Disruption This Week—–11/2/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年2月7日から2022年2月10日まで。

News outlets ride TikTok engagement wave
TikTokでフォロワーを増やす米メディア。カテゴリー別に整理されたチャートが役立つ。ABC Newsでは、トレンド話よりハードなニュースの方がフォロワーを増やす効果が高かったなど、記事は興味深い動きも紹介する。
Local Papers Find Hints of Success With Online Subscriptions
米ローカル新聞チェーンのLee Enterprises、同社傘下の総デジタル購読者数が年間57%増加と発表。Leeのトップは、「遅かれ早かれ100万人の購読者を獲得する」と楽観。実は最大チェーンのGannettでも46%増で150万を達成。NYTimesがローカル各社を取材した記事。

Digital Advertising in 2022

Stratechery by Ben Thompson

Digital Advertising in 2022
「2022年のデジタル広告」。StratecheryのBen Thompson氏が6年前にこの市場を分析してから、現在までの状況の変化を分析。検索⇆ディスプレイ、コマース⇆アプリの軸で比較すると、Facebookに大きな痛手が顕在化しているのがわかる。

電子版と本紙販売を集約 日経、サブスク事業に統合・再編 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議

AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム

電子版と本紙販売を集約 日経、サブスク事業に統合・再編 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議
「本紙読者や『日経電子版』ユーザー獲得を担う『サブスクリプション事業部門』、広告やイベントなどを担う『メディアビジネス部門』、教育事業などの『ライフ&キャリアビジネス部門』、『日経テレコン』などの『情報サービス部門』に再編する。デジタル事業配下の部署を移管し、デジタルとアナログの垣根をなくした格好」。

——電子版サブスク推進の意義は、付加的な事業としての位置付けをはるかに超えて中核的なものとなったのは当然ながら、一方で、その頭打ち感や、紙・電子の購読の退潮トレンドにどう抗していくのか、という大きな局面変化にもあるのだろう。

米アップル、AI使った作曲手掛ける新興企業を買収-関係者
「米アップルは人工知能(AI)を使った作曲を手掛ける新興企業、AIミュージックを買収した。事情に詳しい関係者が明らかにした。アップルのオーディオ関連サービスに幅広く応用可能な技術を獲得した。…現在は閉鎖されたAIミュージックのウェブサイトの写しによると、同社が開発した技術は著作権フリーの楽曲とAIを活用して、ユーザーとの相互作用で変化するサウンドトラックを作ることができる」。

——Appleが、企業名がそのものズバリのAI Musicを買収。AIによる楽曲の生成(作曲)を行うアプローチは、すでにいくつも生じている。ネット時代のコンテンツでは無数にバックグラウンド音楽へのニーズが存在するからだ。それも著作権料支払いをゼロもしくは低価格で。で、そのようなニーズに対応している間に、本物のディスラプションが生じる可能性もある。

NBC serves up Beijing Olympics in VR
「アイスホッケーで氷上からゴール裏に向かうように、カメラアングルが切り替わることができる」。米NBCは、有料利用者向けに北京オリンピックのVR中継を8K映像を用いて実施中。利用者はMeta社のQuest 2ヘッドセットを用いる。記事は、高精細な迫力ある映像という利点に対し、ヘッドセット着用による周囲との阻隔感と、長時間の競技視聴中にバッテリー切れすることもあるなどの欠点も指摘する(笑)。
ニールセン、動画・音声ストリーミングの視聴状況を発表 月間視聴者数や年齢構成は?
「動画ストリーミング、音声ストリーミングにおける視聴者数上位5媒体の年齢構成を見ると、Amazon Prime Videoが18-34歳の割合が最も高く36%であった。またTVer、YouTube、ABEMAの3サービスでは50歳以上の割合が最も高かった。radiko.jpではさらに50歳以上の割合が高く57%となっており、同調査は、かつてのラジオ世代を取り込んでいる可能性を指摘した」。

——記事中に示されている年齢別シェアを見ると、上記引用で指摘されていることの重みがより鮮明に理解できる。いまや、YouTubeでさえ、5割近くが50歳以上のシニアに占められている。

