Disruption This Week—–8/10/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年10月5日から2021年10月8日まで。

Twitter invests in avatar startup Facemoji – TechCrunch
Twitter、アバター開発のFacemojiに出資。Facemojiは、各種プラットフォームに連携したアバター開発キットを提供する。数年前のブームを経て、アバターはメタバース、NFTブームの重要なピースになろうとしている。NFTプロジェクトに注力中と報じられるTwitter CEO Jack Dorseyの狙いが見えてきた?
グーグル検索、言葉にならないことまで調べてくれるように
「『Things to know』の裏にあるのはMUM(Multitask Unified Model)なる機械学習モデルで、このモデルはテキストだけじゃなく、絵や音声、動画といったフォーマットからも情報を拾います。MUMは日本語を含む75言語とさまざまなタスクで学習済みで…」。

——“検索がさらに進化”ということだが、いくつものアプローチがあることは、記事で確認を。「Tings to know」は文脈を構成して、ユーザが知りたいことを先回りして検索結果をチューニングするもの。
しかし、これを突き進めていくと、周囲の音や声、地理情報、先ほど読んだメール…といった背景情報も分析すれば、より“あたり”の確度が高められるということにもなるはずだ。
“検索の最も進んだ姿は、ユーザがなにも入力しなくても、知りたいことを表示する”ことだと、以前読んだことがある。

「激白」「震える」「地獄」に頼った “感情刺激競争“がもたらすクリックの罠とニュースの未来
「共感を狙ったニュースが、今のメディア環境の中で流布すると喜怒哀楽を刺激するだけで終わってしまいがち。結果として(読者が)考えることが後回しになっていく」「共感は大切だが、ニュースを共感を集めるためだけに使うのはもったいない」。

——石戸諭氏が最近上梓した書物をめぐるインタビュー。指摘のとおりだと受け止める。報道フォーマットにエモーショナルな要素を持ち込むスタイルは、ネットの普及に端緒があるようにも思うが、それ以前がある気がしている。たとえば、戦前戦中の新聞報道。お涙頂戴の見出しが乱立していた。

How the secrets of the Pandora Papers were freed
巨大なオフショア金融取引情報のリークを端緒にした「パンドラ文書」報道プロジェクト。データは約4TBにものぼり、フォーマットは、文書(PDF)、メモ、リストなど多岐。これをどう捌いたのか。立役者であるICIJのCTOらがその労と技術インフラを解説するという驚きの解説記事。
中国がアルゴリズム利用にメス、規制の最先端に
【有料購読者向け記事】:
「中国国家インターネット情報弁公室(CAC)が先週発表した取り組みは、アルゴリズムの使用を規制する包括的システムを3年以内に確立することを目指している。中国共産党は不正とみなすビジネス慣行の締め付けや、ネット上の言論統制を強化しており、新方針はそうした活動の一環となる。
規制当局が求めるアルゴリズムとは、公正かつ透明で、中国共産党のイデオロギーに忠実なものだ」。

——大きなインパクトを感じさせる動き。反競争的、反国家的な企業活動を取り締まるにあたり、AIを活用したアルゴリズムの中味にまで取り締まりの網がかぶせられる。記事中にあるように、その動きは、世界最先端をいくもの。世界の国家がこの種の欲求を持つ時代でもある。

