Disruption This Week—–18/4/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年4月14日から2025年4月18日まで。

Top 50 news websites in the world: New York Times overtakes BBC
英メディアPress Gazetteによる、世界の英語サイトトップ50ランキング(2025年3月版)。Trump政権の繰り出す政策を追って、著名な伝統的報道メディアへのトラフィックが急増(昨年同期比)。AP通信、Politico、Reutersなど数十パーセントの上昇を示す。
Global ad spend against news down by a third since pre-Covid
報道コンテンツへの世界の広告費が6年間で3分の1に減少と予測。米広告コンサルティングのWARC、2025年報道への広告費が323億ドルと、19年と比較して33.1%減少するとする。大きな原因のひとつが「キーワードフィルタリング」だ。ハードな報道コンテンツへの回避傾向が強まっている。
一方、26年には、インフルエンサーやクリエイターへの広告支出に凌駕されるとも調査は指摘する。
OpenAI is building a social network
OpenAIが、X風のソーシャルメディア(SNS)を開発中との業界情報。プロジェクトは初期段階だが、ChatGPTの画像生成に焦点を当てた内部プロトタイプがあり、ソーシャルフィードを備えている。社内での評価が始まった段階だという。
公取委が米グーグルに排除措置命令、独禁法違反を認定
「発表によると、グーグルはスマホメーカーに対し、グーグルプレイの使用を許可する条件として、『グーグルクローム』を搭載し、初期画面に配置することなどを求めていた。また、検索広告の収益の支払いの条件に、競合他社の検索サービスの排除を要求していた」。

——欧州などの先行事例に遅れて、日本でもGAFAMなど超大手ITによるメーカー囲い込みが排除措置に。ただし、Google関連アプリは人気プロダクトなので、この存在を隠すようなスマホがあっても、魅力が乏しいだろう。

NewsGuard’s Fight Against Censorship
気になる話題。米国で各種(メディア)サイトの情報の信頼性評価を事業とするNewsGuard。同社は、事業が左右両極端の勢力からの検閲の脅威にさらされているものの、断固として検閲に反対すると表明。右派サイトだけでなく左派サイトからも同社は攻撃されているという。
ネットフリックス、新しいAI検索エンジンを試験運用-番組探し支援
「同社(=Netflix社)によると、この検索エンジンはオープンAIの技術に基づいており、例えば気分を表す語など従来よりも具体的な言葉で検索でき、提供作品から候補が提示される。
オーストラリアとニュージーランドの一部会員は既にこの機能を使える」。

——先日は、「レグザ」ブランドのスマートTVにGeminiが搭載された話題を紹介したが、同様のアプローチがストリーミングOSにも。TVが究極の暇つぶし娯楽だとすると、怠惰なユーザーに、面倒な“検索行為”をいかにして行わせられるかが重要。やはり、訊ねなくても気分に合った提案が出てくるようにするのが、本質的な答えのような気がする。

The origins of Patch’s big AI newsletter experiment
全米各地向けの“ハイパー・ローカルニュース”メディア(細かく地域を分けて、専用ニューズレターを刊行)を運営するPatch。膨大な数にのぼる「ニュースキュレーター」(人間)に依存した事業だったが、地域発のさまざまな情報の収集・記事生成をAIによって行うと発表した。
「これらのニューズレターは、地域のニュースサイト、ソーシャルメディアグループ、町の公式ウェブサイトからスクレイピングし、大規模言語モデル(LLM)を使用して、最も関連性の高い見出しを選択し、記事の要約を作成する」という。
“Just the tip of the iceberg”: The New York Times’ Zach Seward on embracing AI
米New York Timesの初代AIイニシアティブ編集ディレクターに就任したZach Seward氏、インタビューに応え、NYTはAIに記事を書かせることはないとする一方、記者が膨大な資料、データから事実を見いだす支援をAIに任せることに取り組み、実績も生んでいると述べる。
The next big AI shift in media? Turning news into a two-way conversation
例えば、X上の多くのユーザーが、今では(xAIの)Grokをタグ付けして会話のフォローアップを行っている。ジェネレーティブAIを適切に用いることで、ニュースとの新しい接触(一方通行でない会話)の仕方が生み出されるかもしれないとする記事。
European Broadcasting Union launches fact-checking unit
EBU(欧州放送連合:European Broadcasting Union)は、欧州の公共放送のコンテンツ部門がネット上の誤報と闘うための支援を強化中。オープンソースの情報によるファクトチェックに取り組む新たな共同ネットワークを立ち上げた。
(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)多メディア時代、情報の目利き役に 藤村厚夫:朝日新聞
【ご紹介】:
朝日新聞に、同社のパブリックエディターとしてコラムを寄稿しました。よろしければご一読を。

