Disruption This Week—–5/8/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年8月1日から2022年8月5日まで。

「パブリッシャーは、スリーパー購読者や購読者ベースの幅広いエンゲージメント率を正確に把握するために、すべての関連チャネルとタッチポイントでのエンゲージメントを考慮する必要があります」。

——すでに紹介しているが、購読基盤提供事業のPianoが発表したリポートで、“休眠購読者”(活動していないが購読料を払い続けている人々)の比率が4割を超えるという問題。その実態の正確な把握から、対策を施していくべきとする実践的な記事。“寝た子を起こすな”的姿勢は、長期的に見てメディアの利益にならないという前提の議論だ。

Mobile users now spend 4-5 hours per day in apps – TechCrunch
各国のスマートフォン利用、新型コロナ禍を経てもアプリ利用時間は依然として(ゆるやかに)成長中。日本を含む世界13か国で、1日当たりアプリ利用が4時間以上。アプリ関連情報分析のdata.ai(旧App Annie)調べによる。
In tough conditions, business at The New York Times continues to thrive - Poynter
米New York Timesの第2四半期業績が公開。同期にデジタル(のみの)購読者を18万人追加。だが、デジタル広告収入は減少。注目は買収したThe Athleticの業績寄与だが、同部門の赤字により全社利益は減少。この期から同社はニュースとその他の購読とマージしてのみの発表へと変更。要するに、ニュース購読意欲の減少を上回るその他(スポーツ、料理、ゲームなど)購読意欲を重視する業績向上をめざす路線を明瞭にした。
Two new Hollywood newsletters are betting they've got the town covered
米ハリウッドのお手盛りメディア生態系を打ち破る? 批判的なリポータらが、投資資金も得てニューズレターを舞台に新興メディアとして活動。さまざまな偏見文化が浸透しているこの業界に2017年開設の「Ankler」で切り込むRichard Rushfield氏らを取材した記事。
IPアドレスに依存する CTV 広告、規制強化のリスクに直面:「IPアドレスは次のサードパーティCookieだ」 | DIGIDAY[日本版]
「良いニュースと悪いニュースがある。前者は、事実上の識別子としてIPアドレスにいつまでも依存してはいられないという認識が、CTVの広告業界に浸透しつつあること。後者は、業界の趨勢がいまだIPアドレスに依存していることだ」。

——TVのような固定設置型機器であれば、IPアドレスは追跡の精度をある程度確保できるということか。視聴“調査”に使われているらしい。もちろん、CMのパーソナライズも可能だろう。だが、このような識別子を断り亡く収集し、利用することへの圧力は高まっている。IPアドレスの利用もCookie相当のものとなっていくのだろう。

オープンAI、文章から画像を描く「DALL-E2」を100万人に提供
「オープンAIは、DALL-E 2でジェンダーと人種のバイアスに対処したことが、本格的な公開に踏み切る自信につながったと述べている。しかし、これが最終結論ではない。AIにおけるバイアスは悪質かつ解決が難しい問題であり、同社は新しい事例が発生するたびにモグラ叩きのように修正を続けなければならないだろう」。

——GPT-3から発展した自動画像生成システム「DALL-E(ダリー) 2」がいよいよ商用テストに。ちょっと使ってみたい気も。問題は、“ハンドラの匣”を開けるように、さまざまな問題を引き起こすだろうということ。

Bad Algorithm! How to Retrain Your  Social Media Feed
【有料購読者向け記事】:
「アルゴリズムには挙動不審な点がある。SNS界のあちこちで、最近レコメンデーションエンジンが紡ぎ出すコンテンツに不満の声が上がっている」。
アルゴリズムの劣化が進んでいるらしい。対する利用者がどうアルゴリズムを調教するか(それは小犬のトレーニングのようなものだという)実践的手法のあれこれを解説する面白い記事。手間(と時間)をかけただけ賢くなるが、悪くなるのもあっという間だとする。
Facebookがついにニュースを見限った、その3つの理由とは?
「フェイスブックは2022年2月、『ニュースフィード』から『ニュース』という文言を削除し、ただの『フィード』へと名称変更をした。
さらに7月には、その『フィード』もメインのタブを『ホーム』に譲る」。

