Disruption This Week—–27/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月23日から2024年12月26日まで。

1 000 and 4 000 days of deception: Russia’s evolving information manipulation - EUvsDisinfo
「直接的なプロパガンダからデジタル欺瞞へ。
EUの制裁と国民の懐疑心の高まりに直面し、ロシアのプロパガンダ担当者たちは、西側の声になりすますことで、西側の聴衆に接触する新しい方法を開発した…」。

——欧州対外行動庁(EEAS)による、ロシアのEU(関連)諸国への工作を取り扱うサイト「EUvsDisInfo」より。世の中では、AIを用いた「ディープフェイク」に関心が集まるが、より洗練された情報工作が台頭している。記事はそのような事例を紹介する。

Forbesも陥った広告目的サイトの甘い蜜 MFA事例解説 – 日経デジタルガバナンス

NIKKEI Digital Governance(日経デジタルガバナンス):デジタル・AI時代のガバナンスを伝える専門メディア

Forbesも陥った広告目的サイトの甘い蜜 MFA事例解説 - 日経デジタルガバナンス
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「MFAサイトは、検索エンジンやソーシャルメディアからトラフィックを集め、表示される広告によって収益を得る仕組みだ。しかし、MFAの急増により広告主には無駄な広告費の発生やブランドイメージの低下といった負の影響が拡大しており、広告市場の健全な成長を阻害する要因となっている」。

——「メード・フォー・アド(MFA)」、つまり、広告目的のためだけに作られ、運用されるWebサイトの解説記事。AIや自動クローラなどで、手軽にコンテンツWebサイトを作りだす技術が進展、ここにネットワーク型広告を配信するだけで、手軽に収入を得られる。個人的には、この種のサイトと純然たる商用Webサイトの境界線が曖昧化していることも、事態の背景にあるのだろうと見る。一般の利用者も、コンテンツの集積体としてのメディアに関心を持たないので、検索一発で答え(らしきもの)に出会えれば、満足ということなら、この種の詐欺サイトが減る理由がない。

Kara Swisher Just Wants a Meeting With Jeff Bezos – Washingtonian

Washingtonian – The website that Washington lives by.

数日前、米Axiosがテック系ジャーナリストの大物、Kara Swisher氏が(投資団を組成し)米Washington Post買収を計画と報道。その計画をめぐって、WashingtonianのシニアエディタAndrew Beaujon氏がSwisher氏にインタビューした記事。その意図や勝算を語って面白い!
Universal and Amazon Music Strike Deal to Collaborate on Streaming 2.0, Audiobooks and AI Protection
米Universal Music Group(UMG)およびAmazon Music、UMGが発表している「Streaming 2.0」戦略、AIからの保護、そしてオーディオブック事業などの点で合意、提携を発表。Streaming 2.0は規模の追求ではなく、各種購読や物販、アーティスト支援などで付加価値増をめざすもの。
Apple faces calls to remove new AI notification feature on iPhones after it generated inaccurate news summaries
米AppleがiOS 18.2に搭載された新機能「Apple Intelligence」をめぐる批判に直面している。Appleに批判を向けているのは、すでに紹介したBBC、そして「国境なき記者団」だ。いずれもオリジナルのニュースを不正確に紹介(プッシュ)したとされる。
Washington Post announces start of third newsroom - Talking Biz News
米Washington Post、従来から計画を公表してきた「第3の編集部」を立ち上げるべく、新事業部門WP Venturesを組成、責任者を指名した。新部門は新フォーマット(動画、音声、ニューズレター)などを手がけると、社員向けに通知した。
エヌビディアだけでないAI特需の恩恵、レディットやパランティアも
「トゥルイスト・アドバイザリー・サービシズの株式戦略マネジングディレクター、スコット・ユシャック氏は『最初の受益者でなかった企業も成長を経験し始めた。テック業界では現時点でAIが選好されているが、25年にはテックの選好対象が広がると期待している』と説明した」。

——AIブームの余波が、各種関連企業に飛び火している。AI関連半導体やソフトウェアを開発する度真ん中から、ジェネレーティブAIの学習用にコンテンツを来戦するReddit、AIを使った軍事分析システムのPalantir Technologies、発電などを手がけるVistraなどが株価を伸ばしているのだという。

