Disruption This Week—–9/6/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年6月5日から2023年6月9日まで。

Instagramの創業者が手がけるAIを駆使した新ニュースアプリ「Artifact」とは
【有料購読者向け記事】:
「TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアで表示される記事のリンクとは異なり、Artifactのフィードに登場する投稿の選定とランキングは、それを投稿した人ではなく記事自体の内容に基づいている。そして理想的には、各ユーザーが見たいコンテンツとして、信頼性の高いパブリッシャーの記事が表示されるというものだ」。

——何度か取り上げているArtfifactをめぐる話題。記事が紹介するように、うまくジェネレーティブAIトレンドに乗ったようだ。ただし、その利用するLLM、また、その使い方がうまく見えてこないのだが。

集英社、“AIグラビア”の販売終了 「生成AIの課題について検討足りなかった」 Twitterも削除
「制作過程で、編集部で生成AIをとりまくさまざまな論点・問題点についての検討が十分ではなく、AI生成物の商品化については、世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するに至った」。

——元々「法務部に確認しながら適法の範囲内でやっている」と述べていたものが、急転直下に方針転換。なにを重要視しての変更なのか?

Former exec at TikTok's parent company says Communist Party members had a 'god credential' that let them access Americans' data
TikTokを傘下に持つ中国ByteDance。同社の元技術ヘッドYintao Yu氏、共産党員が「スーパーユーザ」の資格でアプリのユーザデータにアクセスしており、米ユーザだけでなく香港のデモ参加者らのデータも参照していたと米法廷向け資料で述べる。
偽ニュースから身を守る 最新事例と対策の4原則 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「問題のツイートは『【速報】NATO軍、日本に駐屯を検討』という見出しだった。しかし、リンク先に載っていた通信社の記事には『NATOが日本に連絡事務所を開設する方向で検討を進めている』と書かれていた。軍隊と連絡事務所では大きな違いだ」。

——ニセのニュースを信じてしまったり、それを拡散してしまったりしないための基礎的なプロセスを詳解する記事。ファクトチェックのプロセスも同様。身を守るという観点からも目を通すと良い記事。

ChatGPTやBardなどの生成型AIツールを導入する企業は、偽ニュース対策の一環として、AIにより生成されたコンテンツにラベルを付けユーザに明示すべきだと、EUのコミッショナーであるVera Jourova委員が5日、指摘した。
Engage to build trust: Ask for audience input (and act on it!)
読者との信頼関係を、メディア(ジャーナリズム)はどう築くべきか? 「読者からのフィードバックや投稿にメを通す」とはよく言われるが、それが役に立つか? 米国「Trusting News」プロジェクトが提案(提供)する「Trust Kit」とそのトレーニングを紹介する論説。
短編映画を独占公開:生成AIは映像制作をどう変えるか?
「ザ・フロストは、すべてのショットが画像生成AIによって作り出された、12分間の短編映画である。まだ馴染みのないこの新ジャンルの中でも、きわめて印象的な(そして奇妙な)作品の1つだ。以下でこの映画を視聴できる」。

——OpenAIの画像生成モデル「DALL-E 2」ですべてのショットを生成。さらに静止画像に動きを加えるAIツール「D-ID」でアニメーション化したという。不自然さも漂うが、同時にここまで来ているという達成状況も確認できる。もちろん、明日にでもより遠くへ進むことだろう。

米New York Timesチーフ・グロース・オフィサーのHannah Yang氏、最近開催されたイベントで、同社の購読者と収益増のための5つのアプローチを講演。1) 質の高いコンテンツが最重要、2) 登録者のプールを育てる(トラフィック減になろうとも)、3) 初期段階購読者に注力、4) 購入までのスムーズな経路がコンバージョンを高める、5) 購読者の量と収入のバランスがますます重要になる、ということ。

