Disruption This Week—–21/3/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年3月17日から2025年3月21日まで。

Measuring Google’s AI Overviews’ impact: Why keyword data is more telling than CTRs for publishers
【有料購読者向け記事】:
過去6か月間でAI概要のキーワードシェアが大幅に増加した。たとえば、米ProPublica では、AI概要をトリガーとするキーワードシェアがこの期間に204%増加したという。また、AI概要の強調スニペットに扱われる場合とそうでない場合に大きな差異があるとする記事。
U.S. Reaches 100 Million Paid Music-Streaming Subscribers for the First Time, Vinyl Sales Hit $1.4 Billion: RIAA 2024 Year-End Report
全米レコード協会(RIA)の年次レコード音楽収益報告によると、昨年、米国での有料ストリーミングの加入者数が初めて1億人を突破。
レコード売上は20年近くぶりの回復を続け、売上高は14億ドルに到達。ただし、ストリーミングの成長は近年低迷中だとする記事。
実験的試み:イタリアでAI生成記事オンリー新聞が誕生
「Il FoglioのAI新聞は4ページで、3月18日付けの火曜特別版にセットで配布されました。オンラインでも見ることができます。
この新聞、記者(人間)が手を入れたのは、AIチャットbotに質問することとそれを読むことだけ」。

——個人的には、AIがベースを記事や紙面のベースを生成、それを人間がチェック・修正するというのがいい。あるいは、人間は調査報道や深度のある解説記事に携わるべきか。

Gamified app Newsreel aims to lure 'news curious' Gen Z away from Instagram
z世代向けニュースアプリ「Newsreel」、言語学習アプリ「Duolingo」に似た、ニュース情報をクイズ形式で提供。政治と外交問題に重点を置いたストーリーを1日3つ配信、ユーザーは段階的にストーリーをクリアしていくスタイル。“ニュース好き”な青少年をターゲットに据える。
Independent launching AI-powered news service for 'time-poor audiences'
英オンラインメディアIndependent、時間のない読者向けに時間のない読者向けにAIが記事を要約し表示するニュースサービス「Bulletin」を開始する。Geminiを用いて同メディアの記事を140字以内に要約。同編集部員がレビューやチェックをするなどして掲載するスキームだという。
How a New Zealander working from her mum’s kitchen started a news service read by Madonna
各種SNS上でフォロワー数400万を擁する青少年向けニュースメディア「Shit You Should Care About」。27歳の代表Lucy Blakiston氏(在ニュージーランド)へのインタビュー。
同氏は毎日ニュースサイトを見て回り、セレブ文化から紛争に関するニュースまで、読みやすいストーリーをまとめ、Instagram、X、TikToなどに共有する。無料・有料の日韓ニューズレターも配信。2018年創刊で躍進するメディア事業だ。
Guardian, GB News and Newsquest among latest publishers to tell readers: ‘consent or pay’
英メディアGuardian、利用者がサードパーティ・クッキーによるトラッキングに同意しない場合、同メディアの利用料金を求めるダイアログボックス表示を開始。英大手メディアでは、昨夏からこの動きが顕著に。トラッキングのオプトアウト選択を明示するよう規制が進んだ結果だ。

「AI検索、メディアには痛手 サイト訪問9割減」を解説 – 日経デジタルガバナンス

NIKKEI Digital Governance(日経デジタルガバナンス):デジタル・AI時代のガバナンスを伝える専門メディア

「AI検索、メディアには痛手 サイト訪問9割減」を解説 - 日経デジタルガバナンス
【有料購読者向け記事】:
「2月24日に公開した(米トールビット社による米国内外の)調査結果によれば、AI検索の回答で表示するリンクなどをクリックして元サイトを閲覧するクリックスルー率は、従来型のグーグル検索に比べて95.7%も減少しました」。

——先ほど投稿した共同通信社とGoogle(Gemini)との提携を材料にすれば、検索によってこれまで生じてきたオーガニックなクリックスルーは、検索のAIモードによって多くが失われることになる。その欠損を提携が金銭等で補えれば……ということか。

