Disruption This Week—–30/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年12月26日から2022年12月30日まで。

後藤達也の特別授業at東工大 個人ジャーナリズム・クリエイターのあり方とは
私個人的には、お歳暮もしくはお年玉的価値のあるレクチャー。
Gaming takes over everything
“ゲームこそストリーミングの最大の競合”との認識は新しいものではない。今度は、ハリウッドやストリーミングがゲームを題材に次々と大作。23年には「The Super Mario Bros. Movie」、そしてPlayStation題材の作品などが控えている。もちろん、ゲーム開発をめぐってはサウジアラビアが動き出すなど、ゲームはますますエンタメの中心、カネの集まる場へと向かっているとする記事。
Creator Financing Is Going Mainstream
【有料購読者向け記事】:
大手プラットフォームでは、“クリエイターエコノミー”トレンドに絡んで設立した“基金”から撤退する動きが目立つが、クリエイター向けファイナンススキームづくりに初期から関与してきた投資家が、着実に前進しつつある現況と進む方向を詳細に解説した記事。
The AI spammers are coming
「よくできていて、説得力があり、そしてまったく間違っている」コンテンツスパムが、ChatGPTのようなテクノロジーで大量に算出される。それはSEOのあり方を変える。10年続いたプラットフォームがメディアへ与えた影響力に匹敵する地殻変動が来年以降やってくるとの論説。
「イノベーション促進へ内製化によるデータビジネスの推進を」:毎日新聞社 高添博之 氏 | DIGIDAY[日本版]
「『re:Invent』に弊社からエンジニアを派遣しました。今回は「データビジネス」関連の新サービス・新機能が多く発表されています。AWSが言うように『データアクセスの民主化が企業のイノベーション促進』することを実現するため内製化を進めていきたいと考えています」。

——読者についても、コンテンツについても、老舗メディアの強みはその膨大な“資産”だ。だが、その資産をデータとして活用できなければ、つねに“フロー”としてのビジネスであり続けることを強いられる。資産の活用が手がけられれば、展望が見えてくるはずだ。

The rise of misinformation and how governments are combatting it
「エコーチェンバーからの脱出:各国政府はどう偽情報と闘っているか」。欧州の各国政府関係者向けメディア「Global Government Forum」が政府広報担当者のパネルディスカッションを開催。欧州各国の「偽情報」への対処を議論。基本は、政府と市民間のコミュニケーションをどう増やしていくかが課題ということに。
米サウスカロライナ州Furman大の教授は、ある学生がChatGPTを用いて課題論文を提出したのを発見。課題は“恐怖のパラドクス”を論じることだが、論文は哲学者ヒュームに結びつけ自信満々に誤った引用をしていた。教授はこれがChatGPTの特徴をなすと指摘する。
Googleは敵か味方か 米メディアに「現実主義」の兆し
【有料購読者向け記事】:
「多くの新聞社にとってテック企業は『宿敵』というのが定説だが、ドクター氏(=メディア評論家で、自らも地方メディア「ルックアウト・サンタクルーズ」を立ち上げたケン・ドクター氏)は『グーグルやフェイスブックと競うつもりはない』と言い切る。きめ細かい需要開拓の結果、『地域の潜在顧客とつながる新たな方法のニーズがある』と分かってきたことが大きい」。

——糧道を食われ、窮地の老舗メディア群が法案に支えられてプラットフォームと戦う、もしくは支払交渉に持ち込む……という見慣れた図式から、プラットフォームとの協業関係を引きだす動き。当然ながら望ましい構図だが、プラットフォームの動きが単なるポーズで止まらないようにするためにも、注視を続ける必要がある。

