Disruption This Week—–13/1/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年1月5日から2023年1月13日まで。

Opinion | Does Twitter Disinformation Even Work?
【有料購読者向け記事】:
2016年大統領選を巡りSNS経由でのロシアによる工作の影響度については、いまだに研究が進められている。Facebook上の活動は広く知られたが、Twitter上での影響力は小さかった? 米NYUの研究者らによる研究が学術誌「Nature Communications」に掲載された。
How the Star Tribune aims to retain its 100,000 digital subscribers - WAN-IFRA
創刊155年の米ローカルニュース「Star Tribune」。購読者のリテンション担当者が語る取り組み。重視している「KRP:キー・リテンション指標」という考えは参考になるはず。また、購読中止方法をあえて電話のみからオンラインに変更して、効果をあげたという事例も興味深い。
テレビ番組のネット配信、認知は8割前後に スマホの存在感増す──MMD研究所調査
「サッカーワールドカップのカタール大会が話題になった2022年12月上旬(5~7日)に18歳以上の男女1万100人を対象に調査した。これによるとテレビ放送後の番組をネット配信する『見逃し配信』の認知は80.1%で、このうち利用したことのある人は38.0%だった。また放送と同時に配信する『リアルタイム配信』の認知も77.4%と高く、利用経験者は33.3%だった」。

——「日本VSクロアチア戦」が行われたのが12月6日だから、国内で最大の注目を浴びていた時期の調査。ネット上での調査(八票元のデータを手続きしてダウンロードしないとデモグラ等がわからないのだが)と想像するのでその偏りはあると思うが、大きな認知向上があったと見る。また、発表元では、利用しているサービスも調査され、TVerとABEMAが上位に。

Pro-Putin operatives in Germany work to turn Berlin against Ukraine
ドイツ国内で秋以降、親ウクライナへの動きに反対する反米親露活動が活発に。活動の中心的人物は、たとえば、元ロシア空軍将校、もう一人は元ロシア軍事情報機関の将校だったりと、彼の国のエージェントの可能性が濃厚に。内容はもちろん、ビジュアルでも見応えのあるReutersの調査報道。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2023

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2023
例年、新年早々に公開されるReuters Instituteによるメディアとジャーナリズムをめぐる大規模な調査。2023年版が公開された。今後関連するトピックスを紹介していくことにする。やはり最大のイシューのひとつが「ニュース忌避」現象の行方ということになるだろう。
How Finland Is Teaching a Generation to Spot Misinformation
【有料購読者向け記事】:
Open Society研究所の調査で、フィンランドは誤報に対する強靭さで欧州41カ国中5回連続で1位を獲得した。ロシアとの間に長大な国境を有し、昨年NATO参加を決めた同国の実践的なメディアリテラシー教育の現場を取材した記事。ある中学の授業ではTikTok投稿を毎週3本見せて、議論したりしているという。
NATO入りを表明したとたん、首相がクラブで踊ったり、ドラッグ疑惑が流れるなど、認知戦が渦巻く同国の状況は実践的に学ぶ価値がありそうだ。
Microsoft eyes $10 billion bet on ChatGPT | Semafor
米Microsoft、ChatGPTを擁するOpenAIに100億ドルを投資検討。米新興メディアSemaforがスクープ。その際の企業価値は290億ドルと見込まれているという。Microsoftとしては、PCの次の波であるモバイルには乗り遅れたが、さて、生成型AIの波にはどうだろうか?
China, a Pioneer in Regulating Algorithms, Turns Its Focus to Deepfakes
【有料購読者向け記事】:
中国、ディープフェイクなど、“深層合成(Deep Synthesis)”技術を用いたコンテンツ、メディアの運用について、今月から新法で厳しく取り締まる運用に入った。この種の技術が経済や国家安全保障を混乱させるような情報の拡散させることを禁止する。
Ghost Writer: Microsoft Looks to Add OpenAI’s Chatbot Technology to Word, Email
【有料購読者向け記事】:
こちらもMicrosoftがChatGPTを取り入れる動向をThe Informationが独自取材した記事。なんとMSは、Word、Outlook、PowerPointなどにChatGPTを取り入れ、ユーザの簡単な指示で文書やプレゼンを生成できるような機能実現を目指しているのだという。
Partisan media offers easier-to-read political news than mainstream outlets, study suggests
米メディア研究者の研究論文「米国メディアにおける読みやすさ、学年、感情、トーンの評価」は、党派性に傾いた政治的メディア(記事)ほど、親しみやすく・シンプル・否定的トーンを用いて読者を引きつけているとの見解。
メディアをめぐる多様性のリアル――ONA2022現地レポート - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから年末更新の記事。昨年米国で行われたONA2022から、「メディアをめぐる多様性(ダイバーシティ)」の動き。海外、特に米メディアはどう考え、取り組んでいるのかを伝えます。