——平和博さんが、Facebookにおける“ニュース離れ”の経緯をていねいに整理している。自分は「ニュースフィード」という名称から「フィード」に変更されたというのは認識していなかった。なるほど象徴的だ。

出版状況クロニクル171(2022年7月1日~7月31日) - 出版・読書メモランダム
「(出版科学研究所による22年上半期の出版物推定販売金額から)21年上半期がコロナ禍とコミック需要でトリプルプラスだったことに対して、22年上半期はトリプルマイナスに陥り、そのマイナス幅は19、20年に比べて最も大きい。
再び『鬼滅の刃』のような神風的ベストセラーが現われないかぎり、下半期も同様に推移していくだろう。
それは取次と書店の体力の限界へと誘っていくことになると推測される」。

——「トリプルプラス」から「トリプルマイナス」へ。出版界でも、厳しいリバウンド症状が現れているらしい。

Facebookの変化は「これまでのSNS」の終わり…すべてがTikTokになる?
「Facebookは友人や知人と繋がる第一の場所ではなくなるだろう。これからは、TikTokと似た中毒性のある動画のスクロール機能が搭載される。アルゴリズムによってユーザーが好きそうな動画、写真、投稿が流れるのだ。つまり、困惑するような叔母の投稿を目にするのではなく、ペットの動画を見たり、料理インフルエンサーのレシピを手に入れたりする可能性が高い」。

——何度かこのFacebook(そして、Instagram)の大改修の意味を追って投稿しているが、その整理となるような記事。
ポイントは、ここに書かれているように、自分と接点の高い人々(通常は、仲の良い知人や身内)の投稿を重視してきたFacebookのソーシャルなアルゴリズムが、特に若者にとってひどくイケてないものと受け止められているらしいことと、どうやら関連がありそうだ。

スマホの「フィード」が、私たちの認知に影響を与えていく | 永井孝尚オフィシャルサイト
【ご紹介】:
先日、古くからの知人の永井孝尚さんに招かれて私的におしゃべりをしてきました。永井さんがそこでの話題を題材にブログを書かれています。

Disruption This Week—–15/7/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年7月11日から2022年7月15日まで。

Google says paying for news would ‘undermine trust in search engines’
英Google公共政策担当者、Edelmanなどの調査でGoogle検索が、例年メディア以上の信頼度を得ていることから、同社が一部メディアのコンテンツに対価を支払うことは、同社検索サービスへの信頼度を損ねる可能性があると発言。英国での法制とその理解に関わる面もあるが、HQとの調整抜きにこの種の発言があるとも思えない。同社の理論武装の方向性を示唆して興味深い。
「読者の言いなりか」批判受けても新聞社がウェブメディア続ける理由
伊藤大地氏:
「『これをやったら滑りました』というメールが、メンバー間で交わされるチームって成功するんです。一方で紙媒体の場合、トライアンドエラーが許されづらい。(新聞社のように伝統を重んじる)堅い組織では、ある程度新しいことがやりやすい部署や職域で得られた知見を、社内で共有するのが良いでしょう」。

——面白く読めた座談会。メディア(それも新聞社)固有のテーマというより、一定の歴史を有する組織からどう新規事業やイノベーションを生み出していくかという議論と読める。withnewsがそうであるように、周縁上にある小さな自由を半分放置気味で芽を育てたい。

Google exec suggests Instagram and TikTok are eating into Google’s core products, Search and Maps – TechCrunch
「私たちの研究では、ほぼ40%の若者が、ランチの場所を探しているとき、Googleマップや検索に向かわない。彼らはTikTokやInstagramに行くのだ」とGoogle幹部が認める。
若者が使わない印刷版の地図をオンラインで再現する表現手法の無意味さも指摘する。実に興味深い。
1億3400万件のウェブページに基づくオープンソースのAIナレッジツール「Sphere」をMetaがリリース
「従来のKI-NLPとは異なりデータベースが検索エンジンに依存していないため、Sphereを利用するAI研究者はコーパスを調べて制御することが可能で、さまざまな方法でスケーリングと最適化が可能となり、検索テクノロジーの前進にも貢献できるとMetaは説明しています」。

