Disruption This Week—–25/3/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年3月22日から2022年3月25日まで。

【解説】4月に法改正、なぜ「個人情報保護法」は重要なのか?
【有料購読者向け記事】:
「(改正個人情報保護法の)変更点のなかでも、特に影響が大きいのは、以下の3点だとIT分野に強い三浦法律事務所の尾西祥平弁護士は指摘する。
①『仮名加工情報』の新設
②『個人関連情報』の新設
③『不適正な方法による個人情報の利用』の禁止」

——国内外の情勢から、国内法の改正ポイントまでよく整理された記事。

Google、アプリ外部決済容認へ Spotifyが世界各地で
「グーグルとスポティファイが23日に発表した。グーグルはアプリ配信サービス『グーグルプレー』で試験的なプログラムを立ち上げ、消費者が同社の決済システムと外部のシステムを比較して選べるようにする。第1弾としてスポティファイと組み、同社が年内にアプリを改修する。サービスの料金が安くなる可能性がある」。

——Apple、そしてGoogleのアプリストアでの独占的地位に対する各国の目が厳しくなっている。これまで非大手アプリ開発者からの徴収率を下げるなどのポーズを採ってきたが、より一段対応をすることになったようだ。
ポイントは「(ユーザにとり)サービスの料金が安くなる」のか?(その理由は?)と、Appleが同様の措置をとるのか? ということだ。

【POD特集】対談 紙とデジタル、ブロックチェーンをつなぐプラットフォームとして期待 - 文化通信デジタル
岡本幸憲代氏:
「たとえば既存の出版ビジネスのやり方だけだと縮小していても、新しいフォーマットで提供すると市場が拡大することがある。PODをやればとりこめるとか、また、グローバルに広げたり、業際的に広げたりすればとりこめる市場がたくさん見えるようになっている」。

——POD(オンデマンド印刷)の市場性とその進化の行方をめぐる刺激的な議論。IP(コンテンツ資産)のデジタルを介した有効利用へとつながる道筋を、理屈だけなく実践している人々の議論として有益。

BuzzFeed investors have pushed CEO Jonah Peretti to shut down entire newsroom, sources say
米BuzzFeedが、2021年通期および第4四半期業績を開示。同時に、赤字とされてきた報道部門BuzzFeed Newsの「黒字化のための施策」を発表。これには過去のHuffPost買収と同様、編集スタッフ30名(100名中)の依願退職などが含まれるとの情報がある。
決算内容は、通期売上が前年同期比24%増の約4億ドル。また、純利益は同比倍増の約2,600万ドルだった。
見かけ上悪い数字ではないが、買収等の一時的寄与があったかもしれない。主要株主からは不採算部門(BuzzFeed News)の閉鎖を求める声が高まっていたとも記事は報じている。
Discord(ディスコード)の始め方──初心者のためのWIREDガイド
【全文閲読には要購読】:
「ボイスチャンネルは通常、チャンネルパネルの下の方にある(見えない場合はスクロールしよう)。ボイスチャンネルには小さなスピーカーのアイコンがついている。ただし! これらのボイスチャンネルをクリックまたはタップすると即座にボイスチャットに接続されるので注意しよう」。

——趣味、嗜好が近い人々が和気あいあいとコミュニケーションできるDiscord。それ自体で巨大なコミュニケーションメディアとも言えるが、同時に副次的にコミュニティを組織していきたい場合にも使える。これからメディアでの活用が進むだろうDiscordを知るための良いテキスト。