Disruption This Week—–30/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年12月26日から2022年12月30日まで。

後藤達也の特別授業at東工大 個人ジャーナリズム・クリエイターのあり方とは
私個人的には、お歳暮もしくはお年玉的価値のあるレクチャー。
Gaming takes over everything
“ゲームこそストリーミングの最大の競合”との認識は新しいものではない。今度は、ハリウッドやストリーミングがゲームを題材に次々と大作。23年には「The Super Mario Bros. Movie」、そしてPlayStation題材の作品などが控えている。もちろん、ゲーム開発をめぐってはサウジアラビアが動き出すなど、ゲームはますますエンタメの中心、カネの集まる場へと向かっているとする記事。
Creator Financing Is Going Mainstream
【有料購読者向け記事】:
大手プラットフォームでは、“クリエイターエコノミー”トレンドに絡んで設立した“基金”から撤退する動きが目立つが、クリエイター向けファイナンススキームづくりに初期から関与してきた投資家が、着実に前進しつつある現況と進む方向を詳細に解説した記事。
The AI spammers are coming
「よくできていて、説得力があり、そしてまったく間違っている」コンテンツスパムが、ChatGPTのようなテクノロジーで大量に算出される。それはSEOのあり方を変える。10年続いたプラットフォームがメディアへ与えた影響力に匹敵する地殻変動が来年以降やってくるとの論説。
「イノベーション促進へ内製化によるデータビジネスの推進を」:毎日新聞社 高添博之 氏 | DIGIDAY[日本版]
「『re:Invent』に弊社からエンジニアを派遣しました。今回は「データビジネス」関連の新サービス・新機能が多く発表されています。AWSが言うように『データアクセスの民主化が企業のイノベーション促進』することを実現するため内製化を進めていきたいと考えています」。

——読者についても、コンテンツについても、老舗メディアの強みはその膨大な“資産”だ。だが、その資産をデータとして活用できなければ、つねに“フロー”としてのビジネスであり続けることを強いられる。資産の活用が手がけられれば、展望が見えてくるはずだ。

The rise of misinformation and how governments are combatting it
「エコーチェンバーからの脱出:各国政府はどう偽情報と闘っているか」。欧州の各国政府関係者向けメディア「Global Government Forum」が政府広報担当者のパネルディスカッションを開催。欧州各国の「偽情報」への対処を議論。基本は、政府と市民間のコミュニケーションをどう増やしていくかが課題ということに。
米サウスカロライナ州Furman大の教授は、ある学生がChatGPTを用いて課題論文を提出したのを発見。課題は“恐怖のパラドクス”を論じることだが、論文は哲学者ヒュームに結びつけ自信満々に誤った引用をしていた。教授はこれがChatGPTの特徴をなすと指摘する。
Googleは敵か味方か 米メディアに「現実主義」の兆し
【有料購読者向け記事】:
「多くの新聞社にとってテック企業は『宿敵』というのが定説だが、ドクター氏(=メディア評論家で、自らも地方メディア「ルックアウト・サンタクルーズ」を立ち上げたケン・ドクター氏)は『グーグルやフェイスブックと競うつもりはない』と言い切る。きめ細かい需要開拓の結果、『地域の潜在顧客とつながる新たな方法のニーズがある』と分かってきたことが大きい」。

——糧道を食われ、窮地の老舗メディア群が法案に支えられてプラットフォームと戦う、もしくは支払交渉に持ち込む……という見慣れた図式から、プラットフォームとの協業関係を引きだす動き。当然ながら望ましい構図だが、プラットフォームの動きが単なるポーズで止まらないようにするためにも、注視を続ける必要がある。

