Disruption This Week—–5/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月1日から2024年7月5日まで。

2024 Zero-Click Search Study: For every 1,000 EU Google Searches, only 374 clicks go to the Open Web. In the US, it’s 360. - SparkToro
検索が自社サイトへ送客してくれるとのメディアの期待値があるが、米ユーザー間では、Googleでの検索1,000回ごとに、360クリックのみがGoogleが所有しない、Googleが広告料を支払わないコンテンツやサービスに到達。逆にいえば、全検索の2/3近くが、検索後もGoogleのエコシステム内に留まっていることになるとの分析記事。
「生成」ではなく「模倣」、
大手レコード会社提訴で
音楽AIの未来に暗雲
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「権利保有者がAI企業に対して起こした訴訟の中では、これまではニューヨーク・タイムズがよい例とされてきました。ですが、スーノとユーディオに対する訴訟は、AI企業にとって多くの点でさらに不利なものです」(米コーネル大学法科大学院のデジタル情報学教授ジェームス・グリメルマン氏の発言)。

——AI(企業)とコンテンツ権利者との争いが、いきなり本題に入ったというのがこの記事に中心。訴訟の行方を見守ろう。

Netflix, Amazon Lead With 53% of Original Streaming Title Orders in First Quarter of 2024, Study Finds
英市場調査会社Ampere Analysisによると、2024年1Qの世界の動画ストリーミングタイトル数で、NetflixおよびAmazonを併せると、全体の半数超となり他を圧倒(記事内のチャートで推移が見られる)。両サービスは、国外へと制作を外注し、量産を加速させているとする。
AI学習、権利者に適正報酬を ピクスタなどが新団体 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「画像ストックのピクスタは1日、米国とドイツの企業と共同で、生成AI(人工知能)の学習素材の権利保護をめざす団体『データセット・プロバイダーズ・アライアンス(DPA)』を立ち上げたと発表した。AI開発者による『無断学習』を防ぎ、画像や動画、音楽などのコンテンツ制作者や提供企業が適正な報酬を受け取れるよう働きかける」。

——記事を読む範囲では、「無断学習」行為を検出するなどのメカニズムについては言及がない。C2PAなどにゆだねるアプローチだろうか。単にデータ保有企業者連合(それも大規模とはいえない)で、実効性が担保できるだろうか?

生成AIで変わる10億人のGoogle検索 ネットの岐路に 編集委員 奥平和行 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「最も重要なことは、当社がコンテンツ提供者との関係を共生的と考えていることだ。ウェブ検索を主軸とする企業であり、コンテンツ提供者が独自性が高く新鮮なコンテンツをつくる強い動機を持たないと成功し得ない」。

——Google本社に、検索エンジンを統括する上級副社長を訪ねた際のコメント。同時に「AIオーバービュー」と呼ばれる、検索結果をAIによって概要紹介する機能が占める比率は10%程度として、すべてが覆われるわけではないという“(メディアへの)安心理論”を語る。実際に、現在の検索でも汎用性の高い検索に対してはそのような反応になっている。

TikTok applies for ‘Genie’ trademark in US for AI chatbot | Semafor
米Semaforによると、TikTokは、AIチャットボットソフトウェアの名称として「Genie」を商標登録申請。5月に米国特許商標庁に提出された書類によると、会話をシミュレートし、人間とAIの間の相互作用とコミュニケーションを促進し、人間のような音声とテキストを生成するという。
YouTube now lets you request removal of AI-generated content that simulates your face or voice | TechCrunch
YouTube、自分の顔や声を模倣したAI生成コンテンツやその他の合成コンテンツの削除を要請できるようサービス規約を変更。「責任あるAI」方針によるもので、プライバシー保護上の被害を受けた人物がコンテンツ削除を直接申し立てることができる方針を明確化する。ただし、この運用を適正に行うことには困難がありそうだ。
「不満を抱えた視聴者の1人は最近、SNSで次のようにいら立ちをぶちまけた。『プライムビデオにお金を払ってCMをたくさん見るってワケ分からん。うっとうしくなってきた』。
ネットフリックスとアマゾンの担当者はコメントを控えた」。

