Disruption This Week—–19/5/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年5月15日から2023年5月19日まで。

The New York Times enters the podcast app business at a 'weird time' - Poynter
米New York Times、成功裡に拡大してきた同社ポッドキャスト作品群を束ねた購読者専用ポッドキャストアプリ「The New York Times Audio」を発表。著名テック批評家Peter Kafka氏は、「NYTのポッドキャストが好きで他社のポッドキャストは聴かない」人のための製品と皮肉る。
Netflix Advertising Tier Now Has “Nearly Five Million” Monthly Active Users
米Netflix、広告表示版の公開から6か月で、500万MAUを突破と発表。正確な購読者数は明かさないものの、100万人程度と業界筋は推測。ユーザの年齢は中央値で34歳だという。
生成AI 新聞協会の見解(要旨)
「生成AIによる報道コンテンツ利用をめぐり、日本新聞協会が17日に発表した見解の要旨は次の通り。
…1. 言論空間の混乱と社会の動揺、2. 個人情報保護上の懸念、3. 現行著作権法や法改正に至る過程の問題点、4. 報道機関の著作物等をめぐる課題、5. 不透明な運用実態、権利者への不十分な情報開示」。

——骨格のみの引用。原資料も公開されているので玩味したい。

Google traffic worth less than £75m per year to UK publishers says NMA
英報道メディア協会(NMA)、委嘱した調査でGoogleが英メディアにもたらすトラフィックの収益価値を年間7,500万£以下と推定。それに対し英Googleが得た広告収入は100億£以上とギャップを強調する。
A startup is giving away 500,000 TVs — with one catch: There's a second screen for ads. Here's how to get one.
無料のストリーミングTVアプリを提供する米Pluto TV。同社がパンチの効いたユニークなキャンペーンを開始。50万台ものTV(それもスクリーン2つ装備!)を無償配布するのだという。もちろん視聴データを同社に提供する必要があるのだが。
米国ポッドキャスト広告市場、2022年は2400億円超の26%増--2025年には約5380億円へ
「(インターネット広告業界団体の)IABは米国のポッドキャスト広告市場に関する調査結果を発表した。2022年のポッドキャスト広告売上高は、18億ドル(約2422億円)で、前年に比べ26%増だった」。

——急増かつ巨大な広告市場とまでは言えないかもしれないが、依然として成長を続ける音声メディア。ジェネレーティブAIによる無人ポッドキャスト放送が拡大する予感もある。

音声5秒と写真1枚でできあがり 選挙も脅かす偽動画への対策最前線:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「『チャットGPTが公開されてから数カ月で、世界を変えた。来年の選挙が無事乗り切れるか心配だ』。ハーバス氏(=元Meta選挙対策担当幹部)はそう話す。『2025年が始まる頃には、技術を取り巻く世界はまったく変わっているだろう』」。

——朝日新聞の「ビッグテック」連載のなかの記事。ジェネレーティブAIが生成する真偽の見分けがつかないような情報の技術を紹介する一方、IT大手が経営上の課題にぶつかって一様に人手を減らしていることに、セキュリティ上の脆弱性が生じると警鐘を鳴らす。

【全文閲覧には要登録】:
Quartz、The Washington Post、The Guardian、Business Insider、HuffPostなどいずれも過去チャットボットに取り組み失敗してきた。だが、今は違う。「ある種のチャットボットは、サブスクリプションビジネスに最適だ」と新たに取り組みの波が到来しているとする記事。
GPT-4採用のインフルエンサーbot「CarynAI」、1週間で収益7万ドル
「マージョリーさん(=キャリン・マージョリー氏)は自分のファンのためにTelegramに有料のグループを作り、ファンからのメッセージに極力返事をするようにしていたが、そのために1日に約5時間費やすようになり、チャットbotを立ち上げることにしたという」。

——AI生成による音声とアバター、そして会話内容は学習されたもので、本人と個人的に会話する気分にさせるとしたら、ファンは……。想像通りのビジネスが現実のものとなってきた。

