Disruption This Week—–4/11/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月31日から2022年11月4日まで。

Crime group hijacks hundreds of US news websites to push malware
サイバーセキュリティ企業Proofpointによると、サイバー犯罪者グループがあるコンテンツプロバイダに浸透、米国内数百の報道機関のウェブサイトにコンテンツを配信しマルウェアを拡散しているという。コンテンツプロバイダの名前は公表されていないが、対策中だという。
What types of local news stories should be automated? The Toronto Star is figuring it out
AIが自動生成した記事(報道)をジャーナリズムはどう評価すべきか。カナダThe Toronto Starの実践で、ローカルニュースメディアと記事自動生成がフィットする分野の数々が明らかに。さらに自動化を推進することで戦略的な分野に人手を割くことができるともする内部の声。
Insider overhauls subscription strategy in face of recession fears
他のメディア同様、広告収入の減退に見舞われている米Insider。力を注いできたペイウォールシフトを見直し、Insiderで定評のあるビジネストレンド解説記事を“壁”の外に多く配置するという戦略変更に取り組む。グローバル編集長が取材に応えた記事。要は無料記事と有料記事の配分を見直すということ。
TikTok tells European users its staff in China get access to their data
TikToko、欧州におけるセキュリティポリシー責任者が、プライバシーポリシーの変更と明示によって、中国拠点など国外のスタッフが欧州をはじめとして、米、ブラジルその他の国々のユーザデータに触れることが可能と言明。厳格な手続きと認証を経た上でとしている。
Disney Tries Mixing Streaming With Shopping
【有料購読者向け記事】:
来週火曜日まで、Disney+の加入者は、「スター・ウォーズ」、「アナと雪の女王」などに関連する新商品を独占的に購入できる(以後は、一般販売)。商品には、ライトセーバーのコレクターアイテム(250〜400ドル)やテーマに沿った衣服(27〜ら100ドル)などがある。Disneyがストリーミングの世界の上で、リアルビジネスで築いてきた商売を投入する。事の成否はこれから試されるが、同社がDisney+でやりたかったことが現実になってくる。
Why Semafor's CRO Rachel Oppenheim is putting clients first while building an entirely ad-based revenue model
新たに立ち上がったばかりの注目メディア「Semafor」。同社の収益責任者(CRO)に聞くビジネス戦略。購読を基盤とすることでレピュテーション向上を求める大手広告主にアピールする。そのためにも、運用型でなく手売り広告ビジネスに注力しているなどをアピールする。
2万件超すフェイク記事・サイトの6割で、Google広告が収益を支える 初の大規模国際調査
「『プロパブリカ』が調査対象としたフェイク記事は1万2,000件超、フェイクサイトは約8,000件。このうち、6割近くがグーグルからの広告配信を受け、収益を上げていた。
中でもトルコやバルカン半島、ブラジル、アフリカなどの非英語圏で、フェイク記事・サイトにグーグルが広告配信をしている割合が高く、6割超から9割に上っていた」。

——先日紹介した米ProPublicaによる調査報道記事を、平和博氏が詳しく解説している。そもそも2016年の米大統領選で浮上した、“金稼ぎ”目的の偽ニュース生成トレンドの猛威は、この運用型広告をページに貼り付けておけば、フェイクな記事でひと儲けできるという発見から生じていた。その段階から改善、クリーンアップが進んでいないという事態が指摘されたわけだ。

出版状況クロニクル174(2022年10月1日~10月31日) - 出版・読書メモランダム
出版科学研究所による22年1月から9月までの出版物推定販売金額:
「前年の9月までは9179億円、前年比0.5%増で、最終的に1兆2079億円、同1.3%減であった。だが22年は8559億円、同6.8%減という事実からすれば、1兆2000億円を大幅に割りこみ、1兆1000億円前半の数字に近づいていくことが確実だ。
ピーク時の1996年は2兆6564億円であり、定価値上げなどを考えると、3分の1近くの販売金額となってしまう」。