How the FT got to 1M digital subscribers: Q&A with commercial chief Jon Slade
デジタル購読者が100万人に達し、総収入の約半分がデジタル購読で構成される英Financial Times。そのペイウォール路線成功の秘密とこれからを、同社CMOが語る記事。
成功への近道は、全社の各部門の行動に影響を与える共通の目標を持つこと。同社はそれを「読者エンゲージメント」とし、スコア化した。
「私たちは6年前に、読者のエンゲージメントを測定する非常に具体的な方法を確立した。消費されたコンテンツの頻度、頻度、量の組み合わせだ。その結果、スコアが加算される。購読者一人ひとりに、個別のエンゲージメント・スコアが設定されている」のだという。
TV, merchant media and the unbundling of advertising — Benedict Evans
投資家Benedict Evans氏の射程の深い論考。
TVは有料ケーブル購読者数を1/3にまで減らした。一方、ストリーミング市場は新たにターゲティング可能な無料ストリーミング市場を拡大。そしてAmazonはすでにYouTube以上の広告事業者へと成長中。これらはこれまでのマーケティング概念の変貌を意味することに。
Overlays: How journalists can avoid amplifying misinformation in their stories
さまざまな誤報を指摘する際、そのリンクやビジュアルをそのままに扱えば、かえって誤報を広げてしまう結果となる。誤報を指摘する際に、いかにして不用意な拡散効果を生じないように行うか。First Draftがそのための技法である「オーバーレイ」をジャーナリスト向けに解説した記事。
Cord cutting is sending TV networks to the cloud
少数によるレッドオーシャン化が進む動画配信(ストリーミング)市場で顕著となってきた、新たな破壊的なトレンド。それは広告表示ありの無料ストリーミング。そこで放送局がもつコンテンツ資産を簡単にストリーミング化するB2Bの新興クラウドサービスが立ち上がりつつあるとする記事。
ツイッター、スペースの聴きどころ30秒を共有するクリッピングツールをiOSで限定テスト中 | TechCrunch Japan
「iOS版の一部のホストは、録音したスペースから30秒間のオーディオを切り取って、Twitter上で他のユーザーと共有することができるようになった。iOSのすべてのユーザーは現在、タイムライン上でクリップを見たり聴いたりすることができ、Androidとウェブ版のユーザーは、まもなくアクセスできるようになる」。

——徐々に知名度(利用)が広がるTwitterのオーディオ機能「スペース」についての取り組み。音声コンテンツにはさまざまな効能があるが、弱点にその一覧性が低く、多くの人々へ魅力ある個店津を知らせる機能に欠けること。その一部を簡単に切り出して他人に共有できるとなると、その悩み解消に向けて前進するはず。

「ロシア機がキエフ上空で編隊飛行」ウソ情報、男性は「条件反射的にリツイート」 : 国際 : ニュース
【ご紹介】:
私が参加するファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)では、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる真偽不明な情報を収集し検証した情報の告知を行っています。

Disruption This Week—–18/2/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年2月14日から2022年2月18日まで。

How to use Discord for Journalists - Interhacktives
「ジャーナリストはDiscordをどう使うべきか?」音声・映像・テキストなどでライブチャットが可能なコミュニケーションツールのDiscord。これをメディアやジャーナリストはどう扱うべきかを解説する記事。観察するだけは嫌われるとか、Slackとはどう違うかなどのポイントもしてきする。
なぜ今AI倫理なのか? AIがもたらす「意図しない結果」を防ぐために開発者ができること
【全文閲読には要購読】:
「もう1点、意図していなかった結果をAIが引き起こしてしまった例として触れておきたいのが、自動運転における『トロッコ問題』だ」。

——“トロッコ問題”の全体像については、記事をぜひ参照。たとえば、自動運転を司るAIが、究極の問い(このまま歩行者をはねるか、自ら道をそれて崖に落ちるかといった思考実験)などだ。これは端的な問題だが、AI倫理問題を総合的に整理したこの記事(連載)は、少し踏み込んで考える際の格好な資料になる。

「デッドラインは遅くとも2030年。痛みも伴うし、社員一人一人の意識改革が必要だ」紙とデジタルのバランスに悩む朝日新聞取締役が描くビジョン、そして記者の役割 | 経済・IT | ABEMA TIMES
朝日新聞社取締役・角田克氏:
「この1年半くらいは、突貫工事に次ぐ突貫工事だ。伊藤大地君をドンと据えてみたのもそうだし、エラーだけじゃなくてヒットや知見もかなり溜まってきている。ニューヨーク・タイムズの成功は編集とエンジニアリングが一体となっていたことも大きく、朝日新聞も含め日本のメディアはかなり遅れていた」。

