Disruption This Week—–17/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月13日から2023年11月17日まで。

中国ByteDance、TikTok中国国内版「Douyin」に一部ペイウォール制を試行開始。10万人以上のフォロワーを擁するコンテンツクリエイターの動画を観るには課金を求めるという試みだ。ByteDance課金収入の30%を得る。クリエイターは課金額を自由に設定できるとする。記事は、Douyinへの実装がTikTokへ繁栄される可能性にも言及する。
Ethics, AI, and the Future of News: Reflections on ChatGPT’s Anniversary   - Twipe
間もなくChatGPT誕生1周年。記事は、ジェネレーティブAIの1年間を振り返ると同時に、ChatGPT以前にメディア編集部がAIをどう使い、誕生後には、それはどう変化したのかを例を挙げながら解説する。ともかく驚くべき1年間だったと言える。
テレビ北海道、お天気キャスターにデジタルヒューマン起用 視聴者と「不気味の谷」について考える
「テレビ北海道は11月16日、AI技術を活用したデジタルヒューマンを情報番組のアナウンサーに起用する実証実験を行うと発表した。…毎週土曜日に放送している情報番組「スイッチン!」のお天気コーナーでデジタルヒューマン『iina(いいな)』が最新の天気予報を読み上げる」。

——これまで海外事例を紹介するのみだったのが、いよいよ日本でもデジタルヒューマンが、公共的なサービスに登場。いつも思うのだが、ここまでするなら、ネット経由で自分専用のニュース番組を作って欲しいものだ。

「戦争の窓」と化すスマートフォン
【有料購読者向け記事】:
「『Ha kol b’seder』。これはヘブライ語で『大丈夫。問題ない』という意味だ。…その動画は、彼女が(ハマスの襲撃で)殺害される前、最後に送ったものの一つだった。
アンネ・フランクはナチスから身を隠す中で経験した恐怖を日記につづった。インバル・シェム・トブさんが手にしたのはスマートフォンだった」。

——言葉もない。22歳の女性は、「ごみ置き場の中で、迫り来るイスラム組織ハマスの襲撃者から身を隠しながら、父親に送信した動画の中でささやくようにそう伝えた」のだという。

生成AIの学習に政府保有データを提供へ、国会図書館の蔵書や国の研究データも対象
「まずはすぐに学習に利用しやすいデータとして、政府機関が公開している行政文書や法令、土地地図データ、特許情報などを提供する。国会図書館がデジタル化した書籍など収蔵データのうち、権利上の問題がないものも提供する方針だ。いずれもテキストデータなど学習に使いやすく、広く公開している文書である」。

——各種公共機関が発行した公的文書ももちろんだが、国会図書館が所蔵する図書などのデータが学習されれば、ごく最近にパブリッシュされ、クロール可能な掲示板その他のWebデータなどより文化的価値の高い情報をLLM化することができると見る。
もちろん、「古書」の情報が現代に意味があるかないかとの議論も生じるだろうが、文化的価値は明らかに高いし、現在にいたる経緯を知る手がかりにもなる。

YouTube、生成AI利用コンテンツに開示義務 違反すれば削除などの罰則対象に
「(YouTubeは)例えば自分の顔や声が無断でデジタル的に生成されたりディープフェイクに使われたりした場合、プライバシーリクエストプロセスを使ってそうしたコンテンツの削除をリクエストできるようにする(こちらも「今後数カ月」以内に実施する見込み)」。

——YouTubeがジェネレーティブAI関連で2つの新ガイドラインを発表。個々のプラットフォームが負う責任分野も広がろうとしている。その対処の一環としての動き。

Social Media and News Fact Sheet

Pew Research Center’s Journalism Project

Social Media and News Fact Sheet
米Pew Research、米成人のニュース取得に関する定期調査を更新。成人の30%がFacebookでニュースを取得。YouTubeが26%と肉薄。
各SNSでは、Xユーザーはその5割強がニュース取得(だが減少傾向)。TikTokユーザーのニュース取得は、この3年間で21ポイント増と顕著な動きを見せた。
ニールセン、デジタルコンテンツ視聴率のMonthly Totalレポートによる動画ジャンルの利用状況を発表
「- 『TikTok』と『TVer』のトータルデジタルでの月間視聴者数は昨年の1.5倍以上に増加
– 上位5サービスの性年代別ターゲットGRP(TARP)は、男女ともに18-34歳が最も高い
– 18-34歳では、『TVer』は女性への、『ABEMA』は男性へのリーチが高い」。