文章生成AI、訓練データの対価どう払うべきか
【有料購読者向け記事】:
「レディット(=米大規模掲示板)の広報担当者は、データのアクセスを有料化することでどのくらいの収入が得られるかは分からないとしたが、同社が所有するような種類のデータが今日の大規模言語モデルの一部を向上させると確信していると述べた」。

——この種の大規模掲示板やWikipediaなどWeb上のフリーな情報源(もちろん、メディアのWebサイトも含む)に改めてアクセスが集まっている。生成AIの“学習”行為としてのクロールが行われている蓋然性があるわけだ。記事はこの経済的対価を俎上に載せるが、別の視点では、生成AIが今後提供する「知性」がこれら情報に依存することの種々の課題が、経済的対価だけでなく語られるべき時代に来ているとも言える。

「第2のツイッター」 創業者やメタ、新SNS…(写真=ロイター) - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が日経電子版に掲載されました。よろしければご一読を。➡ 「第2のツイッター」 創業者やメタ、新SNS開発

Disruption This Week—–12/5/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年5月1日から2023年5月12日まで。

Google is changing up search. What does that mean for news publishers?
Googleが発表したAIベースの新たな検索エンジンのプロトタイプ「SGE(Search Generative Experience)」。一般消費者にとっては複雑なクエリを受け止めると同時に、リンクを経由する送客は激減する可能性を示す。メディアやアフィリエイトには打撃か?
The Athletic’s live audio rooms bring sports talk radio into this century
現在はNew York Times傘下のスポーツ専門メディアThe Athletic。同メディアが提供する競技終了後の音声ライブ企画である「ライブルーム」が実施1,000回を超えた。試合後、通常のジャーナリズムは記事執筆などに忙しいが、ファンは競技の興奮を分かち合う空間を求めている。そこにファンとブロガー(ポッドキャスター)が交流するニーズを見いだした企画。
ソフトバンク、LINEと和製GPT立ち上げへ 「やらなければ今後の参加権がなくなる」
「グループ内からAI開発人材として1000人を選抜し、異動または兼務を検討している。『1000人から5000人規模の“GPT祭り”をやらなければ、日本の中でのGPTの立ち上がりはない』(宮川氏)」。

——国内勢からも動き。数百億円でゲームに参加できるとの議論もあるし、すでにLINEではLLMに取り組んできた背景もある。“日本語(情報)に強い”LLMが創造されるのかが興味。

The Times Added 190,000 Subscribers Last Quarter
【有料購読者向け記事】:
米New York Times、第1四半期業績を開示。デジタル購読者19万人を新規獲得。スポーツサイトAthleticをデジタル購読製品にバンドルした効果が寄与。デジタル購読者総数は900万人に達した。これもあってトップラインは成長する一方で、デジタル広告収入は8.5%減。第2四半期も減を見込む。
Google's AI search is over | Semafor
“GoogleによるAI検索の(始まりと)終わり”。米Semarforが25ものAI新サービス(機能)を発表したGoogle I/Oを論評。「Googleは、何年も前にこれらの製品のいくつかはリリースすることができたはず」。本業の革新へと進めなかったジレンマを指摘。
Publishers using ChatGPT to improve headlines and suggest feature ideas
メディア業界に属しているのなら、ChatGPTがSEOにどうインパクトをもたらすか関心があるだろう。英メディア3社の担当者が議論。各社は自社の記事に「見出しの改善、検索に最適化したキーワードの示唆、記事の適切な要約」などの点で、AIが生産性を高める支援ができると述べた。

