Disruption This Week—–6/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月2日から2024年12月6日まで。

米Vox Media傘下の人気テクノロジー系メディア「The Verge」がペイウォール制を開始。ユニークなタイムライン型トップページ(非常に滞在時間が長い)を閲覧フリーとしつつ、一部のプレミアムコンテンツとサービスをアクセス有料に。「より少ない広告のために」と編集長は意図を述べる。
生成AIで日本のマンガを爆速翻訳、日英同時配信で世界に挑む
「日本の出版スタートアップ企業は、アンソロピック(Anthoropic)の主力大規模言語モデル『クロード(Claude)』を利用し、マンガを英語に翻訳している。これにより、英語圏の読者にわずか数日のタイムラグで新刊を届けることが可能になった。通常ならば2〜3カ月のチーム作業が必要なところだ」。

——メディアがAIに期待できる最も建設的な効果の一つが、自動翻訳だろう。だが、このような取り組みに反対論も根強いと記事は指摘する。「この会社がどんなに善意で動いていようとも、AIを使ってマンガを翻訳するという考えは、悪趣味で侮辱的だと思います」。さて、社会は最終的にどちらを許容するか。スタートアップ企業側は、「日本で出版されるタイトルのうち、米国版が刊行されるのは2%程度にすぎない」と豊かな市場性を指摘している。

Google search change hits publisher Black Friday e-commerce revenue
ホリデーシーズンを迎えたからか、Googleは検索アルゴリズムの調整で、有料アフィリエイトリンクで荒稼ぎをする多くのニュースメディアをランクダウンさせる打撃を与えている。記事は、Forbes、AP通信、CNN、Fortune、そしてWall Street Journalが打撃を受けたと報道する。
Meta Platformsのグローバル政策担当責任者のNick Clegg氏、選挙の年となった2024年を会見で振り返り、「同社アプリの全体で、あまりにも多くのコンテンツを誤って削除や制限を課してしまっている」と、そのモデレーション精度の低さについて見解を述べた。
Netflix日本トップ「有料会員1000万世帯を突破」 4年で倍 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「米動画配信大手ネットフリックスのコンテンツ部門バイスプレジデント、坂本和隆氏が日本経済新聞などの取材に応じ、『日本の有料会員が1000万世帯を突破した』と明らかにした。日本発の作品は、非英語作品の中で韓国ドラマに次いで2番目に世界で視聴されていることも分かった」。

——「2015年に「黒船」として日本に参入した。20年に500万だった日本の会員数は24年6月時点で1000万を超え、約4年間で2倍に増えた」と記事で、坂本氏が述べており、その成長プロセスが伝わる。家庭での視聴を考えると、日本人の2000万人程度が視聴しているのだとも。

Streamer Kai Cenat earns millions, breaks Twitch subscriber record during 30-day livestream
米クリエイターの Kai Cenat、Amazon傘下のストリーミングプラットフォームTwitch上で、11月の30日間ノンストップ(24時間)でライブストリームを配信。同プラットフォームで記録となる最高加入者数(73万人弱)を更新。その間のユニーク視聴者は5,000万人に達する。
Meta says AI content made up less than 1% of election-related misinformation on its apps | TechCrunch
Meta、自社アプリの選挙関連誤報のうちAIコンテンツは1%未満と発表。選挙の年である今年。年初には偽誤情報のまん延が選挙に影響を及ぶとの懸念が高まったが、同社は米国をはじめ各国での調査により、軽微なレベルに抑え込めたと自負。選挙以外でも努力すべきだろう。
News outlets push vertical video to the homepage
Instagram、TikTok、YouTubeの定番である短尺のタテ型動画が、ニュースメディアのWebサイトへ導入が進む。記事では、The Economist、New York Times、Washington Post、Wiredなど著名サイトで記者らが短尺・タテ型動画による報道スタイルに取り組む動向を伝える。
Taylor Swift Is Upending Another Industry Playbook—This Time, in Books
【有料購読者向け記事】:
米歌手のTaylor Swift氏が“セレブ出版”に革命(?)——同氏自身が運営するTaylor Swift Publicationsから個人出版書籍『Eras Tour Book』を刊行。ブラックフライデーに売り出す。初版部数は200万部だ。
Putin’s new plan to undermine fact-checking – EDMO
ロシアは、自称“ファクトチェック組織”の国際的な連合体の設立を目指している。 「グローバル・ファクトチェッキング・ネットワーク(GFCN)」と呼ぶ構想だ。その主な推進者は、近年いくつもの国で偽情報キャンペーンを行ってきた、クレムリンに支配された報道機関だ。
国家が主導する(体裁をとるはずだ)ファクトチェックの問題点がここにある。

