Disruption This Week—–23/2/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年2月19日から2024年2月22日まで。

Magazine ABCs 2023: Full breakdown of titles shows 12.4% circulation fall
英国の有料雑誌の発行部数(電子版を含む)を開示するABC調査によると、1位はThe Economistの電子版で99万1,887部。100万部超だった22年からわずかに減少。月間平均発行部数の合計で見ると、21年は2680万、22年は2400万部、23年は2100万部となった。
「サブスク1,000万をいかに達成したか」NYタイムズ発行人が語るデジタル戦略の10年とは?
「(イノベーション・レポートは)未来の洞察の文書だと思われていた。しかし、あれはカルチャーについての文書で、人々が変化に対してノーと言うのをやめるために、必要な条件を整理しただけのものだ。間違っていたことはたくさんあった」。

——現New York Times発行人A・G・サルツバーガー氏へのロイター・ジャーナリズム研究所による長文インタビュー。どう紹介しようかと思っていたところ平和博氏が整理してくれた。引用箇所も面白いが、個人的にはWashington PostやWall The Wall Street Journalなどがレイオフをしていることについて、失敗ではない、むしろ素晴らしく善戦していると持ち上げている点が印象的だった。

米国の配信サブスク利用者、年間支出額は平均約14万円
「新しいレポートによると、サブスクリプションサービスを利用する米国人は、平均で年間924ドル(約13万9000円)のサブスクリプション料金を支払っているという。月額にすると77ドル(約1万2000円)だ」。

——自分の場合は、Amazon PrimeとYouTubeをサブスクしているが、あくまでリニアTVのニュース報道の補完の扱い。アメリカなどでは主役がストリーミングなのだろう。

YouTube dominates TV streaming in US, per Nielsen’s latest report | TechCrunch
米調査会社Nielsen、リニアTV(オリジナルのTV番組視聴)とストリーミングの視聴に関する1月の調査結果を公表。YouTubeがテレビ画面での視聴の8.6%を占め、米国で再びストリーミングサービス全体のトップとなったことを明らかにした。一方、Netflixのテレビ視聴率は7.9%だった。
Washington Post taps Connelly as senior editor for AI strategy and innovation - Talking Biz News
米Washington Post、AI戦略およびイノベーションを所管する上級編集長としてPhoebe Connelly氏を起用。同氏はこれに先駆けて若年層読者獲得のための次世代イニシアティブを率いてきた。同グループでは昨年からAIを活用するためのハッカソンなどを社内で開催するなど活動中だという。
Apple reportedly faces €500m fine from EU over music streaming access
音楽ストリーミングのSpotifyがAppleによってアップストア以外の代替支払い手段の提供を妨害されたとする訴訟で、EU規制当局は、Appleに対し800億円(5億ユーロ)もの制裁金を課す動きと英Financial Timesが報道。
既に紹介しているように、Appleは制裁を逃れるための新ポリシーを発表しているわけだが。
Top 25 US newspaper circulations: Largest print titles fall 14% in year to September 2023
米Alliance for Audited Media調査、米25の日刊紙の1日平均発行部数は、230万部(2023年9月時点)。前年は270万部、2023年3月までの半年間では260万部だった。米最大の日刊紙のWSJ(555,182部)とNYTimes(267,639部)は、それぞれ前年比14%減、13%減に。詳しい一覧表を含む記事。
PAPERWALL: Chinese Websites Posing as Local News Outlets Target Global Audiences with Pro-Beijing Content - The Citizen Lab
カナダToronto大に設けられたCitizen Lab、欧州、アジア、南アメリカの30カ国で現地の報道機関を装った、中国により運営されている少なくとも123のWebサイトのネットワーク「ペーパーウォール」を発見。その詳細な事例と手順などを研究し暴露した。
岸田首相の偽画像などがSNSで相次ぎ拡散 注意を呼びかけ | NHK
「この偽画像を投稿したのはロシアを支持する投稿を繰り返しているアカウントで、転載されたものを合わせて70万回以上見られていました。 また、岸田総理大臣の発言の映像を切り貼りして、『日本人の割合は10%で、残りの90%は移民で構わない』などと述べたとする偽情報もXで拡散しました」。