——Metaはこの「Sphere」をオープンソース化する。難しい技術的解説はともかくとして、可能性を感じるのは誤・偽情報の検証フローに使えそうという点(実際、Wikipediaが蓄積された情報の検証を試行しているという)、もっと汎用的にはブラックボックスなGoogle検索に頼り切りの“検索”を、透明化したうえで新たな結果を得られるかもしれないということ。

News engagement plummets as Americans tune out
米国で、“ニュース疲れ”“ニュース忌避”のリアリティが顕著に。米Axios調べで、4分野(SNS、CATV、ニュースアプリ、主要5サイトの来訪者数)でニュース(メディア)消費がすべて昨年同期比で大きくマイナスを示した。
2021年のニュース消費は、2020年の歴史的な高水準に続いて急降下した。2022年では大きなニュースが相次いだにもかかわらず、らに後退。一時的に潤ったメディアが改めて危機に直面している。
Exclusive: Reuters launches research subscriptions for individuals
Reuters、戦略である購読メディアのローンチが足踏みしているが、個人向け高額購読サービスを先に商品化。「Reuters Insight」で、企業シニアレベル向けに各種統計、調査結果を年間2,500ドル程度で提供するもの。同社は各種の産業や分野ごとに深掘り商材を開発していく戦略を推進していると記事は述べる。
陰謀論と戦うストリーマーたち--対話と理解のコツを語る
「パンデミック以来、ディベート配信はTwitchとYouTubeの視聴時間の急増の波に乗り、政治的な話題によってファン層を拡大した。クリエイター向けツールを提供するStreamElementsの最高ビジネス責任者であるJason Krebs氏によると、Twitchの政治カテゴリーの視聴者数は2021年5月から2022年5月までの間に3倍に増加し、視聴時間は170万時間を超えたという」。

——Twitchが材料として引き合いに出されているが、この数年、音声やチャッティング分野に政治的会話(のメディア的役割)が広がっているのを感じる。現代のメディアにおけるホットな分野。

Nearly a third of new subscribers to news publications cancel in the first 24 hours
サブスクリプション基盤を提供するPianoの調査では、新規購読者の1/3は、最初の24時間で退会するという。理由は1記事のみ読みたかった、あるいはざっと読み回して購読の価値がないと早々に判断したかと見られる。言い換えれば、購読直後の読者をどうつなぎ止めるかが重要だということに。

Announcing The Information Profiles, Directory and Forum: Connections Worth Your Time
好調に正統派テック系メディアのポジションを築いてきた米The Information、満を持してコミュニティ機能の「プロファイル、ディレクトリ、フォーラム」を発表。同メディアではVCや起業家など著名人が実名でコメントするなどの文化がある。それをうまく商業化できるか?
The Existential Threat of AI-Enhanced Disinformation Operations
「AIによって生成された合成メディアや、AIによって強化された説得力のあるチャットボットは個々人向けへとカスタマイズされ、検出が困難なメッセージング機能を、情報操作(Disinformation Operations)の担い手たちに提供するようになっている」|「AIによって生成された合成メディアや、AIによって強化された説得力のあるチャットボットは個々人向けへとカスタマイズされ、検出が困難なメッセージング機能を、情報操作(Disinformation Operations)の担い手たちに提供するようになっている」。

——AIを活用した情報操作のありようを、外観した貴重な論が「Just Securit」に掲載。重大なポイントは、Facebookが発表した論文から、この情報操作が、アドテク(高度なターゲティング広告の技術)依拠したものであると指摘していること。アドテクの発展と、いま世界を揺るがしている情報操作(認知戦)の高度化は無縁のものではない。

2022.7.22 オンラインセミナー① メディアリテラシーとアントレプレナーシップ | 京都大学経営管理大学院 グローバル社会起業寄附講座
【再度のご紹介】:
私も登壇するメディアリテラシー×アントレプレナーシップをめぐる討議の告知です。無料ですので、ぜひご参加を!

