Disruption This Week—–29/12/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年12月25日から2023年12月29日まで。

How Artificial Intelligence Will Change in 2024
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米InformationのやはりAI論説担当のStephanie Palazzolo氏が2024年のAIを展望。1) OpenAIとMicrosoftは仲違いへ、2) AI企業のM&Aが活発に、3) 高コストで雑なTransformerベースのAIから代替手法が台頭、4) 大統領選がAIで混とん化、5) AIハードウェア新潮流へというラインナップだ。
アルトマン氏ら、AIデバイスでアップルのベテラン起用-関係者
「アップルを退社する幹部のタン・タン氏がこの取り組みの一環としてアイブ氏のデザイン会社ラブフロムに加わり、同社は新製品の外観と機能を形作る。アルトマン氏はソフトウエアの基盤を提供する計画」。

——すでに紹介した話題だが、元Appleのデザイナー主幹であったジョニー・アイブ氏(iMacやiPhone、iPadの製品デザインをリードしたとされる)と、OpenAI CEOのサム・アルトマン氏が組んで、ジェネレーティブAIを駆使するハードウェア製品を創るとのプロジェクト。記事は、このプロジェクトにやはりiPhoneとApple Watchデザインを担当タン・タン氏が加わるという話題。
まだ、まったく先行きがつかめるところにきていないが、もし、具体化するとすれば興味津々だ。

New York Times Co.’s OpenAI-Microsoft Suit Is a Negotiating Tactic
【有料購読者向け記事】:
米New York TimesがOpenAIとMicrosoftを訴えたが、「これは交渉戦術だと考えるべきだ」と米The Information論説委員Cory Weinberg氏が述べる。かつ、NYTにとって「危険」な戦術でもある。裁判の動きによっては、交渉上の優位性を失いかねないとする。
記事は、「著作物の限定的な利用を認めるフェアユースの原則が人工知能モデルにどのように適用されるかをめぐって、Times紙が裁判を起こすのはあまりにも危険だ。裁判所は、OpenAIが合法的に運営されていると判断すれば、Timesが求めるライセンス収入の一部を得ることができなくなる」と述べる。
How one of the world’s oldest newspapers is using AI to reinvent journalism
「世界最古の新聞社がAIを活用してジャーナリズムを改革する方法」。英Worcester Newsは、1690年創刊の老舗ローカル紙。「AIアシスト記者のおかげで、編集部の他の記者は、裁判所に行ったり、議員に会ってコーヒーを飲んだり、村祭りに参加したりできる」と同紙編集者は語る。
The Times Sues OpenAI and Microsoft Over A.I. Use of Copyrighted Work
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米New York Times、OpenAIおよびMicrosoftの両者を、同社の「数百万の記事を、信頼できる情報源」としてChatGPTなどのAIに学習させたことを、「価値ある著作物を違法なコピーで使用」したと提訴。生成したLLMやトレーニングデータの破棄を求める。当該New York Timesによる報道。
TikTok teams up with fact checkers to stop election disinformation on site
TikTok、1月に行われる台湾総統選をめぐり、TikTok上の偽情報の拡散を抑止するなどの目的で「2024年選挙ガイド」を策定。台湾のファクトチェック団体MyGoPenとパートナーシップを提携。選挙の中立性を守るため、公式情報への誘導、真偽確認のヒントなどを提供していくという。
TikTokの親会社が中国大陸発であることを考えると、興味深い動きだ。
Emplifi Reports Instagram Reels Outperformed All Other Video Content Across Instagram, Facebook, and TikTok
SNSマーケティング支援プラットフォーム提供の米Emplify、Instagram、Facebook、そしてTikTokの動画によるマーケティング効果を比較調査。中でもInstagram Reelsの効果が最も高いとし、その長尺化で、短尺と比較して広告主により多くのエンゲージメントを提供しているとする。短尺動画全盛から、中・長尺化への動きがここでも進展。
イスラエル・パレスチナ問題の100年を読み解く 「三枚舌」起点に - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「問題の根っこには、100年以上前の英国による『三枚舌外交』がある」。

——日経新聞が3つのグラフィックと3つのQAで難しい問題を分かりやすく解説する試み。“お子様向け”の体だが、もちろん、実は大人が難しいと感じているニュースを解説する試みだ。