——引用箇所どおり、22年の出版物の推定販売金額は、1兆円に限りなく近づく見込みとなってきたようだ。96年からの下落ぶりはすさまじい。

U.S. adults under 30 now trust information from social media almost as much as from national news outlets
「30歳未満の米国成人は、SNSからの情報を、国内報道機関からの情報とほぼ同程度に信頼している」。米Pew Research Center調べ。年齢層別に対比して見られる。当該年齢層ではローカルニュースが62%、全国ニュースが56%、そしてSNSが50%と肉薄。時系列推移も興味をひく。
友人に賛辞を送るSNSアプリ「Gas」…アメリカのApp Storeで1位に
「位置情報と連絡先情報をアプリに同期させると、1時間ごとに更新されるさまざまな『友人に関する投票』に匿名で投票できるようになる。その内容は友好的な褒め言葉から、軽い愛の告白まで、いろいろな種類があり、投票してもらえると受信トレイに『炎』が送られる」。

——SNSに新たな“カウンター”の動きが生じている。すでに話題になっている「BeReal」がその筆頭だが、この「Gas」もそうだ。ある種のコンテストへの参加を求めるものだが、それは友人に対する褒め言葉などに投票をするといったポジティブなもの。米国内でも一部地域での人気急騰だが、全国化する動きに。

NBC News, Washington Post, SmartNews apps retool content packaging ahead of midterms
【ご紹介】:
11月8日の投開票を前に、米のニュースメディア、アグリゲータらが中間選挙に向けた特別報道態勢を準備している。記事はSmartNews USの取り組みも詳しく紹介しています。

Disruption This Week—–28/10/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月24日から2022年10月28日まで。

Tech giants go to war with Apple
こちらもAppleをめぐる動き。Spotify、Meta、その他の大手IT企業ら、自分たちビジネスを痛めつけ、Apple自身のビジネスを強化することになる不公平かつ反競争的なガイドライン変更などへの反発を強めており、Apple包囲網的な動きとなろうとしているとする記事。
シャッターストック、画像生成AIツールを提供へ。アーティストにも報酬を支払う考え
「提携する研究機関のオープンAI(Open AI)が開発した画像生成技術を統合することで、利用者は入力した文章に基づいた画像を瞬時に作成することができる。提供は数カ月後を予定する」。

——画像などAIによる創作サービスが急浮上していることは、なんども言及してきた。記事が伝える提携は、撮影した写真のライセンスにより生計を立てるクリエイターにとり、AIによる創作サービスが敵対的でない融合への道を拓くものにもなりそうだ。

Web 3 ID Forum
「Web3 IDフォーラムは、すべての人のためのデジタルID所有権の追求を信じるテクノロジーと業界のリーダーによって支えられています。
私たちは、個人が自分のデジタル・アイデンティティを管理し、どの個人データを共有し、収益化し、非公開にし、どこにでも持ち出すかを決定できる未来を思い描いています」。

——先日も 川崎 裕一さんとも話したが、これから最も重要な業界の動きは、プラットフォーム・フリーなデジタルIDではないかということに。来月、米国では政府、議員らとWeb3勢が大規模なカンファレンスを開催する。

“News publishers expect revenues to more than double this year”: World Press Trends 2022-23 Preview | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
開催されたWAN-IFRA(世界新聞協会)会議で、2022〜23年の報道メディアをめぐるトレンドが公開。それによれば、21年に比し22年の報道メディアをめぐる経営環境(収益)は昨年比倍増と改善。だが23年の見通しとなると、半数以上(55%)のメディアが悲観的な見方をしている。また、広告と購読費以外の「収益多様化」の項では、22年にはイベントが突出した動きを見せた。
YouTube Ad Revenue Drops 1.9% in Q3, Alphabet Misses Wall Street Expectations
米超大手IT企業の第3四半期業績が開示されつつある。予想はされていたが広告市況が悪い。なかでも衝撃なのはYouTubeだ。2年ぶりの前年同期比純減の70億7000万ドル(1.9%減)となった。前年はコロナ禍反動による伸びもあったのだが。
米国で進む「TikTok」でのニュース視聴、29歳以下では4分の1まで増加と米調査 | DIAMOND SIGNAL
「米シンクタンク・ピュー研究所が実施した最新の調査では、米国の18歳以上の成人の10%が日常的にTikTokでニュースを見ていると答えた。
年代別に見ると18~29歳の若者では、4分の1以上の26%がTikTokをニュースの情報源として利用していると回答」。

——欧米では、TikTokに取り組む報道機関が増えっている。一応念のために言えば、それでも「TwitterやFacebookのユーザーと比較すると、サービス上でニュースを入手する確率がはるかに低い」のだが、この先はわからない。

