Disruption This Week—–7/4/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年4月3日から2023年4月7日まで。

ChatGPT、何が問題か 元グーグル社員「非常に無責任で無謀」:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「規制が何もないのをいいことに、マイクロソフトのような企業はいま、世界の全人口を実験台として利用することが許されてしまっています。倫理や道徳という観点から考えれば、もっと民主的な統制があってしかるべきでしょう」。

——元グーグル社員でAIが社会に与える影響を研究し、警鐘を鳴らしてきた人物による警告。

出版状況クロニクル179(2023年3月1日~3月31日) - 出版・読書メモランダム
「講談社の決算は売上高1694億8100万円、前年比0.8%減、営業利益は191億円、同11.9%減、当期純利益は149億6900万円、同3.8%減。
その内訳は紙媒体の『製品』が573億5500万円、同13.5%減、デジタル、版権関連の『事業収入』は1001億7200万円、同10.0%増。そのうちの『デジタル関連』収入は778億円、同10.9%増、『国内版権収入』は98億円、同13.6%減、『海外版権収入』は124億円、同35.2%増」。

——上記の引用箇所だけでも、メディア事業をめぐる存立構造、あるいはその発展方向を想像させる刺激に満ちている。「事業収入」が「製品収入」の倍近くもあるのだ。しかもその事業収入の8割がデジタル由来だという。講談社だけの現象には止まらないだろう。もちろん、とはいえ、現時点ではそのような事業構造を持てるのは国内で数社だろうが。

米Protocolの編集長のTom Krazit氏は、同メディアの閉鎖にともない、その2万人以上だった購読者メールリストを買い取って独立。広告付きのメールメディア「Runtime」として再スタートを切ったとする話題。良い話題でもあるが、読者リストを売買対象とするのには抵抗も感じてしまうのだが…。
Substack's new short-form 'Notes' feed looks a lot like Twitter
ニューズレター配信の米Substackは、ユーザーが投稿、引用、コメント、画像、リンク、アイデアを共有できる新たな「Notes」機能の追加を発表。Substack上で共有されたNotesは、Twitterによく似た専用の短文フィードで表示されるという。別に論じたが、Twitter後継争いが激化している。
MidJourney V4 VS Leonardo AI — Same Prompt, Different Results
ジェネレーティブAIについては、ついついChatGPTを話題にしてしまうが、先行し話題となった画像生成系サービスでも、改善や新興サービスの台頭が進んでいる。記事は、同じプロンプトでサービス(MidJournyとLeonardo AI)によりどうアウトプット(画像)が異なるかを具体的に比較した有益な資料。
「プロンプトエンジニアリング」の“教科書”、日本語版が登場 無償でAIの上手な使い方を解説
「プロンプトに関する基礎知識から使用アイデア、注意点などを記載。プロンプトエンジニアリングに関するテクニックの他、GPT-4など特定のAIモデルの特徴などについても言及している」。

——ジェネレーティブAIが技術分野を席巻するにつれ、AIから的確な回答(アウトプット)を得るための的確な指示(プロンプト)が重要になることは、何度か話題にしてきた。このプロンプトエンジニアリングをめぐるガイドブックの紹介。日本語化されたものだ。

Post, a publisher-focused Twitter alternative, launches to public
“読んだだけ払う”。従量型課金システムがこれから広がると見ているが、Twitter的手軽さと従量型課金制を提携メディアに提供する、米「Post News」の話題。利用者は事前に一定額支払い(バウチャー)、利用に応じてそれを消費するモデルのようだ。
新聞社の衰退はネットやスマホの普及が原因ではない グンゼという会社から考える本質:朝日新聞GLOBE+
「…断言できるが、新聞各社の売上が減少し続けているのは決して、インターネットやスマホが普及したからではない。
単に経営陣が世間ずれし、今もなお間違っているからである。
なぜそんなことを、断言できるのか」。

——「新聞社の本質的な強みとは本来、『知性ある記者・編集者』が『取材やエビデンス』に基づき、『信用できる情報』を届けてくれることにあったはずだ」と凡事を徹底すべきことを指摘するオピニオン記事。

