Disruption This Week—–12/8/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年8月8日から2022年8月12日まで。

Q&A: Tim Armstrong on Web3, data and the 'bundling' of consumers
元AOLトップのTim Armstrong氏、同氏の得意分野である広告においてWeb3のトレンドが果たすだろう役割を予言。「Web3では、消費者を中心にバンドルが行われるようになる」。ユーザID(ログイン)の9割がWeb3技術で占められるという。
また、ストリーミング勢力の大手が次々と広告表示に乗り出しているのは、いまだ伐採されていない膨大な原生林が広告に供されることになるとする。
Why Investors Value a BeReal User Double That of Snap
【有料購読者向け記事】:
新興企業(上場、未上場を問わず)を同一基準(1DAUの金額評価)で評価すると? 現在急成長中の新たなソーシャル写真投稿アプリ「BeReal」が、投資にとって上場企業Pinterest、Snapを大きく上回った。BeRealは、1日1回ユーザに“盛らない”写真投稿を促す面白い趣向のサービス。写真を加工したりさせず、待ったなしで自らと周囲の風景などを同時に撮影させる。
Midjourneyを使って考えた「AIとクリエイティビティ」
「クオリティはかなり高いと思う。
もちろん絵のテイスト、というかモチーフには一定のベクトルがあり、言葉を飾らずにいえば『アメリカのコンテンツ企業でイメージボードに描かれる絵、それもゲームやSFなどのエンタメに偏っている』印象がある」。

——すでに話題になっている「Midjourney」。モチーフをテキスト入力すると、AIがこれを作画してくれる。引用したような“偏り”はこれまで学習していた膨大なデータにおける傾向を反映しているのだろう。さて、これがこのさきにどんな社会的な影響をもたらすのだろう。

Disney surpasses Netflix in global paid streaming subscribers
米Walt Disneyが第2四半期業績を開示。注目のストリーミングDisney+は1,440万人の加入で1億5,200万人に到達。HuluとESPN+を加えた同社のストリーミング加入者数は2億2,110万人で、Netflixの2億2,070万人をわずかながら上回った。また、広告表示付き廉価版Disney+も同時に発表した。
米国の若者が最も使うサービスはTikTokよりもYouTube──Pew Reseach Center調べ
「使っている若者が最も多いサービスは米Google傘下のYouTube。調査対象の95%が利用していると答えた。次は中国ByteDance傘下の米動画共有サービスTikTokで67%、米Meta傘下のInstagramが62%で3位、米SnapのSnapchatは僅差の59%で4位だった」。

——米Pew Research調べ。2014−15年、2018年、そして今年と遷移が伝わる記事。Facebookの下落が顕著だが、それは織り込んだInstaやWhatsApp買収だったのだろうが、YouTubeそしてTikTokの人気ぶりはそれを上回るものだった。

The survival guide for digital media and its investors
米Axiosが最近の米メディア企業をめぐる買収等イグジットを整理。自らの売却も含んでいる。規模とマルチプルからその成否が見えてくる。専門性とニッチ分野への焦点がポイントで、SNSによる規模追求は意味を失っているとも。読者と直接的な関係を構築した企業が有利だとする。
It’s Getting Harder to Hit 1 Million Followers on TikTok (Chart)
【有料購読者向け記事】:
100万人以上のフォロワーを擁するTikTokerが減少傾向に。1年前に比し4割もダウン。SNS関連データを調査するTrendpop調べてわかった。フォロワー100万人に届かない規模のインフルエンサーも減少傾向。短尺動画市場もレッドオーシャン化か?
NYT plans advertising expansion into non-news products
米New York Times、改めて広告事業に注力すべくAmazonから担当幹部を採用。有料購読者は900万人にまで成長したが、「毎月広告表示のあるコンテンツに触れる無料の読者は1億3,500万人」と遙かに大きいと記事は解説する。ファーストパーティデータの生かしどころというわけだ。記事を開くと、わかりやすいチャートがあるので、ぜひ参照を。
Axios Agrees to Sell Itself to Cox Enterprises for $525 Million
創刊5年目の新進気鋭の米メディアAxiosを、米ファンドCox Enterprisesが買収。時価総額 は5億2,500万ドル(2022年のAxiosの売上高は約1億ドル)。昨年、独Axel Springerからの買収打診では4億ドル程度の評価だったと記事は書いている。
Coxは家族経営の在アトランタの非上場ファンドで地方メディアへの投資を経験。Axiosの創業メンバーらはその地位に留まるという。
ネトフリ変節の内幕、広告付きプランを急いだ訳
【有料購読者向け記事】:
「春にこの計画を発表し、契約獲得合戦を演出。アルファベット傘下のグーグル、ケーブルテレビ(CATV)大手コムキャスト傘下のNBCユニバーサル、ダークホースのマイクロソフトが参戦した。ネットフリックスの目標の一つは、大きな『最低保証』を獲得し、多額の広告収入を確約してもらうことで財務リスクを抑えることだった」。