——以前には、岸田首相が卑猥な発言をする…という愉快犯的偽動画が話題となったが、今回のケースでは、政治性を帯び始めた。影響工作が意図されているようにも見えないではない。警戒水域に入ってきた。

米・オープンAI 文章から動画を作成する新たなAI「Sora」開発を発表|日テレNEWS NNN
「夜の東京の街を歩く女性や東京郊外を走る電車の車窓など日本に関する動画もあり、サクラが満開の中、雪が降る東京の街といった中々見られない光景もAIによって簡単に作成できることがうかがえます」。

——日本をテーマにした動画では、なかなかありそうでなさそうな光景を創り出している。動画広告を安上がりに制作するのにはフィットしそう。現在は、制作者(クリエイター)を選んで試行運用を始めた段階だが、本格的にサービスインする際にはどうするのだろうか。

Disruption This Week—–17/2/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年2月13日から2024年2月16日まで。

‘Less writing articles; more AI conversation’: We get reaction to ex-Googler’s WaPo op-ed tip for publishers
“書かれたものから会話へ”。
印刷物の時代には、出版社は「記事」を作り、それを印刷、その紙を読者に配布していた。Webは、配布と紙に関するすべてを変えたが、記事はほとんどそのままに。だが将来は、出版社とって記事が主題ではなくなり、読者との会話について考えることになるとの論説。どのように会話の関係として読者(というよりユーザー)をつなぎ止めるのか。AIチャット能力が主役となる時代がやってくる。
'Miraculous' Substack-based Ankler Media eyes $10m annual revenue next year
2022年1月創刊のSubstackベースのニューズレターメディアのAnkler Media。ハリウッド情報のメルマガが出発点だが、早くメルマガ5タイトル、ポッドキャスト2タイトルのメディア企業に成長。すでに年商100万ドル超に。25年には1,000万ドル超を目指すとCEOは述べる。
Slate reports best year | Semafor
30年近い歴史を誇る米メディアSlate。老舗のカルチャー、政治関連メディアにとって、2023年は、長い歴史のなかで最高収益となったという。ポッドキャストとWebサイトで50/50の広告収入を獲得。しかも広告収入は同社収入の半分以下。有料メンバー制が過去2年で倍増という。
Extending our Mastodon social media trial
英BBCのソーシャルメディアへのアプローチを研究するチーム、昨年、7月に開始した分散型ソーシャルメディアMastodonサーバーの試行運用が6万ユーザーに到達と公表。詳細なデータや見解を開示。良好な運用状況から試行運用をさらに6か月延長を決めたとする。
Paramount cuts 800 staff two days after Super Bowl was biggest ever TV show
米放送大手CBS、平均視聴者数で1億2340万人(TVとストリーミング合計)を突破し、史上最も視聴された「テレビ番組」となったSuper Bowl LVIIIを放映し、その記録破りの成果を公表した数時間後、CEOであるBob Bakish氏は同社800人のレイオフを発表した。
French Watchdog Uncovers Massive Russian Disinformation Operation 'Portal Kombat'
フランスの対外情報監視機関Viginum、「Portal Kombat」とのコードネームで呼ばれるロシアの大規模なオンライン影響工作活動を指摘。193ものWebサイトからなり、ウクライナでの戦争をめぐる欺瞞情報を流布し、欧州各国のウクライナ支持を挫くことを目的としたものだとする。
食べログ「評点」変更の是非は 高裁判決を弁護士が解説 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「グルメサイト『食べログ』の評価基準の変更が独占禁止法違反に当たるかが争われた裁判に関心が集まっている。東京高裁は1月、評価点を決める『アルゴリズム(計算手法)』の変更が『優越的地位の乱用』に当たるとして飲食チェーン店側への賠償を命じた一審判決を取り消し、サイトを運営するカカクコム側の逆転勝訴とした」。