Disruption This Week—–17/1/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年1月14日から2025年1月17日まで。

GoogleとAP通信、Geminiでのリアルタイム情報提供で提携
「米Googleと米Associated Press(AP通信)は1月15日(現地時間)、GoogleのGeminiアプリにAP通信のリアルタイム情報を提供する新たな提携を結んだと発表した」。

——すでにAPは、他のAIベンダーと提携をかわしている(少なくともOpenAIとは)。多角化路線を走る。そもそも通信社のビジネスは、従来は各メディア社に記事を配信するもの。それが各種AIサービスへと広がる。考えれば、このモデルが広がっておかしいことはない。問題は、それがコンテンツ作成者の長期的な支えになるような堅牢なビジネスなのかどうかだろう。

More than 400 Washington Post staffers send urgent plea to Jeff Bezos: 'We are deeply alarmed'
経営難と幹部離職が頻発する米Washington Post。そのスタッフ400人以上が、オーナーであるJeff Bezos氏宛てに同社幹部との面会を求める書簡。その主張は、「誠実さと透明性の問題」がスタッフの離職を引き起こしているというものだ。
Biggest news publishers on Youtube: 100+ publishers have more than 1m subscribers
英メディアPress Gazette、YouTubeチャンネルで100万人以上の購読者を擁する115の(英語ベース)メディアをランキング。Vice、ABCが1,800万人以上、CNNおよびBBCが1,700万人台で並ぶ。
中でもトップのViceが急伸。CNNをかわした。
TikTok、米従業員の給与支払い約束 19日の禁止法発効控え
「中国系動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』は、米事業を19日までに売却しない場合に米国でのサービス停止を求める新法が最高裁で覆らなかったとしても、米従業員への給与を支払い続けると説明し、懸念の払拭に努めた。内部メモをロイターが14日に入手した」。

——米国内でのTikTok利用禁止にいたる取引終了期限まであと数日。その後を見通そうとする報道が騒がしくなっている。米BloombergはMusk氏が米国内TikTok事業の買収を目指しているとする観測を一方で示している。また、代替アプリをローンチするなどの動きもある。いずれにせよ、本記事であるように、事業を傘下に有するByteDanceは単なる停止を避ける動きを画策しているようだ。

Mirror journalists given individual online page-view targets
英タブロイド紙メディア「Mirror」の各記者は、Web記事のPV目標を与えられているとする記事。同メディア編集長Caroline Waterson氏は、取材したPress Gazette記者に「PV目標を過度に恐れる必要はない。Mirrorは誇り高いタブロイド紙だ」と述べたという。
「Google TV」にもGemini搭載へ 会話で関連YouTube動画も表示
「スマートフォンのGeminiアプリと同様に、音声で質問したり指示を出したりできる。さらに、テレビがアンビエントモードのときにはスマートホーム端末を制御したり、その日のニュースの概要を確認したりすることもできるという。質問に対する結果には複数のYouTube動画も表示され、それらを再生することも可能だ」。

——遅まきながらCES絡みの話題。TVがネットにつながるのは、いまや当たり前だが、TVと人間のインターフェイスにAIが関われば、より一層TVの価値が高まる。“TVは我々のもの”と信じ込んできた放送局にとっては、怖い事態がもう目の前だ。

The Washington Post’s traffic tanks | Semafor
米Washington Postのメディアとしての窮状が改めて明らかに。同メディア(Webサイト)へのアクセスは、2021年1月のピーク時の4分の1以下にまで落ち込んだ。 議会襲撃事件では一時的に約2,250万DAUを記録。だが、2024年の半ばには、DAUは250万〜300万程度に下落しているという。米メディアSemaforからのスクープ。
Polish Putin film using AI to generate Russian leader's face set for premiere
プーチン露大統領を題材にしたポーランドの新作(英語)映画が公開(海外で)。この映画では、AIを駆使した特殊効果でプーチン大統領の素顔を俳優と重ね合わせている。記事内からプロモーション動画が観られる。
米国CTV広告費、2028年に旧来テレビを超える見通し
「イーマーケッター(eMarketer)によると、アメリカのコネクテッドテレビ広告費は2025年に333億5,000万ドルとなる見通し。2028年には468億9,000万ドルとなり、伝統的なテレビ広告費を上回ると予測している」。