Entertainment and Media Suffers Another Major Blow in 2024 With 15,000 Job Cuts
米メディア業界、依然として深刻な雇用環境が続く。——雇用動向の調査などを行うChallenger, Gray & Christmasに依れば、2024年12月中旬までに、放送、テレビ、映画、ニュース、ストリーミングの分野で14,909の雇用が失われた。23年は21,417であり、多少の改善に過ぎない。
記事はその複雑な背景に言及している。ひとつは顕在化したメディア企業(事業)の統廃合、M&Aなどの動きがある。
Google検索、公正取引委員会が独占禁止法違反を認定 初の排除措置命令へ - 日本経済新聞
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「公取委はグーグル側の意見を聴いた上で最終的な処分を決める。公取委は取引の見直しを求めるとみられ、グーグル側の対応が焦点となる」。

——Googleがどのような対処策をとるかはまだ不明。ただ、これまでの取引慣行を改める程度のことになるのだろう。

UK data regulator criticises Google for ‘irresponsible’ ad tracking change
英国のデータ保護規制当局、Googleが先週発表したフィンガープリンティングを広告主に提供するという従来の方針の変更に「無責任」と批判。同社は従来、ユーザー保護の観点からフィンガープリンティングのターゲティングへの利用に慎重だった。

Disruption This Week—–20/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月16日から2024年12月20日まで。

日本新聞協会、生成AIと著作権保護「新たな法整備を」 - 日本経済新聞
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「生成AIの普及に伴い偽・誤情報の拡散が社会問題となっている。協会によるユーザー調査では『約6割が誤った回答が表示された経験を持つ』との結果が出ており、背景には『無秩序なデータ収集』があると指摘した」。

——日本新聞協会による、政府推進案に対する見解。協会自身が掲載したページより、日経に依るこの記事の方が読みやすい。協会、すなわち新聞業界が警戒する関心事は、検索に近いポジションでAIが報道される情報のつまみ食いをしてしまうことのようだ。

Webは消滅に向かっている——。米Pew Researchによれば、2013年にはアクセス可能だったWebページの38%が、今ではアクセスできない。ある大学の研究者らによれば、2025年までに地方ニュースサイトの3分の1が失われるという。技術的欠陥、そして情報を消したがる動きも原因だ。
メタ、来年の米広告収入はインスタグラムが半分超の見通し=調査
「調査会社イーマーケターは調査で、米メタ・プラットフォームズの2025年の米国での広告収入は写真共有アプリ『インスタグラム』が半分超を占める見通しを示した。メタは主力商品の改善を通じて広告を増やし、売上高を拡大する取り組みを進めている」。

——なぜ、この予測が話題となるのかと言えば、ライバルで短尺動画アプリの筆頭アプリTikTokが米国で禁止される(あるいは所有権が動く)可能性が高まっているからだ。記事にはInstagram広告の内訳などが詳しく紹介されている。

More than 140 Kenya Facebook moderators diagnosed with severe PTSD
140人以上のケニア人Facebookモデレーターが重度のPTSDと診断され、アウトソーシング元のMetaとアウトソーシング先企業Samasource Kenyaに対して元モデレーターらが訴訟を提起との報道。モデレーターらは過激な動画像に繰り返し晒されていたとする。
IT技術者「自由な働き方」に盲点 サイバー攻撃の標的に 編集委員 須藤龍也 - 日本経済新聞
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「ディレクターを名乗る人物から「スキルをテストしたい」と通販サイト構築アプリのプログラムコードが送られてきた。男性がパソコンで実行したところ、セキュリティーソフトがウイルスを見つけたと警告を発した」。

——衝撃なのは、記事が「石川氏によると今回見つかったウイルスから、ハッカーの狙いは第一に仮想通貨など金銭目的だと推察する。ただ、男性のパソコンを乗っ取る機能も見つかっていることから、パソコン内部の機密情報を盗み取る目的もあるとみる」と続くこと。被害に遭いかけた技術者は、会社貸与のPCを使って、“スキルテスト”プログラムを走らせていたという。

AIの次なる飛躍、「長時間思考」に備えよ
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「長時間思考とは(少なくとも最大限に活用された場合では)文字通りの意味を持つ。長時間思考AIモデルは、生成する結果を「熟考する」ためにもっと時間をかけるように設計されている。進行状況を知らせ、途中でフィードバックを求めるほど賢くなるだろう」。