——なかなかインパクトのある記事(番組)。赤裸々な話題に朝日新聞が乗ったのも、社内にインパクトを与えるという意味もあるのだろう。実際に取り組みが進んでいる印象だし、オンライン強者の部類には入ると思うが、“編集業務”のデジタルへの統合、テクノロジーに携わる人員の強化がさらに必要だろうと見ている。

米Netflix、Take-Two Interactive社と提携し、歴史のあるRPG作品「BioShock」の実写版映像を制作することを公表。同社のゲーム分野への取り組みは最近一気に加速。Disney PlusやHBO Maxが無視するカテゴリーを熱心に開拓中だと論評する記事。
Google Plans Privacy Changes, but Promises to Not Be Disruptive
Google、Chromeで取り組んでいる“プライバシーサンドボックス”による広告ターゲティング抑止機能と相似するAndroidでの取り組みを公表。Android上で用いられてきた識別子Advertising IDを2年かけて廃止していくとする。自社製品に対しても特別な優遇はしないとも言明した。
海外発の「縦読み漫画」が流行中!“待てば¥0”のシステムを生んだ漫画アプリ「ピッコマ」の戦略とは?|ウォーカープラス
「海外では浸透している縦読み漫画だが、日本で定着させるためにさまざまな苦労を重ねているという。もともと日本には縦読みの習慣がなく、スマホで読む場合でも紙のような位置画面に複数のコマ割があるのが一般的。漫画大国の日本で、新しい形式の漫画を読んでもらうためのきっかけ作りが困難を極めた」。

——例示がていねいなされているので、「ピッコマ」を知らないわれわれ世代でもいろいろと実感できるものがある良い記事。メディアのフォーマット(形式)的側面が、表現そのものの革新(パラダイムシフト)を導くかもしれない事例といえそう。過去、スマホの登場で日本のコマ割の分解という問題が生じていたと見るが、それへの回答と受け止める。

Financial Times approaching 1 million digital-only subscribers
厳格なペイウォールで知られる英Financial Times、今月末にはデジタル専用購読者数が100万人に達すると、Axiosが報道。その半数が英国外の購読者、多くが米国読者に支えられている。同社の総収入でも5割近くをデジタル購読からとする興味深い情報も盛られている。
なお、同社は日経新聞傘下であることは知られている。日経本体の電子版専用購読者数は、約90万人と見られる(⇒「日経電子版から考える 新聞社は配信事業から『双方向会話型』の新事業体へ」参照)。
TikTok Wants to Avoid Facebook’s Mess. Its Corporate Culture Could Complicate That
【有料購読者向け記事】:
TikTokと親会社の中国ByteDanceの従業員間の文化(倫理観や法令遵守意識)のギャップが、同アプリをめぐる混沌に拍車とするリポート。本国技術者が、肌の色を変更できたり、人の美醜をスコアしたりする機能を米側が停めたりする事象などを報じる記事。
スポティファイ「ワクチン誤情報」危機の内幕
【有料購読者向け記事】:
「エク氏はインタビューで『パブリッシャー(コンテンツの提供元)』として位置づけられることを拒んだ。ユーチューブやフェイスブックがハイテク企業かメディアプラットフォームかはなお議論の余地があるとし、こう述べた。『スポティファイが何であるかも明確には定義できないと思う』」。

——デジタルの流通基盤がパワーを持つ時代。“メディアなのかプラットフォームなのか”問題は遍在的に生じる。法制的にも免責としている分野の見直しが進むことにもなる。この問題とイケイケに徹する起業家を組み合わせると、問題が火を噴くパターンはもはや定型的とも言えるのだが。

The Psychology of TikTok
いまや世界で10億人以上のユーザを擁するTikTok。その6割は30歳以下で占められるという。本論は、その“中毒性”の核心を推奨アルゴリズムの徹底性に見る。「予測できない報酬は、得られるのがわかっている報酬よりも、脳の報酬領域の活動が活発になる」の法則だという。
動画配信の成長の壁、アニメが破れるか(写真=ロイター)
【ご紹介】:
日経MJ紙への連載コラムが日経電子版に掲載されました。日本のアニメ関連コンテンツへの需要が世界で高まっているという話題を取り上げました。よろしければどうぞ。➡ 動画配信の成長の壁、アニメが破れるか
メンタルヘルスへの影響を中心とした ニュース消費に関する調査を概観する - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。SmartNews内で進められた「オンラインニュース消費とメンタルヘルスへの影響」をめぐる動向の調査・検討です。