——CTV市場の成長はたびたび紹介してきた。YouTubeやNetflixといった広告表示付きストリーミングの成長が、ここまできている。

フォトログ:「人生最悪の光景」、ロイター記者が歩いたロス山火事の現場
米LA郊外の山火事をめぐるロイターのビジュアル報道。英語版のイマーシブ体験を再現できていないが、それにしても、十分に迫力と感動を届けてくれる。

Disruption This Week—–20/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月16日から2024年12月20日まで。

日本新聞協会、生成AIと著作権保護「新たな法整備を」 - 日本経済新聞
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「生成AIの普及に伴い偽・誤情報の拡散が社会問題となっている。協会によるユーザー調査では『約6割が誤った回答が表示された経験を持つ』との結果が出ており、背景には『無秩序なデータ収集』があると指摘した」。

——日本新聞協会による、政府推進案に対する見解。協会自身が掲載したページより、日経に依るこの記事の方が読みやすい。協会、すなわち新聞業界が警戒する関心事は、検索に近いポジションでAIが報道される情報のつまみ食いをしてしまうことのようだ。

Webは消滅に向かっている——。米Pew Researchによれば、2013年にはアクセス可能だったWebページの38%が、今ではアクセスできない。ある大学の研究者らによれば、2025年までに地方ニュースサイトの3分の1が失われるという。技術的欠陥、そして情報を消したがる動きも原因だ。
メタ、来年の米広告収入はインスタグラムが半分超の見通し=調査
「調査会社イーマーケターは調査で、米メタ・プラットフォームズの2025年の米国での広告収入は写真共有アプリ『インスタグラム』が半分超を占める見通しを示した。メタは主力商品の改善を通じて広告を増やし、売上高を拡大する取り組みを進めている」。

——なぜ、この予測が話題となるのかと言えば、ライバルで短尺動画アプリの筆頭アプリTikTokが米国で禁止される(あるいは所有権が動く)可能性が高まっているからだ。記事にはInstagram広告の内訳などが詳しく紹介されている。

More than 140 Kenya Facebook moderators diagnosed with severe PTSD
140人以上のケニア人Facebookモデレーターが重度のPTSDと診断され、アウトソーシング元のMetaとアウトソーシング先企業Samasource Kenyaに対して元モデレーターらが訴訟を提起との報道。モデレーターらは過激な動画像に繰り返し晒されていたとする。
IT技術者「自由な働き方」に盲点 サイバー攻撃の標的に 編集委員 須藤龍也 - 日本経済新聞
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「ディレクターを名乗る人物から「スキルをテストしたい」と通販サイト構築アプリのプログラムコードが送られてきた。男性がパソコンで実行したところ、セキュリティーソフトがウイルスを見つけたと警告を発した」。

——衝撃なのは、記事が「石川氏によると今回見つかったウイルスから、ハッカーの狙いは第一に仮想通貨など金銭目的だと推察する。ただ、男性のパソコンを乗っ取る機能も見つかっていることから、パソコン内部の機密情報を盗み取る目的もあるとみる」と続くこと。被害に遭いかけた技術者は、会社貸与のPCを使って、“スキルテスト”プログラムを走らせていたという。

AIの次なる飛躍、「長時間思考」に備えよ
【有料購読者向け記事】:
「長時間思考とは(少なくとも最大限に活用された場合では)文字通りの意味を持つ。長時間思考AIモデルは、生成する結果を「熟考する」ためにもっと時間をかけるように設計されている。進行状況を知らせ、途中でフィードバックを求めるほど賢くなるだろう」。

——OpenAIの長時間思考モデルが、「o-シリーズ」。「回答する前により長く考え、複雑なタスクを論理的に捉え、『科学、コーディング、数学の分野で、従来モデルよりも難しい問題』を解決するよう設計されている」という。

EU、TikTokの調査開始 選挙介入巡る疑い
「欧州連合(EU)欧州委員会は17日、11月のルーマニア大統領選などで選挙介入を抑制しなかった疑いがあるとして、中国の字節跳動(バイトダンス)傘下の短編動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』に対する正式手続きを開始した」。

