Disruption This Week—–22/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年9月19日から2023年9月22日まで。

生成AIが開くメディアの新展開 
校條 諭氏:
「コタツ記事のライターではない、記者の『命』は、今後いくら技術が発展しようが、現場に出かけていって、取材対象に身体的に向き合うところにあるでしょう。この身体性や現場性というのがAIにはできない、記者の最後の砦だと思います」。

——長年、メディアについての考察を深めてきた校條さんの、最新アップデート。藤村の論にも言及していただきました。

ヤフーはメディアに対して「優越的地位にある可能性」 公取委が調査:朝日新聞デジタル
「・ニュースポータルサイトの運営事業者がメディア各社に支払うニュース使用料の平均は1千PV(閲覧数)あたり124円(最大251円、最少49円)
・消費者がニュースを得るサービスは検索サイトが54%、ポータルサイトが35%。報道機関などのサイトは計2%にとどまる」。

——私(藤村)が業務上関係するスマートニュースについても触れているので、コメントは差し控えたいが、朝日新聞の記事は引用した箇所を含み、記事文末で詳しい調査結果のまとめを試みている。参照されたい。

YouTube Shorts to gain a generative AI feature called Dream Screen | TechCrunch
YouTube、ジェネレーティブAIによりテキストから(動)画像を生成する機能「Dream Screen」を発表。同社CEOのNeal Mohan氏が、同社が開催したライブイベント で、「コーヒーを飲むパンダ」などと入力すると、その画像が表示されるのをデモした。
スマートスピーカーに生成AI、Amazonが先行 会話を記憶、ボディランゲージやアイコンタクトも理解
「従来のAlexaは会話内容を記憶せず、質問→応答の1往復しかできなかった他、応答パターンにも制限があった。生成AIの搭載により何往復も会話が可能になるだけでなく、ボディランゲージやアイコンタクトといった非言語的な合図も、Alexa搭載スマートスピーカー『Echo』のカメラや人感センサーなどから情報を得て理解するとしている」。

——米Amazon、AmazonLLMを発表。と同時に、“その後”が懸念されていたAlexaのジェネレーティブAI版もスマートスピーカー製品に追加、強化していく姿勢を見せた。「ヘイ、シリー」「アレクサ」といった気恥ずかしくなるような起動語が不要になっていくことは、普及の観点からも望まれていたことだ。

Newsroom Generative AI Lead
米New York Times、募集職種に「編集部:ジェネレーティブAIリード」職を追加。小規模チームを管理するリーダー職で、編集部内ではシニアエディタに相当。編集部全体で取り組むAIによる編集制作や読者対策の実験に取り組む。職務記述が整理されているので参照しておくべきだろう。
GoogleのチャットAI「Bard」、GmailやGoogleドライブの拡張機能に 画像質問も日本語対応
「Google Japanは9月19日、Googleの生成AIチャット『Bard』の新機能としてGmailやGoogle ドライブなどのGoogleアプリの拡張機能を発表した。Bardがユーザーの指示に従い、ユーザーのGmailやドライブ内のファイルなどを参照し、回答を生成するという」。

——まずは英語版の提供からだというので、慌てずに様子を見たい。それにしても、検索のパーソナライズがそうであるように、Googleにこれを任せていると、同社全サービスでの自分の情報が見事に過去にさかのぼって利用対象になることは間違いない。

弊社の記事に関するお詫びとお知らせ | The HEADLINE
「複数の報道機関に掲載された文章をそのまま用い、剽窃・盗用に該当すると言える箇所が確認されたことに端を発します。当該記事は本誌記者による執筆ではなく、弊誌がβ版として開発・検証をおこなっていた生成系AI によって生成された記事です」。

——The HEADLINEの告知記事から。「データと専門知に基づく、信頼性の高い洞察」を特長と謳う同メディアだが、それを損ねる結果となったようだ。紹介する告知のようにていねいに事情を説明しているなど、「信頼性」を高めるスタンスも伝わるのだが。これを含めて、私の主張は、あらかじめ、どうジェネレーティブAIを活用する(しない)のかを読者に明言しておくことが必要だということ。

