Disruption This Week—–17/5/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年5月13日から2019年5月17日まで。

「一般の人やライターなどから持ち込まれた企画の出版費用や宣伝費用を、読者・支援者から募る仕組み。1000部から出版でき、著者印税は50%に設定した」。

——編集業務や出版そのものに関するコストはどのように発生するのか(著者にとっては、どうコストを抑制できるか)、まだ、見えていないスキームが気になるところ。

【ご紹介】:
日経MJ紙への連載記事が日経電子版に転載されました。よろしければどうぞ。➡ ポッドキャスト参入相次ぐ 広告とAIスピーカーが原動力
Facebookのピボットは、大転換期をキャッチアップできるのか? 記事は、2011年のF8に立ち返り、モバイルの大トレンドに無策だった当社と、その後のHTML5選択の大失敗を経て、見事にピボットを成し遂げた経緯を解説。そしていま、メッセージング、プライベート重視の転換期をどうキャッチアップできるかと問う。
同社が迎えた困難を、単に火事場の見物ではなく、自らはどうピボットできるかと問うべき。そう読める良いビジネスストーリー。
Webサイトやアプリのような「プロダクト」で収益を生むために考えなければならないこと。それは、まず「所有か貸与か」のモデル選択だとする論。所有であれば、1回は支払いを求める必要がある。貸与では、サブスクリプションが想定できる。この二つに沿って整理された論。
Spotify、楽曲やアーティストを効果的に訴求する新フォーマット「Storyline」を試行運用中。SnapchatやInstagram上で人気の「Stories」フォーマットを模したUIで、楽曲再生にテキストや映像を融合。タップで遷移する。背後には、Spotifyオリジナル体験の提供意図がありそうだ。
半年前にリリースされた英BBCのラジオ(ライブ)およびポッドキャストアプリ「BBC Sounds」。責任者は、コンテンツ表示に「パブリック・アルゴリズム」を開発、好みのタイプのコンテンツばかり選択してしまう“エコーチェンバー”の対極にある“教育的”価値をめざすと述べる。
「ブログを使い、誰でも『簡単かつ低コスト』で記事コンテンツが投稿できるようになった。同じように、リアルなCGI(コンピューター生成画像)の制作を『簡単かつ低コスト』で実現、これはシンセティックリアリティー領域のテクノロジーの1例だと、Rojas氏は言う」。

——ある面で、“いたちごっこ”とも呼ばざるを得ないが、それであってもディープフェイク的合成世界を、見破り真偽を指摘するテクノロジーの進化を、放棄するわけにはいかない。大変な時代だ。

「ザッカーバーグは『送金は写真を送信するのと同じくらい簡単であるべきです』とした上で、『シンプルで安全な決済手段』が今後の事業で重要な位置を占める可能性をほのめかした。Paypal傘下の決済アプリ『Venmo』や、自社のメッセージアプリ『WhatsApp』で試験展開する決済サーヴィスどころではなく、それをはるかに超えたものだ」。

——片や中国国内の大手プラットフォームでの決済サービスの発展ぶりなどを考えれば、納得感のある論でもある。Facebookは、独創的なものより、強力な模倣力を発揮する企業だからだ。

米CNBCテクノロジー解説記者、昨今のメディア界で起きている老舗メディア(DisneyやNew York Timesを例に挙げる)の業績好調と、新興メディア(Vox Mediaが例に挙がる)の不調の要因は、コンテンツ自体の価値とは関わりなく、“配信”をめぐって起きていることの証左だと指摘。老舗メディアが、デジタルに目覚めれば、業績は取り戻せると。
新興メディアは伝統メディア並みのコンテンツ品質を提供できているわけではないというわけだ。それはその通りだと思う。
米オハイオ州のローカルメディア「Cleveland.com」、月額4ドルで、記者がニュースやニュース解説を読者に直接ショートメッセージを送信するサービスを試行運用開始。同社運営会社Advance Localのラボがアイデアと仕組みを開発。カバーする分野はスポーツから社会、趣味までだ。面白い試み。