Disruption This Week—–22/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月18日から2024年11月22日まで。

コムキャストがCATVチャンネル分離へ、MSNBCなど-関係者
「メディア・ケーブルテレビ(CATV)大手の米コムキャストはニュース専門局『MSNBC』や『CNBC』『USA』などのCATVチャンネルをスピンオフ(分離・独立)する計画だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。視聴者や広告主を失いつつあるCATV事業へのエクスポージャーを減らす」。

——Bloombergの報道が出てから、米メディア業界はこの話題で持ちきりだ。各社の経営上の複雑な要因が作用しているため、一概に言えないが、なによりも最大の環境変動要因はCATVの収益構造が弱体化していることだろう。これまで収益性が良すぎたことから変革が遅れたのは、他のレガシーメディアに似ている。ストリーミングの一部がかろうじて黒字化を示すが、安定化するには、独占的な地位獲得が必要になる。

Google Discover has become Reach’s ‘biggest referrer of traffic’
Facebook、InstagramなどSNS、Google検索からの流入が減少していると、多くのメディア担当者が体感している。そんななか、検索を利用したコンテンツフィードの「Google Discover」が存在感を増している。記事は英大手メディア企業Reachの幹部がその影響や特性を語る。
AI detection tool helps journalists identify and combat deepfakes
DeepfakeをAIを用いて検知するジャーナリスト向け無償サービス「TrueMedia」の紹介記事。開発するTrueMedia.orgの創業者はAI研究家Oren Etzioni氏。同氏のコメントなどを紹介。難題はフェイク作成側も検知を回避する方策を生み出してくることだという。
米司法省、グーグルに「クローム」売却を求める方針-関係者
「訴訟はトランプ政権下で提起され、バイデン政権でも継続された。判事が是正案を受け入れれば、オンライン検索市場と急成長するAI業界を一変させかねない」。

——PCなどでは重要アプリであり続けるWebブラウザ。そのシェアトップの「Chrome」は、Googleにとっても、検索、マップ、Gmailなどの重要基盤で、ブラウザ自体は無料だとしても市場の支配力はすさまじい大きさだ。かつてNetscapeを駆逐したMicrosoftとIEの関係が想起される。

Unveiling LIMINAL PANDA - Threats to Telecom Sector | CrowdStrike
米CrowdStrikeの防諜対策幹部、同社が「LIMINAL PANDA」との名称を与えた、重要インフラに対する中国のサイバー脅威アクターについて初めて公開。リポートでは、LIMINAL PANDAのインフラへの侵入の手口など詳細に紹介する。
「2024年米国選挙におけるプラットフォームXのアルゴリズムによる潜在的偏向の計算分析」。
豪Queensland大研究者Timothy Graham氏ら、X(Twitter)が2024年7月に大きくアルゴリズムを変更。オーナーMusk氏によるTrump候補支持表明に符合するとの論文(プレプリント)を公表。
報道経験ないニュース系インフルエンサー、米若者の頼れる情報源に
「ピューの調査によると、30歳未満の成人の約40%が、ニュース系インフルエンサーから時事問題や政治の最新情報を入手している。こうしたインフルエンサーの大半に上る77%は、報道機関に所属せず、メディアでの勤務経験もない。
新たなデータはメディア環境の変化を浮き彫りにした。若者を中心に、政府や社会問題、経済といった重要なニュースについては、非伝統的な情報源の利用が一段と増えている」。

——併せて紹介する米Pew Research自身のリリースブログを参照されたい。

幻冬舎コミックス、Xへの画像投稿は「AI学習阻害・ウォーターマーク付き」で 11月15日の規約変更を理由に
「Xは15日の規約変更により、ユーザーが入力した情報を、AIのトレーニングに利用する旨を明文化する予定だ。しかしXでは、これを嫌って他のSNSに“移住”しようとするユーザーや、投稿する画像にAI学習の阻害処理・ウォーターマークをつけようと呼び掛ける人も見られ…」。