——「男女ともに18-34歳が最も高い」というのは、TVがその層を失っていることと、合わせ鏡のような関係か。TVerがそれを補うプラットフォームになれるのかというと…。Radiko同様に問題がありすぎるのだろう。

A global hit: AI translation tools help singers break down borders | Semafor
世界で500万人ものフォロワー(YouTube)を有する歌手のLala Sadii氏、世界中のフォロワーのために、その歌詞部分をAIを用いて40か国版に吹き替える試みを開始。細かいことを言えば通訳業が危機だし、それ以上に肉声の意味が変容しつつある。オーディオの世界の変革期だ。
手をかざせば情報が。スマホに代わる次世代端末「Humane AI Pin」
「スマホに代わる次世代端末として、スマートグラスやヘッドセットがその役目を狙う中、Humaneが提案するのは、AIを活用したバッジのような小さな端末。
スマホのようなディスプレイもなければ、デジタルキーボードすらありません。アプリという仕組みもありません」。

——こちらの記事で「Ai Pin」の具体的なイメージが伝わるだろう。長めのプロモ動画を観るのも良い。実によく考えられた製品だというのがわかる。

Disruption This Week—–10/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月6日から2023年11月10日まで。

Can an AI Device Replace the Smartphone?
【有料購読者向け記事】:
ようやくスマートフォンに代わるスマートデバイスが誕生? 元Apple幹部らがChatGPTを搭載したウェアラブルデバイスを公開。ユーザーの口頭指示で作動するAIアシスタント「Ai Pin」だ。情報を読み上げたり、掌へ投影したりできる。
独立したら年収10倍 個人メディア、SNSの次はメール - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「読者が書き手に直接お金を支払うやり方がベストなのではと考えた。無料のSNSはデータを吸い上げることで読者を商品化してしまうが、サブスクリプション(定額課金)では読者がお客であり続けられる。人々が興奮するかではなく、質の高さや重要さで記事が選ばれるようになる」。

——購読型のメルマガ(米国ではニューズレター)サービスのSubstack創業者へのインタビュー。「サブスタックに書くことで、以前の組織にいた時の10倍を稼ぐようになった記者もいる。何人かの著名記者を失ったメディアもあった。だが、それは書き手がその組織の中で納得のいく処遇を得ていなかったことと同義でもある」というコトバをどう聞くのか。

Microsoft、世界の選挙をディープフェイクなどの攻撃から守るためのツールを提供へ
「『Content Credentials as a Service』は、候補者向けのツール。コンテンツの出所を確認できるC2PA(=コンテンツ信憑性の技術標準化団体)のデジタル透かし認証を使う。この透かし認証は、出所を確認できるだけでなく、認証後に改ざんされると分かるようになっている」。

——来年は世界各国で(日本でも?)、重要な選挙が行われる年だ。その選挙への脅威対処のため、米Microsoftが5つの施策を発表。

「Instagram」のサブスクリプションが100万件を達成--新たな収益化方法も発表
「2023年に入ってInstagramがサブスクリプションプログラムの提供範囲を拡大して以来、アクティブなサブスクリプションが100万件を超えるまでに成長したと、Metaが発表した。Instagramの月間アクティブユーザー数が23億5000万人を超えていることを考えると、小さな数であることは否めないが、サブスクリプションプログラムが開始されてから1年しか経っていないことを思えば、素晴らしい実績だ」。

——超大手プラットフォーマーはこれまで規模のメリットで広告によるマネタイズを図ってきた。今後も基本線は代わらないだろうが、サブスクも重要な柱になると見れば、この分野での進化は進むはず。注目する。

