Disruption This Week—–19/1/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年1月15日から2024年1月19日まで。

EU calls for laws to force greater algorithmic transparency from music-streaming platforms | TechCrunch
欧州議会、ストリーミング事業者に推奨アルゴリズムの公開を強制する新法案を採択。欧州全域での音楽ストリーミングにさらなる公平性と透明性をもたらす新たなルールを求める。と同時にAI生成によるコンテンツの明示化、収益分配の公平性なども求める。
レトロかわいいAIデバイス「rabbit r1」を体験--新たなトレンドを作れるか?
「Lyu氏(「rabbit r1」を開発した創業者Jesse Lyu氏)は、スマートフォンとは独立した、専用のデバイスの必要性を感じている。その方が、気が散らなくていい。スマホで同じことができるからといって、その方が操作性に優れているわけではない、とLyu氏は主張している」。

——ジェネレーティブAIを組み込んだ新たなハードウェアへの期待は、要するに“スマホをいじりすぎ”という問題へのアンチテーゼだったか(笑)。実際、私は寄る年波もあって目を使わない入力(まあ、音声ということだ)への期待値が高いのだが。

「TVer」月間4億再生に迫る 3割がテレビで見た 23年12月
「TVerは、民放のテレビ番組をネット配信するサービス『TVer』 (ティーバー)で、2023年12月の月間ユニークブラウザが3129万(前年同月比を約124%)に達し、初めて3100万を超えたと発表した。再生数は3億9800万回超(同約150%)と、4億再生に迫った」。

——「TVer好調」という話題。だが、一方のYouTubeは、Googleの発表に拠れば、昨年半ばで国内7,000万MAUということだ。また、その半分がコネクティッドTVでの視聴だともしている。

Apple、米国版App Storeポリシー改定で外部決済へのリンクを可能に ただし……
「アプリ外決済をめぐって長年Appleと争ってきた米Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOはこの変更について、27%の手数料は『反競争的』であり、外部サイトに移動する際に表示される画面はユーザーを怖れさせると批判した」。

——Epic GamesとApple間の係争は、アプリストアを運営するAppleに譲歩を迫る結果となった……かと思いきや、アプリ事業者に外部決済を認めたとは言え、ユーザーを震え上がらせるような警告を表示をしたり、事業者に27%もの手数料を請求するなど、実質上、外部決済を無効化するような対抗策を打ち出している。いやはやなんとも。

Newsroom Meddling, Money Woes: How A Billionaire Owner Lost His Star Editor at the Los Angeles Times | Exclusive
昨日紹介したばかりだが、米LA Timesのスター編集長Kevin Merida氏の退任をめぐる話題。米メディアThe Warpは、富豪オーナーPatrick Soon-Shiong氏が編集部や編集長の独立性を守らず干渉を行ったこと、経営再建策の欠如などが原因とする内部の6人の声を紹介する。
Thomson Reuters is exploring an AI deal as more tech giants court news publishers
法律、税務、会計など専門情報で世界大手のThomson Reutersが、やはりジェネレーティブAI企業との提携交渉を進めているとの報道(報道元はBloomberg)。専門情報メディアはAI企業にとって宝の山だろう。どのAI企業と交渉中かという情報は開示されていない。
The incredible shrinking podcast industry | Semafor
Apple、ポッドキャスト市場に大きなインパクト。同社純正ポッドキャストアプリの自動ダウンロード機能を見直し、最近ほとんどポッドキャストを聴かないユーザーにはダウンロードしない。
これにより累積的に水ぶくれしてきた市場の指標は劇的に収縮することに。老舗タイトルほど影響を被るとする記事。著名なポッドキャストタイトルではダウンロード数を40%も減らした例もあると指摘。
日経BPのデジタルメディア、有料会員数が15万人を突破
「日経ビジネス電子版は6万7510人、日経クロステックは5万1406人となり、4媒体がそろった2019年から年平均12%の増加となります。専門媒体として年間2万本以上の記事コンテンツを公開し、ビジネスに欠かせない情報プラットフォームを目指してきた結果です」。