Disruption This Week—–1/7/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年6月23日から2022年7月1日まで。

出版状況クロニクル170(2022年6月1日~6月30日) - 出版・読書メモランダム
「(小学館の決算で)『出版売上』のうちで、雑誌だけは170億2400万円、同7.8%減と減収となっているが、『デジタル収入』と『版権収入等』の2つの分野で、『出版売上』を超え、しかも全分野の半分を占める500億円に迫っている。
雑誌の出版社からデジタル、版権収入の小学館へと移行しつつあり、それは講談社、集英社、KADOKAWAと歩みをともにしている」。

——雑誌の出版社からデジタル版権ビジネスへ、大手の事業モデルチェンジが進む。では、この文脈の下で、ブティック型の出版を担ってきた書肆がどう生きていくべきか考える時機。論が述べているように、壊滅的な書店流通を見れば、そこに忖度すべき理由が失われているようだ。

A Girl Killed Herself. It Took TikTok Six Months to Remove Her Account.
【有料購読者向け記事】:
「CDCの調査では、米高校生の9%は在学中に自殺未遂行為に及ぶという。
TikTokはNinaの精神状態を周囲のどの大人よりも知っており、彼女の恐怖と苦痛を彼女の心理に投影し続けた。TikTokのアルゴリズムが彼女の死にどの程度関与したかは誰も知らない。
ただ、半年以上経った今までその映像を表示し続けてきた。彼女の周囲のクラスメートらが望めばいつでもトラウマを改めて与えることができるのだ。これはTikTokが無責任だというより、無謀で残虐だとさえ言い得ることだ」。

Microsoft's Defending Ukraine report offers fresh details on digital conflict and disinformation
Microsoft、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐるサイバーセキュリティ調査リポート「Defending Ukraine」を公表。同社はウクライナ政府に協力、ウクライナの国家システムの脆弱性などを検証、コンサルティングしてきた。記事はサイバー攻撃を抑止する5つのポイントを解説する。
Substack is laying off 14% of its staff.
ニューズレター(メルマガ)配信大手の米Substackがレイオフ(人員整理)を実施。全従業員90名中の13人を解雇。同社は現下の投資市場の冷え込みを受けて、同社創業者のChris Best氏は、新たな資金調達を断念し事業黒字化によって成長を目指すとするメッセージを社員に送った。
What is the future of automated fact-checking? Fact-checkers discuss. - Poynter
開催された世界のファクトチェック団体が集まる年次総会の「GlobalFact 9」。ファクトチェックをAIを活用して自動化するツール、システムを開発運用する各国のメンバーがパネルディスカッション。日本でもFIJがFCCを運用するが、より広範で刺激的な試みが紹介された。たとえば、政治家の動画上での発言を過去のデータベースと突合し、該当するファクトチェックデータを表示する、監視したいメディアを決めて、その情報発信を自動的に24時間監視、誤り部分を抽出して表示するなどなどだ。
An FCC commissioner calls on Apple and Google to remove TikTok from their app stores, saying it's a national security risk
先日紹介した米BuzzFeed Newsによるスクープ記事“米TikTokのユーザデータに中国大陸のエンジニアが権限を持ち頻繁にアクセス”を受け、米連邦通信委員会(FCC)の委員は、AppleおよびGoogleに対しストアからTikTokアプリを撤去するよう求める書簡。委員はTikTokアプリは見かけと異なり、その核心は大量の個人情報や機密データを取得する監視ツールだと述べる。

米国では“ニュース疲れ(もしくは忌避)”を、しばしば“トランプ疲れ”として多く語ってきたが、Reuters研究所の報告は、他の地域でもこの現象を報告。46の市場のオンラインニュース読者を対象とする調査で、ブラジル、オーストラリア、英国などでニュース忌避が増加とする——。米CNNのニューズレターが、極めて注目すべき“ニュース忌避”の現象について論じている。
Meta、SNS分析ツール「CrowdTangle」の廃止を計画か--誤情報の監視に大きな役割
「Bloombergが米国時間6月23日に報じたところによると、具体的な日付は未定だが、Metaはこのプラットフォームを閉鎖する計画だという。2016年にCrowdTangleを買収したMetaは、同ツールの担当チームを解散させており、1月には新規ユーザーによるアクセスを『一時停止』したと伝えられている」。

——この問題は、昨年10月にも紹介した。報道ではどうやらFacebook内部でのコンテンツ監視をめぐる“不都合な真実”が指摘されており、買収したCrowdTangleチームに社内からのプレッシャーがかかっていたとされている。