——以前紹介した米New York Timesの記事邦訳版。主旨は、広告抜きでプレミアムな映像体験ができるのを一つのウリにしてきた、Netflixをはじめとした有料ストリーミング勢力。だが、成長限界を迎えて、安価でCM入りの“TV番組もどき”版を提供するようにトレンドが変化。さらに、完全無料で広告入りの動画ストリーミングであるFASTのトレンドも高まってきている。これらを追った記事だ。

ChatGPT is hallucinating fake links to its news partners’ biggest investigations
ジェネレーティブAIが生成する論述には「ハルシネーション(幻覚)」が付きものと指摘される。代わって、AI企業はメディアとの提携に際し正確な出典(リンク)表示を約束するが、提携を発表した大手メディアへのバックリンクは誤りだらけだったとする米Nieman Labの調査結果。
What happened when British GQ stopped trying to 'feed the algorithm'
「記事の公開ペースを落とし、アルゴリズムに餌をやることを止めた」と英国版男性向けクオリティメディア「GQ」の視聴者開発・分析・SNS担当ディレクターがインタビューで語る。英GQが、より熱心なコア・オーディエンスを目指す戦略に転じた成果を詳細なチャートで解説。
「ChatGTPはなぜ、人間のような言葉を紡ぎ出せるのか?(前編)~日本の第一人者が、LLMの基本原理とブレークスルーを解説する」岡崎直観 - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
私も関与しているスマートニュース メディア研究所の研究会報告から。東工大・岡崎直観教授が分かりやすい日本語LLM研究の原理と現状を解説します(後編も公開中)。ぜひご一読を。

Disruption This Week—–17/5/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年5月13日から2024年5月17日まで。

What’s on TV? For Many Americans, It’s Now YouTube
【有料購読者向け記事】:
先月に行われた米Nielsenの調査によれば、米国の視聴者10%近く(視聴時間)がYouTubeに。コネクティッドTVの普及度合いが進展か。
グーグルが「Astra」発表、AIアシスタントからエージェントへ
「ユーザーがスマホのカメラとスマートグラスを物に向け、それが何か説明するようAstraに求めた。デバイスを窓の外に向け、『ここはどこだと思いますか』と尋ねると、AIシステムはロンドンのキングスクロス、つまりグーグル・ディープマインドの本社所在地だと特定した」。

——OpenAIが発表し話題となっている「GPT-4o」に相当するGoogleの新製品(開発中だが)が「Astra(アストラ)」だ。「リアルタイムで動作するマルチモーダルAI(音声、映像、テキストなど複数の種類の入力を処理できるAI)」の試みで、私もたびたび言及してきた「AIアシスタント」を実現する上でのOSのようなものになる。

News publishers sound alarm on Google’s new AI-infused search, warn of ‘catastrophic’ impacts | CNN Business
Googleの「AI Overview」の発表に、さっそくメディア業界からの反応。
「表面的には便利に聞こえるかもしれないが、すでにトラフィックの急減に苦しんでいるニュースパブリッシャーの多くにとって、この検索エクスペリエンスの刷新は、読者数のさらなる減少を引き起こし、読者と収益を奪う可能性がある」。
Netflix ad-supported tier has 40 million monthly users, nearly double previous count
米Netflix、安価な広告表示付きプランのMAUが全世界で4,000万人に達し、1月の2,300万人からほぼ倍増と公表。Netflixの総加入者数は現在2億7000万人となった。同社はまた、独自のアドサーバを構築、この分野でのMicrosoftとの提携を打ち切った。
【コラム】GPT-4oはセクシーな声で誘惑、ユーザーに覚悟は-オルソン
「サンフランシスコ本社で行われたライブデモでは、代数の問題を手伝っている人にAIが突然『まあ、とてもおしゃれな服を着ているのね』と話しかけ、聴衆を驚かせた。このイベントに出席していたブルームバーグ・ニュースは、この声は『気を引こうとしている感じ』だったという」。