昨年3月、米ホテル王Stewart W. Bainum氏が5,000万ドルを拠出し非営利メディア「The Baltimore Banner」を設立と紹介した。「25年までに10万人購読者を獲得」との目標を立てたが、約1年で早くも7万人に到達と退任するCEOが表明。スタート当時50名のスタッフもすでに100人超になっているという。
偽ニュースに弱い日本 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「偽ニュースに接した経験がある割合は最も低い日本で75%に達し、国・地域による差はあまりない。
違いが大きいのは真偽を検証するファクトチェックサイトの利用法などを知っている割合だ。日本は19%で首位ベトナム(81%)の4分の1以下」。

——日本経済新聞がシンガポールの南洋理工大学と組んでアジア10か国での調査をまとめた。引用のように、“偽ニュース”体験に違いはないが、ファクトチェック機関に大きなギャップがあるのだという。さもありなん。既存の新聞が強いと記事は述べるが、そのあたりに課題意識の偏差がありそう。

Disruption This Week—–12/5/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年5月1日から2023年5月12日まで。

Google is changing up search. What does that mean for news publishers?
Googleが発表したAIベースの新たな検索エンジンのプロトタイプ「SGE(Search Generative Experience)」。一般消費者にとっては複雑なクエリを受け止めると同時に、リンクを経由する送客は激減する可能性を示す。メディアやアフィリエイトには打撃か?
The Athletic’s live audio rooms bring sports talk radio into this century
現在はNew York Times傘下のスポーツ専門メディアThe Athletic。同メディアが提供する競技終了後の音声ライブ企画である「ライブルーム」が実施1,000回を超えた。試合後、通常のジャーナリズムは記事執筆などに忙しいが、ファンは競技の興奮を分かち合う空間を求めている。そこにファンとブロガー(ポッドキャスター)が交流するニーズを見いだした企画。
ソフトバンク、LINEと和製GPT立ち上げへ 「やらなければ今後の参加権がなくなる」
「グループ内からAI開発人材として1000人を選抜し、異動または兼務を検討している。『1000人から5000人規模の“GPT祭り”をやらなければ、日本の中でのGPTの立ち上がりはない』(宮川氏)」。

——国内勢からも動き。数百億円でゲームに参加できるとの議論もあるし、すでにLINEではLLMに取り組んできた背景もある。“日本語(情報)に強い”LLMが創造されるのかが興味。

The Times Added 190,000 Subscribers Last Quarter
【有料購読者向け記事】:
米New York Times、第1四半期業績を開示。デジタル購読者19万人を新規獲得。スポーツサイトAthleticをデジタル購読製品にバンドルした効果が寄与。デジタル購読者総数は900万人に達した。これもあってトップラインは成長する一方で、デジタル広告収入は8.5%減。第2四半期も減を見込む。
Google's AI search is over | Semafor
“GoogleによるAI検索の(始まりと)終わり”。米Semarforが25ものAI新サービス(機能)を発表したGoogle I/Oを論評。「Googleは、何年も前にこれらの製品のいくつかはリリースすることができたはず」。本業の革新へと進めなかったジレンマを指摘。
Publishers using ChatGPT to improve headlines and suggest feature ideas
メディア業界に属しているのなら、ChatGPTがSEOにどうインパクトをもたらすか関心があるだろう。英メディア3社の担当者が議論。各社は自社の記事に「見出しの改善、検索に最適化したキーワードの示唆、記事の適切な要約」などの点で、AIが生産性を高める支援ができると述べた。

