Disruption This Week—–30/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月26日から2025年5月30日まで。

CDが強い日本、配信どう伸ばす Spotifyが着目する「推し」:朝日新聞
「興味深い動きは、日本のアーティストが日本語で歌った曲が受け入れられ始めている点です。2024年に日本のアーティストがスポティファイで生み出したロイヤルティーの約75%が日本語の楽曲によるものでした」。

——スポティファイのグローバル役員(ビジネス・サブスクリプション事業統括)のグスタフ・イェレンハイマー氏へのインタビューから。個人的に関心を喚起させられたのは、日本語楽曲の世界への広がりには、「世界的にストリーミングの利用者が増える中で、新しい楽曲との出会いが容易になったこと」だとしていること。
楽曲ごとに決済する仕組みでは、それはできなかったことだ。

ニューヨーク・タイムズ、アマゾンにコンテンツ提供へ-AI向け
「NYT(ニューヨーク・タイムズ)の29日発表によると、複数年にわたる提携により『NYTの編集コンテンツがアマゾンのさまざまな顧客体験に届けられることになる』と説明。契約には編集コンテンツのほか、NYTクッキングのレシピやスポーツに特化した『ジ・アスレチック』が含まれる」。

——特にレシピやスポーツ関連コンテンツが、AmazonのECなどとの相性が良いということか。NYTimesの価値の中核であるジャーナリズム系コンテンツを除外することで、将来への含みを持たせているのだろうか。

YouTube Dominates CTV With 28% Share Of Streaming Minutes
米MoffettNathanson ResearchおよびNielsenの調査では、YouTubeは、2025年4月現在、米国内のCTVストリーミング視聴時間の24%を占める。YouTube TV(日本国内では非提供)視聴分を加えると、28%となり、Netflixのシェア15%を大きく上回る。
ほんの4年前までは、Netflixが全ストリーミング視聴時間の26%を占め、誰もが認めるトップだったのが、構図が激変した。
Read the memos The Washington Post sent staff offering voluntary buyouts as the Jeff Bezos-owned paper restructures
米Washington Postが社員に向けて希望退職プログラムを告知。幹部から社員に向けたメールを紹介する記事。同紙はより一層YouTubeなどへの傾斜を強め、動画部門の再編を意図。ジャーナリズム内部で“リスキリング”が求められているのがわかる。
米大統領夫人が「AIは出版業界の未来」 それはすでに起きている
「メラニア氏はX(旧ツイッター)への投稿で、人工知能(AI)を使い自身の声で読み上げた回顧録を届けられることを光栄に思うと述べ、『出版の未来を始めよう』とつづった」。

——自身の声をサンプリングして、自身の回顧録を機械的に読み上げさせたオーディオブックの誕生。もちろん、これが初めての作品ではない。まさに出版業界は激変に向かっている。詳しくは記事を読んで欲しいが、後段でこんなくだりがある。
「この章についてメラニア・トランプ氏と実際に話すことができたらどうだろう。それは近いうちにやってくる」。

SynthID Detector — a new portal to help identify AI-generated content
Googleは、2年前からAI生成による動画像データにデータ透かしを加えて、その真正性を追跡確認できる「SynthID」を発表。今回のGoogle I/Oでは、SynthID利用データを網羅したポータル「SynthID Detector」を発表。SynthID利用の有無や該当部分を特定できるようにした。
グーグルのAIノート「NotebookLM」で長いYouTube動画を要約・分析する方法 | Business Insider Japan
「例えば『ソースで語られている内容をまとめて』と質問すると、動画内で語られているポイントをテキストで表示してくれる。これで動画を全編チェックしなくても、おおよそ何を伝えているのかが把握できる。
全体で語られていることを確認したい場合は、『ソースを文字起こしして』と質問すればいい」。

——GoogleのNotebookLMについてはいろいろと紹介してきた。資料を読み込ませて、それを要約したり、音声解説やマインドマップなどに変換するなど、使い処が満載(近く、要約動画生成機能もリリースされるはず)。この記事では、YouTube動画のポイントや文字起こしなどを指示できるという機能が紹介されている。手順など詳しい。

