Disruption This Week—–13/6/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年6月9日から2025年6月13日まで。

<お知らせ>選挙報道の基本方針、新たに決めました 「ファクトチェック編集部」発足、SNSも検証:朝日新聞
「SNSなどで偽情報や誤情報が広まる現状も踏まえ、編集局に『ファクトチェック編集部』を発足させます。政党や政治家の発言も含めて、事実関係を素早くチェックできる態勢を強化しました」。

——朝日新聞が「ファクトチェック編集部」を組成。2016年以降、すでにファクトチェックに取り組んでいたとのことだったが、本腰を入れた。SmartNewsを代表して2017年からファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)を組成、推進してきた立場からは、「ようやく」という感慨。

Natural Language, Zero UI Redefining Engagement
例えば、ある顧客が、カリブ海への冬のクルーズのためのワードローブを勧めてほしいと、小売ブランドのエージェントに頼む。 エージェントは顧客の履歴と好みから、半ダースのアイテムを推奨、顧客が購入か拒否かを決める……。AIの浸透がマーケティングを変えるイメージがこれだ。鋭敏なマーケターなら、これまでのフローが決定的に変わることを認識するだろう。
Inside the 5-year strategy to create a paid CNN - Poynter
New York Timesを率いて、同社中興の祖となった前CEOのMark Thompson氏。今度は米CNNの復活に取り組む。同氏が指名したのがevp Alex MacCallum氏。示された5か年戦略は、CNNの優良ストリーミング化、バーティカル化、そのバンドル(バーティカルの抱き合わせ販売)化だ。同氏に取材した記事。
New IT publication appears to be largely AI-generated
クラウド、サイバーセキュリティ、量子コンピューティング…などを売り文句にする米ハイテクメディア「Levelact」。だが英Press Gazetteが子細に調べたところ、スタッフ集合写真や各々の“プロライター”のプロフィールは、AI生成された非存在の人物で作られていることが判明したという。
英国では、最近、各種メディアがコメントを取り上げた“専門家”が実は存在しないことが判明して、騒ぎとなったりした。
Disney and Universal say these images show how the AI tool Midjourney steals their famous characters
米DisneyおよびNBCUら映画スタジオは、スター・ウォーズからシンプソンズに至るまで、有名なキャラクターの意匠を剽窃したとしてMidjourney社を訴えた。彼らはMidjourney社を 「典型的な著作権フリーライダーで、盗作の底なし沼」と呼ぶ。映画産業でのAI訴訟の初のケースだ。
Amazon is about to be flooded with AI-generated video ads
Amazon上にAI生成動画広告があふれようとしている——。米Amazonは、試行運用中のAIによる動画広告生成機能をEC販売者に無料で提供しようとしている。事業者はワンクリックで静的な製品写真からプロモーション動画を生成できることになる。
2024 U.S. YouTube Impact Report
米YouTube、2024年「U.S. Impact Report」を公表。調査によると、YouTubeのクリエイターらによるエコシステムは、2024年に米国のGDPに550億ドル(米ドル)貢献し、米国内のフルタイムの雇用49万人分を支えることになったとする。
Social media creators to overtake traditional media in ad revenue this year
世界的な広告代理店WPP(旧称:GroupM)参加のメディアデータ調査会社WPP Media、YouTube、TikTok、Instagramなどのプラットフォーム上の(クリエイターによる)コンテンツが、今年中に伝統的メディア上の(プロによる)コンテンツの広告収入を凌駕するとの予測を公表。
Boston Globe, Future, Vox Media join ProRata’s generative AI licensing model
【有料購読者向け記事】:
優良コンテンツを持つメディアと透明性の高い収益分配モデルで提携、ライセンスされたコンテンツに限定したて検索に回答するAI検索事業ProRata。Atlantic、Fortune、Guardianなどと提携済みだが、今回Boston GlobeやVox Mediaなどが加わり、提携パートナー数は500社を突破したとする記事。
TVer 、生活者の6割が「利用経験あり」 総接触時間は1日440分に | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「テレビスクリーンでの視聴コンテンツの多様化もみられる。録画視聴の割合が69.6%と前年から減少した一方で、TVerなどによる『見逃し配信』は4.9ポイント増加して50.0%に達した。『無料動画』は55.7%、『有料動画』は48.2%となり、いずれも約5割前後の利用率となっている」。