2023 Pulitzer Prizes

2023年のピューリッツア賞受賞者およびメディアが15部門で発表。今年はWeb専業の新興系メディアが目につかない。残念なトレンドでもある。

景気後退局面で、こういうトレンドに陥るのは、良質なジャーナリズムには資金や組織的体力が必須だということでもあるのか。

The Unified Content Business Model

Stratechery by Ben Thompson

The Unified Content Business Model
個人サイト「Stratechery」運営の著名ブロガーBen Thompson氏、BuzzFeed Newsの閉鎖やNew York Timesに買収されたThe Athleticに触れ、ニュースメディアのビジネスモデルは「購読+広告」であるべきと自説を改めて論じた。良質な購読モデルが良好な広告収益を可能にするとしている。
Can AI help local newsrooms streamline their newsletters? ARLnow tests the waters
米バージニア州のローカルメディア、人手がかかる作業の工数削減のため、AIや各種自動化ツールを駆使して無人によるニューズレター配信フローを完成、先月より実用運用(配信)を開始したとする報道。
SoundCloud debuts a fan engagement tool for artists
音楽ストリーミングプラットフォームのSoundCloudは、アーティストによるファンビジネス基盤の方向を強化中。アーティストがファンにDMを送ったり、ファンの行動でエンゲージメントを指数化して見たりできるコンソールである「Fans」をアーティストに提供を開始した。
Are news outlets using the wrong metrics to assess sites’ success?
米メディル・シュピーゲル・リサーチ・センター(SRC)の調査で、ニュースの収益化(マネタイズ)で最も重要な要素は有料購読と判明。だが、驚くべきことにページビューや滞在時間の増加は、実際には購読者や収益に悪影響を及ぼす可能性があるとし、“一気読み”を悪習と否定。
「購読者がニュースサイトを定期的に訪れる習慣が望ましい。長い記事をたまに読み、その間にかなりの期間離れてしまうことが望まれる」というのだ。
Nearly Half of YouTube’s U.S. Viewership Is Now on TVs, Helping Drive Ad Shift
【有料購読者向け記事】:
Nielsenらの年次調査によると、いまやYouTube視聴の45%がCTV(コネクティッドTV)上で行われている。TV(コンテンツ)の“王様”はYouTubeなのだ。かつて“汚い”コンテンツと広告主に嫌われた存在が、今では広告ビジネスの焦点となったとする記事。
“We Were Always Playing An Entirely Different Game”: The Ultimate Oral History Of BuzzFeed News
2012年、米BuzzFeedのニュース部門を設立されたBuzzFeed News。5月5日の閉鎖まで、多くの刺激的な報道、ファクトチェックを公開。ピューリッツァ賞受賞など輝かしい成果の一方、さまざまな議論も巻き起こした。スタッフらが証言を集めたオーラルヒストリーを最後に公開。
A startup let users talk to ChatGPT through a female avatar. It went awry. | Semafor
ChatGPTのユーザインタフェイスとして、金髪白人女性アバターを用いるサービスを試行した米スタートアップBubbles、ユーザが不適切な性的表現をアバターに求めたことから、アバター生成プラットフォームのSynthesiaにサービスを停止させられた。米Semaforがリポート。これからこのような事案が急増しそうな予感。
『「2030年日本」のストーリー』刊行記念 オーサー&ゲスト超異分野トーク | イベント | 東アジア藝文書院 | 東京大学
【ご紹介】:
来る16日(火)に東大で行われる『「2030年日本」のストーリー』刊行記念に登壇いたします。おもに、気鋭の社会学者・西田亮介さんとやり取りさせていただきます。参加無料ですので、ぜひご参加下さい。オフライン・オンライン聴講いずれも可能です。

Disruption This Week—–28/4/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年4月25日から2023年4月28日まで。

Mark Zuckerberg says he is absolutely not abandoning the metaverse as company division loses $4 billion
MetaのMark Zuckerberg氏、同社がメタバースからAIに軸足を移しているとの観測を否定。「AIとメタバースの両方にこれまで何年も前から注力してきたし、これからも力を入れていく」と語る。AIへの注力という戦略転換を自己擁護。
What BuzzFeed News's demise tells us about the future of online media
米BuzzFeed News終焉という苦い教訓。オンラインメディアは、SNSなど様々な場所に読者が存在しさえすれば、それと出会うことが最重要と長い間信じ込んできた。だがメディア自身を目的地と読者に認識させられなければ存続できないとの命題を突きつけられたのだとする論説。
子どもたちの死、TikTokのアルゴリズムが招くのか-米国で訴訟頻発
「今年2月には、『痛みを取り除いてほしい、死は救いだ』という動画がナスカ君のアカウント内にある『おすすめ』フィードに送られてきた。別の投稿では男性の声で、『口の中でショットガンの引き金を引いて脳を吹っ飛ばす』というものがあり、女性の声が『クール』と答えている」。

