Disruption This Week—–17/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月13日から2023年11月17日まで。

中国ByteDance、TikTok中国国内版「Douyin」に一部ペイウォール制を試行開始。10万人以上のフォロワーを擁するコンテンツクリエイターの動画を観るには課金を求めるという試みだ。ByteDance課金収入の30%を得る。クリエイターは課金額を自由に設定できるとする。記事は、Douyinへの実装がTikTokへ繁栄される可能性にも言及する。
Ethics, AI, and the Future of News: Reflections on ChatGPT’s Anniversary   - Twipe
間もなくChatGPT誕生1周年。記事は、ジェネレーティブAIの1年間を振り返ると同時に、ChatGPT以前にメディア編集部がAIをどう使い、誕生後には、それはどう変化したのかを例を挙げながら解説する。ともかく驚くべき1年間だったと言える。
テレビ北海道、お天気キャスターにデジタルヒューマン起用 視聴者と「不気味の谷」について考える
「テレビ北海道は11月16日、AI技術を活用したデジタルヒューマンを情報番組のアナウンサーに起用する実証実験を行うと発表した。…毎週土曜日に放送している情報番組「スイッチン!」のお天気コーナーでデジタルヒューマン『iina(いいな)』が最新の天気予報を読み上げる」。

——これまで海外事例を紹介するのみだったのが、いよいよ日本でもデジタルヒューマンが、公共的なサービスに登場。いつも思うのだが、ここまでするなら、ネット経由で自分専用のニュース番組を作って欲しいものだ。

「戦争の窓」と化すスマートフォン
【有料購読者向け記事】:
「『Ha kol b’seder』。これはヘブライ語で『大丈夫。問題ない』という意味だ。…その動画は、彼女が(ハマスの襲撃で)殺害される前、最後に送ったものの一つだった。
アンネ・フランクはナチスから身を隠す中で経験した恐怖を日記につづった。インバル・シェム・トブさんが手にしたのはスマートフォンだった」。

——言葉もない。22歳の女性は、「ごみ置き場の中で、迫り来るイスラム組織ハマスの襲撃者から身を隠しながら、父親に送信した動画の中でささやくようにそう伝えた」のだという。

生成AIの学習に政府保有データを提供へ、国会図書館の蔵書や国の研究データも対象
「まずはすぐに学習に利用しやすいデータとして、政府機関が公開している行政文書や法令、土地地図データ、特許情報などを提供する。国会図書館がデジタル化した書籍など収蔵データのうち、権利上の問題がないものも提供する方針だ。いずれもテキストデータなど学習に使いやすく、広く公開している文書である」。

——各種公共機関が発行した公的文書ももちろんだが、国会図書館が所蔵する図書などのデータが学習されれば、ごく最近にパブリッシュされ、クロール可能な掲示板その他のWebデータなどより文化的価値の高い情報をLLM化することができると見る。
もちろん、「古書」の情報が現代に意味があるかないかとの議論も生じるだろうが、文化的価値は明らかに高いし、現在にいたる経緯を知る手がかりにもなる。

YouTube、生成AI利用コンテンツに開示義務 違反すれば削除などの罰則対象に
「(YouTubeは)例えば自分の顔や声が無断でデジタル的に生成されたりディープフェイクに使われたりした場合、プライバシーリクエストプロセスを使ってそうしたコンテンツの削除をリクエストできるようにする(こちらも「今後数カ月」以内に実施する見込み)」。

——YouTubeがジェネレーティブAI関連で2つの新ガイドラインを発表。個々のプラットフォームが負う責任分野も広がろうとしている。その対処の一環としての動き。

Social Media and News Fact Sheet

Pew Research Center’s Journalism Project

Social Media and News Fact Sheet
米Pew Research、米成人のニュース取得に関する定期調査を更新。成人の30%がFacebookでニュースを取得。YouTubeが26%と肉薄。
各SNSでは、Xユーザーはその5割強がニュース取得(だが減少傾向)。TikTokユーザーのニュース取得は、この3年間で21ポイント増と顕著な動きを見せた。
ニールセン、デジタルコンテンツ視聴率のMonthly Totalレポートによる動画ジャンルの利用状況を発表
「- 『TikTok』と『TVer』のトータルデジタルでの月間視聴者数は昨年の1.5倍以上に増加
– 上位5サービスの性年代別ターゲットGRP(TARP)は、男女ともに18-34歳が最も高い
– 18-34歳では、『TVer』は女性への、『ABEMA』は男性へのリーチが高い」。