Publishers don't really know how Google AI Overviews is impacting their referral traffic
Googleが進める検索へのAIモードの導入。ユーザーの質問に対する回答が検索ページ上に表示されるため、AIモードは通常の検索結果よりもメディアへのクリックスルー率を高めることにはならないとメディア幹部は考えているとする記事。加えてGoogleはこの詳細を明かしていない。
共同通信社、米Googleとニュース提供の契約 Geminiアプリの利便性高めるため
「Googleにより当社のニュースコンテンツの価値が尊重され、新たな契約を締結した。信頼性の高いニュースを提供することで、社会全体の情報環境の向上に寄与することを期待している」。

——共同通信社の水谷亨社長のコメント。同社が配信するニュースは、多くの報道機関で用いられている。その大元の情報源にGoogleはアクセスできることになる。Geminiは、Google検索と融合していく方向にあることから、その利用接点は広範だ。この取引で、共同通信社の経営が強化されるのであれば、良いのだが。

Disruption This Week—–21/2/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年2月17日から2025年2月21日まで。

ESPN plans to add user-generated content to upcoming 'flagship' streaming service
米Disney、傘下のスポーツ専門メディアESPNで計画するストリーミングサービスで、若い観客層の獲得を目指してUGC(ユーザーが作成したコンテンツ)サービスを付加する計画。今年後半にサービスイン予定だとする米メディアCNBCによる報道。もちろん、ユーザー数を成長させるYouTubeを意識してのものだ。
The New York Times will let reporters use AI tools while its lawyers litigate AI tools
すでにSemaforによるNew York Times社内でのジェネレーティブAI利用を紹介したが、記事はその補足的な解説。NYTの訴訟相手であるChatGPTやGitHub Copilotなどのッツールが、利用を許可されたとの皮肉な結果に。

A German news outlet got rid of its comments section — and asks readers to debate instead
ドイツの著名Webメディア「Der Spiegel」では、従来、記事へのコメント欄を提供していたが月間170万コメントに及び、管理不能に。現在はモデレーターがアジェンダを決める「ディベート」フォーラムの運用に転換。閲覧はオープン、投稿は購読者限定とし質の向上を図った。
Q & A: Leigh Kamping-Carder, The Wall Street Journal | 99 Newsletter Project
米Wall Street Journalは、米国新聞メディアのなかでも多数のニューズレター・タイトルを取り揃えてきた。その実務責任者Leigh Kamping-Carder氏(Head of Newsletters)に、これまでの経緯と、成功するビジネスの秘訣や内情などをインタビューした記事。
AIデバイス「Ai Pin」即時終了──HPによるHumane買収で
「HPはこの買収により、『ローカルとクラウドの両方でAIリクエストをシームレスに調整する新世代のデバイスを開発する能力が急速に高まる』としている。
Humaneの共同創業者で元Appleのエンジニア、イムラン・チャウドリ氏とベサニー・ボンジョルノ氏はHP入りし、HPの製品とサービス全体にわたるAI関連システムに取り組むイノベーションラボ『HP IQ』を立ち上げるという」。

——Ai PinはジェネレーティブAIをウェアラブルに応用しようとした先駆的な取り組みだった。ハードウェアに蓄積のあるHPで新たな可能性を開拓してもらいたい。

ABCs: 55% of digital magazine circulation comes from Spotify-style services
ABC公査を受けた英語版雑誌のデジタル版発行部数の平均は1号あたり300万部(無料配布を除く)で、2023年と比較して14%増加。24年のデジタル雑誌の総発行部数のうち約160万部、つまり55%は、Apple News+、Cafeyn、Kindle Unlimited、Readlyなどのサービス経由だと明らかに。
ChatGPTが“視覚”を手に入れた!ライブカメラ機能でチャットがもっと便利になった | ライフハッカー・ジャパン
「ライフハッカー・ジャパンの記事をブラウザで表示し、ChatGPTに『なんの記事?』と尋ねたところ、ChatGPTは『ライフハッカー・ジャパンの記事で、ChatGPTがものを認識できるようになったことについての記事です』と答えました」。

——「ライブカメラ機能」とは、要するにChatGPTにカメラという視覚を加えるものだ。スマホのカメラを利用する。ChatGPTの有料のアドバンスドボイスモードを使っていれば、それに付加できる。記事はどんな目的で利用できそうか種々試しているので,参考になる。

デザインフローにおいてAI化される部分
「図の色分けによって示しているが、現状は薄いブルーで示すように全体的にまだ支援が弱めといえる。弱め、というのは、MiroやFigjamあるいはFigmaなどのコンピュータツールを利用するけれども主体は人間サイドにあるものか…」。