——OpenAIの長時間思考モデルが、「o-シリーズ」。「回答する前により長く考え、複雑なタスクを論理的に捉え、『科学、コーディング、数学の分野で、従来モデルよりも難しい問題』を解決するよう設計されている」という。

EU、TikTokの調査開始 選挙介入巡る疑い
「欧州連合(EU)欧州委員会は17日、11月のルーマニア大統領選などで選挙介入を抑制しなかった疑いがあるとして、中国の字節跳動(バイトダンス)傘下の短編動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』に対する正式手続きを開始した」。

——これはすでに紹介した。国内大手紙でも論じている話題。これから注目されるのは、単にTikTokが適切な偽誤情報を含む政治コンテンツに対して適切にモデレーションするのを怠った、以上の、影響力工作方法上の新たなアプローチがあるのかどうかだろう。

More YouTube viewers are watching on their TVs | Semafor
YouTubeの視聴が、CTV(コネクティッドTV)上で急上昇。多くのクリエイターは4Kベースの(CTV向け)コンテンツで収益を伸ばしている——。同社幹部のKurt Wilms氏が述べた。「収益の大半をリビングルームのデバイスから得ているクリエイターの数は、前年比で30%増加」。
メタが新AIモデル公開 メタバースのアバター動作がリアルに
「メタは12日、人工知能(AI)モデル『Meta Motivo』をリリースすると発表した。メタバース空間でのキャラクターの動きをコントロールし、自然な動作を可能にした。
Meta Motivoはデジタルアバターによく見られる体の動きの問題を解決し、よりリアルで人間らしい動きを実現すると説明した」。

——ようやくMeta社は、AIに先行して全力を傾注してきたメタバース戦略とAIの接点を創りだすところにまでこぎ着けたようだ。今後は同社のアドバンテージが生きてくるのかもしれない。

Patrick Soon-Shiong's controversial shakeup at the L.A. Times:  'Bias meter,' opinion upheaval and a call for growth
米著名メディアの一つ、L.A. TimesのオーナーPatrick Soon-Shiong氏の言動、行動が話題だ。同紙がHarris大統領候補の支持を表明するのにストップをかけ、同紙記事のバイアス度を表示するメーターを設置しようとする。同氏へのインタビューをL.A. Times自ら行った。

Disruption This Week—–13/12/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年12月9日から2024年12月13日まで。

New dimensions for news storytelling
AI時代の情報へのインターフェイスを研究するGoogle LabsのKawandeep Virdee氏、彼が考えるLLMが貢献できる新たなアイデアを紹介。同じ記事を読者が自由にその長さを調整して読める「Zoom Summaries」や記事の情報をツリー化して読める「Summaries Tree」など興味深い。
ElevenLabs' AI voice generation 'very likely' used in a Russian influence operation | TechCrunch
米セキュリティ調査企業Recorded Future、最新の報告書で、ジェネレーティブAIによる音声合成サービスを手がけるElevenLabsの技術が、ロシアの影響力工作に用いられていると報告。一連の工作は欧米によるウクライナ支援の無意味さを印象づける目的で、同社サービスを用いている。面白いことに、ElevenLabs自身が提供する悪用検証ツールで確認された。

News websites hit an evolutionary dead end
進化の終わりに直面するニュース(Web)サイト。米Nieman Lab恒例の「2025年のジャーナリズム予測」企画がスタート。多くのメディア関係者がオピニオンを寄せる。本論は、Webページの現在のダメダメぶりを列挙。論者は新聞のPDF版をWhatsAppで配布する試みをアフリカで実施している。
Top 'Washington Post' editor kills article on deputy's departure
大統領選での支持表明を、オーナーの一声で取り消した米Washington Post。その同紙が依然として揉めている。今度は、抗議の意思もあったのだろう編集長Matea Gold氏退任の報を、現編集長代行が差し止めたことでさらに揉めている。理由は、「新聞は自身をカバーしない」だ。
極右台頭のルーマニア大統領選、フェイスブック上で組織的宣伝か
「フェイスブックの親会社、米メタ・プラットフォームズが、ルーマニア大統領選を巡り親欧州連合(EU)の野党党首ラスコーニ候補を攻撃する3600件余りの政治広告のフェイスブック投稿を許可し、カリン・ジョルジェスク候補ら極右の宣伝に寄与していたことが調査で示された」。