AIガイドライン、「人間中心」など10原則を年内決定方針…公的機関含め全利用者が対象
「政府がAI(人工知能)関連の国内事業者向けに策定を進めるガイドライン(指針)の原案が判明した。全ての事業者が共通して考慮すべき指針として『公平性』『透明性』などの10原則を掲げたのが特徴で、有識者会議『AI戦略会議』での議論を経て、年末までに決定する方針だ」。

——成案を得たわけではないが、注目の動き。

米New York Timesが購読者1,000万人達成と発表(約1年前に発表された「1,000万」はグロスで、各製品の購読者の総和だった)。同社の戦略上の焦点は、「1人の購読者をすべての製品の購読者に変えることだ」「ニュースのみのマーケティングをやめた」と同社幹部は述べる。

OpenAI、「GPT-4 Turbo」と「Assistants API」を発表〜OpenAI DevDay 2023から

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OpenAI、「GPT-4 Turbo」と「Assistants API」を発表〜OpenAI DevDay 2023から
「『Assistants API』のローンチは、(「GPT-4 Turbo」に加えて)もう一つの重要な発表だった。このツールセットにより、開発者はコーディングアシスタントからバケーションプランナー、音声制御 DJ まで、特定のユースケース向けにカスタマイズされた AI エージェントを構築することができる」。

——Musk氏の付け焼き刃の「Grok」発表では到底太刀打ちできなかったOpenAIの各種発表。特に個人的に注目はこの「Assistants API」。私の内心の問いである「ChatGPTはメディアになるか、それともユニバーサルなアシスタントになるのか」について、後者への道のりが速い足取りで整備されつつあると受け止めた。

「赤ちゃんの遺体画像を”AI生成”と判定」イスラエル・ハマス衝突、AIフェイクの本当のリスクとは?
「極めてリアルな生成AIフェイク画像が与えるインパクトは、人々が『フェイクに騙される』ことだけではない。
本物に対しても「これは本物か?」との疑念を広げ、事実を「フェイク化」する危険をはらむ。そして、AI判定の難しさが、さらに事態を複雑にする」。

——「AI生成ニセ画像」を判定するAIが間違っていたら? ややこしい冗談のようなテーマだが、これが今次のガザ紛争では日々生じている。自分は、この事態にシニカルにファクト(事実)に対して冷笑的に振る舞うことを選択したくない。技術に頼り切ることなく、一つひとつファクトを積み上げるしかない。だからこそ多方面からの“検証の目”が必要になる。

Dashtoon uses AI to turn storytellers into comics artists | TechCrunch
作画能力はなくとも、売れそうなコミックストリーリーは持っているというクリエイター向けに「Dashtoon Comic Reader」が誕生。ジェネレーティブAIで作画、そしてWebトゥーンスタイルのアプリプラットフォームに配信して収益化するクリエイティブエコノミーの試みだ。
ビートルズ最後の新曲「Now and Then」は、こうしてAIの技術を駆使して世に送り出された
「1990年代に『ザ・ビートルズ・アンソロジー』のレコーディングに取り組んでいた際に、この古いカセットテープから『Now and Then』を復活させようと試みた。音源ではジョンのボーカルが自身のピアノの音にかき消されてしまっていたが、当時は声を分離させる技術がまだなかった。『それでそのまま立ち消えになってしまったんだ』と、ポールは新たに制作されたこの曲の短編ドキュメンタリーで語っている」。

——この週末、レノンの声と楽しい動画を散々楽しみ、懐かしくThe Beatls時代を振り返ることができた。テクノロジーの肯定的な側面だ。

Disruption This Week—–27/10/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年10月23日から2023年10月27日まで。

ディープフェイクポルノ被害を描いた衝撃的なドキュメンタリー
「事件の発覚は、22歳の大学生のテイラーさんが、友人から受け取ったメッセージから。
『本当に申し訳ないけど、これ、見たほうがいいと思う』という、ゾッとするようなFacebookメッセージでした。そこにあったのはポルノサイト『PornHub』のリンク」。

——「これはただ嫌がらせや支配、屈辱を与えるための新しい方法に過ぎない」とのコメントが、記事中にあるが、この単なる邪な欲求を手軽かつ効果的に満たす手段が、世に満ちてきている。