——ソフトウェア製品などの企画、開発などに携わる人々には役立ちそうな議論。一言で「製品化」といっても、これぐらいのパーツで構成される業務だとすると、一段視点をミクロにすると、自動化可能な分野が明瞭になってくる。

失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
「1. インターネットはクローラーに依存しており半分のトラフィックを占める
2. Webサイト運営者はAIクローラーによるデータ収集を恐れ反撃を始めている
3. Webサイトによるクローラー制限はWebの開放性と透明性を損なう恐れがある」。

——よく知られているように、Web界の情報を調べ尽くすためにクローラー(ボット)の役割は欠かせない。最たるものは検索エンジンのクローラーだ。AI開発企業が学習目的でこのクローラーを走らせてているのを、利権上認めないWebメディアが、「クロール禁止」の動きを強めており、結果として他のクローラーも弾かれ、さらにペイウォールなどの増加でWeb界の見通しが悪くなっていると懸念する記事。

Guardian signs licensing deal with ChatGPT owner OpenAI
米The Intercept、The New York Timesらが、OpenAIによる“無許可の学習”行為を訴える中、英GuardianはOpenAIとコンテンツライセンスを提携。すでに契約を締結しているパートナーには英FT、独 Axel Springer、米Hearst、そして豪News Corpらがいる。

Disruption This Week—–14/2/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年2月10日から2025年2月14日まで。

Google、機械学習ベースのユーザー年齢推定モデルのテストを米国で開始へ
「このモデルは、ユーザーが18歳以上か未満かを推定し、それに応じて適切な保護措置を適用することを目的とする。将来的には、この技術を他の国にも展開する予定だ。…傘下のYouTubeのニール・モーハンCEOが恒例の年次書簡で、この技術を年内にYouTubeに導入すると語った」。

——年齢の機械的推計は、オーストラリアでのSNS年齢制限制度の施行などで喫緊の課題。問題はその技術的ブレークスルー。NHKのある番組では、ユーザーの手のひらをカメラで読み取る手法を紹介していた。思わぬ制約からイノベーションが生まれそうだ。

100k Club: 2025 ranking of world's biggest news publishers by digital subscribers
英メディアPress Gazette、10万人以上の購読者を有するメディア(英語ベース)リスト「100k Club」の2025年版を公開。購読者総数は前年比13%増の4,470万人に到達。最大はご存じ、New York Timesで1,080万人だが、2位にはSubstackが400万以上に躍進した。
もし、DeepSeek R1が低コストに実現するAI技術ならば、AIシステムはコモディティ化していく。一方で相対的に価値がますものは、コンテンツだ。DeepSeek のリリースを背景に、メディアが締結してきたAI契約の多くは、ほぼ確実に自社コンテンツを過小評価しているのだとする記事。
Most generative AI responses based on news content contain inaccuracies
BBCの調査によると、ニュースに関する質問に対する4つのAIチャットボットで回答の10件中9件に、少なくとも「何らかの問題」が含まれていたことが分かったという。同局は、AI企業に改善と、回答精度を監視する仕組みの必要性を指摘する。
EU、AI推進に総額2000億ユーロ投資へ 欧州委員長が表明
「欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長は11日、人工知能(AI)推進に向け総額2000億ユーロを投じる計画を明らかにした。仏パリで開催中の人工知能(AI)サミットで明らかにした」。

——規制金縛り状態で推移してきたEUが、AI投資に乗り出してきた。米側がアクセルを踏み込んだタイミングでようやく。原発保有で電力供給に余力があり、国内に有望なAI開発企業を持つフランスが、EU諸国内から抜け出ていくのだろうか。

米政権「最強のAI構築」、過度な規制に警鐘 バンス副大統領演説
「バンス米副大統領は11日、仏パリで開催中の「AIアクションサミット」で演説した。AIの興隆を新たな産業革命の幕開けに例え、トランプ政権は最強の人工知能(AI)システムが米国に構築されるようにすると述べた」。

——従来からそうであったが、Trump政権下となり、米国はAIに関して、より積極的に規制より発展という方向に踏み出している。それが米国の世界に対する優位性だからだ。ジレンマは、Musk氏がそうであるように、AI開発ができるようなIT大手は、国家超越的なことだ。ガバナンスの難しさを抱えている。