Amazon Spent $13 Billion on Film, TV and Music Content in 2021, up 18%
米Amazon、2021年の映像・音楽コンテンツに支出した費用は130億ドルとなり、前年比で18%増に。これは20年/19年比の40%増からは大幅にスローダウンした結果。一方、21年のサブスクリプション収入の総計(Amazon Primeを中心に、音楽、オーディオブック、書籍読み放題など各種サービスを含む)は前年比で26%増の318億ドル。うまい投資対効果を得ている印象。
欧州メディアの経営活性化プログラム 35社が生き残りのためのスキルを探す(小林恭子) - 個人 - Yahoo!ニュース
「ドイツ北西部ニーダーザクセン州にある日刊紙『Nordwest-Zeitung (NWZ)』は家族向けのニュースレターの発行を2021年6月に開始した。年末までに3000人を超える購読者を得て、デジタル版の有料購読者増加に大きく貢献したという」。

——英国在住のジャーナリスト小林恭子さんのリポート。記事を読めば分かるように、ジャーナリストが単にデジタルスキルを学べば、というものではない考え方が伝わるプログラム。「このようなプログラムが日本でも実行できないものだろうか」と小林さんは問うている。

Death of a Duopoly: Why It’s Time to Reconsider the Facebook-Google Rivalry
【有料購読者向け記事】:
長く続いてきたデジタル広告分野におけるGoogleとFacebookによる2社寡占状況の終えん。WSJでの記者活動をGoogleの取材から出発したThe Information創業者のJessica Lessin氏が振り返る。同氏は次の競合関係はまったく構図を変えて現れると予測する。というのも、両社が広告を止めることはないだろうが、Google(Alphabet)はあまりメタバースに関心がないし、Meta(Facebook)は自動車に興味を持っていない。

Disruption This Week—–4/2/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年1月31日から2022年2月4日まで。

Google owner Alphabet is exploring the launch of new Web3 and blockchain-based products, CEO Sundar Pichai says
好決算を発表し、ますます株価を上げるAlphabet。決算の発表にあたり、CEOのSundar Pichai氏がWeb3系技術の採用に前向きである発言を行った。「ブロックチェーンに注目している。ブロックチェーンは非常に興味深く、強力な技術で、その応用範囲は非常に広く、一つのアプリケーションに留まらない」とする。
New Telegraph app strategy: Unified app helps boost subscriptions
2025年までに有料購読者100万人をめざす英Telegraph。その最大の武器と語るのが21年に投入されたアプリ。それまで2種類のアプリを運営していたが、これを一つに統合。読者体験に貢献しない要素はすべて排除したと担当者は語る。ベンチマークするのはSpotifyアプリだという。
気鋭のマイナー音楽系出版社・カンパニー社とは? 音楽批評の現在地を探る特別対談・前編
「1000人のコアな読者がいれば持続的に活動できるはずなんです。日本の人口でいえば約10万人に1人、そう考えると不可能な数字ではない(笑)。そして自分が関心のあることを発信していけば、多く見積もって1000人程度の同志たちに届けることはできるのではないかという目算があったんですね」。

——出版、音楽レーベル、ショップを手掛けるカンパニー社の代表、工藤遥氏を取材する記事。引用箇所は元WIREDの創刊編集長Kevin Kelly氏の“1000人理論”について。持続可能なメディアを構想する際に参考になる記事。

The Times hits its goal of 10 million subscriptions with the addition of The Athletic.
米New York Times、購読者数1,000万人を達成。
目標としていた2025年を3年前倒して実現。
2021年末時点で880万人を達成し、さらに今週、The Athletic買収が確定したことで目標を上回った。同社はさらに25年までに1,500万人達成をめざす新目標を発表。同社CEOは全世界に1億3,500万人の潜在的な購読者が存在と述べる。
セブン&アイ「DX崩壊」が内部資料で判明、創業家・ITベンダー・コンサル…乱心の大抗争
「流通の巨人、セブン&アイ・ホールディングスの巨額を投じたデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略が水泡に帰した。創業家も絡む人事や組織の混迷、ITベンダーやコンサルなど外部を巻き込んだ苛烈な抗争が、改革を崩壊へと追い込んだのだ」。