——TVerの浸透が、「見逃し配信」の増進に結びついているという。自由な視聴スタイルにまた一歩視聴者は向かっている。

選挙の情報源は既存メディア6割 スマニューがメディア価値観調査:朝日新聞デジタル
【ご紹介】:
私も協力しているスマートニュース メディア研究所による「メディア価値観全国調査」。2025年版(第2回)の調査結果を公表しました。分析結果は今後も発表予定です。

Disruption This Week—–24/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月19日から2025年5月23日まで。

What Influences SEO Traffic Growth In The Age Of AI
AI時代、SEOがサイトへのトラフィックを左右する要素とは? メディア運営者が学んでおきたい要素が整理されている。いくつかのポイントが挙げられているので、1つ紹介すると、「AIが生成したコンテンツは避ける」だそうだ。人間による修正が重要だとしている。
What if Making Cartoons Becomes 90% Cheaper?
【有料購読者向け記事】:
「エンターテインメント・ビジネスにおいて、アニメーションほどAIから失うもの、そして得るものが大きい分野はない」ーー。
チャンネル登録が300万人を超える米人気アニメ「StEvEn & Parker」を制作するToonstar社は、1分のシーンでリップシンクに、数年前には4時間かけていたが、現在では15分にまで圧縮。「標準より80%早く、90%安くフルエピソードを作ることができる」とする。
記事は、多くのアニメ作品を手掛ける大手スタジオは、かつてのToonstar社と同様の人手による作業を、今も続けているとする。

The Agentic Web and Original Sin

Stratechery by Ben Thompson

The Agentic Web and Original Sin
Web上の広告モデルの限界が顕在化する中、米MicrosoftはBuild 2025で「Open Agentic Web」なるコンセプトを発表。AIエージェントがユーザーの代理で情報取得や意思決定を行う新時代を提唱。今後は仮想通貨などによるマイクロ決済導入が、持続可能なWeb経済の鍵とまで主張。
オープンAI、元アップル幹部アイブ氏の企業を65億ドルで買収へ
「オープンAIは、アップルの元幹部ジョナサン・アイブ氏が共同設立した人工知能(AI)デバイス開発のスタートアップ『io』を約65億ドル(約9300億円)で買収する。伝説的デザイナーを迎え入れてハードウエア領域への本格進出を図る」。

ーーそろそろプロトタイプぐらい登場するのかと思っていたら、まずはアイブ氏の個人会社ioを買収するという段階。スマートフォンに代わる(?)AIデバイス開発への道のりは長そうだ。

Google is bringing ads to AI Mode | TechCrunch
Googleの「AIモード」は、ユーザーがGoogle検索で質問するとAIが回答、関連サイトへのリンク表示や追加質問ができる機能だ。ポイントは、(質問への)回答の中や下に広告を表示することで、Googleが収益を得ようとしていること。これまで以上に広告で稼げるようになるのか否かだ。
Almost half of young people would prefer a world without internet, UK study finds
英・全国児童虐待防止協会(NSPCC)調査によると、16〜21歳の70%近くが、SNSで時間を消費した後に、自分自身を嫌悪していると明らかにした。42%は、オンラインでの行動について両親に嘘をついており、46%は、インターネットがまったくない世界のほうがいいと答えたという。
調査は、政府が検討している「デジタル夜間外出禁止令」(TikTokやInstagramの利用時間制限)を青少年の半数が支持しているという結果を示すが、政府寄りの発表でもあり注意してみるべきかもしれない。
Microsoft Build 2025基調講演まとめ テーマは「AIエージェント時代」
「NLWebは、『エージェント指向WebにおけるHTMLと同様の役割を果たす可能性を秘めたプロジェクト』。WebサイトやAPIを簡単にエージェント対応アプリにする方法を提供する。開発者はLLMの能力を活用して既存のサービスや製品を強化できる」。

ーーAIが関与する開発を支えるプラットフォーム化志向へと大きくウイングを広げたMicrosoft。Build2025では、先の投稿での紹介以外にも数々の発表があったが、なかでも最大の話題は「NLWeb」だろう。これによりWebコンテンツやWebサービスに簡単にAI機能を統合できるようになる。これからはどんなWebページでもおしゃべりしたり、複雑な問いかけに対して答えを返すことになりそう。問題はその際のMicrosoftのビジネスモデルなのだが。