The Atlantic introduces dynamic paywall with varying prices as it hopes to attract 1 million subscribers
米Atlantic、1月より読者の行動から購読料金を変化させる“ダイナミック・ペイウォール”制を開始する。従来は電子および印刷版の組み合わせ、プレミアム版など3種の価格があったが、読者1人当たり収入の増加を目指して動的に価格が変化する新システムを稼働させる。
A New Chat Bot Is a ‘Code Red’ for Google’s Search Business
【有料購読者向け記事】:
新しい種類のチャットボット技術が従来の検索エンジンを再発明、あるいは代替する態勢を整えたことで、Googleは同社の主要な検索ビジネスに対する初めての深刻な脅威に直面している可能性がある。ある幹部は、これが同社の将来を左右すると評する。
検索生み出す収益は同社全体のそれの8割に及ぶという(記事)。そのような強力なビジネスモデルを持てば、この刷新に向かうことは難しくなると、New York Timesの記事は結論として述べている。
AI創造作品、「人工合成メディア」への懸念
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が日経電子版に掲載されました。よろしければご覧下さい。➡ AI創造作品、「人工合成メディア」への懸念

NHK、BBCなどと偽情報対策で連携へ【ファクトチェック通信】

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

NHK、BBCなどと偽情報対策で連携へ【ファクトチェック通信】
【ご紹介】:
FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)が時々のファクトチェックに関連する話題を配信するニューズレター「ファクトチェック通信」にWeb版ができました。ぜひご活用下さい。

Disruption This Week—–23/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年12月20日から2022年12月23日まで。

ネトフリ広告付きプラン、普及まだ先
【有料購読者向け記事】:
「今回のデータが公表される数日前、ネットフリックスは広告付きプランの保証視聴回数を達成できず、その結果出稿されなかった広告分について、返金に応じていると業界誌ディジデイが報じていた」。

——すでにAntennaの調査などについて紹介したが、WSJも、Netflixの広告表示付き廉価版の試みに、否定的な報道。ただし、記事中にもあるが、まだ、滑り出し1か月の段階。今後の展開に引き続き注目すべき。

Porn, Piracy, Fraud: What Lurks Inside Google’s Black Box Ad Empire
「Googleは、広告販売パートナーの大方を秘匿する唯一の主要広告プラットフォームだ。つまり、Googleは広告を掲載するサイトやアプリ、その背後の人々や企業をすべて非公開としている」。
それにより驚くべき偽情報で荒稼ぎするサイトでの広告収入を、匿名のサイトオーナーと折半しているとする詳細な米ProPublicaの調査報道。
米Axios、記事「箇条書き」に活路 ネット系停滞と一線
【有料購読者向け記事】:
「アクシオスは、立ち上げ前に既存メディアの欠点を徹底的に分析し、記事が長すぎるとの結論に至ったという。忙しい読者が短時間で要点をつかめるように、記事は『スマート・ブレビティー(賢く、短く)』と呼ばれる箇条書き方式で提供する」。

——傾く老舗メディアに挑む新興メディア……という図式が揺らいだここ数年。新たな挑戦者はAxiosと見なす記事。ビジネスの仕方、稼ぎ方などに目が行き届いた新興メディアへ注目が集まる。

ByteDance Inquiry Finds Employees Obtained User Data of 2 Journalists
【有料購読者向け記事】:
TikTokおよびその親会社であるByteDanceの従業員らが、米ユーザのデータに不適切にアクセス、監視活動を行っていることはすでに報道されてきたが、今回、新たなに米ジャーナリストの個人データをTikTok従業員が漁っていた事案も内部調査から判明した。
メタバース・ビジネス新展開
25年前に亡くなった
伝説のラッパーが復活ライブ
【有料購読者向け記事】:
「(早逝したラップ・アーティストの)スモールズの超リアルなアバターは、見事な技術的偉業というだけのものではない。メタバース・プラットフォームが普及すればすぐに直面することになる、2つの大きな疑問に対する重要なテストでもある。その疑問とは、亡くなったアーティストのアバターのパフォーマンスを人々がお金を払って見るか、そして、そのビジネスは倫理的か、ということだ」。

