Disruption This Week—–21/6/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年6月16日から2025年6月19日まで。

Google's AI Mode can now have back-and-forth voice conversations | TechCrunch
米Google、AIモード検索に音声会話機能を追加と発表。Googleアプリを開き、新しく「Live」アイコンをタップし音声で質問をすれば、機能にアクセスできるようになる。 そうすると、AI生成による音声応答が作動。さらに会話で質問を続けることができるという。

国内初の「AI推進法」の狙いとは。米、EUの状況は。弁護士に聞く

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

国内初の「AI推進法」の狙いとは。米、EUの状況は。弁護士に聞く
「AI推進法では、事業者や個人について罰則はないものの、AI関連技術の積極活用、理解深化などのほか、国や地方公共団体の施策に協力することが努力義務とされています」。

——日本では、大きく「努力義務」「責務」が定義される一方、罰則は現時点で定義されていないということか。開発者フリーハンドに向けて舵を切ろうとしている米、配慮義務を定めた欧との、良くも悪くも中間。問題は中国など権威主義国のアプローチだろう。米国はそれを意識しているはずだ。

AIが働き方変える、アマゾンCEO予想-今後数年で人員縮小へ
「ジャシー氏(アンディ・ジャシーCEO)は従業員に宛てた電子メールで、生成AIやAI搭載ソフトウエアエージェントが『われわれの働き方を変えるはずだ』と指摘。新技術であるAIが職場にもたらす変化に関する自らの考えを明かした」。

——すでにそこここで話題になっている発言(文面)。Amazonに限らずいよいよAIに軸足を移そうとする大手プラットフォームのトップが、人員削減トレンドを公言しつつある。これまでポリコレを意識して避けてきた話題か。

Webサイト表示で我慢できる時間は「10秒以下」が71.3%【MMD研究所調査’】
「スマートフォンのWebサイトの読み込みが遅いと感じたことがあると回答した3,219人を対象に、表示されるまで我慢できる時間を聞いたところ、我慢できる時間で最も多かった回答は『4秒~5秒程度』で27.3%となった。10秒以下(1秒以内程度、6秒~10秒程度の合算割合)と回答した人は71.3%だった」。

——かつては「8秒ルール」(ECサイトでの離脱を計測したという)などというコトバが広がったが、その時代から、消費者の忍耐力はやや後退しているということか。対処にはアプリへの誘導などがあり得るが、これはこれで体力が求められる。広告などの表示負荷を落とす努力が必要だろう。

Overview and key findings of the 2025 Digital News Report

Reuters Institute for the Study of Journalism

Overview and key findings of the 2025 Digital News Report
英Reuters Institute(ロイター・ジャーナリズム研究所)、例年行っている世界のニュース消費に関する大規模調査「Digital News Report」2025年版を発表。AIチャットボットによるニュース接触が初めて調査。また、拡大が続くニュース忌避現象も継続調査が行われた。
TVer、広告売上2.2倍に コネクテッドテレビが後押し - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「コネクテッドテレビ(CTV)の浸透も大きな追い風となった。TVerの動画再生数におけるCTVの割合は、24年12月末時点では36%を記録。25年1〜3月は38%と、伸び続けているという。
CTV広告は、テレビデバイスで視聴することから、家族など複数人が同時に視聴する『共視聴』が見込まれるため、近年、広告主から注目を集めている」。

——TVerがいよいよ広告メディアとしての存在感を強めている。映像ストリーミング各社が、まずサブスクで成長、その後、広告付き無料(あるいは廉価)で伸び代を探っているのと同期する要素もある。もちろん、TVerは放送局の番組ありきで違いはあるにせよだ。上記したように、これを居間で家族と観ているとすると、いったい、TVと何が異なるのか。これからはチューナーレスが、家族団らんの中央に座ることになるのかもしれない。

日本の出版社は「21世紀の産業とは思えない」ほど後れを取っている…デジタルを使って紙を売る「欧米の超大手出版社」の取り組み @gendai_biz
「ここでは超大手出版社Big5――Penguin Random House(PRH)、HarperCollins(ハーパーコリンズ)、Simon & Schuster(S&S)、アシェット Book Group(アシェット)、Macmillan Publishers(マクミラン)がマーケティングファネルのフェーズ(認知から関心、検討、購入、継続・拡散まで)ごとにどんな施策を行っているのかを整理してみよう」。