——いずれ、AIが利用者にエモい働きかけをするのを抑止する法制が求められることになるだろう。冗談でなく。

Google、AI関連事業を担うDeepMind CEOのDemis Hassabis氏が「Google I/O」で講演。注目される新たなタイプの電子透かし「SynthID」について発表。画像・動画に加えてテキスト、そして音声にも適用可能と述べる。
Music in the Air: Focus on monetisation, emerging markets and AI; updating global music industry forecasts
米Goldman Sachs、ストリーミングを中核にした世界の音楽産業を巡る各種データをアップデートした「Music in the Air 2024」を公表。50ページ近いPDFを参照できる。それによると2023年は業界にとって大転換期だったという。値上げ・ジェネレーティブAI・ロイヤルティ支払い構造の近代化が要因だという。
AIを駆使して「ガザ攻撃」の実態を暴く、ピュリツァー受賞ジャーナリズムの新たな手法とは?
「AIを活用した報道は、2024年のピュリツァー賞最終候補45件中でも5件、1割超に上る。
見えていなかった現実を、AIを活用したジャーナリズムで明らかにする。その新たな手法とは?」

——平和博さんのポスト。ガザでのイスラエルによるハマス攻撃が、住民の安全を脅かすにたるほどのものであることを分析、そして米シカゴで、警察発表とは異なる犯罪捜査の内実を警察の内部文書の解析で判明。ピュリツァー賞受賞作が、AIを活用したジャーナリズムのありようを示した。

オープンAI、新たな旗艦AIモデル発表-「GPT-4O」
「同社によれば、口頭で質問すれば、システムは数ミリ秒で音声で返答することができ、より流動的な会話を可能にする。同様に、システムに画像プロンプトを与えると、画像で応答することができる。
システムに話しかければ、わずかミリ秒で音声で返答し、流れるような会話が可能になると、オープンAIは説明」。

——OpenAIが、“ライバル”のGoogleがプライベートイベントで製品発表を行うGoogle I/O(5/15開催予定)の直前に、自社製品の進ちょくをアピール。専門メディアが予測していたとおり、音声・映像をリアルタイムに認識し、リアルタイムに返答できるチャットボット機能「GPT-4o」を発表。

Russian network found using genAI to spread disinformation
【有料購読者向け記事】:
ロシアの影響工作組織「CopyCop」が、ジェネレーティブAIを用いて西側の主要メディア(たとえばBBC)のニセドメインを作成し、イスラエル・ハマス紛争についての不和を煽り、ウクライナへの支援を弱めるための情報を拡散していると研究者が指摘している。
AI is disrupting the local news industry. Will it unlock growth or be an existential threat? - Poynter
米Northwestern大のメディル・ローカルニュース・イニシアティブ、AIがジャーナリズム、特にローカルニュースにどのようなインパクをともたらすか研究した「Impact of AI on Local News Models」を公開。当然ながらプラスとマイナスを冷静に評価。PDFをダウンロードできる。
スマートニュース、「SmartNews for docomo」をリリース 広告配信も開始
【ご紹介】:
「スマートニュースは、ドコモのAndroid端末向けにニュースアプリ『SmartNews for docomo』をリリースし、アプリ内広告配信を開始した。
…同アプリでは、SmartNewsアプリと同様にコンテンツと広告を配信する。リーチやクリック、ウェブコンバージョンを目的とした運用型広告Standard Adsの配信となる」。

Disruption This Week—–26/4/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月22日から2024年4月26日まで。