——異常なまでのTikTokの活用で、無名の存在が大統領候補の筆頭に、ということで話題になった人物。当然のことながらTIkTok一本でということはなく、いわゆるSNSの総合的な活用という構図が徐々に明らかになっている。もちろん、これが違法なのかどうかだが。

NVIDIA協力のバーチャルヒューマン「AI imma」とは何者か。日本語で会話を体験
「人がマイクを通じてAI immaに話しかけると、自動音声認識(ASR)システムを用いて音声をテキストに変換。そしてそのテキストに基づき、大規模言語モデル(LLM)で回答を生成する仕組みになっている。
日本語のテキストに対してはOpenAIの『GPT-4o』、英語のテキストに対してはグーグルの「Gemma」を使用している」。

——アイデアとしてはそう新しいものではないが、なかなかのできであるバーチャルヒューマンのアイドルが、AIによる双方向コミュニケーションを果たす。興味をひくのは、引用したように複数のAIサービスを繋ぎ込んで運用していること。AI応用の商業サービスにはこのようなアプローチが一般化していくのだろう。

アルゴリズム主導の広告が成長
「レポートの冒頭には『The dawn of the algorithmic era for media』という見出しがあり、ブロードキャスト時代(broadcast era)、プレシジョン時代(precision era)を経て、アルゴリズム時代(algorithmic era)が到来しているとしている」。

——「いまさら」という思い、同時に、コロナ禍後の広告市場の改めての成長動因を考えさせられる。

スタバやマクドナルドが独自の動画プラットフォームを持つ時代になる? | ネットフリックスやアマプラなどの動画配信の勢力図が変わる
「マクドナルド、スターバックスに次ぐ全米3位の外食チェーン『チックフレイ』が独自の動画配信プラットフォームを開始するのではないかと米メディア『CNBC』など各メディアが報じていた。主要な制作会社やスタジオと提携し、アニメ、リアリティショー、ゲームショーなどを制作しており、1エピソードにつき約40万ドル(約6000万円)の予算を費やしているという」。

——ブランド価値の増大という意味だけでも、一定の効果はあるだろう。問題は投資対コストだ。OTT時代に入って、その投資対コストの基本構造は、少なくとも配信自体のコストでは見合いやすくなっている。

「Xのアルゴリズム」は数日であなたの政治的意見を変えられる――米スタンフォード大が1000人以上で検証
「実験では、Xのユーザー1256人の協力を得て10日間実施。ブラウザ拡張機能を使用してフィードをリアルタイムでコントロールし、敵意コンテンツ投稿への接触を意図的に増減させた。
参加者は2つの実験群に分けられ、一方は敵意コンテンツへの接触を減らし(727人)、もう一方は増やす(529人)設定にした。実験の最初の3日間は通常のフィードを見せ、その後の7日間で介入を行った」。

——掲載論文に付された概要が分かりやすい。「アルゴリズムによってキュレーションされたフィードにおいて、参加者が(反民主的態度や党派的反感を表現する)AAPAに触れる機会を増減させた。 その結果、AAPAへの露出を減らすと肯定的な当事者感情が高まり、AAPAへの露出を増やすと否定的な当事者感情が高まることが観察された」ということ。「AAPA」を識別するLLMがあれば、これで利用者の政治的なスタンスを相当程度に左右できるというわけだ。

L.A. Times Owner Plans ‘Bias Meter’ Next to Coverage
【有料購読者向け記事】:
米国の富豪、Patrick Soon-Shiong氏、同氏が保有するL.A. Timesの記事に「バイアスメーター」を表示させると、インタビューで述べた。記事執筆者の“確証バイアス”の度合いをなんらかの手法で 計測し表示。記事偏向の可能性を伝えるというもの。
これはメディアのオーナーが、自らが保有するメディアの偏向の可能性を指摘するという動機に基づくもので、いささか不思議な動きだ。

Disruption This Week—–16/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月11日から2024年11月15日まで。