How news publishers are turning casual, infrequent readers into paying subscribers
INMA(世界ニュースメディア協会)がとりまとめたデジタル購読者の新たな獲得手法分析調査によると、「すでに大きな投資をしている読者のエンゲージメントを最大化するよりも、ライトな読者のエンゲージメントを高めることに集中したほうが良いことは明瞭だ」という。ここで「ライトな読者」とは、もちろん、一見かつ訪問頻度が頻繁でない読者層を指す。多くのメディアが多く抱える読者はこのような層だ。この人々のニーズや行動をよく理解する必要があるのだと述べている。そして、この理解を阻む落とし穴は、メディアの運営者側は、このようなライトユーザの対極である、ヘビーユーザに占められていることだとも指摘。
How dynamic paywalls help publishers connect potential subscribers with the right offer at the right time | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
サイト来訪者の閲覧を許す回数や金額などを、来訪者の諸々の行動データで動的に変化させる“ダイナミックペイウォール”の仕組みと運用についての記事。利用各社がコメントするなど有益なリポート。米WSJでは、来訪者を65ものパラメータ(!)で分析し動的に対応しているという。
Facebook whistleblower urges Congress to move against the company
Facebookの内部告発者Frances Haugen氏の米議会小委員会での証言が行われた。
同氏は「Facebookは変わることができますが、明らかに自力では変わりません」とし、強制力ある監視や介入を求める発言を行った。議員側は、今後は超党派で取り組むことに合意したと表明。もちろん、CEOであるMark Zuckerberg氏の召喚に向かっていくことになる。
フェイスブック内部告発者、その動機と目的は?
【有料購読者向け記事】:
「ホーゲン氏は5月17日午後7時前、自身の動機を説明しようとワークプレース(=Facebookの社内向け掲示板)の検索バーに最後のメッセージを打ち込んだ。
『私はフェイスブックが嫌いなのではない。フェイスブックを愛している。救いたいのだ』」。

——昨日、英文記事で紹介したが、今回のFacebook騒動の本家Wall Street Journalが、膨大な内部文書(数万ページを超えるという)をリークした元従業員フランシス・ホーゲン氏にインタビューした記事。邦訳が出たので改めて紹介しておく。記事は、ホーゲン氏がFacebookで虚偽情報に対抗する機能に取り組み、結果として同社の姿勢に疑問を持ち退職に至る私的拝啓が説得力をもって語ったもの。
同氏は、米国時間の本日、議会小委員会で証言をする予定だ。

世界の権力者たちの脱税と隠し財産を暴いた「パンドラ文書」の衝撃  | 5年前のパナマ文書を超えた
「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手し、米紙『ワシントン・ポスト』や英紙『ガーディアン』などのメディアが分析した。同様の脱税を暴いた『パナマ文書』は5年前に流出して世界を震撼させたが、今回の『パンドラ文書』はよりスケールが大きいもの」。

——パナマ文書、パラダイス文書に続いてのパンドラ文書。日本人の名前も1,000名を超えているとか。単に税逃れだけでは終わらない。資金洗浄を経るなかで世界の政治が動いている要素がある。
ジャーナリズムには、世界的な協業のスキームが必要だ。1分1秒の“発表報道”を追いかけるだけでなく、このような丹念な仕事に力を注いで欲しい。別の記事を紹介しながら、またもう少し分け入ってみたい。

次世代SNSは仮想現実に、フェイスブックの本気度(写真=ロイター)
【ご紹介】:
月一連載が日経電子版に掲載されました。渦中にあるFacebookですが、VR分野で新たな動きには大いに興味を惹かれています。よろしければ一読下さい。

Disruption This Week—–18/6/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年6月14日から2021年6月18日まで。

ついにフェイスブックがOculusでVRアプリ内広告の導入テスト開始 | TechCrunch Japan
「最大の告白は、FacebookがOculusヘッドセットにローカルに保存されているデータ(デバイスのカメラからの画像を含む)を広告のターゲティングに使用することはないとしていることだ」。

——皮肉ではなく、VR空間において広告に何ができるかはすごく興味深い。ターゲティングに関連する懸念にあらかじめ配慮するぐらいには、Facebookも進化中。

Yahoo!ニュースの記事をユーザーが評価する新機能 PV以外の新たな評価軸に、配信料への反映も
「新機能での評価は、ヤフーが媒体各社に支払う配信料の算出に活用する。Yahoo!ニュースは420社650媒体から1日約7000本(6月17日時点)の記事を掲載しており、ヤフーは各記事のPVに応じて配信料を支払っている」。

——記事がもたらす発見や学びといった価値の側面をどう定量化するかは、これまでも(今後もおそらく)大いなる課題。公式の「リアクション数」にそれを求めようとするのには……ともかく行方を見守る。