Google takes lion's share of growing UK ad market as publishers lose out
英広告協会の市場調査によると、2023年の英国広告市場全体が6.1%増の366億ポンドに成長し、オンライン・フォーマットが全体の4分の3以上を占めることと予測。だが、すべての成長は大手プラットフォーマーにもたらされ、最大の勝者はGoogleに。報道メディアは損失を被ったとする記事。
経済情報特化の生成AI、日経が開発 40年分の記事学習 - 日本経済新聞
「日本経済新聞社は24日、経済情報に特化した生成AI(人工知能)の基盤技術を開発したと発表した。大規模言語モデルと呼ばれるもので、約40年分の日経グループの新聞や雑誌の記事を学習させた。記事の要約機能などで活用を見込む」。

——オープンソースLLMを活用(具体的にはLlama3)しているという。記事要約はもちろん、すぐに思いつくが、やはりストック型情報の高度な再利用法を考えたいところ。

トムソン・ロイター、法律専門家向けの生成AIプラットフォーム「CoCounsel」を公開

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

トムソン・ロイター、法律専門家向けの生成AIプラットフォーム「CoCounsel」を公開
「CoCounsel は、法律 AI のスタートアップ Casetext を買収して開発されたもので、OpenAI の『GPT-4』のような高度な生成 AI モデルを使用して、Thomson Reuters 独自の膨大なコンテンツデータベースを理解し処理する」。

——次に日経新聞のAIへの取り組みを紹介するが、Reuters、そしてBloomberg(以前、Bloomberg LLMの試みを紹介した)など、専門分野でのストック情報を持つ企業が、AI活用で優位に立ちそうな予感がする。

TikTok、法廷闘争へ 米で「禁止」法成立
「バイデン米大統領は24日、中国系の短編動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」の米国での利用禁止につながる法案に署名し、同法が成立した。
TikTokの周受資・最高経営責任者(CEO)はこれを受け、『われわれはどこにも行かない』と言明。『事実および憲法はわれわれの味方であり、われわれが再び勝利すると期待している』とし、法廷闘争する構えを鮮明にした」。

——一方の、米国では既定の動きではあるが、大統領が署名まで進んだ。記事にあるように、これからは法廷闘争が長く続くことになりそうだ。

日本のTikToK利用率が大幅増、主要SNSでは過去1年で最大の伸び
「NTTドコモ・モバイル社会研究所が22日に公表した調査では、スマホなどの所有者のTikTok利用率は18%で、前年比8ポイント増となった。特に10代の伸びが目立った。その他主要SNSの伸び率は限定的で、最大のInstagramも2.2ポイントの伸びにとどまった」。

——これから原典に当たってみたいというところだが、そろそろSNS全盛期から、ある種の転換が起きている感触もある。

「ABEMA」含むメディア事業、初の四半期黒字に サイバーエージェント、24年9月期2Q決算は増収増益
「『ABEMA単体での黒字はまだ』(同社代表取締役社長の藤田晋氏)としているが、ABEMA関連では、広告と周辺事業が伸長。2022 FIFAワールドカップの生配信以降、『DAZN』『WOWSPO』などの外部パートナー連携も手伝い、スポーツ関連コンテンツが伸びているという」。

——「ABEMA単体での黒字化はまだ」という注釈はあるが、初期数年は、巨額投資を危ぶむ声が高かったことを思えば、“ついに!”との思いは外野でさえある。わが国の映像ビジネスの歴史に画期が訪れている。

The Washington Post is developing an AI-powered answer tool informed by its coverage
米Washington Post、米バージニア工科大のAI研究者と組み、ジェネレーティブAIとRAGを用いて、読者の質問に回答するシステムを開発中。テキストに限定せず、音声や動画も扱うという。興味深いのは、「読者はテキストの記事で理解はせず、質問により理解する」という関係者の見解だ。
そのヘビーユーザーは利益をもたらしているか? 一休が売上10倍、営業利益率5割超を達成できた理由
「この手のクーポンは様々な企業のプロモーションで見られますが、当社では『このお客様がこの宿を予約する確率が約◯%で、そのときの購入金額は◯円だと想定されるから、◯円オフクーポンを発行するべき』という計算を一人ひとりに対して行った上でクーポンを発行しています」。