Disruption This Week—–10/5/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年5月7日から2019年5月10日まで。

【ご紹介】:
私自身が深く関与している団体「JIMA(インターネットメディア協会)」サイトから、連載企画第2弾です。ご一読を。➡ 情報の受け手が進化すればメディアの質も上がっていく——NewsPicks金泉俊輔さん
「NSAI(=国際ナッシュビル作詞作曲家協会)のバート・ハービソンはこう付け加える。『ストリーミングで100万回再生されても数百ドルしか懐に入らないなら、家族を養うことなんてできません』」。

——いろいろと考えさせられる、興味深い論。ストリーミングサービスの出現によって、少なくとも米音楽業界は再興を果たしているはずなのだが、アーティストらはそう感じていない。また、中間の事業者(レーベルや出版社、そして各種団体)の役割も問われることになる。

米New York Times、19年1Q業績を開示。デジタル購読者だけで現在350万人(印刷との計450万人)と、2025年までに1000万購読者獲得に向けたペースを上回る好調ぶりと、自ら解説。特筆すべきは、デジタル広告収入の好調さで、要因としてポッドキャスト「The Daily」の名を挙げる。
何度か紹介しているが、米国メディア界での注目トレンドは、「サブスクリプション」、「ポッドキャスト」、そして「ニューズレター(メルマガ)」だ。この記事が扱う「Inside.com」は、都市ごと、ジャンルごとのテーマを扱うメルマガを50超取り揃えた、注目の新興メディアだ。
大物投資家らが資金面でバックアップ。メルマガという“旧くて新しい”メディアの再興が進む。
ある投資家兼メディアコンサルタントの論。
「“未来のジャーナリズム(メディア)”は小さくあれ」。Instagramで出くわすような、オンラインを根城にする無数の極小ブランドやドロップシッパーのように。ニッチ性とターゲティングを高め、マーケティングすべしとのオピニオン。
New York Timesと並び、テクノロジーの取り入れに熱心な米Washington Post。そのCIOおよびCPO(Chief Product Officer)職を担う技術畑のベテラン、Shailesh Prakash氏への興味深いインタビュー記事。同社内製CMSを年商1億ドルビジネスへと成長させようとする原動力だ。
再認識させられたのは、同氏はJeff Bezos氏が同社を買収する2年前にはWaPoに着任していたということだ。
「右肩上がりで頼みの綱となるインターネット広告も、その50〜70%が海外に流れているという実態は衝撃的だ」。

ーー記事でも触れられてはいるが、国外プレーヤーへの法的な域外適用などに関心を向けるべきだろう。ネットがよい意味でも悪い意味でも越境的な特性があることを前提に、“排外”感情に訴えるアプローチにならないようにしたい。

長年経営に苦しんできた英the Guardianを擁するGuardian News and Mediaが、19年3月期でEBITDAベースの黒字化を実現。寄付や課金メンバー制のプロモーションで、65万人の月額課金ユーザーの獲得に成功。一方で、この3年間に450名の従業員削減を代償としたことも示す記事。
「2006年から現在のスタイルになっているポッドキャストは2018年に最も成長した。3月時点で、米国の消費者の半分以上がポッドキャストを聴いている。ポッドキャスト視聴者が50%を上回ったのはこれが初めてだ。
この数字からすると『The Daily』はまだ成長する余地を残しているようだ」。

ーーポッドキャストとスマートスピーカーとの関連性は、魅力的なテーマだが、米国ではラジオ視聴者規模がスマートスピーカーのそれに対し数倍大きいので、なんとも言えない。やはり(場所や時間帯など)オンデマンド性と、プロバイダの多様性が魅力なのだろう。

「これは『デジタル・ストーリーテリング(Digital Storytelling)』と呼ばれ、新たなニュースの方法論となりつつある。縦型映像も、デジタル・ストーリーテリングをスマホで展開する上で効果があるとして、BBCやアメリカのメディアなどが活発に仕掛けを始めた分野だ」。

