Disruption This Week—–24/1/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年1月20日から2025年1月24日まで。

AI支援で非常事態宣言へ、現在の倍のエネルギー必要=トランプ氏
「トランプ氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で行ったリモート演説で、『AIがわれわれが望むほど大きく成長するために米国が現在保有するエネルギーの倍の量が必要になるというのが大きな問題だ』と述べた」。

——話題の「Stargate」は、そのまま巨大データセンター構築プロジェクトでもある。世界では情け容赦なくデータセンターの建設が進むが、最大の懸念は言うまでもなく電力の供給。日本でも規模に差異はあるにせよ、データセンター=電力供給は待ったなしなのだが、大丈夫?(国内のデータを、いつまでも海外の巨大ITに預けるのが得策かどうか)

OpenAIの新モデル「o3-mini」完成──サム・アルトマンCEOが報告 約2週間後にリリースへ
「o3はo1 pro modeよりも賢くなると説明。o3シリーズの上位モデルと思われる『o3 pro』の存在をほのめかす投稿もあり、ユーザーからの『o3 Proは月2000ドルになるのかい?』という問いに『いいえ、200ドルだ』と回答した」。

——その高度な推論能力で、“汎用人工知能に近づいた?”と話題の「oシリーズ」に、早くも次世代版「o3」が登場。その「mini」では、推論時間をぐっと縮めているらしい。人間一人雇うことを考えた上で、支払える月額を検討しなければならない時代がやってきそうだ。

メタ、第三者ファクトチェックを米国外では継続へ-「当面の間」
「『フェイスブック』や『インスタグラム』を傘下に置く米メタ・プラットフォームズは、同社が米国で運営するソーシャルメディア上では第三者によるファクトチェックを終了するとしたものの、国外ではそうした慣行を『当面の間』継続する方針だ。同社のグローバルビジネス部門責任者ニコラ・メンデルソーン氏が明らかにした」。

——記事のコンテキストが示すように、EUの法制によるモデレーション義務に従う方針を維持する方向のようだ。これも長く維持されるのかどうか。

SNSの光と影 MIXI笠原氏、AIエンジニア安野氏らに聞く 安野貴博氏/佐々木裕一氏/笠原健治氏 - 日本経済新聞
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東京経済大学教授 佐々木裕一氏:「SNSで似た意見にばかり触れるエコーチェンバー効果に対する専門家の見方は定まっていない。むしろ、多様な情報に触れてもゆっくり考えず、物事を単純に判断するようになったことが問題だ」。

——このコメントには同意。世の“識者”やそのコメントを鵜呑みにする(一部の?)記者らは、口を揃えて「アルゴリズム=悪」論を説くが、その根拠は単純なレコメンデーションを指しているケースが多い。佐々木氏らの研究でも、YouTubeアルゴリズムは、そんな単純なもの(お好きな話題をたらふく的な)でないことは示されている。
佐々木氏の引用箇所は、それよりも、大量の情報の処理に対して脊髄反射を続けることの問題点を指摘する。カーネマンらが指摘した“速い思考”の弱点が、大いなる問題なのだろう。

The Playlist Power Broker Who Makes or Breaks New Artists
【有料購読者向け記事】:
音楽配信サービスSpotifyは、ユーザー(リスナー)に推奨する新楽曲を、アルゴリズミックに抽出するのに加え、社内に130名に及ぶプレイリスト・キュレーターを運用している。記事は、そのチームリーダーSulinna Ong氏に取材、その活動を紹介するものだ。
「ロシアのフェイク工場」Facebookに偽広告配信、欧米制裁の中で8,000件超、5,000万円分
「私たちは、『ソーシャル・デザイン・エージェンシー』が作成したプロパガンダ広告が2023年7月に欧州連合(EU)から制裁措置を受けた後も、EU域内だけで12万3,000回以上クリックされ、それによるメタの収益は最低でも約33万8,000ドルに達したと推定している」。