Cisac report reveals global music collections rose 28% in 2022
CISAC(著作権協会国際連合)、2022年の最新年次報告を発表。作詞家・作曲家の印税が28%増の108億ユーロ(約114億ドル)に達した。100億ユーロを超えたのは初めてで、新型コロナ禍以前の数値を上回った。また、デジタル経由の印税が、19年比でほぼ倍増となった。
【全文閲覧には要購読】:
米国消費者の67%が、購読の解約手続きが簡単であれば、デジタル出版物を購読する可能性が高まると回答。また、51%がデジタル出版物の購読を解約する際に困難に遭遇したことがある。米メディアToolkitsとNational Research Groupが調査した。
Google is actively looking to insert different types of ads in its generative AI search | TechCrunch
GoogleはAIを活用したジェネレーティブな検索体験のためのさまざまな広告フォーマットの開発に取り組んでいることを明らかにした。
CEOのSundar Pichai氏は「検索ジャーニーのすべてのステップにカスタマイズされたネイティブ広告フォーマットを実験する予定だ」と述べたという。
ジェネレーティブAIが生成するコンテンツに「ネイティブ広告」を投入……。悪夢のような時代がやってきそうだ。
ニュースと決別するSNS メディアに深刻な打撃 NYT【前編】:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「ニュースメディア側は、プラットフォーマーからのトラフィック(読者の流入)がかつてのレベルに戻ることはないだろうと諦めているようだ。
これまでにも摩擦が多かったニュースメディアとプラットフォームとの関係の中で、今回は際立っており、ニュースメディアへの影響も深刻だ」。

——色々な視点があると思うが、“プラットフォーマー”が金を稼ぐ鉱脈としてニュースメディアを見てきた帰趨だと思っている。このモデルについて誰がどう答えを出せるのか。

Instagram is testing a dedicated feed for posts from Verified users | TechCrunch
Instagram、認証(Meta認証=月額12〜15ドルの支払いが必要)ユーザーの投稿のみ表示するフィードチャンネルをテスト中と公表。一定の信頼性ある投稿と収入増の両面を追うアプローチのようだ。だが、Xでは有料課金が極端な主張を排除できないという面も指摘されているのだが。
NIKKEI FT the World |FTの厳選記事で世界の潮流をつかむ
日経新聞が、バーティカル系メディア(NIKKEI Prime)を続々投入。今度は「日経FT the World」。これで5媒体目となる。日経電子版のほぼ半額のプライシング。かつ、日経電子版購読者には割引もある。
‘Here is the news. You can’t stop us’: AI anchor Zae-In grants us an interview
「彼女の唯一の欠点は、その完璧さである」。
アジア、そして欧州などでAI生成のキャスターがニュースを読み上げるのを多く目にするようになっている。K-Popスターかのような完璧な仕上がりを見せるAIの合成を行う現場を取材した記事。
Universal Musicら音楽出版各社、歌詞の剽窃をめぐってジェネレーティブAI企業のAnthropicを提訴。「少なくとも500曲の歌詞を使用することで出版社の権利を侵害している」との趣旨。
その記事の内容、本当? 実態不明のニュースサイト「ピンクスライム」が増殖中…保守系団体が資金提供も:東京新聞 TOKYO Web
「今後は、人工知能(AI)を活用した『ピンクスライム3.0』の拡大が予想されている。
報道機関の信頼や透明性を評価するプロジェクト『ニュースガード』によると、既存報道からほぼAIだけで記事を生成しているサイトは世界に数百ある。研究者が『ハルシネーション(幻覚)』と呼ぶAI特有の『もっともらしいうそ』が入り交じる」。

——ほぼでっち上げ、もしくは間接的にしか見聞していない情報をもっともらしい報道とするビジネス。記事はすでに消滅してしまった米ローカルメディアの代わりにはびこっている実態を記事は取材するが、その次世代版をジェネレーティブAIが担うとの見立てを示している。注視すべき動向。問題は、ジェネレーティブAIなど存在する以前からこの種のビジネスがはびこっていることだろう。