——「男女ともに18-34歳が最も高い」というのは、TVがその層を失っていることと、合わせ鏡のような関係か。TVerがそれを補うプラットフォームになれるのかというと…。Radiko同様に問題がありすぎるのだろう。

A global hit: AI translation tools help singers break down borders | Semafor
世界で500万人ものフォロワー(YouTube)を有する歌手のLala Sadii氏、世界中のフォロワーのために、その歌詞部分をAIを用いて40か国版に吹き替える試みを開始。細かいことを言えば通訳業が危機だし、それ以上に肉声の意味が変容しつつある。オーディオの世界の変革期だ。
手をかざせば情報が。スマホに代わる次世代端末「Humane AI Pin」
「スマホに代わる次世代端末として、スマートグラスやヘッドセットがその役目を狙う中、Humaneが提案するのは、AIを活用したバッジのような小さな端末。
スマホのようなディスプレイもなければ、デジタルキーボードすらありません。アプリという仕組みもありません」。

——こちらの記事で「Ai Pin」の具体的なイメージが伝わるだろう。長めのプロモ動画を観るのも良い。実によく考えられた製品だというのがわかる。

Disruption This Week—–10/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月6日から2023年11月10日まで。

Can an AI Device Replace the Smartphone?
【有料購読者向け記事】:
ようやくスマートフォンに代わるスマートデバイスが誕生? 元Apple幹部らがChatGPTを搭載したウェアラブルデバイスを公開。ユーザーの口頭指示で作動するAIアシスタント「Ai Pin」だ。情報を読み上げたり、掌へ投影したりできる。
独立したら年収10倍 個人メディア、SNSの次はメール - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「読者が書き手に直接お金を支払うやり方がベストなのではと考えた。無料のSNSはデータを吸い上げることで読者を商品化してしまうが、サブスクリプション(定額課金)では読者がお客であり続けられる。人々が興奮するかではなく、質の高さや重要さで記事が選ばれるようになる」。

——購読型のメルマガ(米国ではニューズレター)サービスのSubstack創業者へのインタビュー。「サブスタックに書くことで、以前の組織にいた時の10倍を稼ぐようになった記者もいる。何人かの著名記者を失ったメディアもあった。だが、それは書き手がその組織の中で納得のいく処遇を得ていなかったことと同義でもある」というコトバをどう聞くのか。

Microsoft、世界の選挙をディープフェイクなどの攻撃から守るためのツールを提供へ
「『Content Credentials as a Service』は、候補者向けのツール。コンテンツの出所を確認できるC2PA(=コンテンツ信憑性の技術標準化団体)のデジタル透かし認証を使う。この透かし認証は、出所を確認できるだけでなく、認証後に改ざんされると分かるようになっている」。

——来年は世界各国で(日本でも?)、重要な選挙が行われる年だ。その選挙への脅威対処のため、米Microsoftが5つの施策を発表。

「Instagram」のサブスクリプションが100万件を達成--新たな収益化方法も発表
「2023年に入ってInstagramがサブスクリプションプログラムの提供範囲を拡大して以来、アクティブなサブスクリプションが100万件を超えるまでに成長したと、Metaが発表した。Instagramの月間アクティブユーザー数が23億5000万人を超えていることを考えると、小さな数であることは否めないが、サブスクリプションプログラムが開始されてから1年しか経っていないことを思えば、素晴らしい実績だ」。

——超大手プラットフォーマーはこれまで規模のメリットで広告によるマネタイズを図ってきた。今後も基本線は代わらないだろうが、サブスクも重要な柱になると見れば、この分野での進化は進むはず。注目する。