Apple Explores A.I. Deals With News Publishers
【有料購読者向け記事】:
これはちょっとした衝撃のスクープ。
ジェネレーティブAI関連で音沙汰のなかったAppleだが、水面下で、著名メディア(出版社)とAI学習のための許諾交渉を進展させているという。複数年で5,000万ドル規模だと米New York Timesが報じた。提案を受けた企業には冷淡な対応を示しているところもあるという。
Online searches to evaluate misinformation can increase its perceived veracity - Nature
「誤報を評価するためのオンライン検索は、誤報の信憑性を高める可能性がある」と、科学雑誌「Nature」に掲載された新研究。情報の真偽を確かめるべく検索を行うことで偽情報をより信じてしまうと、5つの実証実験。
(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)読みやすさへ、スマホ仕様の編集を 藤村厚夫:朝日新聞デジタル
【ご紹介・有料購読者向け記事】:
朝日新聞パブリックエディターとしてのコラム第2回目を執筆しました。個人的に、「新聞(の記事)は難しい」のが課題だと思っています。が、多くの人は「難しい」とは言いません。悩みつつ裾野からアプローチしてみました。
ビートルズの「新曲」発売にAIの力 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が、日経電子版に転載されました(大部時間が経っていますが笑)。よろしければご一読を。➡ ビートルズの「新曲」発売にAIの力

Disruption This Week—–22/12/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年12月18日から2023年12月22日まで。

I gave ChatGPT the last 13 years of Nieman Lab predictions
こちらもカスタムChatGPTを用いたジャーナリズムへの応用を試したとする論説。「箇条書きを段落に展開したり、記事を要約に収縮させることができる。ニュースレターのプレビュー用の要約や、通知用の短いフレーズなどだ」など実践的に使えることを述べる。
また、過去Nieman Labが掲載した1,369本の将来予測記事を学習させ、それによる検証を行ったところ、正解と誤回答を得たとレビューする。こちらも興味深い。
How less, not more, data, could help journalism | Semafor
米Semafor記者らが、カスタムGPT作成ツールを使い、3種のAIボットを実験的に開発。分かったことは、少量データでもLLMを効果的に構築することができること。もっと言えば、適切にデータを絞るのが有用ということだ。記事は、「ジャーナリズムを変えるかもしれない」とする。
The obsession with “trust” will end
報道メディアが、読者に自身への「信頼」を闇雲に求めるのは間違っていると語る英ジャーナリズム研究者。
「読者にあなたの働きを示し、あなたの間違いを認め、訂正しなさい。知らないことを正直に述べ、読者が興味を持っていることに耳を傾けなさい」と述べる。
AIと著作権、明確化の一歩 データ検索や回答生成「許諾必要な場合も」 文化庁「考え方」素案:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「今回示された素案では、生成AIによるデータ検索や回答の生成は、著作権法上許諾が必要となる場合もあると記した。また、生成AIによる学習をパスワードなどで防いでいるデータベースの著作物に対し、それを回避して学習させることは、法の定める『著作権者の利益を不当に害する場合』に該当するとした」。

——ある種のガイドラインの働きをする、考え方を示したというもの。案外影響力を及ぼしそうだ。

TikTokのバイトダンス、23年売上高1100億ドル突破へ-テンセント抜く
「短編動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』で知られる中国のスタートアップ、字節跳動(バイトダンス)は、2023年の売上高が1100億ドル(約15兆7800億円)を超える可能性があることが関係者の話で明らかになった」。

——米、インドなどで叩かれつつ、それでもTikTokパワーは止まらない。中国国内でも最大級の企業へと成長。

広告掲載料は0円。3万部がすぐに在庫切れ。京都の型破りフリーマガジン『ハンケイ500m』編集長/円城新子さん【編集者の時代 第8回】|クリエイティブのコアとカラーに迫るメディア「CORECOLOR〜コレカラ」
「円城:ハンケイ500mは、京都のあるバス停を起点に半径500mのお店を紹介するマガジンです。なので、まずは編集部のメンバー数人で、その範囲を歩きます。普段の歩くスピードより、ゆっくりと。そして、ここ、面白そうという『触覚』が反応したお店に入る」。