——認知 → 興味 → 関心&検討 → 購入、継続・拡散 というマーケティングファネルのフェーズごと、さらに各フェーズを通貫した施策についての事例などを紹介する勉強になる論。

Washington Post in talks with Substack about using its writers
米Washington Postが常連筆者やセレブらによる投稿プラットフォームを計画中であることは、すでに紹介した。本記事は、そのプラットフォーム構築のため、WaPoがニューズレター配信基盤のSubstack社に協業の打診をしたことを伝えるもの。
Reach launches series of Substack-based newsletters in bid to broaden audience
Mirror、Express、Daily Record、Daily Starなど著名メディアを傘下に擁する英メディア・コングロマリットReach PLC。同社はこれまでも各タイトルごとにニューズレター(一部有料)を刊行中だが、無料のSubstackニューズレターシリーズを新たに加え、“メルマガ”戦略を強化する。
グーグルAIツール、ニュースサイトに新たな脅威
【有料購読者向け記事】:
「デジタル市場調査会社シミラーウェブによると、オーガニック検索(広告を除いた検索結果)からハフポストのウェブサイト(デスクトップ用とモバイル用)への流入はこの3年間で半減した。ワシントン・ポスト紙も同程度減少した」。

——記事は、Google検索における「AI Overviews(AI概要)」や、新たに始まった「AI Mode(AIモード)」の影響を示唆しているが、「3年間」という時系列とピッタリ符合するわけではない。ただし、検索トレンドがゼロクリックに向かっていることは、Apple幹部がSafari上の検索行為が減少しているとの発言でも裏づけられる。

Disruption This Week—–6/6/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年6月2日から2025年6月6日まで。

X tests highlighting posts that are liked by users with opposing views | TechCrunch
X 、通常は同意することのない人によって「いいね!」された投稿を認識できようにする実験を開始することを発表。Xは異なる視点を持つ人々によって「いいね!」された投稿を識別できるオープンソースアルゴリズムの開発に役立つとする。
Google 'handling stolen goods' with Youtube theft of paywalled news articles
「Google(YouTube)は盗品を、それと知りながら平然と売買している」と英ジャーナリストRob McGibbon氏が告発。氏によれば、氏ら執筆した有料記事の写真やテキストをAIが動画ニュースに仕立て直して人気を得るという手法が増え続けているという。

若年層の3割が生成AI検索を行う AIに推奨されるブランド設計が重要に

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

若年層の3割が生成AI検索を行う AIに推奨されるブランド設計が重要に
「『生成AIで商品・サービス・企業を検索したことがある』と回答した人(全体の約2割)でみると、そのうちの約7割(『よくある』13.5%、『ときどきある』31.2%、『まれにある』32.6%)が生成AIだけで商品・サービス・企業の比較・検討を完結した経験があると答えた」。

——「GoogleやYahooのWeb検索に加え、生成AIによる公式サイトやSNS、口コミサイトなど複数チャネルをまとめて比較・検討する“多層的な探索行動”が若年層を中心に拡大している」というのが、紹介されている調査の骨子になる。個人的には、若者が「生成AI」をどのようにして認知しているのか、知りたいところだ。それはともかく、ジェネレーティブAI経由での製品、サービスの認知、あるいは購買が進むのはほぼ間違いない。その浸透を示す一例と理解する。

The Washington Post Plans an Influx of Outside Opinion Writers
【有料購読者向け記事】:
米Washington Post、近く外部(メディア)ライターやインフルエンサーらの投稿プラットフォーム開設プロジェクトを進めている。「Ripple(さざ波)」と呼ぶもので、著名人に開放するが、慣れない筆者には「Ember」と呼ぶAIコーチがリードするという。
HaffPostをはじめとして十数年前に大流行りしたアプローチで拡散力や閲覧数の規模化をめざすというわけか。

