Disruption This Week—–24/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月20日から2023年11月24日まで。

The top 7 media people in AI

Business Insider

The top 7 media people in AI
米Business Insiderが選ぶ「2023年 AIの100名」から、メディアに関わる研究者、メディア人、IT企業人のトップ7名を紹介する記事。例えば、New York Timesのチーフ・データサイエンティストのChris Wiggins氏は、同社の約1,000万人の購読者の行動分析に深く関与しているとする。
アルトマン氏CEO復帰、オープンAI解任劇の火種となった1本の論文とは?
「論文では、アンスロピックが安全性を重視し、クロードのリリース時期を遅らせたことに対し、スピードを重視したオープンAIが、『見切り発車』的にチャットGPTを公開し、様々な問題点を指摘される、という経緯をたどったことを指摘した。
問題になったのは、この共著論文の筆者の1人が、オープンAIの取締役のメンバー、トナー氏だったことだ」。——今回の騒動の一因として、米New York TimesやWall Street Journalが報道したAI開発における安全性問題をめぐる攻防があったと整理する平和博氏の論。OpenAIとAnthropic間のビジネス面に熾烈な競争と研究者らの倫理面を含む生々しい攻防が表面化していたことは、間違いない。それほど、技術、研究、そしてビジネスが未分離な分野なのだ。

How Bloomberg Media got to 500,000 subscribers - and how it plans to reach a million
デジタルの有料会員数50万人を超えた米Bloomberg Media。そのデジタル担当最高責任者Julia Beizerに成功要因を取材した記事。現在の成功要因は18カ月前に遡るという。購読者の88%が年会員だとし、オファリングや会員育成やエンゲージメント強化策などなんでもやると述べる。
テレビとスマホが競る時代…毎日の生活に必要な情報、何から得てますか?(最新) : ガベージニュース
「(生活に必要な情報の入手先として:)全体では『テレビ』『スマホ・携帯電話』の順だが、年齢階層別では50代までは『スマホ・携帯電話』の方が上になる。さらに70歳以上では『新聞』が『スマホ・携帯電話』を追い越す形となり、『テレビ』『新聞』『スマホ・携帯電話』の順となる」。——2023年9月公表の文化庁の調査から。本日行うスマートニュース メディア研究所の世論調査と研究者の研究とも関わるのだが、メディア接触と年齢階層の関係が、現代、そしてこれからの社会的統合に影響を及ぼす可能性が強い。個人的にも考えるべき重要なポイントと見ている。

AIタレントの功罪「もっと危機感を」 権利課題の日本が最も推進?:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「2020年の芸能実演家などの生活実態調査報告書では、インターネットで利用するための音楽・映像に参加する際に『必ず契約を交わしている』という芸能実演家が2.6%しかいなかった。これでは権利が十分に行使されないだろう。著作権料及び著作隣接権料収入が全くない人は78.7%もいた」。——ジェネレーティブAIが芸能分野にもたらしかねないインパクトを、多面的に論じていて勉強になる記事。ただし、やや引いた視線で見ると、AIがインパクトをもたらし、場合によれば労働市場の変化を生むかもしれないのは、芸能の分野だけではない。また、引用した部分などは、AIが関与する以前の旧弊的問題であり、その現代化の方が先に問われるべきではないかとも感じるのだが。