As AI enters newsrooms, unions push for worker protections - Poynter
AP通信、Wall Street Journal、LA Timesの編集スタッフら数百人のジャーナリストを代表する労働組合が、今夏、AIに対応する契約条項を提案した。少なくとも1つの組合は交渉を締結させたという。俳優、脚本作家に続きジャーナリストも反AIの動きを顕在化させているとする記事。
「生成AI」活用か排除か 悩む米メディア、対応割れる - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「コンテンツ利用の対価を受け取る枠組みをつくるために、業界が団結してIT大手と交渉を進める計画も持ち上がる。
だが企業間で足並みはそろわない。8月には、米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)が団体交渉には参加しない意向であると報じられた」。

——ジェネレーティブAIを開発、提供するIT企業とメディア産業、あるいはメディア各社の関係を概観した記事。新技術を口を極めて批判するメディア(連合)がある一方、個々に提携、交渉する動きも生じている。世界で同時多発的に生じている動きがどう転がるか、注目の事態だ。

アメブロ、ピクシブ、楽天ブログ…「ハワイの山火事は気象兵器」中国発の陰謀論、日本も標的
「『スパモフラージュ』は50以上のプラットフォームで展開されるという親中国の影響工作ネットワークだ。フェイスブックや米ネット調査会社『グラフィカ』が2019年から継続的に監視を続けている」。

——中国現政権寄りの大規模ニセ情報ネットワーク「スパモフラージュ」。中には日本語発信のものもあるという。AI自動翻訳と見られるとの記事。「汚染水」がらみあるようで、日本も影響工作の対象であることは明らかだ。

JEPA|日本電子出版協会  2023年9月19日 藤村厚夫氏: 生成AIとメディアの現在、未来
【ご紹介】:
つい先日オンラインで行った講演の動画が公開されています。資料もダウンロードできます。貴重な機会を提供していただいた日本電子出版協会に感謝いたします。

Disruption This Week—–15/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年9月11日から2023年9月15日まで。

生成AIツール「Adobe Firefly」、一般提供開始--商用利用が可能に
「もう1つ注目すべきアプローチとして、同社は、Fireflyのトレーニングに画像を使用した場合に、『Adobe Stock』コントリビューターに対して報酬を支払う。Adobeは、『有意義な』ボーナスを年1回支払うと、(Adobeのプロダクト担当幹部)Subramaniam氏は述べた」。

——AIの学習に用いられる(したがって、そのままの形で最終アウトプットにはクレジットされない)作品への報酬問題に対し、一定のアプローチが示された。これが終着点ではないだろうが、興味深い動き。

米ハイテク企業トップら、AI規制巡り議論-上院の非公開会合
「午前中のセッションを通じて意見の対立が見られたという。メタのマーク・ザッカーバーグCEOやオープンAIのサム・アルトマンCEO、マイクロソフトのビル・ゲイツ共同創業者はオープンソースのAIを研究するリスクを巡り異なる意見を述べた」。