——「なお、4つの媒体を複数併読する有料会員の方々も1万人超に達しています」とあるので、重複を省けば15万人程度となるのかもしれない。ともかくも、さすがだという印象。逆の見方をすれば、あれだけ潤沢な印刷媒体を取り揃えていた同社が得た読者データが15万人だったということでもあるが。

Netflix Games gains traction with installs up 180% year-over-year in 2023, thanks to GTA and others | TechCrunch
2年前、ゲーム分野への参入を本格化した米Netflix、調査会社Sensor Towerによると、2023年、Netflixゲームのダウンロード数は前年比180%以上増加した。同社のゲーム「GTA」は配信開始後1週間足らずで、3本合わせて640万ダウンロードを記録しモバイル分野を牽引している。
Instagram創業者のAIニュースアプリ「Artifact」、2月で終了
「シストロム氏はブログで、『コアユーザーに愛されるものを構築してきたが、継続的な投資を正当化できるほど市場機会は大きくないと結論付けた』と説明した。
コメントや投稿の管理と監視にかなりのリソースが必要であることも撤退の一因のようだ」。

——Instagram創業者らによる新たなニュースアプリということで、注目された「Artifact」が事業終了に。新しいAIアプローチに期待したのだが。個人的には同アプリのUIはあまり感心しなかった。

Disruption This Week—–12/1/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年1月1日から2024年1月12日まで。

声で指示すれば、あとのアプリ操作は“AIウサギ”におまかせ 小型AIデバイス「rabbit r1」登場
「rabbitsは、最新情報を検索するといった単純なタスクから、次の旅行のオプションを徹底的に調べて予約したり、ネットスーパーのカートに商品を入れて購入したりといった、複雑なデジタルタスクを処理できるという」。——開催中のCES2024で、ジェネレーティブAI活用に特化した新たなハードウェア+サービス製品が登場した。「たまごっちなどのレトロガジェットを彷彿させる」デザイン。独自のLLM(オープンソース利用?)で動作し、外部の各種アプリやサービスとの連携を、現在トレーニング中だという。200ドル程度と買いやすい価格設定からか、すでに予約で1万台を受注。

Netflix’s Ad Tier Now Has More Than 23 Million Monthly Active Users, Advertising Chief Says
米Netflixの広報担当幹部、広告表示付き廉価版NetflixのMAU(月間アクティブ数)が全世界で2,300万人を突破と説明。2か月前の1,500万人から急増。全世界12か国での新規契約者数の3割がこの廉価版層。エンゲージメントも高く、この層の利用者は85%以上が月に2時間以上視聴しているという。
オープンAIがCNNやFOX、タイムと交渉-コンテンツ使用巡り
「米オープンAIはニュースコンテンツのライセンス取得を目指し、CNNとFOX、タイム誌と交渉していることが複数の関係の話で分かった。オープンAIは著作権侵害疑惑に直面しながらも、AI製品を構築するためコンテンツへのアクセスを確保する取り組みを広げている」。——New York Timesによる提訴とは並行して、OpenAIは多くのメディア(報道機関)との提携交渉を進めている…ようだ。TimeのCEOは交渉を認めたが、あげられた他のメディア関係者はコメントしていない。交渉の存在をリークする動きも含めて微妙なバランスでメディア業界は動いている。

OpenAI launches a store for custom AI-powered chatbots | TechCrunch
OpenAI、開設が遅れていた「GPTストア」の開設をアナウンス。ChatGPTの表紙部分に「By ChatGPT」という項目でサードパーティ製GPTアプリ多数示される。記事によれば現時点では、サードパーティがアプリに課金できないが、今後課金も可能になる見込みだ。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2024