メディア接触時間、スマホは過去最高に―博報堂・メディア定点調査2025

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

メディア接触時間、スマホは過去最高に―博報堂・メディア定点調査2025
「メディア総接触時間は440.0分(1日あたり週平均)。『携帯電話/スマートフォン』は昨年からさらに3.4分増加し、過去最高の165.1分となった。
近年、減少傾向が続いていた『テレビ』(122.1分/昨年差0.4分)『雑誌」(9.2分/同0.3分)は下げ止まり、『ラジオ』(24.0分/同+1.0分)『新聞』(10.7分/同+1.5分)はプラスに転じた。
メディア接触時間は『携帯電話スマートフォン』の牽引により、引き続きコロナ前よりも高い水準で推移している」。

——基本線は上記の引用通りだが、今回(も)注目したいのは「TVer」の伸長。有料サブスク系に比して、「『TVer』はさらに利用者を増やし約6割まで増加(59.7%/昨年差5.9ポイント増)し、2020年から利用率は約3倍に拡大している(20年19.8%→25年59.7%)」と特記されている。この時期、無料が受け入れられる要素か。

Why Business Insider is axing 100-plus staff and who is leaving
「コンテンツが永久に再利用され、ますます歪んで認識できなくなるものでない限り、AIがジャーナリストに取って代わることはない。そんな世界では、独創的なアイデアは存在せず、権力者が責任を問われることもない。私たちは皆、それよりも良いものを手に入れる価値がある」。

——大幅な人員削減とAI活用に舵をきった米Business Build Insider。その進路に同社労組の代表らが声明を発表。

検索減をディスカバーが補完する? 今、 Google とパブリッシャーの関係性は | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「・2025年3月のGoogleコアアップデート後も、検索トラフィックに大きな変動はみられず、ディスカバー経由の流入が増えている。
・Redditの検索上位表示やAI Overviewsの導入で、一部パブリッシャーは検索順位やCTRの低下に直面している。
・GoogleはAI検索と検索収益の両立を図りつつ、ディスカバー拡充でパブリッシャーとの関係維持を模索している」。

——検索流入量が減退していることは、多くのメディア運営者が意識している。それが全面的にAI Overviewsとのトレードオフによるものかどうかは確かめられていない。ただし、それをまるで補うかのように、Google Discoverからの流入が堅調というのが、現下の実情。今後この状態がどう変化するかに固唾を飲んでいる事業者が多いのだろう。

Why AI Search Advertising Could Reach $25 Billion By 2029
米調査会社EMARKETER、米国の広告主が2029年までに250億ドル以上(今年は10億4,000万ドル)をAI活用の検索結果に予算を注ぎ込むと予測。ひとつの可能性はEC市場の急拡大だ。Perplexityは、ShopifyのすべてのSKUのタイトル、価格、在庫をリアルタイムで読み取ることができる。
Facebook and Instagram owner Meta to enable AI ad creation by end of next year
Facebook、Instagram、そしてWhatsAppを運用する米Meta、来年末までに広告主がAIツールを使って広告キャンペーンを完全に作成し、ターゲットを絞るのを支援する予定。AIツールは、画像、動画、テキストを含む広告全体を作成し、クライアントの予算に沿ったユーザーへのターゲティングも行うという。
新興技術系スタートアップへの投資を生業とする米BOND、Mary Meekerら4人のパートナーによる「Trends – Artificial Intelligence (AI)」が公開された。
300ページを優に越す膨大なチャート、資料集だ。かつて2010年前後に、“モバイル革命”の到来を示唆したMeeker氏らの「Internet Trends」の続編とも呼ぶべき新たな取り組み。

Disruption This Week—–30/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月26日から2025年5月30日まで。

CDが強い日本、配信どう伸ばす Spotifyが着目する「推し」:朝日新聞
「興味深い動きは、日本のアーティストが日本語で歌った曲が受け入れられ始めている点です。2024年に日本のアーティストがスポティファイで生み出したロイヤルティーの約75%が日本語の楽曲によるものでした」。

——スポティファイのグローバル役員(ビジネス・サブスクリプション事業統括)のグスタフ・イェレンハイマー氏へのインタビューから。個人的に関心を喚起させられたのは、日本語楽曲の世界への広がりには、「世界的にストリーミングの利用者が増える中で、新しい楽曲との出会いが容易になったこと」だとしていること。
楽曲ごとに決済する仕組みでは、それはできなかったことだ。