2023 Pulitzer Prizes

2023年のピューリッツア賞受賞者およびメディアが15部門で発表。今年はWeb専業の新興系メディアが目につかない。残念なトレンドでもある。

景気後退局面で、こういうトレンドに陥るのは、良質なジャーナリズムには資金や組織的体力が必須だということでもあるのか。

The Unified Content Business Model

Stratechery by Ben Thompson

The Unified Content Business Model
個人サイト「Stratechery」運営の著名ブロガーBen Thompson氏、BuzzFeed Newsの閉鎖やNew York Timesに買収されたThe Athleticに触れ、ニュースメディアのビジネスモデルは「購読+広告」であるべきと自説を改めて論じた。良質な購読モデルが良好な広告収益を可能にするとしている。
Can AI help local newsrooms streamline their newsletters? ARLnow tests the waters
米バージニア州のローカルメディア、人手がかかる作業の工数削減のため、AIや各種自動化ツールを駆使して無人によるニューズレター配信フローを完成、先月より実用運用(配信)を開始したとする報道。
SoundCloud debuts a fan engagement tool for artists
音楽ストリーミングプラットフォームのSoundCloudは、アーティストによるファンビジネス基盤の方向を強化中。アーティストがファンにDMを送ったり、ファンの行動でエンゲージメントを指数化して見たりできるコンソールである「Fans」をアーティストに提供を開始した。
Are news outlets using the wrong metrics to assess sites’ success?
米メディル・シュピーゲル・リサーチ・センター(SRC)の調査で、ニュースの収益化(マネタイズ)で最も重要な要素は有料購読と判明。だが、驚くべきことにページビューや滞在時間の増加は、実際には購読者や収益に悪影響を及ぼす可能性があるとし、“一気読み”を悪習と否定。
「購読者がニュースサイトを定期的に訪れる習慣が望ましい。長い記事をたまに読み、その間にかなりの期間離れてしまうことが望まれる」というのだ。
Nearly Half of YouTube’s U.S. Viewership Is Now on TVs, Helping Drive Ad Shift
【有料購読者向け記事】:
Nielsenらの年次調査によると、いまやYouTube視聴の45%がCTV(コネクティッドTV)上で行われている。TV(コンテンツ)の“王様”はYouTubeなのだ。かつて“汚い”コンテンツと広告主に嫌われた存在が、今では広告ビジネスの焦点となったとする記事。
“We Were Always Playing An Entirely Different Game”: The Ultimate Oral History Of BuzzFeed News
2012年、米BuzzFeedのニュース部門を設立されたBuzzFeed News。5月5日の閉鎖まで、多くの刺激的な報道、ファクトチェックを公開。ピューリッツァ賞受賞など輝かしい成果の一方、さまざまな議論も巻き起こした。スタッフらが証言を集めたオーラルヒストリーを最後に公開。
A startup let users talk to ChatGPT through a female avatar. It went awry. | Semafor
ChatGPTのユーザインタフェイスとして、金髪白人女性アバターを用いるサービスを試行した米スタートアップBubbles、ユーザが不適切な性的表現をアバターに求めたことから、アバター生成プラットフォームのSynthesiaにサービスを停止させられた。米Semaforがリポート。これからこのような事案が急増しそうな予感。
『「2030年日本」のストーリー』刊行記念 オーサー&ゲスト超異分野トーク | イベント | 東アジア藝文書院 | 東京大学
【ご紹介】:
来る16日(火)に東大で行われる『「2030年日本」のストーリー』刊行記念に登壇いたします。おもに、気鋭の社会学者・西田亮介さんとやり取りさせていただきます。参加無料ですので、ぜひご参加下さい。オフライン・オンライン聴講いずれも可能です。

Disruption This Week—–7/4/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年4月3日から2023年4月7日まで。

ChatGPT、何が問題か 元グーグル社員「非常に無責任で無謀」:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「規制が何もないのをいいことに、マイクロソフトのような企業はいま、世界の全人口を実験台として利用することが許されてしまっています。倫理や道徳という観点から考えれば、もっと民主的な統制があってしかるべきでしょう」。

——元グーグル社員でAIが社会に与える影響を研究し、警鐘を鳴らしてきた人物による警告。

出版状況クロニクル179(2023年3月1日~3月31日) - 出版・読書メモランダム
「講談社の決算は売上高1694億8100万円、前年比0.8%減、営業利益は191億円、同11.9%減、当期純利益は149億6900万円、同3.8%減。
その内訳は紙媒体の『製品』が573億5500万円、同13.5%減、デジタル、版権関連の『事業収入』は1001億7200万円、同10.0%増。そのうちの『デジタル関連』収入は778億円、同10.9%増、『国内版権収入』は98億円、同13.6%減、『海外版権収入』は124億円、同35.2%増」。