——これもXをめぐる話題なので、遅まきながら紹介しておく。引用箇所にあるように、Xの利用規約がAI学習に強制的に用いられることを嫌っての動き。この種のせめぎ合いがこれから活性化するだろう。Xは、自社のxAIの開発にとどまらず、他のAI開発ベンダーに学習用コンテンツを売って大儲けするオプションを手に入れようとしているわけだ。

Norwegian startup Factiverse wants to fight disinformation with AI
ノルウェーのスタートアップであるFactiverse、米国大統領討論会のライブファクトチェックを提供し、いくつかのメディアパートナーによって利用されたという。同社の技術はLLMとは異なり、情報検索に基づいく別タイプのモデルを構築したと創業者は述べる。
「X」利用者が続々と「ブルースカイ」へ移動 仕組みは? オーナーは? - BBCニュース
「世界各地でかなりの人数がブルースカイのアプリをダウンロードしている。イギリスでは14日、アップルのアプリ市場『AppStore(アップストア)』で、最もダウンロードされた無料アプリになった」。

——Musk氏の振る舞いもあって、Xを離脱する動きが高まっているものの、記事にもあるように、BlueskyがXを脅かす存在になるためには、今後の長期にわたり成長が欠かせない。そのためには、大物たちの寄付に頼る資金源では心許ない。これからがBlueskyの胸突き八丁の上り坂だろう。

Disruption This Week—–1/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年10月28日から2024年11月1日まで。

オープンAI、ChatGPTに検索機能を追加-グーグルへの対抗強化
「オープンAIの『4o』モデルを利用した新たな検索機能はまず、有料サービス『ChatGPT Plus』と『Team』の加入者向けに31日からモバイルとウェブで提供される。無料ユーザーは今後数カ月内にアクセスできるようになる。同社の発表を受けて、アルファベットの株価は一時1.9%下落」。

——ChatGPTの有料バージョンに、「AI検索」機能が追加。わかりづらいが、要するに、従来のChatGPTでは(ニュースなど)最新情報は対象外だったが、それが最新情報にまで拡張されるというのがポイント。驚きは、これを受けてGoogleの株価が下落したこと。やはりAIが従来の検索ビジネスの脅威だと、市場も認識しているということだ。

Exploiting Meta’s Weaknesses, Deceptive Political Ads Thrived on Facebook and Instagram in Run-Up to Election
米メディアProPublica、米国内で8つの偽広告ネットワークが、340以上のFacebookページに16万以上の選挙広告とディープフェイクを用いた政治・社会問題広告を掲載と報道。広告をクリックして毎月のクレジットカード請求にサインアップさせられたりとの被害も生じているという。
How The New York Times is using generative AI as a reporting tool
米New York Timesは、AIを報道にどう用いているか——共和党・Trump陣営の選挙活動を批判するため、同メディアは共和党の活動家らの数年にわたる会議の動画記録(およそ400時間)を入手。単純な文字起こしに始まり、その概要把握にLLMを活用し、調査報道に結びつけたとする記事。
アメリカ大統領選挙、マスコミ信頼度が過去最低 主戦場はSNSに - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「最終盤を迎えた米大統領選で、共和党のトランプ前大統領、民主党のハリス副大統領の両候補はマスメディア以外での情報発信に力を入れている。ポッドキャストや動画共有サイト『ユーチューブ』などSNS上で人気のある人物との連携が、有権者に接近する近道となっているためだ」。

——度々紹介しているが、米大統領選では、SNSなどのプラットフォーム上で人気を得ているクリエイターの役割が大きな注目を集めている。背景には、従来メディアへの不信が、計量的にも示されている。

オープンAI、収入全体の75%は消費者の有料サービス利用-CFO
「(OpenAIの)フライヤーCFOは28日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、オープンAIの収入全体の約75%が消費者のサブスクリプション(定額課金)によるものだと説明。同社の対話型AI『ChatGPT(チャットGPT)』の消費者向け有料プランは現在、月額20ドル(約3060円)からとなっている」。