今、最も話題の画像生成AIサービス 1位は?
「記事数では『Midjourney』がトップ、想定PVでもMidjourneyがトップ、記事ツイート数では『Stable Diffusion』がトップだった。両サービスが2強だが、そのほかにも国産の『mimic』もそれぞれ3位に入った」。

——サービス乱立気味でそろそろどのサービスを利用したら良いのか迷うような状況に。単純にサービス名を扱った記事を追ったものだが、参考になる。

The Remote Control Killers Behind Russia’s Cruise Missile Strikes on Ukraine - bellingcat
ロシアが巡航ミサイルを用いて、ウクライナの非軍事目標を攻撃している。OSINT活動を行うBellingcat、米Insider、独Spiegelらと協力し、このミサイル兵器の運用を行う「参謀本部主要計算センター」内のチームメンバーの将校らを特定し詳細を暴露。彼らにコンタクトまで試みた。
ウクライナ 戦時下の復興 キーウ近郊からの報告
本日の朝刊紙面でも、2ページ見開き(全段打ち抜き)で展開したビュジュアルリポート。
出色なのは、同時公開のWebでもその迫力をうまく活かしていること。OSINT渡邉教授がデータビジュアル面で協力とのこと。素晴らしい。
A large portion of the Americans who will pay for news are rich
米GallupとKnight基金による調査では、米成人の1/4がニュースに「対価」を払った経験を持つ(言い換えれば、3/4が払ったことがない)。さらに、年収15万ドル以上の層では、その5割近くが支払った経験があると分かった。“高収入”層が有料ニュースに親和的というわけだ。ニュース(報道)メディアにとり、良い話題か否か。
「ファンコミュニティ」をメディアビジネスに生かす ——「ポストCookie時代」のメディア③ - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。「ポストCookie時代」のメディアシリーズ第3弾です。読者コミュニティを生かす2つのオンラインメディアに聞きました。よろしければどうぞ。

Disruption This Week—–21/10/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月17日から2022年10月21日まで。

How publishers became addicted to the traffic hit from push alerts
モバイルアプリを運営するメディアは、プッシュ通知中毒(?)英Press Gazetteが、特定期間中(17日間)にメディアがユーザに送信したプッシュ通知集計。最も多く送信したのはWashington Post(147件)、次いでThe Telegraph(140件)、Reach傘下のMyLondon(125件)だった。
多数のプッシュ通知を送信すれば、その度にアクセス(トラフィック)を生むのは間違いないが、それがユーザ体験を蝕み、ついには“うるさい”アプリ離れに至ることも分かっていながら、の振る舞いだ。
アドビ、テキストベースで動画編集できる「Project Blink」発表--AIが感情まで認識
「Adobeが米国時間10月19日、人工知能(AI)を利用し、動画内の言葉や人、物体、さらには感情までも認識し、編集のスピードアップを図る動画編集技術『Project Blink』を発表した。このAI分析は、一言で言えば、動画編集に言語処理のインターフェースを与えるものだ」。

——次々にこの種のAIを用いた言語(テキスト)によるクリエイティブ作品の制作サービスが誕生する。本ケースは、厳密にいうとテキストを用いて動画を「編集」できるインターフェイスを提供するもの。記事が紹介する事例は、動画中で笑っている人物を見つけ出し、その動画部分に手を加えるなどができるというようなもの。そもそも長い動画があったとして、これに対してテキストである特定部分を見つけ出すようなことができれば、それだけでも大きな価値をもたらすだろう。

The Logic of a Microsoft-Netflix Deal Is Growing
【有料購読者向け記事】:
Netflixが広告表示付きの廉価版を投入したことが話題になっている。同社がその広告ビジネス立ち上げのために提携したのがMicrosoft。記事は、両社がゲーミング分野への意欲でも共通し、将来の両社の統合という“陰謀論”的筋書きを述べている。
有料購読者数は2年で5倍──Metaは撤退も、ニュースレターサービス「Substack」が成長し続ける理由 | DIAMOND SIGNAL
「マッケンジー氏によると、Substack上の有料購読者数は現在約150万人で、2年前の約30万人から5倍にも拡大。この2年間で、年間100万ドル(約1億4900万円)以上の収益をSubstackを通じて得るメディアの数は2つから10以上に増え、トップ10位のメディアの年間収益の合計額は2年前の800万ドル(約12億円)から2500万ドル(約37億円)規模にまで拡大したという」。