The Atlantic introduces dynamic paywall with varying prices as it hopes to attract 1 million subscribers
米Atlantic、1月より読者の行動から購読料金を変化させる“ダイナミック・ペイウォール”制を開始する。従来は電子および印刷版の組み合わせ、プレミアム版など3種の価格があったが、読者1人当たり収入の増加を目指して動的に価格が変化する新システムを稼働させる。
A New Chat Bot Is a ‘Code Red’ for Google’s Search Business
【有料購読者向け記事】:
新しい種類のチャットボット技術が従来の検索エンジンを再発明、あるいは代替する態勢を整えたことで、Googleは同社の主要な検索ビジネスに対する初めての深刻な脅威に直面している可能性がある。ある幹部は、これが同社の将来を左右すると評する。
検索生み出す収益は同社全体のそれの8割に及ぶという(記事)。そのような強力なビジネスモデルを持てば、この刷新に向かうことは難しくなると、New York Timesの記事は結論として述べている。
AI創造作品、「人工合成メディア」への懸念
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が日経電子版に掲載されました。よろしければご覧下さい。➡ AI創造作品、「人工合成メディア」への懸念

NHK、BBCなどと偽情報対策で連携へ【ファクトチェック通信】

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

NHK、BBCなどと偽情報対策で連携へ【ファクトチェック通信】
【ご紹介】:
FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)が時々のファクトチェックに関連する話題を配信するニューズレター「ファクトチェック通信」にWeb版ができました。ぜひご活用下さい。

Disruption This Week—–23/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年12月20日から2022年12月23日まで。

ネトフリ広告付きプラン、普及まだ先
【有料購読者向け記事】:
「今回のデータが公表される数日前、ネットフリックスは広告付きプランの保証視聴回数を達成できず、その結果出稿されなかった広告分について、返金に応じていると業界誌ディジデイが報じていた」。

——すでにAntennaの調査などについて紹介したが、WSJも、Netflixの広告表示付き廉価版の試みに、否定的な報道。ただし、記事中にもあるが、まだ、滑り出し1か月の段階。今後の展開に引き続き注目すべき。

Porn, Piracy, Fraud: What Lurks Inside Google’s Black Box Ad Empire
「Googleは、広告販売パートナーの大方を秘匿する唯一の主要広告プラットフォームだ。つまり、Googleは広告を掲載するサイトやアプリ、その背後の人々や企業をすべて非公開としている」。
それにより驚くべき偽情報で荒稼ぎするサイトでの広告収入を、匿名のサイトオーナーと折半しているとする詳細な米ProPublicaの調査報道。
米Axios、記事「箇条書き」に活路 ネット系停滞と一線
【有料購読者向け記事】:
「アクシオスは、立ち上げ前に既存メディアの欠点を徹底的に分析し、記事が長すぎるとの結論に至ったという。忙しい読者が短時間で要点をつかめるように、記事は『スマート・ブレビティー(賢く、短く)』と呼ばれる箇条書き方式で提供する」。

——傾く老舗メディアに挑む新興メディア……という図式が揺らいだここ数年。新たな挑戦者はAxiosと見なす記事。ビジネスの仕方、稼ぎ方などに目が行き届いた新興メディアへ注目が集まる。

ByteDance Inquiry Finds Employees Obtained User Data of 2 Journalists
【有料購読者向け記事】:
TikTokおよびその親会社であるByteDanceの従業員らが、米ユーザのデータに不適切にアクセス、監視活動を行っていることはすでに報道されてきたが、今回、新たなに米ジャーナリストの個人データをTikTok従業員が漁っていた事案も内部調査から判明した。
メタバース・ビジネス新展開
25年前に亡くなった
伝説のラッパーが復活ライブ
【有料購読者向け記事】:
「(早逝したラップ・アーティストの)スモールズの超リアルなアバターは、見事な技術的偉業というだけのものではない。メタバース・プラットフォームが普及すればすぐに直面することになる、2つの大きな疑問に対する重要なテストでもある。その疑問とは、亡くなったアーティストのアバターのパフォーマンスを人々がお金を払って見るか、そして、そのビジネスは倫理的か、ということだ」。