——ダイヤモンドONLINEの渾身オンライン特集企画。全15回(!)シリーズが13回まで掲載された。巨大流通企業のDXにまつわる内部闘争を暴露している。これ、規模の大小に関わりなく既存(レガシー)企業のDX推進で生じていることでは? メディア企業も例外でないはず。

SiriusXM figures out how to track audiences across its apps, including Pandora and Stitcher – TechCrunch
米デジタル放送事業者SiriusXM、複数のポッドキャスト配信時業者を渡り歩くユーザを「AudioID」と呼ぶ識別子で同定し、広告の動的な配信やキャンペーン測定ができると発表。アクセスするユーザのシグナルから共通性を検出する技術で、ユーザの匿名性は保たれるという。
NYタイムズ、単語クイズ「Wordle」買収-ゲーム事業の拡充図る
「NYタイムズによれば、ゲーム参加者は1日当たり数百万人。当初は新規および既存プレーヤーに引き続き無料で提供されるという。ただ、いずれは料金を支払わないと利用できなくなるのではないかとの懸念が高まっている」。

——この種のゲームは、同社で高い実績を誇ってきたクロスワードパズルからの類推でその価値が判定できるというわけだろう。日本のメディア企業も小規模のM&Aならば迅速に実施という点を学ぶべき。

「リアルのニュースに対する『受け入れ率』はおおむね60%であるのに対し、フェイクニュースの場合は30%と見積もる。この受け入れの差を指標化したものが『グローバル情報スコア』だ。リアルのニュースの『受け入れ率』が高まり、フェイクニュースの『受け入れ率』が低くなれば、この指標は上がり、それだけ情報環境が健全化したことを示す」。

——調査が示唆するのは「誤情報と闘うよりも、信頼できる情報の受け入れ向上に力を注ぐべきであること」だということに。問題は、これがユーザ(読者)の努力によりできる部分とそうでない部分があることだろう。読者自身のリテラシー向上努力に期待できるのかどうか。信頼性を高める具体的なアプローチがあるのかどうか。なかなかループから抜け出せない。

出版状況クロニクル165(2022年1月1日~1月31日) - 出版・読書メモランダム
「紙のほうの書籍はかろうじてプラスになったものの、雑誌は5000億円を下回る寸前のところまできている。
近代出版流通システムは雑誌をベースにして、書籍が相乗りするかたちで稼働してきた。それが2016年に逆転し、6年目を迎えたことになる」。

——雑誌を軸にした出版物流通は、当然のことながら衰退の方向へ転換して時間が経過する。書籍(依然としてコミックスがけん引車ではあるが)は、電子版流通の隆盛へとカーブを切った。さて、雑誌形式のほうには未来があるのか、なかなか答えが見えない。

Coming off big digital subscription growth, Hearst Newspapers plan a new data and product hub for 2022 - Poynter
San Francisco Chronicleなど、24もの日刊紙を傘下に置く新聞チェーンのHearst Newspapers。“新聞業界は斜陽”の通念に抗し、昨年には開発者やテック系デザイナーら20名を新規採用。電子版購読者を10万人増やし総数30万人とするなど成果を次々にあげ、22年も意欲的な取り組みを計画する。
2021年、編集部員がハマったコンテンツを振り返る - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Tech編集部員やSmartNewsの関係者が寄せる「2021年、ハマったコンテンツ」紹介のアンケート企画。よろしければどうぞ。
スマートニュース、「雨雲レーダー」に関する特許を取得 ユーザーが知りたい「あとどれくらいで雨が降るのか」に応える発明
【ご紹介】:
「SmartNewsの雨雲レーダーでは『あと10分で雨が降ります』といったメッセージで情報を受け取れるようにしました。ユーザーが知りたいことに直結して答えを出すことを強く意識して、この機能を開発しました」。

——自分に直結する情報としての気象予報、というのは深いテーマ。回答のひとつとして鮮やかな切り口を見せてくれたと思っています。

Disruption This Week—–21/1/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年1月17日から2022年1月21日まで。

Instagram、クリエイター収益化機能「Subscription」のテストを開始
サブスクしたフォロワーの特典は、サブスク限定のコンテンツの視聴や、一般公開コンテンツのコメント欄で使える紫色のバッジ(コメントで目立てる)など」。

