Disruption This Week—–25/9/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年9月23日から2020年9月25日まで。

 

 

Spotify、ポッドキャストの提供元として組んでいる米Chernin Entertainmentとの提携を、TVや映画制作にまで拡張することを発表。音楽ストリーミング→ポッドキャスト→映像ストリーミングへと、Spotify拡張戦略が徐々に見えてきた。Spotify自体が映像ストリーミングプラットフォームへと変身していくのか。あるいは、そのような各プラットフォームへの配給元となるのか。

 

 

メディアビジネス専門メディアの「Digiday」編集長Brian Morrissey氏が退任。自らのニューズレター(メルマガ)を創刊するということだ。先日はVergeを退社したCasey Newton氏についても紹介した。ニューズレターで“自分メディア”ビジネスを開始という点で共通だ。

 

 

「アバーズ(=人権団体、Avaaz)は反ワクチン運動のような医療デマや、ときには命の危険もある新型コロナの誤った治療法の主張、死者数が過大に集計されているという事実無根の記事などを広めていた、合計82のWebサイトを調査した」。

——記事にもあるが、たとえば、新型コロナウイルス関連の偽情報をめぐっては、これがデマ化し、誤った対症療法に走って命を落とす事例が数多く報告されている。偽・誤情報は命に関わる危機なのだ。

 

 

「パンデミック以降、アプリでの利用時間が最も伸びたのが『ソーシャルメディア』『動画』『メッセージアプリ』だ。それ以外に関しては、それほどはっきりとした影響は見られず、ウェブサイトへのトラフィックが増えた可能性もある」。

——米eMarketer調べ。つまり、米成人消費者のトレンドを見たものであることに注意。新型コロナウイルスの脅威下にある消費者がWeb回帰の傾向が見えるのは、やはり家庭ではPCやタブレットの利用が促進される傾向があるからか。

 

 

世界的なファクトチェッカー団体IFCN、大統領選をめぐる偽・誤情報の流通に対抗すべく、AFP、Washington Post 、PolitiFact、USA Todayなど主要メディアと主要ファクトチェッカーらと協業する「FactCHAT」を立ち上げ。自動化、データ標準形式、メッセンジャーなどを駆使する。

 

 

「『価値をパッケージ化して届ける』という従来のコンテンツプロバイダーの仕事は、その根幹から危機に瀕しているわけで、私たちは自分たちの仕事を改めて抽象化してとらえなおし、その中でこれからも求められる価値とは何かを見つめ直す必要があります」。

——KODANSHATechの長尾氏によるオピニオン。パブリッシングを“抽象的”に捉え直すという、論点が新鮮。抽象化すれば、印刷・流通もデジタルも等価だろうという意見もあるだろうが、印刷・流通と異なる付加価値もデジタルでは可能になる。そこに未来を見いだしたい。

 

 

The Vergeで尖鋭なテック系プラットフォーム批判の報道を続けてきたCasey Newton氏が、Vergeを退社、自らのニューズレターメディア「The Platformer」を開始する。利用するのはニューズレター発行基盤のSubstack。New York Timesの記事はこのようなトレンドを追う。

 

 

「新型コロナウイルスによるパンデミックは、オンライングローサリーからマルチプラットフォームゲーミング、ストリーミングサービスに至るまで数多くのテクノロジーの浸透を加速させた。しかし恩恵を受けなかった部門が、従来型の有料テレビだ」。

——eMarketerの調査によると、「2020年に米国の600万世帯が有料テレビを解約し、コードカッター(有料テレビの契約をやめる)数は累計3120万世帯となる」のだという。パンデミック前からのトレンドではあるが、それを加速させたという論点はもう少し掘り下げてみたいところ。私はストリミーング系サービスがそれぞれマーケティング(特に、○×か月無料というような)が、乱立したことがポイントではないかと想像している。

 

 

米BuzzFeed Newsが米財務省が作成した内部文書(“FinCEN文書”と呼ぶ)を入手。世界の調査報道ジャーナリストをネットワークするICIJと連携して、88か国400人による、世界有数の金融機関と各国政府がそのマネーロンダリングを黙認してきた振る舞いの暴露が始まった。

 

 

「規制当局は、共有されたコンテンツでパブリッシャーが報いを受けられるよう、独占的なテックプラットフォーム上での『条件を平等にする』ことを望んでいる。だが、批評家やプラットフォーム側は、規制当局はインターネットをベースとしたビジネスモデルを理解しておらず、充分に適応できていないと証言している」。

——各地域でこの種の小競り合いが生じているようだが、競争環境が行き着いた末の議論なので、今回はハードランディングの可能性が生じている。

 

 

【ご紹介】:
米国市場で新たな大統領選報道のための機能やサービスをリリースしたばかりのSmartNews。米市場での取り組みや体制について創業者のひとり、浜本階生が語りました。