ニューヨーク・タイムズ、アマゾンにコンテンツ提供へ-AI向け
「NYT(ニューヨーク・タイムズ)の29日発表によると、複数年にわたる提携により『NYTの編集コンテンツがアマゾンのさまざまな顧客体験に届けられることになる』と説明。契約には編集コンテンツのほか、NYTクッキングのレシピやスポーツに特化した『ジ・アスレチック』が含まれる」。

——特にレシピやスポーツ関連コンテンツが、AmazonのECなどとの相性が良いということか。NYTimesの価値の中核であるジャーナリズム系コンテンツを除外することで、将来への含みを持たせているのだろうか。

YouTube Dominates CTV With 28% Share Of Streaming Minutes
米MoffettNathanson ResearchおよびNielsenの調査では、YouTubeは、2025年4月現在、米国内のCTVストリーミング視聴時間の24%を占める。YouTube TV(日本国内では非提供)視聴分を加えると、28%となり、Netflixのシェア15%を大きく上回る。
ほんの4年前までは、Netflixが全ストリーミング視聴時間の26%を占め、誰もが認めるトップだったのが、構図が激変した。
Read the memos The Washington Post sent staff offering voluntary buyouts as the Jeff Bezos-owned paper restructures
米Washington Postが社員に向けて希望退職プログラムを告知。幹部から社員に向けたメールを紹介する記事。同紙はより一層YouTubeなどへの傾斜を強め、動画部門の再編を意図。ジャーナリズム内部で“リスキリング”が求められているのがわかる。
米大統領夫人が「AIは出版業界の未来」 それはすでに起きている
「メラニア氏はX(旧ツイッター)への投稿で、人工知能(AI)を使い自身の声で読み上げた回顧録を届けられることを光栄に思うと述べ、『出版の未来を始めよう』とつづった」。

——自身の声をサンプリングして、自身の回顧録を機械的に読み上げさせたオーディオブックの誕生。もちろん、これが初めての作品ではない。まさに出版業界は激変に向かっている。詳しくは記事を読んで欲しいが、後段でこんなくだりがある。
「この章についてメラニア・トランプ氏と実際に話すことができたらどうだろう。それは近いうちにやってくる」。

SynthID Detector — a new portal to help identify AI-generated content
Googleは、2年前からAI生成による動画像データにデータ透かしを加えて、その真正性を追跡確認できる「SynthID」を発表。今回のGoogle I/Oでは、SynthID利用データを網羅したポータル「SynthID Detector」を発表。SynthID利用の有無や該当部分を特定できるようにした。
グーグルのAIノート「NotebookLM」で長いYouTube動画を要約・分析する方法 | Business Insider Japan
「例えば『ソースで語られている内容をまとめて』と質問すると、動画内で語られているポイントをテキストで表示してくれる。これで動画を全編チェックしなくても、おおよそ何を伝えているのかが把握できる。
全体で語られていることを確認したい場合は、『ソースを文字起こしして』と質問すればいい」。

——GoogleのNotebookLMについてはいろいろと紹介してきた。資料を読み込ませて、それを要約したり、音声解説やマインドマップなどに変換するなど、使い処が満載(近く、要約動画生成機能もリリースされるはず)。この記事では、YouTube動画のポイントや文字起こしなどを指示できるという機能が紹介されている。手順など詳しい。

Amedia offers free digital access to teenagers | Tomorrow's Publisher
ノルウェー拠点で数多くのメディアを擁する財団Amedia、9月の議会選挙を前に、若い読者の民主主義への参加を促し、ジャーナリズムへの信頼を回復させるため、15歳から20歳を対象に100紙以上の地方紙への無料デジタルアクセスを提供すると発表。
ChatGPT referral traffic to publishers’ sites has nearly doubled this year
SimilarWebと米Digidayが実施した調査によると、OpenAIのChatGPTが外部サイトへのリフェラルトラフィックのうち、ニュースやメディアサイトへの送客は、この4月には83%となり、1月の64%から増加したことがわかった。急増したのは英BBC、米Fox News、そして英Independentがあるという。
ダイナミックプライシングとは?仕組みや導入のポイント、事例を紹介
「ダイナミックプライシングを用いた価格の設定は以下の順で進めます。
1. データの収集
2. 需要の予測
3. 価格の決定
それぞれの工程で、どのような作業を行うのか紹介します」。

