Disruption This Week—–15/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年9月11日から2023年9月15日まで。

生成AIツール「Adobe Firefly」、一般提供開始--商用利用が可能に
「もう1つ注目すべきアプローチとして、同社は、Fireflyのトレーニングに画像を使用した場合に、『Adobe Stock』コントリビューターに対して報酬を支払う。Adobeは、『有意義な』ボーナスを年1回支払うと、(Adobeのプロダクト担当幹部)Subramaniam氏は述べた」。

——AIの学習に用いられる(したがって、そのままの形で最終アウトプットにはクレジットされない)作品への報酬問題に対し、一定のアプローチが示された。これが終着点ではないだろうが、興味深い動き。

米ハイテク企業トップら、AI規制巡り議論-上院の非公開会合
「午前中のセッションを通じて意見の対立が見られたという。メタのマーク・ザッカーバーグCEOやオープンAIのサム・アルトマンCEO、マイクロソフトのビル・ゲイツ共同創業者はオープンソースのAIを研究するリスクを巡り異なる意見を述べた」。

——米政界とAIの開発を進めるハイテク事業者が初の会合。他記事によれば、ハイテク事業者側のいずれのCEOも政府による介入を望むとの見解を示したとされる。

Want to boost local news subscriptions? Giving your readers a say in story ideas can help
読者(視聴者)に記事への意見を求め、それを実行に移すことが、購読者数の増、ローカルニュースへの関心を改善する効果があるとの調査結果が発表された。米Texas州立大の研究者らの論文。近年「エンゲージメント・ジャーナリズム」と呼ばれる分野が注目されているという。
The creator economy goes global
“クリエイターエコノミーは衰退するどころか、より協力に発展を続けている”。決済・金融サービスのStripeが歴年の資料を公開。21年に50のプラットフォームで67万人に100億ドルの支払いを受けたが、23年には100万人以上、250億ドル以上の収入を得ているとするもの。
Stability AI debuts Stable Audio bringing text to audio generation to the masses
Stability AI、「Stable Audio」技術を発表。テキスト、画像、そして(プログラミングなどの)コード生成に続き、ジェネレーティブAIの新領域は、テキストからのオーディオ生成とのことだ。画像生成と同じ「拡散モデル」を基礎とし、MIDIを超えるアウトプットとする。
テキストによるプロンプトでオーディオを生成するが、歯止めも設けられており、「ビートルズ風楽曲の生成」などは実行しないという。
米著作権当局、生成AI「Midjourney」で制作した優勝作品の著作権保護を拒否
「米著作権局審査委員会は9月5日(現地時間)、生成AIを使って制作された芸術作品の著作権保護を拒否したと、米Reutersが6日、委員会の文書を添えて報じた。対象となったのは、昨年9月にファインアートコンテストで優勝したアーティストのジェイソン・M・アレン氏による作品『Theatre D’opera Spatial』だ」。

——これからAIによる作品の学習、AI作品の著作権保護という両面からの権利問題が次々と生じるだろう。それがどう収束していくか。各国でも事情が異なるので追うのが大変だ。

検索でのグーグル優位は「公正な競争の結果」なのか? まもなく始まる裁判の重要な論点
「原告側の州司法長官らは、グーグルは一般的なオンライン検索で違法に90%のシェアを確立しており、それによって健全な競争があった場合と比較して消費者が不利益を被っていると主張している」。

——近年、米政府がビッグテック相手にいくつかの独禁法違反を問う訴訟を起こしているが、確実な勝訴はMicrosoftのIEをめぐる事案以降生じていないようだ。今回のケースは、IE以上の独占度を示す王国への切り込みとなる。どんな結果になるか。その間に、ジェネレーティブAIの台頭なども影響を及ぼしそうだ。