カナダ政府が法制化をめざすプラットフォーマによるメディアへ支払いの義務化について、行われた調査研究「Meta and News」によると、Facebook(フィード)上の報道関連トラフィックは3%未満で、年々減少中であり、そのトラフィックもメディア自身による投稿が9割を占めており、ユーザによる投稿(シェア)は少ない。故にFBから恩恵を受けているのはメディア機関だと指摘。
米ツイッター、表示順決めるアルゴリズム公開 マスク氏「公約」、安全面懸念も:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「同社は仕組みをブログで説明。(1)利用者の関心が高そうな人やテーマの投稿から約1500件を選ぶ(2)利用者が「いいね」やリツイートなどの反応をする確率をAIで予測し、点数をつける(3)同じアカウントの投稿が続かないように調整するなどした上で点数の高い順に流す、という主に三つの段階があるとした」。

——あまり大きな話題を呼んでいないようだが。ここで説明されているのは、Twitterの一人ひとりのユーザに対し、どのようなツイートを表示するかというパーソナライズについてだろう。自分のタイムラインを見ても思い当たるところだが、上記では説明できない要素もあるようなので、もう少し勉強したいところ。

ファクトチェックアワード2023

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

ファクトチェックアワード2023
【ご紹介】:
多くの人々を誤解させるおそれのある社会的影響の大きな言説・情報を検証し、正確な事実を共有することに貢献したファクトチェック作品のうち、特に優れていて社会的意義が高いと認められたものを表彰します。締め切りは20日です。
「オリジネーター・プロファイル(OP)」の挑戦——ネットニュースの信頼性をどう担保するのか? - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techに新着記事です。メディア業界で注目されるプロジェクト「OP(オリジネーター・プロファイル」技術研究組合について、事務局を主導するクロサカ氏に取材しました。

Disruption This Week—–24/3/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年3月20日から2023年3月24日まで。

Google's new Bard chatbot told an AI expert it was trained using Gmail data. The company says that's inaccurate and Bard 'will make mistakes.'
ChatGPT対抗としてGoogleが先日発表、試用版が提供されている「Bard」。AI専門家のKate Crawford氏がチャットを通じてどんなデータセットを使ったのかを尋ねたところ、ユーザらのGmailデータを含むとの回答だった(スクショあり)。Googleはこれを不正確と慌てて打ち消すが…
TikTok CEO says it wasn't 'spying' when ByteDance employees surveilled journalists
昨日、米下院で行われた公聴会に出席した米TikTokのCEO、Shou Zi Chew氏は、ByteDance社員がTikTokアプリを通じて得たジャーナリストのIPからその地理情報を追跡していた事実(社員はその後解雇された)について、「スパイ行為という表現は適切ではないと思う」と述べる。
「AIが自動生成=著作権なし」「人間の創作=著作権あり」 米著作権局、AI生成コンテンツの登録ガイドライン公表
「16日に発表されたガイドラインによると、米国の憲法や著作権法では、『著作者は人間』と明記されており、判例などもそれを支持しているという。このため、AIが創作に関わったコンテンツの著作権登録を認めるかどうかは、『人間の創造性が含まれている』かが判断基準になるという」。

——著作権法については彼の国とは差異があるが、考え方の基礎として、わが国でも取り入れられる可能性はありそう。

対話型AIの登場でグーグルら巨大ITとニュースメディアの関係はどう変わるか
「Googleで『今買うべき最高のスマートフォン』と入力すると、CNET、TechRadar、Engadgetといったニュースサイトが作成したおすすめ端末に関する記事が表示される。同じ質問をChatGPTに投げかけると、AIは親切にも『専門家のレビュー』に基づいたおすすめ端末のリストを教えてくれるが、そこにはどのサイトへのリンクも含まれていない」。

——GoogleやMetaらと既存メディアとのリンク対価支払いをめぐるせめぎ合いと、出来上がった法制の矛盾を前半で説き、その後、AIによるチャットボットが、“記事へのリンク”をバイパスしてしまうリスクを説くという2段構えの論。いずれにおいてもNews Corpら大メディアがロビーイングで動きを阻止しようとしていることが浮かび上がる。