——非在の人物をテクノロジーで甦らせる試みは、映画やこの種の芸術ステージ、そして親族と触れあっていたい私的な欲求などに応える産業となっていく可能性がある。この記事ではVRによる見た目の再現と新たな創造が軸だが、ChatGPTのような会話力の人工的な創造がここに組み合わされていくことになることは間違いない。その亡くなった人物の考えや声をAIが学習できれば、応用は広がっていく。

ワシントン・ポスト、SaaSで稼ぐ 2000媒体に基盤提供
【有料購読者向け記事】:
「会社は異なるがArc XPとアマゾンのクラウド部門、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)には共通点が多い。例えば顧客の声に耳を傾け、矢継ぎ早に機能を追加することだ。最近は記者がスマートフォンで撮影した動画をサイトで生中継できる機能など『21年は機能追加数が過去最多だった』(広報担当者)」。

——米Washington Postが自ら内製開発したCMS「arcXP」をめぐる奥平和行記者による充実した取材記事。ただし、同氏が知ってか知らずか、arcXPをめぐる同社の経営は揺らぎ、その戦略は転換を遂げているのだが。メディア企業がテクノロジー事業(企業)を胚胎し育て上げることの難しさが伝わる。期せずしてVox MediaもCMS「Chorus」のディスコンを決めたと報道されている。

Slow fade for Google and Meta's ad dominance
“デジタル広告複占時代”の衰退?
米調査会社Insider Intelligence、2022年の米デジタル広告収入の48.4%をGoogleとMetaの合計が占めると予測(Google28.8%、Meta19.6%)。2014年以来初めて5割を下回る。2017年のピーク時には、54.7%だった(Googleは34.7%、Metaは20.0%)。
5 themes that governed the news industry in 2022 | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
2022年、報道メディアをめぐる5つのトレンド。1) ジェネレーティブAI出現で制作自動化の動き、2) 印刷コスト増大でデジタル化進展、3) Web3、NFTが本格化、4) 改めて広告に頼るメディアも、5) “音声(ポッドキャスト)トレンド”加速
Finding new ways to reach news avoiders
ニュースをめぐるエコシステムは、“ニュース・ジャンキー(中毒者)”に向けて作り出されている。ニュースをよく読む人より、ニュースを大量摂取する人向けにビジネスが最適化されており、それがまたニュースメディアの首を絞め、“ニュース忌避”を呼んでいるとする貴重な論。
最近までCNNでアンカーをしていた筆者が、抜け出す方向性を示唆する。
2023年に最も注目すべきテクノロジーは、世界を変えうる技術革命「生成型AI」だ | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
【有料購読者向け記事】:
「AIは計算負荷が高く、高価なデータセンターを必要とするため、政府や超大企業しか利用する余裕がない。しかし、AIにはストーリーがあり、実用性がある。それこそ、2021年と2022年に登場した技術(Web 3.0とメタバース)が提供しなかったものだ」。

——スコット・ギャロウェイ氏のお馴染みの論説。今年1年の間にも歴史に残るようなAI研究の成果が生み出されている状況を、的確に論じている。Web3トレンドより実用性が高く、その分、日社会に良い影響も悪い影響ももたらすだろうことを示唆している。
で、最大の難点は、大規模言語モデルの駆使は、ブロックチェーンのマイニング同様、設備集約、高エネルギー消費型の産業であること。むしろGAFAを生き延びさせる可能性が高いことかもしれない。

Disruption This Week—–9/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年12月5日から2022年12月9日まで。