——米政界とAIの開発を進めるハイテク事業者が初の会合。他記事によれば、ハイテク事業者側のいずれのCEOも政府による介入を望むとの見解を示したとされる。

Want to boost local news subscriptions? Giving your readers a say in story ideas can help
読者(視聴者)に記事への意見を求め、それを実行に移すことが、購読者数の増、ローカルニュースへの関心を改善する効果があるとの調査結果が発表された。米Texas州立大の研究者らの論文。近年「エンゲージメント・ジャーナリズム」と呼ばれる分野が注目されているという。
The creator economy goes global
“クリエイターエコノミーは衰退するどころか、より協力に発展を続けている”。決済・金融サービスのStripeが歴年の資料を公開。21年に50のプラットフォームで67万人に100億ドルの支払いを受けたが、23年には100万人以上、250億ドル以上の収入を得ているとするもの。
Stability AI debuts Stable Audio bringing text to audio generation to the masses
Stability AI、「Stable Audio」技術を発表。テキスト、画像、そして(プログラミングなどの)コード生成に続き、ジェネレーティブAIの新領域は、テキストからのオーディオ生成とのことだ。画像生成と同じ「拡散モデル」を基礎とし、MIDIを超えるアウトプットとする。
テキストによるプロンプトでオーディオを生成するが、歯止めも設けられており、「ビートルズ風楽曲の生成」などは実行しないという。
米著作権当局、生成AI「Midjourney」で制作した優勝作品の著作権保護を拒否
「米著作権局審査委員会は9月5日(現地時間)、生成AIを使って制作された芸術作品の著作権保護を拒否したと、米Reutersが6日、委員会の文書を添えて報じた。対象となったのは、昨年9月にファインアートコンテストで優勝したアーティストのジェイソン・M・アレン氏による作品『Theatre D’opera Spatial』だ」。

——これからAIによる作品の学習、AI作品の著作権保護という両面からの権利問題が次々と生じるだろう。それがどう収束していくか。各国でも事情が異なるので追うのが大変だ。

検索でのグーグル優位は「公正な競争の結果」なのか? まもなく始まる裁判の重要な論点
「原告側の州司法長官らは、グーグルは一般的なオンライン検索で違法に90%のシェアを確立しており、それによって健全な競争があった場合と比較して消費者が不利益を被っていると主張している」。

——近年、米政府がビッグテック相手にいくつかの独禁法違反を問う訴訟を起こしているが、確実な勝訴はMicrosoftのIEをめぐる事案以降生じていないようだ。今回のケースは、IE以上の独占度を示す王国への切り込みとなる。どんな結果になるか。その間に、ジェネレーティブAIの台頭なども影響を及ぼしそうだ。

Ten major trends in news consumption publishers need to be thinking about
英Reuters InstituteのシニアリサーチアソシエイトであるNic Newman氏、講演でメディアが知るべき最新のトレンドを10に整理して説明。
1) ニュースソースとしてのTVと印刷物の役割は激減中、2) シニア層は依然TVを好み、若年層はSNSを好む、3) ニュースソースとしてのFacebookの地位は、ショート動画に取って代わられつつある…などだ。
Briefing: China’s Tencent Debuts AI Model for ChatGPT-Like Apps
【有料購読者向け記事】:
WeChatを運用する中国Tencent、ChatGPTを意識したジェネレーティブAIベースの新製品「Hunyuan」を発表。同社をはじめAlibaba、Baidu、ByteDanceが先陣争い中だが、もちろん最大の不確定要因は当局の壁だ。どうやらその制約を超えたらしい。
Publish 21 Issues to Enter the Top 5% of Newsletter Creators
ニューズレターの「Reletter」、ニューズレター配信サービスのSubstackとLinkedInを調査。この2サービスで、なんと170万ものニューズレターが存在。だが、過去1か月半で更新を行っているのは、その12%に過ぎず、2号を配信したのは35%。5号までは17%、10号は11%にすぎない。
スナップチャット、「無料SNS+広告」の次示すか - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙への連載寄稿が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ スナップチャット、「無料SNS+広告」の次示すか

Disruption This Week—–8/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年9月4日から2023年9月8日まで。

How an innovative Armenian platform battles news fatigue with solutions journalism
アルバニアのメディア「Urbanista」は、問題解決に焦点をあてた小規模でニッチなジャーナリズム・プラットフォームだ。この種のソリューションジャーナリズムは世界的に増えつつある。多くのレガシーメディアには、“ニュース疲れ”に抗する動きが生じていないと指摘する記事。
米アルファベット、選挙広告のAI生成コンテンツに情報開示義務付け
「グーグルの親会社、米アルファベットは6日、選挙広告を出す全ての広告主に対し、11月半ば以降、広告に人工知能(AI)が生成したコンテンツが含まれる場合には明確かつ目立つ情報開示文を付記するよう義務付けると発表した」。