——上記の引用箇所だけでも、メディア事業をめぐる存立構造、あるいはその発展方向を想像させる刺激に満ちている。「事業収入」が「製品収入」の倍近くもあるのだ。しかもその事業収入の8割がデジタル由来だという。講談社だけの現象には止まらないだろう。もちろん、とはいえ、現時点ではそのような事業構造を持てるのは国内で数社だろうが。

米Protocolの編集長のTom Krazit氏は、同メディアの閉鎖にともない、その2万人以上だった購読者メールリストを買い取って独立。広告付きのメールメディア「Runtime」として再スタートを切ったとする話題。良い話題でもあるが、読者リストを売買対象とするのには抵抗も感じてしまうのだが…。
Substack's new short-form 'Notes' feed looks a lot like Twitter
ニューズレター配信の米Substackは、ユーザーが投稿、引用、コメント、画像、リンク、アイデアを共有できる新たな「Notes」機能の追加を発表。Substack上で共有されたNotesは、Twitterによく似た専用の短文フィードで表示されるという。別に論じたが、Twitter後継争いが激化している。
MidJourney V4 VS Leonardo AI — Same Prompt, Different Results
ジェネレーティブAIについては、ついついChatGPTを話題にしてしまうが、先行し話題となった画像生成系サービスでも、改善や新興サービスの台頭が進んでいる。記事は、同じプロンプトでサービス(MidJournyとLeonardo AI)によりどうアウトプット(画像)が異なるかを具体的に比較した有益な資料。
「プロンプトエンジニアリング」の“教科書”、日本語版が登場 無償でAIの上手な使い方を解説
「プロンプトに関する基礎知識から使用アイデア、注意点などを記載。プロンプトエンジニアリングに関するテクニックの他、GPT-4など特定のAIモデルの特徴などについても言及している」。

——ジェネレーティブAIが技術分野を席巻するにつれ、AIから的確な回答(アウトプット)を得るための的確な指示(プロンプト)が重要になることは、何度か話題にしてきた。このプロンプトエンジニアリングをめぐるガイドブックの紹介。日本語化されたものだ。

Post, a publisher-focused Twitter alternative, launches to public
“読んだだけ払う”。従量型課金システムがこれから広がると見ているが、Twitter的手軽さと従量型課金制を提携メディアに提供する、米「Post News」の話題。利用者は事前に一定額支払い(バウチャー)、利用に応じてそれを消費するモデルのようだ。
新聞社の衰退はネットやスマホの普及が原因ではない グンゼという会社から考える本質:朝日新聞GLOBE+
「…断言できるが、新聞各社の売上が減少し続けているのは決して、インターネットやスマホが普及したからではない。
単に経営陣が世間ずれし、今もなお間違っているからである。
なぜそんなことを、断言できるのか」。

——「新聞社の本質的な強みとは本来、『知性ある記者・編集者』が『取材やエビデンス』に基づき、『信用できる情報』を届けてくれることにあったはずだ」と凡事を徹底すべきことを指摘するオピニオン記事。

カナダ政府が法制化をめざすプラットフォーマによるメディアへ支払いの義務化について、行われた調査研究「Meta and News」によると、Facebook(フィード)上の報道関連トラフィックは3%未満で、年々減少中であり、そのトラフィックもメディア自身による投稿が9割を占めており、ユーザによる投稿(シェア)は少ない。故にFBから恩恵を受けているのはメディア機関だと指摘。
米ツイッター、表示順決めるアルゴリズム公開 マスク氏「公約」、安全面懸念も:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「同社は仕組みをブログで説明。(1)利用者の関心が高そうな人やテーマの投稿から約1500件を選ぶ(2)利用者が「いいね」やリツイートなどの反応をする確率をAIで予測し、点数をつける(3)同じアカウントの投稿が続かないように調整するなどした上で点数の高い順に流す、という主に三つの段階があるとした」。

——あまり大きな話題を呼んでいないようだが。ここで説明されているのは、Twitterの一人ひとりのユーザに対し、どのようなツイートを表示するかというパーソナライズについてだろう。自分のタイムラインを見ても思い当たるところだが、上記では説明できない要素もあるようなので、もう少し勉強したいところ。