——平和博さんの投稿から。「ソーシャル・デザイン・エージェンシー」とは、ロシア企業で最近つとに悪名を馳せている影響力工作グループ「ドッペルゲンガー」の後ろ盾となっている組織。
ポイントは、影響力工作に用いているFacebookアドは、こんな小額の予算で、それなりの影響力を及ぼしているらしいということ、そして、そんな小額広告をいちいちチェックして、排除するつもりのないプラットフォーマーということだ。

Fox News Prepares to Cover a Government Filled With Fox News Alumni
【有料購読者向け記事】:
「19人……それ以上」。Trump新政権のスタッフに登用されたFox News出身者(元司会者、コメンテーター、プロデューサー)の数だ。過去これほどまでに時の政権と結びつきの強いメディア企業があっただろうか? と指摘する記事。
アングル:欧州勢が独自の検索サービス確立へ奮闘 米巨大ITに対抗
「広告収入の大半を植林・森林再生活動に振り向けているドイツのユニークな検索エンジン『エコシア』を率いるクリスチャン・クロール氏は、米巨大IT企業頼みになっている欧州の検索サービスに懸念を抱いていたが、今はグーグルやマイクロソフトに対抗する新たな手段を手に入れた」。

——クロール氏らとこの事業を創業した「アベカシス氏はトムソン・ロイター財団に、マイクロソフトが23年2月にビングの検索データの対価を引き上げたことが転機になったと明かす」ということだ。つまり、エコ云々というだけでなく、経済安全保障の側面からも、検索結果の自前生成は重要課題だとする。

サイバー防御法案の概要判明 攻撃無害化、独立機関が事前承認 24日招集の国会に提出へ
「政府は経済安全保障推進法で定める基幹インフラ15業種の事業者らと協定を結び、通信情報の提供を受ける。情報漏洩には罰則を科す。事業者側にはサイバー攻撃による被害報告を義務付ける」。

——議論を行ってきた有識者会議の最終的な提言では、監視する通信については「メタ情報にのみ限定」ではないとする、微妙な守備範囲の拡大を示唆していたと理解する。その微妙な部分は、技術的な拡張なのか政治的な要請なのか、確認したいと思っている。

TikTok、サービス再開へ-トランプ氏は禁止法施行の延期を表明
「同社は『1億7000万人余りの米国人にTikTokを提供し、700万超の小規模企業を繁栄させることにペナルティーは科されないと、トランプ大統領が当社のサービスプロバイダーに明確に保証したことに感謝する』と、X(旧ツイッター)に投稿した」。

——すでに米国内でTikTokが復旧を始めているとの報道も出てきた。なんともいえぬ、ドタバタ感。

Disruption This Week—–10/1/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年1月6日から2025年1月10日まで。

Google's Daily Listen AI feature generates a podcast based on your Discover feed | TechCrunch
Google、Discover(ユーザー向けに最適化されたコンテンツ配信システム)コンテンツを、5分程度に要約した音声コンテンツ「Daily Listen」をテスト中。AndroidおよびiOSアプリとして、利用登録した一部ユーザーに配信をしているという。興味深い動きだ。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2025

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2025
毎年初に発表されるReuters Institute(ロイター・ジャーナリズム研究所)の「ジャーナリズム、メディア、テクノロジーのトレンドと予測」2025年版が公開。
51か国と地域65人の編集長、63人のCEO、または経営責任者を含む326人のデジタルリーダーのサンプルを対象に調査を実施。情報は多岐にわたるので、今後、何回かに分けて紹介していこう。
「ミラーフェイス」によるサイバー攻撃、中国の関与が疑われる-警察庁
「2019年ごろから国内の組織や事業者などを対象に行われたサイバー攻撃を巡り、警察庁などが8日、『MirrorFace』(ミラーフェイス)と呼ばれるグループが実行し、中国の関与が疑われる組織的な活動であると発表した」。