——“インフルエンサーマーケティング”には、良い意味でも悪い見でも熱心だったInstagram。しかし、“クリエイターエコノミー”の流れに乗り遅れてきたFacebookグループだったが、流れを引き寄せようという動きを見せてきた。日本で利用者が特に多いInstagramの動きで、その影響がどう出るか。

音楽業界にもAIの波--ヒット曲とスターを生み出せるか(前編)
「AIを使って楽曲を作った場合、著作権は誰に帰属するのだろうか。Silverstein氏(=作曲ソフトAmper Music創業者)によれば、それはアーティストのインプットの割合によるが、すべてAIで作られた楽曲については、プログラマーが著作権の所有者になるだろう、という」。

——AIによる作曲の波が台頭するということには、ある意味で驚きが少ない。しかし、引用箇所のように、それらAI生成による楽曲の“著作権”が作曲ツールのアルゴリズム開発者に帰属するとなると、これはざわつきそうだ。

グーグルとFacebook、違法な広告契約をCEOが自ら承認か
「この訴訟では、Alphabet傘下のGoogleが、オンラインアドエクスチェンジを運営する一方、『虚偽の、人を欺き誤解を招く方法』によって、顧客の利益を最優先していると偽ったとしていた。またFacebookについても、デジタル広告界で最大の競争相手の1社であるGoogleと違法に協力したと主張している」。

——こちらも、昨日、WSJの記事を通じて紹介したが、ケースによっては、AlphabetとMetaが談合した上での取引をするというようなことが、従業員の証言から明るみに。両社の広告市場支配は明らかだから、それが談合をすれば、確実に広告主や中小の広告事業者に対し打撃を与えうる。

NHK、24時間同時配信へ テレビ画面で見逃し配信も
「見逃し配信では、新たにNHK+の公式アプリをAndroidやFire OSを搭載したスマートテレビ向けに提供する。利用者は大画面テレビなどでNHKの過去番組をいつでも視聴できる。具体的な提供時期は公表していない」。

——じわじわとながら、ようやくここまで来た。民放などからはさまざまな不満があるだろうが、NHKの一有料視聴者としては、TV受像機に縛られない視聴が実現するのはメリットが高い。

フェイスブックを“解体”する流れは加速する? 反トラスト法訴訟で下された「画期的な判断」の意味
「FTCのリナ・カーン委員長をはじめとする法律家は近年、テック企業の独占が及ぼす害を別のかたちで検討するようになってきた。競争がなければ、企業はユーザーが好まないことでも自由におこなうことができ、製品を改善しなければならないというプレッシャーもあまり感じずに済むようになるからだ」。

——Facebook(現Meta)の解体に取り組むFTC。だが法理論的には、無料のサービスを提供する事業者を、経済的要素から問うことは難しいともされてきた。今回は、経済的側面以外の論点で独占禁止を問うリナ・カーン委員長らの研究がものを言いそうな雰囲気になってきた。

Crypto Enthusiasts Meet Their Match: Angry Gamers
著名オンラインゲームが雪崩をうってNFTを収益化しようとしているが、New York Timesは、広範なゲーマーらがこの動きに反発していることを詳しく取材。日本発ゲームも含めて有名どころゲームに対して「いつも『これでどうやって金儲けをするか』という話ばかりだ」と言う。
ネットの利用情報、総務省の法改正にIT企業が「懸念」表明…突然「延期」の舞台裏 : 科学・IT : ニュース
【有料購読者向け記事】:
「実は、『改正潰し』の動きは水面下では1か月ほど前から始まっていた。新経済連盟のほか、グーグルやフェイスブック、アマゾンなどが加盟する在日米国商工会議所(ACCJ=The American Chamber of Commerce in Japan)も各所に改正方針への批判を展開。一部の政治家は総務省の幹部を呼び、こうした業界の問題意識を伝えていた」。

——「『これが経済界のロビイングの力というものですよ』。ある省庁幹部は、検討会延期のお知らせ文を示しながら、自嘲気味にこう語った」と記事にはある。なかなか生々しい。