YouTube Surprise: CEO Says TV Overtakes Mobile as “Primary Device” for Viewing
YouTubeのCEO、Neal Mohan氏、TV視聴が(YouTube視聴において)モバイルを凌駕、「米国でのYouTube視聴の主要デバイス」となったと発表。少なくとも米国では、他のどのデバイスよりも多くの人々がTVでYouTubeを視聴していることとなったとする。
ポッドキャスト若者に人気 TikTokに比肩、広告市場拡大 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「デジタル音声広告会社オトナル(東京・中央)の調査によれば、ポッドキャストの全年代の利用率は15.7%だが、15〜19歳では32.8%、20代では25.0%が利用しており、TikTok(ティックトック)と同等の利用率となっている」。

——ポッドキャストを広告市場として捉えた記事。もちろん、それがカネになるとなれば、コンテンツの供給が豊かになる。朝のエクサイズや午後の散歩などで、習慣的にSpotifyやYouTubeを“音声メディア”として多用している自分としても、大変に嬉しいトレンド。

‘We’ve Already Won’: Podcasters and Influencers Gain New Standing in Trump’s White House
【有料購読者向け記事】:
非伝統的なメディアやインフルエンサーらに、ホワイトハウスでのブリーフィングに参加できる枠を提供すると発表した報道官。すでに1万1,500件を超える申込があったという。記事では、ポッドキャスターが初めて質問に立った状況が伝えられている。
フランス検察、Xを捜査 「アルゴリズムがデータ処理ゆがめた疑い」:朝日新聞
「検察当局は同メディアに対して、Xのアルゴリズムが『自動データ処理システムの機能をゆがめた可能性がある』と明らかにした」。

——フランス検察が捜査に着手。ユーザーの投稿をどのように他のユーザーに表示するか。SNSアルゴリズムにおけるキモ中のキモと言えるメカニズムだが、これを恣意的に操作している可能性。これが政治的発言を強めるXのオーナー自らの影響度を高める操作が行われているとすれば、さすがに問題視すべきことになる。

Disruption This Week—–7/2/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年2月3日から2025年2月7日まで。

FT head of newsletters on how title quadrupled email subscribers in four years
4年間で、ニューズレター(メルマガ)の購読者総数を40万人から160万にまで押し上げた、英Financial Timesの担当責任者Sarah Ebner氏へのインタビュー記事。同メディアはニューズレターを読者エンゲージメントの最重要指標と位置づける。大きな視点から指標まで詳しく述べる。
AI検索 パープレキシティ 急成長を陰で支える「パブリッシャー提携責任者」3つのスキル」 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「チャン氏のスキルのひとつが、人間関係を構築し、維持する能力である。これは仕事とプライベートの両面で言えることのようだ。チャン氏自身もこの点こそ『パープレキシティとほかのAI企業との違い』だと述べている。
『それは私の本質であり、私が大切にしていることの核心だと思う』とチャン氏は話す」。

——これまでも、そしてこれからも、メディア運営者との関係づくりには、この記事が記すような人間関係が重要であると同時に、メディアそしてコンテンツの価値についての揺るぎない確信だろうと、自分は思う。

Google wants Search to be more like an AI assistant in 2025 | TechCrunch
Googleは、収益の屋台骨である検索とその広告事業の成長が緩やかとなった現在、その将来をどう見据えているのか。CEO Sundar Pichai氏は、直近の決算説明会で、検索はAIをめぐる「旅」の真っ最中だと述べた。検索は徐々にAIアシスタントへと進化していくとする。
Small news outlets focused on federal staffers are landing big scoops, and traffic is surging | CNN Business
Trump大統領とMusk氏が解雇や命令、力ずくで連邦政府を作り直す中、連邦政府の業務再編や人事に特化した小規模メディアThe Federal News Networkがスクープを連発、トラフィック急増を得ているとする、まさに旬な話題を報じる記事。
New York Times Reports 350,000 Additional Digital Subscribers
米New York Timesが四半期・通年業績を開示。前四半期にデジタル版のみの購読者が35万人増加し、総購読者数は1140万人を突破。2024年の年間総収入は26億ドルで、23年の24億ドルから増加。
同社CEOのMeredith Kopit Levien氏は、「またもや好調な1年を締めくくった」と述べる。
Third of New York Times subscribers do not pay for its news product
米New York Times、第4四半期および通年業績を開示。それによると、デジタル版購読者数が2023年末比で110万人増の1080万人に。その1,080万人の購読者のうち、350万人(32%)が、報道以外のゲーム、料理、製品レビュー、などの商品のみを購読していることがわかった。
How The New York Times Incorporates Editorial Judgement in Algorithms to Curate Home Screen Content
米New York Timesは、そのWebサイトもしくはアプリのトップページにおけるコンテンツ(記事)選別を、アルゴリズムによってその成果を最大化している。ただし、アルゴリズム任せではなく、編集者(人間)が積極的に介在しているとする同社内部からの解説記事。
Media Briefing: The Financial Times' AI paywall is improving subscriber metrics, but not lifting conversions yet
【有料購読者向け記事】:
英Financial TimesがAIを組み込んだペイウォールを推進中とする記事。同社の消費者(読者)収益獲得部門の責任者は、同社ペイウォールは大きな成果を生むにいたっていないが、同社のARPUを前年比6%増加、購読者当たりの売上を向上させているという。
米ゴシップ系インフルエンサー、TikTokで移民取り締まり警戒情報提供
「トランプ氏の大統領令を非難する一連のメッセージから始まったベラさんの活動は、不法移民を取り締まる米国移民・税関捜査局(ICE)捜査官の目撃情報を追跡するキャンペーンへと発展した」。