Ten major trends in news consumption publishers need to be thinking about
英Reuters InstituteのシニアリサーチアソシエイトであるNic Newman氏、講演でメディアが知るべき最新のトレンドを10に整理して説明。
1) ニュースソースとしてのTVと印刷物の役割は激減中、2) シニア層は依然TVを好み、若年層はSNSを好む、3) ニュースソースとしてのFacebookの地位は、ショート動画に取って代わられつつある…などだ。
Briefing: China’s Tencent Debuts AI Model for ChatGPT-Like Apps
【有料購読者向け記事】:
WeChatを運用する中国Tencent、ChatGPTを意識したジェネレーティブAIベースの新製品「Hunyuan」を発表。同社をはじめAlibaba、Baidu、ByteDanceが先陣争い中だが、もちろん最大の不確定要因は当局の壁だ。どうやらその制約を超えたらしい。
Publish 21 Issues to Enter the Top 5% of Newsletter Creators
ニューズレターの「Reletter」、ニューズレター配信サービスのSubstackとLinkedInを調査。この2サービスで、なんと170万ものニューズレターが存在。だが、過去1か月半で更新を行っているのは、その12%に過ぎず、2号を配信したのは35%。5号までは17%、10号は11%にすぎない。
スナップチャット、「無料SNS+広告」の次示すか - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙への連載寄稿が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ スナップチャット、「無料SNS+広告」の次示すか

Disruption This Week—–25/8/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年8月21日から2023年8月25日まで。

生成AIによる「“新”証言」で物議 日赤、関東大震災100年企画の一部展示を取りやめ
「しかし企画内容が報じられると、SNSを中心に『証言を生成はない』『AIねつ造』『冒涜では?』など批判的な声が多く上がった。中には『数年後には史実として語られてそう』と心配する声もあった」。

——興味深い騒動だが、結局のところ、新たに創造したのだから「証言」という文言を使うのはウソだろう、ということのようだ。個人的には見てみたい展示。中止せずともキャッチコピーを変更すればいいのではないか。

Writer making six figures on Substack says 'I won't write for free anymore'
「もうタダでは書かない」——。英国で1,000名超の有料購読者を擁するニューズレター(=Substack)ライターへの取材記事。英国では現在、「数十人」のライターがSubstackで6桁以上の収入を得ているという。取材されたEmma Gannon氏はInsta、Xは購読者源としては最下位とする。
【下山進=2050年のメディア第6回】週刊「ダイヤモンド」女性編集長が経験する初めての右肩あがり | AERA dot. (アエラドット)
「(新編集長の浅島亮子氏は)デジタル有料化を社の政策とすることができず、NewsPicksに、編集部の中核メンバー三人を奪われたときには、『うちが「変われないオールドメディア」の烙印を押されたも同然』と愕然とした」。

——なんというかこの辺りのくだりは、“下山進節”的だ。自分はこの箇所を読んでいて、いよいよレガシーメディアと新興メディアの双方向でのヒトの往き来が生まれてくるのだと感慨を持った。悪いことばかりではない。

ユーチューブとUMG、AI対価支払いの仕組み開発へ
【有料購読者向け記事】:
「米アルファベット傘下のユーチューブは、生成人工知能(AI)ツールがアーティストの作品を使用した際にそのアーティストが対価を受け取る仕組みの開発に向け、音楽世界最大手ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)と手を組む」。

——水面下でAI大手とライツマネジメント側との協議が始まっているとの報道は、すでに紹介している。いよいよ浮上してきたようだ。本件は楽曲および関連する映像のAI利用に関するもの。アーティスト自身が直接関わるのではなく、レーベルなど中間業者がとりまとめる動きで、レガシーモデルだ。大きなカネが動きそう。

メタ、音声翻訳AIモデルを発表 数十言語に対応
「米メタ・プラットフォームズは22日、数十カ国語の音声を翻訳・文字化できるAIモデル『SeamlessM4T』を発表した。ブログで明らかにした。
このモデルは約100言語の文字・音声に対応し、35言語では完全な音声対音声翻訳も可能という。
メタはこのモデルを非商用利用向けに一般公開する方針」。

——ジェネレーティブAI版多国語翻訳機が現実のものに。デバイスも含めて同種機能はすでに存在しているが、精度が重要。また、メタはどのようなビジネス化をめざすのかにも関心がある。