——では法人向け事業はどのような状態なのか? といえば、「同社は9月、ChatGPTの法人向けバージョンで有料ユーザー数が100万を突破したと発表した」と記事にある。いずれもOpenAIの直販事業を指していると思うが、一方で、大株主のMicrosoftは法人向けビジネスに強いはずだが。OpenAIの収入基盤は強固だ。

バイデン政権、AIに関する国家安全保障覚書を発表
「AI NSM(=国家安全保障覚書)は、安全で信頼できるAI開発における米国のリーダーシップ確保、国家安全保障目標達成のための強力なAIの活用、世界的に有益な国際的なAIガバナンス枠組みの促進という3つの柱に基づいて、具体的な行動を指示するものだ」。

——すでに紹介したが、米国は(特に中国を念頭に)AI開発による安保上の優位性を保つ一方、AIが持つリスクを抑え込むための統治を強化しなければならないという、両極の課題を自覚。その課題に明文的に対処を始めた。

Disney Poised to Announce Major AI Initiative | Exclusive
米Disney、制作者向けの大規模なAIイニシアティブの発表を準備中と、米メディアThe Warpがスクープ。この構想は、クリエイティブワーク(特にポストプロダクションと視覚効果)を一変させるような大規模なもので、同社従業員数百名が携わっているものだという。
「AIゴーストライター」が侵食する創作市場 編集委員 瀬川奈都子 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「『本当に人が作った曲ですか』。音楽著作権管理のNexTone(ネクストーン)の担当者は、都内の音楽出版社に出向き確認した。生成AIが国内で普及し始めたこの1〜2年、この出版社は毎月のように数千曲もの作品登録申請を続けている」。

——登録申請を求める楽曲の、そのオリジナリティを審査する仕組み自体にも、AIの能力が必要なのではないか。近未来的に見える世界が、すでに現実になっている。

Joe Rogan Takes Center Stage in an Election Season Dominated by Podcasts
【有料購読者向け記事】:
2024年の米大統領選では、マスメディア以上にクリエイターの役割、とりわけポッドキャスターの存在が大きく注目された。SpotifyやYouTubeなどで1,500万人ものリスナーを集めるNo.1ポッドキャスターJoe Rogan氏の番組に、Trump氏が出演した。Rogan氏は、Harris氏にも出演を求めているが、難航しているという。
バイデン政権、安保強化でAI活用へ-軍事・スパイ対策で官民協力
「バイデン米政権は24日公表した国家安全保障に関する新たな覚書で、軍事および情報収集目的での人工知能(AI)の採用を加速させる必要があると指摘し、各政府機関に強力なシステムを安全な方法で速やかに展開するよう指示した」。

——昨今、テクノロジーの話題は、そのまま安全保障の話題として登場する。テクノロジーが安保課題となるまでのサイクルが超短縮されているのだ。AIがその例。いまやAIは米国にとって、対立国への戦略優位性の源泉だが、同時にいかに統制していくかの悩ましい課題でもある。

「人工知能と人間のよりよい共生のために」久木田水生 - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
スマートニュースメディア研究所が開催している「AIと人間のあいだ」研究会からの、新たな論考です。名古屋大学の久木田水生氏「人工知能と人間のよりよい共生のために」。
是非ご一読を。

Disruption This Week—–18/10/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年10月15日から2024年10月18日まで。

The key decisions that saved the Boston Globe
米都市Bostonの著名ローカル新聞社Boston Globe、どうやって経営戦略を立て直せたのか。同社はいま、従業員数1000名弱、デジタル版購読者数26万名、印刷版購読者数は7万5000名を擁するが、2009年には廃業を迫られていた。買収などの戦略変更をめぐる経緯を伝える記事。
デジタル時代、新しい報道の地平開く 本紙に新聞協会賞 秋の新聞週間 - 日本経済新聞
「日経は編集者や記者、デザイナー、エンジニアで構成する職種横断のチームをつくっている。異なる経験やスキルを持つ人材が机を並べ、文字通りに協働する。どういう表現に落とし込むか早い段階から同じ目線で考えるために、デザイナーやエンジニアが記者の取材に同行するようなケースも増えた」。

——日経新聞が新聞協会賞受賞に当たり、取り組んでいるデジタル報道を支える組織体制について、「エンジニアら 記者と協働」との項目を立て、引用箇所のような組織変革の意義を述べている。これで十分なのかどうかは別として、昨今のイマーシブな報道コンテンツづくりでは、エンジニアやデザイナーとの深い協調組織が重要だ。