——言い換えれば、中国から3年もの間、ハッキングされっぱなしだったということ。記事には警察庁からの詳細な発表文がリンクされている。

Thousands of documentaries are fueling AI models built by Apple, Meta, and Nvidia
「何千本ものドキュメンタリー映像作品が、Apple、Meta、Nvidiaらが構築するLLMなどAIモデルの学習データとして用いられている」。ドキュメンタリー映像作品にお広く使われる字幕情報を抽出してAI学習に利用されていると、米The Atlanticが調査結果を11月に公表していたことを解説する記事。
メタ、第三者のファクトチェックを米国で廃止-検閲「行き過ぎ」
「フェイスブックやインスタグラムなどを傘下に持つ米メタ・プラットフォームズは、同社が米国で運営するソーシャルメディア上では第三者によるファクトチェックを終了すると明らかにした。今後はユーザーが投稿の正確性についてコメントできるコミュニティーノート方式に切り替え、表現の自由を促進するとしている」。

——米Trump大統領政権への最適化をめざすMeta。すでに紹介したように政策担当を、共和党寄りの人物へと切り替え、さっそくその姿勢を、ファクトチェック分野の方針で示した。今後は、投稿をめぐる意思決定のためのボードメンバーの変更にも手をつけるだろう。

日本語LLMの「実力」は? AI Model Score
【有料購読者向け記事】:
日本語対応LLMをベンチマーク。総合力評価では、1位 OpenAI o1およびpreview、2位Claude 3.5 Sonnet、3位Gemini 2.0 Flashというところ。NIKKEI Digital Governanceの購読者向けサービス。
Google sends funds to journalism collective in exchange for Online News Act exemption
Googleは、カナダで施行されたオンライン・ニュース法の免除と引き換えにカナダの報道機関に支払うことに合意。1億ドルを、その資金を分配するために設立されたジャーナリズム団体へ送金。これにより法の強制課金を5年間免れることができる。
Advertisers Keep Avoiding News Sites, and Publishers Have Had Enough of It
【有料購読者向け記事】:
プログラマティックな広告掲出システムに染まった広告業界。広告主(ブランド)側はキーワード指定の掲出禁止を多様しており、結果、一流メディアでも掲出が自動的に拒否される流れに、Washington Postでは4割の記事が禁止対象だとの証言が紹介されている記事。
日経グループ2025年の主な事業 - 日本経済新聞
「今春以降、日経電子版の有料会員向けに主要なニュース記事で提供します。対象記事に関連して『ニュースの背景には何が?』『今後の影響について教えてください』といった読者が知りたくなる質問を、生成AIが記事下の部分にあらかじめ用意します」。

——単に質問されそうなテーマを用意するだけでなく、「に追加で聞きたいことについてご自身で質問内容を入力して尋ねることもできます」ということだ。AIを積極的に利用して、より“情報(提供)サービス”化の姿勢を強めるのは、新聞に求められる発展の方向性のひとつだろう。

年頭のご挨拶:2025年のPublickeyも、読者が安心して記事を読めるように適切な広告だけを掲載します
「2025年の最初の記事として、Publickeyは今年もこの広告掲載の方針を変えることなく、不快な画像の広告や誤クリックを誘うような邪魔な広告、さらには詐欺サイトへ誘導するような広告などが掲載されないように運営していくことをご報告させていただきます」。

——明けましておめでとうございます。本日から、投稿を再開します。
まず最初に紹介するのが、Publickeyの広告掲載ポリシー。
メディアには、「コンテンツを見れば(読めば)、その質はわかるはず」とするだけではなく、その姿勢や取り組みを明文化して、信頼を得る努力が求められる。そうすることで高い評価を印象づけられる。

Disruption This Week—–27/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月23日から2024年12月26日まで。

1 000 and 4 000 days of deception: Russia’s evolving information manipulation - EUvsDisinfo
「直接的なプロパガンダからデジタル欺瞞へ。
EUの制裁と国民の懐疑心の高まりに直面し、ロシアのプロパガンダ担当者たちは、西側の声になりすますことで、西側の聴衆に接触する新しい方法を開発した…」。

——欧州対外行動庁(EEAS)による、ロシアのEU(関連)諸国への工作を取り扱うサイト「EUvsDisInfo」より。世の中では、AIを用いた「ディープフェイク」に関心が集まるが、より洗練された情報工作が台頭している。記事はそのような事例を紹介する。