米Zoom、従業員に出社義務 生産性向上迫る - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ掲載の連載コラムが、日経電子版に掲載されました。在宅勤務時代のスター企業が皮肉な動きを見せています。よろしければどうぞ。➡ 米Zoom、従業員に出社義務 生産性向上迫る

Disruption This Week—–29/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年9月25日から2023年9月29日まで。

AI Startups Are Trying to Make Usage-Based Pricing Happen
【有料購読者向け記事】:
最近、気になっているのが“従量課金”モデル。個人向けでも企業向けでも重要な動きだ。米The Informationは「AIスタートアップが利用者ベースの価格設定を実現しようとしている」と紹介。ジェネレーティブAI系はコスト高。利用側が導入に慎重なのだという。
Paying for news: Price-conscious consumers look for value amid cost-of-living crisis
「誰がオンラインニュースにお金を払っているのか?」英Reuters Institute、日本を含む20か国を対象に、消費者がニュースに対価を支払う(支払いたがらない)状況を調査。「過去1年間にオンラインコンテンツに支払った」ことのある人の割合で、日本は英国と並び最下位(9%)だった。
メタのザッカーバーグCEO、セレブたちが演じるAIアシスタントを発表
「AIアシスタントの多くは、著名人のペルソナを持ち、その人物に似た会話や音声を発することさえできる。元NBAバスケットボール選手のドウェイン・ウェイド(Dwyane Wade)が演じるAIアシスタントのビクター(Victor)はワークアウトの計画を立てたり、フィットネスの目標達成に向けてユーザーのモチベーションを維持する手助けをしたりすることができる」。

——昨日ちょっと触れたが、Metaはキャラクターに個性を持たせたAIチャットボットを投入。それぞれ特性を持たせてユーザーを支援するという。大坂なおみ氏に酷似した(当然、ライセンス料を払うのだろう)キャラクターもいるらしい。

20代の70%以上が紙より電子書籍を好む/10代には「コミックシーモア」が人気【ナイル調査】
「電子書籍を『現在利用している』と回答した人に、よく読むジャンルを尋ねた。その結果『マンガ(70.66%)』が最多となり、『小説・文学』『雑誌』『趣味・実用』が続いた」。

——20代の7割以上が電子書籍を好む。そして、やはり7割がもっとも好むジャンルを「マンガ」としている。だが、利用中のサービスの1位はKindle(2位が楽天Kobo)という辺りにねじれを、自分としては感じている。その解きほぐしをしているところ。

ヤフー、ニュース配信元との契約見直しも 「優越的地位の可能性」指摘受け
「声明でヤフーは、配信元各社と良好なパートナー関係を維持するため、契約内容の丁寧な説明と実績に応じた見直し、実績などデータの充実と開示、問い合わせ窓口の充実、透明性の向上――などに取り組んでいくとしている」。

——先日の公取委の調査報告書に対し、ヤフーがまずは迅速な反応を示した。

アマゾンの「Alexa」は、会話型AIの技術で“人間らしい”アシスタントへと進化する
「アマゾンはバージニア州アーリントンにある第2本社で9月20日(米国時間)に開かれたイベントで、Alexaを刷新すると発表した。これまでよりずっと複雑な質問にも答えられるようになり、よりスムーズで自由な会話をこなせるようになるという。また、ユーザーがいちいち『Alexa』と呼びかける必要もなくなるという」。

——AIスピーカーが誕生した折から、このような“自然な会話”性の実現に期待をしていた。ジェネレーティブAIの力を借りてどうやらそれが前進を始めたようだ。別の投稿では、ChatGPTが音声と画像(口と目)を持ったとの話題を紹介した。人間とAIの会話が自然になってくると、「物知りな知人」がつねに傍らに居てくれるようになる。

ChatGPT、“目”と“耳”の実装を発表 写真の内容を認識、発話機能でおしゃべりも可能に
「米OpenAIは9月25日(現地時間)、同社のチャットAI『ChatGPT』に、画像認識、音声認識、発話機能が搭載されたと発表した。今後2週間かけて、PlusユーザーとEnterpriseユーザーに展開するという。画像機能はPCやスマートフォンなど全てのプラットフォームからアクセスでき、音声機能はiOS/Androidで利用可能」。