The Launch of Ad-Supported Disney+ and The Rise of AVOD  - Antenna Blog
広告表示付きの動画配信の3事業、提供初月は、新規加入者の20%がDisney+の広告付きプランに加入。Netflixの初月は9%、HBO Maxは14%だった。3か月目では、Disney+が36%に達し、Netflixが19%、HBO Maxが21%であった。今後は、Apple TVの広告市場参入が話題となりそうだ。米Antenna調べ。
GPT-4が労働市場に与える影響と各職種のリスク評価──OpenAIの研究者が論文発表
「調査の結果、米国の労働力の約80%が、GPTの導入によって少なくとも仕事の10%に影響を受ける可能性があり、約19%の労働者は仕事の50%に影響を受ける可能性があることが示されたという。
ほぼすべての職種に影響するが、特に現在高収入な職種のリスクが高いとしている。
調査は、学習達成度を表を用いて測定するルーブリック評価によって、職業別の人間の専門知識とGPT-4を使った場合を比較した」。

——「現在高収入な職種」とは? がポイントだ。記事によれば「数学者、ジャーナリスト、翻訳者、作家、Webデザイナー、会計士など」に相当するようだ。ジャーナリストが含まれていることには注意をしておいたほうがいい。また、影響受けにくい種類の職種も示されている。

School districts sue tech giants over youth mental health crisis
TikTokがユーザデータを侵害しているのではないか? あるいは、ジャーナリストらをスパイしているのではないかと、米国では賑々しい。しかし、米国でSNSをめぐり過熱しているのが青少年のウェルビーイング問題だ。大手SNS各社をターゲットに、いくつもの州で訴訟が起きているのだ。
Negative words in news headlines generate more clicks — but sad words are more effective than angry or scary ones
ニュース(の見出し)はどうしてネガティブなものであふれかえっているのか? “バイラルメディア”が発見した情動的表現が人々を引きつけるという法則が、新たな調査(Nature Human Behaviour掲載「ネガティブがオンライン・ニュースの消費を促進する」)によって改めて裏づけられたとする記事。
「ニュース忌避」現象の背景には、このような最適化が働いているのではないだろうか?
Twitterそっくりの分散型SNS「Bluesky」、Appストアに登場
「TechCrunchの記事をチェックすると、BlueskyのユーザーインターフェースはTwitterにそっくり。
たとえば、Twitterは新規ツイートをするときに『What’s happening』と表示されますが、Blueskyでは『What’s up』になっています」

——「Bluesky」はJack Dorsey氏がTwitterのCEOであった時代に取り組んでいたプロジェクトに端を発する。要するに、Twitterを分散アーキテクチャで“再発明”しようとしていたのだ。結果として当のTwitterがこの状況となったことから、“新時代のTwitter”が次々と声をあげることになってきたというわけだ。

「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」 - News(ニュース) - 電通ウェブサイト
「2022年のインターネット広告媒体費は、前年比115.0%の2兆4,801億円(電通「2022年 日本の広告費」より)。インターネット広告媒体費を広告種別で見ると、検索連動型広告が前年比122.2%の9,766億円と増加し、構成比は39.4%となった。ビデオ(動画)広告は前年比115.4%の5,920億円、構成比は23.9%となった」。

——よく知られている「日本の広告費」統計の、インターネット広告部分を詳細に掘り下げた「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」。ネット広告全体として、前年比114.3%の3兆912億円で、広告費全体の4割強に。

ファクトチェックアワード2023

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

ファクトチェックアワード2023
私が参加している団体ファクトチェック・イニシアティブでは、優れた・有益なファクトチェックを行った活動を顕彰する「ファクトチェックアワード2023」を実施します。ぜひご応募下さい!
JIMA : グランプリ、部門賞など全13作品を発表!ーーInternet Media Awards 2023
【ご紹介】:
私の所属するインターネットメディア協会が例年行ってきたアワード「Internet Media Awards2023」が発表。グランプリ作品その他全13作が発表されました。例年以上の盛会を喜んでいます。

Disruption This Week—–3/2/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年1月30日から2023年2月3日まで。