——ユーザーへのオファリングで、重要なアプローチが「ダイナミックプライシング」。AIの普及で、まさにダイナミックに収益最大化(あるいは収益の平準化)が行いやすくなっている。記事はその基本概念から手法、そして事例まで行き届いた好解説。

Disruption This Week—–24/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月19日から2025年5月23日まで。

What Influences SEO Traffic Growth In The Age Of AI
AI時代、SEOがサイトへのトラフィックを左右する要素とは? メディア運営者が学んでおきたい要素が整理されている。いくつかのポイントが挙げられているので、1つ紹介すると、「AIが生成したコンテンツは避ける」だそうだ。人間による修正が重要だとしている。
What if Making Cartoons Becomes 90% Cheaper?
【有料購読者向け記事】:
「エンターテインメント・ビジネスにおいて、アニメーションほどAIから失うもの、そして得るものが大きい分野はない」ーー。
チャンネル登録が300万人を超える米人気アニメ「StEvEn & Parker」を制作するToonstar社は、1分のシーンでリップシンクに、数年前には4時間かけていたが、現在では15分にまで圧縮。「標準より80%早く、90%安くフルエピソードを作ることができる」とする。
記事は、多くのアニメ作品を手掛ける大手スタジオは、かつてのToonstar社と同様の人手による作業を、今も続けているとする。

The Agentic Web and Original Sin

Stratechery by Ben Thompson

The Agentic Web and Original Sin
Web上の広告モデルの限界が顕在化する中、米MicrosoftはBuild 2025で「Open Agentic Web」なるコンセプトを発表。AIエージェントがユーザーの代理で情報取得や意思決定を行う新時代を提唱。今後は仮想通貨などによるマイクロ決済導入が、持続可能なWeb経済の鍵とまで主張。
オープンAI、元アップル幹部アイブ氏の企業を65億ドルで買収へ
「オープンAIは、アップルの元幹部ジョナサン・アイブ氏が共同設立した人工知能(AI)デバイス開発のスタートアップ『io』を約65億ドル(約9300億円)で買収する。伝説的デザイナーを迎え入れてハードウエア領域への本格進出を図る」。

ーーそろそろプロトタイプぐらい登場するのかと思っていたら、まずはアイブ氏の個人会社ioを買収するという段階。スマートフォンに代わる(?)AIデバイス開発への道のりは長そうだ。

Google is bringing ads to AI Mode | TechCrunch
Googleの「AIモード」は、ユーザーがGoogle検索で質問するとAIが回答、関連サイトへのリンク表示や追加質問ができる機能だ。ポイントは、(質問への)回答の中や下に広告を表示することで、Googleが収益を得ようとしていること。これまで以上に広告で稼げるようになるのか否かだ。
Almost half of young people would prefer a world without internet, UK study finds
英・全国児童虐待防止協会(NSPCC)調査によると、16〜21歳の70%近くが、SNSで時間を消費した後に、自分自身を嫌悪していると明らかにした。42%は、オンラインでの行動について両親に嘘をついており、46%は、インターネットがまったくない世界のほうがいいと答えたという。
調査は、政府が検討している「デジタル夜間外出禁止令」(TikTokやInstagramの利用時間制限)を青少年の半数が支持しているという結果を示すが、政府寄りの発表でもあり注意してみるべきかもしれない。
Microsoft Build 2025基調講演まとめ テーマは「AIエージェント時代」
「NLWebは、『エージェント指向WebにおけるHTMLと同様の役割を果たす可能性を秘めたプロジェクト』。WebサイトやAPIを簡単にエージェント対応アプリにする方法を提供する。開発者はLLMの能力を活用して既存のサービスや製品を強化できる」。