——人間同士の会話能力がそうであるように、画像と音声(入出力)を取り込めるとAIチャット機能は使いやすく、強力になる。求められている方向に正常進化している。

文章一行でAIがWebサイト構築、外部資金調達なしで5.4万ユーザを集めた豪Relume——NikeやDapper Labsも利用

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

文章一行でAIがWebサイト構築、外部資金調達なしで5.4万ユーザを集めた豪Relume——NikeやDapper Labsも利用
「デザインスタートアップ Relume は、AI が生成する Web サイトデザインプラットフォーム『Relume Ipsum』を開発した、数週間から1ヶ月程度かかっていた Web サイトを完成させるまでの作業負荷をわずか数分にまで軽減する」。

——興味深い。Webサイトの構成、デザインをジェネレーティブAIが独自のLLMを通じて行うというものらしい。これに収容されるコンテンツもAI生成……ということになるのだろうか。

In the AI Age, The New York Times Wants Reporters to Tell Readers Who They Are
米New York Times、記者が自身のプロファイル(経歴)を積極的に読者に開示するようにと社内向けメールで指示。米Vanity Fairが報道。メールは「メディアに対する不信感の多くは、ニュースルームがどのように運営されているかを知らないことに起因する」と指摘している。
AI生成コンテンツの時代に、“人間による”要素を顕在化していこうというわけだ。
「マンガ文化に貢献する画期的な取り組み」 集英社UGC拡散に本腰?ジャンプ+「切り抜き」機能公開 
「任意のシーンを切り抜いて、スタンプなどでデコレーションを施し、マンガへのリンク付きで公開できる。サービスに会員登録すると、自身の投稿を経由して読まれたマンガの閲覧数も分かる。この数はランキングでも紹介される」。

——同種の仕組みやアイデアは以前からあったように記憶する。要はそのような切り取り・拡散を媒体側自らが積極的に行おうとする意識変化が生じた点が重要なのだろう。

Disruption This Week—–22/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年9月19日から2023年9月22日まで。

生成AIが開くメディアの新展開 
校條 諭氏:
「コタツ記事のライターではない、記者の『命』は、今後いくら技術が発展しようが、現場に出かけていって、取材対象に身体的に向き合うところにあるでしょう。この身体性や現場性というのがAIにはできない、記者の最後の砦だと思います」。

——長年、メディアについての考察を深めてきた校條さんの、最新アップデート。藤村の論にも言及していただきました。

ヤフーはメディアに対して「優越的地位にある可能性」 公取委が調査:朝日新聞デジタル
「・ニュースポータルサイトの運営事業者がメディア各社に支払うニュース使用料の平均は1千PV(閲覧数)あたり124円(最大251円、最少49円)
・消費者がニュースを得るサービスは検索サイトが54%、ポータルサイトが35%。報道機関などのサイトは計2%にとどまる」。

——私(藤村)が業務上関係するスマートニュースについても触れているので、コメントは差し控えたいが、朝日新聞の記事は引用した箇所を含み、記事文末で詳しい調査結果のまとめを試みている。参照されたい。

YouTube Shorts to gain a generative AI feature called Dream Screen | TechCrunch
YouTube、ジェネレーティブAIによりテキストから(動)画像を生成する機能「Dream Screen」を発表。同社CEOのNeal Mohan氏が、同社が開催したライブイベント で、「コーヒーを飲むパンダ」などと入力すると、その画像が表示されるのをデモした。
スマートスピーカーに生成AI、Amazonが先行 会話を記憶、ボディランゲージやアイコンタクトも理解
「従来のAlexaは会話内容を記憶せず、質問→応答の1往復しかできなかった他、応答パターンにも制限があった。生成AIの搭載により何往復も会話が可能になるだけでなく、ボディランゲージやアイコンタクトといった非言語的な合図も、Alexa搭載スマートスピーカー『Echo』のカメラや人感センサーなどから情報を得て理解するとしている」。