——記事には、子どもの自死の理由を追い求め、息子のTikTokアカウントを見ると、「このアプリのアルゴリズムが、うつや絶望、死についての多くの動画を表示していたことも分かった」とある。

グーグル、2四半期連続で広告収入マイナス
【有料購読者向け記事】:
「グーグルを傘下に抱えるアルファベットが25日発表した1-3月期(第1四半期)決算は、グーグルの広告収入が2四半期連続のマイナスとなった。
広告収入は前年同期比約1%減の545億ドル。減収は2004年にグーグルが上場して以来3度目で、昨年10-12月期(3.6%減)に続き2四半期連続」。

——依然として広告事業の停滞、特にYouTubeで減収が顕著。一方、決算発表を受けて株価は上昇。理由は自社株買いの発表と、Google Cloudが会計基準の変更もあって、ついに黒字化したことがあげられそうだ。

Google soft launches new subscription tools for publishers | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
Google、メディア運営者が簡単に読者からの購読や寄付などの受付け管理ができる「Reader Revenue Manager(RRM)」を提供開始。中小零細メディア向けで導入が容易だという。Googleはその収入の5%を徴収する。また、購読者側はGoogleアカウントによるログインが求められる。
News app Artifact can now summarize stories using AI, including in fun styles
Instagramの創業者らが創業しサービス開始したニュースアプリ「Artifact」、OpenAIのAPIを使いニュースの「要約」を行うオプションボタンをアプリに実装。ただし、同社は「記事の全文に取って代わるものではない」と念を押す。
Meta Tries to Lure Advertisers With Reels Discounts, AI Tools
【有料購読者向け記事】:
少し以前の記事の紹介だが。Metaは例年、広告代理店等に自社のプロダクト戦略と選択すべき広告種別をプレゼンテーションしているが、今回は、高圧的な姿勢を改めている。注目はメタバース関連の露出を控え、短尺動画などを前面に押し出したことだ。メタバースという近未来製品を中心に据えてきた同社の姿勢が揺らいだ?

もはや何度もプロンプト入力するのも不要、指示出し一発で仕事を完遂してくれる「Auto-GPT」とは

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

もはや何度もプロンプト入力するのも不要、指示出し一発で仕事を完遂してくれる「Auto-GPT」とは
「Auto-GPT は GPT-4 モデルの AI アプリケーションだが、GPT-4 に勝手に仕事をさせることができる。何度もチャットボックスでプロンプトを与える必要はなく、仕事内容を伝えれば、AI がニーズに合わせて自己開発を続けるのだ」。

——こちらもすでに紹介した注目の「Auto-GPT」。その仕組みや威力についてわかりやすく解説している。ChatGPTより良質なインパクトを創りだしそうだということ。

アーティストのGrimes、生成AIで自分の声を自由に使っていいとツイート
「私の声を使ってAIが生成した曲がヒットした場合、ロイヤリティの50%をシェアしよう。これは、いつも私がコラボするアーティストとの取引条件と同じだ。私の声は自由に使っていい」。

——昨日、米Forbesの記事で紹介したが、日本語の紹介記事が出たので改めて。“勝手にやっていいよ”レベルなので、このような取り組みが急増するとは見ないが、ロイヤルティフィーを追跡的に管理できる仕組みが投入されたら、ビジネスとして急増するのでは?