——ニューズレター“ブーム”が終熄? Substackの躍進を追って似たようなサービスを開始したTwitter、Facebookが次々と撤退するなか、Substackが事業を成長させていると評価する記事。国内での情勢などについても言及している。

Omneky uses AI to generate social media ads
OpenAIのDALLE-2やGPT-3を用いてクリエイティブを人工的に生成するアプローチ。実験段階から実用用途を探る段階に入ってきたようだ。スタートアップのOmnekyは、これをSNS掲出用の広告の自動生成を核に、広告出稿の全プロセスのSaaS化をめざすという。刺激的なアプローチだ。
An Interview With Meta CEO Mark Zuckerberg and Microsoft CEO Satya Nadella About Partnering in the Metaverse
本日のもう一つのインパクト。個人ブログ「Stratechery」のBen Thompson氏がMicrosoft CEOのSatya Nadella氏とMeta CEOのMark Zuckerberg氏の2人にインタビューをしている(両社はメタバースで提携)。過去にはNYTimesのCEOと本格的に取材を実現していることは紹介した。個人メディアの極北ともいえる。メディア界の秩序は、動いている。
Inside the Identity Crisis at the New York Times | Semafor
本日最大のインパクト。準備期間中からメディア界の関心を集めていた、2人のSmith氏のメディアプロジェクト「Semafor」がローンチ。巻頭はBen Smith氏の「New York Times、アイデンティティ危機の内幕」。Axiosフォーマットを意識したスタイルをめざしているようだ。
More Than 50% of Nonprofessional U.S. Creators Now Monetize Their Content, Adobe Study Finds
米Adobe社、クリエイターエコノミー関連調査の結果を発表。非プロフェッショナル(フルタイムでない)なクリエイターの50%以上が、自身のコンテンツで収入を得ており、その収益力が増していることがわかった。その比率は、ブラジル(59%)、米国(53%)、ドイツ(51%)、英国(51%)、韓国(51%)と続く。
19% of U.S. consumers subscribe to digital publications
【有料購読者向け記事】:
米国では、消費者の約4%という比較的少数だが非常に熱心な「パワー購読者」のグループが、デジタル出版物の購読者数の大部分を支えていると、National Research Groupらの調査でわかった。購読者の48%は、購読数が2〜5、21%は5つ以上だというのだ。
記事は、現在購読していない米国の消費者の73%を取り込むことができれば、 購読者を大幅に増やす余地があるとも指摘する。
Netflixの広告つき料金プランの開始で、ストリーミングの「終わりの始まり」がやってくる
「ネットフリックスの最高経営責任者(CEO)のリード・ヘイスティングスは22年7月、『今後5年から10年の間に旧来のテレビ(リニアTV)は終わる』と予測した。彼が言わなかったことは、ネットフリックスやほかの配信事業者がその代わりに現れるだけ、ということなのだ」。

——広告表示付きの廉価版(もしくは無料版)の映像配信サービスへの拡張(もしくは移行)が大手サービスで進んでいる。記事は、このもたらすものが映像コンテンツ自体の核心やオリジナル性が変化しなければ、従来の(リニア型)TVが姿を少々変えたものと変わらない、つまり50年以前にTVがもたらしたものと変化がないものになると述べる。

「シンセティック・メディア」の時代に報道は何ができるか——デジタル報道の最前線「ONA2022」現地レポート - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techに新着記事です。先ごろ米LAで開催されたONA22を取材したリポートです。メディアとテクノロジーがクロスするホットな領域を荻原和樹氏が解説しました。

Disruption This Week—–7/10/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月3日から2022年10月7日まで。