Big Tech moves in on the creator wars
米Axiosのメディア担当記者Sara Fischer氏、昨今話題の「クリエーター・エコノミー」現象を概論。クリエーターの活動を促進する各種新興企業を大手プラットフォームが追いかけているという現状だ。「パンデミックで、注目経済はニッチなファン層向けコンテンツを生むクリエイターへと大きくシフト」と同氏はブームの背景にあるものを説明する。
若者の「テレビ離れ」は衝撃的か? 調査データから見える、今どきの若者の生活習慣
「日本の民放キー局は、新聞社資本である。稼ぎ頭であったテレビでは、もう広告は稼げない、と喉元に刃を突きつけられた。黙っていればバレなかったのに、その刃を突きつけたのが広告収入無関係のオノレNHK、という構図なのである」。

——小寺信良氏によるメディア論。自分の興味は、「若者のTV離れの深刻さ」ということより、むしろ、高齢者(自分も含む)のTV粘着の問題。本記事も言及しているが、TVは受動的なメディアで積極的な選択ではないかもしれないが、年齢高い層がTVに強い執着を維持し続けることの理由と影響を考えるべきだと思っている。

Andreessen Horowitz goes into publishing with Future – TechCrunch
米の代表的な投資家の一社Andreessen Horowitzが、遂に自前メディア「Future」を開設。本格的な技術関連論文サイトだ。カネをめぐって投資家やスタートアップ企業の生態系に批判的な最近の商業メディアに業を煮やしたMarc Andreessen氏が主導したとされる。TechCrunch編集長によるいささか皮肉が交じる記事。
大幅成長メディア7社にみる3つの特徴とは?【決算分析】
「・オフラインからのリプレイス(メドピア、カラダノート、オークファン、エムスリー)
・収益形態の多様化(ZUU)
・メディアを活かしたBtoB事業への展開(エネチェンジ、ミンカブ)」。

——相変わらずインパクトのあるデータを惜しげもなく開示してくれるシバタナオキ氏のリポート。

JICDAQ 、現時点で 74社 が「事業者登録」を申請中:「認証」の付与は10月以降 | DIGIDAY[日本版]
「このようにJICDAQ認証を受けることで事業者は、『デジタル広告の品質と信頼性を高める努力を行っている証し』や『価格競争・品質競争での優位性』、そして『社員や関係者のプライドやモチベーション向上』などのメリットを得られる」。

——「広告会社、プラットフォーム事業者、媒体社、メディアレップ、アドテクノロジー事業者など」を対象に、ブランドセーフティとアドフラウドを抑止するための、業界をあげた取り組み。

Privacy watchers see fears coming true with Google's FLoC
匿名性高くネットユーザの特性をターゲティングできるとの触れ込みでGoogleが開発した「FLoC」(Federated Learning of Cohorts)。だが、アドテク広告業界からは、これをIPのように疑似固定的に利用者と紐付ける手法が可能だとのコメントが聞こえてくる。恐れていた事態の到来だと記事は警告する。
Apple and Google’s Privacy Changes Are a Huge Benefit for the Creator Economy
GDPRやCCPAなど法制度のトレンドに加えて、Apple、Googleがユーザデータ取得を抑止する動きに。
記事は、この動きは、クリエイターエコノミー、そしてインフルエンサーマーケティングの活性化に拍車をかけると論じるもの。もちろん、クリエイターらには朗報だが、重要な課題も指摘する。
広告とオーガニック投稿の境界線問題、さらには、ブランドがインフルエンサーらと関係を築くことの難しさだ。
17歳女子高校生のスマホ動画にピュリツァ―賞、誰もが「手のひらにメディア」の問題とは?
「この事件が私にとってトラウマとなり、人生を変えるものだったとしても、自分を誇りに思っている。私の動画がなければ、世界が真実を知ることはなかった。私はそう考える。私の動画はジョージ・フロイド氏を救うことはできなかったが、殺人犯を収監することはできた」。

——2021年のピューリッツァ賞特別賞を受賞したDarnella Frazier氏のコメント。確かに彼女にかかるプレッシャは大きかっただろうと想像する。ジャーナリズムの価値がどう実現されるのかを想起させるコメント。

「コンテンツ伝達」を担うのは誰か?ーーデータアナリストが語る、Webメディア成長戦略(前編) - Media × Tech
【ご紹介】:
私も編集に携わるメディア「Media×Tech」に新着です。人気のデータアナリスト田島将太氏の論。前編・後編を同時に公開しました。ぜひご一読を。