Viewers Flee MSNBC, and Flock to Fox News, in Wake of Election
【有料購読者向け記事】:
米TVネットワークMSNBCの選挙日以降の平均視聴者数は55万人で、10月の平均視聴者数と比較すると39%減少 (Nielsen調査)。 プライムタイムでは53%減少だ。一方のFoxでは、一日の平均視聴者数は330万人で38%増加したという。
電通ジャパン・インターナショナルブランズ、広告視聴のアイトラッキングデータに基づいたアテンション調査レポート「広告効果における新指標:アテンションエコノミー]発表
「本調査では、日本国内8000人超のモバイル端末ユーザーを対象に、ディスプレイ、リッチメディア、SNSなど、計7種類の広告フォーマットからユーザーの視線の動きを計測しました。視線追跡、視覚的注意、表情のデータが45種類以上のクリエーティブから収集されました」。

——電通ジャパン・インターナショナルブランズ、新たな広告視聴指標「アテンション」を日本を含む各国でのデータに基づき検証。採取できた特徴や有効性を公開。

米Wall Street Journal、ニュース記事の上部に表示されるAI生成の記事要約を試行中。 要約は、記事の要約を箇条書きにした「Key Points」として表示される。AIツールが作成したと断っている。米メディアのThe Vergeが発見したスクープ。
Social media is a symptom, not a cause
「ソーシャルメディア(SNS)は症状であり、原因ではない」——。米(カナダ)のジャーナリストMathew Ingram氏の論説。2024年の米大統領選をめぐるメディア状況への言及。ファクトチェックが履行されないSNSプラットフォームを非難する言説に対して、分断の原因はSNSでないと。

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

普及が進むコネクテッドTV この7年間で見られ方はどう変わったのか
「若年層(=49歳以下)は特に、YouTubeやVODなどのネット動画アプリへのシフトが加速しています。テレビ受像機でネット動画や映画やスポーツ中継などのオンデマンドサービスを見るというスタイルが徐々に定着しつつあることがうかがえます」。

——あくまでも映像機器メーカーREGZAが提供するデータ上でのトレンドという点に留意。引用箇所は「GT(ゴールデンタイム)・49歳以下の利用率内訳(全体を100%)」のデータを目視した。問題は、大型ディスプレイ搭載の受像機全体の利用状況だろう。

「今やあなたたちがメディアだ」とマスク氏、米大統領選でマスメディアは「敗北」したのか?
「今回の大統領選では、偽誤情報の氾濫とともに注目されたのが、マスメディアの存在感の低下だ。
選挙戦では、トランプ氏、カマラ・ハリス現副大統領とも、著名ポッドキャストへの出演が注目を集め、『ポッドキャスト選挙』の呼び名もついた」。

——「トランプ氏と次期副大統領、J・D・バンス氏が出演したポッドキャストの1つが、人気ランキングトップ、1,600万人のフォロワー数を持つ『ジョー・ローガン・エクスペリエンス』だ。
選挙戦最終盤の10月25日、トランプ氏は約3時間にわたって出演。ユーチューブでの動画視聴回数は4,800万回超に上った」と記事では、その具体的なインパクトを説明している。
この間、何度か私が指摘した“クリエイター”による政治報道が表舞台に上ったということでもある。

Mistral、コンテンツモデレーションAPIをリリース 日本語にも対応
「AI企業のMistral AIは11月7日(現地時間)、コンテンツモデレーション用の新しいAPIをリリースしたと発表した。同社のチャットbot『Le Chat』のモデレーションに使っているものと同じAPIという。
ユーザーはこのAPIを使うことで、特定のアプリや安全基準に合わせてカスタマイズできるようになる」。

——すでにMetaはFacebookやInstagramでこの種のAIモデレーションを実施しているはずだが、理由のわからない(投稿やアカウントの)バンが行われたという悲鳴が上がってもいる。

X Touts Record High Usage on Election Day
米大統領選をめぐるプラットフォーム、勝者はXか? 同社は「過去最高」の使用を喧伝中だ。
SNS年齢制限広がる オーストラリアは16歳未満禁止法案 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「各国で交流サイト(SNS)の使用に年齢制限を設ける動きが広がっている。オーストラリアは近く国家として初めて16歳未満のSNS利用を禁止する法案を提出する。英国や米国の一部州でも議論されている」。

——なぜか日本では、この種のSNS利用が青少年にもたらす悪影響を規制する議論があまり大きな政治問題になっていないように思える。ヘイトなどの発信制御に規制策(の是非)が向かっているようだが、諸外国ではプラットフォームそのものの害悪に目が向けられている。

