Disruption This Week—–3/7/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年6月29日から2020年7月3日まで。

 

 

「Appleが2020年のWWDCで発表したユーザープライバシーに関する変更は、多くの業界関係者を驚かせるものでした。そして、これらの変更点が我々が知るモバイル業界に終わりをもたらしたという声が多数挙がっています」。

——モバイルアプリにおける各種計測や分析技術を提供するAdjustによるiOS14でのユーザセキュリティ機能についての見解。専門外の人々にとっては分かりづらいと思うが、要は、ユーザにきちんと(メリットなどを)説明・透明化した上で、計測を行っていく道は残されているという論旨。

 

 

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「プラットフォームとして利用できるサービスの情報を集めたところ、通常講演とトレーニング講座の両方をカバーできるものが見当たらなかった。そこで通常講演の配信プラットフォームとして大手である米ON24(オン24)、トレーニング講座は米ニューロウのサービスを選択した」。——NVIDIA社のGPU関連の大規模イベント「GTC」のオンライン化に関して。ON24は日本ではアイティメディアが提携している。

 

 

「Patreonは、2006年から13年にかけてミュージシャンとしてYouTubeでキャリアを築こうとした、コンテ自身の経験から生まれた。この期間、ポンプラムースはしばらくの間経済的に成功したが、その後、収益の急速な減少や、広告収入の分配の少なさに苦しんだ。だが、収入が減っていくのを見たコンテは、インターネットの世界のクリエイターたちと熱心なファンたちとの間にある、一見親密な奇妙な関係に、高い利益が得られそうな市場を見出した」。

——まだ序論の段階だが、楽しみな連載が始まった。

 

 

パンデミック下、一部のメディアがメルマガの強化で増収を実現との話題。マーケティングソリューションのLiveIntentが公表したデータでは、「ショッピング、ホーム&ガーデン、スタイル、ファッション、ビジネスのカテゴリ内の出版社のメルマガが、開封数で最も増加。最初の3つのカテゴリーで20%以上の開封率が増加、収入で15%以上の増加」とする。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「アトランティック・メディア(Atlantic Media)が米国でほとんど知られていない日本企業にQuartzを売却したと知り、従業員は動揺していた。同時に、従業員は疑問に思っていた。梅田氏はQuartzの買収によって何を成し遂げたいのだろうと」。——先日紹介した記事の和訳が掲載された。

 

 

米Wall Street Journalが立て続けにデジタル改革(組織再編)を打ち出している。先日は「Audience Touchpoints(読者との接点)」担当チームを紹介したが、今度は「Content Experiences(コンテンツ体験)」チームの拡充だ。いずれもテクノロジー面のヒトと仕組みの強化をめざす。

 

 

トーハンの決算:「営業利益は19億7600万円、同53.8%減、経常損失は4億7200万円、当期純損失は55億9200万円。
経常損失の概況は『取次事業』が19億7200万円の損失、『不動産事業』が13億5200万円の利益、フィットネス事業などの『新規事業』が1億2000万円の損失」。——日販の決算は(パンデミックの影響で)延期だそうだ。それにしても土地だけが希望の星というのは……。しかも、ポスト・パンデミックであおりを受けるのは、出版流通だけではなく、不動産もだろう。

 

 

総収入の半分をライブイベントに頼ってきたテック系メディアの米VentureBeat。中でも、120名のスピーカーが80のセッションに登壇する、4月開催の同社最大のイベントGameBeatが急遽全面オンラインに。だが、総収入は例年を上回ったという。責任者へインタビューした記事。
そもそも、このイベントのビジネスモデルは、スポンサード。いろいろヒントがありそう。

 

 

米New York Times、Apple Newsから撤退。2015年のサービス開始依頼、NYTはApple Newsのパートナーとしてコンテンツを提供。記事下部のリンクから購読者候補をドメインに誘導する手法を採ってきた。News+が購読モデルを採ったことで、両者は微妙な競合関係に入っていた。(しかし、自社のビジネス動向について、よくもこれほど長々と報道できるものだなあ)

 

 

iOSのAPIに起因、クリップボードに取得された文字列を、同じiPhone上のアプリに止まらず、MacやiPadなどからも読み取れる脆弱性がある。これを利用してユーザの活動をスパイし続けているアプリの代表格がTikTokだ。同社は3月にこれを指摘され、その停止を表明したが、依然この行為を止めていない。