——非在の人物をテクノロジーで甦らせる試みは、映画やこの種の芸術ステージ、そして親族と触れあっていたい私的な欲求などに応える産業となっていく可能性がある。この記事ではVRによる見た目の再現と新たな創造が軸だが、ChatGPTのような会話力の人工的な創造がここに組み合わされていくことになることは間違いない。その亡くなった人物の考えや声をAIが学習できれば、応用は広がっていく。

ワシントン・ポスト、SaaSで稼ぐ 2000媒体に基盤提供
【有料購読者向け記事】:
「会社は異なるがArc XPとアマゾンのクラウド部門、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)には共通点が多い。例えば顧客の声に耳を傾け、矢継ぎ早に機能を追加することだ。最近は記者がスマートフォンで撮影した動画をサイトで生中継できる機能など『21年は機能追加数が過去最多だった』(広報担当者)」。

——米Washington Postが自ら内製開発したCMS「arcXP」をめぐる奥平和行記者による充実した取材記事。ただし、同氏が知ってか知らずか、arcXPをめぐる同社の経営は揺らぎ、その戦略は転換を遂げているのだが。メディア企業がテクノロジー事業(企業)を胚胎し育て上げることの難しさが伝わる。期せずしてVox MediaもCMS「Chorus」のディスコンを決めたと報道されている。

Slow fade for Google and Meta's ad dominance
“デジタル広告複占時代”の衰退?
米調査会社Insider Intelligence、2022年の米デジタル広告収入の48.4%をGoogleとMetaの合計が占めると予測(Google28.8%、Meta19.6%)。2014年以来初めて5割を下回る。2017年のピーク時には、54.7%だった(Googleは34.7%、Metaは20.0%)。
5 themes that governed the news industry in 2022 | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
2022年、報道メディアをめぐる5つのトレンド。1) ジェネレーティブAI出現で制作自動化の動き、2) 印刷コスト増大でデジタル化進展、3) Web3、NFTが本格化、4) 改めて広告に頼るメディアも、5) “音声(ポッドキャスト)トレンド”加速
Finding new ways to reach news avoiders
ニュースをめぐるエコシステムは、“ニュース・ジャンキー(中毒者)”に向けて作り出されている。ニュースをよく読む人より、ニュースを大量摂取する人向けにビジネスが最適化されており、それがまたニュースメディアの首を絞め、“ニュース忌避”を呼んでいるとする貴重な論。
最近までCNNでアンカーをしていた筆者が、抜け出す方向性を示唆する。
2023年に最も注目すべきテクノロジーは、世界を変えうる技術革命「生成型AI」だ | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
【有料購読者向け記事】:
「AIは計算負荷が高く、高価なデータセンターを必要とするため、政府や超大企業しか利用する余裕がない。しかし、AIにはストーリーがあり、実用性がある。それこそ、2021年と2022年に登場した技術(Web 3.0とメタバース)が提供しなかったものだ」。

——スコット・ギャロウェイ氏のお馴染みの論説。今年1年の間にも歴史に残るようなAI研究の成果が生み出されている状況を、的確に論じている。Web3トレンドより実用性が高く、その分、日社会に良い影響も悪い影響ももたらすだろうことを示唆している。
で、最大の難点は、大規模言語モデルの駆使は、ブロックチェーンのマイニング同様、設備集約、高エネルギー消費型の産業であること。むしろGAFAを生き延びさせる可能性が高いことかもしれない。

Disruption This Week—–16/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年12月12日から2022年12月16日まで。

An Alternate Reality: How Russia’s State TV Spins the Ukraine War
【有料購読者向け記事】:
米New York Times、ロシア最大の国営メディア企業「全ロシア国立テレビ・ラジオ会社(通称VGTRK)」から流出した膨大なデータからメール通信部分を分析。ウクライナ侵攻開始後のやり取りから、数々の情報工作(キャンペーン)の実態を明らかにした。
ユーチューバー、映像権売却で大金獲得
【有料購読者向け記事】:
「同氏(=ジャスティン・ワトキンス氏)はあるスタートアップ企業からの売り込みに驚いた。それは、同氏が制作した何千もの古い動画から得られる広告収入と引き換えに200万ドル(2億7000万円)以上を受け取らないかというものだった」。