——記事はNetflixが広告表示バージョンを投入するに至るまでの複雑な経緯を裏側から明かすもの。Netflixは広告市場参入にあたり、数々のパートナー候補と会い、参考になる情報を得ていた。あまつさえ、強力なパートナー候補であるComcastの上級職を引き抜こうとして、マナーを知らないとまで怒らせていたそうだ(笑)

iPhone誕生15年、メディア産業を揺さぶるスマホ社会(写真=共同)
【ご紹介】:
日経電子版に連載コラムが掲載されました。振り返ればiPhoneが誕生して15周年。なにもかも変えまくってしまったスマホですが、影響力の根幹を考えてみました。よろしければどうぞ。
Web3とニュースの未来 SlowNewsイベントレポート - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。SlowNews代表の瀬尾氏とスマニューラボ取締役研究員の佐々木がWeb3でニュースの未来はどう変わるか? を議論しました!
国会議案データで「ワードクラウド」を作ってみよう - Media × Tech
【ご紹介】:
「Media×Tech」から新着のご案内。私も所属するスマートニュースメディア研究所のプロジェクト「国会議案データベース」の公開。これを研究所のスタッフ荻原和樹さんが「ワードクラウド」化する手法を解説しました。アウトプットには時代が刻印されています。プログラミングに興味のない方でも、このワードクラウドを眺めて見るとなにか伝わってくるはずです。
Consumer Reports chief content officer Bounds is departing for Smart News - Talking Biz News
【ご紹介】:
米Consumer ReportsのvpおよびCCO(チーフコンテンツオフィサー)だったGwendolyn Bounds氏がSmartNewsのコンテンツ部門の責任者に就任するとの報。Vice President of Content & Chief Journalistの Rich Jaroslovskyが紹介している。

Disruption This Week—–5/8/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年8月1日から2022年8月5日まで。

「パブリッシャーは、スリーパー購読者や購読者ベースの幅広いエンゲージメント率を正確に把握するために、すべての関連チャネルとタッチポイントでのエンゲージメントを考慮する必要があります」。

——すでに紹介しているが、購読基盤提供事業のPianoが発表したリポートで、“休眠購読者”(活動していないが購読料を払い続けている人々)の比率が4割を超えるという問題。その実態の正確な把握から、対策を施していくべきとする実践的な記事。“寝た子を起こすな”的姿勢は、長期的に見てメディアの利益にならないという前提の議論だ。

Mobile users now spend 4-5 hours per day in apps – TechCrunch
各国のスマートフォン利用、新型コロナ禍を経てもアプリ利用時間は依然として(ゆるやかに)成長中。日本を含む世界13か国で、1日当たりアプリ利用が4時間以上。アプリ関連情報分析のdata.ai(旧App Annie)調べによる。
In tough conditions, business at The New York Times continues to thrive - Poynter
米New York Timesの第2四半期業績が公開。同期にデジタル(のみの)購読者を18万人追加。だが、デジタル広告収入は減少。注目は買収したThe Athleticの業績寄与だが、同部門の赤字により全社利益は減少。この期から同社はニュースとその他の購読とマージしてのみの発表へと変更。要するに、ニュース購読意欲の減少を上回るその他(スポーツ、料理、ゲームなど)購読意欲を重視する業績向上をめざす路線を明瞭にした。
Two new Hollywood newsletters are betting they've got the town covered
米ハリウッドのお手盛りメディア生態系を打ち破る? 批判的なリポータらが、投資資金も得てニューズレターを舞台に新興メディアとして活動。さまざまな偏見文化が浸透しているこの業界に2017年開設の「Ankler」で切り込むRichard Rushfield氏らを取材した記事。
IPアドレスに依存する CTV 広告、規制強化のリスクに直面:「IPアドレスは次のサードパーティCookieだ」 | DIGIDAY[日本版]
「良いニュースと悪いニュースがある。前者は、事実上の識別子としてIPアドレスにいつまでも依存してはいられないという認識が、CTVの広告業界に浸透しつつあること。後者は、業界の趨勢がいまだIPアドレスに依存していることだ」。