AIガイドライン、「人間中心」など10原則を年内決定方針…公的機関含め全利用者が対象
「政府がAI(人工知能)関連の国内事業者向けに策定を進めるガイドライン(指針)の原案が判明した。全ての事業者が共通して考慮すべき指針として『公平性』『透明性』などの10原則を掲げたのが特徴で、有識者会議『AI戦略会議』での議論を経て、年末までに決定する方針だ」。

——成案を得たわけではないが、注目の動き。

米New York Timesが購読者1,000万人達成と発表(約1年前に発表された「1,000万」はグロスで、各製品の購読者の総和だった)。同社の戦略上の焦点は、「1人の購読者をすべての製品の購読者に変えることだ」「ニュースのみのマーケティングをやめた」と同社幹部は述べる。

OpenAI、「GPT-4 Turbo」と「Assistants API」を発表〜OpenAI DevDay 2023から

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OpenAI、「GPT-4 Turbo」と「Assistants API」を発表〜OpenAI DevDay 2023から
「『Assistants API』のローンチは、(「GPT-4 Turbo」に加えて)もう一つの重要な発表だった。このツールセットにより、開発者はコーディングアシスタントからバケーションプランナー、音声制御 DJ まで、特定のユースケース向けにカスタマイズされた AI エージェントを構築することができる」。

——Musk氏の付け焼き刃の「Grok」発表では到底太刀打ちできなかったOpenAIの各種発表。特に個人的に注目はこの「Assistants API」。私の内心の問いである「ChatGPTはメディアになるか、それともユニバーサルなアシスタントになるのか」について、後者への道のりが速い足取りで整備されつつあると受け止めた。

「赤ちゃんの遺体画像を”AI生成”と判定」イスラエル・ハマス衝突、AIフェイクの本当のリスクとは?
「極めてリアルな生成AIフェイク画像が与えるインパクトは、人々が『フェイクに騙される』ことだけではない。
本物に対しても「これは本物か?」との疑念を広げ、事実を「フェイク化」する危険をはらむ。そして、AI判定の難しさが、さらに事態を複雑にする」。

——「AI生成ニセ画像」を判定するAIが間違っていたら? ややこしい冗談のようなテーマだが、これが今次のガザ紛争では日々生じている。自分は、この事態にシニカルにファクト(事実)に対して冷笑的に振る舞うことを選択したくない。技術に頼り切ることなく、一つひとつファクトを積み上げるしかない。だからこそ多方面からの“検証の目”が必要になる。

Dashtoon uses AI to turn storytellers into comics artists | TechCrunch
作画能力はなくとも、売れそうなコミックストリーリーは持っているというクリエイター向けに「Dashtoon Comic Reader」が誕生。ジェネレーティブAIで作画、そしてWebトゥーンスタイルのアプリプラットフォームに配信して収益化するクリエイティブエコノミーの試みだ。
ビートルズ最後の新曲「Now and Then」は、こうしてAIの技術を駆使して世に送り出された
「1990年代に『ザ・ビートルズ・アンソロジー』のレコーディングに取り組んでいた際に、この古いカセットテープから『Now and Then』を復活させようと試みた。音源ではジョンのボーカルが自身のピアノの音にかき消されてしまっていたが、当時は声を分離させる技術がまだなかった。『それでそのまま立ち消えになってしまったんだ』と、ポールは新たに制作されたこの曲の短編ドキュメンタリーで語っている」。

——この週末、レノンの声と楽しい動画を散々楽しみ、懐かしくThe Beatls時代を振り返ることができた。テクノロジーの肯定的な側面だ。

Disruption This Week—–3/11/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年10月30日から2023年11月2日まで。

「ナイトシェード」はAI企業とアーティストの力関係を変えるか
「シカゴ大学のベン・ジャオ教授(コンピューター科学)だ。『AIを訓練する企業はやりたい放題です』。
だが、ジャオ教授の研究室が開発した新しいツールにより、この力関係は変わるかもしれない。 『ナイトシェード(Nightshade)』と呼ばれるこのツールは、画像のピクセルに微妙な変化を与えることで機能する。人間の目には見えない変化だが、機械学習モデルを騙して、画像に実際とは異なるものが描かれていると思わせるのだ」。