——広告主に対するコントロール。問題はUGC(による投稿)の部分だろう。

米ニューズ、AI企業と交渉中 コンテンツ利用巡り=CEO
「トムソンCEOはゴールドマン・サックス主催のテクノロジー会議で、今後AI企業によるメディア企業のコンテンツ利用を巡る訴訟が多発する可能性があるとし、『すでにメディア企業の一角はそうした議論を始めている』と指摘。『個人的には、われわれは現段階ではそうした状況に関心はなく、交渉への関心の方が強い』と語った」。

——カンファレンス上でのNews Corp幹部の発言を捉えた記事のようだ。訴訟より交渉をとるというスタンス。どのAI企業との定型化は明かしていないようだ。

グーグルがAI生成画像に電子透かし、大手テック企業で初
【有料購読者向け記事】:
「シンスID(SynthID)と呼ばれるこのツールは、当初はグーグル・クラウドの機械学習プラットフォームであるバーテックス(Vertex)でホストされているAI画像生成ツール、イメージェン(Imagen)のユーザーのみ利用できる」。

——生成された画像に電子透かしを入れるアプローチ。残念ながら独自製品に組み込むプロプライエタリな動きで、広がるかどうか。さらに言えば、この種の電子透かし開発プロジェクトは数種類あるが、テキストに応用できる見込みは立っていない。

Publisher playbook on how to kickstart your AI strategy
メディア企業は「AIの能力を活用して、プロセスを変革、効率を最大化し、深く刺さるユーザー中心のコンテンツを提供する可能性を得ることができる」。ではそのための阻害因子は何か? 英FTのコンサル企業による調査から3つのポイントから解説する記事。
日本にも「ニュース砂漠」は生じるか 愛媛の港町で民放が打った奇策:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「以前なら、できあがった原稿と映像は自分が所属するテレビ愛媛の本社(松山市)に送っていた。
だが今は、ライバルだった県内の他の民放3局(南海放送、愛媛朝日テレビ、あいテレビ)の本社にも一斉に届ける」。

——重要な試み。ニュース(報道)の健全性維持のためには、取材が完全に1本化されることは必ずしも良くないが、NHKと他局の連合報道というようなスキームは、悪くない。その先にはNHKの報道基盤を公共インフラ化するという発想もあり得る。

Non-news sites expose people to more political content than news sites. Why?
人々は近年、ますます“ニュース忌避”を強めている。とりわけ政治関連報道は嫌われている。米国を含む欧州3か国での調査から、ニュースサイト以外での政治ニュースへの接触が圧倒的に大きいことが判明。たとえばエンタメ、ショッピングサイトでの接触だとする研究が公開された。
「ニュースを盗む」生成AIで検索最適化、それをブランド広告が支える仕組みとは?
「『コンテンツファーム』は、ニューヨーク・タイムズなどのニュース記事を自動収集。生成AIを使って、検索エンジンで上位に表示されるように書き換えさせた上で、無断掲載していた。
盗用記事には主要ブランドの広告が掲載され、それらのサイトを支える仕組みになっている」。

——有名サイトでの報道記事を“学習”し、それを広告収入狙いのサイトで大量にニュース記事として公開する、新手のコンテンツファームの事例。面白いのはどうやってAI生成記事を見つけたかというと、ニセニュース中に生成AIのエラーメッセージがそのまま残存しているのを目安にしたということらしい。

生成AIの自社ルールの作り方 米AP通信の例 「“何をさせないか”を明らかに」
「AP通信は通信社であり、当然ながら生成AIの用途についても、配信する記事を執筆することの支援が中心になると考えられる。発表されたガイダンスも、そのユースケースを前提とした内容に限定されたものだ。しかしそこで示されている注意事項は、他の業界の生成AIユーザーにとっても参考となるものだろう」。