Instagram Cuts Incentives to Some Reels Creators
【有料購読者向け記事】:
YouTubeerに代表されるような、プラットフォームが得る収入から、投稿者(クリエイター)も成果主義的に収入を得る、“クリエイター経済”のスキームが終えんに直面。記事はInstagramで投稿者が得る収入が激減していることなどを紹介している。ほんの1年ほど前には、大手プラットフォームはクリエイター向けのインセンティブ制度を競っていたが、最近ではインスタに限らずPinterestやSnapchatなどが次々と廃止かトーンダウンへ。
WaPo to discontinue ad tech arm Zeus as a standalone business
昨日紹介したように、米Washington Postは新聞(メディア)業界内では珍しく本格的なテクノロジー基盤開発を自らの手で進めてきた。だが、出版・配信基盤のarcXPについては部門売却の検討を開始する一方、広告配信基盤のZeusは、他社へのライセンス(これにより広範なプレミアムアドネットワーク構築)を諦め、自社利用に止める選択に向かう。
WSJスクープ | 米紙ワシントン・ポスト、テク事業の売却検討
【有料購読者向け記事】:
「同紙はベゾス氏の指揮の下、デジタル化に注力し、広告テクノロジー事業を立ち上げ、新しいアプリや分析ツールを開発してきた。中でもArc XPは間違いなく最も野心的な技術プロジェクトで、世界中に約250人の専任スタッフを擁している」。

——Washington Postが育ててきたソフトウェア基盤「arcXP」は、CMSに始まり広告配信(アドサーバ)、各種分析など、大手メディアが備えたいシステムをまとめて提供できるもの。外販しているが、まだ黒字化していない。レガシーメディアとしては、この部門に集中的な資源投下をできないという判断に至ったようだ。

全米のローカル紙が次々と閉鎖されるなか、いわゆる「ピンク・スライム」サイト(地方紙を装った党派的な団体が資金源とするWebサイト)が、その穴を埋めようと殺到している。2022年11月現在、メディアの品質確認を行う事業NewsGuardは全米で1,202の「ピンクスライム」サイトを確認したとリポート。
これは最近のPew Researchもリポートした「オルタナティブ・メディア」の伸長現象と符合する。
Facebook、選挙スタッフに対する殺害予告の広告をすんなり承認してしまう
「グローバル・ウィットネス社とニューヨーク大学が行なった調査で、MetaことFacebookが、選挙スタッフに対する殺人予告を含んだ広告20個のうち15個をそのまま承認していたことがわかりました。一方、TikTokとYouTubeは殺人予告広告を即座に削除、申請したアカウントを凍結するという結果でした」。

——調査会社と大学の研究者が、調査の手法を解説もしている。また、他のプラットフォームでは機械的にせよ実施している掲載の即時排除も行われていないとは…。研究者らはこの研究結果の公表後にFacebookに措置変更を行うかどうかも事後的に検証するという。

チャットAI「ChatGPT」のコンテンツフィルターを解除して「銃の作り方」などを回答させる方法が発見される
「『ChatGPT』は、日本語や英語で質問文を入力すると違和感の少ない言葉で回答してくれます。そんなChatGPTには不適切な質問をブロックするコンテンツフィルターが設定されているのですが、フィルターを解除する方法が発見されたので、実際に試してみました」。

——これだけ面倒な段取りを誰かがよく発見したもの。もはやその道も塞がれているだろうとは想像するが。ChatGPTは、ネットに散在する意味のある情報(とそれに近接する情報を結びつけ)を収集、分析したものを用いるのだろうから、ネットにこのような情報があること自体が問題なのだが。
こう考えると、ChatGPTは、高度な情報を見いだしてくれる対話型検索エンジンなのだとも理解していいのだろう。

Exclusive: Adobe will sell AI-made stock images
米Adobe、同社のフォトストック(写真などイメージの販売)事業でジェネレーティブAI、つまり、Stable DeffusionやDall-EなどAI技術で生成された「作品」を受け入れ販売していくことを表明。Gettyなどはこの種の作品の排除を決めるなど、対応が種々分かれるという状況だ。
Bloomberg Media revenue up 20 percent, ad revenue up 25 percent - Talking Biz News
米Bloomberg MediaのCEO、M.Scott Havens氏が全社員宛てにメール。今年(第3四半期まで)は広告収入が前年同期比25%増となり、購読者数が22%増の45万人超となったと説明。動画部門も好調だという。