ファクトチェックアワード2023

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

ファクトチェックアワード2023
【ご紹介】:
多くの人々を誤解させるおそれのある社会的影響の大きな言説・情報を検証し、正確な事実を共有することに貢献したファクトチェック作品のうち、特に優れていて社会的意義が高いと認められたものを表彰します。締め切りは20日です。
「オリジネーター・プロファイル(OP)」の挑戦——ネットニュースの信頼性をどう担保するのか? - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techに新着記事です。メディア業界で注目されるプロジェクト「OP(オリジネーター・プロファイル」技術研究組合について、事務局を主導するクロサカ氏に取材しました。

Disruption This Week—–3/3/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年2月27日から2023年3月3日まで。

Digital Information World
海外ではジャーナリストや著名メディアら、OpenAIがChatGPTの学習用にかれらのコンテンツをライセンスや権利対価の支払いをせずに利用しているのを非難する動きに出ている。すでに昨年には、Microsoftが生成型AIでプログラミングを生成する「Copilot」でGitHub上のコードを利用しているとされる係争が生じている。
WSJスクープ | アップル、チャットGPT搭載アプリの承認拒否
【有料購読者向け記事】:
「米アップルは人工知能(AI)を組み込んだ電子メールアプリについて、子供にとって不適切なコンテンツを生成する可能性への懸念から更新(アップデート)の承認を見送った。同社とアプリ開発会社のやりとりで明らかになった。開発会社は異議を唱えている。
アップルの判断は、チャットボット(自動応答システム)『チャットGPT”のような言語生成AIツールの一般利用について、懸念が広がっていることを浮き彫りにした」。

——これは思わぬところで、ChatGPTをはじめとする生成型AI技術普及には躓きの石。記事の文脈では、AIが公序良俗に反する表現を行う懸念が課題だが、他方で著作権問題もいずれ俎上に上るだろう。

インスタ創業者2人によるAIニュースフィードアプリ「Artifact」
「『あらゆるイデオロギーの媒体を広めるのが当社のゴール』『配信が認められるのは、高いクオリティ水準をクリアした記事だけです』(シストロムCEO)」。

——Instagramの共同創業者らがリリースした新たなニュースアプリ「Aritfact」。自分もぼちぼち使い始めている。利用とストレスの少ないフィード表示が“TikTokライク”なUXを求めていると理解するが、同時に高品質なコンテンツ表示をどう担保しようとしているのか。その一端が見えるレビュー記事。

国内のポッドキャストユーザーは1,680万人に。Z世代は約3割が毎月利用。「ポッドキャスト国内利用実態調査」を発表
「ポッドキャストユーザーは前年から増加、日本国内の利用率は15.7%に。特に15~29歳のZ世代は28.1%が利用。国内ユーザー総数は推計1,680万人」。

——近年、朝日新聞がオトナルと組んで実施しているポッドキャスト関連国内調査。賑々しく伝わる音声市場だが、この調査、単純に昨年と比較すると、「月1回利用する」ユーザの割合は14.4%から15.7%に、ということで、大幅増とはいえないことがわかる。

Flipboard is leaning into Mastodon — and away from Twitter | Engadget
米ニュースアプリ「Flipboard」が(Twitterを代替する)Mastodonサポートを発表。分散プロトコルのActivityPubのサポートで、FlipboardユーザがコンテンツをMastodonへ投稿でき、MastodonユーザがFlipboardコンテンツをフォローできるようにする動きだ。Twitterの外部向けAPIなどのサービスの存続が懸念されるなか、当然の動きとも見える。
ジャック・ドーシー氏肝いりの「Bluesky Social」アプリ、App Storeに登場
「ジャック・ドーシー氏が2019年に立ち上げた分散型オープンプロトコル開発プロジェクト『Bluesky』のソーシャルアプリ『Bluesky Social』のプライベートβ版が米AppleのApp Storeに登場した」。