投稿削除「1週間程度で」 ネット中傷、事業者に要請 総務省案:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「削除する場合の判断基準や手続きなどを定めた削除指針を作り、公表させることが適当と判断。被害者からの削除申請を受け付ける窓口の整備や、日本語による対応も求める。誹謗中傷を含む投稿の拡散を防ぐため、申請の受け付けから1週間程度での対応を求める」。
——雑にいうと、経営体制の変更やコスト削減などの動きから、人的な監視力が落ちているプラットフォームに対して、対処、それも迅速な対処を求めるのは意味のある動きと言える。その一方で、「削除の強制力」だけに重きが置かれては、言論の自由が損なわれるという古典的命題も浮上する。やはり影響力あるプラットフォームに(削除だけの強制ではなく)「対処の透明化」を求めることが必要。その仕組みづくりそのものも、社会的視線の届く場で決まっていくのが、望ましい。
 I Tried Meta’s Ad-Free Instagram Subscription. This Is What It Was Like. 
【有料購読者向け記事】:
EUの規制強化に対処し、広告フリー・有料版のInstagramが誕生。記事は仏在住記者がしつこいターゲティング広告を避けるため試した有料版のレビュー。
「広告なしのInstagramを使っても、プロモーション・コンテンツからは逃れられない。私は広告の本質に疑問を感じている」。
「AI翻訳システムを活用すれば、すべてのメディアがグローバルな競争に参加する日も近い」。
英FT参加のコンサル企業FT Strategiesの中心人物がメディアとジェネレーティブAI活用のトレンドを語る。一方で「車輪の再発明は避けよう」とも述べる。
マスク氏が自己弁護、反ユダヤ投稿巡り-メディア報道「虚偽」と反論
「米テスラの最高経営責任者(CEO)でXのオーナーであるマスク氏が先週、ユダヤ人が白人に憎悪を抱いているとの投稿に同調したことで、反発の声が噴出。このメッセージはその後、ホワイトハウスやテスラの投資家からも批判を浴びた。ウォルト・ディズニーもXから離れた大企業の一つ」。——OpenAI騒動に隠れているが、同じくらい騒動を起こしているのがXだ。Musk氏が「反ユダヤ」的言説に一定の賛同を示したことと、X内でナチス支持投稿に大手ブランドの広告が近接して掲記されたことが、広告主らにインパクトを与えている。

「GAFA」は「GOMA」に? AIの未来を握る4社とは | 米誌が考える、テックの行き先
【有料購読者向け記事】:
「米誌『アトランティック』が着目したのは、勢いを増す生成AIの分野で注目を集める『GOMA』だ。AIチャットボットとその類のものはまだ初期段階にあるとしながらも、『AIの世界では、すでにすべてがたった4社に集約されつつある。グーグル、オープンAI、マイクロソフト、アンソロピックである』と書く」。——AIの大トレンド。その現段階の集約点が見えてきた。昨日まで見ていたGAFA中心的な世界観とも異なることは、OpenAIのCEO辞任劇でも垣間見える。

Disruption This Week—–17/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月13日から2023年11月17日まで。

中国ByteDance、TikTok中国国内版「Douyin」に一部ペイウォール制を試行開始。10万人以上のフォロワーを擁するコンテンツクリエイターの動画を観るには課金を求めるという試みだ。ByteDance課金収入の30%を得る。クリエイターは課金額を自由に設定できるとする。記事は、Douyinへの実装がTikTokへ繁栄される可能性にも言及する。
Ethics, AI, and the Future of News: Reflections on ChatGPT’s Anniversary   - Twipe
間もなくChatGPT誕生1周年。記事は、ジェネレーティブAIの1年間を振り返ると同時に、ChatGPT以前にメディア編集部がAIをどう使い、誕生後には、それはどう変化したのかを例を挙げながら解説する。ともかく驚くべき1年間だったと言える。
テレビ北海道、お天気キャスターにデジタルヒューマン起用 視聴者と「不気味の谷」について考える
「テレビ北海道は11月16日、AI技術を活用したデジタルヒューマンを情報番組のアナウンサーに起用する実証実験を行うと発表した。…毎週土曜日に放送している情報番組「スイッチン!」のお天気コーナーでデジタルヒューマン『iina(いいな)』が最新の天気予報を読み上げる」。

——これまで海外事例を紹介するのみだったのが、いよいよ日本でもデジタルヒューマンが、公共的なサービスに登場。いつも思うのだが、ここまでするなら、ネット経由で自分専用のニュース番組を作って欲しいものだ。