—— 古幡さんの「出版業界ニュースまとめ」の紹介で見つけた記事。一気に読んでしまうのが惜しいような楽しいインタビュー。

Inside The New York Times’ Big Bet on Games
【有料購読者向け記事】:
「いまや、New York Timesは、たまたまニュースも提供するゲーム会社でもある」。社内で冗談めかして語られるほど、「Wordle」「Connections」「Spelling Bee」と同社はゲームがもたらす収益に賭けている。同部門の人員は約100名となった。
EU、DSA(デジタルサービス法)違反の疑いで正式にXの調査を開始。調査の主要対象は、イスラエル・ハマス間の先頭をめぐる違法性の高いコンテンツ。その他にも研究者へのデータ提供、コンテンツ監視態勢、広告をめぐる透明性その他も調査される。
News Publishers See Google’s AI Search Tool as a Traffic-Destroying Nightmare
【有料購読者向け記事】:
米メディア「Atlantic」のタスクフォースの調査では、Google検索に、新たなにAIによる検索が導入されれば、ユーザーのクエリに対する完全な回答を提供してしまう。同サイトは、そうでなければ得られたであろうトラフィックを75%の確率で逃してしまうことがわかったとする記事。検索からのトラフィックに依存していたメディアはその脅威に怯えている。
TikTok is pushing longer videos. Some creators worry about the vibe shift | CNN Business
TikTokが中・長尺動画投稿をクリエイターに呼びかけている動きはすでに紹介した。収益化をめざすクリエイターらへのインセンティブプログラム「Creator Fund」を廃止し、新たに「Creativity Program Beta」を開始。だが、短尺を動機にしてきたクリエイターは困惑しているとの記事。
メディア感度格差、データで顕在化! 若者にとっての「ネオ新聞一面」はこれ  | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
【ご紹介】:
「どの層も、マスメディアへの信頼度よりも高い割合で『マスメディアが大きく扱うニュースは重要だ』と感じる傾向がみられた 一方、『重要だと思うニュース』について『新聞1面に掲載されるニュース』を選択した割合には、世代差が如実にあらわれた」。

——先般発表したスマートニュース メディア研究所による調査結果を取り扱った記事。引用箇所にも現れたように、大きく3つに分けた年齢階層のいずれも、マスメディアの発信に価値観、重要性を依拠している。
記事が指摘するように、年齢階層によりそれが異なるのもポイントだが、自分としては、それよりも全体としてマスメディアを重視していることがわかったのが、発見だった。

Disruption This Week—–15/12/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年12月11日から2023年12月15日まで。

News avoiders shouldn’t be ignored
「ニュースの特定のトピックやニュース全体から意図的に離れている(多くの場合、あまりに憂鬱になったり、消耗したりするため)という人々は、通常、意図的にニュースを避けていると報告していない人々とほぼ同じ量のニュースを全体的に消費している」。

——ニュースの「選択的回避」議論が少しずつ高まっている(Reuters Instituteが何年も前から指摘している)。これが何をもたすのか自分も気にしているが、スペインの学識である筆者は引用箇所のように述べている。選択的回避者は、一方でニュースの熱烈な回避者でもある可能性。

People are watching longer TikToks. What does that mean for competition with YouTube?
TikTokが数十秒の短尺動画だけでなく、クリエイターに長尺(最長で15分程度)系を推奨し始めたことは紹介した。米Insider Intelligenceは、この動きもあってか、2024年には米成人のTikTok平均視聴時間が55分と、YouTubeを5分程度上回ると予測する。
ただし、その利用者数比でいえば、23年においてYouTubeはTikTok(1億230万人)の2倍以上(2億3740万人)ではあるが。
オープンAI、独メディア大手のコンテンツ有償利用へ
【有料購読者向け記事】:
「生成AI(人工知能)の『チャットGPT』を手掛ける米オープンAIは、ドイツの出版・メディア大手アクセル・シュプリンガーと複数年のライセンス契約を交わした。AIツールによるコンテンツ利用に対価を受け取りたいメディア業界には画期的な動きだ」。

——昨日は、米NYTimesがジェネレーティブAI担当幹部を外部から招聘という話題を紹介した。続く今日は、この話題。独最大手メディアが、OpenAIと手を組んだ。AP通信やGetty Imagesなどとの提携に続く大きな動き。記事は「共同発表によれば、チャットGPTはユーザーの質問への回答にアクセル・シュプリンガー傘下メディアのコンテンツを基に要約した回答を作り、回答の下に出典へのリンクを表示する。この新形式は近く利用可能になる予定」と伝える。このようなフォーマットがこれからメインストリームになる可能性が高い。