Who’s hiring in Subscription Publishing
米英で購読戦略を推進する著名メディアの求人一覧。New York Times、The Economist、The Atlantic、The Information、Dow Jonesなど各社が求める人材スペックが見えてくる。この記事からより詳細な応募ページへの遷移もできる。
個人情報保護委「生成AI利用に注意」 事業者・行政機関向けにポイント解説
「サービス組み込み用の生成AIを提供する事業者などは、利用者が入力した情報を学習に使う場合もある。サービスの実装方法や規約によってはこれが個人情報保護法に触れる可能性があるため、確認するよう注意喚起したものとみられる」。

——いまも、そして今後も、ジェネレーティブAIをAPI経由で自社サービスに接続していくケースが増える。ユーザーもだが、その種のサードパーティ事業者も注意することが増える。

‘Don’t Put Your Head in the Sand’: Stars Are Quietly Inking Deals to License Their AI Doubles
【有料購読者向け記事】:
フォトグラメトリ(複数の2D画像から3D画像を生成する)技術を使い、ハリウッドスターたちが作品ごとに自身の人工的な複製(デジタルツイン)を許諾していることに気づいた人物が、スターのデジタルツインの永続的な権利販売ビジネスを見いだしたという経緯を詳細に追ったストーリー。
もちろん、それがジェネレーティブAI時代の新たな産業を生み出すことになるのだろう。
33歳のNewsPicks編集長「新しい発明を探索」動画で新境地:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「ユーザーとして必然だと思いませんか。スマホや5G(高速通信)で環境は整っています。情報感度の高いビジネスパーソンでも、『効率が良いのでテキストで』という人は一部だと思っています。僕自身、昔よりも集中しないと、テキストを読もうとはなりません」。

——“知ったかぶり”のような口の利き方はしたくないが、この一連のシリーズで語られていることは、ある意味で(ネット)メディアでの“常識”。それを朝日新聞が熱心に咀嚼している構図が興味深いと思っている。

「生成AIは著作権保護の検討が不十分」新聞協会など声明 「著作権法30条の4は大きな課題」
「学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる」「海賊版をはじめとする違法コンテンツを利用した、非倫理的なAIの開発・生成が行われる」「元の作品への依拠性・類似性が高い著作権侵害コンテンツが生成・拡散される」

——今後は、国内でのジェネレーティブAIをめぐる騒動は、著作権法第30条の4をめぐっていきそうだ。さて、法改正論議のテンポを世界が待ってくれるのだろうか?

Disruption This Week—–18/8/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年8月9日から2023年8月18日まで。

後藤達也さん「ニュースはすし屋のネタ」最強インフルエンサーの法則:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「反応が見えることは、やはり大事なんですよ。新聞記事をつくるときって、読者の存在はゼロじゃないけど、意識は取材先や上司に向きがち。取材先とはじかに接するし、社内調整もこなさないと記事が出せないから。一方で読者は何百万人いても直接は話せない。目にも見えにくいから、うっかりするとないがしろになる」。

——後藤氏が言われていることはいちいちもっともだが、それより聞き手が真剣であることが伝わってくる。変わることへの希求がそこにはあるのではないか。

How short-form video is helping The Economist gain young users - WAN-IFRA
厳格なペイウォール制を敷く英老舗経済メディアのEconomist、TikTokなど短尺動画を運用するSNSに積極的に関与。同社コンテンツを「消化しやすく、魅力的で、風変わりで、興味深いフォーマットに変え、ペイウォールの向こう側にあるものを視聴者に見せる」とし、若者にリーチしている。同社の620万人のインスタグラム・フォロワーの3分の2は18歳から34歳である。
'New York Times' considers legal action against OpenAI as copyright tensions swirl
「米New York Times、OpenAIに対して法的措置を検討か」との記事。数週間前から、OpenAIとNYT間でライセンス契約の締結をめぐる緊迫した交渉が続けられてきたが、これがあまりに紛糾したため、同紙は法的措置を検討する段階となったと記事は指摘する。
ダイヤモンドオンライン「独自スクープのつくり方」有料会員3万超え:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「広告と編集のファイアウォール(報道のための編集記事と企業からお金をもらって書く広告記事を分ける姿勢)は厳密に守りつつ、例えば、データ分析やユーザーエクスペリエンス(ユーザーが得られる体験)の向上につながるテクノロジーの部分については、ビジネスと編集部門とが協業して、読者に伝わりやすい最適な形で届ける努力は重ねていく必要がある。それができない限り、メディア企業の持続可能性はなくなるんじゃないかと感じます」。