Big Tech’s Big Lie

The Information

Big Tech's Big Lie
【有料購読者向け記事】:
「ビッグテックの大嘘」。検索体験におけるGoogle、そしてAmazonの劣化に批判的な記事をそれぞれ紹介した。両ビッグテックは、過去、顧客満足の最高値を叩き出していたのだが。共通する“悪の源流”として検索と広告の癒着を指摘する記事。Appleもまた、いまや検索に連動する広告の開発に余念がないが、その行く末が見通せそうだ。
赤字アベマに賭けたサイバーA藤田社長も勝者、W杯で視聴数最高に
「2016年4月の開局以降、サイバーAのメディア事業は赤字を継続している。22年9月期には124億円の営業損失を計上する中、ジェフリーズ証券の佐藤博子アナリストの推計によると、同社はW杯放映権の獲得に150億円から200億円を支出」。

——藤田氏の賭けっぷりはすごい。かつ勝負師としての腕前を、これまでも見せつけられてきたが、今回のW杯獲得は、さらにその上を行くものだ。

熱狂の桜ヶ丘|スマートニュースとカルチャーデザイン|Kenji Tomita / Runtrip|note
【ご紹介】:
スマートニュースの元同僚、冨田憲二氏が執筆した、サービスイン10年目を迎えたスマニューの草創期を論じたポスト。当時の社内のありさまを論じた「カルチャー観点からの私的記録」。

Disruption This Week—–2/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年11月28日から2022年12月2日まで。

Andreessen Horowitz's buzzy tech publication Future is shutting down
【有料購読者向け記事】:
最大手の投資会社米Andreessen Horowitzが2021年6月に開設したテクノロジー特化の専門メディア「Future.com」が閉鎖に。プラットフォームやテック系企業に徐々に批判的な立場へと傾く商業ジャーナリズムに業を煮やしたオウンドメディア企画で、開設当時のインパクトは良くも悪くも大きかったが、あっけなく終えんへ。この数か月、記事の更新が途絶えていたという。
https://www.businessinsider.com/a16z-future-closes-staff-exit-2022-11
アマゾン、「Echo Show」でオリジナルのお話絵本が作れる新機能「Create with Alexa」
「『アレクサ、お話を作って』と話しかけ、指示に従い『宇宙探検』『海中』『魔法の森』などの舞台、登場キャラクターの名前、『ばかばかしい』『幸せ』『神秘的』などの雰囲気を指定する。すると、5行から10行の文章と、5枚の絵で構成された物語が作られる。同じ設定で制作しても、異なる物語になるという」。

——文字どおりの“子どもだまし”と見るか、子どもにプログラミングを教えるのと同じぐらいのインパクトがあると見るか。自分は、ここに、“ジェネレーティブAI”のパワーを注ぎ込めば、すごい幼児巨匠が生まれるような気がしている。

MAU月間6,000万のメディアパワーを有するLGBTQ+向けメディア英「PinkNews」。LGBTQ+読者に向けられ続けたヘイトに対抗し、“気分の上がる”ニュースだけを表示するパーソナライズ(フィルタ)機能を提供開始。ニュース忌避現象への解ともなるか?
Washington Post launches “Newsprint”: Personalized interactive feature revealing content subscribers enjoyed most | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
「この機能は、購読者の過去のニュースに対する興味や、購読者の読書習慣が他の人と比べてどうであるかなど、パーソナライズされた様々な洞察を表示します。まず始めに、一部の購読者は、自分専用の『ニュースプリント』にリンクしたメールを受け取り、自分の『1年間のニュース』の概要を確認することができます」。

——米Washington Postが読者のパーソナリゼーション・サービスにトライ。明示的に読者がオプトインをして、自身の閲読傾向を統計化したり、他の閲覧者との比較で“気づき”を提供するという。WaPoが求めるのは、これらによって、閲覧時間を増やしていく方向だろう。

Your Key Questions Answered: Media Moments 2022 - Interhacktives
Media Voicesが例年行うメディア関連トレンドを語る「Media Moments」2022年版が公開。トレンドの一つとしてニューズレターをあげる。SubstackやAxiosがこれで米ローカルニュースに希望をもたらしたと。
また、オンライン出版協会では会員の平均購読料収入が15%増となったとする。これは、サードパーティCookieの終焉から読者エンゲージメント重視への転換でもたらされたという文脈で説明している。
https://www.interhacktives.com/2022/11/30/media-moments-2022-key-questions-answered/?
出版状況クロニクル175(2022年11月1日~11月30日) - 出版・読書メモランダム
「2021年の『携帯電話通信料』と『インターネット接続料』はそれぞれ10,424円、2730円で、合わせて13,154円である。『書籍』『雑誌』の963円に対して、13倍の支出となり、出版物が占めていた社会的役割が失墜してしまった現実をあからさまに照らし出している」。