——TVのような固定設置型機器であれば、IPアドレスは追跡の精度をある程度確保できるということか。視聴“調査”に使われているらしい。もちろん、CMのパーソナライズも可能だろう。だが、このような識別子を断り亡く収集し、利用することへの圧力は高まっている。IPアドレスの利用もCookie相当のものとなっていくのだろう。

オープンAI、文章から画像を描く「DALL-E2」を100万人に提供
「オープンAIは、DALL-E 2でジェンダーと人種のバイアスに対処したことが、本格的な公開に踏み切る自信につながったと述べている。しかし、これが最終結論ではない。AIにおけるバイアスは悪質かつ解決が難しい問題であり、同社は新しい事例が発生するたびにモグラ叩きのように修正を続けなければならないだろう」。

——GPT-3から発展した自動画像生成システム「DALL-E(ダリー) 2」がいよいよ商用テストに。ちょっと使ってみたい気も。問題は、“ハンドラの匣”を開けるように、さまざまな問題を引き起こすだろうということ。

Bad Algorithm! How to Retrain Your  Social Media Feed
【有料購読者向け記事】:
「アルゴリズムには挙動不審な点がある。SNS界のあちこちで、最近レコメンデーションエンジンが紡ぎ出すコンテンツに不満の声が上がっている」。
アルゴリズムの劣化が進んでいるらしい。対する利用者がどうアルゴリズムを調教するか(それは小犬のトレーニングのようなものだという)実践的手法のあれこれを解説する面白い記事。手間(と時間)をかけただけ賢くなるが、悪くなるのもあっという間だとする。
Facebookがついにニュースを見限った、その3つの理由とは?
「フェイスブックは2022年2月、『ニュースフィード』から『ニュース』という文言を削除し、ただの『フィード』へと名称変更をした。
さらに7月には、その『フィード』もメインのタブを『ホーム』に譲る」。

——平和博さんが、Facebookにおける“ニュース離れ”の経緯をていねいに整理している。自分は「ニュースフィード」という名称から「フィード」に変更されたというのは認識していなかった。なるほど象徴的だ。

出版状況クロニクル171(2022年7月1日~7月31日) - 出版・読書メモランダム
「(出版科学研究所による22年上半期の出版物推定販売金額から)21年上半期がコロナ禍とコミック需要でトリプルプラスだったことに対して、22年上半期はトリプルマイナスに陥り、そのマイナス幅は19、20年に比べて最も大きい。
再び『鬼滅の刃』のような神風的ベストセラーが現われないかぎり、下半期も同様に推移していくだろう。
それは取次と書店の体力の限界へと誘っていくことになると推測される」。

——「トリプルプラス」から「トリプルマイナス」へ。出版界でも、厳しいリバウンド症状が現れているらしい。

Facebookの変化は「これまでのSNS」の終わり…すべてがTikTokになる?
「Facebookは友人や知人と繋がる第一の場所ではなくなるだろう。これからは、TikTokと似た中毒性のある動画のスクロール機能が搭載される。アルゴリズムによってユーザーが好きそうな動画、写真、投稿が流れるのだ。つまり、困惑するような叔母の投稿を目にするのではなく、ペットの動画を見たり、料理インフルエンサーのレシピを手に入れたりする可能性が高い」。

——何度かこのFacebook(そして、Instagram)の大改修の意味を追って投稿しているが、その整理となるような記事。
ポイントは、ここに書かれているように、自分と接点の高い人々(通常は、仲の良い知人や身内)の投稿を重視してきたFacebookのソーシャルなアルゴリズムが、特に若者にとってひどくイケてないものと受け止められているらしいことと、どうやら関連がありそうだ。

スマホの「フィード」が、私たちの認知に影響を与えていく | 永井孝尚オフィシャルサイト
【ご紹介】:
先日、古くからの知人の永井孝尚さんに招かれて私的におしゃべりをしてきました。永井さんがそこでの話題を題材にブログを書かれています。

Disruption This Week—–29/7/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年7月26日から2022年7月29日まで。