‘An Invisible Cage’: How China Is Policing the Future
【閲覧には要登録】:
米New York Times、中国による監視社会化“見えない檻(おり)”の動きを、入手した膨大な文書、証言などで恐るべき状況を調査報道。街頭の監視カメラ、傍聴、スマホ追跡、果てはDNA採取まで。監視技術のスタートアップ2社は犯罪の“未然防止”を競う。記事中にある約20分の動画を観るだけでもその価値がある。
1.2 million Economist subscriptions fuel record revenues - Press Gazette
英The Economistを傘下に持つThe Economist Newspaper、2021年4月度の財務状況を公開。営業利益で前年度比11%、売上で12%増と、いずれも2016年以来の最高を記録。ニュース退潮環境下ながら、デジタル分野収益が全体の6割強、特に購読では7割近くに上昇と好調かつ堅調ぶりを示した。

Disruption This Week—–17/6/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年6月12日から2022年6月17日まで。

Facebook looks ready to divorce the news industry, and I doubt couples counseling will help
「Facebookはニュース業界との離婚の準備ができている」。
同社が業界に大金を払い続け大手メディアとの関係を保つ意思はないだろうとするオピニオン。2022年第1四半期、閲覧された投稿コンテンツでニュースへリンクを持つは0.4%に過ぎないという。愛情が冷めるのは明瞭だ。
「大変です」食べログ点数、突然の急落 評価の秘密に自力で迫った:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「実際に点数を算出しているのは、独自の『アルゴリズム』だ。
大量のデータを処理するのに使う計算手順のことで、検索サイトや買い物サイトなどはアルゴリズムを使って表示順位を決めたり、点数をつけたりする。
例えば検索サイトはこれを使い、膨大なウェブページの中から、利用者に関連が高いと思われる結果を表示している。
任さんは、ネットに残る記録をもとに点数の変化を独自に調べた。
すると、食べログ内で『チェーン店』とカテゴリー分けされている店ばかり、点数が下がっていた。
『チェーン店の点数を一律に下げるアルゴリズム変更があった』との仮説が立った」。

——アルゴリズムとその影響をめぐって明瞭な判例が出たのは珍しいのではないか。それだけプラットフォーム的パワーを持つサービスに対する世の中の視線が厳しくなっている。この判決では、訴訟の提起者が自らの労力でアルゴリズムのロジックを解析した。今後、そのような提起者側の能力が努力が求められるのか否かも重要なポイントだろう。

How Facebook plans to become more like TikTok
米メディアThe Verge、Meta社幹部の社員宛てメールを公開。それによれば、TikTokの優勢に抗して同社はFacebookのフィードアルゴリズムを改修する。TikTokがソーシャルグラフに依らない投稿の推奨を行っていることに倣う仕組みを採用。また、メッセージング機能も改変する。
Spotify、コンテンツ管理に関する安全諮問委員会を設立--偽情報対策の一環で
「Spotifyは米国時間6月13日、オンラインの安全性に注力する専門家と組織からなる安全諮問委員会を新設したと発表した。この委員会のミッションは、クリエイターの表現を尊重しつつ、『Spotifyが安全な方法で自社のポリシーと製品を進化させるのを支援すること』だ」。

——Facebookでも社外の有識者らを招いた最高レベルのボードによるコンテンツモデレーションに臨んだ経緯があるが、社内からの声も関与するなど、機能不全が指摘されている。Spotifyではどうか。このような対応が動き出したことを率直に評価し、注意を払っていく。