'Inaudible' watermark could identify AI-generated voices
AI生成型音声コンテンツ技術に取り組むResemble AI、同社が生成した人工合成音声の悪用を回避するため、音声版“電子透かし処理”技術「PerTh」を開発。記事は同技術を概説、堅牢なものであると解説する。
バイデン政権、AppleとGoogleのアプリストア開放を議会に要請
「米商務省電気通信情報局(NTIA)は2月1日(現地時間)、『モバイルアプリエコシステムにおける競争』と題する報告書を発表し、米Appleと米Googleが運営する現在のモバイルアプリストアモデルは『消費者と開発者にとって有害であり、修正するためのポリシー変更が必要』と主張した」。

——記事中に、「NTIAは電気通信およびインターネットポリシーに関する大統領の主要顧問であり、この主張はバイデン政権の主張ということになる」と補足がある。強硬派の共和党などの動きに押された格好か。

米で党派メディア台頭 地方紙装う「ピンクスライム」
【有料購読者向け記事】:
「これらのサイトの記事には記者の署名がなかったり、自治体や団体の発表資料を貼り付けたりしたものが多く、記事の転用も目立つ。会社概要を見ると『小さな政府の提唱団体から一部資金提供を受けています』『本紙は非営利団体のプロジェクトです』などの小さなただし書きがある。
こうしたサイトは『ピンクスライムジャーナリズム』と呼ばれる。ひき肉などの増量に使われ批判を浴びた加工肉『ピンクスライム』になぞらえ、本物のような見かけだが『出所が不明な点が似ている』と、フリージャーナリストのライアン・ジグラフ氏が命名した」。

——これらマイクロサイトを束にしている運営している元締めとなる企業も存在している。現代の“メディア・エコシステム”のありようを象徴するような事例だ。

Leaked Messages Show How CNET's Parent Company Really Sees AI-Generated Content
誤謬だらけのAI生成コンテンツを掲載していたRed Ventures傘下のCNET(や金融商品関連サイトBankrate)。露見で同社らが本当に恐れたのは、彼らの取り組みがAI生成コンテンツによる新たなコンテンツファーム・スキームであり、Google検索からバンされることだったとする報道。Red Venturesが傘下に収めた数々の専門サイトは、SEOの徹底で稼ぐアーキテクチャだった。AI生成コンテンツはこれを安価に実現するアプローチということ。
アングル:社長交代も「トヨタイムズ」、直接発信にこだわる訳
「上場会社の社長交代は記者会見の形を取るのが一般的だが、1月26日に約14年ぶりの社長交代を発表したトヨタ自動車は違った。オウンド(自社)メディア『トヨタイムズ』上でニュース番組として緊急生放送し、豊田章男社長は『ステークホルダー(利害関係者)の皆さまにできるだけ早く正しくお伝えするため、急遽このような場を設定した』と述べた」。

——トヨタがオウンドメディアに力を入れている。社長交代という重要な公式発表の場も、自社“メディア”で。その背景をトヨタが嫌うメディアが解説。ポイントは、「ステークホルダー」に直接伝えるという意思がメディア忌避を生んでいるということ。

Instagram’s co-founders are back with Artifact, a kind of TikTok for text
Instagramの共同創業者Kevin Systrom氏とMike Krieger氏が新たなソーシャルメディア・アプリ「Artifact」を公開! New York Timesなどの大手メディアからニッチな小規模なブログまで、厳選されたコンテンツが並ぶ記事フィードが表示。テキストのためのTikTokのようなものだとする記事。ユーザの閲覧から“For You”コンテンツが生成される、まさにTikTok的アルゴリズムか。
Teachers rejoice! ChatGPT creators have released a tool to help detect AI-generated writing
ChatGPTが広く使われるようになり懸念視されているのが、学生による濫用。学生の論文を評価しなければならない教師は頭を抱えている。記事は、ChatGPTの開発元OpenAIがAI生成による文章かどうかを判定するツール「AI Text Classifier」を開発したとする話題。
出版状況クロニクル177(2023年1月1日~1月31日) - 出版・読書メモランダム
「電子書籍のほうは5013億円、前年比7.5%増だが、紙と合わせても、1兆6305億円、同2.6%マイナスになっている」。