Medium VP of Content Scott Lamb on the platform's evolution and vision for the future
Mediumコンテンツ担当責任者Scott Lamb氏、プラットフォームとしてのMediumの重要要素であるキュレーション機能について、自身の見解を述べる。
「今、我々が最も関心を寄せるのは、ある記事を評価する際、それを特別に注目すべきかどうかを判断する重要なシグナルの1つである筆者についてだ。彼は専門家か?彼に見識があるか、専門知があるか?」
スマホ最適化 「縦読み漫画」急拡大 グリー参入 大手出版社も攻勢
「同協会(=全国出版協会・出版科学研究所)は『縦読み漫画が新たなユーザーを掘り起こしている』と分析している。5年後には世界の縦読み漫画市場が2兆円を超えるとの試算もある」。

——記事は、同市場へのグリーの参入を取り扱っているが、やはり興味を惹くのは、「日本で築き上げられてきた漫画文化は転換点を迎えようとしている」という点。韓国が先行したこのコンセプトと市場に対し、日本での層の厚いクリエイター蓄積を生かしてリードを創りだせるか? また、アプリから制作体制までに及ぶ革新でだれが覇者となるのか。

🚨 Instagram walks back its changes
Instagram事業責任者のAdam Mosseri氏、TikTok追随のための大規模な改修計画を取り止める旨、著名テックライターCasey Newton氏のインタビュー(同氏のニューズレター「The Platformer」掲載)で言明。取り止めるのはフルスクリーンの写真、動画の表示。そして、レコメンド表示について。決定は永続的ではないとも述べる。
メタ株下落、4-6月売上高が市場予想下回る-四半期で初の減収
「メタのソーシャルネットワークのいずれか1つを利用した1日当たりアクティブユーザー数を示す『ファミリー・デーリー・アクティブ・ピープル(DAP)』は28億8000万人で、アナリスト予想平均の29億1000万人をわずかに下回った。
メタは大きな変化のさなかにあり、ザッカーバーグCEOはユーザーのつなぎ留めや若い世代の呼び込み、 バイトダンス(字節跳動)の人気動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」への流出阻止に向けてさらなる努力を惜しまぬよう従業員を鼓舞しようとしている」。

——IT大手のうち最も注目されていたMetaの業績が開示された。同社にとって初の、歴史的な減収。「世界経済の不確実性」はもちろんだが、今朝のNHKのニュースでも、「Appleによるターゲティング広告の抑止策」「TikTokの脅威」を同社スランプの要因に挙げていた。

Google delays move away from cookies in Chrome to 2024 – TechCrunch
GoogleのPrivacy Sandbox担当副社長Anthony Chavez氏はブログで、Cookie代替技術を採用する時期として「2024年の後半」を目標にすることになったと述べた。記憶するところでは2回目の延期。Appleと違い全力で嫌がっている。
YouTube Ad Revenue Inches Up 4.8% in Q2, Slowest Growth in More Than Two Years
Alphabetの業績でも触れたが、YouTubeの広告収入の成長率が低迷。前年比4.8%増は2年ぶりの低成長記録。景気低迷はもちろんだが、同社にはTikTokの影響が指摘される。とりわけ、短尺動画をテコ入れすればするほど広告インベントリは縮減してしまうと記事。
アルファベットの4~6月、純利益14%減 ネット広告減速
「フィリップ・シンドラー最高事業責任者は『旅行や小売りの分野の広告が好調で、夏の旅行先の検索回数は前年同期の2倍に増えた』と説明した。
ただ、全社の売上高の前年同期比増加率は過去8四半期で最低になった」。

——GAFAMが続々第2四半期業績を開示。広告無敵のGoogleを傘下に擁するAlphabetも成長力を落とした。広告で前年比12%増だが、YouTubeのそれは5%と“低迷”。Google CloudもAWSの背中が遠くなりそうだ。