——過去の投稿記事をめぐる権利を売却するような取引がYouTuberにも生じている。もちろん、このトレンドは音楽業界で起きており、ビッグネームが次々と過去の楽曲をめぐる権利を手放している。個人的にはこのスキームをより小型にして汎用化できないものかと考える。もちろん、それもまた今起きているトレンドだ。

Synthetic media forces us to understand how media gets made
「実在の人物がしてもいないことをしているリアルなシーンや、性的な女性の画像、あるいは戦争犯罪の偽画像の氾濫を簡単に偽造できるようにすることは、決して笑えない事態だ」。
“ジェネレーティブAI”が生み出す人工合成メディアの時代に備え、取り組む動きを紹介・論説する記事。
Twitterの「シャドウバン」の実態を暴露するイーロン・マスクお墨付き社内文書「Twitterファイル」第2弾が公開される
「Twitter Japanの公式アカウントが2020年に『Twitterがシャドウバンを行っていると指摘されますが、現在も過去にも行ったこともありません』と述べるなど、Twitterはシャドウバンの実施を否定しています。
そんなシャドウバンの実態を明かす『Twitterファイル』第2弾が、2022年12月9日に公開されました」。

——昨日から紹介しているTwitter社内で行われてきた恣意的な投稿検閲(党派的な偏りから投稿を排除するなどの行為)、“シャドーバン”について、第2弾の報道が米国で行われている。記事はそれを紹介したもの。興味深い事例が含まれている。

Will your paywall kill your website traffic (and ad revenue)? | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
従量型ペイウォール(たとえば、月々一定数の記事は無料とし、それ以上を有料とするような運用)を推進する筆者が、設計によってペイウォール化しても読者流入、広告収入などを激減させることはなく、むしろ向上させるケースがあるのだと論説する記事。
Bari Weiss reveals business plan for buzzy new media startup
Elon Musk氏がSubstack買収に関心を持つようになった背景? New York Timesコラムニストを辞め、Substackニューズレターで独立メディアを立ち上げたBari Weiss氏の話題。Musk氏提供の資料でTwitter内部における“影の検閲”体制を暴いたことから知名度急上昇だ。
Who will win digital advertising’s ‘Game of Thrones’?
米Insider Intelligenceアナリストらによる、2023年のデジタル広告市場予測。15年にはGoogleとMetaで8割近くを占めるという複占状況が相当程度崩れる。市場伸長のわずか15.8%を両社が占めるのみに。では成長株は…? チャートを見れば一目瞭然だ。
The traditional story structure gets deconstructed
「ニュースのテクノロジーは大きく変化しているが、今日の記事の基本構成は、例えば1932年のものと大きくは変わっていない」と指摘し、新興メディアのAxiosやSemaforなどについて触れ、今後のChatGPTなどとのインタラクションに可能性を見る論説。短いが刺激的だ。
How ChatGPT could disrupt the business of search
米Axiosが「ChatGPTがどう検索ビジネスをディスラプトするか」との論説。簡単な質問を文書で入力すると、ひとつのまとまった文章で回答を返してくれるChatGPT。あふれかえる候補群とリンクの束がかえってくるのとどちらが消費者にとって魅力的に見えるか? 答えは見えている。
BBC preparing to go online-only over next decade, says director general
英BBC会長Tim Davie氏、今後の10年間で放送を終了し、BBCがオンライン専業となるビジョンを呈示。
「やがて、リニア放送は減少し、よりカスタマイズされたオンラインサービスが提供されることになるだろう」「BBCを1つの提供物(アプリ)にまとめる」とも述べた。
実践ノウハウ公開!ニュースレターとポッドキャストで「個人メディア」 - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着です。個人メディアの運営にまつわるノウハウ、実践記をお届けします。ぜひご参考に。