Google settles Arizona location data suit for $85 million
米Google、同社のアプリが位置情報履歴機能をオフにした後もユーザーの位置情報を追跡・保存し続けている点で米アリゾナ州司法長官が提訴した事案で8,500万ドルの支払いに応じて和解を選択。同長官が「アリゾナ州史上最大の消費者詐欺訴訟」と呼んだ裁判が回避されたことになる。
YouTube Cash May Trump ‘White Hot’ TikTok’s Hold Over Creators
【有料購読者向け記事】:
SNS界のベテランMatt Navarra氏は、記事によれば“インフルエンサーにインフルエンスを与えるメタインフルエンサー”的存在。同氏は、Facebook、Instagramはソーシャルグラフに依存しているという点でTikTokに敗退しつつあり、今後はYouTubeがTikTokの重要なライバルになっていくとする。
76% of UK consumers willing to consume ads in exchange for free content: YouGov survey | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
オンライン市場調査のYouGov、欧州での消費者調査で、各国いずれでも広告表示の見返りとしてコンテンツの無料提供を高い比率で選好。英国では76%と最高。低いスペインでも51%。と同時に、広告のクッキー利用抑止策は積極的に活用しているとの結果にもなった。
A New Refrain From Artists: We ‘Almost Gave Up on Instagram’
【有料購読者向け記事】:
TikTok人気に押され、動画シフトを進めるInstagram。そのInsta上で写真、静止画像、コミックなどで人気を培ってきたクリエイターらは、「Instagramはアーティストを必要としなくなった」と怒りと失望を募らせているとするNew York Times記事。
First Steps to Getting Started in Open Source Research - bellingcat
OSINT=オープンソース調査(報道)を始めるには? この分野で著名なBellingcatスタッフが、「基礎から始めるOSINT」を5つのステップで解説。「1. 自分のスキルや興味のあることを把握」「2. ツイッターを利用」「3. 仲間を見つける(そしてリストに載せる)」「4. コミュニティブランチを探す」「5. 観察し、学び、実践する」という構成だ。
NIKKEI Prime第1弾 必読のビジネス情報をあなたに
「日本経済新聞グループは朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報やサービスを提供する『NIKKEI Prime(日経プライム)』をスタートします。第1弾として、企業で意思決定を担うプロフェッショナル向けに3つの媒体を創刊します」。

——日経新聞が、3つの有料専門(バーティカル)メディアを創刊。以前で言えば日経BP社が手がけていたニューズレターのようなものだろう。ただし、購読費は手頃なもので、日経電子版購読の拡張版という要素もありそう。購読指向のメディア運営はこういう展開を見せるという意味でモデルとなる。

Briefing: Apple’s App Store Revenue Fell in September Quarter, Analyst Estimates
【有料購読者向け記事】:
AppleのApp Storeの収益が減速。米投資銀行のMorgan Stanleyが今週発表したリポートによると、Sensor Towerのデータを引用して、9月期のApp Storeの純収入が前年同期比2%減になったと推定した。近年、Appleはハードウェアを軸とした収益構造から、ソフトウェア・サービス事業での成長へと軸足を移していたが、痛手。新型iPhoneの増産計画も需要が弱くキャンセルしたこともあり、ダブルパンチとなった。
北朝鮮の無人航空機と思われる物体を撮影した衛星画像について|ユーリィ・イズムィコ|note
「今回新たに確認された機体は、既存の北朝鮮が保有している機体とは全く形状が異なるものであることに加え、北朝鮮が2021年1月に朝鮮労働党第8次大会で示した 『国防科学発展及び武器体系開発5か年計画(通称:国防5か年計画)』を踏まえると、同計画で開発が言及された無人航空機(UAV)または無人戦闘航空機(UCAV)である可能性が高いと思われます」。

——先に公開されていたインタビューでOSINT(オープンソース/インテリジェンス調査報道)を開始する旨を述べていた小泉悠氏。それが本格的にスタートした。「Deep Dive」というメディアが開設。第1弾は北朝鮮が軍事ドローン機を開発した模様というものだ。

Publishers: 10 things you should know about AI in journalism | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
ジャーナリズムにとってAIとは? ロンドン大学でJournalismAIプロジェクトを率いる筆者が解説。AIを用いて編集部内にある偏見を特定、緩和したり、自然言語処理ツールを使用してコンテンツを分析し、十分に報道されていないトピックを発見するなどさまざまなものがあるとする。
先日、同僚から米国で行われたメディア関係者向けイベントで「ソース・ダイバーシティ(記事や番組内で扱われる情報源に偏りがないよう多様化を図る)」を計測するアプローチが話題に上ったと聞いた。政治的な偏りや人種、性差などで偏っていないか、自動的に計測、分析するなどもAIが行うべきテーマになりそうだ。
出版状況クロニクル173(2022年9月1日~9月30日) - 出版・読書メモランダム
「TRC(図書館流通センター)の売上高は3位で、トーハン、日販GHDと一ケタ異なる510億円だが、税引後利益額は遜色がない。
粗利益率も18.8%と群を抜き、売上高経常利益率に至っては4.4%で、日教販1.3%、日販GHD 0.7%、トーハン0.3%に比べ、ダントツということになる」。