——米Amazon、AmazonLLMを発表。と同時に、“その後”が懸念されていたAlexaのジェネレーティブAI版もスマートスピーカー製品に追加、強化していく姿勢を見せた。「ヘイ、シリー」「アレクサ」といった気恥ずかしくなるような起動語が不要になっていくことは、普及の観点からも望まれていたことだ。

Newsroom Generative AI Lead
米New York Times、募集職種に「編集部:ジェネレーティブAIリード」職を追加。小規模チームを管理するリーダー職で、編集部内ではシニアエディタに相当。編集部全体で取り組むAIによる編集制作や読者対策の実験に取り組む。職務記述が整理されているので参照しておくべきだろう。
GoogleのチャットAI「Bard」、GmailやGoogleドライブの拡張機能に 画像質問も日本語対応
「Google Japanは9月19日、Googleの生成AIチャット『Bard』の新機能としてGmailやGoogle ドライブなどのGoogleアプリの拡張機能を発表した。Bardがユーザーの指示に従い、ユーザーのGmailやドライブ内のファイルなどを参照し、回答を生成するという」。

——まずは英語版の提供からだというので、慌てずに様子を見たい。それにしても、検索のパーソナライズがそうであるように、Googleにこれを任せていると、同社全サービスでの自分の情報が見事に過去にさかのぼって利用対象になることは間違いない。

弊社の記事に関するお詫びとお知らせ | The HEADLINE
「複数の報道機関に掲載された文章をそのまま用い、剽窃・盗用に該当すると言える箇所が確認されたことに端を発します。当該記事は本誌記者による執筆ではなく、弊誌がβ版として開発・検証をおこなっていた生成系AI によって生成された記事です」。

——The HEADLINEの告知記事から。「データと専門知に基づく、信頼性の高い洞察」を特長と謳う同メディアだが、それを損ねる結果となったようだ。紹介する告知のようにていねいに事情を説明しているなど、「信頼性」を高めるスタンスも伝わるのだが。これを含めて、私の主張は、あらかじめ、どうジェネレーティブAIを活用する(しない)のかを読者に明言しておくことが必要だということ。

As AI enters newsrooms, unions push for worker protections - Poynter
AP通信、Wall Street Journal、LA Timesの編集スタッフら数百人のジャーナリストを代表する労働組合が、今夏、AIに対応する契約条項を提案した。少なくとも1つの組合は交渉を締結させたという。俳優、脚本作家に続きジャーナリストも反AIの動きを顕在化させているとする記事。
「生成AI」活用か排除か 悩む米メディア、対応割れる - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「コンテンツ利用の対価を受け取る枠組みをつくるために、業界が団結してIT大手と交渉を進める計画も持ち上がる。
だが企業間で足並みはそろわない。8月には、米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)が団体交渉には参加しない意向であると報じられた」。

——ジェネレーティブAIを開発、提供するIT企業とメディア産業、あるいはメディア各社の関係を概観した記事。新技術を口を極めて批判するメディア(連合)がある一方、個々に提携、交渉する動きも生じている。世界で同時多発的に生じている動きがどう転がるか、注目の事態だ。

アメブロ、ピクシブ、楽天ブログ…「ハワイの山火事は気象兵器」中国発の陰謀論、日本も標的
「『スパモフラージュ』は50以上のプラットフォームで展開されるという親中国の影響工作ネットワークだ。フェイスブックや米ネット調査会社『グラフィカ』が2019年から継続的に監視を続けている」。

——中国現政権寄りの大規模ニセ情報ネットワーク「スパモフラージュ」。中には日本語発信のものもあるという。AI自動翻訳と見られるとの記事。「汚染水」がらみあるようで、日本も影響工作の対象であることは明らかだ。

JEPA|日本電子出版協会  2023年9月19日 藤村厚夫氏: 生成AIとメディアの現在、未来
【ご紹介】:
つい先日オンラインで行った講演の動画が公開されています。資料もダウンロードできます。貴重な機会を提供していただいた日本電子出版協会に感謝いたします。