——人間にとって不可視の細工が、AIの誤動作を引き起こすのだという。「犬の画像は猫になり、帽子はトースターになり、車は牛になる」。画像をめぐる防御モデルは得られそうだが、依然としてテキストをめぐる防御モデルへの展望が確立していない。

Condé Nast, Publisher of Vogue, Will Cut 5% of Its Work Force
【有料購読者向け記事】:
「VOGUE」誌をはじめとする著名媒体を多く擁する米Condé Nastが従業員の5%相当の削減に踏み切る。大々的に発表していた動画制作の社内スタジオ構想を撤回。同社が儲からないTikTokやYouTubeショートなどの分野で変化が著しいとする。従来であれば、出版社が作成したメディアブランドによる中・長尺動画をYouTube等に投入するビジネスモデルが想定されていたが、早くもそのトレンドは消失してしまった。
Interview: The War on Disinformation
OSINTを手がける著名なBellingcat。リーダーのEliot Higgins氏が今次のパレスチナ紛争をめぐる情報戦について見解。
「人々は何が起きているのかに非常に強い見方を持っているだけでなく、早く早くと答えを求める。そのため、OSINTをしている人々にプレッシャーがかかる」。
Elle UK's move from subscriptions to membership shares access to editors' 'daily joys'
英国版Elle(Elle UK)の編集長Kenya Hunt氏、印刷版&オンライン版購読制に加えて、メンバーシップ制のElle Collectiveを立ち上げた意味を、取材インタビューで語る。Elleファン層に対し、読書以外にさまざまな体験を共有するアプローチを採ると述べる。
出版状況クロニクル186(2023年10月1日~10月31日) - 出版・読書メモランダム
「23年はかろうじて1兆円の(出版物)販売金額を保つことになろうが、24年には1兆円を割ってしまうことが確実となってきた。ピーク時の1996年には2兆6564億円に達していたわけだから、24年には実質的にその3分の1程度となり、それは1970年後半の金額をも下回ってしまう」。

——人口減のトレンドは加味するとしても、新たなコンテンツの流通形態を見いださなければ。雑誌、書籍分野に包含されてきた(産業としての)創造力を保持する仕組みをどう生かすべきだろう。

Briefing: Meta To Offer Ad-Free Subscriptions for Facebook, Instagram in EU
【有料購読者向け記事】:
Meta、厳しいEUの規制への対処として、FacebookとInstagramに広告非表示のサブスクバージョンを来月から投入と発表。Web経由での購読は月額10.60ドル、iOS/Androidからの購読は同13.79ドルだ。同社はEU域内の規制と戦う姿勢だったが方針を転換した。
Are publisher aggregation apps the new top of funnel or a long-term product?
「ニュース(マガジン)コンテンツのアグリゲーションアプリは、メディアにとり新集客源となるか?」INMA(国際ニュースメディア協会)の議論を伝える記事。プラットフォーマーがファネルの役割を果たさなくなる(?)この時期、改めてニュースアプリに関心が寄せられている。
「『スペイン語の音声として最も多く複製され、利用されているのは私の声だと思う』とプラタ氏。快活で太い声の持ち主で、声優としてのキャリアは50年、コロンビア声優協会の会長を務めている。
現在プラタ氏は中南米諸国の声優を組織し、『自分の声に対する権利』の法制化をめざしている」。

——プラタ氏とは、コロンビア人声優のアルマンド・プラタ氏のことだ。なぜこのような事態になったかと言えば、「ある企業のためにテキスト音声読み上げのプロジェクトに参加して報酬を得たのは20年前の話だ。ところがその後、その企業はプラタ氏の了解を得ることなく、録音した音声をAIソフトウェア企業に売り渡してしまった」からだ。他人事ではない。