Disruption This Week—–11/2/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年2月7日から2022年2月10日まで。

News outlets ride TikTok engagement wave
TikTokでフォロワーを増やす米メディア。カテゴリー別に整理されたチャートが役立つ。ABC Newsでは、トレンド話よりハードなニュースの方がフォロワーを増やす効果が高かったなど、記事は興味深い動きも紹介する。
Local Papers Find Hints of Success With Online Subscriptions
米ローカル新聞チェーンのLee Enterprises、同社傘下の総デジタル購読者数が年間57%増加と発表。Leeのトップは、「遅かれ早かれ100万人の購読者を獲得する」と楽観。実は最大チェーンのGannettでも46%増で150万を達成。NYTimesがローカル各社を取材した記事。

Digital Advertising in 2022

Stratechery by Ben Thompson

Digital Advertising in 2022
「2022年のデジタル広告」。StratecheryのBen Thompson氏が6年前にこの市場を分析してから、現在までの状況の変化を分析。検索⇆ディスプレイ、コマース⇆アプリの軸で比較すると、Facebookに大きな痛手が顕在化しているのがわかる。

電子版と本紙販売を集約 日経、サブスク事業に統合・再編 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議

AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム

電子版と本紙販売を集約 日経、サブスク事業に統合・再編 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議
「本紙読者や『日経電子版』ユーザー獲得を担う『サブスクリプション事業部門』、広告やイベントなどを担う『メディアビジネス部門』、教育事業などの『ライフ&キャリアビジネス部門』、『日経テレコン』などの『情報サービス部門』に再編する。デジタル事業配下の部署を移管し、デジタルとアナログの垣根をなくした格好」。

——電子版サブスク推進の意義は、付加的な事業としての位置付けをはるかに超えて中核的なものとなったのは当然ながら、一方で、その頭打ち感や、紙・電子の購読の退潮トレンドにどう抗していくのか、という大きな局面変化にもあるのだろう。

米アップル、AI使った作曲手掛ける新興企業を買収-関係者
「米アップルは人工知能(AI)を使った作曲を手掛ける新興企業、AIミュージックを買収した。事情に詳しい関係者が明らかにした。アップルのオーディオ関連サービスに幅広く応用可能な技術を獲得した。…現在は閉鎖されたAIミュージックのウェブサイトの写しによると、同社が開発した技術は著作権フリーの楽曲とAIを活用して、ユーザーとの相互作用で変化するサウンドトラックを作ることができる」。

——Appleが、企業名がそのものズバリのAI Musicを買収。AIによる楽曲の生成(作曲)を行うアプローチは、すでにいくつも生じている。ネット時代のコンテンツでは無数にバックグラウンド音楽へのニーズが存在するからだ。それも著作権料支払いをゼロもしくは低価格で。で、そのようなニーズに対応している間に、本物のディスラプションが生じる可能性もある。

NBC serves up Beijing Olympics in VR
「アイスホッケーで氷上からゴール裏に向かうように、カメラアングルが切り替わることができる」。米NBCは、有料利用者向けに北京オリンピックのVR中継を8K映像を用いて実施中。利用者はMeta社のQuest 2ヘッドセットを用いる。記事は、高精細な迫力ある映像という利点に対し、ヘッドセット着用による周囲との阻隔感と、長時間の競技視聴中にバッテリー切れすることもあるなどの欠点も指摘する(笑)。
ニールセン、動画・音声ストリーミングの視聴状況を発表 月間視聴者数や年齢構成は?
「動画ストリーミング、音声ストリーミングにおける視聴者数上位5媒体の年齢構成を見ると、Amazon Prime Videoが18-34歳の割合が最も高く36%であった。またTVer、YouTube、ABEMAの3サービスでは50歳以上の割合が最も高かった。radiko.jpではさらに50歳以上の割合が高く57%となっており、同調査は、かつてのラジオ世代を取り込んでいる可能性を指摘した」。