電子版「For You」開始 一人ひとりに最適記事をお届け - 日本経済新聞
「日本経済新聞社はこのほど、日経電子版アプリに一人ひとりの興味や好みに応じて記事を自動配信する読者専用ページ『For You』を新設しました。記事を読む目的や関心のある分野などの3つの質問への回答をもとに、好みを反映した記事20本をおすすめします」。

——いろいろなコンテキストからニュース(記事)に出会う仕組みが必要。紙面の編成だけが新聞の読み方ではない。

アップルにも影響必至、グーグル敗訴でアプリストア市場揺らぐ可能性
「スマートフォンのアプリストア運営を巡りグーグルがゲーム大手のエピック・ゲームズに敗訴したことで、年2000億ドル(約29兆円)近くを生み出すアプリストア市場のグーグルとアップルの2社による複占が揺らぐ可能性がある」。

——「陪審は全員一致で…エピック側の訴えを認める」とある。同様の訴訟でEpicはAppleに一度は敗れているが(2021年)、状況の変化は加速している。いずれ複数のアプリストアが並び立ち、“税金”のディスカウントが始まる…のだろうか。

WSJスクープ | 米紙NYタイムズ、AI担当の編集幹部を初採用
【有料購読者向け記事】:
「米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、同社初の人工知能(AI)担当編集ディレクターにデジタルメディア『クオーツ』の共同創業者、ザック・スワード氏を起用した。主要報道機関の間でAIの潜在性やリスクが議論される中、この新技術を重視する姿勢を浮き彫りにした」。

——懐かしい「Quartz」の名が。それはともかく、NYTimesはやはり、ジェネレーティブAIにリーチしてきた。対外的にはAIへの抵抗感や懸念を打ち出しているが、内部的にはどう活用するかを真剣に検討していることは想像できた。さて、国内勢諸紙はどう感じたか?

Audiobox
米Meta、自身の音声を数秒間サンプリングするだけで、人工音声を生成するサービス「Audiobox」を公開(デモ版)に供した。先月発表されていたもの。
自身の音声に加えて、さまざまな効果音を追加できる。単なるスピーチデータだけでなく、“番組”を創れるというわけだ。
The Next News Disruption Has Already Begun
【有料購読者向け記事】:
先日も簡略に紹介したが、厳格なペイウォール制に賭け、広告に依存しないメディア「The Information」が開設から10周年。
創業者でCEOのJessica E. Lessin氏がこれまでの10年、今後の10年を語る記事を執筆。広告(主や売上の)プレッシャーをはねのけることで、スクープに専念できたと誇ると同時に、テクノロジーへの期待も述べる。
「生成AIを使って、読者は質問により新しいことを学ぶことができるようになる。チャットボットが世界を征服するとは思わないが、新しいツールは今後も大きな心理的変化を促し、読者の出版物に対する期待も変えていくだろう」。
「ChatGPT」から個人情報含む学習データの抽出に成功--Google DeepMind研究者ら
「プロンプトでコマンドを入力し、『poem(詩)』といった単語を延々と繰り返すようChatGPTに求めたところ、学習データを含むテキストの断片を丸ごとChatGPTに出力させることに成功した。アライメントされたプログラムでは通常、そのような漏えいは起こらないはずだ」。

——ジェネレーティブAIがユーザーのプロンプトによって、機微な情報を出力しないよう調整する仕組みを「アラインメント」と呼ぶ(らしい)。これをハックするアプローチが次々と発見されているとする記事。GenAIの脆弱性が顕在化されてきている。

日経、デジタル購読数100万に 専門メディアで法人開拓 - 日本経済新聞
「日本の有料ニュース媒体で100万超えは初めて。電子版有料会員数は89万7千、電子版以外のデジタル購読数が3年前の約2倍の11万5千。英文媒体『Nikkei Asia』とあわせると107万となりました。世界の新聞社の有料ニュース媒体では日経グループの英フィナンシャル・タイムズ(FT)に次ぐ5位水準で、FTとあわせると326万と世界3位の規模です」。

——デジタル版購読100万人突破は、国内メディアとしては“悲願”だっただろう。チャートでもわかるように、専門(バーティカル)系など、多メディア化が寄与している側面もある。

有料ネットニュース利用、日英は9% エンタメと競合 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙への連載コラムが日経電子版に転載されました。よろしければどうぞ。➡ 有料ネットニュース利用、日英は9% エンタメと競合
保守・リベラル、日米で差異 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
「日本の有権者の政治的価値観を扱った調査結果がこのほど明らかになった。スマートニュースメディア研究所が大学教授らと取り組んだ『スマートニュース・メディア価値観全国調査』だ」。