——これはすでに紹介した。国内大手紙でも論じている話題。これから注目されるのは、単にTikTokが適切な偽誤情報を含む政治コンテンツに対して適切にモデレーションするのを怠った、以上の、影響力工作方法上の新たなアプローチがあるのかどうかだろう。

More YouTube viewers are watching on their TVs | Semafor
YouTubeの視聴が、CTV(コネクティッドTV)上で急上昇。多くのクリエイターは4Kベースの(CTV向け)コンテンツで収益を伸ばしている——。同社幹部のKurt Wilms氏が述べた。「収益の大半をリビングルームのデバイスから得ているクリエイターの数は、前年比で30%増加」。
メタが新AIモデル公開 メタバースのアバター動作がリアルに
「メタは12日、人工知能(AI)モデル『Meta Motivo』をリリースすると発表した。メタバース空間でのキャラクターの動きをコントロールし、自然な動作を可能にした。
Meta Motivoはデジタルアバターによく見られる体の動きの問題を解決し、よりリアルで人間らしい動きを実現すると説明した」。

——ようやくMeta社は、AIに先行して全力を傾注してきたメタバース戦略とAIの接点を創りだすところにまでこぎ着けたようだ。今後は同社のアドバンテージが生きてくるのかもしれない。

Patrick Soon-Shiong's controversial shakeup at the L.A. Times:  'Bias meter,' opinion upheaval and a call for growth
米著名メディアの一つ、L.A. TimesのオーナーPatrick Soon-Shiong氏の言動、行動が話題だ。同紙がHarris大統領候補の支持を表明するのにストップをかけ、同紙記事のバイアス度を表示するメーターを設置しようとする。同氏へのインタビューをL.A. Times自ら行った。

Disruption This Week—–13/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月9日から2024年12月13日まで。

New dimensions for news storytelling
AI時代の情報へのインターフェイスを研究するGoogle LabsのKawandeep Virdee氏、彼が考えるLLMが貢献できる新たなアイデアを紹介。同じ記事を読者が自由にその長さを調整して読める「Zoom Summaries」や記事の情報をツリー化して読める「Summaries Tree」など興味深い。
ElevenLabs' AI voice generation 'very likely' used in a Russian influence operation | TechCrunch
米セキュリティ調査企業Recorded Future、最新の報告書で、ジェネレーティブAIによる音声合成サービスを手がけるElevenLabsの技術が、ロシアの影響力工作に用いられていると報告。一連の工作は欧米によるウクライナ支援の無意味さを印象づける目的で、同社サービスを用いている。面白いことに、ElevenLabs自身が提供する悪用検証ツールで確認された。

News websites hit an evolutionary dead end
進化の終わりに直面するニュース(Web)サイト。米Nieman Lab恒例の「2025年のジャーナリズム予測」企画がスタート。多くのメディア関係者がオピニオンを寄せる。本論は、Webページの現在のダメダメぶりを列挙。論者は新聞のPDF版をWhatsAppで配布する試みをアフリカで実施している。
Top 'Washington Post' editor kills article on deputy's departure
大統領選での支持表明を、オーナーの一声で取り消した米Washington Post。その同紙が依然として揉めている。今度は、抗議の意思もあったのだろう編集長Matea Gold氏退任の報を、現編集長代行が差し止めたことでさらに揉めている。理由は、「新聞は自身をカバーしない」だ。
極右台頭のルーマニア大統領選、フェイスブック上で組織的宣伝か
「フェイスブックの親会社、米メタ・プラットフォームズが、ルーマニア大統領選を巡り親欧州連合(EU)の野党党首ラスコーニ候補を攻撃する3600件余りの政治広告のフェイスブック投稿を許可し、カリン・ジョルジェスク候補ら極右の宣伝に寄与していたことが調査で示された」。

——異常なまでのTikTokの活用で、無名の存在が大統領候補の筆頭に、ということで話題になった人物。当然のことながらTIkTok一本でということはなく、いわゆるSNSの総合的な活用という構図が徐々に明らかになっている。もちろん、これが違法なのかどうかだが。