——「http://xn--4gqvz.com/」を運営する一休。同社の代表を務める榊淳氏が語る“データドリブン”経営。命名はともかくとしてダイナミックなオファリングには学ぶべきものがある。
https://markezine.jp/article/detail/44470

公取委衝撃「なめられている」 グーグルに「心臓部」握られたヤフー:朝日新聞デジタル
「公取委は、定期的にグーグルとヤフーに契約状況などを確認していたが、説明はなく、全く察知できなかった。
『完全になめられている』
契約変更を把握した公取委内部には衝撃が走ったという」。

——すでに各メディアで報道している件。この記事では、公正取引委員会が行政処分を行うに至った経緯が比較的詳細に述べられている。20210年ごろまでに立ち返ったもの。

ジャーナリズムとは何かを再考する(4の前編) 「『エモい』だけの記事」の原因とは?(奥村信幸) - エキスパート - Yahoo!ニュース
「『エモい』だけでなく、ニュースの中で感情を刺激することは、あながち悪いことではありません。その記事に関心を持ってもらい、途中で離脱しないで全部読み終えてもらう仕掛けは、記事で伝える内容が過度に誇張されたり、誤解を招いたりしなければ許されるはずです」。

——一部で話題になっている“新聞報道のなかに“エモい”記事が増えている”現象について、奥村信幸氏が建設的な批判。私も一概によくないこととは思わない。エモーショナルに訴える記事は、読者体験の度合い高いことは想像できる。ポイントはそれをどう生かして、次のステージへと読者を誘うかだ。奥村氏はその点、「普遍化」というプロセスをあげる。

Disruption This Week—–15/3/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年3月11日から2024年3月15日まで。

MusicWatch Reports Results of 2023 Annual Music Study: Record Numbers of Music Streamers and Paid Subscribers | MusicWatch Inc.
米メディアMusicWatch、2023年版「US Annual Music Study」で米音楽市場の調査結果を公表。米市場は引き続き健全。有料会員数は過去最高し、レコード音楽(CD、レコード、ダウンロード、音楽ストリーミングの有料購読)への支出も増加しているとする。
オープンAI、仏紙ル・モンドとスペインのプリザとライセンス契約
「ChatGPTのユーザーは今後数カ月かけて、一部の回答でル・モンド紙とプリザの要約された記事を読むことができるようになる。回答には記事の出所が明記され、元記事につながる『強化リンク』が設けられ、ユーザーはそれぞれのニュースサイトにアクセスして追加情報や関連記事に接することができるという」。

——OpenAIとニュース(報道)メディアとの提携が、じわじわと進んでいる。「強化リンク」という出典元明示の仕組みも提供されるという。

Sprouts of Hope in a Gloomy Media Landscape
【有料購読者向け記事】:
「『Puck』、『Punchbowl News』、『The Ankler』、『Semafor』などが代表的な新興ニュース企業は、支出を抑え、慎重に雇用している。いずれも、特定のニッチ分野を幅広くカバーするニュースレターが中心である。一流のジャーナリストを企業の中心に据えることで、時には企業のオーナーとして、彼らを惹きつけてきた」。

——米New York Times、先行き厳しいメディア経営環境を念頭に新たなメディア運営法をめぐり取材、論じている。

AI news that's fit to print
米メディアQuartzの創業者で、最近、New York TimesでAI活用イニシアティブの責任者に任用された
Zach Seward氏が、メディア(ジャーナリズム)がAIを活用しようとして失敗した例、成功した例、そしてLLMの可能性を事例を豊富に使い解説したSXSWでの講演記録。必読!
AI規制法案、EU議会で可決-世界に先駆け包括的な内容
「欧州議会は13日、人工知能(AI)法案を可決した。これにより欧州連合(EU)では、急発展するAIを最も包括的に規制する法律が導入される。
米国ではこれに相当する法規制はなく、EUの法案に盛り込まれた一連の規制が欧米諸国におけるAI管理を方向づける可能性がある」。

