。