Overview and key findings of the 2022 Digital News Report

Reuters Institute for the Study of Journalism

Overview and key findings of the 2022 Digital News Report
例年行われる注目のオンラインメディアとジャーナリズムをめぐる調査「Digital News Report」2022年版が公開。各国において、ニュース接触における主たる経路にスマートフォンが位置し、TikTokやInstagramなどのビジュアルフォーマットのニュースへの利用が進む。同時に、ポスト・コロナで退潮するニュース需要と、ウクライナ侵攻という大事件がありながらも、各国で「ニュースの選択的忌避」現象が生じていることを特筆する。
Spotify is acquiring AI voice platform Sonantic – TechCrunch
つい先日、音楽、ポッドキャストに続き、オーディオブック市場への挑戦を宣明したばかりのSpotify、映画「トップガンマーヴェリック」ヴァル・キルマー氏の合成音声にも使われているAI合成技術を有する英Sonantic社を買収。いかにものタイミングだ。
A Chart of People on the Move at Creator Startups
【有料購読者向け記事】:
“クリエイターエコノミー”分野におけるスタートアップ企業各社間でのシニア人材の移動。Twitter、Meta、Cameo、Clubhouseなど有名どころからの流出が目立ち、TikTokはじめ新興系への流入が増。今年1月以降の動きをThe Informationが整理した。
偽情報の拡散はIT企業の責任--研究機関の専門家らが指摘
「アスペン研究所で情報の無秩序に関する委員会の共同議長を務める3人の専門家は、ニュースを得るためにソーシャルメディアに目を向ける人が増えていると述べた。TwitterやFacebookなどのプラットフォームは正当なニュースソースを提供しているが、その一方で嘘や陰謀論が確認されないまま拡散し、多くは無意識のうちにそうした情報に触れる人々の意見を形成する事態を許してしまっている」。

——「Commission on Information Disorder Final Report」で公表された勧告に基づくスピーチ。大手企業の責任と地域のメディアへの支援という2つの義務を明瞭に表現したもの。

5 tech giants own over half the global ad market
世界的な広告代理店GroupM、恒例の広告市場予測を発表。それによると、世界の広告市場はトップ5社により市場の半分(53%)が占められ、かつ、昨年比でその度合いを高める。広告主のほうはトップ25社が7割強を占める。2022年の広告市場全体の成長はやや弱まるとも予測。
米Wall Street Journalが、今日(13日)にも製品レビューサイト「Buy Side」を開設とAxiosがスクープ。New York Times運営「Wirecutter」に対抗する試み。WSJサイト内に設けられるが、閲覧無料とビジネスモデルが異なる模様。編集チームは、WSJ本体と完全に分離するという。開設時には250製品、50本の記事を扱うと、詳しい報道。公式リークのようだ。
【ご紹介】:
Media×Techからちょっとした変化球的新着記事です。「出版業界ニュースまとめ」を平日、週末関係なく配信する 古幡 瑞穂 さんと、光栄にも「対談」をさせてもらいました(編集部スタッフの企画です!)。どうぞご一読下さい。
有料動画配信の成長に黄信号、Netflix会員数20万人純減(写真=ロイター)
【ご紹介】:
日経MJ紙での連載記事が日経電子版に転載されました。よろしければどうぞ。➡ 有料動画配信の成長に黄信号、Netflix会員数20万人純減

Disruption This Week—–10/6/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年6月7日から2022年6月10日まで。

過去2年間のWeb・アプリ利用状況発表 新型コロナの影響でサイト利用増加【Amplitude調査】
「2020年1月から2021年12月の約2年間で、全世界のアプリのMAUは36ポイント、WebサイトのMAUは57ポイント上昇していた。2021年12月時点の全サービスにおけるアプリとWebサイトのMAUの内訳として、54%がアプリ、46%がWebサイトという割合となっており、事業者はWebサイトとアプリのどちらかではなく双方への投資が必要なことがわかる」。

——自分の関心からは重要な情報がいくつも。ネット利用が2020年1月以降、おしなべて各国で伸びたことは理解できる。が、業種別や一部国別で、Webかアプリかという違いがある。消費者の利用は、大きく“Webからアプリへ”という遷移を示していると思っていたが、実はそうでもない。金融分野でWebがアプリに拮抗しているのには、びっくり。

Open source intelligence key to fighting Russian disinformation during Ukraine war
英国における中心的なAI研究機関であるAlan Turing研究所が設置した「Center for Emerging Technology and Security」がロシアによるウクライナ侵攻をめぐって交わされている情報戦において、ロシアの欺瞞工作の解明にOSINTが重要な役割を果たしているとする調査報告「The Information Battlefield: Disinformation, declassification and deepfakes」を公開。原文はダウンロードできる。
動画視聴とニュース…子供達はインターネット接続テレビで何をしているのだろうか(最新) : ガベージニュース
「インターネット接続ができるテレビで、子供達は具体的にどのようなことをしているのだろうか。内閣府が2022年3月31日付で報告書を発表した、【令和3年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果】の内容から、小中高校生における実情を確認する」。