——記事中に示されている年齢別シェアを見ると、上記引用で指摘されていることの重みがより鮮明に理解できる。いまや、YouTubeでさえ、5割近くが50歳以上のシニアに占められている。

Amazon Spent $13 Billion on Film, TV and Music Content in 2021, up 18%
米Amazon、2021年の映像・音楽コンテンツに支出した費用は130億ドルとなり、前年比で18%増に。これは20年/19年比の40%増からは大幅にスローダウンした結果。一方、21年のサブスクリプション収入の総計(Amazon Primeを中心に、音楽、オーディオブック、書籍読み放題など各種サービスを含む)は前年比で26%増の318億ドル。うまい投資対効果を得ている印象。
欧州メディアの経営活性化プログラム 35社が生き残りのためのスキルを探す(小林恭子) - 個人 - Yahoo!ニュース
「ドイツ北西部ニーダーザクセン州にある日刊紙『Nordwest-Zeitung (NWZ)』は家族向けのニュースレターの発行を2021年6月に開始した。年末までに3000人を超える購読者を得て、デジタル版の有料購読者増加に大きく貢献したという」。

——英国在住のジャーナリスト小林恭子さんのリポート。記事を読めば分かるように、ジャーナリストが単にデジタルスキルを学べば、というものではない考え方が伝わるプログラム。「このようなプログラムが日本でも実行できないものだろうか」と小林さんは問うている。

Death of a Duopoly: Why It’s Time to Reconsider the Facebook-Google Rivalry
【有料購読者向け記事】:
長く続いてきたデジタル広告分野におけるGoogleとFacebookによる2社寡占状況の終えん。WSJでの記者活動をGoogleの取材から出発したThe Information創業者のJessica Lessin氏が振り返る。同氏は次の競合関係はまったく構図を変えて現れると予測する。というのも、両社が広告を止めることはないだろうが、Google(Alphabet)はあまりメタバースに関心がないし、Meta(Facebook)は自動車に興味を持っていない。

Disruption This Week—–28/1/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年1月24日から2022年1月28日まで。

Interview: Nicholas Thompson, chief executive of the Atlantic
TV局で解雇、ギタリストとして世界を放浪、そしてトップレベルのシニアアスリートなど、数々のユニークな経歴(記事を参照)を持つ、米The AtlanticのCEO、Nicholas Thompson氏へのインタビュー。同氏はNew YorkerとWIREDで、編集者としてサブスクを成功させ、いまはCEOとして創刊165年の老舗メディアのデジタル購読に挑みつつある。2022年は、100万購読者をめざす。
ユーチューブ、クリエーター向けにNFT機能提供を検討
「米アルファベット傘下の動画投稿サイト、ユーチューブは、クリエーター向けにNFT(非代替性トークン)の機能を提供することを検討していると明らかにした。スーザン・ウォジスキ最高経営責任者(CEO)が25日、2022年の優先事項に関する書簡で述べた」。

——YouTubeのような場で、NFTをどう利用しようとしているのかについては、注目すべき。

Can CNN’s Hiring Spree Get People to Pay for Streaming News?
遅れに遅れてストリーミングによる有料映像配信サービスに挑戦する米CNN。3月から「CNN+」を開始するために大物キャスタら採用中だ。Fox NewsからベテランChris Wallace氏を引き抜いた。また、著名インスタグラマなども投入しエンタメも強化する。Foxに3年遅れでの参戦が功を奏するか?
TikTok Creators Air Grievance Over Fund Payouts
【有料購読者向け記事】:
TikTokを舞台にする人気クリエイターから、プラットフォームからの支払いが極端に少ないと不満の声があがっている。同社は、2020年にクリエイター誘致のための“10億ドル”ファンドを立ち上げたが、「払いはYouTubeに比べはした金だ」との声があがる。
Google kills off FLoC, replaces it with Topics – TechCrunch
Googleは開発中だった“ポスト・クッキー”ソリューションである「FLoC」を断念。代わって、ユーザが興味を持つ事項(トピックス)を記録し、そのトピックスを対象に広告を表示できるアプローチへの転換を発表。FLoCにはユーザプライバシーへの懸念が指摘されていた。
What Instagram’s Move Into Subscriptions Means for TikTok—and Patreon
【有料購読者向け記事】:
クリエイターエコノミーの視点から見ると、InstagramはYouTube追い上げに夢中だ。クリエイターのサブスク収入から1年は“税金”を徴収しないと決めた。YouTubeは30%、Patreonは5〜12%、Twitterは3%内のレベルで徴収しているとするThe Informationの記事。
【独自】TikTok運営会社が一般投稿装い動画宣伝…協力者に歩合制報酬、年500万円も : 社会 : ニュース
「『協力者』1人当たりの投稿が年間数千本に上り、報酬額が500万円を超えるケースもあったという。アプリ利用者を増やすのが目的で、宣伝であることを隠す『ステルスマーケティング』の可能性がある」。