Trump to Sign Bill Banning Deepfakes, Nonconsensual Images: What to Know
米Trump大統領、「Take It Down Act」法案に署名、成立の見込み。同意なく投稿された性的画像やAI生成のディープフェイク画像の拡散を犯罪とする。被害者の申請から48時間以内にSNSやWebサイトが該当画像を削除することを義務付ける。違反者には刑事罰や賠償が科され、特に未成年被害の場合はさらに厳罰となる。
法案は、Melania大統領夫人が強く推進し、超党派で可決される動きとなったことで知られる。
The new wave of Russian disinformation blogs
英「UK Defence Journal」は、最近、Substackなどニューズレター、個人ブログで、英国や欧州のライターによる親ロシア的な偽情報ブログが急増していると指摘。NATO非難やウクライナ政府の過激化、EU批判といった論調が共通し、AIによる生成で大量投稿されていると分析する。
Meta Battles an ‘Epidemic of Scams’ as Criminals Flood Instagram and Facebook
【有料購読者向け記事】:
米Wall Street Journal、Facebook、Instagramを運営する米Metaのサービス上で、大量の偽広告・偽販売などの犯罪が急増、「詐欺のパンデミック」が生じていると大きく報道。JP Morganなど金融機関が報告する詐欺の半数がMeta上だと指摘する。
2022年のMetaの社内分析では、新規広告主の7割が詐欺や低品質商品を宣伝していたと判明。詐欺の多くは東南アジアなど海外犯罪組織が関与し、暗号資産やAI技術の普及も背景にあるという。
だが、Metaは広告収益を重視し、詐欺対策の優先度を下げてきたため、詐欺アカウントへの対応が遅れ、被害が拡大した。Marketplaceも詐欺の温床となっていると記事は指摘する。

Disruption This Week—–16/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月12日から2025年5月16日まで。

A New Report Takes On the Future of News and Search
ニュースの“発見”とニュース媒体への“送客(トラフィック)”を支えてきた検索に異変が生じようとしている。原因のひとつはAIだ。米国のジャーナリズム研究機関Tow Center for Digital Journalismが、起きている地殻変動を独自の調査で追い、結果を公表した。
TelevisaUnivision Bets on Microdramas and Music in Upfront Push
スペイン語圏最大手メディアのTelevisaUnivisionは、広告主向け発表会で、若年層やモバイル世代を意識した新戦略を発表。注目は、1話約1分の縦型“マイクロドラマ”約40本をストリーミングサービスの「ViX」で配信する。マイクロドラマはアジアを中心に急速成長中トレンドだ。

How We’re Using AI

Columbia Journalism Review

How We’re Using AI
米国の著名メディア関係者、ジャーナリスト、そして研究者は、AIをどう使い、どう使うべきかを語った面白いオピニオン集。
業務効率化や調査、翻訳、データ分析など幅広く活用されており、例えばインタビューの自動書き起こしや衛星画像解析、膨大なデータからのトレンド抽出などで成果を上げていると述べられる一方で、執筆や表現、読者との信頼関係の維持には人間の判断や倫理観が不可欠とされ、AIの利用には慎重な意見も多い。
また、AI活用に伴う環境負荷や、読者への透明性確保も重要視する意見もある。
過去のニセ情報、約半数が「正しい」と誤認 4人に1人が拡散経験 総務省調査
「拡散された偽・誤情報は、ジャンル別に見ると『医療・健康』(62.6%)が最も多く、『経済』(48.8%)、『災害』(39.3%)が続いた。調査対象者にSNS・ネット情報を『正しい』と判断する基準を尋ねたところ、『公的機関が発信元・情報源である』が41.1%と最多に」。

——これだけで考え込まされる要素が満載だが、さらに興味深い傾向が指摘されている。それは「10代では『公的機関』や『専門家』」を判断基準として重視する傾向が強いのに比し、「60代以上では『自分の意見や信念と一致している』と答えた人も約2割」というくだり。いずれかが決定に正しいということはないが、それにしても「頑迷」というコトバが思い返される。