TikTok Owner ByteDance Distributed Pro-China Messages To Americans, Former Employees Say
TikTokを傘下に持つByteDanceが運営するニュースアプリ「TopBuzz」。その米元従業員が、本国ByteDanceの指示により、中国寄りの記事を定期的に同アプリでピン止め表示させていたと証言。指示どおり実行したことをスクショ付きで報告することも求められていたという。ByteDance社は否定。米BuzzFeed Newsのスクープ。
‘User Needs’: a way for newsrooms to do more with less | FT Strategies - Subscriptions consultancy from the Financial Times
英FT傘下で、メディア市場調査とコンサルティングを行うFT Strategies、英メディア3社を長期詳細に調査。いずれにおいても「ユーザニーズ」と注力分野に大きな乖離があるのを発見。速報に注力しているが、ユーザニーズが高い教育効果や大局展望分野を見逃してきたとする。
Sunset of the social network
先日から紹介しているFacebookのフィードアルゴリズム改変をめぐる論説。この記事でもTikTok旋風をソーシャルグラフの終えんとしてとらえ、純然たるアルゴリズムによる“お薦め”黄金時代を指摘する。2000年代初頭のFriendster、MySpaceそしてFacebookへと続いてきたソーシャルメディアの日没を語る。
Global Fact 9レポート(2) 陰謀論の生態系:「鳥は本物じゃない」運動が問いかけるもの
【ご紹介】:
「昨夜の帰り道、ハチドリのドローンに命を狙われた。針山に針を刺すように一直線に飛んで来て、くび元を狙われたが、すんでの所で逃れた。クラヴマガ(護身術の一種)を習得しておいてよかった。とにかく空を信用してはならない(会場から笑い声)」。

——FIJ理事の奥村信幸さんが、オスロで開催されたファクトチェッカーの国際組織年次総会をリポート第2弾。陰謀論を指摘する運動「Birds Aren’t Real(鳥は本物じゃない)」のセッション紹介。あまりに手が込み迫真的で、ついには信者が集まるようになってしまった……。

Disruption This Week—–15/7/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年7月11日から2022年7月15日まで。

Google says paying for news would ‘undermine trust in search engines’
英Google公共政策担当者、Edelmanなどの調査でGoogle検索が、例年メディア以上の信頼度を得ていることから、同社が一部メディアのコンテンツに対価を支払うことは、同社検索サービスへの信頼度を損ねる可能性があると発言。英国での法制とその理解に関わる面もあるが、HQとの調整抜きにこの種の発言があるとも思えない。同社の理論武装の方向性を示唆して興味深い。
「読者の言いなりか」批判受けても新聞社がウェブメディア続ける理由
伊藤大地氏:
「『これをやったら滑りました』というメールが、メンバー間で交わされるチームって成功するんです。一方で紙媒体の場合、トライアンドエラーが許されづらい。(新聞社のように伝統を重んじる)堅い組織では、ある程度新しいことがやりやすい部署や職域で得られた知見を、社内で共有するのが良いでしょう」。

——面白く読めた座談会。メディア(それも新聞社)固有のテーマというより、一定の歴史を有する組織からどう新規事業やイノベーションを生み出していくかという議論と読める。withnewsがそうであるように、周縁上にある小さな自由を半分放置気味で芽を育てたい。

Google exec suggests Instagram and TikTok are eating into Google’s core products, Search and Maps – TechCrunch
「私たちの研究では、ほぼ40%の若者が、ランチの場所を探しているとき、Googleマップや検索に向かわない。彼らはTikTokやInstagramに行くのだ」とGoogle幹部が認める。
若者が使わない印刷版の地図をオンラインで再現する表現手法の無意味さも指摘する。実に興味深い。
1億3400万件のウェブページに基づくオープンソースのAIナレッジツール「Sphere」をMetaがリリース
「従来のKI-NLPとは異なりデータベースが検索エンジンに依存していないため、Sphereを利用するAI研究者はコーパスを調べて制御することが可能で、さまざまな方法でスケーリングと最適化が可能となり、検索テクノロジーの前進にも貢献できるとMetaは説明しています」。

——Metaはこの「Sphere」をオープンソース化する。難しい技術的解説はともかくとして、可能性を感じるのは誤・偽情報の検証フローに使えそうという点(実際、Wikipediaが蓄積された情報の検証を試行しているという)、もっと汎用的にはブラックボックスなGoogle検索に頼り切りの“検索”を、透明化したうえで新たな結果を得られるかもしれないということ。