——至言。ダイヤモンド・オンラインはここまでは十分に出来ているということだろう。「オーディエンス開発部」を独自の組織として持っているのはその流れからだろう。次は、デジタル基盤の完全な刷新だろう。それは道半ばだと見ている。

Streamflation Is Here and Media Companies Are Betting You’ll Pay Up
【有料購読者向け記事】:
映像ストリーミング各社の戦略について詳細なリポート。タイトルが端的なので紹介する。さすがのWall Street Journalの記事だ。
「“ストリーミングフレーション”の到来とメディア各社の賭け——ディズニーなどによる価格引き上げは、損失を削減し、より有利な広告付きプランにユーザーを誘導する努力の一環である」
Telegraph Media Group hits one million subscriptions
英Telegraph Media Group(TMG)、2023年内としていた有料購読者100万人を突破と発表。同社はその70%が電子版とする。英国での100万人突破は、The Guardian(21年)およびFinancial Times(22年)に次ぎ3番目だという。
Associated Press cements the AI era with newsroom guidance - Poynter
OpenAIと提携したAP通信、ジェネレーティブAI利用を念頭に「APスタイルブック」を改訂。同社幹部は「私たちが利用できるツールではあるが、ジャーナリズムの賢明さ、経験、専門知、そして読者とつながる仕事をする能力に取って代わるものではないと強調したい」と述べる。
Linear TV Falls Below 50 Percent of Viewing for First Time
「米リニアTV、初めて視聴の50%を下回る」。
Nielsenのプラットフォーム別視聴の月間調査によると、7月の「TV視聴」は前月比増だったものの、増分はストリーミングおよびゲーム、光学ディスクの再生などで占められた。調査が始まって2年間で初めての現象。
Can ChatGPT become a content moderator?  | Semafor
OpenAIの「安全(対策)システム」担当責任者Lilian Weng氏が、米Semaforの取材に応え、同社ではコンテンツのモデレーション(監視)をGPT-4自体が行っているとした。従来、これは発展途上国などで動員された低賃金労働者が担う「危険でトラウマ」を生みかねない作業だった。
人間が作成したポリシーに沿ってGPT-4が、実際の監視を行うプロセスにも記事は言及しているので、要参照だ。
LINE、日本語の大規模言語モデル公開 オープンソースで 商用利用もOK
「LINEは8月14日、日本語に特化した大規模言語モデル(LLM)『japanese-large-lm』を発表した。オープンソース(OSS)として公開し、商用利用も可能(Apache License 2.0)としている」。

——待たれていたLINEによる日本LLMのOSSでの供与開始。日本語対象で36億パラメータはそれなりに大きい。記事では、「最終学習は約650GBのコーパスで実施」とあるが、どのように素材を集めたのかに関心がある。

Bundled: Inside The New York Times’ revenue growth strategy
米New York Times CEOのMeredith Kopit Levien氏は、先日の第2四半期投資家向け説明で、「バンドル」という用語を15回も使ったという。同社の単体製品をバラ売りではなく、「全部入り」で販売することが同社の好調な業績の原動力だと示唆する。その戦略を子細に分析した記事。
The case for and against open-source large language models for use in newsrooms
「メディアはオープンソースLLM(大規模言語モデル)を採用すべきなのか?」
ChatGPTやBardは私的・商用目的のLLM。対するMetaのLlama 2はオープンソースで、“無料”が原則でカスタマイズが可能。となれば後者を選択すべきか? その課題を論じた記事。
ニュース対価支払い法制化「非常に成功」 元オーストラリア政府高官:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「(豪州で成立した大手ITとメディア企業の取引ルール化の結果)各メディア企業への聞き取りによれば、これらの取引による収入の総額は、年間2億豪ドル(約190億円)をはるかに超えています。ジャーナリストの雇用も大幅に増えました」。

——記事中でも触れられているが、「大手メディア」との交渉に選別されることが、各種の副作用を生むのではないかという視点は、いまも払しょくされていないと思う。この問題は、「公益性」にかなうメディアに公金を充当しようという、将来あり得る政治的施策にも影響を及ぼすかもしれない。