Time celebrates bumper year by doubling down on NFTs - Press Gazette
2018年、Salesforce創業者のMarc Benioff氏夫妻に買収され、分割され単体事業となったTIMEが絶好調に。CEO兼編集長Edward Felsenthal氏およびBenioff氏がそれぞれコメント。同誌は過去10年で最高売上へ成長。なかでも動画制作が寄与。また、NFT事業を本格化するとも述べる。
Netflixはいかにして、優れたデザインとUXをもって没入感のある体験を生み出しているのか? |SEO Japan by アイオイクス
「コンバージョンに最適化されたバリュー・プロポジションを作り上げている。彼らが提供するものを非常に具体的に説明しており、『見放題』という表現を裏付ける関連画像を背景とし、バリュー・プロポジションを後押しする『いつでもキャンセルOK』という要素も備えている」。

——会員登録からオンボーディング(登録後の最初のオリエンテーション)の流れに、同社のバリュープロポジション(顧客への価値提案)が息づいているという解説。実際、“簡単”“すぐに楽しめる”と謳いながら、操作の手順がそうなっていないケースがあることは体験済みだ。この言行一致はとても重要。

Amazon and DraftKings were among suitors keen on The Athletic before sale to The New York Times
New York TimesによるThe Athletic買収については何度か紹介してきた。この記事は、その取引締結にいたるまでに起きた動きをインサイダーのコメントなどで明らかにするもの。買い手には、スポーツ賭博のDraftKingsやプライムに力を入れるAmazonの名前もあったという。

Disruption This Week—–14/1/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年1月1日から2022年1月14日まで。

NFTでニュースを売る、ブームの背後にある教訓とは?
「『シビル』はAPのほかにも、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズなどの大手メディアに次々と提携を持ちかけたが、いずれも実現しなかったという」。

——平和博氏の論説。今般のメディア×NFTブームが、2016年同時にブームになったブロックチェーンを基盤としてメディアを運営、さらに資金調達(ICO)を図るというブームに類似すると論評。その際にも、各社が発行するトークンが、事業の実態と無関係に、高騰するという欲望の力学を前提にしていた。これに頼ったモデルなら、今度も潰えるだろう。

米ワシントンを拠点として、1,000万ドルを調達したメディアスタートアップ「Grid」が誕生した。Buzzfeed、Politico、CNN、ABC出身者ら50名を集め、「裕福でエリートな専門家」をターゲットに、分析や調査法道を提供するという。ここでも高学歴・富裕層向けメディア企画だ。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2022

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2022
恒例のReuters Instituteらによる「Digital News Project」が公開。「Journalism, media, and technology trends and predictions 2022」とのタイトルで広範で詳細な報告書に。ニュース退潮の現況を念頭に「ニュースから遠ざかっている人々を再び引きつけること、そして、より多くのニュース消費者とより深い関係を築く」を主題に置くものになっている。
Over 80 fact-checking organizations sign letter urging YouTube to address misinformation on its platform - Poynter
世界60か国、80超のファクトチェック団体が、YouTubeは“悪しき意図による他人を操作、組織、資金獲得のための行為”に利用されることを許していると、YouTube CEO宛ての公開書簡を提出。なすべき対策も提起。YouTube側は、Google(News Initiative)からファクトチェック団体らに対してすでに多額の資金援助とコメント(笑)
The Associated Press is starting its own NFT marketplace for photojournalism
AP通信社、写真家が作品をNFT化して販売できる市場の設立(今月末に第1陣をリリース)をアナウンス。NFTには、写真がいつ、どこで、どのように撮影されたかを示すオリジナルのメタデータが含まれるとしている。Gettyなどから同種プロジェクトが乱立しそうではある。
クリエイターの収益化を支援するPatreon、「2022年に規模倍増」と同社CPOは語る | TechCrunch Japan
「Patreonにとってもう1つの大きな問いは、同社が暗号資産技術をプラットフォームに持ち込むかどうかである。2021年の秋、ガットマン氏は創業者でCEOのJackConte(ジャック・コンテ)氏とともに、クリエイターたちが収益を上げる方法としてPatreonが暗号資産を検討していることを明らかにした」。

——前段で、同社チーフプロダクトオフィサーであるJulian Gutman(ジュリアン・ガットマン)氏が、同社の収益化手法の各種拡張や改善を行っていることを述べている。同社はこの1、2年で誕生したクリエイターエコノミー企業とはその歴史が違う。その会社もまた、「暗号資産」(NFT?)を検討しているという。