Disruption This Week—–14/10/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月11日から2022年10月14日まで。

WSJスクープ | TikTok運営のバイトダンス、音楽配信事業を拡大へ
【有料購読者向け記事】:
「人気動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が、音楽配信サービスの世界展開に向けて音楽レーベル各社と交渉を開始した。スウェーデンのスポティファイ・テクノロジーなど業界大手としのぎを削ることになる」。

——ByteDance傘下にはもともと音楽配信サービス「Resso(レッソ)」があったわけだが、人気絶好調のTikTokとこれを組み合わせて、音楽配信分野でも事業拡大を狙うようだ。TikTokは先に、米国内で物流事業の準備を進めていることが報道されている。コマースと音楽、TikTokの事業拡張戦略が見えてきた。

Apple is quietly pushing a TV ad product with media agencies
【有料購読者向け記事】:
Netflixが広告表示付きの廉価サービスを11月3日からスタートすると発表したが、Apple TVもまた、秘密裡に広告付きバージョンを広告エージェンシーとともに検討中であるとDigidayが報道。検索広告に似たモデルで広告とのマッチングを検討中だという。
Meta’s VR social network Horizon is too buggy and employees are barely using it
Metaが力を入れるメタバース事業のフラグシップであるソフトウェア「Horizon Worlds」。だが深刻なバグを無数に抱え、同社スタッフでも利用を控える状況だと、社内文書を入手したThe Vergeが報道。メタバース担当VPのVishal Shah氏が書いたとするメモから。
「ロシア発の最大で最も複雑な工作」偽装メディアがフェイクを拡散する「ドッペルゲンガー」とは?
「シュピーゲルの公式のアドレスは『spiegel.de』だ。だが偽装サイトは、ページデザインやロゴはそのままコピーした上で、『spiegel.xxx』『spiegelr.xxxx』といった本物と間違えやすいものを使用していたという。
英シンクタンク『戦略対話研究所(ISD)』の調査では、EUでの配信が全面禁止されているロシア国営メディア『RT』が、アドレスを微妙に変更しながら、規制回避を繰り返している実態も明らかになっている」。

——平和博さんの論考。(上記引用箇所で「xxx」とした箇所は、Facebookがすでに偽アドレスとして投稿を禁止しているため記述を回避)
組織的、技術的に積み上げられた情報工作への対抗力(抵抗力)をどう構築するか。国家が主導するのか(当然な動きだが)、あるいは国家を超えた超権力たるプラットフォームが担うのか。はたまた、記事にあるようにNGO、NPOであるべきなのか。それが課題として浮上している。

Meta's Quest Pro is a powerful VR headset, but for whom?
20万円を大きく超えるメタバース用ヘッドセット「Meta Quest Pro」を発表したMeta。記事は、CEOのMark Zuckerberg氏やCTOのAndrew Bosworth氏のコメントを弾きながら、このハイエンド商品の投入に当たって、同社幹部の間でも「この高価な新しいヘッドセットのターゲット市場が誰であるかについて、必ずしも同意されていない」と論評。
NYT のサブスク拡大、鍵を握るのはゲーミングプロダクト:「今後も我々のマーケティングミックスにおいて大きな役割を果たす」 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「ここ数週間、これは数字としてはっきりと現れているのだが、サブスクリプションをゲームのみにするのか、あるいは全エディトリアルコンテンツにするのか、2つの選択肢を提示すると、多くは後者を選んでくれる」。

——少し前に紹介したものだが、邦訳が出たので改めて。米New York Timesでゲーム製品が購読をけん引するパワーだとはよく知られているが、当然ながらニュース製品との相乗効果が求められる。その点で、同社が力を入れるのがサブスクのパッケージ(同梱)だ。これが有効に作用している記事。(実際の数字を示して述べているのでないことは要考慮)