富士通、偽情報対策システム開発で連携 NECなど8者と - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「慶應義塾大学SFC研究所、東京科学大学、東京大学、会津大学、名古屋工業大学、大阪大学も参加する。災害時の情報のファクトチェックや記事作成などの用途で公的機関や企業に試用してもらいながら、研究開発を進める」。

ーー何とも形容しにくい巨艦フォーメーション。「オールジャパンで」とのコメントにも当惑が伴うのだが。

How Israel’s bulky pager fooled Hezbollah
「ポケベルを直接知るレバノンの情報筋によれば、ポケベルを作った工作員は、小さいが強力なプラスチック爆弾と、X線では見えない斬新な起爆装置を隠すバッテリーを設計した」。
——そのポケベル“兵器”の内部構造を詳細に伝える画期的な調査報道。
主要生成AIモデル、欧州AI法違反の恐れ 評価テストで低スコア
「オープンAIのチャットGPTなど代表的な生成AI(人工知能)大規模言語モデル(LLM)が、欧州での評価テストで欧州連合(EU)が策定した世界初の包括的なAI規制『AI法』の重要な項目の基準を下回っていることが分かった。ロイターが閲覧したデータによると、サイバーセキュリティーに関する耐性や、差別や偏見を排した回答といったEUが重視する項目で低評価がついた」。

——“厳しい”EU法制下では、AI各社のサービスが現状のままでは(営業が)許可されない可能性も出てきた。自主的にEUでのサービス実施を見送るケースも出てくるだろう。

Pitchfork Alumni Launch New Music Publication, Hearing Things
【有料購読者向け記事】:
90年から10年代半ばまで独立系音楽批評メディアとして人気だった米Pitchfork。大手のCondé Nastに買収されて以後、創業者の退職などで衰退。そのPitchforkから5人のジャーナリストが退社、「Hearing Things」を創業。2階建ての定期購読制を敷く。ちょっとワクワクさせる話題。
Exclusive | New York Times to Bezos-Backed AI Startup: Stop Using Our Stuff
【有料購読者向け記事】:
OpenAIによるコンテンツの学習をめぐって係争中の米New York Times。今度はAIによるコンテンツ要約機能を持った検索システムのPerplexityにも、自社のコンテンツの利用の「停止と中止」を求める文書を送ったと、米Wall Street Journalが報道。
TikTok executives know about app’s effect on teens, lawsuit documents allege
米各州が、TikTokは青少年に害悪を与えていると提訴している裁判において、同社内でのコミュミニケーションを記した非公表文書が、誤って一部開示。それによると、同社内では問題を認識しながら対処を行ってこなかったことが明らかに。米NPR(公共ラジオ放送)が報道した。
X投稿の収益、有料契約者の反応で インプレゾンビ対策 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「Xは収益分配の仕組みの変更について、『皆さん(有料契約者)のフォロワーがXプレミアムに登録して投稿にエンゲージメントすることで、皆さんへの直接の支持につながる』としている」。

——Xによる、今回のクリエイター収益化方法の変更は、要するに収益化は、「利用者の投稿に対して、有料の『Xプレミアム』を契約している別の利用者が閲覧したり『いいね』などの反応をしたりすることで、支払いが行われる」というわけで、有料(プレミアム)ユーザーを増やすことが必須になる。うまい考えではあるが、X社が狙う購読料収入増につながるのか興味のあるところだ。

ネットメディアから放送局に転職した私 怪しい情報の「ファクトチェック」をしていて感じる深刻な危機とは|NHK広報局
「例えばさきほどの『トランプ氏が銃撃事件の前にゴルフに行っていた』という動画は、どのように検証して、なぜ誤りだと判断したのかを説明する。
それによって、もしNHKや私のことを信用できないという人でも、その動画が誤りだということは、自ら再検証して判断できます」。

——BuzzFeed Japanで数多くのファクトチェック記事を公開、現在はNHKで同様の業務に就く籏智広太氏。ファクトチェックを行う人々を代表して、その内側を述べる良い記事。