The New York Times needs subscribers. The Athletic doesn’t make money. Now they’ve both got a deal.
米VoxのPeter Kafka氏が、New York TimesによるThe Athletic買収の意味を解説。両者にとってのプラスはすでに私も紹介してきたが、同氏が指摘するポイントは「もしNYTがオーガニックな成長にもっと自信を持っていたら、Athleticに購読者1人あたり約500ドルも払わなかったかもしれない」ということだ。
「Web3」は本物か 巨大ITの支配脱却へ期待先行
【有料購読者向け記事】:
「要はコンテンツ産業におけるクリエーターへの収益分配を従来よりも適正に厚くする変革を起こす可能性をNFTは秘めている。そうなれば、Web3技術は実体経済社会の一部であるコンテンツ産業の変革の基盤になったということができるだろう」。

——日経新聞の論説だが、よくまとまったもので、ちょっと感心。網羅的な論だが、自分には、引用箇所のようなメディア(コンテンツ)分野への応用が最も興味深い。そのためにも、クリエイターが依拠できる仕組みが広がらなければならない。そこに巨大な資本力がものを言うでは、「2」の世界と異ならないことに。

昨年も180万部減、全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 | メディア業界
「日本新聞協会の2021年10月のデータを全国12の地区別でみると、対前年比の減少率は大阪(8.0%減)、東京(7.3%減)、近畿(6.5%減)の順に大きい。新聞メディアの崩壊はもう避けられないが、日本の場合、ニュース砂漠の影響は大都市圏から現れる――いや、実際にすでに現れているのかもしれない」。

——結語の部分からの引用で申し訳ないが、新聞発行状況や、それが何をもたらすかという点で米国での現状に比して、引用箇所のような重要な指摘を引き出した論。そもそも日本でローカルな情報源が自律し得るか否かという議論とは別に、都市部から崩壊している現状をどう見るべきか。

NYT To Buy The Athletic for $550 Million
【有料購読者向け記事】:
米The Informationが、独占スクープとして、New York Timesがスポーツ専門メディアのThe Athleticを現金5億5,000万ドルで買収すると報道。InformationはかつてAthleticが7億5,000万ドルの評価を望んで交渉と報道していた。すでに、紹介しているように、Athleticは購読者120万人を擁しており、1,000万購読者をめざし760万まできているNYTにとっては重要(かつ、お得?)な取引となる。
WSJスクープ | ブルームバーグ・メディアCEOが辞任の意向、新メディア会社設立へ
【有料購読者向け記事】:
「ジャスティン・スミス氏は電子メールで4日、『ニュース業界は、ソーシャルメディアのゆがんだ影響や社会的な分断および偏狭さの高まりにより、消費者からの信頼や信用をめぐる危機に直面している』とした上で、『世界の視聴者に偏りのないジャーナリズムを届け、世界最高のジャーナリストに高品質のプラットホームを提供するプレミアムニュース事業を始める予定だ』と語った」。

——昨日紹介した話題。機能はNYTの初報を紹介したので、WSJからも。

2022年 、 ファーストパーティデータ がより重要になる:パブリッシャーの広告受注戦略 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「デジタルトレンズ・メディアグループ(Digital Trends Media Group:以下DTMG)は2020年、ファーストパーティデータの活用について広告主と話を進めていた時点で、データ追加が可能な、ハッシュ化されたeメールアドレスを約500万保有していた。メールアドレス数は2021年に入って5500万を超え、結果として広告主が推進するデータ関連プロジェクトへの参加が容易になったと、DTMGの戦略/データ/パートナーシップ部門でシニアバイスプレジデントをつとめるジョナソン・シェヴィッツ氏はいう」。

——メディア各社は自社サイトの読者データ(ファーストパーティデータ)を、たとえばメールアドレスなどの形で積み上げているが、これを従来の大規模なサードパーティクッキーに代わるターゲティング基盤としてどう活用できるか、そのソリューションを持つ事業者との連携が22年の業界をめぐる潜在的に大きな動きになる。

