Disruption This Week—–26/7/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年7月23日から2019年7月26日まで。

米オハイオ州の超ローカルメディア「Cleveland.com」がテキストメッセージの配信サービス(だけ)で月額4ドルを得ようという試み。5月にも紹介したが、新聞印刷版は週3回の配信だが、テキストでは、道路閉鎖やレストラン移転情報などタイムリーなニュースを配信する。
「PDFファイルを読み込むと、目次や大見出し、小見出しなどのマークを付け、構造化されたマークダウン形式のテキストを出力。画像や表、グラフなどの図版は、キャプション文字を組み込んだ画像ファイルが生成される。ルビや窓見出し、ページ単位の縦組み・横組み混在なども正しく抽出できるという」。

——大変素晴らしい。大手メディアといえども、組み版データを手元に置いて自由に利活用できる状態にない。PDFだけでも、手元にあればその可能性は広がる。

「AppleやFirefoxのブラウザはアンチトラッキングを導入しており、Googleも小規模ながら同機能を導入している。こうしたアンチトラッキングによる不利益を解消しうる新たなターゲティング手法をプレミアムパブリッシャーが開発すれば、エージェンシーが喜ぶのも当然といえるだろう」。

——記事中にもあるように、GDPRやCCPA文化の浸透は、大手プラットフォーマだけでなく、メディア(パブリッシャー)自身のターゲティングによる収益機会にもリスクになろうとしている。サードパーティデータ利用ができない環境下での、読者ニーズへの対応が大きな命題に。

米国の著名なオンライン政治・ライフスタイルメディア「Slate」、ほぼ日刊で人生相談コラムを掲載。これが継続的に読者の来訪を促す原動力に。同メディアの戦略担当幹部は、購読制と連動する各種人生相談コラムは、読者獲得にとっては夢のツールと表現する。
広告からの収益をビジネスの原動力にしてきた、全米をネットワークするローカルニュースサイトの集合体「Patch」、すでに黒字化していると紹介したが、現在は、地域ごとのイベントカレンダー「登録」を有料化して、地域ビジネスからの直接収入モデルへと転換を加速中。
これから起きる偽情報被害は、“ブランドの破壊”。ロシア政府機関と見なされるIRA(Internet Research Agency)の工作や手法は、企業ブランド事例に及ぶ。2015年のWalmartや食品メーカー、2013年ハイテク企業、そして2016年のAP通信らが餌食となったケースなどが紹介される。
100万人以上の定期購読者を有する無料の日刊の無料ビジネス・メルマガ「The Morning Brew」。共同創業者COOが語る戦略と哲学。同メディアは、徹底して友人からの紹介を推進。購読者の1/4は紹介経由。コミュニティ感と会話性がキモだという。Facebookグループの利用法も注目。
オランダのある放送局では、全記者に、TVやラジオ向けに先行し、まずモバイルで取材できるようトレーニングを課す。大型のカメラやPCをはじめ携行するバッグなどを減らし、フットワークを高める。
記事は、モバイル取材のプロが、実践のための機材やソフト群なども紹介する。
「このテストによって、投稿にどれだけの『いいね!』が付くかというプレッシャーを取り除き、ユーザーが好きなものを共有することにフォーカスできるようにしたい」。

——この記事は、おおむねウェルビーイングの観点から書かれているようだが、ビジネス上の観点も動き出しているのだろう。ユーザーの活動の安定的な成長への条件下は、どのような環境で担保されるのか。模索でもある。

世界で起きるメディア環境の変化を4つの視点で読み解く(前編) | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議

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「パーソナライゼーションというキーワードを強く意識しつつ、まずはこの4つの切り口に沿って分析を始めたい。
その切り口とは、
1  コンテンツ
2 顧客体験
3 ディストリビューション
4 マネタイズ」。

——現代のメディアで起きている最も大きな変革は「パーソナライゼーション」であり、それを4つの切り口で概観していこうという論。その「リスク」にも触れるという。

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Disruption This Week—–21/6/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年6月17日から2019年6月21日まで。