 

 

【ご紹介】:
SmartNews米国版が、大統領選への投票をめぐる各種情報を集約し提供する「Election 2020」をスタートしたことを、Media Innovationに取り上げてもらいました。

Disruption This Week—–18/9/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年9月15日から2020年9月18日まで。

 

 

「拍手(と賞賛)の終わり」。Jeff Jarvis氏のエッセイが興味深い。オンラインミーティング、オンライン会議では、拍手などの意思や感情表明の仕方が奪われてしまった。だが、このリアクションにこそ新たな人々のためのメディア誕生の可能性がある…。
米Business Insiderのバーチャルイベント事業が躍進中とする記事。収益は、2020年には前年比8倍に達する。理由の一つは、実施数の大幅な増加だ。この時期にすでに15回(前年は3回)に達した。スポンサード型では、リアルイベントよりも低額だが、実施数が収益を押し上げる。

 

 

Facebookの“Project Aria”については先ほど紹介したが、同社は米New York Timesとも提携して、ARを用いたストーリーテリング技術にも着手している。すでにInstagramのNYTimesアカウントでその成果を見ることができるようだ。Facebookは技術供与はするが、記事に関与しないと関係者はコメント。

 

 

Bloomberg Media、2017年スタートのTwitter向けニュースストリーミング(スタート時は「TicToc」という名称だった)番組「QuickTake」を、11月に、24時間365日稼働の独立サービスへと拡張する。同社CEOは質の高いニュース情報源への需要はオンラインへとシフト中だと述べる。

 

 

つい先日、CNET MediaグループをViacomCBSから買収したRed Venturesの事業をリポートする記事。同社は2020年創業で、傘下に100以上のメディア、3億人以上の読者リーチを有する。それらポートフォリオから総合的な購買ファネルを形成しているのだとする。

 

 

「GPT-3が特に注目されているのは、文章だけでなくUIデザインのHTMLやプログラムのソースコードにも応用できる点だ。専門知識は必要なく、自然な会話形式でUIデザインやアプリケーションが作れてしまう」。

——「デザイン」という用語を、UXにまで敷衍すると、AIが関与する意義が見えてくる。自分は、この分野の可能性が大きく進化の余地として残されていると考えている。

 

 

米Wall Street Journal、「ストーリーテリング・チーム」を組成。読者開発・読者体験担当責任者らが、スタッフ宛てにメールで表明。ビジュアル面やその他テクノロジーを駆使したアプローチで、特に新規の読者(購読者)の開拓を目指す。

 

 

Reuters Institute所長Rasmus Nielsen氏が語る「ニュースメディアにとってのポスト・パンデミック」モデルとは。「Netflixのようなものへの支払いとニュースへの支払いには正の相関関係があることがわかった。ゼロサムやクラウドアウトではなく、正の関係だ」。

 

 

ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権団体、ソーシャルメディアがシステム的に進める違法投稿の削除が、重要な犯罪の証拠の抹消につながる恐れがあると指摘。自動削除は、「誰も知らないうちに重大犯罪の潜在的な証拠がどれだけ消えているのかを知る方法がなくなる」とする。

 

 

Reuters Instituteらの調査で、Instagramが若者らにとってのニュース情報源となっている点については、既に紹介した。記事では、英EconomistやGuardianの事例を用いて、若者ニュース読者との関係を築き、購読者の開発面でも寄与していると説明する。

 

 

【ご紹介】:
月いち連載記事が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ アップル、課金・広告で波紋 影響、株式市場通じ世界へ?

 

 

【ご紹介】:
私が編集に携わっている「Media×Tech」に新着記事。甲斐祐樹さんにお願いして、増え続ける新たなコミュニケーションサービスの動向を探り、連載していきます。新しいコミュニティメディアの姿が見えてくるのでは?

 

 

【ご紹介】:
米TechCrunchに、SmartNews US版が新型コロナウイルス、大統領選挙2020などの情報提供機能をアップデートしたことが紹介されました。日本版をお使いの方は「設定」の変更で、US版を体験できます。

 

 

【ご紹介】:
ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)が最近リリースした、最新のファクトチェック情報を届けるニュースアプリ「ファクトチェックナビ」がMedia Innovationで紹介されました。

Disruption This Week—–12/9/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年9月1日から2020年9月11日まで。

 

 

「Canalysが発表した新たなデータによると、スマートフォンの出荷は今年、前年比10.7%減となることが見込まれる。ただ、注目すべきいくつかの明るい要素がある。まず、5Gスマホの出荷は引き続き増えている」。

——自宅を出ないことがデフォルトになると、モバイル機器への需要が変化する、というのは当然。5Gはそのような“モバイル”というパラダイムを変える推進力になるのかどうか。