Google AI Overviews leads to dramatic reduction in clickthroughs for Mail Online
Google検索でAIによる要約「AI Overviews」が表示されると、英人気サイトMail Onlineの検索結果の場合、クリック率(CTR)はデスクトップで56.1%、モバイルで48.2%も低下し、サイト流入が大幅に減少したという。たとえAI Overviews内でトップリンクに表示されても、CTRは大きく下がる。特に一般キーワードで顕著だと、同社SEO担当責任者が述べた。
How Google forced publishers to accept AI scraping as price of appearing in search
米司法省の反トラスト裁判で明らかになった資料によると、GoogleはAIによる要約機能(AI Overviews)に媒体社のコンテンツを使うことについて、当初は使用を拒否できる選択肢(オプトアウト)を検討していたが、収益性を理由に却下した。
現状では、媒体社がオプトアウトするにはGoogle検索そのものからの除外が必要であり、事実上「可視性を失うか、無償でAIに使われるか」の選択を強いられることになる。
これにより、報道機関のトラフィックと著作権ビジネスの両方に悪影響を及ぼす恐れがある。Googleは限定的な制限手段を提供しているが、その内容は曖昧で周知も控えているとする記事。
How creators are using generative AI in podcasts, videos and newsletters — and what advertisers think about it
クリエイターがポッドキャスト、動画、ニューズレターでどうジェネレーティブAIを利用しているか。そして広告主はそれについてどう考えているか——。3月にKontent.AIがクリエイターらを対象に行った調査では、74%が週単位でAIツールを使用、39%が毎日使用していることが判明した。
Why More Young People Are Getting Their News From Influencers
米国の若者はSNSを通じてニュースを得る傾向が強まり、中でも親しみやすい語り口の「ニュースインフルエンサー」が人気を集めている。
信頼感や共感性のある発信が好まれ、従来の報道機関もこうした「タレント主導型ジャーナリズム」への対応を急ぐ。
一方で、多くのインフルエンサーは報道経験がなく、誤情報拡散のリスクがあるほか、SNS上で可視化されることによる記者の精神的負担や格差拡大の懸念もある。
読者との接点強化や多様性の促進といった利点もあるが、SNSという不安定な土壌で行う報道には限界もあるが、正しく運用されれば、ジャーナリズムの強化にもつながる可能性があるとする記事。
The Atlantic editor Jeffrey Goldberg: 'The market understands what a quality story is'
米Atlantic編集長Jeffrey Goldberg氏は、同誌のオーナーであるLaurene Powell Jobs氏について、「編集方針に一度も干渉したことがない」と高く評価。政治的圧力にも屈せず、メディアの役割を理解し、「嵐の中で立ち止まる(価値観を守る)行動をしただけ」と語ったという。
この姿勢は、Washington PostやLos Angeles Timesなど他紙で経営者の介入が問題となっている中、対照的な存在として読者や編集部から信頼を集める結果となった。
Goldberg氏は、Jobs氏の「何もしないこと」がむしろ称賛されている現状を紹介したわけで、経営者の報道への不介入が優れたジャーナリズムの土台なのだと強調した。
Der Spiegel daily quiz attracts 900,000 monthly users | Tomorrow's Publisher
ドイツの週刊誌「Der Spiegel」オンライン版、毎朝配信するニューズレターでニュースクイズを提供(無料)。このオンライン版クイズのMAUが90万人にのぼると、同プロダクトマネージャーが述べた。同メディアは、このクイズと読者コメント欄で購読化戦略を強化中。

ファクトチェックアワード2025

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

ファクトチェックアワード2025
【ご紹介】:
今年も「ファクトチェックアワード2025」を開催します。現在、候補作品を募集しています。偽誤情報の危険性が叫ばれています。的確なファクトチェックが行われるためにも、ぜひ自薦他薦いずれでも参画を。今月末が締め切りです!

Disruption This Week—–4/4/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年3月31日から2025年4月4日まで。

No one knows how to define a 'podcast' anymore — and it's become a problem
【有料購読者向け記事】:
ビジネスは奇妙な生きものだ。米国を中心にポッドキャストが躍進し、だれもがそれに取り組んだ結果、その定義や輪郭があいまいになっている。最新の調査では、米消費者の過半がYouTubeで視聴できるものをポッドキャストと見なすと答えているという。
Perhaps Google is really worth nothing to the news industry
深い自覚があってか、ないのか不明だが、Googleは、「ニュース」コンテンツが自分たちにとって無価値だと証明しようと躍起だ。AIはさらにそのプロセスを進めるのかもしれない。だが、今度はGoogleがニュースにとって無価値なのだと言う番だとする論説。
グーグル検索をやめてAIに乗り換えてみた
【有料購読者向け記事】:
「筆者は古い検索のパラダイムをシフトすることに賛成だが、AIに対する懸念もある。これらのシステムはインターネットから回答を吸い上げるが、元の情報源に誘導することはほとんどない。
信頼できる情報源(まさにこの媒体など)は、可視性、購読者、トラフィックを失う可能性がある」。