Forbesも陥った広告目的サイトの甘い蜜 MFA事例解説 – 日経デジタルガバナンス

NIKKEI Digital Governance(日経デジタルガバナンス):デジタル・AI時代のガバナンスを伝える専門メディア

Forbesも陥った広告目的サイトの甘い蜜 MFA事例解説 - 日経デジタルガバナンス
【有料購読者向け記事】:
「MFAサイトは、検索エンジンやソーシャルメディアからトラフィックを集め、表示される広告によって収益を得る仕組みだ。しかし、MFAの急増により広告主には無駄な広告費の発生やブランドイメージの低下といった負の影響が拡大しており、広告市場の健全な成長を阻害する要因となっている」。

——「メード・フォー・アド(MFA)」、つまり、広告目的のためだけに作られ、運用されるWebサイトの解説記事。AIや自動クローラなどで、手軽にコンテンツWebサイトを作りだす技術が進展、ここにネットワーク型広告を配信するだけで、手軽に収入を得られる。個人的には、この種のサイトと純然たる商用Webサイトの境界線が曖昧化していることも、事態の背景にあるのだろうと見る。一般の利用者も、コンテンツの集積体としてのメディアに関心を持たないので、検索一発で答え(らしきもの)に出会えれば、満足ということなら、この種の詐欺サイトが減る理由がない。

Kara Swisher Just Wants a Meeting With Jeff Bezos – Washingtonian

Washingtonian – The website that Washington lives by.

数日前、米Axiosがテック系ジャーナリストの大物、Kara Swisher氏が(投資団を組成し)米Washington Post買収を計画と報道。その計画をめぐって、WashingtonianのシニアエディタAndrew Beaujon氏がSwisher氏にインタビューした記事。その意図や勝算を語って面白い!
Universal and Amazon Music Strike Deal to Collaborate on Streaming 2.0, Audiobooks and AI Protection
米Universal Music Group(UMG)およびAmazon Music、UMGが発表している「Streaming 2.0」戦略、AIからの保護、そしてオーディオブック事業などの点で合意、提携を発表。Streaming 2.0は規模の追求ではなく、各種購読や物販、アーティスト支援などで付加価値増をめざすもの。
Apple faces calls to remove new AI notification feature on iPhones after it generated inaccurate news summaries
米AppleがiOS 18.2に搭載された新機能「Apple Intelligence」をめぐる批判に直面している。Appleに批判を向けているのは、すでに紹介したBBC、そして「国境なき記者団」だ。いずれもオリジナルのニュースを不正確に紹介(プッシュ)したとされる。
Washington Post announces start of third newsroom - Talking Biz News
米Washington Post、従来から計画を公表してきた「第3の編集部」を立ち上げるべく、新事業部門WP Venturesを組成、責任者を指名した。新部門は新フォーマット(動画、音声、ニューズレター)などを手がけると、社員向けに通知した。
エヌビディアだけでないAI特需の恩恵、レディットやパランティアも
「トゥルイスト・アドバイザリー・サービシズの株式戦略マネジングディレクター、スコット・ユシャック氏は『最初の受益者でなかった企業も成長を経験し始めた。テック業界では現時点でAIが選好されているが、25年にはテックの選好対象が広がると期待している』と説明した」。

——AIブームの余波が、各種関連企業に飛び火している。AI関連半導体やソフトウェアを開発する度真ん中から、ジェネレーティブAIの学習用にコンテンツを来戦するReddit、AIを使った軍事分析システムのPalantir Technologies、発電などを手がけるVistraなどが株価を伸ばしているのだという。

Entertainment and Media Suffers Another Major Blow in 2024 With 15,000 Job Cuts
米メディア業界、依然として深刻な雇用環境が続く。——雇用動向の調査などを行うChallenger, Gray & Christmasに依れば、2024年12月中旬までに、放送、テレビ、映画、ニュース、ストリーミングの分野で14,909の雇用が失われた。23年は21,417であり、多少の改善に過ぎない。
記事はその複雑な背景に言及している。ひとつは顕在化したメディア企業(事業)の統廃合、M&Aなどの動きがある。
Google検索、公正取引委員会が独占禁止法違反を認定 初の排除措置命令へ - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「公取委はグーグル側の意見を聴いた上で最終的な処分を決める。公取委は取引の見直しを求めるとみられ、グーグル側の対応が焦点となる」。