——電子書籍の成長は継続しているが、全収入の減収を補えない。会社経営で言えば、成長分野に賭け、低迷分野は縮小で良いのだが。

BuzzFeed CEO Says AI-Powered Content Creation Will Become ‘Part of Our Core Business’ in 2023
米BuzzFeed CEOのJonah Peretti氏が社員にメモ。“インターネットの過去15年間が、コンテンツをキュレーションするアルゴリズムフィードにより定義されたとすれば、次の15年間は、AIとデータがコンテンツ自体の制作、パーソナライズ、動画化を支援することで定義される”とする。
出版業界事情:本の未来を問うハイブリッド型文学全集『小学館世界J文学館』登場 永江朗 | 週刊エコノミスト Online
「この1冊の本(全268ページ)の内容は125冊分の本の解説。色鮮やかな各ページは、小学館お得意の子供向け図鑑を思わせる。作品の登場人物や時代背景、作者について図解し、さらには参考文献も掲載されている。そして、ページの隅にQRコード。これをスマホやタブレットで読み取ると、各作品の本文があらわれるというしくみだ」。

——面白い。納得感のある発想。実際、ページをランダムにめくりながら、期待もしていなかったような情報に出会い深みへ、という発見は、印刷物から出てきやすいと思う。その入り口になる可能性がある。

Disruption This Week—–13/1/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年1月5日から2023年1月13日まで。

Opinion | Does Twitter Disinformation Even Work?
【有料購読者向け記事】:
2016年大統領選を巡りSNS経由でのロシアによる工作の影響度については、いまだに研究が進められている。Facebook上の活動は広く知られたが、Twitter上での影響力は小さかった? 米NYUの研究者らによる研究が学術誌「Nature Communications」に掲載された。
How the Star Tribune aims to retain its 100,000 digital subscribers - WAN-IFRA
創刊155年の米ローカルニュース「Star Tribune」。購読者のリテンション担当者が語る取り組み。重視している「KRP:キー・リテンション指標」という考えは参考になるはず。また、購読中止方法をあえて電話のみからオンラインに変更して、効果をあげたという事例も興味深い。
テレビ番組のネット配信、認知は8割前後に スマホの存在感増す──MMD研究所調査
「サッカーワールドカップのカタール大会が話題になった2022年12月上旬(5~7日)に18歳以上の男女1万100人を対象に調査した。これによるとテレビ放送後の番組をネット配信する『見逃し配信』の認知は80.1%で、このうち利用したことのある人は38.0%だった。また放送と同時に配信する『リアルタイム配信』の認知も77.4%と高く、利用経験者は33.3%だった」。

——「日本VSクロアチア戦」が行われたのが12月6日だから、国内で最大の注目を浴びていた時期の調査。ネット上での調査(八票元のデータを手続きしてダウンロードしないとデモグラ等がわからないのだが)と想像するのでその偏りはあると思うが、大きな認知向上があったと見る。また、発表元では、利用しているサービスも調査され、TVerとABEMAが上位に。

Pro-Putin operatives in Germany work to turn Berlin against Ukraine
ドイツ国内で秋以降、親ウクライナへの動きに反対する反米親露活動が活発に。活動の中心的人物は、たとえば、元ロシア空軍将校、もう一人は元ロシア軍事情報機関の将校だったりと、彼の国のエージェントの可能性が濃厚に。内容はもちろん、ビジュアルでも見応えのあるReutersの調査報道。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2023