——奥村伸幸氏が、さまざまなニュース表現手法を「デジタルストーリーテリング」として、総合的に解説。必読の記事。

Disruption This Week—–22/3/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年3月18日から2019年3月22日まで。

仏大統領選をめぐって誕生したファクトチェックメディア「CheckNews」、昨年、Pierre Omidyar氏率いるファンドから5万ドルの拠出を得て、また、“黄色いベスト運動”の渦中で、事業を3倍にまで拡大。月間PVが1,100万、検証依頼8,000件、回答数1,600件の実績を積み上げる。
英国では、昨年、録音楽曲市場におけるレーベルへの収入は、ストリーミングからが54%、8億7000万ポンドと過半を超えた。一方で、CD販売からの収入の落ち込みは続いているという。
【ご紹介】:
月一回の日経MJ紙への連載が日経電子版へ掲載されました。よろしければどうぞ。➡メディアに「メルマガ・ルネサンス」!? 読者との絆、復活の切り札
米Deloitteが例年実施している「Digital Media Trends Survey」を今年も発表。米消費者の、特に若者を年代層別にセグメントし、そのエンターテインメントの環境を調査する。若い消費者にとり、満足もフラストレーションもサブスクリプションから生じているようだ。
“太古”から続くソーシャルメディア、それは「メルマガ(eメールニューズレター)」だとするNYTのテック系編集者氏。数々の事例を挙げながら旧くて新しいメディアの最新トレンド「メルマガ」の現状を語る。
「なぜ、このような事態になってしまっているのだろう。それは、グーグルがイデオロギーにとらわれているからではない。同社がアルゴリズムを使って政治に関するみんなの疑問に答える『危険な火遊び』をしていることが原因だ」。

——この「危険な火遊び」とは、ネット上の言説は、集合的な規模において、良質性と信頼性を担保できるレベルにあると見なしてしまうことにある。実は、「遍在」的というよりも「偏在」的で、これをうまく処理するには、まだテクノロジーにはナイーブ面がある。

Google、米サンフランシスコで開催中のGame Developer Conferenceで、新たにストリーミング型ゲームプラットフォーム「Stadia」を発表。ゲーム本体はクラウド上にあり、Chromeをサポートする各種デバイスで実行可能。ハードとしてはコントローラを販売する程度だという。ビジネスモデルへの情報を書いているが、Google Playの流れから想定すれば、In-App広告(課金)からサブスクリプションまで想定できそうだ。
ジャーナリズムが直面する二正面戦、すなわち経済的な課題と信頼性の担保を、ブロックチェーン技術をテコにノンプロフィットで支援しようとする、Civil Media Foundation。CEOVivian Schiller氏に突っ込んだインタビューを行った記事。「フェイクを信じるのと、ブロックチェーン技術に過度な期待をするのは、同じ心理ではないか?」など、後半はシリアス。
米老舗(そして、中堅規模メディア)「The Atlantic」の広告収入路線か、ペイウォール制かの戦略的混乱の指摘から始まるオピニオン。多くのメディア人には、ペイウォール(=読者課金)への妄執が見られるが、品質面で徹底的に差別化できなけれ未来はないとの議論でもある。
米国内地方紙の惨状を解説する記事。現在も100もの地方紙を傘下に置くGannettが、ヘッジファンドの標的になっているが、その手法は、安価に買収、その後、極限まで人員やコストを削減し、系列化したりして、その後の売買価値を上げる。2004年からの15年間で、600媒体が消滅もしくは名称変更した。もちろん、地方紙のゴースト化、もしくはゾンビ化が引き起こす課題は重い。
こちらもFacebook関連の話題。米「The Verge」Casey Newton記者は、Facebookの長い間プロダクト責任者だったChris Cox氏の退任や話題となったMark Zuckerberg氏の長文ブログは、FacebookとInstagramのニュースフィード時代の本格的な終えんを示すものと解説する。