——米発ニュースを読んでいると、「ICE」の文字をよく見かけるようになった。ことの是非を語る立場にはないが、この記事のような“情報サービス”が人気になってしまうことに、驚きがある。

Apple、1桁台の増収減益 サービス部門は過去最高
「製品別の売上高は、iPhoneが前年同期とほぼ横ばいの691億3800万ドル、Macは16%増の89億8700万ドル、iPadは15%増の80億8800万ドル、ウェアラブル、ホーム、アクセサリーは2%減の117億4700万ドルだった。サービス部門の売上高は14%増で過去最高の263億4000万ドルだった」。

——iPhoneの成長低迷が最大のポイントであり、一方、現行経営陣が力を注いできたサービス部門が名実共に同社の屋台骨に。むろん、iPhoneあってのサービス成長だっただろうが、同社はもはやMac、iPhoneの会社ではなくなっている。

Disruption This Week—–24/1/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年1月20日から2025年1月24日まで。

AI支援で非常事態宣言へ、現在の倍のエネルギー必要=トランプ氏
「トランプ氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で行ったリモート演説で、『AIがわれわれが望むほど大きく成長するために米国が現在保有するエネルギーの倍の量が必要になるというのが大きな問題だ』と述べた」。

——話題の「Stargate」は、そのまま巨大データセンター構築プロジェクトでもある。世界では情け容赦なくデータセンターの建設が進むが、最大の懸念は言うまでもなく電力の供給。日本でも規模に差異はあるにせよ、データセンター=電力供給は待ったなしなのだが、大丈夫?(国内のデータを、いつまでも海外の巨大ITに預けるのが得策かどうか)

OpenAIの新モデル「o3-mini」完成──サム・アルトマンCEOが報告 約2週間後にリリースへ
「o3はo1 pro modeよりも賢くなると説明。o3シリーズの上位モデルと思われる『o3 pro』の存在をほのめかす投稿もあり、ユーザーからの『o3 Proは月2000ドルになるのかい?』という問いに『いいえ、200ドルだ』と回答した」。

——その高度な推論能力で、“汎用人工知能に近づいた?”と話題の「oシリーズ」に、早くも次世代版「o3」が登場。その「mini」では、推論時間をぐっと縮めているらしい。人間一人雇うことを考えた上で、支払える月額を検討しなければならない時代がやってきそうだ。

メタ、第三者ファクトチェックを米国外では継続へ-「当面の間」
「『フェイスブック』や『インスタグラム』を傘下に置く米メタ・プラットフォームズは、同社が米国で運営するソーシャルメディア上では第三者によるファクトチェックを終了するとしたものの、国外ではそうした慣行を『当面の間』継続する方針だ。同社のグローバルビジネス部門責任者ニコラ・メンデルソーン氏が明らかにした」。

——記事のコンテキストが示すように、EUの法制によるモデレーション義務に従う方針を維持する方向のようだ。これも長く維持されるのかどうか。

SNSの光と影 MIXI笠原氏、AIエンジニア安野氏らに聞く 安野貴博氏/佐々木裕一氏/笠原健治氏 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
東京経済大学教授 佐々木裕一氏:「SNSで似た意見にばかり触れるエコーチェンバー効果に対する専門家の見方は定まっていない。むしろ、多様な情報に触れてもゆっくり考えず、物事を単純に判断するようになったことが問題だ」。