How advances in AI can make content moderation harder — and easier | Semafor
米Discordの「信頼と安全性」チームを率いるJohn Redgrave氏に、AIを用いた「コンテンツモデレーション(監視)」業務の現在をインタビュー。同チームは従業員全体の15%もの規模で、機械学習と人間の力で業務を行う。効果は絶大でブラジルで銃乱射事件を未然に防いだりと成果をあげる。
さよならスマホ、2050年に普及率0% 眼球に情報端末 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「スマホが影も形もなくなったとしても、生活のデジタル化は止まらない。同報告書は、眼鏡型の『スマートグラス』や裸眼に装着する『スマートコンタクト』などの次世代の情報端末が、スマホの代わりに生活に溶け込んでいくと指摘する」。

——この種の“未来予測”ものは、はずれるのが当たり前。2050年を想像するには、いくつか補助線が必要だろう。自分は数年内に、個人を取り巻く情報インターフェイスの遍在化が起きているか(スマホ一極化が終わっているか)がポイントと考えている。同時に、特定のプラットフォーマーに個人の情報を丸ごと握られることがないかも、重要なイシューと思う。

Jaroslovsky stepping down as VP of content at SmartNews - Talking Biz News
【ご紹介】:
私にとって、長らくの米国側同僚、SmartNews USのVP of Contentを務めてきたRich Jaroslovsky(ジャロスロフスキー)が今年で退任。しばらくは私と同様アドバイザーを務めるようだ。お疲れさま、Rich!
私などとは違って素晴らしいジャーナリストとしてのキャリアを誇りながらも、スタートアップでの活動を楽しむ術を知っている人物。一緒にAT&Tパークに野球観戦にも行った楽しい記憶もある。

Disruption This Week—–13/10/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年10月10日から2023年10月13日まで。

More Social Networks Are Charging for Ad-Free Apps
【有料購読者向け記事】:
かつて無料利用、広告収益が当たり前だったSNS。それが一時期の広告市況の悪化と、ターゲティング技術活用への規制などで有料化を試みるSNSが増えている。記事は9つの著名SNSで7つまでが有料化を試行中と一覧表で示す。
YouTube passes Netflix as top video source for teens
米投資銀Piper Sandlerの調査では、米国の十代青少年の動画視聴は、NetflixよりYouTubeを用いることが分かった。データは、動画配信ビジネスの競争激化と、特に若者の間で、無料プロバイダーとしてのYouTubeの強力なポジションを示すものとする記事。
1日3分で世界がわかる「Minutes by NIKKEI」11月創刊 - 日本経済新聞
「日経電子版を読む人からは『ニュースが多すぎて読み切れない』『これまでの経緯がわからなくて難しく感じる』といった声が寄せられます。そのお悩みに応えるために、新しいメディアをつくりました」。

——数分で読み切れるニュース解説。日経新聞が、新たに有料購読メディアを5つ立ち上げた。基本的には有料購読ニューズレターをベースにしたもので、この「Minutes by NIKKEI」以外はジャンルを絞ったもの。興味深いアプローチ。

ChatGPT誕生に遙かに先行して、AP通信は小規模メディア組織向けに「ローカルニュースAIイニシアティブ」を形成。200近い小規模編集部のニーズを分析。さまざまな応募から、テープ書き起こしや議事録自動生成など5つのAI搭載プロダクトを公開した。
Here’s What the Washington Post Job Cuts Will Look Like
昨日も紹介したように、米Washington Postは早期退職勧奨プログラムで240名もの人員削減に乗り出す。労組との険悪な説明会の席上、同社暫定CEOのPatty Stonesifer氏は「これは本当に良いビジネスなのだが、経費をオーバーしてしまった」と述べたとする報道。
AI自動吹き替えツール「AI Dubbing」登場--話し手の声を維持して音声を翻訳
「ElevenLabsは米国時間10月10日、『AI Dubbing』を発表した。元の話し手の声、話し方、感情、イントネーションはそのままで、発言内容を別の言語に変換できる。言語をわずか数分で変換することにより、世界中の人々がお気に入りのコンテンツを母国語で楽しめるようにすることが狙いだ」。