——高裁で一審判決が取り消された。プラットフォーマーによるアルゴリズム変更をめぐる判例が揺れている。専門家3名による見解を紹介する記事。

Decoding new newsroom jobs in the age of AI

Media Makers Meet | What’s new in media

Decoding new newsroom jobs in the age of AI
“AI時代の新しい報道部門の仕事を読み解く”。AIを報道メディアの業務にどう生かすか。最近現れた報告書を読み解く論。後半ではAIを報道に生かすために生み出される新たな職務を解説している。
広告だらけの低品質サイトに100億円超流入 資生堂は監視強化 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「広告だらけで独自性のない低品質コンテンツを集めたサイトに、国内で年100億円超の企業広告費が流入している疑いがあることがわかった。生成AI(人工知能)が悪用されて低品質サイトは3割以上増えた。見せかけの閲覧数に基づいて広告費が請求され、広告主の予算が浪費されている。資生堂などは検知ツールで監視を強める」。

——「生成AIによる低品質コンテンツ」に力点が置かれた記事だが、これをある種のコンテンツファーム(検索上位を狙って人為的にコンテンツを生産し広告収入を集める手法)は、米国では2010年ぐらいには大きな動きになったし、2016年にはご存じキュレーションメディア騒動があった。根幹にはこの種のモラルハザードを生みやすい広告テクノロジーがある。

Artificial Intelligence in the News: How AI Retools, Rationalizes, and Reshapes Journalism and the Public Arena
英Guardian、独バイエルン放送、米Washington Post、英Financial Timesなど35のメディア(新聞、放送など)と報道に携わる多くの専門家から聴取したAIと報道をめぐるさまざまな現状と課題、そしてプラットフォームとの関係をリポートした必読資料が公開された(PDFも入手可)。
メディア接触の新潮流...「ニュース回避傾向」が強い層の特徴とは?
【ご紹介】:
昨年11月に公開された「スマートニュース・メディア価値観全国調査」。そこからいくつも新たなファクトが浮かび上がります。本記事は気鋭の研究者・大森翔子氏が調査から見出した、我が国での「ニュース回避」トレンド。従来、ロイター・ジャーナリズム研究所が例年取り扱い、注目を集めてきました。それが日本においても姿を現しています。「メディア接触の6類型」分析で読み解く斬新で貴重な論考です。
今のニュースメディアに欠けている機能とは何か
【ご紹介】:
私も末端で参加させてもらったメディアをめぐる座談会。元日経メディアラボ所長の坪田知己氏が中心となってメディアをめぐる話題が広がりました。よろしければご一読を。

Disruption This Week—–9/2/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年2月5日から2024年2月9日まで。

携帯電話の出荷台数、スマホ登場以降で“最少”に 3000万台を下回る──MM総研調査
「ICT分野の市場調査やコンサルティングを手掛けるMM総研(東京都港区)は2月7日、2023年の携帯電話出荷台数は2801万3000台という調査結果を発表した。前年比16.9%の減少となり、日本でスマートフォンが登場した2007年以降では初めて3000万台を下回った」。

——AIを活用した新たなフォームファクタのデバイスが誕生するのか(しつつあるようだが)。あるいはスマートフォン自体がAIによって大きな進化を遂げるのか。いずれにしてもある種の踊り場にきているようだ。

AR glasses with multimodal AI nets funding from Pokémon GO creator | TechCrunch
シンガポールを拠点とするBrilliant Labs、マルチモーダルAIアシスタントの「Noa」を搭載した軽量なARグラス「Frame」を発表。NianticのCEO、John Hanke氏の投資を受けたという。搭載するAIエンジンには、複数の既存ジェネレーティブAIを連携させていると記事は解説している。
「トムソン・ロイターが8日発表した2023年第4・四半期決算は利益が市場予想を上回った。コスト削減が奏功したほか、人工知能(AI)活用する法務関連向けなどの製品に対する需要が追い風となった。
また、大規模なAI言語モデルの訓練の支援に向けたニュースコンテンツのライセンス契約を締結したと発表。締結先の企業名や金銭面の詳細は明らかにしていない」。

——メディア企業の業績において「AI製品の寄与」が報道される初のケースでは?