——「動画視聴以外にもニュースが21.4%と2割超え、音楽視聴は11.3%と1割超え。テレビによるインターネットは、大体この3項目の用途に利用されていると見ればよいだろう」というのが概観。興味深いのは、高学年になるほど(たとえば高校生に限ると)、「テレビ(ネット接続)」への指向性が低くなる。記事では自分のスマホに向かう比率が高いと想定していること。スマホの利用度がメディア視聴を規定しているとも考えられる。

Spotify CEO teases major push into audiobooks
米Axios、SpotifyのCEO、Daniel Ek氏にインタビュー。同氏は、同社の長期戦略としてオーディオ分野への投資継続を強調。Appleのポッドキャストを追い抜いたのに続き、Amazonが独占するオーディオブック市場に挑戦することを明言。
NFTはなぜ誤解され続けるのか?:所有をめぐる真実からミントの収支まで
「同じトークンはこの世にふたつと存在せず、それがあなたのクリプトウォレットの中に入っているとしたら、そのトークンの意味するものは当然あなたのものということになる、というわけだ。この考え方はいくつかの理由で間違っている」。

——正直な話、自分も理解できていなかった点がいくつも指摘されている記事。NFTをめぐっては基礎的な理解がさらに必要なようだ。

偽動画、東京大学は検出精度9割 米メタも封じ込め急ぐ
【有料購読者向け記事】:
「東大の山崎俊彦准教授らは米テック企業をしのぐ世界最高水準の性能を誇るディープフェイクの検出手法を開発した。代表的な5つの評価指標を用いて検証したところ、4つの指標で既存の検出技術を上回った。ほとんどで9割前後の精度を示し、最も判別が難しい指標でも7割以上を見分けた」。

——紹介された東大・山崎氏らの研究成果はソースも公開されるとのこと。喜ばしいが、“ディープフェイク”を研究開発する陣営にとっても材料になることだろう。長く続くテクノロジー開発のレースになりそうだ。

GQ jumps on Discord to reach Web3 early adopters and crypto-curious
雑誌大手Condé Nast傘下の高級男性誌「GQ」がWeb3に熱心に取り組む。「GQ3」名のサーバをDiscordに開設。「私たちが考えは、GQがホストで、Discordが会場で、みんなを招待してパーティーを開くということだ」と同誌の読者開発担当者は述べる。
顔認証普及の裏で進むディープフェイク対策 AI、多要素認証……
「ディープフェイク技術とその検知に詳しい国立情報学研究所の越前功教授(情報セキュリティ)も『ソフトの進歩で1枚の写真から比較的簡単に偽動画が作れるようになっていて、認証が突破される危険性はある』と指摘する」。

——本人が語ったり、行動したりと見まごうような“ディープフェイク”の広がりが懸念されているが、それが顔認証さえも容易に突破されてしまう可能性が問題になっている。実は顔認証、意外に突破されやすい仕組みとは最近よく語られているところ。

New IAS Report Uncovers How Misleading Content Impacts Digital Advertising
アドベリフィケーション企業のIAS(Integral Ad Science)、誤報(虚報)と広告との関連性について、新リポート「誤報とメディア品質」を公開。広告およびメディア関係者は「誤報の忌避」の7割以上が表明する一方、どのように排除するか定めるガイドラインの運用は半数以下と指摘する。まだ、誤報・虚報コンテンツに広告費が膨大(年間2億3500万ドル)に流入しているとも推測。
【ライブレポート】ABBA、想像を遥かに超えた驚異のアバター・パフォーマンス | BARKS
「ステージ上には、向かって左サイドに10人からなる生バンド。そしてアバターのメンバー4人もステージ上に現れる。照明と映像による演出効果とはまた別であり、スクリーンもメンバーを覆うような前方カーテン状のものもあり。どのような仕組みなのか、投影されているものなのか、これは目の錯覚なのか、とにかくアバターの4人はステージに居るのだ」。

——実際にライブ会場を訪問した記者のリポート。完成度が非常に高かったようだ。興味深い。