Disruption This Week—–26/7/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年7月23日から2019年7月26日まで。

米オハイオ州の超ローカルメディア「Cleveland.com」がテキストメッセージの配信サービス(だけ)で月額4ドルを得ようという試み。5月にも紹介したが、新聞印刷版は週3回の配信だが、テキストでは、道路閉鎖やレストラン移転情報などタイムリーなニュースを配信する。
「PDFファイルを読み込むと、目次や大見出し、小見出しなどのマークを付け、構造化されたマークダウン形式のテキストを出力。画像や表、グラフなどの図版は、キャプション文字を組み込んだ画像ファイルが生成される。ルビや窓見出し、ページ単位の縦組み・横組み混在なども正しく抽出できるという」。

——大変素晴らしい。大手メディアといえども、組み版データを手元に置いて自由に利活用できる状態にない。PDFだけでも、手元にあればその可能性は広がる。

「AppleやFirefoxのブラウザはアンチトラッキングを導入しており、Googleも小規模ながら同機能を導入している。こうしたアンチトラッキングによる不利益を解消しうる新たなターゲティング手法をプレミアムパブリッシャーが開発すれば、エージェンシーが喜ぶのも当然といえるだろう」。

——記事中にもあるように、GDPRやCCPA文化の浸透は、大手プラットフォーマだけでなく、メディア(パブリッシャー)自身のターゲティングによる収益機会にもリスクになろうとしている。サードパーティデータ利用ができない環境下での、読者ニーズへの対応が大きな命題に。

米国の著名なオンライン政治・ライフスタイルメディア「Slate」、ほぼ日刊で人生相談コラムを掲載。これが継続的に読者の来訪を促す原動力に。同メディアの戦略担当幹部は、購読制と連動する各種人生相談コラムは、読者獲得にとっては夢のツールと表現する。
広告からの収益をビジネスの原動力にしてきた、全米をネットワークするローカルニュースサイトの集合体「Patch」、すでに黒字化していると紹介したが、現在は、地域ごとのイベントカレンダー「登録」を有料化して、地域ビジネスからの直接収入モデルへと転換を加速中。
これから起きる偽情報被害は、“ブランドの破壊”。ロシア政府機関と見なされるIRA(Internet Research Agency)の工作や手法は、企業ブランド事例に及ぶ。2015年のWalmartや食品メーカー、2013年ハイテク企業、そして2016年のAP通信らが餌食となったケースなどが紹介される。
100万人以上の定期購読者を有する無料の日刊の無料ビジネス・メルマガ「The Morning Brew」。共同創業者COOが語る戦略と哲学。同メディアは、徹底して友人からの紹介を推進。購読者の1/4は紹介経由。コミュニティ感と会話性がキモだという。Facebookグループの利用法も注目。
オランダのある放送局では、全記者に、TVやラジオ向けに先行し、まずモバイルで取材できるようトレーニングを課す。大型のカメラやPCをはじめ携行するバッグなどを減らし、フットワークを高める。
記事は、モバイル取材のプロが、実践のための機材やソフト群なども紹介する。
「このテストによって、投稿にどれだけの『いいね!』が付くかというプレッシャーを取り除き、ユーザーが好きなものを共有することにフォーカスできるようにしたい」。

——この記事は、おおむねウェルビーイングの観点から書かれているようだが、ビジネス上の観点も動き出しているのだろう。ユーザーの活動の安定的な成長への条件下は、どのような環境で担保されるのか。模索でもある。

世界で起きるメディア環境の変化を4つの視点で読み解く(前編) | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議

AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム

「パーソナライゼーションというキーワードを強く意識しつつ、まずはこの4つの切り口に沿って分析を始めたい。
その切り口とは、
1  コンテンツ
2 顧客体験
3 ディストリビューション
4 マネタイズ」。

——現代のメディアで起きている最も大きな変革は「パーソナライゼーション」であり、それを4つの切り口で概観していこうという論。その「リスク」にも触れるという。

Disruption This Week—–5/4/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年4月1日から2019年4月5日まで。


 

「著作権法改正前の段階で、元著作物の利用方法として明文上認められていたのは『Web検索サービスにおける対象サイトのスニペット・サムネイルの提供』だけでしたが、今般の改正により『軽微利用』に該当すれば元著作物の利用が認められることになりました」。