——スマートニュース メディア研究所が実施した大規模な世論調査結果から。まだ、発表時のリリースや解説中心に紹介されているが、今後、データを用いた本格的な研究が現れてくるだろう。

スマートニュース、有料ビジネスニュースとクーポンを集約した日本初の購読サービス『SmartNews+』を提供開始 国内外25以上のメディアの厳選記事が読み放題
【ご紹介】:
「ニュースアプリ『SmartNews』で、有料ビジネスニュースとクーポンを集約した日本初となる、購読サービス『SmartNews+』(スマートニュースプラス)の提供を開始しました」。

——ビジネスメディア系の各種プレミアムコンテンツを定額で読み放題に。いずれ購読すべきメディアを発見するのにも良いかもしれないです。

Disruption This Week—–24/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月20日から2023年11月24日まで。

The top 7 media people in AI

Business Insider

The top 7 media people in AI
米Business Insiderが選ぶ「2023年 AIの100名」から、メディアに関わる研究者、メディア人、IT企業人のトップ7名を紹介する記事。例えば、New York Timesのチーフ・データサイエンティストのChris Wiggins氏は、同社の約1,000万人の購読者の行動分析に深く関与しているとする。
アルトマン氏CEO復帰、オープンAI解任劇の火種となった1本の論文とは?
「論文では、アンスロピックが安全性を重視し、クロードのリリース時期を遅らせたことに対し、スピードを重視したオープンAIが、『見切り発車』的にチャットGPTを公開し、様々な問題点を指摘される、という経緯をたどったことを指摘した。
問題になったのは、この共著論文の筆者の1人が、オープンAIの取締役のメンバー、トナー氏だったことだ」。——今回の騒動の一因として、米New York TimesやWall Street Journalが報道したAI開発における安全性問題をめぐる攻防があったと整理する平和博氏の論。OpenAIとAnthropic間のビジネス面に熾烈な競争と研究者らの倫理面を含む生々しい攻防が表面化していたことは、間違いない。それほど、技術、研究、そしてビジネスが未分離な分野なのだ。

How Bloomberg Media got to 500,000 subscribers - and how it plans to reach a million
デジタルの有料会員数50万人を超えた米Bloomberg Media。そのデジタル担当最高責任者Julia Beizerに成功要因を取材した記事。現在の成功要因は18カ月前に遡るという。購読者の88%が年会員だとし、オファリングや会員育成やエンゲージメント強化策などなんでもやると述べる。
テレビとスマホが競る時代…毎日の生活に必要な情報、何から得てますか?(最新) : ガベージニュース
「(生活に必要な情報の入手先として:)全体では『テレビ』『スマホ・携帯電話』の順だが、年齢階層別では50代までは『スマホ・携帯電話』の方が上になる。さらに70歳以上では『新聞』が『スマホ・携帯電話』を追い越す形となり、『テレビ』『新聞』『スマホ・携帯電話』の順となる」。——2023年9月公表の文化庁の調査から。本日行うスマートニュース メディア研究所の世論調査と研究者の研究とも関わるのだが、メディア接触と年齢階層の関係が、現代、そしてこれからの社会的統合に影響を及ぼす可能性が強い。個人的にも考えるべき重要なポイントと見ている。

AIタレントの功罪「もっと危機感を」 権利課題の日本が最も推進?:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「2020年の芸能実演家などの生活実態調査報告書では、インターネットで利用するための音楽・映像に参加する際に『必ず契約を交わしている』という芸能実演家が2.6%しかいなかった。これでは権利が十分に行使されないだろう。著作権料及び著作隣接権料収入が全くない人は78.7%もいた」。——ジェネレーティブAIが芸能分野にもたらしかねないインパクトを、多面的に論じていて勉強になる記事。ただし、やや引いた視線で見ると、AIがインパクトをもたらし、場合によれば労働市場の変化を生むかもしれないのは、芸能の分野だけではない。また、引用した部分などは、AIが関与する以前の旧弊的問題であり、その現代化の方が先に問われるべきではないかとも感じるのだが。