「戦争の窓」と化すスマートフォン
【有料購読者向け記事】:
「『Ha kol b’seder』。これはヘブライ語で『大丈夫。問題ない』という意味だ。…その動画は、彼女が(ハマスの襲撃で)殺害される前、最後に送ったものの一つだった。
アンネ・フランクはナチスから身を隠す中で経験した恐怖を日記につづった。インバル・シェム・トブさんが手にしたのはスマートフォンだった」。

——言葉もない。22歳の女性は、「ごみ置き場の中で、迫り来るイスラム組織ハマスの襲撃者から身を隠しながら、父親に送信した動画の中でささやくようにそう伝えた」のだという。

生成AIの学習に政府保有データを提供へ、国会図書館の蔵書や国の研究データも対象
「まずはすぐに学習に利用しやすいデータとして、政府機関が公開している行政文書や法令、土地地図データ、特許情報などを提供する。国会図書館がデジタル化した書籍など収蔵データのうち、権利上の問題がないものも提供する方針だ。いずれもテキストデータなど学習に使いやすく、広く公開している文書である」。

——各種公共機関が発行した公的文書ももちろんだが、国会図書館が所蔵する図書などのデータが学習されれば、ごく最近にパブリッシュされ、クロール可能な掲示板その他のWebデータなどより文化的価値の高い情報をLLM化することができると見る。
もちろん、「古書」の情報が現代に意味があるかないかとの議論も生じるだろうが、文化的価値は明らかに高いし、現在にいたる経緯を知る手がかりにもなる。

YouTube、生成AI利用コンテンツに開示義務 違反すれば削除などの罰則対象に
「(YouTubeは)例えば自分の顔や声が無断でデジタル的に生成されたりディープフェイクに使われたりした場合、プライバシーリクエストプロセスを使ってそうしたコンテンツの削除をリクエストできるようにする(こちらも「今後数カ月」以内に実施する見込み)」。

——YouTubeがジェネレーティブAI関連で2つの新ガイドラインを発表。個々のプラットフォームが負う責任分野も広がろうとしている。その対処の一環としての動き。

Social Media and News Fact Sheet

Pew Research Center’s Journalism Project

Social Media and News Fact Sheet
米Pew Research、米成人のニュース取得に関する定期調査を更新。成人の30%がFacebookでニュースを取得。YouTubeが26%と肉薄。
各SNSでは、Xユーザーはその5割強がニュース取得(だが減少傾向)。TikTokユーザーのニュース取得は、この3年間で21ポイント増と顕著な動きを見せた。
ニールセン、デジタルコンテンツ視聴率のMonthly Totalレポートによる動画ジャンルの利用状況を発表
「- 『TikTok』と『TVer』のトータルデジタルでの月間視聴者数は昨年の1.5倍以上に増加
– 上位5サービスの性年代別ターゲットGRP(TARP)は、男女ともに18-34歳が最も高い
– 18-34歳では、『TVer』は女性への、『ABEMA』は男性へのリーチが高い」。

——「男女ともに18-34歳が最も高い」というのは、TVがその層を失っていることと、合わせ鏡のような関係か。TVerがそれを補うプラットフォームになれるのかというと…。Radiko同様に問題がありすぎるのだろう。

A global hit: AI translation tools help singers break down borders | Semafor
世界で500万人ものフォロワー(YouTube)を有する歌手のLala Sadii氏、世界中のフォロワーのために、その歌詞部分をAIを用いて40か国版に吹き替える試みを開始。細かいことを言えば通訳業が危機だし、それ以上に肉声の意味が変容しつつある。オーディオの世界の変革期だ。
手をかざせば情報が。スマホに代わる次世代端末「Humane AI Pin」
「スマホに代わる次世代端末として、スマートグラスやヘッドセットがその役目を狙う中、Humaneが提案するのは、AIを活用したバッジのような小さな端末。
スマホのようなディスプレイもなければ、デジタルキーボードすらありません。アプリという仕組みもありません」。

——こちらの記事で「Ai Pin」の具体的なイメージが伝わるだろう。長めのプロモ動画を観るのも良い。実によく考えられた製品だというのがわかる。

Disruption This Week—–10/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月6日から2023年11月10日まで。