 

 

TikTok、今週、記者らに同アプリのアルゴリズムについて解説。「機械学習を利用し、他のクラスターのユーザとの距離の近さ、ユーザが好むコンテンツに基づき、次の動画を提示」「同じようなコンテンツを複数せるなど、ユーザーを飽きさせるような冗長性を避ける」などだ。同社は米市場で生き延びるために、“透明性”を高める努力を続けている。

 

 

“建設的なジャーナリズム”。追及を主にするトピックスに対し文字通りポジティブなトピックスを扱うが、同時に課題の解決法やその成果などに着目する。このようなニュースを集める「Squirrel News(リスのニュース)」がドイツのNPOから。記事はその創業者に取材したもの。

 

 

米Yahoo Sports、今秋からスタートするNFLのライブストリーミングに、家族や友人らと同時観戦する機能「WatchTogether」や、競技映像にデータを合成表示する「Yahoo Sports PlayAR」などを加えると発表。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「とはいえ、IDFAの撤廃が市場に及ぼす影響を推測するのに必要な基準が、アドテクベンダー数社のあいだで統一されない、もしくは公開されないのであれば、賢明な予算立てなど不可能なのである」。——業界(特にメディアの?)の反発に配慮した格好で、Apple新iOSでのユーザトラッキングの事実上禁止が先延ばしされた。しかし、記事は、IDFAの廃止で過去のトラッキング手法の代替アプローチがない以上、悲観的な状況に変わりがないとする。

 

 

購読制スポーツメディア(ペイウォール内だけでなく、最近はポッドキャスト広告も開発中だが)の米「The Athletic」、新型コロナウイルス禍でスポーツ競技がすべて中止に追いやられ、6月には従業員解雇なども実施したものの、どうにか存続にメドをつけ、購読者100万人に到達という。経営者らが取材に応じたが、アグレッシブで知られる共同創業者らも、3月末には、自社の存続に悲観的な気持ちになっていたという。

 

 

「結局のところイベントのトータルの長さは1時間が精一杯かなと考えています。30分でメインを終えて、あとはインタラクティブな(Q&Aなど視聴者との対話の)時間に15分、残りは予備として15分といった感じで…」。

——とても充実したノウハウ論。

 

 

英The Guardian、「オピニオン欄」にGPT-3が全編執筆した論説「ロボットは平和的な存在であること」を掲載。「なぜ人間はわざと自分を危険にさらすことを選ぶのか? 人間は地球上で最も高度な生物ではないのか?」など外池ながら論述していく。

 

 

「講談社のウェブメディア『現代ビジネス』の編集部員だった長尾さんは、使っていたCMS(サイトのコンテンツ生成ツール)で、記事だけではなく、ソースコード(プログラム言語)もさわれることを知った。試しにフェイスブックのいいねボタンの位置を動かす修正を加えた…」。

——“なぜ合同会社?”という、けっこう重要な問いへの回答もあり。学びの多い記事。

 

 

Google検索をめぐる最新状況をBacklinkoが公開。いろいろと驚くべき結果が開示されている。
検索者の約6割が、検索結果からたった1つのページにしか遷移しない(リストトップを占めることが至上命題)。4つ以上に遷移するのは6%。また、利用者の23%が検索語オートコンプリートを利用。また、約2割が連動広告をクリックなどだ。

 

 

新型コロナウイルスを機会に、メディアは新たな成長モデルへ転換。広告収入に苦しむ米「Quartz」は、2019年初に有料購読制を導入。だが、当初は伸び悩み。コロナ禍を機に、関連情報のニューズレター「Need to know」で勝機をつかんだ。他の業界事例なども紹介する記事。

 

 

「月刊誌の増加は前月と同じくコミックの貢献で、『鬼滅の刃』(集英社)21巻の初版が300万部刊行されたことによっている。
まさに今月だけでなく、今年は『鬼滅の刃』様々であるけれど、いつまで続くのか。そして来年も同じようにヒットするコミックが生まれるかどうか」。——業界全体の数字を上向かせるぐらいのインパクトある『鬼滅の刃』。一昔前ならこれで自社ビルだろうが、いまであれば、作品開拓とメディアのイノベーションに投資を振り向けることは喫緊。そのような気配が見え隠れしている。

 

 

【ご紹介】:
私が編集にも携わる「Media × Tech」に、メディアビジネスに拘る方々にインパクトのある論考が掲載されました。ぜひご確認を。

新しいウェブアプリを一般公開しました

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

 

 

【ご紹介】:
私も理事として参加しているFIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)から、一般の方々向けにファクトチェックの現況を手軽に確認してもらえるWebアプリ「ファクトチェックナビ」がリリースされました。ご活用を。