動画や音声をAIを駆使して合成し、ありもしない発言や行動をあたかも真実のように見せかける“ディープフェイク”。その脅威の高まりを受けて、米下院議会の専門部会でこの集中討議やヒアリングを実施。議会は2020年大統領選の大きな脅威と見なす段階に入った。
「ドレッジ氏は、ユーザーのスポティファイ(Spotify)の使い方をユーザーの音楽の聴き方が変わっていることの例としてあげた。つまりユーザーは、特定の音楽を必要に応じて選ぶよりも、行動や気分に合わせたプレイリストをますます聴くようになっているとドレッジ氏は述べた」。

——自分を振り返って実際にそのような消費になりつつあることは実感する。そして、考えてみれば、多くのメディア接触にもまた、そのような要素が広がっていることに気づいて、愕然とすることになる。

米国市場で隆盛が指摘されるポッドキャスト。では、音声コンテンツであるオーディオブック市場はどうか?
Edison Researchらによる調査では、少なくとも2018および19年の間には、聴取数の同様のジャンプが見えている。書籍市場の変容もおぼろげながら見えてくる議論。
【ご紹介】:
私が“責任編集”しているメディアから。重要なデータ分析です。➡️ スマホを意識した記事タイトルとは?——読者の期待をコントロールする – Media x Tech
米New York Times、Wall Street Journalなどでも用いられるようになってきたTikTok、ついにWashington Post、NBC NewsやThe Dallas Morning Newsといった米国の老舗メディアで利用されるようになってきたとのリポート。
Facebook肝いりの仮想通貨プロジェクト「Libra」が発表。これまでとりざたされてきた以上の情報は多くないが、2020年にサービスイン。それまでに100程度のパートナー企業を持つ。発行機関はFacebookが統治しない。傘下サービス内に自前のウォレット「Calibra」を構築し、そこで付加価値を目指すということがポイントか。Facebookの担当者は「当分の間、これが(同社にとって)カネを生むことはない」と述べる。
仏カンヌで行われている広告関連イベントで、Facebookマーケター担当幹部が登壇。マーケターはFacebook上でマイクロターゲティングを目指すより、巨大リーチを活用すべきと、従来の同社広告製品の提案を転換。各国の規制当局の締め付けを意識し、「まだプライバシー上の課題はある」とした。
音声広告の未来は明るい。米Adobeの調査によると、米国内消費者は音声デバイス(スマートスピーカなど)の広告に対し肯定的。セレブの声による呼びかけを好み、不快を感じない人々の比率が上昇。往々にして呼びかけに応え、「購入」するのも厭わない傾向にあるという。
【ご紹介】:
先ごろスマートニュースが立ち上げた「SlowNews」(調査報道支援プロジェクト)。最初の支援企画が東洋経済オンラインに掲載されました。「政治とカネ」をめぐる衝撃のテーマを扱います。➡ 国会議員267人の選挙「余剰金が行方不明」の謎
何回か紹介しているReuters Institute「Digital News Report 2019」、やはり目につくのはニュースメディアへの信頼性のダウン。2015年(米大統領選前)から19年の間に上位5か国で概ね二ケタ下落。「情報」に対して、まずは懐疑的に見る傾向も顕在化したと指摘する。

Disruption This Week—–1/3/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年2月25日から2019年3月1日まで。

アメリカレコード協会(RIAA)、2018年の米国のレコード音楽産業収入を発表。サブスク型音楽ストリーミングが絶好調で、対前年比40%増とけん引、産業全体で98億ドルへと成長(前年比12%増)。この10年間でも最大となった。

2018年「日本の広告費」は6兆5300億円 インターネット広告の二桁成長続く | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議

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「2018年のマスコミ四媒体由来のデジタル広告費は582億円で、中でも出版社由来のデジタル広告費(雑誌デジタル)は337億円で二桁成長となった。出版社系デジタルメディアの成長、出版社のデジタルトランスフォーメーション、多様なコンテンツホルダーとしての大規模な事業開発により、新領域ビジネスの伸長が期待されている」。