Can an AI Device Replace the Smartphone?
【有料購読者向け記事】:
ようやくスマートフォンに代わるスマートデバイスが誕生? 元Apple幹部らがChatGPTを搭載したウェアラブルデバイスを公開。ユーザーの口頭指示で作動するAIアシスタント「Ai Pin」だ。情報を読み上げたり、掌へ投影したりできる。
独立したら年収10倍 個人メディア、SNSの次はメール - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「読者が書き手に直接お金を支払うやり方がベストなのではと考えた。無料のSNSはデータを吸い上げることで読者を商品化してしまうが、サブスクリプション(定額課金)では読者がお客であり続けられる。人々が興奮するかではなく、質の高さや重要さで記事が選ばれるようになる」。

——購読型のメルマガ(米国ではニューズレター)サービスのSubstack創業者へのインタビュー。「サブスタックに書くことで、以前の組織にいた時の10倍を稼ぐようになった記者もいる。何人かの著名記者を失ったメディアもあった。だが、それは書き手がその組織の中で納得のいく処遇を得ていなかったことと同義でもある」というコトバをどう聞くのか。

Microsoft、世界の選挙をディープフェイクなどの攻撃から守るためのツールを提供へ
「『Content Credentials as a Service』は、候補者向けのツール。コンテンツの出所を確認できるC2PA(=コンテンツ信憑性の技術標準化団体)のデジタル透かし認証を使う。この透かし認証は、出所を確認できるだけでなく、認証後に改ざんされると分かるようになっている」。

——来年は世界各国で(日本でも?)、重要な選挙が行われる年だ。その選挙への脅威対処のため、米Microsoftが5つの施策を発表。

「Instagram」のサブスクリプションが100万件を達成--新たな収益化方法も発表
「2023年に入ってInstagramがサブスクリプションプログラムの提供範囲を拡大して以来、アクティブなサブスクリプションが100万件を超えるまでに成長したと、Metaが発表した。Instagramの月間アクティブユーザー数が23億5000万人を超えていることを考えると、小さな数であることは否めないが、サブスクリプションプログラムが開始されてから1年しか経っていないことを思えば、素晴らしい実績だ」。

——超大手プラットフォーマーはこれまで規模のメリットで広告によるマネタイズを図ってきた。今後も基本線は代わらないだろうが、サブスクも重要な柱になると見れば、この分野での進化は進むはず。注目する。

AIガイドライン、「人間中心」など10原則を年内決定方針…公的機関含め全利用者が対象
「政府がAI(人工知能)関連の国内事業者向けに策定を進めるガイドライン(指針)の原案が判明した。全ての事業者が共通して考慮すべき指針として『公平性』『透明性』などの10原則を掲げたのが特徴で、有識者会議『AI戦略会議』での議論を経て、年末までに決定する方針だ」。

——成案を得たわけではないが、注目の動き。

米New York Timesが購読者1,000万人達成と発表(約1年前に発表された「1,000万」はグロスで、各製品の購読者の総和だった)。同社の戦略上の焦点は、「1人の購読者をすべての製品の購読者に変えることだ」「ニュースのみのマーケティングをやめた」と同社幹部は述べる。

OpenAI、「GPT-4 Turbo」と「Assistants API」を発表〜OpenAI DevDay 2023から

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

OpenAI、「GPT-4 Turbo」と「Assistants API」を発表〜OpenAI DevDay 2023から
「『Assistants API』のローンチは、(「GPT-4 Turbo」に加えて)もう一つの重要な発表だった。このツールセットにより、開発者はコーディングアシスタントからバケーションプランナー、音声制御 DJ まで、特定のユースケース向けにカスタマイズされた AI エージェントを構築することができる」。

——Musk氏の付け焼き刃の「Grok」発表では到底太刀打ちできなかったOpenAIの各種発表。特に個人的に注目はこの「Assistants API」。私の内心の問いである「ChatGPTはメディアになるか、それともユニバーサルなアシスタントになるのか」について、後者への道のりが速い足取りで整備されつつあると受け止めた。