——カバーする20種類以上の言語には、日本語も含まれるという。気になる対価だが、従量制をとるということだ。

今次の大規模なガザ紛争でも、SNS上にニセのニュースや動画像が多く出現。投稿コンテンツに対する監視を弱めたX(旧Twitter)に対して、Threadsへの期待が高まるが、事業責任者Adam Mosseri氏は「反ニュースではないが、ニュースへの傾倒は避ける」と方針を改めて述べる。
米Michigan州をカバーするオンライン・ローカルニュースメディア「Bridge Michigan」、編集者1名・記者1名の同メディアが、わずか12年で購読者125,000人、9,000人超の個人寄付者に支えられ、最大級の市民向けニュース・プロバイダーに成長。きっかけはコミュニティイベントの開催からだという。
BBC Will Block ChatGPT AI From Scraping Its Content
英BBCも、同社サイトのコンテンツをジェネレーティブAI(このケースではOpenAI)企業がクロールすることをオプトアウト(拒否)したとする報道。記事は一方で、これらメディア企業は、そもそもコントロール不可能なものをコントロールしようとしているのだと論評。
AI によるコンテンツ収集を止める効果的な手段はない? 懐疑の目を向けるメディアたち | DIGIDAY[日本版]
「あるパブリッシャー幹部はDIGIDAYの取材に対し、合わせて8つのシンジケーションアプリ、ウェブサイトでコンテンツを配信していると述べている。コンテンツはすでに発見しやすくなっているため、オープンAIのウェブクローラーをブロックするという保護策は無駄な努力だったように感じられるとパブリッシャー幹部は口をそろえる」。

——何度か紹介しているように、OpenAIらはジェネレーティブAIの学習用にクローラ(ボット)を明示しており、そのオプトアウトオプションも公開している。これをもちいて各メディアは一斉にオプトアウトに走っているが、記事はそれがそもそも「無意味では?」と指摘する。

Disruption This Week—–7/10/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年10月2日から2023年10月6日まで。

AI content editing is the hot freelance side hustle as businesses and individuals look to give their ChatGPT content a 'human touch'
これ、注目すべき興味深い“異変”。過去6か月間で、AIコンテンツ編集スキルを持つフリーランサーを求める企業や個人による「Fiverr」の検索数は、米国で7,000%以上の伸びを含め、全世界で10,000%以上増加した。Fiverrは、フリーランサーのマッチングプラットフォームだ。記事は背景に、AI生成コンテンツの人間によるチェック、もしくは人間的な風味を加える編集作業の需要が伸びていることを示唆する。
昨日、述べたように、人間のAI化(AI化社会への人間社会の最適化)トレンドのように見える。

あらゆるGoogleツールでユーザ操作を代行、ジェネレーティブAI搭載の「Assistant with Bard」公開へ

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

あらゆるGoogleツールでユーザ操作を代行、ジェネレーティブAI搭載の「Assistant with Bard」公開へ
「Google と Amazon の両社は、近年急速に成長している音声アシスタント市場で競合している。スマートスピーカーやスマートフォン、その他のデバイスを使って音声で情報やサービスにアクセスする人が増えているためだ。Insider Intelligence のレポートによると、昨年、アメリカの成人1億2350万人が月に1回以上、音声アシスタントを利用したという」。

ーー一時期、Amazonも匙を投げかけたスマートスピーカーなどAlexa商品群が、ジェネレーティブAIの誕生で息を吹き返している。吹き返したどころか、人間に忠実なアシスタントとしてのジェネレーティブAI本道の生き方を見せようとしている。
GoogleのBardも、Googleの各製品に対する汎用的なインターフェイスへと進化しようとする道筋を示し始めている。WindowsへのCopilot搭載も同様のコンセプトと見るべきかもしれない。

X(Twitter)、リンク付きポストから見出しを削除 画像とドメインのみの表示に変更
「例えばメディアのアカウントが記事へのリンク付き投稿をした場合、これまではリンク先のメディア名や記事の見出しなどを自動表示していたが、画像とドメイン名だけが表示される仕様に変更。見出しは非表示となった」。