——このコメントには同意。世の“識者”やそのコメントを鵜呑みにする(一部の?)記者らは、口を揃えて「アルゴリズム=悪」論を説くが、その根拠は単純なレコメンデーションを指しているケースが多い。佐々木氏らの研究でも、YouTubeアルゴリズムは、そんな単純なもの(お好きな話題をたらふく的な)でないことは示されている。
佐々木氏の引用箇所は、それよりも、大量の情報の処理に対して脊髄反射を続けることの問題点を指摘する。カーネマンらが指摘した“速い思考”の弱点が、大いなる問題なのだろう。

The Playlist Power Broker Who Makes or Breaks New Artists
【有料購読者向け記事】:
音楽配信サービスSpotifyは、ユーザー(リスナー)に推奨する新楽曲を、アルゴリズミックに抽出するのに加え、社内に130名に及ぶプレイリスト・キュレーターを運用している。記事は、そのチームリーダーSulinna Ong氏に取材、その活動を紹介するものだ。
「ロシアのフェイク工場」Facebookに偽広告配信、欧米制裁の中で8,000件超、5,000万円分
「私たちは、『ソーシャル・デザイン・エージェンシー』が作成したプロパガンダ広告が2023年7月に欧州連合(EU)から制裁措置を受けた後も、EU域内だけで12万3,000回以上クリックされ、それによるメタの収益は最低でも約33万8,000ドルに達したと推定している」。

——平和博さんの投稿から。「ソーシャル・デザイン・エージェンシー」とは、ロシア企業で最近つとに悪名を馳せている影響力工作グループ「ドッペルゲンガー」の後ろ盾となっている組織。
ポイントは、影響力工作に用いているFacebookアドは、こんな小額の予算で、それなりの影響力を及ぼしているらしいということ、そして、そんな小額広告をいちいちチェックして、排除するつもりのないプラットフォーマーということだ。

Fox News Prepares to Cover a Government Filled With Fox News Alumni
【有料購読者向け記事】:
「19人……それ以上」。Trump新政権のスタッフに登用されたFox News出身者(元司会者、コメンテーター、プロデューサー)の数だ。過去これほどまでに時の政権と結びつきの強いメディア企業があっただろうか? と指摘する記事。
アングル:欧州勢が独自の検索サービス確立へ奮闘 米巨大ITに対抗
「広告収入の大半を植林・森林再生活動に振り向けているドイツのユニークな検索エンジン『エコシア』を率いるクリスチャン・クロール氏は、米巨大IT企業頼みになっている欧州の検索サービスに懸念を抱いていたが、今はグーグルやマイクロソフトに対抗する新たな手段を手に入れた」。

——クロール氏らとこの事業を創業した「アベカシス氏はトムソン・ロイター財団に、マイクロソフトが23年2月にビングの検索データの対価を引き上げたことが転機になったと明かす」ということだ。つまり、エコ云々というだけでなく、経済安全保障の側面からも、検索結果の自前生成は重要課題だとする。

サイバー防御法案の概要判明 攻撃無害化、独立機関が事前承認 24日招集の国会に提出へ
「政府は経済安全保障推進法で定める基幹インフラ15業種の事業者らと協定を結び、通信情報の提供を受ける。情報漏洩には罰則を科す。事業者側にはサイバー攻撃による被害報告を義務付ける」。

——議論を行ってきた有識者会議の最終的な提言では、監視する通信については「メタ情報にのみ限定」ではないとする、微妙な守備範囲の拡大を示唆していたと理解する。その微妙な部分は、技術的な拡張なのか政治的な要請なのか、確認したいと思っている。

TikTok、サービス再開へ-トランプ氏は禁止法施行の延期を表明
「同社は『1億7000万人余りの米国人にTikTokを提供し、700万超の小規模企業を繁栄させることにペナルティーは科されないと、トランプ大統領が当社のサービスプロバイダーに明確に保証したことに感謝する』と、X(旧ツイッター)に投稿した」。

——すでに米国内でTikTokが復旧を始めているとの報道も出てきた。なんともいえぬ、ドタバタ感。