日本の分断はどこにあるのか 池田 謙一編著 前田 幸男編著 山脇 岳志編著
【ご紹介】:
スマートニュースメディア研究所が昨年実施した大規模な世論調査を基に各種分析を行った論文集『日本の分断はどこにあるのか』が出版されました。藤村も「SMPP調査が捉えたメディア接触の諸相――伝統メディア、そしてインターネットメディアをめぐる読者の選択」を担当しました。よろしければどうぞ。

Disruption This Week—–11/10/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年10月1日から2024年10月11日まで。

「Xプレミアム」収益配分の仕組みを変更 インプレゾンビ対策にも?
「今後は投稿の返信欄に広告が表示されても収益は発生しません。代わりにこれからは、投稿に対してプレミアムユーザーがエンゲージメントすることで支払いが行われます」。

——「エンゲージメントとは、ある投稿に対してシェアやコメントなどのアクションを起こすこと」だと記事で解説。「これまでの広告収益分配プログラムでは閲覧数に応じて収益が発生していたため、日本人の投稿に海外のアカウントからリプライが付くケースが多く、災害発生時などに問題視されていた」とも述べている。要するに、“無意味な”閲覧数を稼いでも商売にはならないスキームを目指しているわけだ。

How The New York Times incorporates editorial judgment in algorithms to curate its home page
米New York Timesは、Webでもアプリでも、トップページにアルゴリズムを駆使したコンテンツキュレーションを施している。1日に公開する記事が250超だが、トップページに表示できる記事は50〜60に限られているからだ。このアルゴに編集者の意思をどう反映しているかを語った記事。
X、ブラジルでのサービス再開へ 命令に従い2860万レアルの罰金も支払ったため
「モラエス判事は、Xがブラジルの法律と『国家主権を尊重した司法の決定』を完全に順守することを条件に、活動の再開を許可した。
Xは、虚偽情報を拡散していた(と判事が指摘した)アカウントのブロックと、ブラジルでの海外企業の運営に関する法律で義務付けられているブラジルでの法定代理人の任命という、活動再開のための2つの条件を9月27日に完全に満たしたことを証明した」。

——ブラジル司法の求めるところにXが完全に屈伏した図式のようだ。法令遵守があるとはいえ、“言論プラットフォーム”でもあるものが、権力の意向に屈伏するだけがよいことなのかと言えば、留保しなければ。各国で「擬誤情報のまん延」を材料に、権力が情報の統制に身を乗り出そうとしている瞬間に起きた出来事だ。

グーグルに事業分割要求も、米当局が検討 ネット検索巡る訴訟で
「米司法省は8日、アルファベット傘下グーグルのインターネット検索が独占に当たるとの裁判所の判決を受け、同社にブラウザ『クローム』や基本ソフト(OS)『アンドロイド』など一部事業の切り離しを命じるよう裁判所に求める可能性があると明らかにした」。

——昨日はEpic Gamesとの係争をめぐり、Google Playアプリストアの開放という判決を紹介したが、今日は、改めて分割問題が話題になっている。改めて引用箇所を読み直すと、かつてのMicrosoftの独占時の問題と同じことが起きていることがわかる。

OpenAI exec rules out sharing revenue from SearchGPT with publishers, for now
OpenAIのメディアパートナーシップ担当責任者は、現在のところ、同社がSearchGPT製品から得られる広告収入を、コンテンツを掲出したメディア事業者と共有する方針はないとした。「新しい視聴者による大幅なトラフィック増」で、各メディアに公平に分配されると述べた。
Who U.S. Adults Follow on TikTok
米Pew Researchが新調査結果を発表。いまや成人の半数(52%)がTikTokを通じて定期的にニュースに接触する。だが、米成人のTikTokユーザーが多くフォローするのは、著名人などインフルエンサー。残念ながらジャーナリストらはごく少数に過ぎない。
US judge orders Google to open app store to competitors
「米連邦判事、GoogleにPlayストアをライバルに開放するよう命令」。Apic GamesがGoogleに提起した訴訟で大勝利。競合他社の作るアプリストアに、Google Playストアのカタログを利用できるようにしなければならない。進行中のAppleとの係争の行方にも影響大だろう。
Substack wants to do more than just newsletters | Semafor
好調に拡大するニューズレター配信サービスSubstackの現状を、米Semaforが報じた。報道に寄ればSubstackは直近1年で、購読者を100万人増やしたという。黒字化には至っていないものの、2022年に900万ドルだった売上は好調に推移しているものと見る。
Google’s Grip on Search Slips as TikTok and AI Startup Mount Challenge
【有料購読者向け記事】:
「調査会社eMarketerによると、米国の検索広告市場におけるグーグルのシェアは来年、10年以上ぶりに50%を下回ると予想されている」。TikTokやAmazonがブランド商材の検索に力を入れているからという。特にAmazonは22%のシェアが見込まれているとする。
「沖縄独立」煽る偽投稿拡散 背後に約200の中国工作アカウント - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「『沖縄独立』を促す偽動画が今、SNS上で拡散し続けている。日本経済新聞が先端の人工知能(AI)ツールで解析したところ、背後に拡散を請け負う大量の『情報工作アカウント』が見つかった。主に中華圏に向けたSNSの投稿だが、専門家は今後、日本の世論分断にもつながりかねないと警鐘を鳴らす」。