——老舗通信社APが定めたジェネレーティブAIをめぐる「ガイダンス」。小林啓倫氏が詳しく解説している。

Googleによる新たな検索体験。知りたいことを検索すれば生成AIが要約してくれるように
「AIが要約してくれた文章からさらに詳しく聞きたい場合は、追加で聞いてみましょう。
上の動画では『iPhone 15 予想』と検索して、生成AIによるまとめを表示しました。
これまでの聞こえてきたiPhone 15の噂から『新機種のモデル』『予想価格』『新たなProMotionディスプレイ搭載の可能性』などの情報をまとめてくれています」。

——あくまで試行運用と思われるが、“会話型AI検索”の姿が伝わってくる。調べたいことを深掘りしていくには向いていそうだ。一方で、知りたいことを知らない、という利用者にとってセレンディピティを与えるサービスの実装がより一層重要になる。

動画配信、ネット接続型テレビの市場広げる - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙に寄稿した記事が、日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ 動画配信、ネット接続型テレビの市場広げる。
JEPA|日本電子出版協会  2023年9月19日 藤村厚夫氏: 生成AIとメディアの現在、未来
【ご紹介】:
9月19日、オンラインセミナーで「生成AIとメディアの現在、未来」のお話をいたします。オンラインでどなたでも参加いただけるようです。

Disruption This Week—–1/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年8月28日から2023年9月1日まで。

出版状況クロニクル184(2023年8月1日~8月31日) - 出版・読書メモランダム
「上半期電子出版市場は2542億円、同8.3%増だが、電子書籍、電子雑誌は前年に続いていずれもマイナスで、やはり電子出版市場自体がコミック次第ということになる。
電子コミックは各ストアの販売施策、オリジナル作品の強化、縦スクロールコミックの伸長などによって成長が続いているとされる」。

——先ほど投稿したメディアドゥ幹部の論説と連関するファクト。電子書籍市場にイノベーションが起きていないという問題。

JEPA|日本電子出版協会  紙雑誌と電子コミックの現在が示す出版の未来
「ここからが本題です。電子コミックはなぜこんなに売上が伸びたのでしょう? 紙のコミックが電子に置き替わったというだけでは、市場全体が1.53倍になったことの説明がつきません。
…しかし私は、電子コミックの流通におけるビジネスモデルの革新が大きな理由のひとつだと考えています。合本によるまとめ買い、分冊による話売り、読み放題のサブスクリプションモデル、待てば無料などの連載、大胆な無料施策と価格政策、極めつけは縦スクロールという新しい形式です」。

——メディアドゥ取締役副社長 COOの新名 新氏の論。刺激的な内容。

Meta Removes Over 7,500 Facebook Accounts Linked To Chinese Influence Campaign
Metaは、米英・台湾などを標的とする中国政権の主張に沿った影響力キャンペーンに従事した「Spamouflage」と呼ばれるネットワークに属する7,704のFacebookアカウント、954のFacebookページ、15のFacebookグループ、15のInstagramアカウントを削除したことを発表。もちろん、過去最大級のネットワークと見られる。
東大発AIベンチャー、最大級の日本語LLM公開 metaの「Llama 2」を日本語化
「Llama 2の中では最も小さい70億パラメータのモデルを使用したが、性能評価では1750億パラメータを持つ『GPT-3.5 (text-davinci-003)』に匹敵するスコアを叩き出した。『日本語の公開モデルの中では最高水準の性能』」。

——日本語に特化したLLMが(複数)誕生するのは嬉しい。Llamaがベースになっているというのだから、Metaさまさまだ。ELYZAの公開(提供)方法については取りざたされた経緯がある。どのようなビジネスモデルとなっていくのだろうか。

The Washington Post lays off staff from tech arm | Semafor
米Washington Post、かつて同社の虎の子ともてはやされてきた出版システム「arcXP」など技術部門を密かに解体、主要メンバーを解雇していたと、米Semaforがスクープ。昨年、同システムをめぐっては売却案が取りざたされたがそれを同社は却下し、レイオフに踏み切ったわけだ。
メディア環境18年の変化「メディア定点調査」を一般公開|ニュースリリース|博報堂DYメディアパートナーズ
「今回の一般公開にともない、過去18年分の回答値を全体・性別・年代別に一覧できる数表(集計データ)と、時系列グラフを自動で簡単に作成できるプログラムを提供する。数表とプログラムは、同研究所のウェブサイトから、自由にダウンロードが可能」。