——読売の今朝(2022/01/24)のトップ記事の一つ。記事にあるように(全文が読めるはず)、バイトダンス社は報道のような事実を認めており、「今回の施策は昨年12月で終了した。投稿に広告表記が必要だという認識がなかったが、利用者を誤認させる可能性があり、再発防止に努める」とする。

Why YouTube Sees Hollywood’s Future in the Creator Economy
【有料購読者向け記事】:
YouTubeはハリウッド映画の未来をクリエイターエコノミーに見る。米The Information論説。
先週、YouTube幹部は200万人のユーチューバ宛て書簡でYouTube Redを率いたオリジナル路線の幹部Susanne Danielsの退任を説明。同社の戦略転換をオープンにした。記事は、YouTubeがNetflix型のオリジナル大作主義を捨て、著名ユーチューバらの才能に頼ったクリエイティブ路線に舵を切ったこと。さらに、ハリウッドもクリエイター側へ歩みよっているという、業界の地殻変動の可能性を指摘する。
Is the Media Doomed?
「メディアは破滅か?」。米の政治メディアPoliticoがテーマを拡大、読みごたえある記事を取り揃える「Politico Magazine」から。記事は16人の思想家が15年後のメディアを語る。いずれも傾聴すべき論。例えば、メディアとテックの融合を悲観的に見るNicholas Carr氏は、15年前のiPhone誕生を潮流の原点と語る。
TikTokがTwitter、Instagramに続き有料サブスク導入を限定テスト、クリエイターの収益化の道を探る | TechCrunch Japan
「人気の短編ビデオアプリTikTokは、クリエイターが自身のコンテンツのサブスクリプションに課金するオプションを模索している。この機能は当面の間、限定的なテストの一環であり、広くは提供されない。TikTokは、この機能についての詳しい説明や、追加の詳細の提供は却下した」。

——Instagramがサブスク機能を取り込む準備をしているとの報道から間をおかずに、TikTokも。背景には“人気インスタグラマー”“人気ティックトッカー”が直接的に収入を得る方法を用意しないわけにはいかない、クリエイターエコノミーの潮流があると想像。

Web3はコンテンツの黄金時代か、それとも金ぴか時代か? - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。いま、テック界・メディア界でホットな視線を浴びる「Web3.0」について論じます。

Disruption This Week—–26/11/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年11月22日から2021年11月26日まで。

Is the music industry's future on the blockchain?
つい先日、私も紹介した楽曲著作権をめぐる新星Royalについて、Casey Newton氏がニューズレター「Platformer」で論評している。同氏は暗号化資産について極めて懐疑的でもあり、興味深い。「NFT」と紹介したが、Royalは「限定デジタル資産(LDA)」という手法を推進する。“リミックス”時代には、この手法で精度高くロイヤルティが得られるとすれば、その意義は大きいものとなる。
NFT音楽著作権のスタートアップRoyalがa16z Cryptoの主導で63.1億円調達、前ラウンドからわずか3カ月 | TechCrunch Japan
「スタートアップ(=Royalのことだろう)によれば、それらのトークンの二次販売がすでに60万ドル(約6890万円)近く行われており、新シングルの暗黙の評価額は600万ドル(約6億8900万円)に達しているという」。