生成AIで福岡のPR記事作成→“架空の祭りや景色”への指摘が続出 開始1週間で全て削除する事態に
「プロジェクトの公式Xでは『インターネット上の情報をもとに生成AIを活用してメディア記事を作成し、人的確認のうえ発信してきた』と説明。今回の指摘を受け『より正確な情報を提供するため、全てのメディア記事を削除し、発信を一時停止する』としている。なお追記では『生成AIでのメディア作成は一切行わない』との方針も示している」。

——あり得ない地域の混同など、“事実”との齟齬以外にも、画像が「パラレルワールド感すごい」との“評価”。反面教師として使えそうな素材。

Disruption This Week—–11/10/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年10月1日から2024年10月11日まで。

「Xプレミアム」収益配分の仕組みを変更 インプレゾンビ対策にも?
「今後は投稿の返信欄に広告が表示されても収益は発生しません。代わりにこれからは、投稿に対してプレミアムユーザーがエンゲージメントすることで支払いが行われます」。

——「エンゲージメントとは、ある投稿に対してシェアやコメントなどのアクションを起こすこと」だと記事で解説。「これまでの広告収益分配プログラムでは閲覧数に応じて収益が発生していたため、日本人の投稿に海外のアカウントからリプライが付くケースが多く、災害発生時などに問題視されていた」とも述べている。要するに、“無意味な”閲覧数を稼いでも商売にはならないスキームを目指しているわけだ。

How The New York Times incorporates editorial judgment in algorithms to curate its home page
米New York Timesは、Webでもアプリでも、トップページにアルゴリズムを駆使したコンテンツキュレーションを施している。1日に公開する記事が250超だが、トップページに表示できる記事は50〜60に限られているからだ。このアルゴに編集者の意思をどう反映しているかを語った記事。
X、ブラジルでのサービス再開へ 命令に従い2860万レアルの罰金も支払ったため
「モラエス判事は、Xがブラジルの法律と『国家主権を尊重した司法の決定』を完全に順守することを条件に、活動の再開を許可した。
Xは、虚偽情報を拡散していた(と判事が指摘した)アカウントのブロックと、ブラジルでの海外企業の運営に関する法律で義務付けられているブラジルでの法定代理人の任命という、活動再開のための2つの条件を9月27日に完全に満たしたことを証明した」。

——ブラジル司法の求めるところにXが完全に屈伏した図式のようだ。法令遵守があるとはいえ、“言論プラットフォーム”でもあるものが、権力の意向に屈伏するだけがよいことなのかと言えば、留保しなければ。各国で「擬誤情報のまん延」を材料に、権力が情報の統制に身を乗り出そうとしている瞬間に起きた出来事だ。

グーグルに事業分割要求も、米当局が検討 ネット検索巡る訴訟で
「米司法省は8日、アルファベット傘下グーグルのインターネット検索が独占に当たるとの裁判所の判決を受け、同社にブラウザ『クローム』や基本ソフト(OS)『アンドロイド』など一部事業の切り離しを命じるよう裁判所に求める可能性があると明らかにした」。

——昨日はEpic Gamesとの係争をめぐり、Google Playアプリストアの開放という判決を紹介したが、今日は、改めて分割問題が話題になっている。改めて引用箇所を読み直すと、かつてのMicrosoftの独占時の問題と同じことが起きていることがわかる。

OpenAI exec rules out sharing revenue from SearchGPT with publishers, for now
OpenAIのメディアパートナーシップ担当責任者は、現在のところ、同社がSearchGPT製品から得られる広告収入を、コンテンツを掲出したメディア事業者と共有する方針はないとした。「新しい視聴者による大幅なトラフィック増」で、各メディアに公平に分配されると述べた。
Who U.S. Adults Follow on TikTok
米Pew Researchが新調査結果を発表。いまや成人の半数(52%)がTikTokを通じて定期的にニュースに接触する。だが、米成人のTikTokユーザーが多くフォローするのは、著名人などインフルエンサー。残念ながらジャーナリストらはごく少数に過ぎない。
US judge orders Google to open app store to competitors
「米連邦判事、GoogleにPlayストアをライバルに開放するよう命令」。Apic GamesがGoogleに提起した訴訟で大勝利。競合他社の作るアプリストアに、Google Playストアのカタログを利用できるようにしなければならない。進行中のAppleとの係争の行方にも影響大だろう。
Substack wants to do more than just newsletters | Semafor
好調に拡大するニューズレター配信サービスSubstackの現状を、米Semaforが報じた。報道に寄ればSubstackは直近1年で、購読者を100万人増やしたという。黒字化には至っていないものの、2022年に900万ドルだった売上は好調に推移しているものと見る。
Google’s Grip on Search Slips as TikTok and AI Startup Mount Challenge
【有料購読者向け記事】:
「調査会社eMarketerによると、米国の検索広告市場におけるグーグルのシェアは来年、10年以上ぶりに50%を下回ると予想されている」。TikTokやAmazonがブランド商材の検索に力を入れているからという。特にAmazonは22%のシェアが見込まれているとする。
「沖縄独立」煽る偽投稿拡散 背後に約200の中国工作アカウント - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「『沖縄独立』を促す偽動画が今、SNS上で拡散し続けている。日本経済新聞が先端の人工知能(AI)ツールで解析したところ、背後に拡散を請け負う大量の『情報工作アカウント』が見つかった。主に中華圏に向けたSNSの投稿だが、専門家は今後、日本の世論分断にもつながりかねないと警鐘を鳴らす」。