投稿削除「1週間程度で」 ネット中傷、事業者に要請 総務省案:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「削除する場合の判断基準や手続きなどを定めた削除指針を作り、公表させることが適当と判断。被害者からの削除申請を受け付ける窓口の整備や、日本語による対応も求める。誹謗中傷を含む投稿の拡散を防ぐため、申請の受け付けから1週間程度での対応を求める」。
——雑にいうと、経営体制の変更やコスト削減などの動きから、人的な監視力が落ちているプラットフォームに対して、対処、それも迅速な対処を求めるのは意味のある動きと言える。その一方で、「削除の強制力」だけに重きが置かれては、言論の自由が損なわれるという古典的命題も浮上する。やはり影響力あるプラットフォームに(削除だけの強制ではなく)「対処の透明化」を求めることが必要。その仕組みづくりそのものも、社会的視線の届く場で決まっていくのが、望ましい。
 I Tried Meta’s Ad-Free Instagram Subscription. This Is What It Was Like. 
【有料購読者向け記事】:
EUの規制強化に対処し、広告フリー・有料版のInstagramが誕生。記事は仏在住記者がしつこいターゲティング広告を避けるため試した有料版のレビュー。
「広告なしのInstagramを使っても、プロモーション・コンテンツからは逃れられない。私は広告の本質に疑問を感じている」。
「AI翻訳システムを活用すれば、すべてのメディアがグローバルな競争に参加する日も近い」。
英FT参加のコンサル企業FT Strategiesの中心人物がメディアとジェネレーティブAI活用のトレンドを語る。一方で「車輪の再発明は避けよう」とも述べる。
マスク氏が自己弁護、反ユダヤ投稿巡り-メディア報道「虚偽」と反論
「米テスラの最高経営責任者(CEO)でXのオーナーであるマスク氏が先週、ユダヤ人が白人に憎悪を抱いているとの投稿に同調したことで、反発の声が噴出。このメッセージはその後、ホワイトハウスやテスラの投資家からも批判を浴びた。ウォルト・ディズニーもXから離れた大企業の一つ」。——OpenAI騒動に隠れているが、同じくらい騒動を起こしているのがXだ。Musk氏が「反ユダヤ」的言説に一定の賛同を示したことと、X内でナチス支持投稿に大手ブランドの広告が近接して掲記されたことが、広告主らにインパクトを与えている。

「GAFA」は「GOMA」に? AIの未来を握る4社とは | 米誌が考える、テックの行き先
【有料購読者向け記事】:
「米誌『アトランティック』が着目したのは、勢いを増す生成AIの分野で注目を集める『GOMA』だ。AIチャットボットとその類のものはまだ初期段階にあるとしながらも、『AIの世界では、すでにすべてがたった4社に集約されつつある。グーグル、オープンAI、マイクロソフト、アンソロピックである』と書く」。——AIの大トレンド。その現段階の集約点が見えてきた。昨日まで見ていたGAFA中心的な世界観とも異なることは、OpenAIのCEO辞任劇でも垣間見える。

Disruption This Week—–10/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月6日から2023年11月10日まで。

Can an AI Device Replace the Smartphone?
【有料購読者向け記事】:
ようやくスマートフォンに代わるスマートデバイスが誕生? 元Apple幹部らがChatGPTを搭載したウェアラブルデバイスを公開。ユーザーの口頭指示で作動するAIアシスタント「Ai Pin」だ。情報を読み上げたり、掌へ投影したりできる。
独立したら年収10倍 個人メディア、SNSの次はメール - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「読者が書き手に直接お金を支払うやり方がベストなのではと考えた。無料のSNSはデータを吸い上げることで読者を商品化してしまうが、サブスクリプション(定額課金)では読者がお客であり続けられる。人々が興奮するかではなく、質の高さや重要さで記事が選ばれるようになる」。

——購読型のメルマガ(米国ではニューズレター)サービスのSubstack創業者へのインタビュー。「サブスタックに書くことで、以前の組織にいた時の10倍を稼ぐようになった記者もいる。何人かの著名記者を失ったメディアもあった。だが、それは書き手がその組織の中で納得のいく処遇を得ていなかったことと同義でもある」というコトバをどう聞くのか。

Microsoft、世界の選挙をディープフェイクなどの攻撃から守るためのツールを提供へ
「『Content Credentials as a Service』は、候補者向けのツール。コンテンツの出所を確認できるC2PA(=コンテンツ信憑性の技術標準化団体)のデジタル透かし認証を使う。この透かし認証は、出所を確認できるだけでなく、認証後に改ざんされると分かるようになっている」。