課題解決の精度高まる データから社会を読む(写真=AP)
【有料購読者向け記事】:
「反ワクチン派の返信(リプライ)を使った『口撃』行動を調べたところ、反ワクチン派はニュースメディアに対して最もアクティブに、かつ、最も毒性が高い言語的内容を返信していたことが定量的に明らかになった。これらはソーシャルデータから社会的相互作用の全体像を可視化・測定することで初めて明確化され、反ワクチン派の口撃を封じるプラットフォームレベルの対策を講じるためのヒントとなる」。

——ソーシャルメディア(ここではTwitter)から、全量を大賞として分析した笹原和俊氏の研究。投稿内容の分析からは、「反ワクチン派、ワクチン賛成派、政治的な左派と右派、そしてニュースメディアの5つのコミュニティーが存在する」と分かった。メディアに対して激烈に反応しているケースが顕在化されたのは、改めてメディアに関わる人間が深く考えるべきポイントだ。

【コラム】クリエイターエコノミーとクリエイターテックが実現する大きなビジネス | TechCrunch Japan
「クリエイターテックは、クリエイターのパトロネージュ(支援者)としての役割を受け入れ、革新し続けなければならない。すでに特定のクリエイターのニーズに対応して、場合によってはブランドとクリエイターを結びつけて収益性の高いパートナーシップを実現する、競争の激しいパトロンサービスの市場を作り出そうとしているクリエイターテックも存在する」。

——現在は、本格的な“クリエイターエコノミー”の時代への過渡期にあると見ている。そこにはすでに、「支援者」と自称する勢力が存在するが、いずれ、上前をはねるだけのビジネスか、本当の支援者なのか、弁別されていくことになる。

「情報的健康」目指す仕組みを データから社会を読む (写真=ロイター)
【有料購読者向け記事】:
「人間の思考にはシステム1、システム2という2つのシステムが存在する。システム1は暗黙的システムとも呼ばれ、無意識かつ自動的に判断を行うシステムを指す。システム1が動いているときは、直感的な好き嫌いで情報を判断するなど、非合理的な判断を動物的に行うことがある」。

——鳥海教授のオピニオン。「情報的健康(インフォメーション・ヘルス)」を目指すデジタルダイエット」という提言、さらに、「情報に偏りがないかを評価する人間ドックのようなシステムの導入」というビジョンに言及する。

クラウド社会の盲点 個人が自衛策考える必要も(写真=ロイター)
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ クラウド社会の盲点 個人が自衛策考える必要も|

Disruption This Week—–24/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月20日から2021年12月24日まで。

Biggest media industry stories 2021: The media's year in charts
英国のPress Gazetteがまとめたデジタルメディアの2021年(2020年との対比)。各種分野でのチャートがわかりやすい。目に見えるチャートでも、購読者数の推移でNew York Timesが群を抜いて成長、かつ絶対数としてもダントツ1位だった。
メタが明らかにした民間監視会社の実態、5万人が狙われていた
「メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が新たに公表した調査結果から、『傭兵スタイル』の民間の監視・ハッキンググループが、フェイスブックやインスタグラムを使って100カ国以上で5万人を監視していたことが判明した」。

——すでにメタは、イスラエルのスパイ企業NSO Groupと係争関係にあるが、12月に発表された今回のリポートでは、NSO以外の多くの企業名が公表されている(イスラエル発の企業が多い)。具体的な手法は示されていないが、要はFacebookを通じて収集できるプロファイリングや、ターゲティング広告などを利用しているのだろう。

A Chart of Twitter’s Creator Economy Deals; Instagram’s Mosseri Explores NFTs
【有料購読者向け記事】:
Twitterは驚いたことに、この1年間を通じて10社もの買収を手がけた。「Breaker」(音声SNS)、「Revue」(ニューズレター)、「Threader」(まとめ)などで、いずれも“クリエイターエコノミー”に関連するものだと指摘する記事。
2021年、欧州のメディア企業を対象に、Google News Initiative(GNI)やFT Strategiesらが8か月かけて取り組んだ実験と実践の報告を要約した記事。リポートはデジタル購読者の獲得をめぐるもの。その成果は大きいが、成功組と失敗組の乖離も大きかった。成功要因を整理する。
ツイッター前CEOが抱くネット革命の野望
【有料購読者向け記事】:
「インターネットをウェブ3に作り変える長年の試みの多くは依然、初期段階にとどまっており、いずれ何らかの実を結ぶかどうかは判断できない。ドーシー氏は、暗号資産への執着が現在のような崇拝に達する前の2019年、ツイッターによって『オープンで分散化されたソーシャルメディアの基準を開発する』プロジェクト『ブルースカイ』を発表した」。

