Disruption This Week—–10/1/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年1月6日から2025年1月10日まで。

Google's Daily Listen AI feature generates a podcast based on your Discover feed | TechCrunch
Google、Discover(ユーザー向けに最適化されたコンテンツ配信システム)コンテンツを、5分程度に要約した音声コンテンツ「Daily Listen」をテスト中。AndroidおよびiOSアプリとして、利用登録した一部ユーザーに配信をしているという。興味深い動きだ。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2025

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2025
毎年初に発表されるReuters Institute(ロイター・ジャーナリズム研究所)の「ジャーナリズム、メディア、テクノロジーのトレンドと予測」2025年版が公開。
51か国と地域65人の編集長、63人のCEO、または経営責任者を含む326人のデジタルリーダーのサンプルを対象に調査を実施。情報は多岐にわたるので、今後、何回かに分けて紹介していこう。
「ミラーフェイス」によるサイバー攻撃、中国の関与が疑われる-警察庁
「2019年ごろから国内の組織や事業者などを対象に行われたサイバー攻撃を巡り、警察庁などが8日、『MirrorFace』(ミラーフェイス)と呼ばれるグループが実行し、中国の関与が疑われる組織的な活動であると発表した」。

——言い換えれば、中国から3年もの間、ハッキングされっぱなしだったということ。記事には警察庁からの詳細な発表文がリンクされている。

Thousands of documentaries are fueling AI models built by Apple, Meta, and Nvidia
「何千本ものドキュメンタリー映像作品が、Apple、Meta、Nvidiaらが構築するLLMなどAIモデルの学習データとして用いられている」。ドキュメンタリー映像作品にお広く使われる字幕情報を抽出してAI学習に利用されていると、米The Atlanticが調査結果を11月に公表していたことを解説する記事。
メタ、第三者のファクトチェックを米国で廃止-検閲「行き過ぎ」
「フェイスブックやインスタグラムなどを傘下に持つ米メタ・プラットフォームズは、同社が米国で運営するソーシャルメディア上では第三者によるファクトチェックを終了すると明らかにした。今後はユーザーが投稿の正確性についてコメントできるコミュニティーノート方式に切り替え、表現の自由を促進するとしている」。

——米Trump大統領政権への最適化をめざすMeta。すでに紹介したように政策担当を、共和党寄りの人物へと切り替え、さっそくその姿勢を、ファクトチェック分野の方針で示した。今後は、投稿をめぐる意思決定のためのボードメンバーの変更にも手をつけるだろう。

日本語LLMの「実力」は? AI Model Score
【有料購読者向け記事】:
日本語対応LLMをベンチマーク。総合力評価では、1位 OpenAI o1およびpreview、2位Claude 3.5 Sonnet、3位Gemini 2.0 Flashというところ。NIKKEI Digital Governanceの購読者向けサービス。
Google sends funds to journalism collective in exchange for Online News Act exemption
Googleは、カナダで施行されたオンライン・ニュース法の免除と引き換えにカナダの報道機関に支払うことに合意。1億ドルを、その資金を分配するために設立されたジャーナリズム団体へ送金。これにより法の強制課金を5年間免れることができる。
Advertisers Keep Avoiding News Sites, and Publishers Have Had Enough of It
【有料購読者向け記事】:
プログラマティックな広告掲出システムに染まった広告業界。広告主(ブランド)側はキーワード指定の掲出禁止を多様しており、結果、一流メディアでも掲出が自動的に拒否される流れに、Washington Postでは4割の記事が禁止対象だとの証言が紹介されている記事。
日経グループ2025年の主な事業 - 日本経済新聞
「今春以降、日経電子版の有料会員向けに主要なニュース記事で提供します。対象記事に関連して『ニュースの背景には何が?』『今後の影響について教えてください』といった読者が知りたくなる質問を、生成AIが記事下の部分にあらかじめ用意します」。

——単に質問されそうなテーマを用意するだけでなく、「に追加で聞きたいことについてご自身で質問内容を入力して尋ねることもできます」ということだ。AIを積極的に利用して、より“情報(提供)サービス”化の姿勢を強めるのは、新聞に求められる発展の方向性のひとつだろう。

年頭のご挨拶:2025年のPublickeyも、読者が安心して記事を読めるように適切な広告だけを掲載します
「2025年の最初の記事として、Publickeyは今年もこの広告掲載の方針を変えることなく、不快な画像の広告や誤クリックを誘うような邪魔な広告、さらには詐欺サイトへ誘導するような広告などが掲載されないように運営していくことをご報告させていただきます」。