Amedia offers free digital access to teenagers | Tomorrow's Publisher
ノルウェー拠点で数多くのメディアを擁する財団Amedia、9月の議会選挙を前に、若い読者の民主主義への参加を促し、ジャーナリズムへの信頼を回復させるため、15歳から20歳を対象に100紙以上の地方紙への無料デジタルアクセスを提供すると発表。
ChatGPT referral traffic to publishers’ sites has nearly doubled this year
SimilarWebと米Digidayが実施した調査によると、OpenAIのChatGPTが外部サイトへのリフェラルトラフィックのうち、ニュースやメディアサイトへの送客は、この4月には83%となり、1月の64%から増加したことがわかった。急増したのは英BBC、米Fox News、そして英Independentがあるという。
ダイナミックプライシングとは?仕組みや導入のポイント、事例を紹介
「ダイナミックプライシングを用いた価格の設定は以下の順で進めます。
1. データの収集
2. 需要の予測
3. 価格の決定
それぞれの工程で、どのような作業を行うのか紹介します」。

——ユーザーへのオファリングで、重要なアプローチが「ダイナミックプライシング」。AIの普及で、まさにダイナミックに収益最大化(あるいは収益の平準化)が行いやすくなっている。記事はその基本概念から手法、そして事例まで行き届いた好解説。

Disruption This Week—–24/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月19日から2025年5月23日まで。

What Influences SEO Traffic Growth In The Age Of AI
AI時代、SEOがサイトへのトラフィックを左右する要素とは? メディア運営者が学んでおきたい要素が整理されている。いくつかのポイントが挙げられているので、1つ紹介すると、「AIが生成したコンテンツは避ける」だそうだ。人間による修正が重要だとしている。
What if Making Cartoons Becomes 90% Cheaper?
【有料購読者向け記事】:
「エンターテインメント・ビジネスにおいて、アニメーションほどAIから失うもの、そして得るものが大きい分野はない」ーー。
チャンネル登録が300万人を超える米人気アニメ「StEvEn & Parker」を制作するToonstar社は、1分のシーンでリップシンクに、数年前には4時間かけていたが、現在では15分にまで圧縮。「標準より80%早く、90%安くフルエピソードを作ることができる」とする。
記事は、多くのアニメ作品を手掛ける大手スタジオは、かつてのToonstar社と同様の人手による作業を、今も続けているとする。

The Agentic Web and Original Sin

Stratechery by Ben Thompson

The Agentic Web and Original Sin
Web上の広告モデルの限界が顕在化する中、米MicrosoftはBuild 2025で「Open Agentic Web」なるコンセプトを発表。AIエージェントがユーザーの代理で情報取得や意思決定を行う新時代を提唱。今後は仮想通貨などによるマイクロ決済導入が、持続可能なWeb経済の鍵とまで主張。
オープンAI、元アップル幹部アイブ氏の企業を65億ドルで買収へ
「オープンAIは、アップルの元幹部ジョナサン・アイブ氏が共同設立した人工知能(AI)デバイス開発のスタートアップ『io』を約65億ドル(約9300億円)で買収する。伝説的デザイナーを迎え入れてハードウエア領域への本格進出を図る」。

ーーそろそろプロトタイプぐらい登場するのかと思っていたら、まずはアイブ氏の個人会社ioを買収するという段階。スマートフォンに代わる(?)AIデバイス開発への道のりは長そうだ。