--もちろん、「軽微利用」の限定があるものの、各種の革新的な検索サービスの法的な整合性が認められている。次は、軽微利用の境界線議論だろう。


 

サービスイン1週間、「Apple News+」は購読に値するか? 英語圏で始まったサービスをレビュー。Apple News Formatと(ほぼ)PDFの2種類のフォーマットが混在するUXを許せるなら、WSJやNew Yorkerの個別購読の足し算よりおだろうとする。個人的に“謎”だった、「マガジンスタンド」型サービスと「ニュースヒフィード」型のそれをどう統合するのか? に答えが見えた。
大手老舗メディアブランドAtlantic Media参加の米「National Journal」、5年かけて広告収入を徹底的に縮減。全面的に読者への課金収入(サブスクリプション)へと転換を進めている。

 

「ボウルズは、こうしたデザインがアプリのなかで“遊び”や“セレンディピティー”を促す役割を果たしている可能性を示唆している。このため、利用目的がはっきりしたアプリよりも楽しく使えるのだ。しかし、このようなアプリデザインは年齢層の高いユーザーを近づけないためのものだという説もある」。

——個人的に関心を持っていて、放置していたテーマをていねいに論じたもの。「ストーリー」フォーマットの誕生背景でもある。これをアプリ設計上のイノベーションだとすると、このような革新の再現が可能なのかどうか。


 

「テキストを自動作成するボット『トビ(Tobi)』は、スイスの大手メディア、タメディア(Tamedia)のために、2018年11月にスイスで行われた選挙結果に関する記事を4万本近く書いた──たった5分で。
…報道機関は、記事の作成から個人の関心に合わせたニュース配信、時にはデータ検索による重要記事の選別まで、トビのようなボットに頼るようになっている」。——AI執筆記事が調査報道にまで及ぶ可能性については、いささか…。データジャーナリズムやビジュアリゼーションの駆使によって新たに見えてくるものもあるだろう。マイニングのように、人間が意図しない“事実”を発見する可能性もあるが、その重要性を発見するのは、人間だろう。


 

「もはや紙に戻れなくなってもまだ定まらない。それはテクノロジーではなく、人間の活動と精神の基盤となるエコシステム(生活)の問題だからだ。ニュース・ビジネスは非常に精密なシステムだったから、エコシステム丸ごとの再構築は不可能に近い。ゼロからつくるほうが容易だ。しかし、既存のメディアは前者を選ぶ」。

——アナログメディアとデジタルメディア。とっくに海峡を越えたと思われた課題だが、その生態系が安定しない。旧くて新しい議論。

New York MagazineやThe Cutといった多彩なクオリティメディアを擁するNew York Mediaで「CPO」(Chief Product Officer)を務める人物へのインタビュー。読者層や性格の異なる各種メディアに対し、共通のペイウォール基盤を構築。“ダイナミックペイウォール”として運用する。その背景などを説明する。

 

「音楽市場の成長を牽引したのは、音楽ストリーミングで、売上高は前年比34%増加し、89億ドル(約9901億円)を達成。
音楽ストリーミングは全体の収益シェアでは46.9%まで拡大しており、2019年には50%を超えることが予想される。
サブスクリプション型音楽ストリーミングの売上は32.9%増加」。——ここ数年、目を見張る復活を見せる音楽市場、その中心はストリーミングであり、サブスクリプションサービス。私たちは、産業の破壊的創造の現場に立ち会っている。


 

Facebook、ユーザーが“なぜ私はこの投稿を目にしているのか”(why am I seeing this post?)タブを管理機能に追加と発表。日本語版ではまだ見あたらないが、アルゴリズムが、そのパーソナライズをどう実施しているかにつき透明性をもたらすことをめざす。

「今回の中国、九州地方での発売の遅れは、その一端が現実化してしまったことを告げている、しかもそれで問題解決とはならないのである。それから最も気になるのは、これがさらなる中国、九州地方での雑誌離れにつながり、dマガジンなどの電子雑誌への移行を促すのではないかということだ」。

——出版物に限らずだが、運輸運送の問題は社会問題化している。と同時に、“物流”で支えられた出版流通の姿は、21世紀に変わらざるを得ない。消費者自身も大胆な変化を前向きに受け入れていくべきではないか。電子流通にインセンティブを設けていくべき。

Disruption This Week—–11/23/2018

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2018年11月19日から23日まで。

Disruption This Week—–10/5/2018

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2018年10月1日から5日まで。