——恒例の電通による日本の広告費、2018年版。試みとして興味深いのは、年々収縮が続く四マス関連広告費について、ネット広告分を示したこと。雑誌分野でネット広告の成長が見られる。

 

 

米国消費者による“コード・カッティング(CATV離れ)”を調査したCordcutting.comが、Netflix、Amazon、Huluの利用者の20%は、家族や友人のユーザー登録を借用していると発表。その“損害額”は、Netflixだけでも年間20億ドルを超えると算出。サブスク市場の課題とも言えそうだ。
「18年度の電子出版市場規模は2479億円で、前年比11.9%増。
それらの内訳は電子コミックが1965億円、前年比14.8%増で、その占有率は79.3%に及び、来年は確実に売上とシェアは2000億円、80%を超えるであろう。
それに対して、電子雑誌は193億円、前年比9.8%減で、200億円を割り、シェアは7.8%となった」。——それが喜ぶべきか悲しむべきかは別とすると、ブログ筆者が語るように、日本の電子出版市場はいよいよ「電子コミック市場」との色合いを深めている。ブロッキング問題が、そのまま出版産業の存亡論議へと短絡するのは、これが背景になってもいるのだろう。

 

 

米国のCenter for Media Engagementが実施した調査によると、ジャーナリズムが掲出した記事末に「記事はどう作られたか」という小型のコラムを設けて説明を添えるだけで、メディア、記事に対する読者の信頼などのエンゲージメントが改善されるという。

 

 

ゲーム体験に大きな転換期。Xbox LiveやPlayStation Plusの時代には、ディスク購入(所有)型ビジネスは縮小。ゲームにおけるサブスクリプション型ビジネスの時代について、EAのキーパーソンらが語る。

 

 

電子版事業で他社が羨む好業績を続けるNew York Times。CEOのMark Thompson氏への最新インタビュー。徹底したブランド(マーケティング)、女性読者を意識したスタッフ編成、そして、購読者獲得やエンゲージ強化の施策をピンポイントで次々と実施していることなどを語る。

 

 

ニュース記事、その品質的な価値を、AIによってスコア化できるか? 欧州のジャーナリストが立ち上げた「Deepnews.ai」という方法論とその開発の現状をリポート。ディープラーニングを用いた品質評価は、人間による評価と比較し「80%」程度の精度に到達したとする。
「デジタル中心に移行することが、新聞社の『働き方改革』に繋がっているように思います。
まず夜は随分早く仕事を終えるようになりました。深夜に締め切りがあると、どうしても『ギリギリまで頑張ろう』『最後まで会社にいないと……』という意識が働いてしまいます」。——読みどころが満載のインタビュー記事。デジタル化、購読ビジネスなどを志向するメディア担当者は参照すべき。

「ニュースレターは最先端のデジタルプロダクトとはいえないだろうが、デジタルメディア業界きっての成功事例の数々を支えた。例えばAXIOS(アクシオス)は、eメールのニュースレターをコアビジネスに据え、2400万ドル(約26.5億円)の売上と損益分岐の達成を発表」。

——Morning Brewのビジネスの中核は、ニューズレター(メルマガ)。開封率の高い良質なテーマごとの購読者をターゲットできる点で、広告と購読がオーバーラップする興味深い分野と言える。

 

 

ご紹介】:米メディア「Axios」のビジネスを論じるブログポスト、後編を書きました。よろしければどうぞ。➡Axios:購読者獲得、グロース戦略を語る[後]

Disruption This Week—–25/1/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年1月22日から25日まで。

[番外編]藤村厚夫 「スマホ級」不在のCES 5Gがつなぐ未来見えた

Disruption This Week—–9/21/2018

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2018年9月17日から21日まで。

[番外編]藤村厚夫 「ニセ情報」メッセンジャーアプリにも!? 利用者視点広げる工夫を