——最近はなるべくお騒がせのX(旧Twitter)をめぐるあれこれに触れないようにしてきた。だが、これは自分の(SNS上での)投稿活動に直接関わるので、紹介しておく。
従来、(主に商業サイトの)記事リンクをXのポストに含めておくと、記事の中心画像、媒体名、記事タイトル、そして書き出しの一部などがカードとして表示される仕様だった。それがMusk御大の意向で、画像のみの表示となったという。どうやら、記事のタイトルや記事の一端が自動表示されるのが、煩い、もしくは気に障るということらしい。
こうなると、文字数制限下での“キュレーション”行為が損なわれてしまう。いまさらMusk氏の恣意的判断の是非を論じる気はないが、このままX自体が沈んでしまうようであれば、避難せざるを得ない。

「週刊文春 電子版」寄付プラン好調!

プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

「週刊文春 電子版」寄付プラン好調!
「開始約2カ月にもかかわらず、9月末ですでに350万円超の寄付が集まっています。人数は延べ500人に迫り、ひとりで10万円や20万円、中には100万円の寄付もありました。
寄付プランがスタートした背景には、これからもしっかりとした調査報道を続けたいという編集部の思いがあります」。

――感心する。額の多寡はともかくとして、果敢な報道成果に対して“寄付”がそれなりに集まることは
見逃せない現象だ。

Spotify spotted developing AI-generated playlists created with prompts | TechCrunch
音楽配信のSpotify、AI生成音声によるディスクジョッキー機能を開発中と、春に紹介した。同社は本気のようでユーザーの反応を見てより踏み込む。プロンプトにより好みのプレイリスト生成なども試行するという。
Mr. Beast and Tom Hanks warn about AI deepfake ads using their likenesses | Semafor
俳優のTom Hanks氏、CBSの司会者Gayle King氏や人気ユーチューバーMrBeast氏らのディープフェイク動画が、次々とTikTok内の広告などで使われ始めている。俳優たちが「自分の動画に欺されないように」と警告を発する事態に。
WSJ News Exclusive | Meta Plans to Charge $14 a Month for Ad-Free Instagram or Facebook
【有料購読者向け記事】:
「Instagramを広告なしでスマホで使うために、人々は月14ドル近く払うだろうか?InstagramとFacebookをPCで使うなら、月17ドル近く払うというのはどうだろう?」。MetaがEU規制当局者との会合で計画を共有したとする報道。
この記事書いたのだあれ? 新聞記者署名記事年鑑 朝日新聞 2023年9月暫定版 全データ公開|田中裕士
「書き手の記者にとっても、読者が署名に注目しているという意識が高まれば、社として間違いのない記事かという視点のほかに、私の名前で出す記事としてブレていないか、といった視点が加わるのではないでしょうか。人生100年時代、ずっとひとつの会社で働き続けることが難しくなってくるなか、記者のキャリアの描き方が多様になる流れを応援することになるかも知れません」。

——これは本当に興味深い試み。実際、朝日新聞は紙面・デジタル両方で署名記事を増やしている。これは善きことと評価しているが、他方、その意義の向かうところを描き切れていない(記者ポートフォリオページの設置など)。もちろん、名前(や顔)を明示することのリスクもあることは承知の上で、これを優れた記者を析出する手法として前向きに評価したい。

「『 Good Childhood Report』によれば、世界について肯定的に感じている子どもは36%に過ぎない。ニュースの第一の目的が、私たちにどのような感情を抱かせるかにあるわけではないが、ニュース・リテラシー教育に感情的理解を取り入れることは不可欠である」。

——青少年の肯定的感情を守る、という観点でのニュースのあり方を議論する「ニュースリテラシー・ラボ」からのメッセージ。

先日紹介したReuters Instituteによる20か国調査に加え米英独3か国の若年層が、経済的理由からストリーミングなど各種購読リストからまずどれを外すと判断するかと問われ、「ニュース」と答える傾向をインタビューで示した。
「ニュース消費はしばしば否定的で暗い性質を持つ」ことなどに調査研究者らは注目、解説する。