——明けましておめでとうございます。本日から、投稿を再開します。
まず最初に紹介するのが、Publickeyの広告掲載ポリシー。
メディアには、「コンテンツを見れば(読めば)、その質はわかるはず」とするだけではなく、その姿勢や取り組みを明文化して、信頼を得る努力が求められる。そうすることで高い評価を印象づけられる。

Disruption This Week—–27/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月23日から2024年12月26日まで。

1 000 and 4 000 days of deception: Russia’s evolving information manipulation - EUvsDisinfo
「直接的なプロパガンダからデジタル欺瞞へ。
EUの制裁と国民の懐疑心の高まりに直面し、ロシアのプロパガンダ担当者たちは、西側の声になりすますことで、西側の聴衆に接触する新しい方法を開発した…」。

——欧州対外行動庁(EEAS)による、ロシアのEU(関連)諸国への工作を取り扱うサイト「EUvsDisInfo」より。世の中では、AIを用いた「ディープフェイク」に関心が集まるが、より洗練された情報工作が台頭している。記事はそのような事例を紹介する。

Forbesも陥った広告目的サイトの甘い蜜 MFA事例解説 – 日経デジタルガバナンス

NIKKEI Digital Governance(日経デジタルガバナンス):デジタル・AI時代のガバナンスを伝える専門メディア

Forbesも陥った広告目的サイトの甘い蜜 MFA事例解説 - 日経デジタルガバナンス
【有料購読者向け記事】:
「MFAサイトは、検索エンジンやソーシャルメディアからトラフィックを集め、表示される広告によって収益を得る仕組みだ。しかし、MFAの急増により広告主には無駄な広告費の発生やブランドイメージの低下といった負の影響が拡大しており、広告市場の健全な成長を阻害する要因となっている」。

——「メード・フォー・アド(MFA)」、つまり、広告目的のためだけに作られ、運用されるWebサイトの解説記事。AIや自動クローラなどで、手軽にコンテンツWebサイトを作りだす技術が進展、ここにネットワーク型広告を配信するだけで、手軽に収入を得られる。個人的には、この種のサイトと純然たる商用Webサイトの境界線が曖昧化していることも、事態の背景にあるのだろうと見る。一般の利用者も、コンテンツの集積体としてのメディアに関心を持たないので、検索一発で答え(らしきもの)に出会えれば、満足ということなら、この種の詐欺サイトが減る理由がない。

Kara Swisher Just Wants a Meeting With Jeff Bezos – Washingtonian

Washingtonian – The website that Washington lives by.

数日前、米Axiosがテック系ジャーナリストの大物、Kara Swisher氏が(投資団を組成し)米Washington Post買収を計画と報道。その計画をめぐって、WashingtonianのシニアエディタAndrew Beaujon氏がSwisher氏にインタビューした記事。その意図や勝算を語って面白い!
Universal and Amazon Music Strike Deal to Collaborate on Streaming 2.0, Audiobooks and AI Protection
米Universal Music Group(UMG)およびAmazon Music、UMGが発表している「Streaming 2.0」戦略、AIからの保護、そしてオーディオブック事業などの点で合意、提携を発表。Streaming 2.0は規模の追求ではなく、各種購読や物販、アーティスト支援などで付加価値増をめざすもの。
Apple faces calls to remove new AI notification feature on iPhones after it generated inaccurate news summaries
米AppleがiOS 18.2に搭載された新機能「Apple Intelligence」をめぐる批判に直面している。Appleに批判を向けているのは、すでに紹介したBBC、そして「国境なき記者団」だ。いずれもオリジナルのニュースを不正確に紹介(プッシュ)したとされる。
Washington Post announces start of third newsroom - Talking Biz News
米Washington Post、従来から計画を公表してきた「第3の編集部」を立ち上げるべく、新事業部門WP Venturesを組成、責任者を指名した。新部門は新フォーマット(動画、音声、ニューズレター)などを手がけると、社員向けに通知した。
エヌビディアだけでないAI特需の恩恵、レディットやパランティアも
「トゥルイスト・アドバイザリー・サービシズの株式戦略マネジングディレクター、スコット・ユシャック氏は『最初の受益者でなかった企業も成長を経験し始めた。テック業界では現時点でAIが選好されているが、25年にはテックの選好対象が広がると期待している』と説明した」。