——Googleがどのような対処策をとるかはまだ不明。ただ、これまでの取引慣行を改める程度のことになるのだろう。

UK data regulator criticises Google for ‘irresponsible’ ad tracking change
英国のデータ保護規制当局、Googleが先週発表したフィンガープリンティングを広告主に提供するという従来の方針の変更に「無責任」と批判。同社は従来、ユーザー保護の観点からフィンガープリンティングのターゲティングへの利用に慎重だった。

Disruption This Week—–20/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月16日から2024年12月20日まで。

日本新聞協会、生成AIと著作権保護「新たな法整備を」 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「生成AIの普及に伴い偽・誤情報の拡散が社会問題となっている。協会によるユーザー調査では『約6割が誤った回答が表示された経験を持つ』との結果が出ており、背景には『無秩序なデータ収集』があると指摘した」。

——日本新聞協会による、政府推進案に対する見解。協会自身が掲載したページより、日経に依るこの記事の方が読みやすい。協会、すなわち新聞業界が警戒する関心事は、検索に近いポジションでAIが報道される情報のつまみ食いをしてしまうことのようだ。

Webは消滅に向かっている——。米Pew Researchによれば、2013年にはアクセス可能だったWebページの38%が、今ではアクセスできない。ある大学の研究者らによれば、2025年までに地方ニュースサイトの3分の1が失われるという。技術的欠陥、そして情報を消したがる動きも原因だ。
メタ、来年の米広告収入はインスタグラムが半分超の見通し=調査
「調査会社イーマーケターは調査で、米メタ・プラットフォームズの2025年の米国での広告収入は写真共有アプリ『インスタグラム』が半分超を占める見通しを示した。メタは主力商品の改善を通じて広告を増やし、売上高を拡大する取り組みを進めている」。

——なぜ、この予測が話題となるのかと言えば、ライバルで短尺動画アプリの筆頭アプリTikTokが米国で禁止される(あるいは所有権が動く)可能性が高まっているからだ。記事にはInstagram広告の内訳などが詳しく紹介されている。

More than 140 Kenya Facebook moderators diagnosed with severe PTSD
140人以上のケニア人Facebookモデレーターが重度のPTSDと診断され、アウトソーシング元のMetaとアウトソーシング先企業Samasource Kenyaに対して元モデレーターらが訴訟を提起との報道。モデレーターらは過激な動画像に繰り返し晒されていたとする。
IT技術者「自由な働き方」に盲点 サイバー攻撃の標的に 編集委員 須藤龍也 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「ディレクターを名乗る人物から「スキルをテストしたい」と通販サイト構築アプリのプログラムコードが送られてきた。男性がパソコンで実行したところ、セキュリティーソフトがウイルスを見つけたと警告を発した」。

——衝撃なのは、記事が「石川氏によると今回見つかったウイルスから、ハッカーの狙いは第一に仮想通貨など金銭目的だと推察する。ただ、男性のパソコンを乗っ取る機能も見つかっていることから、パソコン内部の機密情報を盗み取る目的もあるとみる」と続くこと。被害に遭いかけた技術者は、会社貸与のPCを使って、“スキルテスト”プログラムを走らせていたという。

AIの次なる飛躍、「長時間思考」に備えよ
【有料購読者向け記事】:
「長時間思考とは(少なくとも最大限に活用された場合では)文字通りの意味を持つ。長時間思考AIモデルは、生成する結果を「熟考する」ためにもっと時間をかけるように設計されている。進行状況を知らせ、途中でフィードバックを求めるほど賢くなるだろう」。