2023 Digital media trends survey | Deloitte Insights
米調査会社Deloitteが「Digital media trends 2023」を公開。今回は若者たちにとってデジタルメディアを通じた文化、コミュニケーション、アート体験の融合などを大きく扱う一方、普及したストリーミングサービスが直面する視聴者らの厳しい評価も取り上げており興味深い。
シンポジウム「デジタル空間の活用と健全化に向けて」
【ご紹介】:
慶応大学で開催されたシンポジウム「デジタル空間の活用と健全化に向けて」に参加してきました。私の発言も掲載しています。

Disruption This Week—–14/4/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年4月10日から2023年4月14日まで。

Briefing: Warner Bros. Discovery Unveils Max Streaming Service
【有料購読者向け記事】:
米メディア大手Warner Bros. Discovery、合併効果などもあり、従来のストリーミングサービス「HBO Max」と「Discovery+」を統合した新サービス「Max」を発表。Netflixなど大手を追う規模化路線。今後はスポーツライブも追加するという。
The Economist is doing some awesome podcasting - Talking Biz News
英Economist誌がポッドキャストに注力、急成長を遂げているとの報。同社ポッドキャストは3月には平均約2500万ダウンロードされており、ユニークリスナー数は過去3年間で倍増。2019年に200万人だったが、現在では500万人に達するという。同誌は厳格なペイウォール制を敷いているので、この種の流入拡大は重要だろう。
デジタル時代のメディア、特に新聞社に期待すること - 校條 諭|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
【期間限定公開記事(明日まで)】:
「私は、新しい技術による新しいメディアのあり方を受け入れる立場です。紙に拘泥せず、デジタルメディアにおおいに期待しています。しかし、その際に、紙の新聞のよさ(紙面文化)をすべて忘れて捨て去ってしまうことには反対です」。

――現在の、新聞の意義とデジタル時代の可能性と限界を良く整理した記事。メディア人は一度は読まれたら良い。
個人としては、新聞が紙面という一覧性という優れた利点を持つとは言え、デジタル(モバイル)時代は、別の“発見(ディスカバリ)”機能を備えつつあるのだということに視点が十分に届いていないとも感じたのだが。
そうでなければ、時には新聞本体以上の読者が、ニュースアグリゲータやニュースアプリ上で生み出されていることが説明しにくいと思う。
さらに、ChatGPTが生まれたことで、新聞(=ニュース、報道)に、徹底的にパーソナル化された会話形式でのストーリーテリング能力が加わったのだということにも気づかなければならないと思う。
それは、「フィルタバブル=悪だよね」といったシェーマ以上に巨大な可能性をもたらすものでもあるかもしれない。新聞の未来はそれで救われるかもしれないのだ。
この事態を危機と考えるか、機会と考えるかは、新聞人(ニュースの担い手)次第だろう。

Researchers have uncovered a new Twitter campaign targeting two Chinese activists, dissidents
米コンテンツモデレーション企業のNewsGurard、中国の政権批判を行っている人権活動家ら2名を執拗に攻撃する中国語による18のTwitterアカウントを同定。いずれも同時期に開設、活動を開始。プロフィール画像やアカウント名に共通性がある組織的取り組みと見られるとする。中国政権による攻撃とは同定されないものの、Twitter社の脆弱な態勢がこの種の活動を許している可能性を指摘。
オーディオブックでAI活用進む 故人の合成音声も
【有料購読者向け記事】:
「ロンドンを拠点とする人工知能(AI)スタートアップ企業ディープゼン(DeepZen)が、遺族の許可を得た上で過去に録音されたハーマン氏(エドワード・ハーマン氏。オーディオブック界の著名ナレーター)の声を利用して生成したものだ。同社によると、過去の録音データを基に、同氏本人がそうした新刊書のナレーションを担当した場合に使用したと想定される、あらゆる音やイントネーションを生成することができる」。

——当然こういうビジネスが可能になってくるはず。いずれ人気のアイドルや俳優らが、自身の音声を利用する権利を丸ごと独占ライセンスするようなことが起きるのではないか?