——来年は世界各国で(日本でも?)、重要な選挙が行われる年だ。その選挙への脅威対処のため、米Microsoftが5つの施策を発表。

「Instagram」のサブスクリプションが100万件を達成--新たな収益化方法も発表
「2023年に入ってInstagramがサブスクリプションプログラムの提供範囲を拡大して以来、アクティブなサブスクリプションが100万件を超えるまでに成長したと、Metaが発表した。Instagramの月間アクティブユーザー数が23億5000万人を超えていることを考えると、小さな数であることは否めないが、サブスクリプションプログラムが開始されてから1年しか経っていないことを思えば、素晴らしい実績だ」。

——超大手プラットフォーマーはこれまで規模のメリットで広告によるマネタイズを図ってきた。今後も基本線は代わらないだろうが、サブスクも重要な柱になると見れば、この分野での進化は進むはず。注目する。

AIガイドライン、「人間中心」など10原則を年内決定方針…公的機関含め全利用者が対象
「政府がAI(人工知能)関連の国内事業者向けに策定を進めるガイドライン(指針)の原案が判明した。全ての事業者が共通して考慮すべき指針として『公平性』『透明性』などの10原則を掲げたのが特徴で、有識者会議『AI戦略会議』での議論を経て、年末までに決定する方針だ」。

——成案を得たわけではないが、注目の動き。

米New York Timesが購読者1,000万人達成と発表(約1年前に発表された「1,000万」はグロスで、各製品の購読者の総和だった)。同社の戦略上の焦点は、「1人の購読者をすべての製品の購読者に変えることだ」「ニュースのみのマーケティングをやめた」と同社幹部は述べる。

OpenAI、「GPT-4 Turbo」と「Assistants API」を発表〜OpenAI DevDay 2023から

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

OpenAI、「GPT-4 Turbo」と「Assistants API」を発表〜OpenAI DevDay 2023から
「『Assistants API』のローンチは、(「GPT-4 Turbo」に加えて)もう一つの重要な発表だった。このツールセットにより、開発者はコーディングアシスタントからバケーションプランナー、音声制御 DJ まで、特定のユースケース向けにカスタマイズされた AI エージェントを構築することができる」。

——Musk氏の付け焼き刃の「Grok」発表では到底太刀打ちできなかったOpenAIの各種発表。特に個人的に注目はこの「Assistants API」。私の内心の問いである「ChatGPTはメディアになるか、それともユニバーサルなアシスタントになるのか」について、後者への道のりが速い足取りで整備されつつあると受け止めた。

「赤ちゃんの遺体画像を”AI生成”と判定」イスラエル・ハマス衝突、AIフェイクの本当のリスクとは?
「極めてリアルな生成AIフェイク画像が与えるインパクトは、人々が『フェイクに騙される』ことだけではない。
本物に対しても「これは本物か?」との疑念を広げ、事実を「フェイク化」する危険をはらむ。そして、AI判定の難しさが、さらに事態を複雑にする」。

——「AI生成ニセ画像」を判定するAIが間違っていたら? ややこしい冗談のようなテーマだが、これが今次のガザ紛争では日々生じている。自分は、この事態にシニカルにファクト(事実)に対して冷笑的に振る舞うことを選択したくない。技術に頼り切ることなく、一つひとつファクトを積み上げるしかない。だからこそ多方面からの“検証の目”が必要になる。

Dashtoon uses AI to turn storytellers into comics artists | TechCrunch
作画能力はなくとも、売れそうなコミックストリーリーは持っているというクリエイター向けに「Dashtoon Comic Reader」が誕生。ジェネレーティブAIで作画、そしてWebトゥーンスタイルのアプリプラットフォームに配信して収益化するクリエイティブエコノミーの試みだ。
ビートルズ最後の新曲「Now and Then」は、こうしてAIの技術を駆使して世に送り出された
「1990年代に『ザ・ビートルズ・アンソロジー』のレコーディングに取り組んでいた際に、この古いカセットテープから『Now and Then』を復活させようと試みた。音源ではジョンのボーカルが自身のピアノの音にかき消されてしまっていたが、当時は声を分離させる技術がまだなかった。『それでそのまま立ち消えになってしまったんだ』と、ポールは新たに制作されたこの曲の短編ドキュメンタリーで語っている」。

——この週末、レノンの声と楽しい動画を散々楽しみ、懐かしくThe Beatls時代を振り返ることができた。テクノロジーの肯定的な側面だ。