——OpenAIの長時間思考モデルが、「o-シリーズ」。「回答する前により長く考え、複雑なタスクを論理的に捉え、『科学、コーディング、数学の分野で、従来モデルよりも難しい問題』を解決するよう設計されている」という。

EU、TikTokの調査開始 選挙介入巡る疑い
「欧州連合(EU)欧州委員会は17日、11月のルーマニア大統領選などで選挙介入を抑制しなかった疑いがあるとして、中国の字節跳動(バイトダンス)傘下の短編動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』に対する正式手続きを開始した」。

——これはすでに紹介した。国内大手紙でも論じている話題。これから注目されるのは、単にTikTokが適切な偽誤情報を含む政治コンテンツに対して適切にモデレーションするのを怠った、以上の、影響力工作方法上の新たなアプローチがあるのかどうかだろう。

More YouTube viewers are watching on their TVs | Semafor
YouTubeの視聴が、CTV(コネクティッドTV)上で急上昇。多くのクリエイターは4Kベースの(CTV向け)コンテンツで収益を伸ばしている——。同社幹部のKurt Wilms氏が述べた。「収益の大半をリビングルームのデバイスから得ているクリエイターの数は、前年比で30%増加」。
メタが新AIモデル公開 メタバースのアバター動作がリアルに
「メタは12日、人工知能(AI)モデル『Meta Motivo』をリリースすると発表した。メタバース空間でのキャラクターの動きをコントロールし、自然な動作を可能にした。
Meta Motivoはデジタルアバターによく見られる体の動きの問題を解決し、よりリアルで人間らしい動きを実現すると説明した」。

——ようやくMeta社は、AIに先行して全力を傾注してきたメタバース戦略とAIの接点を創りだすところにまでこぎ着けたようだ。今後は同社のアドバンテージが生きてくるのかもしれない。

Patrick Soon-Shiong's controversial shakeup at the L.A. Times:  'Bias meter,' opinion upheaval and a call for growth
米著名メディアの一つ、L.A. TimesのオーナーPatrick Soon-Shiong氏の言動、行動が話題だ。同紙がHarris大統領候補の支持を表明するのにストップをかけ、同紙記事のバイアス度を表示するメーターを設置しようとする。同氏へのインタビューをL.A. Times自ら行った。

Disruption This Week—–13/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月9日から2024年12月13日まで。

New dimensions for news storytelling
AI時代の情報へのインターフェイスを研究するGoogle LabsのKawandeep Virdee氏、彼が考えるLLMが貢献できる新たなアイデアを紹介。同じ記事を読者が自由にその長さを調整して読める「Zoom Summaries」や記事の情報をツリー化して読める「Summaries Tree」など興味深い。
ElevenLabs' AI voice generation 'very likely' used in a Russian influence operation | TechCrunch
米セキュリティ調査企業Recorded Future、最新の報告書で、ジェネレーティブAIによる音声合成サービスを手がけるElevenLabsの技術が、ロシアの影響力工作に用いられていると報告。一連の工作は欧米によるウクライナ支援の無意味さを印象づける目的で、同社サービスを用いている。面白いことに、ElevenLabs自身が提供する悪用検証ツールで確認された。

News websites hit an evolutionary dead end
進化の終わりに直面するニュース(Web)サイト。米Nieman Lab恒例の「2025年のジャーナリズム予測」企画がスタート。多くのメディア関係者がオピニオンを寄せる。本論は、Webページの現在のダメダメぶりを列挙。論者は新聞のPDF版をWhatsAppで配布する試みをアフリカで実施している。
Top 'Washington Post' editor kills article on deputy's departure
大統領選での支持表明を、オーナーの一声で取り消した米Washington Post。その同紙が依然として揉めている。今度は、抗議の意思もあったのだろう編集長Matea Gold氏退任の報を、現編集長代行が差し止めたことでさらに揉めている。理由は、「新聞は自身をカバーしない」だ。
極右台頭のルーマニア大統領選、フェイスブック上で組織的宣伝か
「フェイスブックの親会社、米メタ・プラットフォームズが、ルーマニア大統領選を巡り親欧州連合(EU)の野党党首ラスコーニ候補を攻撃する3600件余りの政治広告のフェイスブック投稿を許可し、カリン・ジョルジェスク候補ら極右の宣伝に寄与していたことが調査で示された」。