——EUが最も厳格。米は緩やか。日本はその中間、というのが通り相場だが、日本でも厳格の側に傾く動きもあるようだ。政府も躊躇しているのだろう。G7で主導権を発揮した日本の立ち位置も揺らぐ。

OpenMeter makes it easier for companies to track usage-based billing | TechCrunch
サブスク(購読)型課金モデルが、利用者にとって割高と感じられることが多くなるに従い、従量型課金(Usage-Based Pricing)モデルが広がり始めた。記事は、その基盤をSaaSで提供するOpenMeterの話題。エンタープライズ分野で注目されるが、C向けにも適用できるのでは?
Tortoise boasts growing podcast audience of up to 3m downloads per month
“スローニュース”を謳う英Tortoise Media。2019年の創業時のコンセプトは少ない数の長文記事をじっくり読ませることだったが、22年にはポッドキャストにピボット。現在は、月間300万ダウンロードを誇るという。女性視聴者が6割、40代以下の比率が8割だという。

インターネット広告費は過去最高を更新 ビデオ広告が二桁成長―電通・日本の広告費詳細 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議

AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム

インターネット広告費は過去最高を更新 ビデオ広告が二桁成長―電通・日本の広告費詳細 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
「インターネット広告媒体費を取引手法別で見ると、運用型広告は前年比110.9%の2兆3,490億円で、インターネット広告媒体費に占める構成比は87.4%となった。予約型広告は前年比100.0%(2022年:2,647億円、2023年:2,648億円)とほぼ横ばい」。

——発表された「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」から。上記運用型広告のいまさらながらの浸透ぶりに加えて、動画広告が高い成長を示したことが、昨年のハイライトだろう。

How DMA gatekeepers are responding to the EU's new competition rules -- in their own words | TechCrunch
EUで施行されたDMA(デジタル市場法)の下で、ゲートキーパーと指定されたAlphabet/Google、Amazon、Apple、ByteDance/TikTok、Meta、Microsoftの6社が、それぞれ、最初のコンプライアンス・リポートを発表し始めている。今後EU監視下でこのような検証公表が求められることになる。
地方紙のサイトが“生成コンテンツ”を大量発信、AIを用いた「クリックベイト工場」の秘密
「人工知能(AI)が生成する『クリックベイト(釣り記事)』で溢れるウェブサイトのネットワークは、既存のメディアやブランドの評判をずる賢く利用して構築されている。これらのサイトは、かつて高い信頼を得ていた組織のURLのドメインを不法占拠(サイバースクワッティング)し、閲覧者や広告主を混乱させ、誤解を引き起こすことでうまい汁を吸う」。

——Metaで働いたことのある人物が、このジェネレーティブAIが生成するコンテンツを、元々定評があったローカル紙のドメインを活用して、悪質なコンテンツを振りまくモデルを発見したという記事。記事が指摘するように、この事案は広告による資金稼ぎが狙いだが、容易にプロパガンダ意図に応用できるだろう。

Disruption This Week—–23/2/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年2月19日から2024年2月22日まで。

Magazine ABCs 2023: Full breakdown of titles shows 12.4% circulation fall
英国の有料雑誌の発行部数(電子版を含む)を開示するABC調査によると、1位はThe Economistの電子版で99万1,887部。100万部超だった22年からわずかに減少。月間平均発行部数の合計で見ると、21年は2680万、22年は2400万部、23年は2100万部となった。
「サブスク1,000万をいかに達成したか」NYタイムズ発行人が語るデジタル戦略の10年とは?
「(イノベーション・レポートは)未来の洞察の文書だと思われていた。しかし、あれはカルチャーについての文書で、人々が変化に対してノーと言うのをやめるために、必要な条件を整理しただけのものだ。間違っていたことはたくさんあった」。

——現New York Times発行人A・G・サルツバーガー氏へのロイター・ジャーナリズム研究所による長文インタビュー。どう紹介しようかと思っていたところ平和博氏が整理してくれた。引用箇所も面白いが、個人的にはWashington PostやWall The Wall Street Journalなどがレイオフをしていることについて、失敗ではない、むしろ素晴らしく善戦していると持ち上げている点が印象的だった。