Bloomberg Media Is Removing Its Open-Market Programmatic Ads
米Bloomberg Media、同社メディアでの広告表示に他社(サードパーティ)製プログラマティック広告、そしてTaboolaなどのレコメンデーション製品の利用を取り止めると発表。ユーザ体験の毀損を招いており、これら除去が長期的にプラスと、社内テストの結果で判断したとする。
How Tortoise podcasts became the most profitable part
「スローニュース」を謳い文句に2019年にスタートした英新興報道メディアのTortoise Media。購読者の要望が“聴くこと”にあることを発見。ポッドキャスト「Slow Newscast」を開設。12名の従業員を擁するオーディオ部門が年間黒字に転じたという話題。同社は現在5万人の有料購読者を持つ。
BeReal tops 53M installs, but only 9% open the app daily, estimates claim
“盛らない”SNSと話題の「BeReal」。Sensor Towe調べで全世界でのダウロードは5300万を突破、MAUは2022年1月から2254%も急増。だが、今年第3四半期のMAUで見ると、Androidのアクティブインストール者のわずか9%であるとしている。好奇心でインストールはしたものの…ということか。
Paywalls are closing off the internet. Crypto can fix that
ペイウォールの乱立は、Webの最も良質な特徴であるオープンアクセスを閉ざし、結果として良質なコンテンツに出会う機会を失わせる。記事はNFTとスマートコントラクトを使って出版社と連携する新たなマイクロペイメントの仕組み「Unlock」や「The Block」などの潮流を紹介する。
「サブスクはチームスポーツ」 克服すべき障害とは? Piano社ベンチマークレポート2022 - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。サブスクをはじめとしたメディアの課金トレンドをめぐり、Piano Japan代表に世界および日本のメディアについて尋ねました。ご一読を。
スマートニュース メディア研究所、初となるメディアリテラシー教育の長期授業プログラムをクラーク記念国際高等学校と共同で実施
【ご紹介】:
私も参加しているスマートニュース メディア研究所が、広域通信制高校のクラーク記念国際高等学校と共同で長期授業プログラムを実施することを発表しました。

Disruption This Week—–7/10/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月3日から2022年10月7日まで。

Google settles Arizona location data suit for $85 million
米Google、同社のアプリが位置情報履歴機能をオフにした後もユーザーの位置情報を追跡・保存し続けている点で米アリゾナ州司法長官が提訴した事案で8,500万ドルの支払いに応じて和解を選択。同長官が「アリゾナ州史上最大の消費者詐欺訴訟」と呼んだ裁判が回避されたことになる。
YouTube Cash May Trump ‘White Hot’ TikTok’s Hold Over Creators
【有料購読者向け記事】:
SNS界のベテランMatt Navarra氏は、記事によれば“インフルエンサーにインフルエンスを与えるメタインフルエンサー”的存在。同氏は、Facebook、Instagramはソーシャルグラフに依存しているという点でTikTokに敗退しつつあり、今後はYouTubeがTikTokの重要なライバルになっていくとする。
76% of UK consumers willing to consume ads in exchange for free content: YouGov survey | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
オンライン市場調査のYouGov、欧州での消費者調査で、各国いずれでも広告表示の見返りとしてコンテンツの無料提供を高い比率で選好。英国では76%と最高。低いスペインでも51%。と同時に、広告のクッキー利用抑止策は積極的に活用しているとの結果にもなった。
A New Refrain From Artists: We ‘Almost Gave Up on Instagram’
【有料購読者向け記事】:
TikTok人気に押され、動画シフトを進めるInstagram。そのInsta上で写真、静止画像、コミックなどで人気を培ってきたクリエイターらは、「Instagramはアーティストを必要としなくなった」と怒りと失望を募らせているとするNew York Times記事。
First Steps to Getting Started in Open Source Research - bellingcat
OSINT=オープンソース調査(報道)を始めるには? この分野で著名なBellingcatスタッフが、「基礎から始めるOSINT」を5つのステップで解説。「1. 自分のスキルや興味のあることを把握」「2. ツイッターを利用」「3. 仲間を見つける(そしてリストに載せる)」「4. コミュニティブランチを探す」「5. 観察し、学び、実践する」という構成だ。
NIKKEI Prime第1弾 必読のビジネス情報をあなたに
「日本経済新聞グループは朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報やサービスを提供する『NIKKEI Prime(日経プライム)』をスタートします。第1弾として、企業で意思決定を担うプロフェッショナル向けに3つの媒体を創刊します」。