——朝日新聞による調査報道を紹介してきたが、今度は日経新聞による読みごたえのあるビジュアル調査報道を紹介する。こちらイスラエルで開発されたツールを使うなどして流布されている偽情報を追跡すると、おもに3つの発信源(アカウント)が浮かび上がったという。それぞれは幼稚な動画などだが、結果として広範囲に偽情報が拡散していることも判明。

ロシアの偽情報作戦「ドッペルゲンガー」は西側諸国だけではなく自国首脳部も欺いている
「ロシア政府主導の工作ネットワーク『ドッペルゲンガー』は、西側諸国を標的として、さまざまな偽情報作戦を展開しています。しかしその偽情報作戦が、西側諸国だけではなく、ロシア政府の首脳部も欺く結果になっていることを、世界情勢を扱うニュースサイト・Foreign Affairsが報じています」。

——一昨年にその存在が暴露された、ロシア政府系の偽情報生産企業SDAとその偽情報キャンペーンの主体「ドッペルゲンガー」。その大規模な偽情報生産の状況を克明に伝える膨大な内部資料が西側メディアに漏えいした。この記事は、数GBにおよぶ文書を入手した外交専門誌「Foreign Affairs(フォーリン・アフェアーズ)」の記事を翻訳紹介したもの。影響工作の実像を伝える驚愕の内容。

ChatGPT、会話がスムーズになりました
「ChatGPTで、『高度な音声モード』(Advanced Voice Mode)の提供が始まりました。有料プラン加入者が対象の新しいアップデートです。
OpenAIは機能のリリースに合わせて、本機能を使っている動画を投稿」。

——すでに紹介をしている話題だが、改めて。50か国語に対応しており日本語も含まれる。応答速度が速いのは謳い文句どおりだが、さらに凄いのは動画にもあるように、注文された文章を生成中に、ユーザーが割り込んで指示を与えると、即座に対応する。あとは音声の自然さが高まっていけば……。

Microsoft starts paying publishers for content surfaced by Copilot | TechCrunch
米Microsoftは、同社が展開中のAI機能のCopilotの各種アップデートを発表。注目される新機能が「Copilot Daily」。提携した大手メディアからの天気や時事問題記事の要約を音声で提供する。Dailyに用いられるコンテンツに対して、報酬を支払うという。
“広告への苦情”の50年史 Webサイトで26万件をまとめて紹介 ネット広告に「見たくない」の声も
「日本広告審査機構(JARO)は10月1日、設立から50年の間に寄せられた広告への苦情をまとめたWebサイト『苦情の50年史』を公開した。累計約26万件の消費者の声を分析し、時代ごとの件数の推移や内容、広告媒体などの変化について紹介している」。

——素晴らしい取り組み。「50年間の(苦情・問合せ)件数推移」のチャートを見ると、現在がそのピークであることが如実。興味深い。

Politico’s wonky Pro service to roll out new AI tool | Semafor
米政治専門メディアPoliticoは、テック企業Capitol AIと提携。政策、州・連邦立法、議会委員会の公聴会を詳細にカバーするPoliticoのプレミアム購読版Politico Proの購読者用ツールを開発すると発表。メディアが自らの読者専用サービスのためにAI技術を導入するケースとなる。