Subscription giants News Corp and New York Times buck the trend of revenue decline
世界最大級の多国籍メディア企業のNews Corp。CEOであるRobert Thomson氏が、同社の購読制事業やAIとの連携について語る。同社は複数メディアの総計で1,130万人超の購読者を擁し、New York Timesを凌駕。デジタルが収益の過半に。AI企業と近く金銭的に妥結との期待も示した。
ディズニー、「フォートナイト」のエピックの株式15億ドルを取得 新コンテンツ共同開発へ
「米Walt Disney Companyと米Epic Gamesは2月7日(現地時間)、米Epic Gamesの株式取得に15億ドルを投じると発表した。DisneyとEpicは、消費者が『ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、アバターなどのコンテンツやキャラクター、ストーリーをプレイし、視聴し、購入し、参加できる』新たなゲームとエンターテインメントの世界を共同で構築するという」。

——いまひとつさえのない決算を発表した米Walt Disney。だが、抜かりなく株価浮揚策(?)でもあるゲームへの大型投資を同時に発表。当記事にはないが、別の報道では株価は急騰したという。

OpenAI、DALL・E 3で生成した画像にCP2Aの電子透かし追加
「米OpenAIは2月5日(現地時間)、画像生成AIモデル『DALL・E3』を提供するAPIで生成された画像にC2PA(=Coalition for Content Provenance and Authenticity)メタデータを含ませるようにしたと発表した。12日までにすべてのモバイルユーザーにも展開される見込み」。

——最近になってMetaも同様の取り組みを喧伝しているが、OpenAIが先駆けて実装してきた。C2PAはオープンな仕様で広がる可能性があるが、これをどうコンテンツの真偽判定に生かすかという面での実装例が出てくることを待ちたい。

New York Times Co. Adds 300,000 Digital Subscribers in Quarter
米New York Times、2023年第4四半期に30万人の有料デジタル購読者を追加。デジタル購読の年間売上高が初めて10億ドル突破と発表。年末時点の同紙購読者数は1,036万人で、970万人がデジタル版のみの購読。同社は2027年末までに購読者数1,500万人を目標として掲げる。
HK's first deepfake video conference scam involving HK$200 million
香港現地メディアが報じた、“初の”オンライン会議を用いたディープフェイク詐欺。ある多国籍企業の従業員が、ロンドン本社の「最高財務責任者」を名乗る詐欺師から、4~6人のスタッフとのオンライン会議に招集され、送金の指示を受けたという2億香港ドルの詐欺事案報道。
Introducing Semafor Signals | Semafor
米新興メディアSemafor、MicrosoftおよびOpenAIと組み、ジェネレーティブAIを活用した新たなニュースフォーマットである「Semafor Signals」をスタート。Semaforが取り上げたトピックスに、AIが参照すべき多様な情報源を追加呈示する。同サイトですでにいくつも、表示されている。
The spectacular collapse of the Messenger is a lesson on how not to do journalism | Margaret Sullivan
先日紹介した、昨年大々的なスタートを切り、たちまち崩壊したメディア「The Messenger」。同メディアについて、「SNSと検索からトラフィックを集めることを目的とした広告サポートサイト」だったと指摘し、「うますぎる目論見を信じるべきでなかった」と厳しく指摘する記事。
被災地で求められる情報とは? ——能登半島地震から1ヶ月、東京との読まれ方の違いを分析 - Media × Tech
【ご紹介】:
私も創刊から長く編集に携わってきた「Media×Tech」。諸事情により休眠に入っていましたが、能登半地震をめぐるSmartNews上の読者動向を記事を公開しました。ぜひご一読を。期せずして100本目の記事となりました。

Disruption This Week—–2/2/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年1月29日から2024年2月2日まで。

A.I. Fuels a New Era of Product Placement
【有料購読者向け記事】:
AIが古くからある宣伝手法プロダクトプレイスメント(現在、米国ではこのタイプの広告市場が230億ドル近いとされる)を甦らせる。TikTok動画で踊るクリエイターの背後にスポンサー飲料のポスターが合成されている。クリエイターは広告でないと言うのだが。
‘A moment for the ages’ as Mark Zuckerberg apologizes to families of abuse victims - Poynter
米Missouri州選出の上院議員Josh Hawley氏に促され、公聴会に立ったMark Zuckerberg氏は、振り返って家族の遺影を掲げる遺族に向かい、「あなた方のご家族が苦しんだようなことは、誰も経験すべきではない。だからこそ、私たちはこれほど投資したのです」と述べた。
Media startup The Messenger disintegrates, leaving staff nothing | TechCrunch
米メディアのThe Hollywood ReporterやThe Hillを保有してきた業界著名人Jimmy Finkelstein氏が昨5月に創業したThe Messengerが閉鎖。
「昨年末までに創業資金約3800万ドルを失い、300万ドルしか生み出せなかった」とする記事。同氏は「創業1年で1億ドルの収益を生む」と豪語していたのだが。記事はやはり「今はBuzzFeedブームの時代ではない」とも論評。
Publickeyは今月で15周年を迎えます。読者の皆様、スポンサーや広告代理店の皆様、いつもありがとうございます
「僕自身は2006年頃、まだ@ITの事業部長をしていた頃に、米国でTechCrunchやEngadgetなどのブログメディアが盛り上がっているのを見て、ブログを基に個人や少人数でもちゃんとメディアが作れるのだ、ということに大きく刺激を受けました」。