——ドーシー氏がまだTwitterのCEOであった当時に立ち上げた秘密プロジェクト「Bluesky」がようやく公開。SNSとしてのコンセプトが必ずしも奇異なものではないが、それを実現する分散プロトコル(言い換えれば、単一のプラットフォームに依拠しない)によるサービスという点が目新しい。後ほど言及するMastodonなどに近いもの。Twitterを根本から作り直そうとして果たせなかった意味がわかる。

出版状況クロニクル178(2023年2月1日~2月28日) - 出版・読書メモランダム
「(22年の電子出版市場は)電子コミックの成長は21年と比較し、半減し、緩やかになってきているが、占有率は89.3%に及び、23年は90%を超えるであろう。
それに対し、電子書籍は500億円に達するかと思われたが、マイナスに転じ、成長は止まったと考えられる」。

——この数年好調を維持してきた電子出版。だが、その成長は停滞期に。また、その成長の原動力もコミック頼み、かつ、ヒットタイトル依存となると、なかなか良い材料を見いだしにくい。

2022年出版市場(紙+電子)はコミックが書籍を逆転、占有率はコミック41.52%:書籍40.97%:雑誌17.51%に ~ 出版科学研究所調査より | HON.jp News Blog
「出版科学研究所が1月25日の時点で紙の『雑誌』として公表している数字には、かなりの割合でコミック(『雑誌扱いコミックス』と『コミック誌』)が含まれている。そこで、コミック市場の内訳が発表された時点で、『書籍(コミックを除く)』や『雑誌(コミックを除く)』の実態を明らかにするのがこの記事の目的だ」。

——複雑な流通関連統計を統合した鷹野凌氏の労作。「コミック6770億円に対し、書籍が6680億円、雑誌が2855億円となり、ついにコミックが書籍を逆転した」がわかった。

焦点:生成AI、検索サービスへの導入は巨額コスト必至
「オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はツイッターへの投稿で、チャットGPTでの会話1回当たりのコストは数セント以上と『目玉が飛び出るほどだ』と明かしている。
アルファベットのジョン・ヘネシー会長はインタビューで、生成AIでやり取りするコストは標準的なキーワード検索の10倍以上に達する可能性が高いが、少し手を加えればすぐにコストを抑制できると述べた」。

——ジェネレーティブAI全般に言えることだが、その電力消費やサーバ負荷などが驚くほど高いことは何度も指摘してきた。そもそもそのようなコストをリクープできるようなビジネスモデルが発明されていないことがポイントなのだろうが。

2022年 日本の広告費 - News(ニュース) - 電通ウェブサイト
「下半期は、ウクライナ情勢や欧米の金融政策の転換による経済環境の大きな変化、新型コロナの再拡大などの影響を受けたものの、社会・経済活動の緩やかな回復に伴い『外食・各種サービス』『交通・レジャー』を中心に広告需要が高まった」。

——これは“デジタル広告”ではなく、総広告費における概要。海外、特に米国での現状とは見え方が異なるのが興味深い。

「戦争とテック企業 ロシアによるウクライナ全面侵攻とテック企業の対応」川口 貴久 - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
私が参加する研究会の中心メンバー川口貴久氏が、スマートニュース メディア研究所に寄稿。大手テック企業の果たす役割について、多面的な評価を行う貴重な論。ぜひ一読を。

Disruption This Week—–24/2/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年2月20日から2023年2月24日まで。

Creator Startups Prep Generative AI Features; Q&A With TikTok Singer Adanna Duru
【有料購読者向け記事】:
直前の投稿で、日本のクリエイター向けサービスnoteで生成型AIの導入を紹介したが、米スタートアップも。こちらはポッドキャスター向け支援の「Podcastle」。クリエイターの音声自体をサンプリングデータ化し、自在に利用できるAI機能を提供するサービスを有償ベースで提供する。例えば、自分で作品をテキスト化すれば、自分の声がそれを読み上げてポッドキャスト作品にできる。
noteの執筆サポートAIを使ってみた……日本語が怪しいかも? “上手な質問”がクオリティーアップのカギ
「noteのAIアシスタント(β)は現状、日本語が結構怪しい。とはいえ、使い方次第で出力のクオリティーも大きく変わることも分かった。AIの性能は簡単に判断できない。うまくいかない場合は使い方が悪い可能性も十分にある」。