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2024
Reuters Institute、「2024年のジャーナリズム、メディア、テクノロジーのトレンド予測」を公開。50以上の国から300名以上のメディアリーダーから聴取。
「1.ジャーナリズムにとって今年も困難な年に」「2.プラットフォームシフトとリファラルモデルの終焉?」「3.人工知能時代の検索の未来」「4.ジャーナリズム・ビジネスはさらなる激変に直面する」「5.ニュースの形式が変わる:音声と動画が増える」「6.ニュース断絶と選択的ニュース回避」…と刺激的な項目が続く。
How Google perfected the web
「インターネットは少しずつ、Googleのイメージ通りに作り変えられている。そして、その結果に対処しなければならないのは、機械ではなく人間なのだ」。
Google検索が支配するWeb。検索結果の上位をめざし最適化を繰り返すことで、すべてのページがGoogle好みになってしまった。米Vergeが実験的にWebページを制作してさまざまな問題点を指摘。
この記事自体、動的なページ、ビジュアルづくりはなかなか魅せるものになっている。
Americans Are Canceling More of Their Streaming Services
【有料購読者向け記事】:
米消費者のストリーミングサービス解約が加速。調査会社Antennaによると、Apple TV+、Discovery+、Disney+、Netflixといった主要サービス加入者の内4分の1が過去2年間に3つを解約。2年前には15%だった。背景に値上げと広告付き廉価版の台頭がある。

The New York Times’ AI Opportunity

Stratechery by Ben Thompson

The New York Times’ AI Opportunity
「New York Times AIをめぐる機会(チャンス)」。ブロガーBen Thompson氏が自身のブログで、NYTがOpenAIを訴えた件で、長文の論考を公開。
「フェアユース」が論点となるが、NYTのプロンプトによりChatGPTがWirecutterの記事をそのままダンプしてしまった点に勝利の可能性があるとする。OpenAIはそれを“バグ”として修正済みと主張するわけだが。
(サムネールで赤字が並記されているのが、原文とGPT-4が出力したものが、これだけ共通していると主張している箇所)
OpenAI and journalism
OpenAIがNew York Timesによる提訴に反論。
その骨子は、1) 報道機関と協力し、新たな機会を創出している。2) 学習はフェアユースであり、オプトアウトを提供している。3) (指摘されている、記事をそのまま吐き出す)“問題”は稀なバグで、それをゼロにするために取り組み中だ。4) 同紙は全容を伝えていない、といったもの。
出版状況クロニクル188(2023年12月1日~12月31日) - 出版・読書メモランダム
「23年11月の書籍雑誌推定販売金額は865億円で、前年比5.4%減。
書籍は493億円で、同2.9%減。
雑誌は372億円で、同8.5%減。
雑誌の内訳は月刊誌が313億円で、同9.2%減、週刊誌は58億円で、同4.2%減」。——2023年の1〜11月の書籍および雑誌の(推定)販売の動きがわかる。12月分はこれからだが、23年も9・10月のいくぶんのプラスを除いて壮烈な状況。

Disruption This Week—–29/12/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年12月25日から2023年12月29日まで。

How Artificial Intelligence Will Change in 2024
【有料購読者向け記事】:
米InformationのやはりAI論説担当のStephanie Palazzolo氏が2024年のAIを展望。1) OpenAIとMicrosoftは仲違いへ、2) AI企業のM&Aが活発に、3) 高コストで雑なTransformerベースのAIから代替手法が台頭、4) 大統領選がAIで混とん化、5) AIハードウェア新潮流へというラインナップだ。
アルトマン氏ら、AIデバイスでアップルのベテラン起用-関係者
「アップルを退社する幹部のタン・タン氏がこの取り組みの一環としてアイブ氏のデザイン会社ラブフロムに加わり、同社は新製品の外観と機能を形作る。アルトマン氏はソフトウエアの基盤を提供する計画」。

——すでに紹介した話題だが、元Appleのデザイナー主幹であったジョニー・アイブ氏(iMacやiPhone、iPadの製品デザインをリードしたとされる)と、OpenAI CEOのサム・アルトマン氏が組んで、ジェネレーティブAIを駆使するハードウェア製品を創るとのプロジェクト。記事は、このプロジェクトにやはりiPhoneとApple Watchデザインを担当タン・タン氏が加わるという話題。
まだ、まったく先行きがつかめるところにきていないが、もし、具体化するとすれば興味津々だ。