——“稼げる”個人ブロガー/個人メディアの草分け、「Publickey」が開設15周年! おめでとう。
その新野氏と組んで「@IT」を開設したのは2000年だから、お互いなんとも遠くまで歩んできたものだ。私の場合は、組織を前提にした取り組みだったが、新野氏は一人旅、その偉さはよくわかる。

YouTube and Google Subscription Services Hit $15 Billion in 2023 Revenue
【有料購読者向け記事】:
AlphabetのCEO、Sundar Pichai氏、12月期の業績において、YouTube Premium、YouTube Music、YouTube TV、(ストレージサービスの)Google Oneなど、購読サービス売上が2023年に150億ドルに達するとし、同氏はYouTubeが「購読収益の源泉」と形容。
Our Redesigned Byline Pages | The New York Times Company
「調査によれば、読者が記者についてより深く知れば知るほど、私たちのジャーナリズムのプロセスの厳しさを理解し、その結果を信頼する可能性が高まる」。
米New York Times、記事を執筆した記者情報をよりリッチにした「エンハンスト・バイオ(強化した略歴)」フォーマットを運用開始。
出版状況クロニクル189(2024年1月1日~1月31日) - 出版・読書メモランダム
「23年はかろうじて1兆円を上回ったものの、24年の出版物推定販売金額の困難さを予兆させる数字となってしまった。
ピーク時の1996年の2兆6564億円とくらべれば、実質的に3分の1の売り上げになってしまったのである。
そうした出版物売上状況において、出版社はともかく、流通と販売を担う取次と書店は本当に深刻な事態に追いやられている。それは流通と販売自体が恒常的な赤字となっているのではないかと考えられるからだ」。

——記事中に、出版科学研究所による1996年から2023年にかけての出版物推定販売金額の一覧が示されている。1997以降、04年のたった一度を除き、販売(書籍+雑誌)の売上は前年をつねに下回ってきている。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2024

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2024
例年、年初に公開されるReuters Instituteによる「ジャーナリズム、メディア、テクノロジートレンドと各種予測」2024年版が公開。ニュース忌避など例年のテーマに加え、「7. ジェネレーティブAIと編集部への影響」が新たに加わった。深い懸念と同時に利点も強調する。
On The Record with Will Lewis | Semafor
米Semafor、今年、Washington PostのCEOに就任したWill Lewis氏にインタビュー。同氏はペイウォールの“次”について、「月額購読の意思がない、多くの若年層を惹きつけるには、彼らがジャーナリズムにアクセスできる新しい方法をデザインするのが、業界の責務となる」と述べる。
例として、「1日パス」「週間パス」、あるいはThe Guardianのような寄付モデルなどをあげる。「まったく新しい世代の有料ユーザーコンセプトがある」と。
Apple announces changes to iOS, Safari, and the App Store in the European Union
Apple、EU域内におけるiOS、Safari、そしてApp Storeの変更を発表:
「代替の支払い方法を使用しているアプリについては、Appleは返金を行うことができず、問題や詐欺、詐欺に遭遇したお客様をサポートする能力も低下する。問題の報告、ファミリー共有、購入依頼など、App Storeの便利な機能も、これらの取引には反映されない。ユーザーは、支払い情報をさらに多くの相手と共有しなければならなくなる可能性があり、悪質な業者が機密性の高い金融情報を盗む機会が増えることになる」。