——AIブームの余波が、各種関連企業に飛び火している。AI関連半導体やソフトウェアを開発する度真ん中から、ジェネレーティブAIの学習用にコンテンツを来戦するReddit、AIを使った軍事分析システムのPalantir Technologies、発電などを手がけるVistraなどが株価を伸ばしているのだという。

Entertainment and Media Suffers Another Major Blow in 2024 With 15,000 Job Cuts
米メディア業界、依然として深刻な雇用環境が続く。——雇用動向の調査などを行うChallenger, Gray & Christmasに依れば、2024年12月中旬までに、放送、テレビ、映画、ニュース、ストリーミングの分野で14,909の雇用が失われた。23年は21,417であり、多少の改善に過ぎない。
記事はその複雑な背景に言及している。ひとつは顕在化したメディア企業(事業)の統廃合、M&Aなどの動きがある。
Google検索、公正取引委員会が独占禁止法違反を認定 初の排除措置命令へ - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「公取委はグーグル側の意見を聴いた上で最終的な処分を決める。公取委は取引の見直しを求めるとみられ、グーグル側の対応が焦点となる」。

——Googleがどのような対処策をとるかはまだ不明。ただ、これまでの取引慣行を改める程度のことになるのだろう。

UK data regulator criticises Google for ‘irresponsible’ ad tracking change
英国のデータ保護規制当局、Googleが先週発表したフィンガープリンティングを広告主に提供するという従来の方針の変更に「無責任」と批判。同社は従来、ユーザー保護の観点からフィンガープリンティングのターゲティングへの利用に慎重だった。

Disruption This Week—–20/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月16日から2024年12月20日まで。

日本新聞協会、生成AIと著作権保護「新たな法整備を」 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「生成AIの普及に伴い偽・誤情報の拡散が社会問題となっている。協会によるユーザー調査では『約6割が誤った回答が表示された経験を持つ』との結果が出ており、背景には『無秩序なデータ収集』があると指摘した」。

——日本新聞協会による、政府推進案に対する見解。協会自身が掲載したページより、日経に依るこの記事の方が読みやすい。協会、すなわち新聞業界が警戒する関心事は、検索に近いポジションでAIが報道される情報のつまみ食いをしてしまうことのようだ。

Webは消滅に向かっている——。米Pew Researchによれば、2013年にはアクセス可能だったWebページの38%が、今ではアクセスできない。ある大学の研究者らによれば、2025年までに地方ニュースサイトの3分の1が失われるという。技術的欠陥、そして情報を消したがる動きも原因だ。
メタ、来年の米広告収入はインスタグラムが半分超の見通し=調査
「調査会社イーマーケターは調査で、米メタ・プラットフォームズの2025年の米国での広告収入は写真共有アプリ『インスタグラム』が半分超を占める見通しを示した。メタは主力商品の改善を通じて広告を増やし、売上高を拡大する取り組みを進めている」。

——なぜ、この予測が話題となるのかと言えば、ライバルで短尺動画アプリの筆頭アプリTikTokが米国で禁止される(あるいは所有権が動く)可能性が高まっているからだ。記事にはInstagram広告の内訳などが詳しく紹介されている。

More than 140 Kenya Facebook moderators diagnosed with severe PTSD
140人以上のケニア人Facebookモデレーターが重度のPTSDと診断され、アウトソーシング元のMetaとアウトソーシング先企業Samasource Kenyaに対して元モデレーターらが訴訟を提起との報道。モデレーターらは過激な動画像に繰り返し晒されていたとする。
IT技術者「自由な働き方」に盲点 サイバー攻撃の標的に 編集委員 須藤龍也 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「ディレクターを名乗る人物から「スキルをテストしたい」と通販サイト構築アプリのプログラムコードが送られてきた。男性がパソコンで実行したところ、セキュリティーソフトがウイルスを見つけたと警告を発した」。

——衝撃なのは、記事が「石川氏によると今回見つかったウイルスから、ハッカーの狙いは第一に仮想通貨など金銭目的だと推察する。ただ、男性のパソコンを乗っ取る機能も見つかっていることから、パソコン内部の機密情報を盗み取る目的もあるとみる」と続くこと。被害に遭いかけた技術者は、会社貸与のPCを使って、“スキルテスト”プログラムを走らせていたという。