——注釈を入れておくと、上記の引用箇所は、AIとGoogle検索を使い比べた上での、結論に近い部分。AIに訊ねて得られる良好な結果は数多いことが、記事では示されている。上記の結論は識者のフェアな総括だが、さて、一般の消費者は同様の視点を持てるだろうか。

Tariffs don’t all act the same
“関税はどれも同じではない”——。
関税が積み増されることで、商品の販売動向はどう変化するのか? 洗濯機、タイヤ、TV、スマホ…と各種商材がどのような売れ行きを見せたか、米国内の過去の実績を使いReutersがビジュアル化。アプローチもビジュアル化も勉強になる記事。
YouTube is about to eclipse Disney as the biggest media company in the world
【有料購読者向け記事】:
例えば、従来のメディア企業やストリーマーとは異なり、YouTubeには他への優位性を示す象徴的なプログラムや映画作品はない。「ストレンジャー・シングス」や「バービー」はない。そのYouTubeがDisneyを抜き世界最大のメディアになろうとしている。
米の攻撃計画チャット漏洩「シグナルゲート」スクープが示した、新トランプ時代の「調査報道」とは?
「記者と報道機関はリアルタイムで間違いなく情報を入手し、それをどう扱うべきかを知っていた。
(中略)
スクリーンショットがあった。タイムスタンプ付きで。そして、この政権でさえ否定する方法がわからないような形で、実名やイニシャルが付けられていた」。

——何度か紹介している、Trump2政権下で起きた「Signal Gate」。メッセージングアプリSignal上のグループチャットで、政権幹部がかわしていた野放図な戦争情報。入手した記者は、安全保障上の配慮と国民の知る権利の両面に配慮して、政権幹部らが否定し得ないアプローチで報じた。平和博さんの記事で、それを学ぶことができた。

Vox sees boom in paying readers for explainer journalism under Trump 2
Trump2が、米メディア業界に与えたのは、排除や圧力だけではない。“解説(Explainer)”を看板にするメディアVoxでは、Trump氏が大統領就任後の2か月で有料購読者の増加率が350%となった。編集長Swati Sharma氏へのインタビュー記事。ニュース忌避へのアプローチを語る。
ChatGPTで「ジブリ風」イラスト作って問題ないの?福井健策弁護士が「著作権のポイント」解説 - 弁護士ドットコムニュース
「アイデアは模倣自由であり、それを超えた特徴的表現の模倣は自由ではない、これが現在の世界の著作権の基本ルールです。ただ、生成AIの登場でこの原則がゆらいでいます」。

——作風の模倣レベルは、人間文化の推進力として容認できるものの、「原則がゆらぐ」のは、AI企業が「特定の個人・団体の作品を複製して学習することがどこまで自由か」という課題だと指摘する論。

環境省の除染土パブコメ、20.7万件の96%が同一文章 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「東京電力福島第1原子力発電所事故で生じた除染土の再利用に関する省令案について、一般から意見を募るパブリックコメント(パブコメ)の提出意見数が20万7850件だったと発表した。2024年度の日本政府によるパブコメで最多となった。文言が完全に一致した重複の投稿は96%を占め、同一人物からの大量投稿も目立った」。

——これはこれで衝撃的な数字だが、その先には「文言が完全に一致」しないが、内容は同様というコメントを機械的に大量生成する時代がもうやってきている。それをチェックできるか。

Bloomberg Has a Rocky Start With A.I. Summaries
【有料購読者向け記事】:
米Bloomberg Newsは、今年から公開しているAI生成による記事要約(冒頭に箇条書きを付加する)を、少なくとも30件訂正している。その一つは、つい先日、Trump大統領の自動車関税をめぐるニュース報道で生じたと、米New York Timesが指摘。

Disruption This Week—–31/1/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年1月27日から2025年1月31日まで。