ーーAIが関与する開発を支えるプラットフォーム化志向へと大きくウイングを広げたMicrosoft。Build2025では、先の投稿での紹介以外にも数々の発表があったが、なかでも最大の話題は「NLWeb」だろう。これによりWebコンテンツやWebサービスに簡単にAI機能を統合できるようになる。これからはどんなWebページでもおしゃべりしたり、複雑な問いかけに対して答えを返すことになりそう。問題はその際のMicrosoftのビジネスモデルなのだが。

Trump to Sign Bill Banning Deepfakes, Nonconsensual Images: What to Know
米Trump大統領、「Take It Down Act」法案に署名、成立の見込み。同意なく投稿された性的画像やAI生成のディープフェイク画像の拡散を犯罪とする。被害者の申請から48時間以内にSNSやWebサイトが該当画像を削除することを義務付ける。違反者には刑事罰や賠償が科され、特に未成年被害の場合はさらに厳罰となる。
法案は、Melania大統領夫人が強く推進し、超党派で可決される動きとなったことで知られる。
The new wave of Russian disinformation blogs
英「UK Defence Journal」は、最近、Substackなどニューズレター、個人ブログで、英国や欧州のライターによる親ロシア的な偽情報ブログが急増していると指摘。NATO非難やウクライナ政府の過激化、EU批判といった論調が共通し、AIによる生成で大量投稿されていると分析する。
Meta Battles an ‘Epidemic of Scams’ as Criminals Flood Instagram and Facebook
【有料購読者向け記事】:
米Wall Street Journal、Facebook、Instagramを運営する米Metaのサービス上で、大量の偽広告・偽販売などの犯罪が急増、「詐欺のパンデミック」が生じていると大きく報道。JP Morganなど金融機関が報告する詐欺の半数がMeta上だと指摘する。
2022年のMetaの社内分析では、新規広告主の7割が詐欺や低品質商品を宣伝していたと判明。詐欺の多くは東南アジアなど海外犯罪組織が関与し、暗号資産やAI技術の普及も背景にあるという。
だが、Metaは広告収益を重視し、詐欺対策の優先度を下げてきたため、詐欺アカウントへの対応が遅れ、被害が拡大した。Marketplaceも詐欺の温床となっていると記事は指摘する。

Disruption This Week—–16/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月12日から2025年5月16日まで。

A New Report Takes On the Future of News and Search
ニュースの“発見”とニュース媒体への“送客(トラフィック)”を支えてきた検索に異変が生じようとしている。原因のひとつはAIだ。米国のジャーナリズム研究機関Tow Center for Digital Journalismが、起きている地殻変動を独自の調査で追い、結果を公表した。
TelevisaUnivision Bets on Microdramas and Music in Upfront Push
スペイン語圏最大手メディアのTelevisaUnivisionは、広告主向け発表会で、若年層やモバイル世代を意識した新戦略を発表。注目は、1話約1分の縦型“マイクロドラマ”約40本をストリーミングサービスの「ViX」で配信する。マイクロドラマはアジアを中心に急速成長中トレンドだ。

How We’re Using AI

Columbia Journalism Review

How We’re Using AI
米国の著名メディア関係者、ジャーナリスト、そして研究者は、AIをどう使い、どう使うべきかを語った面白いオピニオン集。
業務効率化や調査、翻訳、データ分析など幅広く活用されており、例えばインタビューの自動書き起こしや衛星画像解析、膨大なデータからのトレンド抽出などで成果を上げていると述べられる一方で、執筆や表現、読者との信頼関係の維持には人間の判断や倫理観が不可欠とされ、AIの利用には慎重な意見も多い。
また、AI活用に伴う環境負荷や、読者への透明性確保も重要視する意見もある。
過去のニセ情報、約半数が「正しい」と誤認 4人に1人が拡散経験 総務省調査
「拡散された偽・誤情報は、ジャンル別に見ると『医療・健康』(62.6%)が最も多く、『経済』(48.8%)、『災害』(39.3%)が続いた。調査対象者にSNS・ネット情報を『正しい』と判断する基準を尋ねたところ、『公的機関が発信元・情報源である』が41.1%と最多に」。