——今月の「出版状況クロニクル」は読みどころが多い。国文社の廃業は、個人的な想いがいろいろとある。それはともかく、引用箇所は、わが国生活者の「有料ベースの」情報消費の仕方の変遷として、興味深いものがある。実はこの背景にテレビの時間消費が無量であるために隠されているし、オンラインコンテンツも同様と考えるからだ。情報消費における支出は「時間ベース」の視点を交えないと実態は見えづらい。

Why Shutterstock is betting on generative AI for the future of stock images
レンタルフォトのシャッターストックは、テキストベースの「プロンプト」を入力することで、コンピュータが作ったユニークなデジタル画像を生成できる新たなイノベーション「ジェネレーティブAI」の活用実験を開始した。遂に機械生成まで作品の品ぞろえを強化したことに。
「創造するAI」が進化 テキストからついに動画を生成
【有料購読者向け記事】:
「グーグルは説明会で、PhenakiとImagen Videoを組み合わせ、長文のストーリーから動画を出力させた例を見せた。その他にも多数の『創造するAI』を紹介した。キーワードを入れると、小説のような文章の一節を出力してくれる」。

——数行程度の簡単なテキストでヒントを入力すれば、驚くような静止画像が出力される、ということで世を驚かせた「創造するAI」(ジェネレーティブAI)技術。それもつかの間、今度は動画も生成してくれるという。ワクワクさせられるが、「ディープフェイク」の“超進化版”が続々誕生すると思えば、恐怖のシナリオでもある。

Post News, a Twitter alternative, gets funding from a16z
著名な投資ファンドAndreessen Horowitzの出資を得、著名な学者Scott Galloway氏やジャーナリストKara Swisher氏らを顧問に据え、Twitterオルタナティブ「Post News」がスタート。商業コンテンツを記事単位の小額課金の手法で提供するというアプローチを採る。
【マンガ業界Newsまとめ】ウェブトゥーン各社、映像化、業務提携、収益還元、受託専業など展開加速中 等|11/27-079|菊池健|note
「出版社としては、日本で一番デジタルコミックを販売しているであろう集英社がそのデータをしっかりみていこうとしている取組と言うことで、マイクロソフト社のサイトに事例紹介されていました。
Azureとは、サーバー利用を中心とした様々なツールを活用できるマイクロソフトのクラウドサービスです。この分野ではamazonのAWSが圧倒的にシェアを持っています」。

——いつも勉強になる菊池健氏の業界ウォッチ。感じることは、マンガ(コミック)業界でDXが進んでいること。Webtoonが起爆剤となって、世界的な需給インバランスが生じており、その解消のためにも、制作インフラや業界再編が生じていると理解できる。

「メディアイノベーターズ 未来を拓くための記録」Kindle版を発刊しました - #JCEJ 活動日記
【ご紹介】:
「2021年の5月から1ヶ月間にわたり開催したリレートークイベント『ジャーナリスト図鑑をつくろう!』を再編集し、メディア激動の10年を実践者として切り拓いてきた25人による『時代の証言』を記録しました」。

——Kindle版で入手できるようになりました。私も「時代の証言」というものに参加しています。よろしければご一読を。

データアナリストが見たONA〜世界の編集者はどれくらいGoogle Analyticsを使っているのか? - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techからの新着記事です。SmartNewsのデータアナリスト有野寛一が見た世界最大級のメディア関係者向けイベント「ONA22」リポートです。ぜひご一読を。
JIMA : Internet Media Awards 2023ーあなたの心と社会を動かした、信頼のおけるコンテンツを教えてください。Internet Media Awards 2023 開催!12月1日(木)より応募受付開始
【ご紹介】:
2023年もやります。JIMA主催「Internet Media Awards」。2022年中(2022年1月1日〜12月31日)に公開されたコンテンツ作品または活動/信頼性のある情報をわかりやすく正しく世の中に伝え、社会をよりよい方向に導いている作品または活動を世に伝えていきます。