2013年、良質なニュース記事をマイクロペイメント(記事単位の小額課金)で提供するコンセプトにオランダで創業したBlendle、その利用ベースの小ささを理由に小額課金事業を独・米両国でのサービスを終了。定額読み放題サービスへと舵を切る。途中、身売りも経た上だが、10年間よく頑張った。
生成AIによるフェイクコンテンツとの戦いは、ウォーターマークが導入されても終わらない
「現時点ではウォーターマークについて統一された基準はなく、それぞれの企業が異なったものを使っている。例えばDALL•E(ダリー)は目に見えるウォーターマークを画像に載せているが、Googleで検索すれば、それを消す方法もすぐに見つけられる」。

——ウォーターマーク(電子透かし)といった対策を付与することを業界側は、米政府に約束…が話題になっているが、記事はいまのところ堅固な電子透かし技術は存在していないと、専門家らのコメントを紹介する。

Disruption This Week—–28/7/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年7月24日から2023年7月28日まで。

As Actors Strike for AI Protections, Netflix Lists $900,000 AI Job
「ハリウッドは、脚本家や俳優に高額を支払う気はないが、AIに対してはその気だ」。米The Intercept_は、Netflixが人材募集でAIプロダクトマネージャに「年収90万ドル」を呈示と報告。ある俳優は、この額で組合に属する35人の俳優とその家族を健康保険に加入させられると皮肉。
メタ増益、Threads収益化焦点 ネット広告底入れの兆し - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「『ウクライナ戦争やロシア事業を中止した影響が軽くなったほか、広告に対する需要が増えて効率が高まった』。メタが26日に開いた決算説明会で、スーザン・リー最高財務責任者(CFO)はこう総括した」。

——「米アルファベットと米メタの2強はそろって増益を確保した」と記事では述べるが、Google(およびYouTube)の復調はMetaほど劇的ではない。その意味で広告の完全復調とは言い得ない。さらにジェネレーティブAI投資は膨大だが収益力には当面結びつきにくい。まだ不透明。

グーグルとマイクロソフト増収増益 生成AIの競争激化、投資を加速:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「アルファベットは主力の広告事業が持ち直し、前期から売り上げの伸びが加速した。売上高は前年同期比7%増の746億ドル(約10.5兆円)、純利益は15%増の184億ドル(約2.6兆円)となった」。

——タイトルだけ見ると、好調ぶりが揺るがないように見えるが、米市場の見立ては異なる。成長が鈍化している事実は両社に共通。だが、Alphabetは広告事業が復調。特にYouTubeは勢いが増している。Microsoftは企業向けやPCが良くない。まだら模様。加えてR&D投資が重くなる。

生成AI「絶対必要な武器」少年ジャンプ+編集長ら期待 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「プロの漫画家が『結構使える』などと言っており、予想より良かった。(今はテキストでしか入力できないが)漫画の設計図であるネームの画像を入れて反応を見てみたい、といった声もある」(少年ジャンプ+編集長・細野修平氏)

——「クリエイターの代わりではなく、ツール」と佐渡島庸平氏。その通りで、産業分野ごとに需要の柔軟性が異なり、マンガではジェネレーティブAIの取り込みが進むのかもしれない。

Facebook頼みに誤算 BuzzFeed News閉鎖を元編集長が語る - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「11年末に創刊したバズフィード・ニュースは、ソーシャル・メディアを基盤にした報道機関を目指した。しかしいくつかの誤算があった。一番の問題はSNSが質の高いジャーナリズムを無料で提供するという事業モデルが成立する構造ではなかったということだ。特に、世界最大のSNSであるフェイスブックはそうだった」。

——BuzzFeed Newsの初代編集長Ben Smith氏への取材記事。歴史を振り返り反省の弁も述べるが、これを巻き戻したところで、正答が見えてくるわけではない。同氏は「ニュースの「届け方」については、まだみんなが『next big thing(次の大きな革新)』を待っているところだ」とするが、そこにヒントが仄見える。自分もnext big thingづくりを考えたい。

Washington Post drives revenue through its subscriber investments

International News Media Association (INMA)