Google is bringing ads to AI Mode | TechCrunch
Googleの「AIモード」は、ユーザーがGoogle検索で質問するとAIが回答、関連サイトへのリンク表示や追加質問ができる機能だ。ポイントは、(質問への)回答の中や下に広告を表示することで、Googleが収益を得ようとしていること。これまで以上に広告で稼げるようになるのか否かだ。
Almost half of young people would prefer a world without internet, UK study finds
英・全国児童虐待防止協会(NSPCC)調査によると、16〜21歳の70%近くが、SNSで時間を消費した後に、自分自身を嫌悪していると明らかにした。42%は、オンラインでの行動について両親に嘘をついており、46%は、インターネットがまったくない世界のほうがいいと答えたという。
調査は、政府が検討している「デジタル夜間外出禁止令」(TikTokやInstagramの利用時間制限)を青少年の半数が支持しているという結果を示すが、政府寄りの発表でもあり注意してみるべきかもしれない。
Microsoft Build 2025基調講演まとめ テーマは「AIエージェント時代」
「NLWebは、『エージェント指向WebにおけるHTMLと同様の役割を果たす可能性を秘めたプロジェクト』。WebサイトやAPIを簡単にエージェント対応アプリにする方法を提供する。開発者はLLMの能力を活用して既存のサービスや製品を強化できる」。

ーーAIが関与する開発を支えるプラットフォーム化志向へと大きくウイングを広げたMicrosoft。Build2025では、先の投稿での紹介以外にも数々の発表があったが、なかでも最大の話題は「NLWeb」だろう。これによりWebコンテンツやWebサービスに簡単にAI機能を統合できるようになる。これからはどんなWebページでもおしゃべりしたり、複雑な問いかけに対して答えを返すことになりそう。問題はその際のMicrosoftのビジネスモデルなのだが。

Trump to Sign Bill Banning Deepfakes, Nonconsensual Images: What to Know
米Trump大統領、「Take It Down Act」法案に署名、成立の見込み。同意なく投稿された性的画像やAI生成のディープフェイク画像の拡散を犯罪とする。被害者の申請から48時間以内にSNSやWebサイトが該当画像を削除することを義務付ける。違反者には刑事罰や賠償が科され、特に未成年被害の場合はさらに厳罰となる。
法案は、Melania大統領夫人が強く推進し、超党派で可決される動きとなったことで知られる。
The new wave of Russian disinformation blogs
英「UK Defence Journal」は、最近、Substackなどニューズレター、個人ブログで、英国や欧州のライターによる親ロシア的な偽情報ブログが急増していると指摘。NATO非難やウクライナ政府の過激化、EU批判といった論調が共通し、AIによる生成で大量投稿されていると分析する。
Meta Battles an ‘Epidemic of Scams’ as Criminals Flood Instagram and Facebook
【有料購読者向け記事】:
米Wall Street Journal、Facebook、Instagramを運営する米Metaのサービス上で、大量の偽広告・偽販売などの犯罪が急増、「詐欺のパンデミック」が生じていると大きく報道。JP Morganなど金融機関が報告する詐欺の半数がMeta上だと指摘する。
2022年のMetaの社内分析では、新規広告主の7割が詐欺や低品質商品を宣伝していたと判明。詐欺の多くは東南アジアなど海外犯罪組織が関与し、暗号資産やAI技術の普及も背景にあるという。
だが、Metaは広告収益を重視し、詐欺対策の優先度を下げてきたため、詐欺アカウントへの対応が遅れ、被害が拡大した。Marketplaceも詐欺の温床となっていると記事は指摘する。

Disruption This Week—–16/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月12日から2025年5月16日まで。

A New Report Takes On the Future of News and Search
ニュースの“発見”とニュース媒体への“送客(トラフィック)”を支えてきた検索に異変が生じようとしている。原因のひとつはAIだ。米国のジャーナリズム研究機関Tow Center for Digital Journalismが、起きている地殻変動を独自の調査で追い、結果を公表した。
TelevisaUnivision Bets on Microdramas and Music in Upfront Push
スペイン語圏最大手メディアのTelevisaUnivisionは、広告主向け発表会で、若年層やモバイル世代を意識した新戦略を発表。注目は、1話約1分の縦型“マイクロドラマ”約40本をストリーミングサービスの「ViX」で配信する。マイクロドラマはアジアを中心に急速成長中トレンドだ。