——本レビュー記事によれば、利用する価値が十分あるとまでは行っていないようだが、今後は急速な進化が望めそう。まさに、WordやExcelなどに搭載されれば、あっという間に必須機能になりそうだ。

Spotify launches 'DJ,' a new feature offering personalized music with AI-powered commentary
Spotify、新たなAI機能「DJ」を発表。ラジオのDJに似た機能で、「驚くほどリアルな音声」を使い、ユーザが好きなトラックやアーティストに関する音声解説とともに、厳選された楽曲を配信するものだという。
言語生成AIは文章を“盗作”しているのか? 21万件の文章から米国の研究者らが分析
「出力した複数の文章を分析した結果、研究チームは、言語モデルが3種類の剽窃を全て行っていることを発見した。GPT-2は生成したテキスト中の単語や文、さらには(事前学習用コーパスであるOpenWebTextにもともと含まれている)コアアイデアを利用し、再利用していることを示した」。

——これ重要な研究だ。記事を読めばいくつかの手法を用いて“剽窃”の可能性を広範囲に探っている。今後のこれらAI生成によるチャットは、主たる引用についての情報も併せて表示するなどの限定を盛り込んでいくべきだろう。

米GallupおよびKnight財団による調査では、ニュースメディアは事実を正しく報道できていると好意的に受け止めているのは、米国成人の30%以下に過ぎないことが分かった。ほぼ5割がニュースメディアに好意的とは言えない評価。一方、相対的に“地元メディア”を信頼する結果に。
Silicon Valley sees generative AI and ChatGPT as its next platform
「AIは次のプラットフォームである」可能性が高まっている。プラットフォームとは、記事によれば「iPhoneからインターネット、そしてパーソナルコンピュータの出現」などを米Axiosは指摘。なかなか“スマホの次”が出現しなかったが、いよいよその芽が誕生したというわけだ。
米メタがフェイスブックとインスタグラム向け、サブスクを開始
「フェイスブックの親会社、米メタ・プラットフォームズは19日、フェイスブックと画像共有アプリ・インスタグラムで、サブスクリプション(継続課金)有料サービス『メタ・ベリファイド』を開始すると発表した。電子メールで配布した資料によれば、料金は月額11.99ドル(約1600円、『iOS』アプリで購入した場合は14.99ドル)」。

——Twitter同様、プロフェッショナル向けサービスを購読制とするのは悪くないアプローチ。ただし、それが「ベリファイド」(認証の強化)ぐらいだとなぁ。それ、そもそもがしっかりやるべきだとならないのか?

「Instagram」、フォロワーと交流を深める新機能「一斉配信チャンネル」を発表
「Mark Zuckerberg氏は米国時間2月16日、Instagramの新しいモバイル機能『Broadcast Channels』(一斉配信チャンネル)を発表した。この機能を使うと、クリエイターはテキスト、写真、動画などを直接フォロワーに送信できる」。

——各人気プラットフォームでTwitterの“跡目争い”が台頭。DMやフォロワ向けメッセージングの機能を新設。TikTokをはじめ取り組みが動き出している。

The biggest news media start-ups from the post 2000 era
2000年以降設立された新興「メディア」企業のTop25社中上位5社は、コンテンツを作らない企業だった。英Press Gazette調べ。対象は英語圏メディア。Facebookを筆頭にシリコンバレー系テック企業(TikTokを含む)が上位を占めた。M&Aの記録も含んでいる。
食べログの「不当」な評点調整、秘密のアルゴリズムが明らかに:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:「今回の変更では、チェーン店のうち、フランチャイズチェーンは対象とする一方、ファミリーレストランやファストフード店は対象にしなかったことも明らかになった。
ただ、どんな狙いがあったのかは、『認知度の調整』という表現以外は、判決文からは読み取れない」。

——アルゴリズム変更による被害を裁いたという点で注目の判決。当該アルゴリズム変更が一部ながら明示されたのが、この記事のキモ。今後至るところで、このアルゴリズム変更が問われていくことになるのかどうか。