Disruption This Week—–15/3/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年3月11日から2019年3月15日まで。

「18年のネット広告費は16.5%増の1兆7589億円だった。地上波テレビ広告費の1兆7848億円に迫った。19年もモバイル広告費の成長は続く見通しで、18年に比べ22.7%多い1兆2493億円に拡大する」。

——景気の冷え込みが徐々に顕在化しているところで、遅延指標としてだからか、統計上では、景気の良い話になっているようだ。モバイルが増えるのは当然として、さて、課題も山積だ。

 

 

「東京理科大学と共同開発した『ニュース記事自動要約システム』を活用。河北新報の記事を指定した長さに要約した後、常体(である)を敬体(ですます)にしたり体言止めを補完したりといった変換を行い、音声読み上げに適した文章にする」。

——音声コンテンツなどの生成については、より短文・簡潔化が望まれるが、印刷版・電子版用コンテンツの生成時に、作り分ける必要が生じていた。その負荷を軽減できるなら、価値の高いコンテンツ市場が生じる可能性がある。

新聞およびニュースメディアの世界団体、ロボットによる自動記事生成システムを利用する事例をレポート(有料)。ジャーナリストを機械が置き換えるという課題よりも、システムは内製開発すべきか、購入するのかに重点があるとする記事。

 

 

今や「サブスクリプスション時代のスター」としてもてはやされる米New York Timesだが、広告ビジネスにおいても、最近になり印刷版における広告収入を電子版のそれを上回るなど、進化を続ける。同社広告部門幹部Sebastian Tomich氏が、サブスクリプション・ファースト戦略下での広告について語る。

 

 

「ニュース産業が、Netflixから学べるほんの一つか二つのこと」。
映像分野でNetflixが示したのは、FacebookやGoogleとは異なって、視聴者に対して付加価値をつけてコンテンツを収集し、提供するモデル。これであれば消費者はお金を払えるというものだ。

 

 

「AIはジャーナリズムの改善にどう用いられるか」。米HarvardとMITの共同プロジェクトが75万ドルの基金を用いて研究を奨励。記事は3つの事例を紹介。喫緊なのは、WhatsAppのような閉鎖空間での誤情報の検証スキームの確立だ。Facebookがこの分野へのシフトを図るからだ。

 

 

【閲読には要購読】:Amazonの広告ビジネスが急成長している。絶対額では依然として、GoogleおよびFacebookに遠く及ばないものの、成長スピードでは、広告の二大巨人が同規模であった際をしのぐ。リアルビジネスにも足場を有するAmazon広告の成長ぶりに懸念を示す向きもでてきている。

 

 

「・検索ニーズ(キーワード)に対して、最も端的かつ完全な回答を用意している
・検索エンジンが理解可能なシンプルなHTMLでクエリに対する回答が書かれている
・直帰率が低い、滞在時間が長いなどユーザーの反応が良いページである
・ユーザーの検索キーワードに『関連する検索キーワード』への回答も同じページに書かれている」——多少テクニカルな要素はあるものの、分かりやすい。検索システムという「機械」と、人間における評価の高いコンテンツの関係を説きながら、現在の検索という概念の特性が理解できる。

コンテンツ課金サービス「Agate」を運用するAgate Systemのトップ、コンテンツへの入り口で課金の判断を求めるペイウォールは、95%の読者の脱落を引き起こすと説く。Agateはコンテンツ単位で課金し、支払総額が一定額に達したら、以後はフリーアクセスとすることで、実質的に購読型のペイウォールと同等に機能するハイブリッド課金。

 

 

3度、4度と起業を重ねるDan Porter氏は、現在、米国内のハイスクール在籍アスリートに焦点を当てるポッドキャストネットワークのOvertimeを経営。自社サイトは持たず、Instagramを筆頭にソーシャルで、視聴者とのエンゲージメントを高めることに振り切った戦略を展開。

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