How We’re Using AI

Columbia Journalism Review

How We’re Using AI
米国の著名メディア関係者、ジャーナリスト、そして研究者は、AIをどう使い、どう使うべきかを語った面白いオピニオン集。
業務効率化や調査、翻訳、データ分析など幅広く活用されており、例えばインタビューの自動書き起こしや衛星画像解析、膨大なデータからのトレンド抽出などで成果を上げていると述べられる一方で、執筆や表現、読者との信頼関係の維持には人間の判断や倫理観が不可欠とされ、AIの利用には慎重な意見も多い。
また、AI活用に伴う環境負荷や、読者への透明性確保も重要視する意見もある。
過去のニセ情報、約半数が「正しい」と誤認 4人に1人が拡散経験 総務省調査
「拡散された偽・誤情報は、ジャンル別に見ると『医療・健康』(62.6%)が最も多く、『経済』(48.8%)、『災害』(39.3%)が続いた。調査対象者にSNS・ネット情報を『正しい』と判断する基準を尋ねたところ、『公的機関が発信元・情報源である』が41.1%と最多に」。

——これだけで考え込まされる要素が満載だが、さらに興味深い傾向が指摘されている。それは「10代では『公的機関』や『専門家』」を判断基準として重視する傾向が強いのに比し、「60代以上では『自分の意見や信念と一致している』と答えた人も約2割」というくだり。いずれかが決定に正しいということはないが、それにしても「頑迷」というコトバが思い返される。

Google AI Overviews leads to dramatic reduction in clickthroughs for Mail Online
Google検索でAIによる要約「AI Overviews」が表示されると、英人気サイトMail Onlineの検索結果の場合、クリック率(CTR)はデスクトップで56.1%、モバイルで48.2%も低下し、サイト流入が大幅に減少したという。たとえAI Overviews内でトップリンクに表示されても、CTRは大きく下がる。特に一般キーワードで顕著だと、同社SEO担当責任者が述べた。
How Google forced publishers to accept AI scraping as price of appearing in search
米司法省の反トラスト裁判で明らかになった資料によると、GoogleはAIによる要約機能(AI Overviews)に媒体社のコンテンツを使うことについて、当初は使用を拒否できる選択肢(オプトアウト)を検討していたが、収益性を理由に却下した。
現状では、媒体社がオプトアウトするにはGoogle検索そのものからの除外が必要であり、事実上「可視性を失うか、無償でAIに使われるか」の選択を強いられることになる。
これにより、報道機関のトラフィックと著作権ビジネスの両方に悪影響を及ぼす恐れがある。Googleは限定的な制限手段を提供しているが、その内容は曖昧で周知も控えているとする記事。
How creators are using generative AI in podcasts, videos and newsletters — and what advertisers think about it
クリエイターがポッドキャスト、動画、ニューズレターでどうジェネレーティブAIを利用しているか。そして広告主はそれについてどう考えているか——。3月にKontent.AIがクリエイターらを対象に行った調査では、74%が週単位でAIツールを使用、39%が毎日使用していることが判明した。
Why More Young People Are Getting Their News From Influencers
米国の若者はSNSを通じてニュースを得る傾向が強まり、中でも親しみやすい語り口の「ニュースインフルエンサー」が人気を集めている。
信頼感や共感性のある発信が好まれ、従来の報道機関もこうした「タレント主導型ジャーナリズム」への対応を急ぐ。
一方で、多くのインフルエンサーは報道経験がなく、誤情報拡散のリスクがあるほか、SNS上で可視化されることによる記者の精神的負担や格差拡大の懸念もある。
読者との接点強化や多様性の促進といった利点もあるが、SNSという不安定な土壌で行う報道には限界もあるが、正しく運用されれば、ジャーナリズムの強化にもつながる可能性があるとする記事。
The Atlantic editor Jeffrey Goldberg: 'The market understands what a quality story is'
米Atlantic編集長Jeffrey Goldberg氏は、同誌のオーナーであるLaurene Powell Jobs氏について、「編集方針に一度も干渉したことがない」と高く評価。政治的圧力にも屈せず、メディアの役割を理解し、「嵐の中で立ち止まる(価値観を守る)行動をしただけ」と語ったという。
この姿勢は、Washington PostやLos Angeles Timesなど他紙で経営者の介入が問題となっている中、対照的な存在として読者や編集部から信頼を集める結果となった。
Goldberg氏は、Jobs氏の「何もしないこと」がむしろ称賛されている現状を紹介したわけで、経営者の報道への不介入が優れたジャーナリズムの土台なのだと強調した。
Der Spiegel daily quiz attracts 900,000 monthly users | Tomorrow's Publisher
ドイツの週刊誌「Der Spiegel」オンライン版、毎朝配信するニューズレターでニュースクイズを提供(無料)。このオンライン版クイズのMAUが90万人にのぼると、同プロダクトマネージャーが述べた。同メディアは、このクイズと読者コメント欄で購読化戦略を強化中。