——朝日新聞による調査報道を紹介してきたが、今度は日経新聞による読みごたえのあるビジュアル調査報道を紹介する。こちらイスラエルで開発されたツールを使うなどして流布されている偽情報を追跡すると、おもに3つの発信源(アカウント)が浮かび上がったという。それぞれは幼稚な動画などだが、結果として広範囲に偽情報が拡散していることも判明。

ロシアの偽情報作戦「ドッペルゲンガー」は西側諸国だけではなく自国首脳部も欺いている
「ロシア政府主導の工作ネットワーク『ドッペルゲンガー』は、西側諸国を標的として、さまざまな偽情報作戦を展開しています。しかしその偽情報作戦が、西側諸国だけではなく、ロシア政府の首脳部も欺く結果になっていることを、世界情勢を扱うニュースサイト・Foreign Affairsが報じています」。

——一昨年にその存在が暴露された、ロシア政府系の偽情報生産企業SDAとその偽情報キャンペーンの主体「ドッペルゲンガー」。その大規模な偽情報生産の状況を克明に伝える膨大な内部資料が西側メディアに漏えいした。この記事は、数GBにおよぶ文書を入手した外交専門誌「Foreign Affairs(フォーリン・アフェアーズ)」の記事を翻訳紹介したもの。影響工作の実像を伝える驚愕の内容。

ChatGPT、会話がスムーズになりました
「ChatGPTで、『高度な音声モード』(Advanced Voice Mode)の提供が始まりました。有料プラン加入者が対象の新しいアップデートです。
OpenAIは機能のリリースに合わせて、本機能を使っている動画を投稿」。

——すでに紹介をしている話題だが、改めて。50か国語に対応しており日本語も含まれる。応答速度が速いのは謳い文句どおりだが、さらに凄いのは動画にもあるように、注文された文章を生成中に、ユーザーが割り込んで指示を与えると、即座に対応する。あとは音声の自然さが高まっていけば……。

Microsoft starts paying publishers for content surfaced by Copilot | TechCrunch
米Microsoftは、同社が展開中のAI機能のCopilotの各種アップデートを発表。注目される新機能が「Copilot Daily」。提携した大手メディアからの天気や時事問題記事の要約を音声で提供する。Dailyに用いられるコンテンツに対して、報酬を支払うという。
“広告への苦情”の50年史 Webサイトで26万件をまとめて紹介 ネット広告に「見たくない」の声も
「日本広告審査機構(JARO)は10月1日、設立から50年の間に寄せられた広告への苦情をまとめたWebサイト『苦情の50年史』を公開した。累計約26万件の消費者の声を分析し、時代ごとの件数の推移や内容、広告媒体などの変化について紹介している」。

——素晴らしい取り組み。「50年間の(苦情・問合せ)件数推移」のチャートを見ると、現在がそのピークであることが如実。興味深い。

Politico’s wonky Pro service to roll out new AI tool | Semafor
米政治専門メディアPoliticoは、テック企業Capitol AIと提携。政策、州・連邦立法、議会委員会の公聴会を詳細にカバーするPoliticoのプレミアム購読版Politico Proの購読者用ツールを開発すると発表。メディアが自らの読者専用サービスのためにAI技術を導入するケースとなる。