News engagement plummets as Americans tune out
米国で、“ニュース疲れ”“ニュース忌避”のリアリティが顕著に。米Axios調べで、4分野(SNS、CATV、ニュースアプリ、主要5サイトの来訪者数)でニュース(メディア)消費がすべて昨年同期比で大きくマイナスを示した。
2021年のニュース消費は、2020年の歴史的な高水準に続いて急降下した。2022年では大きなニュースが相次いだにもかかわらず、らに後退。一時的に潤ったメディアが改めて危機に直面している。
Exclusive: Reuters launches research subscriptions for individuals
Reuters、戦略である購読メディアのローンチが足踏みしているが、個人向け高額購読サービスを先に商品化。「Reuters Insight」で、企業シニアレベル向けに各種統計、調査結果を年間2,500ドル程度で提供するもの。同社は各種の産業や分野ごとに深掘り商材を開発していく戦略を推進していると記事は述べる。
陰謀論と戦うストリーマーたち--対話と理解のコツを語る
「パンデミック以来、ディベート配信はTwitchとYouTubeの視聴時間の急増の波に乗り、政治的な話題によってファン層を拡大した。クリエイター向けツールを提供するStreamElementsの最高ビジネス責任者であるJason Krebs氏によると、Twitchの政治カテゴリーの視聴者数は2021年5月から2022年5月までの間に3倍に増加し、視聴時間は170万時間を超えたという」。

——Twitchが材料として引き合いに出されているが、この数年、音声やチャッティング分野に政治的会話(のメディア的役割)が広がっているのを感じる。現代のメディアにおけるホットな分野。

Nearly a third of new subscribers to news publications cancel in the first 24 hours
サブスクリプション基盤を提供するPianoの調査では、新規購読者の1/3は、最初の24時間で退会するという。理由は1記事のみ読みたかった、あるいはざっと読み回して購読の価値がないと早々に判断したかと見られる。言い換えれば、購読直後の読者をどうつなぎ止めるかが重要だということに。

Announcing The Information Profiles, Directory and Forum: Connections Worth Your Time
好調に正統派テック系メディアのポジションを築いてきた米The Information、満を持してコミュニティ機能の「プロファイル、ディレクトリ、フォーラム」を発表。同メディアではVCや起業家など著名人が実名でコメントするなどの文化がある。それをうまく商業化できるか?
The Existential Threat of AI-Enhanced Disinformation Operations
「AIによって生成された合成メディアや、AIによって強化された説得力のあるチャットボットは個々人向けへとカスタマイズされ、検出が困難なメッセージング機能を、情報操作(Disinformation Operations)の担い手たちに提供するようになっている」|「AIによって生成された合成メディアや、AIによって強化された説得力のあるチャットボットは個々人向けへとカスタマイズされ、検出が困難なメッセージング機能を、情報操作(Disinformation Operations)の担い手たちに提供するようになっている」。

——AIを活用した情報操作のありようを、外観した貴重な論が「Just Securit」に掲載。重大なポイントは、Facebookが発表した論文から、この情報操作が、アドテク(高度なターゲティング広告の技術)依拠したものであると指摘していること。アドテクの発展と、いま世界を揺るがしている情報操作(認知戦)の高度化は無縁のものではない。

2022.7.22 オンラインセミナー① メディアリテラシーとアントレプレナーシップ | 京都大学経営管理大学院 グローバル社会起業寄附講座
【再度のご紹介】:
私も登壇するメディアリテラシー×アントレプレナーシップをめぐる討議の告知です。無料ですので、ぜひご参加を!

Disruption This Week—–24/6/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年6月20日から2022年6月23日まで。

グーグル・ニュース、スペインで8年ぶり再開
「スペイン政府は昨年、2020年に改定された欧州連合(EU)の著作権規則を法律に移項。メディア企業がハイテク企業と直接交渉できるようにした。
これを受けてグーグルはサービスの再開方針を表明していた」。

——Googleのスペインからの撤退ぶりは歴史に残るものだが、取引スキームができたことで、ようやくサービス再開。同社は「スペインでできるだけ早期にニュースパブリッシャーに対価を支払う仕組み『ニュースショーケース』を始めるとしている」そうだ。

U.S. digital newspaper ad revenue expected to surpass print by 2026
米PwC、米国の新聞社におけるデジタル版広告収入が印刷版を、2026年には追い抜くとの調査を公表。チャートを見れば分かるように、デジタル版広告が急増する楽観シナリオではなく、印刷版の低減によるものだ。調査担当者は、「デジタル化への意欲の差ではない」と述べる。
EU、「偽情報に関する行動規範」改訂版を発表--ディープフェイクなどの抑止を強化
「欧州連合(EU)の欧州委員会は現地時間6月16日、偽情報の流布を食い止めるための規則を全面的に見直した改訂版を発表した。EUが強化したのは「偽情報に関する行動規範」(Code of Practice on Disinformation)で、この規範に署名しながら対策を講じなかった企業は、世界売上高の最大6%にあたる罰金を科せられることになる」。