英公共放送Channel 4のトップは、27歳以下Z世代の視聴を分析した結果、「Z世代にとって、ソーシャルビデオは主要な文化的羅針盤である。 しかし、それは個別化されている」ことが深刻な問題と指摘。彼らは両親とはもちろん、同級生とも同じものを視聴していないと指摘する。「彼らは広く情報を集め、友人やインフルエンサー、伝統的なメディアを同様に重視する。その区分がないのだ」とも言う。
DeepSeekがOpenAI O1モデルを“蒸留”したと話題だが、昨年末、カリフォルニア大Berkeley校のSky Computing Labのチームが「450ドル以内でo1-previewと同等の性能を発揮する推論モデルSky-T1-32B-Preview」を公表、オープンソース化していた。
サイバーエージェント、メディア&IP事業が大幅増益 ABEMA好調で営業利益14億円、売上高も過去最高
「ABEMAのコンテンツの中でも特にアニメが人気を博している。年末年始はスポーツがオフシーズンであったが、アニメや格闘技などを中心に番組編成をしたところ、23年の年末年始を上回る2079万WAU(1週間当たりの利用者数)を記録したとしている」。

——「営業利益14億円」はともかくとして、ABEMA事業が同社に果実をもたらし始めた。ここにいたる軌跡には驚かされた。

White House will reserve front-row seats in press briefings for influencers, podcasters, and others in “new media”
第2期Trump政権で最初のプレス・ブリーフィング。報道官であるKaroline Leavitt氏は、このブリーフィングに、インフルエンサーやポッドキャスターらの席を提供すると表明。併せてGallup社の調査を引き、「米マスメディアへの信頼が記録的な低さ」にあることを強調した。
中国やイランなどのハッカー、グーグル「ジェミニ」利用して攻撃能力強化
【有料購読者向け記事】:
「グーグルでサイバー攻撃対策に携わる専門家によると、過去1年間に、20カ国以上の数十に上るハッカーグループがグーグルのチャットボット『ジェミニ』を利用し、悪意のあるコードの作成、サイバー脆弱(ぜいじゃく)性の探索、攻撃対象とする組織の調査などを行った」。

——影響力工作の阻止や抑止にAIがどう役立つかという取り組みも進んでいるが、一方で、悪用法の開発という面で“悪知恵”の方が先を行っているという事態。

少数精鋭、AI企業ディープシーク 「中国化」した開発で高性能:朝日新聞
「2025年1月20日、中国の李強首相が開いた経済関係者らとの座談会に出席した『ディープシーク』創業者の梁文鋒氏。中国国営中央テレビが放映した画像が、中国のメディアで繰り返し用いられている=中国メディアから」。

——DeepSeek創業者・梁文鋒氏の近影(今年撮影!)が、中国の国営メディアに掲載されていた。

ランクエスト、情報収集の世代間ギャップ調査 テレビは年齢とともに利用率上昇 20代35%70代87%
「情報収集を行う媒体を質問したところ、インターネットは全世代で8割前後が利用し、特に40~60代では90%超と高水準だった。一方、SNSは10代の85%から年齢が上がるにつれて低下し、70代以上では17%にとどまった」。

——「情報収集」って何だろう?という基本的な問題がある。それが検索という概念に収れんするのか、メディア接触そのものをさしているのか。AIの汎用化が進むとその姿が変化しそうだ。

DeepSeekショック、米AI株が急落 NVIDIA一時18%下落 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「中国の人工知能(AI)企業であるDeepSeek(ディープシーク)が低コスト生成AIモデルを開発したことを受け、米金融市場が揺れている。AI半導体大手エヌビディアの株価は27日午前(日本時間28日未明)に一時前週末比2割近く下落した」。

——みるみる間にAI関連全面安の局面に。AI関連設備機器まで影響を受けているようだ。

中国のDeepSeek、その低コストAIモデルの全て―QuickTake
「創業1年余りの中国の人工知能(AI)新興企業であるDeepSeek(ディープシーク)は、世界トップクラスのチャットボットに匹敵する性能を、その数分の1程度のコストで実現する画期的なAIモデルを披露し、シリコンバレーを感心させると同時に慌てさせている」。

——突如AI業界の中心部に躍り出た中国製ジェネレーティブAIの新星DeepSeek。その性能(そしてそのコスト)でインパクトを与えると同時に、AIブームで沸いてきた市場の雰囲気を一転させつつある。

How Newsweek Engineered Its Unlikely Turnaround
2018年、Dev Pragad氏のCEO就任以降、米老舗メディアNewsweekが快進撃。売上で2024年は4倍強(2000万ドル→9000万ドル)に、単体黒字に到達。収益の63%は広告事業。読者獲得で、Redditからの流入が20%という。