AI generated news presenter debuts in Kuwait media
クウェート通信、AIを用いてバーチャルなニュースプレゼンター「Fedha」を公開。Twitter上でニュース速報を読み上げさせる計画。「Fedhaの金髪と明るい色の瞳は、クウェート人や外国人など、石油資源の豊富なこの国の多様な人々を反映している」と編集幹部は述べる。
note、クリエイターエコノミー動向2023を発表 収益を得るクリエイターが前年比で27.3%増加
「同プラットフォーム(=note)で自身が創作した記事を販売して収入を得ているクリエイターの数を見ると前年と比較して27.3%増加し、累計127,000人という結果となった。
さらにnoteの有料記事数は前年比で137万件増加した。クリエイターエコノミーの拡大が加速していることがわかる結果となった」。

——noteが例年発表する「クリエイターエコノミー動向」。引用のように、引き続き“クリエイターエコノミー”圏は拡大している。これからどの方向にエコノミーが越境していくのか興味をもって見守る。

Instagram Founders' App Artifact Adds 'Reputation Scores,' Comments
元Instagram創業者の2人が先ごろリリースした“ニュースアプリのTikTok”版と呼ばれる「Artifact」。redditに似た記事の評価、コメント機能を追加。コメントするユーザの本人制確認と信用度も掲記する仕組みで“荒れ”を抑止し、健全なソーシャル性を持たせる方向を示す。
ChatGPT開発オープンAIのCEO、日本語サービス拡充検討-首相と面会後に語る
「同氏は首相官邸で岸田文雄首相と面会後、記者団に対し、『われわれはより多くの時間を費やして優れた才能と交わり、日本の人々のために素晴らしいものを構築できることを望む』と発言」。この2月には、米軍事AI技術のパランティア・テクノロジーズのCEOが来日、首相と会談している。創業間もないスタートアップが来日、いきなり首相と重要な会談って、時代の変化が急だ。
AI Developers Stymied by Server Shortage at AWS, Microsoft, Google
【有料購読者向け記事】:
ジェネレーティブAIやChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)ブームで沸き立つ市場。最大の問題は、AI開発に欠かせないGPU製造元のNvidiaの供給能力の払底。AI開発用のクラウドサービスに需要家(開発者)の長い待ち行列が生じているとする記事。
TikTokに政治の逆風、急成長に陰り(写真=ロイター) - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が、日経電子版に転載されました。よろしければご一読を。➡ TikTokに政治の逆風、急成長に陰り

Disruption This Week—–7/4/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年4月3日から2023年4月7日まで。

ChatGPT、何が問題か 元グーグル社員「非常に無責任で無謀」:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「規制が何もないのをいいことに、マイクロソフトのような企業はいま、世界の全人口を実験台として利用することが許されてしまっています。倫理や道徳という観点から考えれば、もっと民主的な統制があってしかるべきでしょう」。

——元グーグル社員でAIが社会に与える影響を研究し、警鐘を鳴らしてきた人物による警告。

出版状況クロニクル179(2023年3月1日~3月31日) - 出版・読書メモランダム
「講談社の決算は売上高1694億8100万円、前年比0.8%減、営業利益は191億円、同11.9%減、当期純利益は149億6900万円、同3.8%減。
その内訳は紙媒体の『製品』が573億5500万円、同13.5%減、デジタル、版権関連の『事業収入』は1001億7200万円、同10.0%増。そのうちの『デジタル関連』収入は778億円、同10.9%増、『国内版権収入』は98億円、同13.6%減、『海外版権収入』は124億円、同35.2%増」。

——上記の引用箇所だけでも、メディア事業をめぐる存立構造、あるいはその発展方向を想像させる刺激に満ちている。「事業収入」が「製品収入」の倍近くもあるのだ。しかもその事業収入の8割がデジタル由来だという。講談社だけの現象には止まらないだろう。もちろん、とはいえ、現時点ではそのような事業構造を持てるのは国内で数社だろうが。