ファクトチェックアワード2025

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

ファクトチェックアワード2025
【ご紹介】:
今年も「ファクトチェックアワード2025」を開催します。現在、候補作品を募集しています。偽誤情報の危険性が叫ばれています。的確なファクトチェックが行われるためにも、ぜひ自薦他薦いずれでも参画を。今月末が締め切りです!

Disruption This Week—–9/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月5日から2025年5月9日まで。

'Search is going off a cliff': CNN, BBC and Economist chiefs on future of news
ロンドンで開催されたイベントで、米CNNのMark Thompson CEOは、AIがGoogle検索よりもニュースと読者を結びつける優れた手段になる可能性を主張した一方、英BBCのDeborah Turness CEOと英Economist編集長のZanny Minton Beddoes氏は懐疑的な立場を表明したとする記事。
Voicing Change: How the next news interface sets a generational challenge – and opportunity – for newsrooms
Newsroom Robots Lab.の創設者Nikita Roy氏、AIがSEO(検索エンジン最適化)からAEO(アンサーエンジン最適化)へと、検索エンジンの検索結果で上位に表示されることに重点を置いた検索をどう変化させつつあるかを、シンプルな「ビフォー・アフター」のグラフで説明。
Searches on Safari dipped for the first time in 22 years, Apple’s Eddy Cue admits, and it’s because more people are using AI instead of Google
「Safariの検索数が22年ぶりに減少」。Appleのサービス担当SVPであるEddy Cue氏が認める。「何が起きているかと言えば、人々がChatGPTを使っているからだ。 彼らはPerplexityを使っている。 私も時々使っている」と述べる。
生成AI対応「5原則」発表 世界ニュース発行者協会:朝日新聞
「世界ニュース発行者協会は5日、『AI時代にニュースの信頼性を守る5原則』を発表した。生成AI(人工知能)の急速な発達によって誤情報が広がる危険性が高まっていることから、信頼できるニュースを市民が選べるような環境づくりをAI事業者と協力してめざすための原則だとしている」。

——5原則とは、「(1)生成AIがニュースコンテンツを使う際には元の発信者の許可を得る(2)ニュースコンテンツが第三者の利益に使われる場合は、その価値を公正に評価する(3)AIに使われた元のニュースを市民に明示しアクセス可能にする(4)多様なニュースメディアを活用し、AIツールから得られる利便性を高める(5)テクノロジー企業と報道機関は対話し、安全性、正確性、透明性の基準を設ける」ということ。

OpenAI content boss on Google 'ten blue links' and arrival of ChatGPT search
米OpenAIの知財・メディア担当幹部、「World News Media Congress」(WAN-IFRA主催)で講演。同社とメディアとの提携が成果をあげているとし、一方、消費者はGoogle検索に比べ、「会話的で文脈を意識した方法」であるAI検索をますます好むようになっていると述べた。