New York Times Co.’s OpenAI-Microsoft Suit Is a Negotiating Tactic
【有料購読者向け記事】:
米New York TimesがOpenAIとMicrosoftを訴えたが、「これは交渉戦術だと考えるべきだ」と米The Information論説委員Cory Weinberg氏が述べる。かつ、NYTにとって「危険」な戦術でもある。裁判の動きによっては、交渉上の優位性を失いかねないとする。
記事は、「著作物の限定的な利用を認めるフェアユースの原則が人工知能モデルにどのように適用されるかをめぐって、Times紙が裁判を起こすのはあまりにも危険だ。裁判所は、OpenAIが合法的に運営されていると判断すれば、Timesが求めるライセンス収入の一部を得ることができなくなる」と述べる。
How one of the world’s oldest newspapers is using AI to reinvent journalism
「世界最古の新聞社がAIを活用してジャーナリズムを改革する方法」。英Worcester Newsは、1690年創刊の老舗ローカル紙。「AIアシスト記者のおかげで、編集部の他の記者は、裁判所に行ったり、議員に会ってコーヒーを飲んだり、村祭りに参加したりできる」と同紙編集者は語る。
The Times Sues OpenAI and Microsoft Over A.I. Use of Copyrighted Work
【有料購読者向け記事】:
米New York Times、OpenAIおよびMicrosoftの両者を、同社の「数百万の記事を、信頼できる情報源」としてChatGPTなどのAIに学習させたことを、「価値ある著作物を違法なコピーで使用」したと提訴。生成したLLMやトレーニングデータの破棄を求める。当該New York Timesによる報道。
TikTok teams up with fact checkers to stop election disinformation on site
TikTok、1月に行われる台湾総統選をめぐり、TikTok上の偽情報の拡散を抑止するなどの目的で「2024年選挙ガイド」を策定。台湾のファクトチェック団体MyGoPenとパートナーシップを提携。選挙の中立性を守るため、公式情報への誘導、真偽確認のヒントなどを提供していくという。
TikTokの親会社が中国大陸発であることを考えると、興味深い動きだ。
Emplifi Reports Instagram Reels Outperformed All Other Video Content Across Instagram, Facebook, and TikTok
SNSマーケティング支援プラットフォーム提供の米Emplify、Instagram、Facebook、そしてTikTokの動画によるマーケティング効果を比較調査。中でもInstagram Reelsの効果が最も高いとし、その長尺化で、短尺と比較して広告主により多くのエンゲージメントを提供しているとする。短尺動画全盛から、中・長尺化への動きがここでも進展。
イスラエル・パレスチナ問題の100年を読み解く 「三枚舌」起点に - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「問題の根っこには、100年以上前の英国による『三枚舌外交』がある」。

——日経新聞が3つのグラフィックと3つのQAで難しい問題を分かりやすく解説する試み。“お子様向け”の体だが、もちろん、実は大人が難しいと感じているニュースを解説する試みだ。

Apple Explores A.I. Deals With News Publishers
【有料購読者向け記事】:
これはちょっとした衝撃のスクープ。
ジェネレーティブAI関連で音沙汰のなかったAppleだが、水面下で、著名メディア(出版社)とAI学習のための許諾交渉を進展させているという。複数年で5,000万ドル規模だと米New York Timesが報じた。提案を受けた企業には冷淡な対応を示しているところもあるという。
Online searches to evaluate misinformation can increase its perceived veracity - Nature
「誤報を評価するためのオンライン検索は、誤報の信憑性を高める可能性がある」と、科学雑誌「Nature」に掲載された新研究。情報の真偽を確かめるべく検索を行うことで偽情報をより信じてしまうと、5つの実証実験。
(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)読みやすさへ、スマホ仕様の編集を 藤村厚夫:朝日新聞デジタル
【ご紹介・有料購読者向け記事】:
朝日新聞パブリックエディターとしてのコラム第2回目を執筆しました。個人的に、「新聞(の記事)は難しい」のが課題だと思っています。が、多くの人は「難しい」とは言いません。悩みつつ裾野からアプローチしてみました。
ビートルズの「新曲」発売にAIの力 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が、日経電子版に転載されました(大部時間が経っていますが笑)。よろしければご一読を。➡ ビートルズの「新曲」発売にAIの力

Disruption This Week—–22/12/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年12月18日から2023年12月22日まで。