Washington Post drives revenue through its subscriber investments
購読者のエンゲージメント向上が、社業の成長と財務上の成功にとり重要と語る米Washington Postの「ライフサイクル・マーケティング」責任者が語るチャーン(退会)対策の4つの重要ポイント。1) 訪問頻度、2) ニューズレター、3) 知人による紹介、4) 多様なコンテンツ消費だ。
「AIの学習データが底をつく」’2026年問題’の衝撃度とその対策とは?
「チャットGPTのような大規模言語モデル(LLM)の開発には、膨大な学習データが必要だ。
主な収集先はネットだが、使えそうなデータは徐々に使い尽くされ、良質なデータは2026年には底をつくと見られている。
ツイッターは7月初め、利用回数の制限を実施し騒動となった。その引き金になったのも、AIの学習データ収集のためのアクセス集中だったという」。

——平和博さんのまとめ。問題は、“無限”とも形容されているネット上のコンテンツでさえ、人類が築いた文化的資源の一部でしかないことが可視化されたこと。自由にはクロールできない文化の宝庫が、新聞社や図書館などに非デジタルな形式で保存されていることをどう守り、どう活用するのかが重要。

AI, the media, and the lessons of the past

Columbia Journalism Review

AI, the media, and the lessons of the past
OpenAIが米ローカルジャーナリズムを支援する団体(American Journalism Project)に対し1,000万ドルを拠出する提携をすでに紹介した。本記事は、このようなIT側からのアプローチは、MetaやGoogleらか繰り返し起きており、その過去の教訓から学ぶべきと辛辣に語る論評だ。
OpenAIやMetaなどAI大手7社、米連邦政府に「責任あるAI開発」を“自主的に”約束
「米連邦政府は7月21日(現地時間)、AIを手掛ける7社の代表をホワイトハウスに招集し、AIの安全性、セキュリティ、透明性の高い開発に向けた取り組みを支援するため、これらの企業から自主的な取り組みを確保したと発表した。
サイバーセキュリティ対策やコンテンツがAIによって生成されたことをユーザーに示すための透かしへの投資などを約束するものだが、“自主的”なものであり、規制ではないので守れなくても責任は問われない」。

——政府からの働きかけによるわけだ。このままでは、欧州など規制に積極的な国々で一網打尽にされかねないと判断したのだろう。米政府は、AI分野での寡占企業の暴走を抑えたい一方、世界での優位性を維持したい。中国がこの分野でどれほどのポテンシャルを持っているのかも、認識しているはずだ。

AIの報道利用、日経はこう考えます - 日本経済新聞
「AI作成の文章や画像をそのまま公開することはありません。利用する場合は事前の報告、許可、結果の検証、記録、修正がすべての編集メンバーの義務です。取材や業務で知り得た機密情報や個人情報の入力は禁止です。
AIの提案を採用する場合は、その旨を明記します」。

——うっかり本記事の紹介をもらしていた。先週公表されたこの記事は、日経のジェネレーティブAIの利用についてのガイドラインを内外に説明するもので、重要。ITmediaがすでにガイドラインを公表しているが、各社はこのような表明を進めるべきだろう。技術の進展に合わせてバージョンが変わることも、容認されるべきだ。

Disruption This Week—–21/7/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年7月18日から2023年7月21日まで。

Most popular news sources in the UK: Tiktok overtakes BBC Radio 1 and Channel 5
英国成人(16歳以上)に利用されるニュース源として、TikTokが2年連続で急成長。いまや10人に1人のニュース源に。BBCが依然トップだが、マイナス成長。TikTokの利用はセレブや著名ジャーナリストのフォローが中心。もちろんBBC発などの商業メディアの動画も含まれるのだが。
Google Tests A.I. Tool That Is Able to Write News Articles
【有料購読者向け記事】:
Google、報道メディア向けAI「ジェネシス(Genesis)」をプレゼン。同社から説明を受けたメディアは、NY Times、Washington Post、Wall Street journal(News Corp)など。G社広報は「ジャーナリストの本質的な役割を代替することはない」と述べる。
記事中は、NY市立大の起業家ジャーナリズム教授のJeff Jarvis氏によるGenesisへの2項対立的なコメントを掲げており興味深い。
「ChatGPT」も活用してウェブサイトを丸ごと生成する新AIツール、Wixが発表
「(イスラエルの)Wixは現地時間7月18日、『AI Site Generator』を発表した。近くリリースされるこの新ツールは、『ChatGPT』とWix独自のAIモデルを活用し、利用者がプロンプト(指示)を入力するだけで、個別のニーズに合わせた独自のウェブサイトをデザインしてくれる」。