——ありがたい試み。ちょうど、総務省「情報通信白書」の過去からのデータ(転記してきた)をアップデートしようとしていたところ。このデータで代替できるわけではないが、この種のデータサービスが充実すると、メディアをめぐる論点が多様化する効果も期待できる。

フェイクニュースにだまされないための「予防接種」とは
「(ウィリアム・)マグワイアは、兵士たちを軽めのプロパガンダに晒すことで、捕虜になった際に受ける洗脳に打ち勝てるのではないか、という仮説を立てた。この仮説は、軍が戦闘の訓練を実施するのと同じように、兵士たちに思想に対する攻撃を事前に経験してもらうことで、洗脳に対する準備ができるだろうというものだ」。

——一般にいう「ワクチン」では、弱毒性もしくは無毒化した病原体を体内に入れることで免疫力を高めるが、ニセ情報に対しては「心理的ワクチン」が考えられるのではないか。これが「プレバンキング」(事前暴露)という手法だ。
ロシアによるウクライナ侵攻に際しても、米英は、しきりにロシアによる行動に先んじて牽制する行為を行っている。

The Markup Wins ONA Award in Technology Reporting – The Markup
ONA(Online News Association)、米テック系調査報道メディア「The Markup」に「2023 テクノロジー報道部門優秀賞(中小ニュースルーム部門)」を授与。対象は「Still Loading」。大手プロバイダーが米国内の低所得地域で差別的なサービス品質であると立証したもの。
音楽アプリ、Amazon首位陥落 課金誘導で利用者離反 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「音楽配信アプリの国内の勢力図が変わりつつある。アマゾンミュージックは、2022年11月に実施した有料会員向けの仕様変更が利用者の不興を買い、利用者数で首位から陥落した。代わってユーチューブミュージックがトップを奪い、スポティファイも勢いをみせる」。

——Amazonの仕様変更は、端的に収益増を狙ったもので、その観点から失敗だったと断定はできないが、利用者の期待値からこれだけずれたことを行える感覚はすごい。FTCが告発するプライム解約を困難にするダークパターン問題も含めて、寒々しい経営感覚が見えてくる。

How the EU Digital Services Act affects Facebook, Google and others
EU域内で8月25日より施行された「Digital Services Act(デジタル・サービス法:DSA)」。Facebook、X、Google、TikTokを含む40以上のオンライン大手が対象となる。この大きな動きを5つのポイントから概説する記事。

Disruption This Week—–25/8/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年8月21日から2023年8月25日まで。

生成AIによる「“新”証言」で物議 日赤、関東大震災100年企画の一部展示を取りやめ
「しかし企画内容が報じられると、SNSを中心に『証言を生成はない』『AIねつ造』『冒涜では?』など批判的な声が多く上がった。中には『数年後には史実として語られてそう』と心配する声もあった」。

——興味深い騒動だが、結局のところ、新たに創造したのだから「証言」という文言を使うのはウソだろう、ということのようだ。個人的には見てみたい展示。中止せずともキャッチコピーを変更すればいいのではないか。

Writer making six figures on Substack says 'I won't write for free anymore'
「もうタダでは書かない」——。英国で1,000名超の有料購読者を擁するニューズレター(=Substack)ライターへの取材記事。英国では現在、「数十人」のライターがSubstackで6桁以上の収入を得ているという。取材されたEmma Gannon氏はInsta、Xは購読者源としては最下位とする。
【下山進=2050年のメディア第6回】週刊「ダイヤモンド」女性編集長が経験する初めての右肩あがり | AERA dot. (アエラドット)
「(新編集長の浅島亮子氏は)デジタル有料化を社の政策とすることができず、NewsPicksに、編集部の中核メンバー三人を奪われたときには、『うちが「変われないオールドメディア」の烙印を押されたも同然』と愕然とした」。