I gave ChatGPT the last 13 years of Nieman Lab predictions
こちらもカスタムChatGPTを用いたジャーナリズムへの応用を試したとする論説。「箇条書きを段落に展開したり、記事を要約に収縮させることができる。ニュースレターのプレビュー用の要約や、通知用の短いフレーズなどだ」など実践的に使えることを述べる。
また、過去Nieman Labが掲載した1,369本の将来予測記事を学習させ、それによる検証を行ったところ、正解と誤回答を得たとレビューする。こちらも興味深い。
How less, not more, data, could help journalism | Semafor
米Semafor記者らが、カスタムGPT作成ツールを使い、3種のAIボットを実験的に開発。分かったことは、少量データでもLLMを効果的に構築することができること。もっと言えば、適切にデータを絞るのが有用ということだ。記事は、「ジャーナリズムを変えるかもしれない」とする。
The obsession with “trust” will end
報道メディアが、読者に自身への「信頼」を闇雲に求めるのは間違っていると語る英ジャーナリズム研究者。
「読者にあなたの働きを示し、あなたの間違いを認め、訂正しなさい。知らないことを正直に述べ、読者が興味を持っていることに耳を傾けなさい」と述べる。
AIと著作権、明確化の一歩 データ検索や回答生成「許諾必要な場合も」 文化庁「考え方」素案:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「今回示された素案では、生成AIによるデータ検索や回答の生成は、著作権法上許諾が必要となる場合もあると記した。また、生成AIによる学習をパスワードなどで防いでいるデータベースの著作物に対し、それを回避して学習させることは、法の定める『著作権者の利益を不当に害する場合』に該当するとした」。

——ある種のガイドラインの働きをする、考え方を示したというもの。案外影響力を及ぼしそうだ。

TikTokのバイトダンス、23年売上高1100億ドル突破へ-テンセント抜く
「短編動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』で知られる中国のスタートアップ、字節跳動(バイトダンス)は、2023年の売上高が1100億ドル(約15兆7800億円)を超える可能性があることが関係者の話で明らかになった」。

——米、インドなどで叩かれつつ、それでもTikTokパワーは止まらない。中国国内でも最大級の企業へと成長。

広告掲載料は0円。3万部がすぐに在庫切れ。京都の型破りフリーマガジン『ハンケイ500m』編集長/円城新子さん【編集者の時代 第8回】|クリエイティブのコアとカラーに迫るメディア「CORECOLOR〜コレカラ」
「円城:ハンケイ500mは、京都のあるバス停を起点に半径500mのお店を紹介するマガジンです。なので、まずは編集部のメンバー数人で、その範囲を歩きます。普段の歩くスピードより、ゆっくりと。そして、ここ、面白そうという『触覚』が反応したお店に入る」。

—— 古幡さんの「出版業界ニュースまとめ」の紹介で見つけた記事。一気に読んでしまうのが惜しいような楽しいインタビュー。

Inside The New York Times’ Big Bet on Games
【有料購読者向け記事】:
「いまや、New York Timesは、たまたまニュースも提供するゲーム会社でもある」。社内で冗談めかして語られるほど、「Wordle」「Connections」「Spelling Bee」と同社はゲームがもたらす収益に賭けている。同部門の人員は約100名となった。
EU、DSA(デジタルサービス法)違反の疑いで正式にXの調査を開始。調査の主要対象は、イスラエル・ハマス間の先頭をめぐる違法性の高いコンテンツ。その他にも研究者へのデータ提供、コンテンツ監視態勢、広告をめぐる透明性その他も調査される。
News Publishers See Google’s AI Search Tool as a Traffic-Destroying Nightmare
【有料購読者向け記事】:
米メディア「Atlantic」のタスクフォースの調査では、Google検索に、新たなにAIによる検索が導入されれば、ユーザーのクエリに対する完全な回答を提供してしまう。同サイトは、そうでなければ得られたであろうトラフィックを75%の確率で逃してしまうことがわかったとする記事。検索からのトラフィックに依存していたメディアはその脅威に怯えている。
TikTok is pushing longer videos. Some creators worry about the vibe shift | CNN Business
TikTokが中・長尺動画投稿をクリエイターに呼びかけている動きはすでに紹介した。収益化をめざすクリエイターらへのインセンティブプログラム「Creator Fund」を廃止し、新たに「Creativity Program Beta」を開始。だが、短尺を動機にしてきたクリエイターは困惑しているとの記事。
メディア感度格差、データで顕在化! 若者にとっての「ネオ新聞一面」はこれ  | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
【ご紹介】:
「どの層も、マスメディアへの信頼度よりも高い割合で『マスメディアが大きく扱うニュースは重要だ』と感じる傾向がみられた 一方、『重要だと思うニュース』について『新聞1面に掲載されるニュース』を選択した割合には、世代差が如実にあらわれた」。