AIの次なる飛躍、「長時間思考」に備えよ
【有料購読者向け記事】:
「長時間思考とは(少なくとも最大限に活用された場合では)文字通りの意味を持つ。長時間思考AIモデルは、生成する結果を「熟考する」ためにもっと時間をかけるように設計されている。進行状況を知らせ、途中でフィードバックを求めるほど賢くなるだろう」。

——OpenAIの長時間思考モデルが、「o-シリーズ」。「回答する前により長く考え、複雑なタスクを論理的に捉え、『科学、コーディング、数学の分野で、従来モデルよりも難しい問題』を解決するよう設計されている」という。

EU、TikTokの調査開始 選挙介入巡る疑い
「欧州連合(EU)欧州委員会は17日、11月のルーマニア大統領選などで選挙介入を抑制しなかった疑いがあるとして、中国の字節跳動(バイトダンス)傘下の短編動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』に対する正式手続きを開始した」。

——これはすでに紹介した。国内大手紙でも論じている話題。これから注目されるのは、単にTikTokが適切な偽誤情報を含む政治コンテンツに対して適切にモデレーションするのを怠った、以上の、影響力工作方法上の新たなアプローチがあるのかどうかだろう。

More YouTube viewers are watching on their TVs | Semafor
YouTubeの視聴が、CTV(コネクティッドTV)上で急上昇。多くのクリエイターは4Kベースの(CTV向け)コンテンツで収益を伸ばしている——。同社幹部のKurt Wilms氏が述べた。「収益の大半をリビングルームのデバイスから得ているクリエイターの数は、前年比で30%増加」。
メタが新AIモデル公開 メタバースのアバター動作がリアルに
「メタは12日、人工知能(AI)モデル『Meta Motivo』をリリースすると発表した。メタバース空間でのキャラクターの動きをコントロールし、自然な動作を可能にした。
Meta Motivoはデジタルアバターによく見られる体の動きの問題を解決し、よりリアルで人間らしい動きを実現すると説明した」。

——ようやくMeta社は、AIに先行して全力を傾注してきたメタバース戦略とAIの接点を創りだすところにまでこぎ着けたようだ。今後は同社のアドバンテージが生きてくるのかもしれない。

Patrick Soon-Shiong's controversial shakeup at the L.A. Times:  'Bias meter,' opinion upheaval and a call for growth
米著名メディアの一つ、L.A. TimesのオーナーPatrick Soon-Shiong氏の言動、行動が話題だ。同紙がHarris大統領候補の支持を表明するのにストップをかけ、同紙記事のバイアス度を表示するメーターを設置しようとする。同氏へのインタビューをL.A. Times自ら行った。

Disruption This Week—–22/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月18日から2024年11月22日まで。

コムキャストがCATVチャンネル分離へ、MSNBCなど-関係者
「メディア・ケーブルテレビ(CATV)大手の米コムキャストはニュース専門局『MSNBC』や『CNBC』『USA』などのCATVチャンネルをスピンオフ(分離・独立)する計画だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。視聴者や広告主を失いつつあるCATV事業へのエクスポージャーを減らす」。

——Bloombergの報道が出てから、米メディア業界はこの話題で持ちきりだ。各社の経営上の複雑な要因が作用しているため、一概に言えないが、なによりも最大の環境変動要因はCATVの収益構造が弱体化していることだろう。これまで収益性が良すぎたことから変革が遅れたのは、他のレガシーメディアに似ている。ストリーミングの一部がかろうじて黒字化を示すが、安定化するには、独占的な地位獲得が必要になる。

Google Discover has become Reach’s ‘biggest referrer of traffic’
Facebook、InstagramなどSNS、Google検索からの流入が減少していると、多くのメディア担当者が体感している。そんななか、検索を利用したコンテンツフィードの「Google Discover」が存在感を増している。記事は英大手メディア企業Reachの幹部がその影響や特性を語る。
AI detection tool helps journalists identify and combat deepfakes
DeepfakeをAIを用いて検知するジャーナリスト向け無償サービス「TrueMedia」の紹介記事。開発するTrueMedia.orgの創業者はAI研究家Oren Etzioni氏。同氏のコメントなどを紹介。難題はフェイク作成側も検知を回避する方策を生み出してくることだという。
米司法省、グーグルに「クローム」売却を求める方針-関係者
「訴訟はトランプ政権下で提起され、バイデン政権でも継続された。判事が是正案を受け入れれば、オンライン検索市場と急成長するAI業界を一変させかねない」。