「赤ちゃんの遺体画像を”AI生成”と判定」イスラエル・ハマス衝突、AIフェイクの本当のリスクとは?
「極めてリアルな生成AIフェイク画像が与えるインパクトは、人々が『フェイクに騙される』ことだけではない。
本物に対しても「これは本物か?」との疑念を広げ、事実を「フェイク化」する危険をはらむ。そして、AI判定の難しさが、さらに事態を複雑にする」。

——「AI生成ニセ画像」を判定するAIが間違っていたら? ややこしい冗談のようなテーマだが、これが今次のガザ紛争では日々生じている。自分は、この事態にシニカルにファクト(事実)に対して冷笑的に振る舞うことを選択したくない。技術に頼り切ることなく、一つひとつファクトを積み上げるしかない。だからこそ多方面からの“検証の目”が必要になる。

Dashtoon uses AI to turn storytellers into comics artists | TechCrunch
作画能力はなくとも、売れそうなコミックストリーリーは持っているというクリエイター向けに「Dashtoon Comic Reader」が誕生。ジェネレーティブAIで作画、そしてWebトゥーンスタイルのアプリプラットフォームに配信して収益化するクリエイティブエコノミーの試みだ。
ビートルズ最後の新曲「Now and Then」は、こうしてAIの技術を駆使して世に送り出された
「1990年代に『ザ・ビートルズ・アンソロジー』のレコーディングに取り組んでいた際に、この古いカセットテープから『Now and Then』を復活させようと試みた。音源ではジョンのボーカルが自身のピアノの音にかき消されてしまっていたが、当時は声を分離させる技術がまだなかった。『それでそのまま立ち消えになってしまったんだ』と、ポールは新たに制作されたこの曲の短編ドキュメンタリーで語っている」。

——この週末、レノンの声と楽しい動画を散々楽しみ、懐かしくThe Beatls時代を振り返ることができた。テクノロジーの肯定的な側面だ。

Disruption This Week—–3/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年10月30日から2023年11月2日まで。

「ナイトシェード」はAI企業とアーティストの力関係を変えるか
「シカゴ大学のベン・ジャオ教授(コンピューター科学)だ。『AIを訓練する企業はやりたい放題です』。
だが、ジャオ教授の研究室が開発した新しいツールにより、この力関係は変わるかもしれない。 『ナイトシェード(Nightshade)』と呼ばれるこのツールは、画像のピクセルに微妙な変化を与えることで機能する。人間の目には見えない変化だが、機械学習モデルを騙して、画像に実際とは異なるものが描かれていると思わせるのだ」。

——人間にとって不可視の細工が、AIの誤動作を引き起こすのだという。「犬の画像は猫になり、帽子はトースターになり、車は牛になる」。画像をめぐる防御モデルは得られそうだが、依然としてテキストをめぐる防御モデルへの展望が確立していない。

Condé Nast, Publisher of Vogue, Will Cut 5% of Its Work Force
【有料購読者向け記事】:
「VOGUE」誌をはじめとする著名媒体を多く擁する米Condé Nastが従業員の5%相当の削減に踏み切る。大々的に発表していた動画制作の社内スタジオ構想を撤回。同社が儲からないTikTokやYouTubeショートなどの分野で変化が著しいとする。従来であれば、出版社が作成したメディアブランドによる中・長尺動画をYouTube等に投入するビジネスモデルが想定されていたが、早くもそのトレンドは消失してしまった。
Interview: The War on Disinformation
OSINTを手がける著名なBellingcat。リーダーのEliot Higgins氏が今次のパレスチナ紛争をめぐる情報戦について見解。
「人々は何が起きているのかに非常に強い見方を持っているだけでなく、早く早くと答えを求める。そのため、OSINTをしている人々にプレッシャーがかかる」。
Elle UK's move from subscriptions to membership shares access to editors' 'daily joys'
英国版Elle(Elle UK)の編集長Kenya Hunt氏、印刷版&オンライン版購読制に加えて、メンバーシップ制のElle Collectiveを立ち上げた意味を、取材インタビューで語る。Elleファン層に対し、読書以外にさまざまな体験を共有するアプローチを採ると述べる。
出版状況クロニクル186(2023年10月1日~10月31日) - 出版・読書メモランダム
「23年はかろうじて1兆円の(出版物)販売金額を保つことになろうが、24年には1兆円を割ってしまうことが確実となってきた。ピーク時の1996年には2兆6564億円に達していたわけだから、24年には実質的にその3分の1程度となり、それは1970年後半の金額をも下回ってしまう」。