——これだけで考え込まされる要素が満載だが、さらに興味深い傾向が指摘されている。それは「10代では『公的機関』や『専門家』」を判断基準として重視する傾向が強いのに比し、「60代以上では『自分の意見や信念と一致している』と答えた人も約2割」というくだり。いずれかが決定に正しいということはないが、それにしても「頑迷」というコトバが思い返される。

Google AI Overviews leads to dramatic reduction in clickthroughs for Mail Online
Google検索でAIによる要約「AI Overviews」が表示されると、英人気サイトMail Onlineの検索結果の場合、クリック率(CTR)はデスクトップで56.1%、モバイルで48.2%も低下し、サイト流入が大幅に減少したという。たとえAI Overviews内でトップリンクに表示されても、CTRは大きく下がる。特に一般キーワードで顕著だと、同社SEO担当責任者が述べた。
How Google forced publishers to accept AI scraping as price of appearing in search
米司法省の反トラスト裁判で明らかになった資料によると、GoogleはAIによる要約機能(AI Overviews)に媒体社のコンテンツを使うことについて、当初は使用を拒否できる選択肢(オプトアウト)を検討していたが、収益性を理由に却下した。
現状では、媒体社がオプトアウトするにはGoogle検索そのものからの除外が必要であり、事実上「可視性を失うか、無償でAIに使われるか」の選択を強いられることになる。
これにより、報道機関のトラフィックと著作権ビジネスの両方に悪影響を及ぼす恐れがある。Googleは限定的な制限手段を提供しているが、その内容は曖昧で周知も控えているとする記事。
How creators are using generative AI in podcasts, videos and newsletters — and what advertisers think about it
クリエイターがポッドキャスト、動画、ニューズレターでどうジェネレーティブAIを利用しているか。そして広告主はそれについてどう考えているか——。3月にKontent.AIがクリエイターらを対象に行った調査では、74%が週単位でAIツールを使用、39%が毎日使用していることが判明した。
Why More Young People Are Getting Their News From Influencers
米国の若者はSNSを通じてニュースを得る傾向が強まり、中でも親しみやすい語り口の「ニュースインフルエンサー」が人気を集めている。
信頼感や共感性のある発信が好まれ、従来の報道機関もこうした「タレント主導型ジャーナリズム」への対応を急ぐ。
一方で、多くのインフルエンサーは報道経験がなく、誤情報拡散のリスクがあるほか、SNS上で可視化されることによる記者の精神的負担や格差拡大の懸念もある。
読者との接点強化や多様性の促進といった利点もあるが、SNSという不安定な土壌で行う報道には限界もあるが、正しく運用されれば、ジャーナリズムの強化にもつながる可能性があるとする記事。
The Atlantic editor Jeffrey Goldberg: 'The market understands what a quality story is'
米Atlantic編集長Jeffrey Goldberg氏は、同誌のオーナーであるLaurene Powell Jobs氏について、「編集方針に一度も干渉したことがない」と高く評価。政治的圧力にも屈せず、メディアの役割を理解し、「嵐の中で立ち止まる(価値観を守る)行動をしただけ」と語ったという。
この姿勢は、Washington PostやLos Angeles Timesなど他紙で経営者の介入が問題となっている中、対照的な存在として読者や編集部から信頼を集める結果となった。
Goldberg氏は、Jobs氏の「何もしないこと」がむしろ称賛されている現状を紹介したわけで、経営者の報道への不介入が優れたジャーナリズムの土台なのだと強調した。
Der Spiegel daily quiz attracts 900,000 monthly users | Tomorrow's Publisher
ドイツの週刊誌「Der Spiegel」オンライン版、毎朝配信するニューズレターでニュースクイズを提供(無料)。このオンライン版クイズのMAUが90万人にのぼると、同プロダクトマネージャーが述べた。同メディアは、このクイズと読者コメント欄で購読化戦略を強化中。

ファクトチェックアワード2025

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

ファクトチェックアワード2025
【ご紹介】:
今年も「ファクトチェックアワード2025」を開催します。現在、候補作品を募集しています。偽誤情報の危険性が叫ばれています。的確なファクトチェックが行われるためにも、ぜひ自薦他薦いずれでも参画を。今月末が締め切りです!