NVIDIA協力のバーチャルヒューマン「AI imma」とは何者か。日本語で会話を体験
「人がマイクを通じてAI immaに話しかけると、自動音声認識(ASR)システムを用いて音声をテキストに変換。そしてそのテキストに基づき、大規模言語モデル(LLM)で回答を生成する仕組みになっている。
日本語のテキストに対してはOpenAIの『GPT-4o』、英語のテキストに対してはグーグルの「Gemma」を使用している」。

——アイデアとしてはそう新しいものではないが、なかなかのできであるバーチャルヒューマンのアイドルが、AIによる双方向コミュニケーションを果たす。興味をひくのは、引用したように複数のAIサービスを繋ぎ込んで運用していること。AI応用の商業サービスにはこのようなアプローチが一般化していくのだろう。

アルゴリズム主導の広告が成長
「レポートの冒頭には『The dawn of the algorithmic era for media』という見出しがあり、ブロードキャスト時代(broadcast era)、プレシジョン時代(precision era)を経て、アルゴリズム時代(algorithmic era)が到来しているとしている」。

——「いまさら」という思い、同時に、コロナ禍後の広告市場の改めての成長動因を考えさせられる。

スタバやマクドナルドが独自の動画プラットフォームを持つ時代になる? | ネットフリックスやアマプラなどの動画配信の勢力図が変わる
「マクドナルド、スターバックスに次ぐ全米3位の外食チェーン『チックフレイ』が独自の動画配信プラットフォームを開始するのではないかと米メディア『CNBC』など各メディアが報じていた。主要な制作会社やスタジオと提携し、アニメ、リアリティショー、ゲームショーなどを制作しており、1エピソードにつき約40万ドル(約6000万円)の予算を費やしているという」。

——ブランド価値の増大という意味だけでも、一定の効果はあるだろう。問題は投資対コストだ。OTT時代に入って、その投資対コストの基本構造は、少なくとも配信自体のコストでは見合いやすくなっている。

「Xのアルゴリズム」は数日であなたの政治的意見を変えられる――米スタンフォード大が1000人以上で検証
「実験では、Xのユーザー1256人の協力を得て10日間実施。ブラウザ拡張機能を使用してフィードをリアルタイムでコントロールし、敵意コンテンツ投稿への接触を意図的に増減させた。
参加者は2つの実験群に分けられ、一方は敵意コンテンツへの接触を減らし(727人)、もう一方は増やす(529人)設定にした。実験の最初の3日間は通常のフィードを見せ、その後の7日間で介入を行った」。

——掲載論文に付された概要が分かりやすい。「アルゴリズムによってキュレーションされたフィードにおいて、参加者が(反民主的態度や党派的反感を表現する)AAPAに触れる機会を増減させた。 その結果、AAPAへの露出を減らすと肯定的な当事者感情が高まり、AAPAへの露出を増やすと否定的な当事者感情が高まることが観察された」ということ。「AAPA」を識別するLLMがあれば、これで利用者の政治的なスタンスを相当程度に左右できるというわけだ。

L.A. Times Owner Plans ‘Bias Meter’ Next to Coverage
【有料購読者向け記事】:
米国の富豪、Patrick Soon-Shiong氏、同氏が保有するL.A. Timesの記事に「バイアスメーター」を表示させると、インタビューで述べた。記事執筆者の“確証バイアス”の度合いをなんらかの手法で 計測し表示。記事偏向の可能性を伝えるというもの。
これはメディアのオーナーが、自らが保有するメディアの偏向の可能性を指摘するという動機に基づくもので、いささか不思議な動きだ。

Disruption This Week—–16/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月11日から2024年11月15日まで。

Viewers Flee MSNBC, and Flock to Fox News, in Wake of Election
【有料購読者向け記事】:
米TVネットワークMSNBCの選挙日以降の平均視聴者数は55万人で、10月の平均視聴者数と比較すると39%減少 (Nielsen調査)。 プライムタイムでは53%減少だ。一方のFoxでは、一日の平均視聴者数は330万人で38%増加したという。
電通ジャパン・インターナショナルブランズ、広告視聴のアイトラッキングデータに基づいたアテンション調査レポート「広告効果における新指標:アテンションエコノミー]発表
「本調査では、日本国内8000人超のモバイル端末ユーザーを対象に、ディスプレイ、リッチメディア、SNSなど、計7種類の広告フォーマットからユーザーの視線の動きを計測しました。視線追跡、視覚的注意、表情のデータが45種類以上のクリエーティブから収集されました」。