How publishers are using apps to deepen engagement and improve retention
欧米各メディア、“アプリ”で読者エンゲージメントとリテンションの強化を推進。英City A. M. はプッシュ通知で高い開封率を達成。同じくFT Editは低価格アプリとして新規顧客を開拓。デンマークZetlandはオーディオアプリで若年層を獲得。米Baltimore Bannerは購読価値を高めるツールとアプリを位置づけ必須ツールとしていると紹介する記事。
ネットフリックスやディズニーの株価下落、外国映画への関税計画で
「5日の米株式市場では、動画配信サービスのネットフリックスや映画関連銘柄が下落。トランプ大統領が前日、外国で製作された映画に100%の関税を課す方針を発表しことが嫌気されている」。

——ハリウッド系作品、Netflixを含むストリーミングまで含むとそのかなりの収入の比率が、米国外から得ているだろう。今回の措置が、諸外国から対抗策を引き出してしまえば、その米国外からの収入を毀損する可能性も大いにあるだろう。大手の株価下落はこれを反映している。

Once again, for-profit metro papers are rare among the Pulitzer winners - Poynter
2025年ピューリッツァー賞における他の特徴は、例年の定番だった、突っ込んだ調査報道を行う小規模で気骨のある新聞社の受賞はまったくなかったこと。 代わりに、全国紙や通信社の大組織が賞を独占、全国紙や専門デジタルサイトがそのリストを埋めたことだという。
The Baltimore Banner wins its first Pulitzer - Poynter
2025年のピューリッツァー賞受賞で、特筆すべきは新進気鋭のメディアThe Baltimore Bannerが受賞したことがひとつあげられる。創刊3年目の非営利事業。ローカルニュースを追求。地元バルティモアでのフェンタニル過剰摂取問題を追った。
Google's NotebookLM Android and iOS apps are available for preorder | TechCrunch
ということで、Google発、話題のNotebookLMが5月20日からアプリとして利用できる。現在、Appストアでは「予約」ができる状態に。Google Playストアでは「事前登録」状態だ。Google内で傍流プロジェクトだったNotebookLMが、徐々にメインストリームへと向かうのか。

Disruption This Week—–2/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年4月28日から2025年5月2日まで。

自壊するネット広告 ブランド毀損、細分化で収益も減少 – 日経デジタルガバナンス

NIKKEI Digital Governance(日経デジタルガバナンス):デジタル・AI時代のガバナンスを伝える専門メディア

自壊するネット広告 ブランド毀損、細分化で収益も減少 - 日経デジタルガバナンス
【有料購読者向け記事】:
「構造的な限界と混乱を乗り越えるためには、ユーザーの視点から見た『快適で納得感のある広告』の再設計が求められている。単なる最適化ではなく、広告価値の再定義が求められるのだ」。

——広告が逢着している極限的にネガティブな状況を包括的に説明する解説記事。事象自体にはすでに慣れ親しんでいるが、どこから読み解くべきか……という点では、クリアで説得力ある論だ。

AIエージェント支援のショッピング、広告を進化させる-ビザCEO
「同社(=米ビザ)はアンソロピックやマイクロソフト、オープンAIなどのAI企業と連携し、このサービスの導入に向けて取り組んでいる。
マキナニー氏(=ビザCEO)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、 『今は商品があふれ、購入できる場所も多過ぎ、自分でショッピング体験を最適化する時間がない』と指摘」。

——VisaもMastercardも、AIエージェントによるショッピング機能進化に重大な可能性と懸念を見ている。悪意あるエージェントによる消費者の決済情報窃取対策はもちろんだが、一方で、消費者自身が商品購入体験を徐々にAIに委ねる可能性があり、ここに関与することはクレジット業界の死活的に重要と考えるからだ。

Americans largely foresee AI having negative effects on news, journalists
米Pew Research、調査(2024年実施)で米成人のおよそ半数が、AIは今後20年間、人々が入手するニュースに非常に(24%)または多少(26%)マイナスの影響があると回答したと公開。「非常に」(2%)または「やや」(8%)プラスに影響と答えたのはわずか10%だったという。
知識ゼロでもプログラミングができた! ChatGPTと5時間格闘したリアル体験記
「それこそChatGPTに聞いてみました。
『毎朝7時に世界中のニュースを厳選して、送るようにしたいんだけど、プログラミングしてもらえますか?』
すると突如送られてきた膨大な『コード』と呼ばれるやつ」。