——図書館流通センターの高い収益性に着目した箇所。もちろん、その根本的な回答は、「増え続ける公共図書館を背景とする図書館専門取次として、低返品率、出版社との直接取引などが相乗」したビジネスだからという指摘。なるほど。この構造を一概に否定できないが、ここにもまた電子化の波が押し寄せれば、構造は大きく揺らぐことになりそうだ。

新聞・ラジオがポッドキャストに注目、若者ファン狙う
【ご紹介】:
日経MJ紙での連載が日経電子版に掲載されました。よろしければご一読を。➡️ 新聞・ラジオがポッドキャストに注目、若者ファン狙う

Disruption This Week—–30/9/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年9月26日から2022年9月30日まで。

How Defector generated $3.8 million in its second year
1年前に紹介したスポーツ&カルチャーメディアの「Defector」が創刊2年目を終えた。総購読者の数は1年目の36,000人から38,000人へと伸び、売上は380万ドルに(95%が購読料収入)。28,000人は年間購読者で更新率90%。注意を払うのは他の購読とのトレードオフ関係だという。
NBA pushes boundaries with new mobile app
NBA(全米バスケットボール協会)、直接ファンとのエンゲージメント強化に向け、自らモバイルアプリを提供。計画当初には、大枚をはたいて放映権をライセンスする大手メディアらとの摩擦が問題となったが、アプリではアーカイブを充実させるなど、すみ分けを図り定着へ向かう。
The New York Times looks to gaming product to grow subscriptions
米New York Timesのゲーム部門責任者、「ここ数週間で、ゲーム購読の提案をし、ゲームの購読を取るか、より大きなNew York Timesのバンドルを取るかを選択させた。最終的に読者はバンドルを取るという証拠を確かに見ることができた」と語る。
Wordleは依然として無料で提供しながら、有料ゲームや、ニュースメディア全体へのファネルに位置づけることに手応えを感じているという。ただし、同社はゲームの購読、バンドル製品の購読数(の伸び)の実数は発表していない。
Google Search adding 'Discussions and forums' section and translated news coverage
Google、検索結果に関連するRedditなど掲示板(フォーラム)での議論を追加表示する機能を実装したと発表。すでに米国内では有効になっている。また、来年には検索結果に関連するニュース記事を表示するなどの拡張も予定しているという。
'Harder to dispute': Ebiquity CEO on why advertisers are slowing spending in the Google-Facebook duopoly
Meta、そしてGoogleにおける広告ビジネスの引き潮を指摘する広告業界人が指摘する記事。両者とも依然として大きなシェアを誇るものの、引き潮は、Appleによるターゲティング広告制限の影響で、以前に比べ広告精度が落ちてきたことが影響しているとする。
Removing Coordinated Inauthentic Behavior From China and Russia | Meta
Meta、Facebookなどを舞台に大規模な影響力工作を行っていた中国、ロシア系のアカウント群(ネットワーク)を排除したと公式発表。後者は特に大型で、60もの報道機関を仮装して、ウクライナはもちろん、独、仏、英、伊を対象に工作を行っており、今次の侵攻以降最大の事案だとする。
アーティストにとってサブスクは地獄の入り口か?──ストリーミングが変えた音楽産業(松谷創一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
「そこで(=NFT化)期待されているのはコンテンツ(デジタル資産)を投資対象にすることで、デジタル時代のコンテンツ経済を活性化させることにある。デジタル時代のコンテンツ経済を活性化させることにある。投資対象であることとはつまり、その価値が変動することを意味する。
たとえば、キャリアの浅いクリエイターが自らのコンテンツに投資を募り、その資金で制作活動を続けて後に大ヒットすれば、当初は安値だったデジタル資産の価値も上がるというスキームだ」。

——松谷創一郎氏の論。初見ながら凄い筆力をもった方と感心した。種々、自分には異論も感じるが、日本でデジタル、特にストリーミングが進まず、かたやCDで異様なビジネスモデルが発明されてガラパゴス化している点などへの論及に説得力がある。また、そこからの脱出は、もはやストリーミングへの最適化ではなくNFT経済でリープフロッグすべきというのも、興味深い。