——自分の理解では、Royalは楽曲をめぐる著作権をNFT化して、ファンや投資家に販売できるようにする。すると、NFTを保有するファンらは、楽曲から生じるロイヤルティを受け取ることができるというわけだ。アーティストは、NFT投資家から自身の楽曲の権利を売ることで、早期に収入を得られる。市場を通じて安全に転売をすることを念頭に置くと、NFTの使い道として面白い。

From micropayments to eBooks (and NFTs): How publishers can diversify their revenue | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
米オレゴン州立大教授、Damian Radcliffe氏が出版した『50 Ways to Make Media Pay』から注目の新たな5つのメディア収益化手法を紹介する記事。1) マイクロペイメント、2) ダイナミックペイウォール、3) 電子書籍化、4) アーカイブ活用、5) NFT化による販売が、それだ。
Apple ATT 実装から約四半期、アプリ広告に長い影を落とす | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が最初に引用したアドテクベンダー、ロテーム(Lotame)のデータによると、Facebook、Twitter、YouTube、Snapの4社は、第3四半期および第4四半期に売上の12%(99億ドル:約1.1兆円)を失ったという」。

——AppleによるiOS上での広告ターゲティングに対する抑止策(ATT=App Tracking Transparency)の影響が、全面的にではないにせよ、徐々に広がっている。広告主や広告を稼働させるプラットフォームなどでの受け止めを扱った記事。

Twitter Joins Big Tech Assault on Live-Shopping Startups; Harassment on TikTok
【有料購読者向け記事】:
米国ではクリスマス商戦を念頭に、“ライブコマース”への参入が相次いでいる(もちろん、中国などでのトレンドの後追いではあるが)。Pinterest、Facebook、YouTubeなどでの取り組みに次いで、いよいよTwitterまでが参入との話題。ライブコマースは、“クリエイターエコノミー”の文脈にもあるトレンド。個々のクリエイターが商品、サービスをフォロワーに推奨することでサヤを得るメカニズムだ。
Here’s the Best Strike for Most People
5年前、米New York Timesに買収された商品レビューサイトのWirecutter。当時のNYTのCEOは、Wirecutterを「NYT編集部の高い基準と価値をあらわす」ものと持ち上げたが、待ち受けていたのは、社内で二級市民と見なす視線と孤立だった。同労組はストライキを実施する構えだ。
Washington Post taps its former CMO to lead tech division
米Washington Post、購読と広告に続き、ソフトウェアビジネスを収益の柱へ育成中。同社が開発してきたコンテンツと広告配信システムArcは、1,900以上のライセンス先にまで拡大。今回、同事業を率いるトップにMiki King氏を招聘したとする話題。同氏は以前WaPoでCMOを務めた。
米Wall Street Journal出身の一ジャーナリストJessica Lessin氏が、2013年に立ち上げた完全購読制メディア「The Information」が堅実に成長、22万超の有料購読者を獲得と、同氏が英Financial Timesmに語る。
DuckDuckGo Wants to Stop Apps From Tracking You on Android
Appleは広告やスパイウェアがiOS上でユーザを追跡することを抑制する機構である「App Tracking Transparency(ATT)」を実装。これに対し、Android上で同様の働きをする「App Tracking Protection for Android」を、ユーザプライバシー重視をめざす企業DuckDuckGoが提供へ。同社プロダクトディレクターは、「オンラインであなたを追い回す不気味な広告は、はるかに少なくなるはずだ」と述べる。
Mediumがオーディオ学習プラットフォームのKnowableを買収 | TechCrunch Japan
「Mediumは自身の成果を共有する、収益化可能な新しいフォーマットです。Knowableのレッスンはすぐに消え収益化できないソーシャルオーディオと、大変な労力を要するポッドキャストやオーディオブックとの間に位置するものです。Knowableが制作サイドの難しい部分を担当することで、クリエイターはオーディオに不慣れであってもすばらしいコンテンツを提供できます」。

——Mediumはそもそもブログと課金を組み合わせた出版サービス。最近になって、ショートフォームをはじめとするフォーマットの多様化を手がけるが、音声コンテンツにも。それが教育系コンテンツという点も、示唆的。