——先般発表したスマートニュース メディア研究所による調査結果を取り扱った記事。引用箇所にも現れたように、大きく3つに分けた年齢階層のいずれも、マスメディアの発信に価値観、重要性を依拠している。
記事が指摘するように、年齢階層によりそれが異なるのもポイントだが、自分としては、それよりも全体としてマスメディアを重視していることがわかったのが、発見だった。

Disruption This Week—–15/12/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年12月11日から2023年12月15日まで。

News avoiders shouldn’t be ignored
「ニュースの特定のトピックやニュース全体から意図的に離れている(多くの場合、あまりに憂鬱になったり、消耗したりするため)という人々は、通常、意図的にニュースを避けていると報告していない人々とほぼ同じ量のニュースを全体的に消費している」。

——ニュースの「選択的回避」議論が少しずつ高まっている(Reuters Instituteが何年も前から指摘している)。これが何をもたすのか自分も気にしているが、スペインの学識である筆者は引用箇所のように述べている。選択的回避者は、一方でニュースの熱烈な回避者でもある可能性。

People are watching longer TikToks. What does that mean for competition with YouTube?
TikTokが数十秒の短尺動画だけでなく、クリエイターに長尺(最長で15分程度)系を推奨し始めたことは紹介した。米Insider Intelligenceは、この動きもあってか、2024年には米成人のTikTok平均視聴時間が55分と、YouTubeを5分程度上回ると予測する。
ただし、その利用者数比でいえば、23年においてYouTubeはTikTok(1億230万人)の2倍以上(2億3740万人)ではあるが。
オープンAI、独メディア大手のコンテンツ有償利用へ
【有料購読者向け記事】:
「生成AI(人工知能)の『チャットGPT』を手掛ける米オープンAIは、ドイツの出版・メディア大手アクセル・シュプリンガーと複数年のライセンス契約を交わした。AIツールによるコンテンツ利用に対価を受け取りたいメディア業界には画期的な動きだ」。

——昨日は、米NYTimesがジェネレーティブAI担当幹部を外部から招聘という話題を紹介した。続く今日は、この話題。独最大手メディアが、OpenAIと手を組んだ。AP通信やGetty Imagesなどとの提携に続く大きな動き。記事は「共同発表によれば、チャットGPTはユーザーの質問への回答にアクセル・シュプリンガー傘下メディアのコンテンツを基に要約した回答を作り、回答の下に出典へのリンクを表示する。この新形式は近く利用可能になる予定」と伝える。このようなフォーマットがこれからメインストリームになる可能性が高い。

電子版「For You」開始 一人ひとりに最適記事をお届け - 日本経済新聞
「日本経済新聞社はこのほど、日経電子版アプリに一人ひとりの興味や好みに応じて記事を自動配信する読者専用ページ『For You』を新設しました。記事を読む目的や関心のある分野などの3つの質問への回答をもとに、好みを反映した記事20本をおすすめします」。

——いろいろなコンテキストからニュース(記事)に出会う仕組みが必要。紙面の編成だけが新聞の読み方ではない。

アップルにも影響必至、グーグル敗訴でアプリストア市場揺らぐ可能性
「スマートフォンのアプリストア運営を巡りグーグルがゲーム大手のエピック・ゲームズに敗訴したことで、年2000億ドル(約29兆円)近くを生み出すアプリストア市場のグーグルとアップルの2社による複占が揺らぐ可能性がある」。

——「陪審は全員一致で…エピック側の訴えを認める」とある。同様の訴訟でEpicはAppleに一度は敗れているが(2021年)、状況の変化は加速している。いずれ複数のアプリストアが並び立ち、“税金”のディスカウントが始まる…のだろうか。

WSJスクープ | 米紙NYタイムズ、AI担当の編集幹部を初採用
【有料購読者向け記事】:
「米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、同社初の人工知能(AI)担当編集ディレクターにデジタルメディア『クオーツ』の共同創業者、ザック・スワード氏を起用した。主要報道機関の間でAIの潜在性やリスクが議論される中、この新技術を重視する姿勢を浮き彫りにした」。

——懐かしい「Quartz」の名が。それはともかく、NYTimesはやはり、ジェネレーティブAIにリーチしてきた。対外的にはAIへの抵抗感や懸念を打ち出しているが、内部的にはどう活用するかを真剣に検討していることは想像できた。さて、国内勢諸紙はどう感じたか?