——PCなどでは重要アプリであり続けるWebブラウザ。そのシェアトップの「Chrome」は、Googleにとっても、検索、マップ、Gmailなどの重要基盤で、ブラウザ自体は無料だとしても市場の支配力はすさまじい大きさだ。かつてNetscapeを駆逐したMicrosoftとIEの関係が想起される。

Unveiling LIMINAL PANDA - Threats to Telecom Sector | CrowdStrike
米CrowdStrikeの防諜対策幹部、同社が「LIMINAL PANDA」との名称を与えた、重要インフラに対する中国のサイバー脅威アクターについて初めて公開。リポートでは、LIMINAL PANDAのインフラへの侵入の手口など詳細に紹介する。
「2024年米国選挙におけるプラットフォームXのアルゴリズムによる潜在的偏向の計算分析」。
豪Queensland大研究者Timothy Graham氏ら、X(Twitter)が2024年7月に大きくアルゴリズムを変更。オーナーMusk氏によるTrump候補支持表明に符合するとの論文(プレプリント)を公表。
報道経験ないニュース系インフルエンサー、米若者の頼れる情報源に
「ピューの調査によると、30歳未満の成人の約40%が、ニュース系インフルエンサーから時事問題や政治の最新情報を入手している。こうしたインフルエンサーの大半に上る77%は、報道機関に所属せず、メディアでの勤務経験もない。
新たなデータはメディア環境の変化を浮き彫りにした。若者を中心に、政府や社会問題、経済といった重要なニュースについては、非伝統的な情報源の利用が一段と増えている」。

——併せて紹介する米Pew Research自身のリリースブログを参照されたい。

幻冬舎コミックス、Xへの画像投稿は「AI学習阻害・ウォーターマーク付き」で 11月15日の規約変更を理由に
「Xは15日の規約変更により、ユーザーが入力した情報を、AIのトレーニングに利用する旨を明文化する予定だ。しかしXでは、これを嫌って他のSNSに“移住”しようとするユーザーや、投稿する画像にAI学習の阻害処理・ウォーターマークをつけようと呼び掛ける人も見られ…」。

——これもXをめぐる話題なので、遅まきながら紹介しておく。引用箇所にあるように、Xの利用規約がAI学習に強制的に用いられることを嫌っての動き。この種のせめぎ合いがこれから活性化するだろう。Xは、自社のxAIの開発にとどまらず、他のAI開発ベンダーに学習用コンテンツを売って大儲けするオプションを手に入れようとしているわけだ。

Norwegian startup Factiverse wants to fight disinformation with AI
ノルウェーのスタートアップであるFactiverse、米国大統領討論会のライブファクトチェックを提供し、いくつかのメディアパートナーによって利用されたという。同社の技術はLLMとは異なり、情報検索に基づいく別タイプのモデルを構築したと創業者は述べる。
「X」利用者が続々と「ブルースカイ」へ移動 仕組みは? オーナーは? - BBCニュース
「世界各地でかなりの人数がブルースカイのアプリをダウンロードしている。イギリスでは14日、アップルのアプリ市場『AppStore(アップストア)』で、最もダウンロードされた無料アプリになった」。

——Musk氏の振る舞いもあって、Xを離脱する動きが高まっているものの、記事にもあるように、BlueskyがXを脅かす存在になるためには、今後の長期にわたり成長が欠かせない。そのためには、大物たちの寄付に頼る資金源では心許ない。これからがBlueskyの胸突き八丁の上り坂だろう。

Disruption This Week—–16/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月11日から2024年11月15日まで。

Viewers Flee MSNBC, and Flock to Fox News, in Wake of Election
【有料購読者向け記事】:
米TVネットワークMSNBCの選挙日以降の平均視聴者数は55万人で、10月の平均視聴者数と比較すると39%減少 (Nielsen調査)。 プライムタイムでは53%減少だ。一方のFoxでは、一日の平均視聴者数は330万人で38%増加したという。
電通ジャパン・インターナショナルブランズ、広告視聴のアイトラッキングデータに基づいたアテンション調査レポート「広告効果における新指標:アテンションエコノミー]発表
「本調査では、日本国内8000人超のモバイル端末ユーザーを対象に、ディスプレイ、リッチメディア、SNSなど、計7種類の広告フォーマットからユーザーの視線の動きを計測しました。視線追跡、視覚的注意、表情のデータが45種類以上のクリエーティブから収集されました」。