——電通ジャパン・インターナショナルブランズ、新たな広告視聴指標「アテンション」を日本を含む各国でのデータに基づき検証。採取できた特徴や有効性を公開。

米Wall Street Journal、ニュース記事の上部に表示されるAI生成の記事要約を試行中。 要約は、記事の要約を箇条書きにした「Key Points」として表示される。AIツールが作成したと断っている。米メディアのThe Vergeが発見したスクープ。
Social media is a symptom, not a cause
「ソーシャルメディア(SNS)は症状であり、原因ではない」——。米(カナダ)のジャーナリストMathew Ingram氏の論説。2024年の米大統領選をめぐるメディア状況への言及。ファクトチェックが履行されないSNSプラットフォームを非難する言説に対して、分断の原因はSNSでないと。

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか
「若年層(=49歳以下)は特に、YouTubeやVODなどのネット動画アプリへのシフトが加速しています。テレビ受像機でネット動画や映画やスポーツ中継などのオンデマンドサービスを見るというスタイルが徐々に定着しつつあることがうかがえます」。

——あくまでも映像機器メーカーREGZAが提供するデータ上でのトレンドという点に留意。引用箇所は「GT(ゴールデンタイム)・49歳以下の利用率内訳(全体を100%)」のデータを目視した。問題は、大型ディスプレイ搭載の受像機全体の利用状況だろう。

「今やあなたたちがメディアだ」とマスク氏、米大統領選でマスメディアは「敗北」したのか?
「今回の大統領選では、偽誤情報の氾濫とともに注目されたのが、マスメディアの存在感の低下だ。
選挙戦では、トランプ氏、カマラ・ハリス現副大統領とも、著名ポッドキャストへの出演が注目を集め、『ポッドキャスト選挙』の呼び名もついた」。

——「トランプ氏と次期副大統領、J・D・バンス氏が出演したポッドキャストの1つが、人気ランキングトップ、1,600万人のフォロワー数を持つ『ジョー・ローガン・エクスペリエンス』だ。
選挙戦最終盤の10月25日、トランプ氏は約3時間にわたって出演。ユーチューブでの動画視聴回数は4,800万回超に上った」と記事では、その具体的なインパクトを説明している。
この間、何度か私が指摘した“クリエイター”による政治報道が表舞台に上ったということでもある。

Mistral、コンテンツモデレーションAPIをリリース 日本語にも対応
「AI企業のMistral AIは11月7日(現地時間)、コンテンツモデレーション用の新しいAPIをリリースしたと発表した。同社のチャットbot『Le Chat』のモデレーションに使っているものと同じAPIという。
ユーザーはこのAPIを使うことで、特定のアプリや安全基準に合わせてカスタマイズできるようになる」。

——すでにMetaはFacebookやInstagramでこの種のAIモデレーションを実施しているはずだが、理由のわからない(投稿やアカウントの)バンが行われたという悲鳴が上がってもいる。

X Touts Record High Usage on Election Day
米大統領選をめぐるプラットフォーム、勝者はXか? 同社は「過去最高」の使用を喧伝中だ。
SNS年齢制限広がる オーストラリアは16歳未満禁止法案 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「各国で交流サイト(SNS)の使用に年齢制限を設ける動きが広がっている。オーストラリアは近く国家として初めて16歳未満のSNS利用を禁止する法案を提出する。英国や米国の一部州でも議論されている」。

——なぜか日本では、この種のSNS利用が青少年にもたらす悪影響を規制する議論があまり大きな政治問題になっていないように思える。ヘイトなどの発信制御に規制策(の是非)が向かっているようだが、諸外国ではプラットフォームそのものの害悪に目が向けられている。

生成AIで福岡のPR記事作成→“架空の祭りや景色”への指摘が続出 開始1週間で全て削除する事態に
「プロジェクトの公式Xでは『インターネット上の情報をもとに生成AIを活用してメディア記事を作成し、人的確認のうえ発信してきた』と説明。今回の指摘を受け『より正確な情報を提供するため、全てのメディア記事を削除し、発信を一時停止する』としている。なお追記では『生成AIでのメディア作成は一切行わない』との方針も示している」。

——あり得ない地域の混同など、“事実”との齟齬以外にも、画像が「パラレルワールド感すごい」との“評価”。反面教師として使えそうな素材。