Audiobox
米Meta、自身の音声を数秒間サンプリングするだけで、人工音声を生成するサービス「Audiobox」を公開(デモ版)に供した。先月発表されていたもの。
自身の音声に加えて、さまざまな効果音を追加できる。単なるスピーチデータだけでなく、“番組”を創れるというわけだ。
The Next News Disruption Has Already Begun
【有料購読者向け記事】:
先日も簡略に紹介したが、厳格なペイウォール制に賭け、広告に依存しないメディア「The Information」が開設から10周年。
創業者でCEOのJessica E. Lessin氏がこれまでの10年、今後の10年を語る記事を執筆。広告(主や売上の)プレッシャーをはねのけることで、スクープに専念できたと誇ると同時に、テクノロジーへの期待も述べる。
「生成AIを使って、読者は質問により新しいことを学ぶことができるようになる。チャットボットが世界を征服するとは思わないが、新しいツールは今後も大きな心理的変化を促し、読者の出版物に対する期待も変えていくだろう」。
「ChatGPT」から個人情報含む学習データの抽出に成功--Google DeepMind研究者ら
「プロンプトでコマンドを入力し、『poem(詩)』といった単語を延々と繰り返すようChatGPTに求めたところ、学習データを含むテキストの断片を丸ごとChatGPTに出力させることに成功した。アライメントされたプログラムでは通常、そのような漏えいは起こらないはずだ」。

——ジェネレーティブAIがユーザーのプロンプトによって、機微な情報を出力しないよう調整する仕組みを「アラインメント」と呼ぶ(らしい)。これをハックするアプローチが次々と発見されているとする記事。GenAIの脆弱性が顕在化されてきている。

日経、デジタル購読数100万に 専門メディアで法人開拓 - 日本経済新聞
「日本の有料ニュース媒体で100万超えは初めて。電子版有料会員数は89万7千、電子版以外のデジタル購読数が3年前の約2倍の11万5千。英文媒体『Nikkei Asia』とあわせると107万となりました。世界の新聞社の有料ニュース媒体では日経グループの英フィナンシャル・タイムズ(FT)に次ぐ5位水準で、FTとあわせると326万と世界3位の規模です」。

——デジタル版購読100万人突破は、国内メディアとしては“悲願”だっただろう。チャートでもわかるように、専門(バーティカル)系など、多メディア化が寄与している側面もある。

有料ネットニュース利用、日英は9% エンタメと競合 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙への連載コラムが日経電子版に転載されました。よろしければどうぞ。➡ 有料ネットニュース利用、日英は9% エンタメと競合
保守・リベラル、日米で差異 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
「日本の有権者の政治的価値観を扱った調査結果がこのほど明らかになった。スマートニュースメディア研究所が大学教授らと取り組んだ『スマートニュース・メディア価値観全国調査』だ」。

——スマートニュース メディア研究所が実施した大規模な世論調査結果から。まだ、発表時のリリースや解説中心に紹介されているが、今後、データを用いた本格的な研究が現れてくるだろう。

スマートニュース、有料ビジネスニュースとクーポンを集約した日本初の購読サービス『SmartNews+』を提供開始 国内外25以上のメディアの厳選記事が読み放題
【ご紹介】:
「ニュースアプリ『SmartNews』で、有料ビジネスニュースとクーポンを集約した日本初となる、購読サービス『SmartNews+』(スマートニュースプラス)の提供を開始しました」。

——ビジネスメディア系の各種プレミアムコンテンツを定額で読み放題に。いずれ購読すべきメディアを発見するのにも良いかもしれないです。