——異常なまでのTikTokの活用で、無名の存在が大統領候補の筆頭に、ということで話題になった人物。当然のことながらTIkTok一本でということはなく、いわゆるSNSの総合的な活用という構図が徐々に明らかになっている。もちろん、これが違法なのかどうかだが。

NVIDIA協力のバーチャルヒューマン「AI imma」とは何者か。日本語で会話を体験
「人がマイクを通じてAI immaに話しかけると、自動音声認識(ASR)システムを用いて音声をテキストに変換。そしてそのテキストに基づき、大規模言語モデル(LLM)で回答を生成する仕組みになっている。
日本語のテキストに対してはOpenAIの『GPT-4o』、英語のテキストに対してはグーグルの「Gemma」を使用している」。

——アイデアとしてはそう新しいものではないが、なかなかのできであるバーチャルヒューマンのアイドルが、AIによる双方向コミュニケーションを果たす。興味をひくのは、引用したように複数のAIサービスを繋ぎ込んで運用していること。AI応用の商業サービスにはこのようなアプローチが一般化していくのだろう。

アルゴリズム主導の広告が成長
「レポートの冒頭には『The dawn of the algorithmic era for media』という見出しがあり、ブロードキャスト時代(broadcast era)、プレシジョン時代(precision era)を経て、アルゴリズム時代(algorithmic era)が到来しているとしている」。

——「いまさら」という思い、同時に、コロナ禍後の広告市場の改めての成長動因を考えさせられる。

スタバやマクドナルドが独自の動画プラットフォームを持つ時代になる? | ネットフリックスやアマプラなどの動画配信の勢力図が変わる
「マクドナルド、スターバックスに次ぐ全米3位の外食チェーン『チックフレイ』が独自の動画配信プラットフォームを開始するのではないかと米メディア『CNBC』など各メディアが報じていた。主要な制作会社やスタジオと提携し、アニメ、リアリティショー、ゲームショーなどを制作しており、1エピソードにつき約40万ドル(約6000万円)の予算を費やしているという」。

——ブランド価値の増大という意味だけでも、一定の効果はあるだろう。問題は投資対コストだ。OTT時代に入って、その投資対コストの基本構造は、少なくとも配信自体のコストでは見合いやすくなっている。

「Xのアルゴリズム」は数日であなたの政治的意見を変えられる――米スタンフォード大が1000人以上で検証
「実験では、Xのユーザー1256人の協力を得て10日間実施。ブラウザ拡張機能を使用してフィードをリアルタイムでコントロールし、敵意コンテンツ投稿への接触を意図的に増減させた。
参加者は2つの実験群に分けられ、一方は敵意コンテンツへの接触を減らし(727人)、もう一方は増やす(529人)設定にした。実験の最初の3日間は通常のフィードを見せ、その後の7日間で介入を行った」。

——掲載論文に付された概要が分かりやすい。「アルゴリズムによってキュレーションされたフィードにおいて、参加者が(反民主的態度や党派的反感を表現する)AAPAに触れる機会を増減させた。 その結果、AAPAへの露出を減らすと肯定的な当事者感情が高まり、AAPAへの露出を増やすと否定的な当事者感情が高まることが観察された」ということ。「AAPA」を識別するLLMがあれば、これで利用者の政治的なスタンスを相当程度に左右できるというわけだ。

L.A. Times Owner Plans ‘Bias Meter’ Next to Coverage
【有料購読者向け記事】:
米国の富豪、Patrick Soon-Shiong氏、同氏が保有するL.A. Timesの記事に「バイアスメーター」を表示させると、インタビューで述べた。記事執筆者の“確証バイアス”の度合いをなんらかの手法で 計測し表示。記事偏向の可能性を伝えるというもの。
これはメディアのオーナーが、自らが保有するメディアの偏向の可能性を指摘するという動機に基づくもので、いささか不思議な動きだ。