Are paywalled podcasts ready for prime time? | Toolkits
報道メディア界にもポッドキャスト人気が波及。有力なタイトルを有するメディアは、そのマネタイズに踏み切る動き。ポッドキャストで300万ユーザの英Economist、新興メディアTortoise Mediaなどを例に取り上げた記事。すでにサブスク路線を行くAppleやSpotifyなどプラットフォームとどう棲み分けるのか。
'Cheer the f**k up': Ex-media boss Ellis Watson's rallying cry to industry
「今は、本当にエキサイティングでダイナミックな時代だ。そして、クソみたいな意見を蔓延させているプラットフォームの支配に脅かされることなく、最低限まともな質の高いコンテンツを作り、それをパッケージし、人々が望む方法で売り出せば、本当に驚異的にエキサイティングな時代になると思う」。

——DC Thomsonなどのメディア企業トップを歴任してきたEllis Watson氏が、Press Gazetteのカンファレンスで講演。メディア人は楽しく仕事をしろとはっぱをかけた。ディア企業に対して「みんながやっていることを追うのをやめて、自分でやってみよう」と呼びかけた。

静岡県の水害巡りフェイク画像が拡散 画像生成AIを利用 投稿者はデマと認めるも「ざまあw」と開き直り
「投稿者は問題の画像がフェイクだと認め、謝罪文を投稿。画像生成AI『Stable Diffusion』を使い、作成したことを明かした。フェイク画像を投稿した理由について投稿者は『大した目的はない。そもそも安易にこれが広まると想定していなかった』としている」。

——さっそくAIによる画像生成サービスを活用した偽映像が使われ始めた。愉快犯らしい。

WSJスクープ | メタとグーグル、人員整理でコスト削減を加速
【有料購読者向け記事】:
「メタの事情に詳しい複数の関係者によると、同社は事業の伸び悩みと競争激化に直面する中、人員削減などを通じて今後数カ月で経費を少なくとも10%削減する計画だ。
…グーグルもコスト削減策の一環として、社内に残りたい場合は新たな職務に応募するよう従業員に求めている」。

——直前の投稿とも関係する報道。

Audiences don't trust in news on social media: Reuters Institute report
英Reuters Institute、デジタルプラットフォーム上で接触したニュースを信頼性を低く認識するとの「認識ギャップ」現象をめぐる国際調査(英米、ブラジル、インドで実施)の結果を発表。この記事は調査結果を要約するもの。Facebook、Twitter、そしてTikTokは低評価。だが世界観ギャップもそこに関与している点には注意が必要。(年齢高い層はInstaやTiktokをより低く評価)
OpenAIがリリースした高精度な音声認識モデル”Whisper”を使って、オンライン会議の音声を書き起こししてみた | DevelopersIO
「2022/09/22の夕方ごろ、OpenAIが音声認識ですごいものを出したらしいというニュースが社内のSlackをにぎわせていました。
個人的には、いくら認識が凄いって言っても、実際日本語は微妙なんじゃないかな…?と思っていたのですが…」。

——GPT-3で知られるOpenAIが日本語“も”認識し、テキスト化してくれる「Whisper」を公開。専門家が専門的にテストを試みたプロセスと結果を解説。期待ができる。こうなってくると、いずれ、発話された言語(多言語)を認識し、翻訳するといった夢のようなリアルタイム処理も、登場しそうだ。

How platforms turn boring
当初、TikTokは、そこでしか起こり得ない文化があったからこそ、エキサイティングだった。今は他のあらゆるネットワークで見られるものに近づいているとする記事。ユニークな中小プラットフォームは、大プラットフォームにの独自性を吸収されて衰弱していく。
偽情報はどこから生まれる?対抗策は? 英調査報道集団「ベリングキャット」創設者が解説
「検証の手法を普及させていくことの重要性にも言及。16~18歳向けの教育プログラムがスタートしたことを紹介しながら、
『私たちの願いは、伝統的な調査方法とオープンソースの手法を組み合わせてインパクトを与える方法を示し、彼ら(若者)が自分たちの生活に変化をもたらす力を与えることだ』」。

——OSINT(オープンソース調査報道)のBellingcat創設者エリオット・ヒギンズ氏が講演。引用にあるようにテックに強い青少年向けプログラムを同団体がスタートしたと述べる。