——プログラミング(コーディング)などもそうだが、これから(私のような)初学者には、HTMLやJavaScriptなどから勉強しなければならないというハードルが下がるのだろうか。大いに期待。

OpenAI partners with American Journalism Project to support local news
OpenAI、米ローカルメディア(ジャーナリズム)を支援するプロジェクトに500万ドルを拠出と発表。American Journalism Project (AJP)のCEOは、このパートナーシップで、AIがジャーナリズムを脅かすのではなく、むしろ強化する方法を促進することを目指すと述べた。
Semafor CEO Justin B Smith says start-up heading for profitable month in year one
ほぼ1年前、Justin B SmithとBen Smithの両氏が創業した米メディアSemafor。かつてのQuartzやAxiosなどをよりモダンにしたような高級誌志向のWebメディアだ。CEOのJustin Smith氏は、単月黒字が現実になると述べる。
AI生成「ごみ記事」に汚染されるウェブ空間
【有料購読者向け記事】:
「ユーチューブでは『チャットGPT』のゴールドラッシュが本格化している。これを使ってお金を稼ぐ方法を助言する動画が数十本あり、何十万回も視聴されている。その多くはごみのようなコンテンツを作る疑わしいスキームを紹介している」。

——私は約1年前に共同執筆した書籍の原稿で、「近い将来、Web上のコンテンツの9割がAIに生成されたものとなる」との専門家の予測を書いた。着実にその実現に向かって世界は歩んでいるようだ。AIが用いた安価な記事生成手法が広がろうとしている。
記事が触れるように、AIが生成した低品質コンテンツをAIがさらに学習してしまうという「モデル崩壊」も近々生じることだろう。

The story of Europe’s hottest TikTok news account: Ac2ality | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
欧州でTikTokを用いたニュースメディアとして2022年に創業した「Ac2ality(アクチュアリティ)」。0人のフォロワーから、現在は70万人近いところまで成長。何より、若者をユーザーにターゲットにニュースを1分の動画で語るメディアの創業者2人に取材した記事。
FEATURE: Disinformation on TikTok worries Taiwan - Taipei Times
台湾では、TikTokが来年に迫る総統選をめぐる熾烈なキャンペーン・プラットフォームになろうとしている(台湾では、TikTokのDAUはYouTube、Facebookに劣後しているが)。同地のファクトチェック団体CofactsはTikTok人気の高まりから、ニセ情報拡散の危険度も高まると警戒する。
Generative AI and journalism: All we know as AP and Shutterstock sign deals with OpenAI
「AP通信は、知的財産が確実に保護され、コンテンツ制作者がその仕事に対して公正に補償される枠組みを断固として支持する。大小の報道組織がAI技術を活用してジャーナリズムに利益をもたらすことができるよう、報道機関は協議をしていく必要がある」。

——AP通信とShutterstockがOpenAIと正式なコンテンツ供与契約を結んだことはすでに紹介した。この記事では、関連する情報と、他の報道メディアがどのようなスタンスをとっているか概観する。

ハリウッド、エキストラをAIスキャンして永遠に無料で使う案を思いついてしまう
「AMPTP(=映画製作者協会)は、SAG-AFTRA(=映画俳優組合)に対して『エキストラの顔や姿をスキャンし1日分の報酬を支払う。そのスキャンしたデータは企業が同意や保証なしに使用できるようにする』という”画期的な提案”をしていました」。

——記事にあるように、ハリウッド制作映画では、エキストラは日本のようにボランティアではなく、職業である場合が多いという。AI制作において再利用権を売買することは「報酬を得られず生活の基盤が緩むだけでなく、スターになるチャンスまで失うことになる」のだという。