——なんというかこの辺りのくだりは、“下山進節”的だ。自分はこの箇所を読んでいて、いよいよレガシーメディアと新興メディアの双方向でのヒトの往き来が生まれてくるのだと感慨を持った。悪いことばかりではない。

ユーチューブとUMG、AI対価支払いの仕組み開発へ
【有料購読者向け記事】:
「米アルファベット傘下のユーチューブは、生成人工知能(AI)ツールがアーティストの作品を使用した際にそのアーティストが対価を受け取る仕組みの開発に向け、音楽世界最大手ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)と手を組む」。

——水面下でAI大手とライツマネジメント側との協議が始まっているとの報道は、すでに紹介している。いよいよ浮上してきたようだ。本件は楽曲および関連する映像のAI利用に関するもの。アーティスト自身が直接関わるのではなく、レーベルなど中間業者がとりまとめる動きで、レガシーモデルだ。大きなカネが動きそう。

メタ、音声翻訳AIモデルを発表 数十言語に対応
「米メタ・プラットフォームズは22日、数十カ国語の音声を翻訳・文字化できるAIモデル『SeamlessM4T』を発表した。ブログで明らかにした。
このモデルは約100言語の文字・音声に対応し、35言語では完全な音声対音声翻訳も可能という。
メタはこのモデルを非商用利用向けに一般公開する方針」。

——ジェネレーティブAI版多国語翻訳機が現実のものに。デバイスも含めて同種機能はすでに存在しているが、精度が重要。また、メタはどのようなビジネス化をめざすのかにも関心がある。

Who’s hiring in Subscription Publishing
米英で購読戦略を推進する著名メディアの求人一覧。New York Times、The Economist、The Atlantic、The Information、Dow Jonesなど各社が求める人材スペックが見えてくる。この記事からより詳細な応募ページへの遷移もできる。
個人情報保護委「生成AI利用に注意」 事業者・行政機関向けにポイント解説
「サービス組み込み用の生成AIを提供する事業者などは、利用者が入力した情報を学習に使う場合もある。サービスの実装方法や規約によってはこれが個人情報保護法に触れる可能性があるため、確認するよう注意喚起したものとみられる」。

——いまも、そして今後も、ジェネレーティブAIをAPI経由で自社サービスに接続していくケースが増える。ユーザーもだが、その種のサードパーティ事業者も注意することが増える。

‘Don’t Put Your Head in the Sand’: Stars Are Quietly Inking Deals to License Their AI Doubles
【有料購読者向け記事】:
フォトグラメトリ(複数の2D画像から3D画像を生成する)技術を使い、ハリウッドスターたちが作品ごとに自身の人工的な複製(デジタルツイン)を許諾していることに気づいた人物が、スターのデジタルツインの永続的な権利販売ビジネスを見いだしたという経緯を詳細に追ったストーリー。
もちろん、それがジェネレーティブAI時代の新たな産業を生み出すことになるのだろう。
33歳のNewsPicks編集長「新しい発明を探索」動画で新境地:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「ユーザーとして必然だと思いませんか。スマホや5G(高速通信)で環境は整っています。情報感度の高いビジネスパーソンでも、『効率が良いのでテキストで』という人は一部だと思っています。僕自身、昔よりも集中しないと、テキストを読もうとはなりません」。

——“知ったかぶり”のような口の利き方はしたくないが、この一連のシリーズで語られていることは、ある意味で(ネット)メディアでの“常識”。それを朝日新聞が熱心に咀嚼している構図が興味深いと思っている。

「生成AIは著作権保護の検討が不十分」新聞協会など声明 「著作権法30条の4は大きな課題」
「学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる」「海賊版をはじめとする違法コンテンツを利用した、非倫理的なAIの開発・生成が行われる」「元の作品への依拠性・類似性が高い著作権侵害コンテンツが生成・拡散される」

——今後は、国内でのジェネレーティブAIをめぐる騒動は、著作権法第30条の4をめぐっていきそうだ。さて、法改正論議のテンポを世界が待ってくれるのだろうか?