——そうそううまい話があるはずもない、と決めてかかっていたが、「ChatGPTさん、隙あらば私の知らない単語を出してきてマウント取ってきます。その度に話を遮ってでも徹底的に細かく尋ねることで、次第と霧が晴れていったのです」という経緯を挟んで、ともかくめざすプログラミングが実現していく。これは興味深い。実践意欲が刺激される。

Google's NotebookLM expands its AI podcast feature to more languages | TechCrunch
何度か紹介してきたGoogle発のPDFなど長文資料の整理要約に大変便利な無料のツール「NotebookLM」。整理要約だけでなく、内容を基にポッドキャストまで生成するが、対応する音声が日本語含む多言語に広がった。
“誰が作ったか”をデジタル作品に埋め込めるWebアプリ、Adobeがパブリックβとして公開
「同アプリは最大50枚のJPEG/PNGファイルをドラッグ&ドロップで一括処理し、作者名やSNSリンク(Adobe Behance、Instagram、LinkedIn、Xなど)など任意のメタデータを埋め込める。付与したクレデンシャルは耐久性を持ち、スクリーンショットでも保持される。今後は動画や音声など大容量ファイルにも対応予定という」。

——Adobeらは以前より「C2PA」(電子透かしの技術標準)を推進してきた。その運用をより容易にしたツールと言えるだろうか。テキスト系では国産の標準化推進のOPがあるが、これからのものだ。

Publisher of PCMag and Mashable Sues OpenAI
【有料購読者向け記事】:
PCMag、Lifehackerといったテック系メディアを全世界で展開する出版社Ziff DavisがOpenAIに対して訴訟を提起。同社メディアのコンテンツを複製し、派生物を生成することで、同社の著作権と商標権を侵害とする。
日経電子版の生成AI新機能「Ask! NIKKEI」 こんな場面で便利 - 日本経済新聞
「『日本経済新聞 電子版』は有料会員向けに、ニュースの理解を助ける新機能『Ask! NIKKEI(β版)』の提供を始めました。読者がニュースに関する疑問を入力すると、生成AI(人工知能)が電子版の記事を使って情報を整理し項目立てて解説します。回答に引用した記事もすぐに参照できます」。

——さっそく記事フッタに示されるAsk! NIKKEIのスニペットで、自由文で記事の追加情報を求めてみた(コメントにスクショを貼る)。それなりに整理された情報が表示され、“使い物になる!”という印象だ。問題はこのようなUIで良いのかということだが。

YouTube Ad Revenue Bulks Up 10.3% to $8.9 Billion as Alphabet Q1 Net Profit Jumps 46%
2025年第1四半期のYouTubeの広告収入、前年同期比10.3%増の89.3億ドルに。 GoogleおよびYouTubeを擁するAlphabetは、同期業績でウォール街の予測を見事に上回った。
ただし、YouTubeの広告売上はアナリスト予想の89億7000万ドルにわずかに届かなかったが、サブスク売上などが好調だったという分析。
Alphabet、予想を上回る増収増益 「AIによる概要」のMAUは15億以上
「Alphabet全体の売上高は前年同期比12%増の902億3400万ドル(アナリスト予想は891億2000万ドル)、純利益は46%増の345億4000万ドル(1株当たり2.81ドル、アナリスト予想は2.01ドル)だった。売上高は7四半期連続の2桁台の増加で、アナリスト予測を大きく上回った」。

——具体的には? という問いには「部門別では、広告、Android、Chrome、デバイス、Googleマップ、Google Play、検索、YouTubeを担う『Googleサービス』セグメントの売上高は10%増の773億ドル。YouTube広告が好調だった」という回答だ。