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2023
例年、新年早々に公開されるReuters Instituteによるメディアとジャーナリズムをめぐる大規模な調査。2023年版が公開された。今後関連するトピックスを紹介していくことにする。やはり最大のイシューのひとつが「ニュース忌避」現象の行方ということになるだろう。
How Finland Is Teaching a Generation to Spot Misinformation
【有料購読者向け記事】:
Open Society研究所の調査で、フィンランドは誤報に対する強靭さで欧州41カ国中5回連続で1位を獲得した。ロシアとの間に長大な国境を有し、昨年NATO参加を決めた同国の実践的なメディアリテラシー教育の現場を取材した記事。ある中学の授業ではTikTok投稿を毎週3本見せて、議論したりしているという。
NATO入りを表明したとたん、首相がクラブで踊ったり、ドラッグ疑惑が流れるなど、認知戦が渦巻く同国の状況は実践的に学ぶ価値がありそうだ。
Microsoft eyes $10 billion bet on ChatGPT | Semafor
米Microsoft、ChatGPTを擁するOpenAIに100億ドルを投資検討。米新興メディアSemaforがスクープ。その際の企業価値は290億ドルと見込まれているという。Microsoftとしては、PCの次の波であるモバイルには乗り遅れたが、さて、生成型AIの波にはどうだろうか?
China, a Pioneer in Regulating Algorithms, Turns Its Focus to Deepfakes
【有料購読者向け記事】:
中国、ディープフェイクなど、“深層合成(Deep Synthesis)”技術を用いたコンテンツ、メディアの運用について、今月から新法で厳しく取り締まる運用に入った。この種の技術が経済や国家安全保障を混乱させるような情報の拡散させることを禁止する。
Ghost Writer: Microsoft Looks to Add OpenAI’s Chatbot Technology to Word, Email
【有料購読者向け記事】:
こちらもMicrosoftがChatGPTを取り入れる動向をThe Informationが独自取材した記事。なんとMSは、Word、Outlook、PowerPointなどにChatGPTを取り入れ、ユーザの簡単な指示で文書やプレゼンを生成できるような機能実現を目指しているのだという。
Partisan media offers easier-to-read political news than mainstream outlets, study suggests
米メディア研究者の研究論文「米国メディアにおける読みやすさ、学年、感情、トーンの評価」は、党派性に傾いた政治的メディア(記事)ほど、親しみやすく・シンプル・否定的トーンを用いて読者を引きつけているとの見解。
メディアをめぐる多様性のリアル――ONA2022現地レポート - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから年末更新の記事。昨年米国で行われたONA2022から、「メディアをめぐる多様性(ダイバーシティ)」の動き。海外、特に米メディアはどう考え、取り組んでいるのかを伝えます。

Disruption This Week—–23/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年12月20日から2022年12月23日まで。

ネトフリ広告付きプラン、普及まだ先
【有料購読者向け記事】:
「今回のデータが公表される数日前、ネットフリックスは広告付きプランの保証視聴回数を達成できず、その結果出稿されなかった広告分について、返金に応じていると業界誌ディジデイが報じていた」。

——すでにAntennaの調査などについて紹介したが、WSJも、Netflixの広告表示付き廉価版の試みに、否定的な報道。ただし、記事中にもあるが、まだ、滑り出し1か月の段階。今後の展開に引き続き注目すべき。

Porn, Piracy, Fraud: What Lurks Inside Google’s Black Box Ad Empire
「Googleは、広告販売パートナーの大方を秘匿する唯一の主要広告プラットフォームだ。つまり、Googleは広告を掲載するサイトやアプリ、その背後の人々や企業をすべて非公開としている」。
それにより驚くべき偽情報で荒稼ぎするサイトでの広告収入を、匿名のサイトオーナーと折半しているとする詳細な米ProPublicaの調査報道。
米Axios、記事「箇条書き」に活路 ネット系停滞と一線
【有料購読者向け記事】:
「アクシオスは、立ち上げ前に既存メディアの欠点を徹底的に分析し、記事が長すぎるとの結論に至ったという。忙しい読者が短時間で要点をつかめるように、記事は『スマート・ブレビティー(賢く、短く)』と呼ばれる箇条書き方式で提供する」。

——傾く老舗メディアに挑む新興メディア……という図式が揺らいだここ数年。新たな挑戦者はAxiosと見なす記事。ビジネスの仕方、稼ぎ方などに目が行き届いた新興メディアへ注目が集まる。