——電通ジャパン・インターナショナルブランズ、新たな広告視聴指標「アテンション」を日本を含む各国でのデータに基づき検証。採取できた特徴や有効性を公開。

米Wall Street Journal、ニュース記事の上部に表示されるAI生成の記事要約を試行中。 要約は、記事の要約を箇条書きにした「Key Points」として表示される。AIツールが作成したと断っている。米メディアのThe Vergeが発見したスクープ。
Social media is a symptom, not a cause
「ソーシャルメディア(SNS)は症状であり、原因ではない」——。米(カナダ)のジャーナリストMathew Ingram氏の論説。2024年の米大統領選をめぐるメディア状況への言及。ファクトチェックが履行されないSNSプラットフォームを非難する言説に対して、分断の原因はSNSでないと。

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか
「若年層(=49歳以下)は特に、YouTubeやVODなどのネット動画アプリへのシフトが加速しています。テレビ受像機でネット動画や映画やスポーツ中継などのオンデマンドサービスを見るというスタイルが徐々に定着しつつあることがうかがえます」。

——あくまでも映像機器メーカーREGZAが提供するデータ上でのトレンドという点に留意。引用箇所は「GT(ゴールデンタイム)・49歳以下の利用率内訳(全体を100%)」のデータを目視した。問題は、大型ディスプレイ搭載の受像機全体の利用状況だろう。

「今やあなたたちがメディアだ」とマスク氏、米大統領選でマスメディアは「敗北」したのか?
「今回の大統領選では、偽誤情報の氾濫とともに注目されたのが、マスメディアの存在感の低下だ。
選挙戦では、トランプ氏、カマラ・ハリス現副大統領とも、著名ポッドキャストへの出演が注目を集め、『ポッドキャスト選挙』の呼び名もついた」。

——「トランプ氏と次期副大統領、J・D・バンス氏が出演したポッドキャストの1つが、人気ランキングトップ、1,600万人のフォロワー数を持つ『ジョー・ローガン・エクスペリエンス』だ。
選挙戦最終盤の10月25日、トランプ氏は約3時間にわたって出演。ユーチューブでの動画視聴回数は4,800万回超に上った」と記事では、その具体的なインパクトを説明している。
この間、何度か私が指摘した“クリエイター”による政治報道が表舞台に上ったということでもある。

Mistral、コンテンツモデレーションAPIをリリース 日本語にも対応
「AI企業のMistral AIは11月7日(現地時間)、コンテンツモデレーション用の新しいAPIをリリースしたと発表した。同社のチャットbot『Le Chat』のモデレーションに使っているものと同じAPIという。
ユーザーはこのAPIを使うことで、特定のアプリや安全基準に合わせてカスタマイズできるようになる」。

——すでにMetaはFacebookやInstagramでこの種のAIモデレーションを実施しているはずだが、理由のわからない(投稿やアカウントの)バンが行われたという悲鳴が上がってもいる。

X Touts Record High Usage on Election Day
米大統領選をめぐるプラットフォーム、勝者はXか? 同社は「過去最高」の使用を喧伝中だ。
SNS年齢制限広がる オーストラリアは16歳未満禁止法案 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「各国で交流サイト(SNS)の使用に年齢制限を設ける動きが広がっている。オーストラリアは近く国家として初めて16歳未満のSNS利用を禁止する法案を提出する。英国や米国の一部州でも議論されている」。

——なぜか日本では、この種のSNS利用が青少年にもたらす悪影響を規制する議論があまり大きな政治問題になっていないように思える。ヘイトなどの発信制御に規制策(の是非)が向かっているようだが、諸外国ではプラットフォームそのものの害悪に目が向けられている。

生成AIで福岡のPR記事作成→“架空の祭りや景色”への指摘が続出 開始1週間で全て削除する事態に
「プロジェクトの公式Xでは『インターネット上の情報をもとに生成AIを活用してメディア記事を作成し、人的確認のうえ発信してきた』と説明。今回の指摘を受け『より正確な情報を提供するため、全てのメディア記事を削除し、発信を一時停止する』としている。なお追記では『生成AIでのメディア作成は一切行わない』との方針も示している」。

——あり得ない地域の混同など、“事実”との齟齬以外にも、画像が「パラレルワールド感すごい」との“評価”。反面教師として使えそうな素材。