米Protocolの編集長のTom Krazit氏は、同メディアの閉鎖にともない、その2万人以上だった購読者メールリストを買い取って独立。広告付きのメールメディア「Runtime」として再スタートを切ったとする話題。良い話題でもあるが、読者リストを売買対象とするのには抵抗も感じてしまうのだが…。
Substack's new short-form 'Notes' feed looks a lot like Twitter
ニューズレター配信の米Substackは、ユーザーが投稿、引用、コメント、画像、リンク、アイデアを共有できる新たな「Notes」機能の追加を発表。Substack上で共有されたNotesは、Twitterによく似た専用の短文フィードで表示されるという。別に論じたが、Twitter後継争いが激化している。
MidJourney V4 VS Leonardo AI — Same Prompt, Different Results
ジェネレーティブAIについては、ついついChatGPTを話題にしてしまうが、先行し話題となった画像生成系サービスでも、改善や新興サービスの台頭が進んでいる。記事は、同じプロンプトでサービス(MidJournyとLeonardo AI)によりどうアウトプット(画像)が異なるかを具体的に比較した有益な資料。
「プロンプトエンジニアリング」の“教科書”、日本語版が登場 無償でAIの上手な使い方を解説
「プロンプトに関する基礎知識から使用アイデア、注意点などを記載。プロンプトエンジニアリングに関するテクニックの他、GPT-4など特定のAIモデルの特徴などについても言及している」。

——ジェネレーティブAIが技術分野を席巻するにつれ、AIから的確な回答(アウトプット)を得るための的確な指示(プロンプト)が重要になることは、何度か話題にしてきた。このプロンプトエンジニアリングをめぐるガイドブックの紹介。日本語化されたものだ。

Post, a publisher-focused Twitter alternative, launches to public
“読んだだけ払う”。従量型課金システムがこれから広がると見ているが、Twitter的手軽さと従量型課金制を提携メディアに提供する、米「Post News」の話題。利用者は事前に一定額支払い(バウチャー)、利用に応じてそれを消費するモデルのようだ。
新聞社の衰退はネットやスマホの普及が原因ではない グンゼという会社から考える本質:朝日新聞GLOBE+
「…断言できるが、新聞各社の売上が減少し続けているのは決して、インターネットやスマホが普及したからではない。
単に経営陣が世間ずれし、今もなお間違っているからである。
なぜそんなことを、断言できるのか」。

——「新聞社の本質的な強みとは本来、『知性ある記者・編集者』が『取材やエビデンス』に基づき、『信用できる情報』を届けてくれることにあったはずだ」と凡事を徹底すべきことを指摘するオピニオン記事。

カナダ政府が法制化をめざすプラットフォーマによるメディアへ支払いの義務化について、行われた調査研究「Meta and News」によると、Facebook(フィード)上の報道関連トラフィックは3%未満で、年々減少中であり、そのトラフィックもメディア自身による投稿が9割を占めており、ユーザによる投稿(シェア)は少ない。故にFBから恩恵を受けているのはメディア機関だと指摘。
米ツイッター、表示順決めるアルゴリズム公開 マスク氏「公約」、安全面懸念も:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「同社は仕組みをブログで説明。(1)利用者の関心が高そうな人やテーマの投稿から約1500件を選ぶ(2)利用者が「いいね」やリツイートなどの反応をする確率をAIで予測し、点数をつける(3)同じアカウントの投稿が続かないように調整するなどした上で点数の高い順に流す、という主に三つの段階があるとした」。

——あまり大きな話題を呼んでいないようだが。ここで説明されているのは、Twitterの一人ひとりのユーザに対し、どのようなツイートを表示するかというパーソナライズについてだろう。自分のタイムラインを見ても思い当たるところだが、上記では説明できない要素もあるようなので、もう少し勉強したいところ。

ファクトチェックアワード2023

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

ファクトチェックアワード2023
【ご紹介】:
多くの人々を誤解させるおそれのある社会的影響の大きな言説・情報を検証し、正確な事実を共有することに貢献したファクトチェック作品のうち、特に優れていて社会的意義が高いと認められたものを表彰します。締め切りは20日です。
「オリジネーター・プロファイル(OP)」の挑戦——ネットニュースの信頼性をどう担保するのか? - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techに新着記事です。メディア業界で注目されるプロジェクト「OP(オリジネーター・プロファイル」技術研究組合について、事務局を主導するクロサカ氏に取材しました。