ByteDance Inquiry Finds Employees Obtained User Data of 2 Journalists
【有料購読者向け記事】:
TikTokおよびその親会社であるByteDanceの従業員らが、米ユーザのデータに不適切にアクセス、監視活動を行っていることはすでに報道されてきたが、今回、新たなに米ジャーナリストの個人データをTikTok従業員が漁っていた事案も内部調査から判明した。
メタバース・ビジネス新展開
25年前に亡くなった
伝説のラッパーが復活ライブ
【有料購読者向け記事】:
「(早逝したラップ・アーティストの)スモールズの超リアルなアバターは、見事な技術的偉業というだけのものではない。メタバース・プラットフォームが普及すればすぐに直面することになる、2つの大きな疑問に対する重要なテストでもある。その疑問とは、亡くなったアーティストのアバターのパフォーマンスを人々がお金を払って見るか、そして、そのビジネスは倫理的か、ということだ」。

——非在の人物をテクノロジーで甦らせる試みは、映画やこの種の芸術ステージ、そして親族と触れあっていたい私的な欲求などに応える産業となっていく可能性がある。この記事ではVRによる見た目の再現と新たな創造が軸だが、ChatGPTのような会話力の人工的な創造がここに組み合わされていくことになることは間違いない。その亡くなった人物の考えや声をAIが学習できれば、応用は広がっていく。

ワシントン・ポスト、SaaSで稼ぐ 2000媒体に基盤提供
【有料購読者向け記事】:
「会社は異なるがArc XPとアマゾンのクラウド部門、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)には共通点が多い。例えば顧客の声に耳を傾け、矢継ぎ早に機能を追加することだ。最近は記者がスマートフォンで撮影した動画をサイトで生中継できる機能など『21年は機能追加数が過去最多だった』(広報担当者)」。

——米Washington Postが自ら内製開発したCMS「arcXP」をめぐる奥平和行記者による充実した取材記事。ただし、同氏が知ってか知らずか、arcXPをめぐる同社の経営は揺らぎ、その戦略は転換を遂げているのだが。メディア企業がテクノロジー事業(企業)を胚胎し育て上げることの難しさが伝わる。期せずしてVox MediaもCMS「Chorus」のディスコンを決めたと報道されている。

Slow fade for Google and Meta's ad dominance
“デジタル広告複占時代”の衰退?
米調査会社Insider Intelligence、2022年の米デジタル広告収入の48.4%をGoogleとMetaの合計が占めると予測(Google28.8%、Meta19.6%)。2014年以来初めて5割を下回る。2017年のピーク時には、54.7%だった(Googleは34.7%、Metaは20.0%)。
5 themes that governed the news industry in 2022 | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
2022年、報道メディアをめぐる5つのトレンド。1) ジェネレーティブAI出現で制作自動化の動き、2) 印刷コスト増大でデジタル化進展、3) Web3、NFTが本格化、4) 改めて広告に頼るメディアも、5) “音声(ポッドキャスト)トレンド”加速
Finding new ways to reach news avoiders
ニュースをめぐるエコシステムは、“ニュース・ジャンキー(中毒者)”に向けて作り出されている。ニュースをよく読む人より、ニュースを大量摂取する人向けにビジネスが最適化されており、それがまたニュースメディアの首を絞め、“ニュース忌避”を呼んでいるとする貴重な論。
最近までCNNでアンカーをしていた筆者が、抜け出す方向性を示唆する。
2023年に最も注目すべきテクノロジーは、世界を変えうる技術革命「生成型AI」だ | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
【有料購読者向け記事】:
「AIは計算負荷が高く、高価なデータセンターを必要とするため、政府や超大企業しか利用する余裕がない。しかし、AIにはストーリーがあり、実用性がある。それこそ、2021年と2022年に登場した技術(Web 3.0とメタバース)が提供しなかったものだ」。

——スコット・ギャロウェイ氏のお馴染みの論説。今年1年の間にも歴史に残るようなAI研究の成果が生み出されている状況を、的確に論じている。Web3トレンドより実用性が高く、その分、日社会に良い影響も悪い影響ももたらすだろうことを示唆している。
で、最大の難点は、大規模言語モデルの駆使は、ブロックチェーンのマイニング同様、設備集約、高エネルギー消費型の産業であること。むしろGAFAを生き延びさせる可能性が高いことかもしれない。