——現在のWeb3.0への熱狂を、可能性と懐疑の視点で詳解する記事。このトレンドへ熱中する最大の主人公は、Twitterを離れた創業者のジャック・ドーシー氏だ。

ネットで拡散止まぬ誤報、
背景にFBとグーグルの資金
【有料購読者向け記事】:
「世界中のクリックベイト・ファーム(製造所)は、プラットフォームのこの(Facebookインスタントアーティクルの)欠陥に飛びつき、現在も戦略的に利用している。
ミャンマーでは一夜にして、多くのクリックベイト・アクターが誕生した」。

——Facebook、そしてGoogleが放置している欠陥によって、広告収入で荒稼ぎしている勢力が世界中に拡散している。

ニールセンが2021年日本のインターネットサービス利用者数/利用時間ランキングを発表
「新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもりが長期化する中、在宅時間を楽しむ主なエンターテインメントとして、インターネット動画の視聴が習慣化している。実際、利用者数以外の指標であるGRPと利用時間シェアに着目すると、リーチでは4位だったYouTubeがGRPと利用時間シェアともに1位となった」。

——興味深いデータが並ぶ。シニア世代へのネット利用が浸透しており、消費時間が伸びていくことは、これからのマーケティング(投資)を見直すポイントになりそう。

Information wants to be free, but digital property won’t be
米アトランタのローカル紙がNFTを売り出したの題材に、2022年のメディアとWeb3を展望する記事。数年後には、現在のWebサイトやブログ同様、これからは誰でも(花屋や理容師が)がNFTベースのデジタル資産を売り出すようになると予測する。
Media 3.0: The news creator economy arrives
「メディア3.0:新たなクリエイター経済の到来」。米Boston Globeの読者担当責任者が、個人としてのジャーナリストが 利用可能なツールやサービスが22年には更に増え、20世紀的メディアの硬直的な制約から解き放たれるだろうと論説。
WSJ News Exclusive | Washington Post Grasps for New Direction as Trump-Era Boom Fades
【有料購読者向け記事】:
米Wall Street Journalが同Washington Postの内情をスクープ。WaPoはトランプ政権以降、読者の政治ネタ離れによる購読者の停滞と非購読者の減少(2年間で35%減と記事は指摘)に悩まされ、トップレベルによる対策会議を最近開催したという。焦点は政治外のコンテンツの充実だ。
メディアリテラシー - 時事通信出版局
【ご紹介】:
私も執筆陣に加わった『メディアリテラシー 吟味思考 (クリティカルシンキング) を育む』が発売になりました。大冊で読みごたえのある書物に仕上がりました。ぜひ書店などで手に取ってみて下さい。私の担当は、「第1章 激変するメディア 」です!
スマートニュース、メディアリテラシーの授業実践例を新たに5本公開・・・小中高・大学向けに合計10本を無償ダウンロード提供 | Media Innovation
【ご紹介】:
先ほどの『メディアリテラシー』も含み、スマートニュースメディア研究所による活動が、複数公開されています。教育分野での社会貢献の動きです。
インターネットメディア協会が「Internet Media Awards 2022」 心と社会を動かした信頼おけるコンテンツを募集 | Media Innovation
【ご紹介】:
私が理事をつとめるインターネットメディア協会(JIMA)では、2021年の優れた、かつ、信頼できるコンテンツや取り組みを顕彰する「Internet Media Awards 2022」を実施しています。締め切りが近づいています。ぜひ応募をお急ぎ下さい。
[実践]ノーコードでふるさと納税データを地図に可視化する - Media × Tech
【ご紹介】:
私も編集に携わっている「Media×Tech」から新着。東洋経済オンライン「新型コロナウイルス国内感染の状況」に携わり、現在はスマートニュースメディア研究所の荻原和樹さんがデータビジュアリゼーションを平易に解説しました。メディア実務家必見です!