——人口減のトレンドは加味するとしても、新たなコンテンツの流通形態を見いださなければ。雑誌、書籍分野に包含されてきた(産業としての)創造力を保持する仕組みをどう生かすべきだろう。

Briefing: Meta To Offer Ad-Free Subscriptions for Facebook, Instagram in EU
【有料購読者向け記事】:
Meta、厳しいEUの規制への対処として、FacebookとInstagramに広告非表示のサブスクバージョンを来月から投入と発表。Web経由での購読は月額10.60ドル、iOS/Androidからの購読は同13.79ドルだ。同社はEU域内の規制と戦う姿勢だったが方針を転換した。
Are publisher aggregation apps the new top of funnel or a long-term product?
「ニュース(マガジン)コンテンツのアグリゲーションアプリは、メディアにとり新集客源となるか?」INMA(国際ニュースメディア協会)の議論を伝える記事。プラットフォーマーがファネルの役割を果たさなくなる(?)この時期、改めてニュースアプリに関心が寄せられている。
「『スペイン語の音声として最も多く複製され、利用されているのは私の声だと思う』とプラタ氏。快活で太い声の持ち主で、声優としてのキャリアは50年、コロンビア声優協会の会長を務めている。
現在プラタ氏は中南米諸国の声優を組織し、『自分の声に対する権利』の法制化をめざしている」。

——プラタ氏とは、コロンビア人声優のアルマンド・プラタ氏のことだ。なぜこのような事態になったかと言えば、「ある企業のためにテキスト音声読み上げのプロジェクトに参加して報酬を得たのは20年前の話だ。ところがその後、その企業はプラタ氏の了解を得ることなく、録音した音声をAIソフトウェア企業に売り渡してしまった」からだ。他人事ではない。

How advances in AI can make content moderation harder — and easier | Semafor
米Discordの「信頼と安全性」チームを率いるJohn Redgrave氏に、AIを用いた「コンテンツモデレーション(監視)」業務の現在をインタビュー。同チームは従業員全体の15%もの規模で、機械学習と人間の力で業務を行う。効果は絶大でブラジルで銃乱射事件を未然に防いだりと成果をあげる。
さよならスマホ、2050年に普及率0% 眼球に情報端末 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「スマホが影も形もなくなったとしても、生活のデジタル化は止まらない。同報告書は、眼鏡型の『スマートグラス』や裸眼に装着する『スマートコンタクト』などの次世代の情報端末が、スマホの代わりに生活に溶け込んでいくと指摘する」。

——この種の“未来予測”ものは、はずれるのが当たり前。2050年を想像するには、いくつか補助線が必要だろう。自分は数年内に、個人を取り巻く情報インターフェイスの遍在化が起きているか(スマホ一極化が終わっているか)がポイントと考えている。同時に、特定のプラットフォーマーに個人の情報を丸ごと握られることがないかも、重要なイシューと思う。

Jaroslovsky stepping down as VP of content at SmartNews - Talking Biz News
【ご紹介】:
私にとって、長らくの米国側同僚、SmartNews USのVP of Contentを務めてきたRich Jaroslovsky(ジャロスロフスキー)が今年で退任。しばらくは私と同様アドバイザーを務めるようだ。お疲れさま、Rich!
私などとは違って素晴らしいジャーナリストとしてのキャリアを誇りながらも、スタートアップでの活動を楽しむ術を知っている人物。一緒にAT&Tパークに野球観戦にも行った楽しい記憶もある。