——日経新聞が、3つの有料専門(バーティカル)メディアを創刊。以前で言えば日経BP社が手がけていたニューズレターのようなものだろう。ただし、購読費は手頃なもので、日経電子版購読の拡張版という要素もありそう。購読指向のメディア運営はこういう展開を見せるという意味でモデルとなる。

Briefing: Apple’s App Store Revenue Fell in September Quarter, Analyst Estimates
【有料購読者向け記事】:
AppleのApp Storeの収益が減速。米投資銀行のMorgan Stanleyが今週発表したリポートによると、Sensor Towerのデータを引用して、9月期のApp Storeの純収入が前年同期比2%減になったと推定した。近年、Appleはハードウェアを軸とした収益構造から、ソフトウェア・サービス事業での成長へと軸足を移していたが、痛手。新型iPhoneの増産計画も需要が弱くキャンセルしたこともあり、ダブルパンチとなった。
北朝鮮の無人航空機と思われる物体を撮影した衛星画像について|ユーリィ・イズムィコ|note
「今回新たに確認された機体は、既存の北朝鮮が保有している機体とは全く形状が異なるものであることに加え、北朝鮮が2021年1月に朝鮮労働党第8次大会で示した 『国防科学発展及び武器体系開発5か年計画(通称:国防5か年計画)』を踏まえると、同計画で開発が言及された無人航空機(UAV)または無人戦闘航空機(UCAV)である可能性が高いと思われます」。

——先に公開されていたインタビューでOSINT(オープンソース/インテリジェンス調査報道)を開始する旨を述べていた小泉悠氏。それが本格的にスタートした。「Deep Dive」というメディアが開設。第1弾は北朝鮮が軍事ドローン機を開発した模様というものだ。

Publishers: 10 things you should know about AI in journalism | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
ジャーナリズムにとってAIとは? ロンドン大学でJournalismAIプロジェクトを率いる筆者が解説。AIを用いて編集部内にある偏見を特定、緩和したり、自然言語処理ツールを使用してコンテンツを分析し、十分に報道されていないトピックを発見するなどさまざまなものがあるとする。
先日、同僚から米国で行われたメディア関係者向けイベントで「ソース・ダイバーシティ(記事や番組内で扱われる情報源に偏りがないよう多様化を図る)」を計測するアプローチが話題に上ったと聞いた。政治的な偏りや人種、性差などで偏っていないか、自動的に計測、分析するなどもAIが行うべきテーマになりそうだ。
出版状況クロニクル173(2022年9月1日~9月30日) - 出版・読書メモランダム
「TRC(図書館流通センター)の売上高は3位で、トーハン、日販GHDと一ケタ異なる510億円だが、税引後利益額は遜色がない。
粗利益率も18.8%と群を抜き、売上高経常利益率に至っては4.4%で、日教販1.3%、日販GHD 0.7%、トーハン0.3%に比べ、ダントツということになる」。

——図書館流通センターの高い収益性に着目した箇所。もちろん、その根本的な回答は、「増え続ける公共図書館を背景とする図書館専門取次として、低返品率、出版社との直接取引などが相乗」したビジネスだからという指摘。なるほど。この構造を一概に否定できないが、ここにもまた電子化の波が押し寄せれば、構造は大きく揺らぐことになりそうだ。

新聞・ラジオがポッドキャストに注目、若者ファン狙う
【ご紹介】:
日経MJ紙での連載が日経電子版に掲載されました。よろしければご一読を。➡️ 新聞・ラジオがポッドキャストに注目、若者ファン狙う