——重要な動き。そもそも同規範に署名しなければ、罰金を科せられることもないのだろうが、これから逃れることはIT大手にとって、欧州での経済活動に支障があるということだろう。「大手テクノロジー企業では、Meta Platforms、Google、TikTok、Twitterなどがこの規範に署名している」とある。Appleを除く勢力が集合している。

The Washington Post is not selling its software business, despite offers
米Washington Postが外販するクラウド型パブリッシングソフトarc XP。同ソフトウェア事業はすでに数百億ドルの評価を受けているが、同社はいまだ黒字化されていない事業に投資を加速する意思と同社幹部らがコメント。近い将来、同社最大の収入源へと成長すると期待。
【3分解説】なぜ食べログ「敗訴」は大問題なのか?
【有料購読者向け記事】:
「例えば、YouTubeの場合、動画がサイトの上部に表示されるかどうかは再生回数を大きく左右するだろう。クリエイターの収入に直結するため、アルゴリズムの変更は死活問題で、食べログと同様の問題提起がなされてもおかしくない」。

——良い意味でも、そしてそうでない意味においても、アルゴリズムが果たす役割は、現在、ネットを泳ぐために決定的に大きい要素。そのぜひをめぐる判例でもあり、とても重要なケースだ。

「ニセ・誤情報に騙されないために」 総務省がネットリテラシー教材を公開
「総務省は偽情報や誤情報について、メディアリテラシーと情報リテラシーを掛け合わせた『メディア情報リテラシー』の向上が必須とし、各国の政策を調査。有識者と共に教材と効果検証手法を開発した」。

——作成された資料のなかには、「その分野の専門家?」というページもある(サムネールで表示されているページだ)。信頼性を測る指針として、「その情報は、専門知識や必要な資格を持った人が、責任を持って発信しているか?」などをあげている。茶化すつもりはないが、「専門家」「専門知識」を基準にして信頼性を測ることの難しさを感じている自分としては、違和感が強い。

Trends in US news media 2022: Subscriptions, trust, newsletters and more
最近公開されたReuters Institute「Digital News Report 2022」のリポートに関連する話題。調査によれば、ニュースにお金を払う米国人の約56%は、2つ以上のタイトルを購読。全国紙と地方紙の組み合わせが多いが、政治、文化系雑誌を組み合わせるパターンも見られる。
Community building platforms for publishers: Facebook Groups vs. Twitter Communities vs. Discord | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
メディア運営者がコミュニティを運営、強化していくため選択すべきプラットフォームはどれか? Facebookグループ、Twitterコミュニティ、そしてDiscordの利点とマイナス点を実践的に検討する記事。Discordが評価されるが、万人向けではない面もあるとする。
Leaked Audio From 80 Internal TikTok Meetings Shows That US User Data Has Been Repeatedly Accessed From China
米TikTokの複数の社内会議の録音が漏えい。解散する米BuzzFeedによる衝撃のリポート。
「『中国ではすべてが見られている 』と、2021年9月の会議でTikTokの信頼・安全部門のメンバーが発言。別の会議では、ディレクターが北京にいるあるエンジニアを 『マスター管理者』と呼び、『すべてにアクセスできる 』と述べた」。
まさにTrump前大統領がTiktokについて懸念を表明していたとおりの実態が暴露された。
「ニュースを見るのが嫌」38%のユーザーが伝えたい、その切実な本音とは?
「その理由は何か。
最も多かったのは、『政治やコロナの話題が多すぎる』(43%)だ。次いで『ニュースを見ると気分が落ち込む』(36%)、『大量のニュースに疲れる』(29%)、『ニュースは信頼できない・偏向している』(29%)、『論争に関わりたくない』(17%)、『自分にできることは何もないから』(16%)、『時間がない』(14%)、そして『難しすぎて理解できない』(8%)」。

——すでに紹介したReuters Instituteによる調査結果を論じた平 和博氏の論。「ニュース忌避」と自分は呼んでいるが、重視しなければならない現象だ。実はニュースをめぐる両極的な“分断”以上に大きな問題が潜んでいるのではないか。

鼎談「これからのメディアリテラシー教育、そしてメディアについて」第1部~メディアリテラシーの課題をめぐって - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
最近参加したスマートニュースメディア研究所で、メディアリテラシーをめぐる討議を行いました。専門家の方々の議論をモデレートすることできました。よろしければご一読を。➡ 鼎談の第1回