米国の配信サブスク利用者、年間支出額は平均約14万円
「新しいレポートによると、サブスクリプションサービスを利用する米国人は、平均で年間924ドル(約13万9000円)のサブスクリプション料金を支払っているという。月額にすると77ドル(約1万2000円)だ」。

——自分の場合は、Amazon PrimeとYouTubeをサブスクしているが、あくまでリニアTVのニュース報道の補完の扱い。アメリカなどでは主役がストリーミングなのだろう。

YouTube dominates TV streaming in US, per Nielsen’s latest report | TechCrunch
米調査会社Nielsen、リニアTV(オリジナルのTV番組視聴)とストリーミングの視聴に関する1月の調査結果を公表。YouTubeがテレビ画面での視聴の8.6%を占め、米国で再びストリーミングサービス全体のトップとなったことを明らかにした。一方、Netflixのテレビ視聴率は7.9%だった。
Washington Post taps Connelly as senior editor for AI strategy and innovation - Talking Biz News
米Washington Post、AI戦略およびイノベーションを所管する上級編集長としてPhoebe Connelly氏を起用。同氏はこれに先駆けて若年層読者獲得のための次世代イニシアティブを率いてきた。同グループでは昨年からAIを活用するためのハッカソンなどを社内で開催するなど活動中だという。
Apple reportedly faces €500m fine from EU over music streaming access
音楽ストリーミングのSpotifyがAppleによってアップストア以外の代替支払い手段の提供を妨害されたとする訴訟で、EU規制当局は、Appleに対し800億円(5億ユーロ)もの制裁金を課す動きと英Financial Timesが報道。
既に紹介しているように、Appleは制裁を逃れるための新ポリシーを発表しているわけだが。
Top 25 US newspaper circulations: Largest print titles fall 14% in year to September 2023
米Alliance for Audited Media調査、米25の日刊紙の1日平均発行部数は、230万部(2023年9月時点)。前年は270万部、2023年3月までの半年間では260万部だった。米最大の日刊紙のWSJ(555,182部)とNYTimes(267,639部)は、それぞれ前年比14%減、13%減に。詳しい一覧表を含む記事。
PAPERWALL: Chinese Websites Posing as Local News Outlets Target Global Audiences with Pro-Beijing Content - The Citizen Lab
カナダToronto大に設けられたCitizen Lab、欧州、アジア、南アメリカの30カ国で現地の報道機関を装った、中国により運営されている少なくとも123のWebサイトのネットワーク「ペーパーウォール」を発見。その詳細な事例と手順などを研究し暴露した。
岸田首相の偽画像などがSNSで相次ぎ拡散 注意を呼びかけ | NHK
「この偽画像を投稿したのはロシアを支持する投稿を繰り返しているアカウントで、転載されたものを合わせて70万回以上見られていました。 また、岸田総理大臣の発言の映像を切り貼りして、『日本人の割合は10%で、残りの90%は移民で構わない』などと述べたとする偽情報もXで拡散しました」。

——以前には、岸田首相が卑猥な発言をする…という愉快犯的偽動画が話題となったが、今回のケースでは、政治性を帯び始めた。影響工作が意図されているようにも見えないではない。警戒水域に入ってきた。

米・オープンAI 文章から動画を作成する新たなAI「Sora」開発を発表|日テレNEWS NNN
「夜の東京の街を歩く女性や東京郊外を走る電車の車窓など日本に関する動画もあり、サクラが満開の中、雪が降る東京の街といった中々見られない光景もAIによって簡単に作成できることがうかがえます」。

——日本をテーマにした動画では、なかなかありそうでなさそうな光景を創り出している。動画広告を安上がりに制作するのにはフィットしそう。現在は、制作者(クリエイター)を選んで試行運用を始めた段階だが、本格的にサービスインする際にはどうするのだろうか。